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岳ノ山と大鳥屋山

アーカイブ:安蘇の山達  日時: 2009年11月28日 22:00

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 ガイドブックを眺めていて、自分としては何となく影の薄い岳ノ山大鳥屋山。H君の復帰二弾に選んだのだったが、いざ歩いてみると意外や手強いルートに「これはミスチョイスかな」と思いながらも、なかなか面白い展開に。

 互いの住まいの関係で、県北はH君、県南は私と車当番が決まっている。今回は久々のパジェロミニのタンデムドライブである。天気は文句なしの快晴。ここのところ調子が良いのでいよいよ悪天候コンビも返上か。

 葛生から秋山に向かって車を走らせ、「五丈の滝」の案内板の所を入っていくとすぐ駐車地へ着いた。市で設置したというトイレ併設の駐車場(5~6台可)だ。どうやら五丈の滝を観光資源と捉えているようで、滝展望台までは遊歩道として整備が行き届いていた。

 落ち葉が降り積もる舗装林道もやがて砂利道になり、突き当たった所に五丈の滝案内図がある。ここからは登山道である。

 よく整備された道を登って行き、寄り道するように一旦谷に降りた所に滝展望台がある。ベンチなどもあしらえてあるが、これらは長い間観光客に使われた感じがしない。展望台から写真を撮った(下写真中)が悲しいかなカメラ写りがしょぼい。実際は奥の方から手前へ文字通り五丈になっていてなかなか素晴らしい風景である。

 登山道へ戻り、更に進むと滝見の松あり。現在は無惨にも枯れ果て往時の立派な姿の見るべくも無い。

     
林道終点から五丈の滝を目指す    五丈の滝    滝見の松は無惨に枯れ果てている

 滝見の松を過ぎると、それまで整備されていた登山道はにわかに植林地内の作業道となるが、そこそこに手入れもされておりあまり暗い雰囲気が無い。

 途中炭焼き釜の跡があったが中を覗くと何やら人間の残した食べ物の容器がある。動物が持ち込んでいるようだが、少し悲しい気持ちになった。

 沢の水流が途切れ枯れ沢に添って登る頃になると途端に踏み跡が不明瞭になる。事前の資料でも谷詰めは間違い無い。GPSにも予定線を引いてあるので時折方角を確認しながら枯葉に覆われた踏跡を辿っていく。途中の赤テープが実に頼もしい。

 山頂の南側は岩が露出しており、層状に重なる珍しい岩が見える。複雑な地殻の動きがあったのだろうか。

     
植林地を登る    炭焼き窯跡らしい    層状の岩が珍しい

 岳ノ山の肩尾根直下はかなり急登だが、ジグザグが明瞭。最後にトラバースするあたりで再び踏跡が薄くなる。もっともここまで来れば枝越しに稜線が見えているので心配は無い。

 尾根に出るとテプラで作った道標があった。梢越しに北側の山並みが見えて尾根に辿り着いたことを実感する。

 少し登るとそろばんが奉られた祠があった。何か由縁があるのだろう。

     
踏み跡も密かに    尾根に出た    そろばんが奉られている

 程なく岳の山の山頂へ到着。眺望は北側が枝越しに僅かだが、日溜まりの小広いスペースはなかなか心地よい。

     
岳ノ山頂上    男体山が見える   

 小休止で再出発。

 「そちらではないですよ」と先に休憩していた単独の男性に声を掛けられた。
よく考えもしないで、広い緩い尾根につい足が吸い寄せられる悪い癖がまだ抜けていないようである。あやうく山頂から西に延びる尾根に向かうところであった。

 コンパスを出すと、成る程針路は真南である。はて南に道はと見るとジェットコースターのような下りがあるではないか。

 いや、これは大変だなとH君と顔を見合わせながら落ち葉で滑る足元に注意をしながら降りていく。段々岩も多くなってきて細いロープも何本か垂れている。痩せピークを越えるとまたガクンと落ち込む。

 岩に突き当たると、行く手は蟻地獄のようなすり鉢状の谷が口を開けていた。先ほどからGPSで方角はしっかり捕捉しているがこれでは先に進めないじゃないか。おいおいマジかよと思って岩の切れ目を這い上がるとその先にまた厳しい下りが続いている。

     
痩せ尾根続く    強烈な下り    足元注意!

 緊張を強いられた下りもやっと緩くなり一安心だ。振り返ると岳ノ山が枝越しに見える。約100mの急降下であった。

 624Pへの登り返し、そして大鳥屋山直前の100m以上の登り返しには結構汗を掻く。途中、多少広く不明瞭な箇所もあるが針路は明確にして単純。624P付近から下の標高域は植林地になっているようだ。

 コツコツと最後の登りをこなすと東西に長い山頂へ到着した。先ほど岳ノ山で道を教えてくれた男性が腰を降ろして静かに食事中である。広い山頂に景色は全く無い。樹に囲まれて薄暗い中に一等三角点の太い標柱が存在感を誇示している。

     
降りてきた岳ノ山    大鳥屋山へ向かう尾根    大鳥屋山一等三角点

 山頂の少し西側に小日向方面の集落がうっすらと見える日溜まりで食事とした。今日は珍しく予定時間より多めに掛かってしまったので流石に腹ペコである。

 H君はあまり食欲が無さそうなので尋ねると、登りがきつかったですとのこと。今日は休憩時にストレッチを励行していたようで脚の付け根の痛みはまだ大丈夫そうだ。下りきるまで痛みが出ないと良いのだが。

 正直、あの強烈な下りにH君を連れてきた事を後悔したが、聞いてみると案外本人も楽しんで降りてきたようだ。よしよし、着々とハイカーとして育ってくれている模様。

 帰路は一旦鞍部に戻り、木にただ白いテープが巻かれただけの分岐を下る。鬱蒼とした植林地の中をトラバース続きで実に無駄のない仕事道を下っていく。湿った空気が顔にまとわりつく。吐く息が白い。温度が低いのだろうか。やがて沢音が聞こえ、空から光が届くようになってきた。林道はもうすぐそこである。

  
日溜まりで昼食    分岐から下山

概略コースタイム
駐車場発(9:48)-林道終点(10:00)-滝展望台(10:13)-岳ノ山肩尾根(11:18)-岳ノ山頂上(11:25)-
624P(12:14)-大鳥屋山頂上(12:52)-昼食地着(12:55)-昼食休憩-再出発(13:35)-
下山分岐(13:49)-林道出会(14:15)-駐車場着(14:34)

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コメント (5)

Non:

 こんばんは。早速拝読しました。やっぱり、『栃木県の山』で読んでいたイメージ
とは大違いです。まっちゃんさんたちが落葉の時期に歩かれたからでしょうか。
ガイドブックの写真でも自分の中の印象が大きく変わるんだなと、改めて思いました。

 で、全体的には、尾根に出るまでは植林が多くて、その後で痩せ尾根と稜線歩きが
あって、最後に林道で終わる・・・ なんとなくですが、尾出山にも通じるものが・・・
痩せ尾根や岩場の雰囲気も、わりに近いかなぁって。そう考えると、『栃木県の山』の
イメージではなく、こちらのブログで感じた印象そのままで歩きたいです。

まっちゃん:

Nonさん、こんばんは。

そうですね。尾出山から高原山への周回にかなり似た雰囲気ありますね。
周回の方角も同じですし。

しかし、今の時期は低山の紅葉が丁度見頃ですね。
山の中に入ってしまうとわかりませんが、遠目には針葉樹と広葉樹のブチ模様が結構綺麗で自分的には好きです。

けむ:

低山の魅力のフルコースみたいな山ですねえ。
まっちゃんの三床山のレポを読んだ時も思ったのですが、植生といい地形といい、安蘇山系いいですね~。
この辺りって土地勘がないのでなんとなく足がのびなかったのですが、今シーズンはどこか歩いてみようかなあ。

せろー:

11月1日に このルートで歩いてきました。コンドルさんも一緒でしたよ。
その時は 写真を撮ってこなかったので まっちゃんの写真を見て ああ そうだったなーと
思い出してます。 確かに下りの何か所は 山初心者にはちょいときついかも。

まっちゃん:

>けむさん

安蘇山系はホント良いですよね。
宇都宮からだとアクセスに1時間から1時間半位かかるのがちょっとネックですが、
流石に自宅から30分以内だと古賀志山近辺か篠井富屋。
もうちょっと時間を掛けて鹿沼西のエリア。
安蘇はその次に離れた場所ですかね。
もっとも都会に住んでいる人を考えれば栃木は山パラダイスのような所ですけど。


>せろーさん

コンドルさんもご一緒でしたか。
山系のMixiで行かれたのですか?
皆さんと一緒に歩いてみたいのですが、脚がきっと合わないで迷惑を掛けてしまうのではないかと思っています。
最近自分的に随分体力が付いてきたと思っているのですが、いろいろ鍛え込んでいる山好きな方々の脚にはまだまだ及ぶべくもありません。

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