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自衛隊百里基地航空祭

アーカイブ:日記  日時: 2007年09月09日 23:00

「百里基地航空祭」にバイクで一緒に行かないか?

航空機の事、ましてや自衛隊の戦闘機など微塵も知識の無い自分であったが、以前から一度はそういったイベントを覗いてみたいと思っていた。
 さっそく同行を申し出、朝早い時間に茨城の百里基地に向け粛々とバイクを走らせる。
 随分早いペースで走ってあっという間に目的地に近づく。9時から開催されるということでちょっと早めかなと思ったがこれが大きな間違い。
 まだ8時前だというのに基地手前の4輪の長蛇の列に圧倒されて仰天だ。
 自衛隊の基地祭というと、地元では雀宮の基地(こちらは陸上自衛隊)の地味なやつと同じ程度に考えていたのだが、航空祭の人気のバロメータは格が違うようである。

 

開門直前に到着したのはラッキーだったが、既に出来あがった人だかりの山に囲まれて、重いバイクを押して構内バイク専用駐車場へ進む。
 一斉に人の列のベクトルが出来、皆目指すは滑走路周りへ。
これって、TDLの開園時の雰囲気とよく似ているような気もする。有名アトラクションに駆け寄る人こそいなかったが。

我々もバイクを置いて飛行場へ進む。
 いや、来るわ来るわ。とめども無く次から次へと人が入ってくる。流石に広大な飛行場だけあって航空機に最も近いロープ最前列以外はさほど人口密度は高く無いが、それでも実に多くの人が入って来ている。

居並ぶブルーインパルスのT-4機の前に落ち着くと、程なくデモを行うF-15,RF-4,T-4が離陸を始める。

滑走路までタキシングしていくのは結構間近で見られる。離陸をする主滑走路はさすがに観覧エリア最前線とは随分離れているが、それでも離陸時はもの凄い爆音と迫力である。場所が丁度良かったのか、ほぼ眼前でテイクオフしていく。

     
向こう正面が管制塔    複葉機ピッツ    滑走路へ向かうF-15

離陸した各機は編隊で主滑走路上を超低空でやってきては急旋回などを繰り広げ、そのたびに航空ファンを喜ばせる。
 頭上で急旋回する機体に一瞬発生するベーパー現象は、まるで翼に水蒸気のドレスをまとったような感じでなかなか感動的だ。

ベーパー現象について
(上記サイトは旅客機の場合。戦闘機はもの凄く羽根全体にばぁっと発生するのでかなり綺麗である)

それにしても航空ファンの層の厚さには脱帽だ。
 家族連れなどは、自衛隊関係者という感じがしないでも無いが、それでも周りの雰囲気を見てみるとあながち付き合いだけで来ているというだけでもなさそうである。
"いかにも"というような筋金入りの人は確かに多いが、それでも老若は問わず。ましてや男女を問わず。文字通り老若男女を問わずの熱き航空ファンの祭典なのだということがようやく自分にも飲み込めてきた。

ちょっと耳をそばだてていると、こんなおじいちゃんまで、あんな普通の主婦まで、皆さん「F15がどうのこうの、配備がどうのこうの、メカがどうのこうの」。バイク好きの談義と全く同じだ。

そんな同じ指向性を持った人間がこの広大なエリアにかくも多数集まっているというのが、素人の自分には大変刺激的である。

台風一過の今日は幾らか雲は多いというものの、上空はそれなりに日差しも強く、遮る物の無い飛行場には容赦なく陽が照りつける。
 そんな中で、次の飛び立つ機は何だ?次に頭上を旋回する機は・・・と辛抱強く待ち続けるファンの姿もまた強烈である。

会場内には基地に配備されている実機が展示されており、こんなに間近にじっくりと見ることが出来たのは初めて。
 F-4(ファントム)を後ろから見ると何となく滑稽。エンジンが掛かっていたらぶっ飛ばされる位置だろう。

展示エリアの隣はこれからデモ飛行する機体がずらりと並び、中には轟音でアイドリングをしているものもある。
 風に流されてきた排気熱と、かすかに流れるジェット燃料の匂い。機体を見るファンの熱い眼差し、照りつける日差し。全てが渾然一体となって飛行場を陽炎のように包み込んでいく。

     
ブルーインパルス    演習機T-4    RF-4のおしり

先ほどから立ち止まっていたブルーインパルスの前を後にして、一通り会場を歩いて見ることにした。

格納庫では、F-15のコクピット前で記念写真を撮る列が2時間待ちだという。いやはやなんとも・・・である。
 他にもエンジン単体やミサイル、機銃の展示などがあり、説明文に一つ一つ驚きの連続だ。どんなスペックも驚きに値するものだが、我々勤労者の血税の消費の極地を直視するに、自分は果たしてこの機体にどれだけの権利が有るのかな(恐らくネジ1本も無いだろうが)、そんなシニカルな妄想をちょびっとだけ抱いたりもした。

午前中のラストは複葉プロペラ機のピッツによるアクロバット飛行演技だ。ツインリンク茂木で良く有料ショーをやっているあの赤い機体が空を舞う。
 流石専門のショー飛行だけあって、雰囲気も軽やか。楽しげなショータイムである。驚いたのはプロペラ機でも垂直上昇後、姿勢維持で停止状態を維持出来ること。これってパイロットはもの凄い度胸とテクニックが必要だなぁと素人考えながら深く思う。

ようやく昼の休憩時間に入ると、会場内のアナウンスが熱中症注意を喚起している。さもありなん。先ほどから隊内隊外から救急車が何台か往来しているのだ。暑さとと共に昇華してしまったファンがいたようである(^_^)

私も、午前中はこの"熱気"に負けまいと頑張っていたが、ちょっと限界。たまらず日陰を求めてしばし休憩だ。

午後は、まずF-15のスクランブル発進デモ。会場から少し離れた広場に居たので滑走路周辺の様子が見えなかったが、どうやらくつろいでいるパイロットに緊急発進指令が下って離陸するまでの寸劇がテーマのようである。
 スクランブルは5分以内に離陸しなければならないそうだが、広場でアナウンスを聞いていると機体が見えないのであまり面白くない。
 隣で見ていた年寄り連中は「5分以内なのにこんなにぐずぐずしてたら東京はもうやられちゃって焼け野原だよ」などど毒づいている。
 まぁ、確かにそうかもしれないな、と思っていたら2機だけがタキシング後離陸していった。

 機動飛行がテーマだけあって、F-15の性能が余すことなく披露されていく。旋回能力も素晴らしいが、やはりロケットのような垂直上昇は凄まじかった。

この後続いてブルーインパルスショー。
 先ほどのピッツのアクロバットショーとはまたひと味違ったチームプレイが素晴らしい。
 編隊飛行時は隣の機体と1m間隔とか。一般的感覚からすれば地上のどんな乗り物でもエンジンが付いていればそれって危険過ぎ!

華やかなブルーインパルスショーで締めくくられた航空祭。
 戦闘機という絶対的なパワーを目の当たりにして、理屈抜きで感動することも多かった。純粋にショーとしての航空機の飛行を楽しむことも出来た。
 ただ、悲しいかな、F-15に装備された20mmバルカン砲の銃口を見た時、あぁこれは紛れもなく兵器なんだなということを実感した。

専守防衛任務としての自衛隊。今更存在意義を論じても、外交や経済と直結しかねない問題。ましてや日米安保の延長線としての自衛隊問題。
 本気で保守先鋭するならば軍隊を持てば良い。でも折角唯一の被爆敗戦国だから軍備を持たないのも一つの選択肢では無いかとも考えさせられた。

こんな事を書いていると"ヒコーキ好き"な人に怒られてしまうかもしれないが、暑さで上気した頭でぼぉっとそんな事を考えながら帰途についた。

     
F-15のエンジン    F-15のエンジン    集まったバイク達

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コメント (6)

お久し振りです。
百里基地航空際に行ってきたんですね♪
実は去年自分も行ってきたんですよ。

今年も行こうかなと思ったんですが、友人と都合が合わないのと
HPで駐車場があまりないとの事だったので、今回は見送りました^^;

なんかタキさんも行かれてたみたいですね。

あのF15のキーンと金属音のようなエンジン音聞きたかったな・・・。

まっちゃん:

スミタチさん。こんばんは。

急旋回の時のエンジン音は大爆発と言ったほうが良いような音でした。
とにかく凄い迫力でした。

バイクなら駐車場は充分有りましたが、4輪はちょっとやめたほうが良いかもしれません。

せろー:

まっちゃん こんばんわ。
航空ショー 一度はこの目で見たいものです。
会場での必携品目も分かりました。来年はぜひ一緒に連れて行ってください。
お願いします。

プー吉:

おはようございます
百里基地航空際ですか!
私も行きたかったなぁ~(^^;)
バイクで来る人って多いんですね!ビックリです!

私は昔、戦闘機写真を百里まで撮りに行った事あります。
500mmレンズを買ったのですが、早くて追いかけるのが大変でした・・^^;

でも基地際、面白そうですよね!次回は私も行ってみたいな!
中々基地の中には入れないし、増して戦闘機の近くには行けないですものね!

TAKI:

おはようございます
どもども!お疲れ様でしたぁ~

現地に行けば、合流できるだろうと簡単に考えて、別でいきましたが
あんなに見学の人が多いとは・・想定外でしたわ

いつ見ても馬力のある乗り物は感動します、
来年も行くますで~。

(腕と首の後ろ側が日焼けでかなり黒くなったにゃ!)

まっちゃん:

来年はみなさんと行きたいですね♪

開催日程は毎年結構ずれるようですが、宇都宮近辺だと百里基地が一番近いので来年も是非行ってみようと思いますので、その際は是非ご一緒しましょう。


>せろーさん

水と持ち運び椅子。それから日焼け止めも欲しいなぁ。


>プー吉さん

バイク好きな人は戦闘機も好きな傾向があるかもですね。
逆にパイロットの方もバイク好きな人が多いようです。
お互いに加速中毒かな(^^;

渋滞が激しい会場にはバイクでのアクセスが好都合です。

写真撮影は難しいですね。
私の腕とコンパクトデジカメの性能では到底無理なので、飛行状態の撮影は早々に諦めました。


>TAKIさん

>>いつ見ても馬力のある乗り物は感動します、

ホントですね。まさに非日常的な馬力です。

>>(腕と首の後ろ側が日焼けでかなり黒くなったにゃ!)

来年はメッシュ長袖と首の回りにタオルを巻いて、ザックに氷水2~3リットル仕込ませて行きますよ。ご一緒しましょう。

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