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早朝の古賀志山

アーカイブ:宇都宮近郊の山達  日時: 2007年08月13日 22:00

-- 『e-trex Leggend US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 うだるような連日の猛暑。さすがにこうも暑いと昼間はクーラーの効いた部屋でじっとしていたくなるものだ。
1ヶ月以上も山を歩いていないのですっかり足腰がなまってしまった感があるので、ここらで少しトレーニングを兼ねて涼しい時間に一歩きしてみようと思った。

 どうせ歩くなら本当に早い時間(日の出と共に行動開始)に歩ける所。そんな時間に歩いても有る程度安全な所をと考えた。古賀志山を北登山道から富士見峠へ向かい、山頂は踏まずに559Pを行動の目標点とし、中尾根コースで赤川ダムへ下山というルートを歩くことにした。

 中尾根コースは、前回鞍掛尾根縦走の際に下山ルートとして選択したが、途中から北登山道へのエスケープルートへ引き込まれてしまっている。今回は事前に情報も仕入れ済みなのでリベンジチャレンジである。

 宇都宮地方の日の出時間は4:56。日の出と共に登山を開始する為に4:30には自宅を出発すると、あたりはもう白み始めている。途中、多気山脇のポイントから東側に見える日の出前のオレンジ色の空が綺麗だったので、思わず車を止めてカメラに収めた(下の写真左)

 予定通り、日の出直後の5:00丁度に行動開始。当然他の登山者の人影なぞ皆無の薄暗い砂利道を歩き始める。沢の水音と木立の鬱蒼とした感じから、山がまだ眠りから覚めていない感じが伝わってくる。

 歩き初めて10分程で水場へ到着した。樹が少し切れて空が見える。随分明るくなってきた。GPSの電源を入れ、衛星の捕捉を確認。この先富士見峠までは道に迷うことも全く無い道中だが、何故かホっとする。流れ出る冷たい水で顔を洗い、少しだけ喉を潤す。相変わらず"重い"感じの味だが清冽であることには違いない。

 段々と空の青みがくっきりとしてくる頃になると、日の光は木の葉を切り裂くように鋭く差し込んでくる。冬場はあれほど太陽の光が恋しかったのに、今の季節はそんな強い日差しから登山者を守ってくれる森に感謝。

 登り初めはひんやりしていた空気も、段々と温度が上がっていくのが刻々と感じられる。高度を上げるにつれ、湿度もまた高くなってきた。さしたる登りではないがもう既に汗だくだ。沢音も聞こえなくなってきて遠く山鳩が儚げに鳴く声だけが聞こえる。ふと立ち止まると自分の胸の鼓動がやけにはっきり聞こえた。

 富士見峠で一休みをしていると、古賀志山山頂方面から人の声が聞こえてきたような気が一瞬した。自分と同じような物好きな奴がいるのかな?と思ったが移動している気配無し。空耳かはたまた物の怪のなせるわざか(笑)

 559Pへ向かう途中の小ピークからの眺めは、光の加減が丁度良いあんばいで、幽谷幽玄という言葉がぴったりなまるで一幅の山水画のような風景であった。(下の写真、中・右)
この風景を見られただけでも今日の山行は甲斐があったというもの。早い時間に登り始めて本当に良かった。

 相変わらずの急登を息せききって559Pへ着いたのが6:30。自宅に登頂のメールを入れ朝飯の菓子パンをほおばる。休日の正午などは平均年齢が70歳以上なのではと思うほどのハイカーでごった返す山頂も今日は一人。向かい側の古賀志山、そして裏側の鞍掛尾根方面までも全て一人で占有しているんじゃ無いかなという達成感がちょっとこそばゆかった。

     
多気山脇から東    霧に佇む山影    霧に佇む山影

 559Pから富士見峠方面へ一旦戻り、中尾根分岐から細野ダムを目指す。暫くは登ったり下ったりのデコボコ縦走である。

 右手に東綾が大きく見えてきた頃、何か小動物が素早く足元を走り去っていく。
 あまりにも一瞬の出来事であったが、登山道から谷へ向かった「そいつ」はなんと小猿であった。子供が居れば親も居るのは当たり前で、親1匹ならトレキングポールで戦えるだろうが、万が一群れにでも会ったら厄介だなと一瞬びびる。結局親も群れも姿を見せなかったが、こんな所に猿がいるという事は、クマ同様やはり沢山の登山者が残す食料目当ての生息なのだろうか。

     
559Pから日光連山    559Pから高原山    中尾根より東綾

 間もなく、前回道を間違えたポイントへ到達。(下の写真左)
 右は北登山道へのエスケープルート。直進は中尾根コース継続。左が・・・何処へ向かうのだろう。地図を眺めてもさっぱりだが、その割には道は左(北)が一番明瞭である。

 今回はこのポイントで直進し、間違い無く中尾根コースを辿ることが出来た。が、しかし、このあと道がどんどん難しくなっていくことにまだ気付いていない。
 暫くして、本日一人目の登山者とすれ違った。猿の事を話そうかと思ったが挨拶だけを交わす。

 十字路の後の2つめの小ピークを超えた地点での出来事。踏み跡のかなりしっかりした方に何の躊躇もせずに足を踏み入れると、やけに高度を下げる。それも巻かずに南へ一直線に下り一辺倒だ。一番怪しかったのは先ほどすれ違った登山者がいたのに道を塞ぐようににクモの巣が張っていたこと。更に途中でまた二股に分かれ、そのどちらもそれなりに歩かれた感じがあるがますます下っていく模様だ。危ない危ないと思いGPSを見てみるとやはり目標ポイントから外れかけている。迷ったら戻るべしの鉄則にのっとり、登り返す。こういう時の登りはやけに辛いものだ。

 先ほど引き込まれた分岐点まで戻ってよく観察すると北北東方面に草に邪魔されたルートがあるでは無いか。冬場なら見落とす筈は無いが、草深い夏場は注意が必要である。
 以前にも思った事だが、古賀志山は縦横無尽に歩かれており、獣道か登山道か登山道もどきか判別に苦しむ事が多い。道というものは、本来何も無かった所に往来が発生してやがて道になるものである。従ってこういった踏み跡のどれもが道の卵であるには違いないが、途中で破綻してしまうコースへ招待されるのはご免被りたい。

 あちこちに踏み跡が散乱している状況なので、流石に地図を頻繁に見、GPSもまめにチェックしながら進行。細野ダムからの登りなら一本調子だが、逆コースははっきり言ってかなり緊張していないとコースアウトしそうだ。

 真向かいの天狗鳥屋との間にひっそりと佇む細野ダムを見下ろす地点で尾根は切れた。このポイントからは一気にダムに向かって下がる感じだ。
 ジリジリと照りつける日差しの中、1本また1本と虎ロープに助けられながら高度を下げていく。ようやく植林地にたどり着いて沢を渡れば北登山道の登山口へ到着。細野ダムから注がれる沢の水で顔を洗ってさっぱり。無事車へ戻る。

     
問題の分岐    再び東綾、鹿沼の街並みも見える    赤川ダム
  
細野ダムを見下ろし一気に降下      

概略コースタイム
北登山道発(5:00)-水場(5:12)-ベンチ休憩所(5:26)-富士見峠(5:47)-559P着(6:28)-559P発(6:46)-小猿に遭遇(7:03)-十字路(7:10)-道迷いポイント(7:24)-道迷いから復帰(7:39)-496P(7:44)-尾根終端(8:30)-細野ダム着(8:45)

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コメント (4)

TAKI:

こんばんは~
山登りも朝のうちとは言え、この酷暑の最中に山登りは大変かと思いますが、我等中年組みにとって健康の為体力維持は欠かせませんね!
汗をたっぷりと流した後はなんとも言えず気分のいい物です。
私らは13日はツーでしたが、田島地方は意外に暑く、気温は35度、大間々は22度と、汗が出たり引っ込んだりでした。。

せろー:

段々と空の青みがくっきりとしてくる頃になると、日の光は木の葉を切り裂くように鋭く差し込んでくる。冬場はあれほど太陽の光が恋しかったのに、今の季節はそんな強い日差しから登山者を守ってくれる森に感謝。

 登り初めはひんやりしていた空気も、段々と温度が上がっていくのが刻々と感じられる。高度を上げるにつれ、湿度もまた高くなってきた。さしたる登りではないがもう既に汗だくだ。沢音も聞こえなくなってきて遠く山鳩が儚げに鳴く声だけが聞こえる。ふと立ち止まると自分の胸の鼓動がやけにはっきり聞こえた。

山岳小説の書き出しかと思える名筆に感銘! 写真もまた 山渓に載っているような的確な被写体の捕らえ方 構図 お見事!!!。
まっちゃんの素晴らしい才能に脱帽 そして 乾杯!!!!!!?

あまりにも あちぃーーので 昼間からビールを頂いている
せろーでした。  

まっちゃん:

TAKIさん。どうもです

先日のツーはお見送り行けずにすみませんでした。
集合時間にはまだ尾根をうろうろしてました。

この暑さで日中登りに行ったら、間違えなく干からびて昇天確実ですよね。
大間々22度ということは、そこを拠点とする山行きは快適ということですね(ニヤリ)

まっちゃん:

せろーさん。お恥ずかしいです。

適当に文章書いてるだけですが、やはり書くのが嫌いではないのは確かのようです。

全然話題が逸れますが、私の勤めている会社はこの暑さで業績追い風です。ただ社員は疲労困憊です。
最近現場の手伝いで体を使うことが多いですが、不思議と山を歩くようになってからは足腰の疲れが幾分楽になってきたような気がします。面白いものですね。

今日もこれから通常の昼勤に続けて、製造現場で明朝まで夜勤、そして明日は午後から出勤です。久々の徹夜でどうなることやら。

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