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二股山西稜

アーカイブ:今市鹿沼の山達  日時: 2009年12月06日 22:00

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 いよいよ里山シーズン到来である。

 緒戦を何処にするか思案するが、ネタは沢山ある。取りあえず古い順番から暖めていた計画をこなしていこう。
 さて、栄えある第一弾は鹿沼の二股山である。昨年の10月には自主トレもどきの一度下山して登り返しという、体力の無い中高年にあるまじき行動をとった山だが、その時にまじまじと眺めて心惹かれる思いがあった西稜歩きが今回のテーマである。

 加園の集落から田んぼ脇の細い未舗装路を進むと約1㎞くらいで二股山の釜が入り登山口に突き当たる。ここから谷沿いに登り二股山の南東尾根に続くコースは、昨年と同じで今回も下山で使う。

 林道終点にある駐車ポイントから今回の想定取り付き点までは数百m程集落側に戻ることになる。途中すぐの所に「西尾根方面」という道標があったが、見ればこちらも薮の中の赤テープを追うような感じである。今回どうしても取り付きが難しかった時の代案として考えていた414mPダイレクトコースが此処になるようだが今日はここを歩かない。

 今回のルートは352.6m三角点に、このピークの北東緩斜面からのアプローチであるが、傾斜が緩いが故に手強い薮が鎧のように植林地をガードしている。取りあえず植林帯に入ってしまえばあとは方角修正すればよいだろうと考え、薮の薄いところからいざ侵入である。
 昨日の雨で草が濡れている。久しぶりに付けたスパッツの効果も絶大だ。

     
駐車地    西尾根道標あるがこちらはパス    薮の薄いここから取り付く

 若干の下草をやり過ごすと、幸いにして直ぐに植林帯へ入ることが出来た。シダなどが少しうるさいが気にするほどのものでもなく、所々に横たわる古い倒木を跨ぎながら軌道修正を繰り返した。

 やがて、等高線では微かにしか読み取れない谷が出現するが、少し高巻きしながらも目標の352.6mP三角点を目指した。

     
すぐ植林地へ    等高線で読み切れない谷がある    谷を高巻きして更に上へ

 再び地図では想像もつかないような尾根形が出てきたが、方角に問題が無いのでこれを登って高度を稼ぐ。三角点稜線までもう少しというあたりで直登状態になるが、ふかふかの落ち葉で滑りやすい。上方には岩が出てきたのでこれを巻きながら稜線に辿り着けば、荒い息で大きく汗を拭った。

 尾根の上は踏み跡こそ殆ど感じられないが、まばらな広葉樹で明るい雰囲気がある。

 一旦南端まで行ってみたが、どうやらここから真東、あるいは真南に向かうルートがありそうな気がする。

     
尾根形が出てくる    直登気味になり岩が出る    尾根の南端

 南端より踵を返し落ち葉を踏んで緩やかに登っていくと、そこは352.6mの三角点ピークである。R・Kさんの標高を記した板がかかっていた。
 ここからは北西にルートを取る。支尾根など迷い易い要因は皆無である。山仕事の人が残した痕跡はたまに見ることが出来るが、それ以外に往来の気配は殆ど感じられない。

 西側集落が良く見えるあたりから眼前の大きなピーク越えで再び汗をかいた。とにかく落ち葉で足元がとられやすく、急斜面になると歩くのが大変だ。雪道のツボ足ではないが一歩一歩蹴りこんで行かないとズリ落ちてしまいそうである。堪らずジグザグのルートを付けながら登って行ったが、こうして登山道は出来て行くのだろう。

     
352.6Pへ向かう    352.6mP(三角点)    西側の集落

 一旦大きなピークを越えると次のピークである414mPが更に大きく立ちはだかる。鞍部からの登り返しが結構キツイ。またしてもジグザグルートのトレースを付けながら登るが、途中木のあるところで休憩出来るように、次はこの角度でまずはそこの木の所までといった塩梅である。

 何度か足を取られながらもピーク付近に着くと、真新しい道標が掛かっており、釜が入り登山口から登ってくるコースと合流した。先ほど見た薮のリボンコースはどうやらここに出てくるようである。414mPの南斜面で急登のアルバイトを強いられるのが嫌な人は、登山口から此処に登るのが省エネの西尾根攻略かも知れない。だが、自分としては今回の計画の貫徹として、南側の352.6mPから繋いでこそ価値ありと考える。

     
向かう414mPが見える    414mPへの登り    釜が入り登山口からの西尾根ルートと合流

 414mPは何も無いが、古くラベルの剥がれたリポDの空き瓶が枝に逆さに刺さっているのが目印になっている。

 木々に閉ざされ、静かに息を潜めているような佇まいの414mPを後にして、北西の鞍部から登り返すと双耳峰の410m見晴らしピークである。直下に岩があり細いロープが巻いてあるも、万が一滑落すると西側はスパッと切れ落ちているが故にただでは済まないだろう。ここは躊躇せずに東側を巻いた。

 414mP以南はまったく手つかずの感があったが、北側は所々整備されている。赤ペンキありロープあり、そして何より踏み跡がしっかりしている。

     
リポD瓶の414mP    414mP双耳峰手前の岩    414mP双耳峰

 明るい尾根を鼻歌気分で進み、再びキツイ登りで最後の一汗をかく。ようやく二股山北峰から南西に伸びる幅の広い尾根に届いた。

 ここまでくればハイキング気分である。やがて一般コースとも合流し、程なく北峰に到着した。

 過去2回登った時はいずれも山頂である南峰で食事をしたが、他にハイカーも居ないので今回は狭いが景色の良い北峰で食事とした。それにしても今日は人の気配が全く無い。前半の西尾根はともかく、一般コースや山頂では過去2回とも少なくとも4~5人は逢っているのだが今日はゼロである。

     
明るい尾根    二股山北峰より    雲に霞む筑波山

 昼食後に南峰に渡るが、相変わらず強烈なキレットだ。登りに新しいロープが張られている。今までのロープは何処か危なげな感じがしたが、整備に携われた方々には感謝の念で頭が下がる思いである。

 山頂からは日光方面も僅かに眺望あるも、生憎男体山と女峰山が雲に覆われているのでぱっとしない。

 ここからは南に向かって展望地経由で下っていく。迷いそうな箇所には道標やロープが張られており整備の充実さを感じた。

     
南峰登りに新設ロープが    南峰(二股山頂上)より    丁寧にロープが張られている

 所々落ち葉で踏み跡が不明になる箇所もあるので、初心者には少し手強いかもしれない。多少馴れた人なら、プチルートファインディング的な要素があって楽しいだろう。

 植林帯に入って尾根の急降下の後、谷に向かって一旦西向きにトラバースする箇所の分岐を直進すると431mPに至ることが出来る。今回は寄り道としてこのピークに向かい、更にそこから南に伸びる尾根方面の偵察を考えていた。

     
   落ち葉にルートも不明瞭    431mPへ寄り道

 431mPまでは特に障害も無いが、灌木が所々に生えており、あまり人の往来は感じられない。それでもピーク先には、東側に開けた伐採地跡というにはあまりにも狭い範囲だけ樹が切り倒された眺望地が一箇所ある。なんの為に樹を切ったのか判らないが、山仕事の人の愉しみなのだろうか。足元に焚き火の跡も確認できた。

 分岐へ戻り一般ルートを通り駐車地へ無事帰着した。帰り道に、車窓より南尾根から林道へ抜けるルートを眺めるが、かなり深い薮や急斜面があってとても手が付けられないような雰囲気がある。しかし、宇都宮中心部から真西に見える二股山の堂々とした山姿を頭に浮かべると、この南陵歩きも外せない。次なる二股山の課題としての思いを胸に膨らませるのであった。

           
431mP先の展望地より     

概略コースタイム
駐車地発(9:52)-西尾根南端(10:26)-352.6mP(10:32)-414mP(11:00)-410m見晴らし(11:10)-
二股山北峰着(11:51)-昼食休憩-行動再開(12:31)-二股山頂上{南峰](12:42)-
431mPへの分岐(13:11)-偵察最深部(13:19)-分岐へ復帰(13:29)-駐車地着(13:48)

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コメント (6)

コンドル:

は~い! MIXIでも確認できましたよ、良かったですね。

二股山は今年9月6日に登ってきました。
↑の写真を見ながら思い出しながら拝見させて頂きました。

私も二股山の時は人生2発目登山でして、不慣れと時期的な暑さも加わり
疲れ果てヘロヘロ~、、大変な目にあった事を思い出します。
それでもなぜか、また登ろうと意欲がでてくるんですよね~、
山の魅力って不思議ですね。


ここのコメント欄には写真掲載は出来ないのですかね? 数枚載せたかったもので。。

Non:

 こんにちは。地図のウインドウを開いたまま文章とつき合わせて、「ふむふむ、なるほど~」
状態で拝読しました。「西尾根方面」の道標は私も確認しましたが、そちらからではなく、
しっかりと352Pを踏んでから・・・というのが、ヤブ山屋さんらしいですね(あ、こういう表現
が適切ではなかったら、ご遠慮なくおっしゃって下さいね)。

 それにしても、普段ここまで歩くのは林業関係者だけでしょうから、もっと踏み跡が薄くて、
数値だけのピークには何もないと思っていました。三角点は山部さんがお調べですけど、他にも
いらっしゃるんですね。しかも、「見晴し」という山名板(?)まで・・・。うーん、すごい(^^;)
 431P先の展望地、これはそこまで歩いた人だけが楽しめる特典ですね。ご指摘のとおり、
「山仕事の人の愉しみ」かなと思いました。一般の人だったら大変なことですし、ね。

 そうそう、序盤の「昨年の10月には自主トレもどきの一度下山して登り返し」を拝読して、
「そういえば~!」と懐かしく思い出しました(笑) すっかり良い想い出ですね(^^)

けむ:

これはいい薮尾根
二股山は地形図を見ていると色んなルートが引けそうに見えます。
まだまっちゃんも次回がありそうですね。期待してまっす。

それにしてもR・K板は意外なところにありますねえ。
標高点フリークの人なんでしょうか。
ナゾの名板であります。

まっちゃん:

>コンドルさん

Mixiの件でいろいろお騒がせしました。
やっと動きが理解できました。どうやら外部ブログは、ユーザーが設定したRSSを一日に一回(だと思うが)新着チェックをかけてデータ化しているみたいです。Mixi日記ならリアルタイムに更新されるのですが、これはしかたが無いですね。
荒技としては、プロフィール設定で外部ブログ設定の更新ボタンを押すとその場で最新状態にリフレッシュするような感じが・・・

9月の二股山はさぞ暑かったでしょう。山全体が植林地なのでかなり蒸し暑かったのではと思います。

山は登りで辛いときに「なんでこんな事してるんだろう」と思うこともありますが、景色やらルートファインディングやら、目的達成感が快感です。
実は一番楽しいのは地図を見て計画している時だったりもします。


画像アップロード。ごめんなさい。ここは出来ないんです。スミマセン。


>Nonさん

「ヤブ山屋」、良い響きです。冬場はまさに目指す方向性ですから。

>「昨年の10月には自主トレ
ホント今となっては良い想い出。あの時はマジで涙目でした。


>けむさん

そうですね。地図を眺めれば眺める程いろいろコース取りが出来そうですね。
ざっと見ても北側に数本はルートが取れそうな雰囲気。
あと、山頂から東に向かうルートで下沢登山口がありますが、山頂から伸びる南東稜で合流しているところを見ると、恐らく谷詰めだと思われます。

山頂から東の方角を眺めた時に顕著に見える368mPも面白そうです。
尾根の上に樹の切れ目が筋のように見えていたので、きっと落ち葉ふかふかの稜線の筈です。
あーーー、書いてたらまた登りたくなっちゃった。

河童:

はい、河童です。
やっと、PCから開いてこめんとできそうでうすう。
携帯でも、よ~くめいてましたが、携帯からはコメントがデキニャイみたい。

ホント、山好きなのですねー 小生も、高校時代は野外活動研究部などというものに所属して、鳴虫山や、榛名山などに、ユースホステルに泊まりながらいったものでした。

じみさんの表現が素晴らしいです。あまり山に興味ない人間も、登ろうかな?と思わせる文章です。
何かのカタログのインプレッションなどを書かせたらスンゴインでしょうね!
取り合えず、近々に御近所の焦がしヤマあたりから始めようかな?

          運動不足の河童でした。

まっちゃん:

河童さん、おばんです。

バイク乗りの人は結構山好きとかぶる傾向あります。
自分も初めは運動不足解消の為にと歩き始めたのに、最近じゃどっちが目的だか?です。

コンドルさんも山にはまったようで、自分も含めてこうしてまた中高年の登山者人口が増えていくのでありまする。

焦がしヤマは一杯コースあって面白いですよ。

一年に300回以上焦がしヤマに登っている(要は毎日)という焦がしヤマフリークの人に言わせると、「古賀志山の全てのコースが歩ければ日本で歩けない山は無い!」とか。

ちょっとオーバーかもしれませんが、確かに色んなコースで色んな難度があるのは事実。
焦がしヤマ、しゃぶりつくすのも面白いかもですよ。

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    河童さん、おばんです。 バイク乗りの人は結構山好
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    はい、河童です。 やっと、PCから開いてこめんとで
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  • まっちゃん
    二股山西稜
    >コンドルさん Mixiの件でいろいろお騒がせし
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    二股山西稜
    これはいい薮尾根 二股山は地形図を見ていると色んな
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    二股山西稜
     こんにちは。地図のウインドウを開いたまま文章とつ
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  • コンドル
    二股山西稜
    は~い! MIXIでも確認できましたよ、良かったで
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