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雪の八海山神社

アーカイブ:塩原の山達  日時: 2010年02月14日 22:00

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 先週も同じパターンで週末に降雪があったが今年は実に良く降る年だ。降らない年はまったくないこともあるのに。
まぁドカ雪にならないので生活上は助かってはいるのだが。

 さて、先週マイスノーシューを購入後初のフィールドデビューと意気込んで出掛けたのは良かったが、あまりにもの強風で車で目的地に近づくことさえ叶わなかった八方ヶ原。土曜日までは平野部でもぐずぐずと雪がちらついていた栃木県だが、日曜日は絶好の雪遊び日和となった。風ナシ雲ナシ。先週を我慢したご褒美のようである。

 先週同様、県民の森突破は道路状況に不安があるので、矢板から県道を西走。先日豪雪地吹雪だった地帯は嘘のように無雪で穏やか。だが、山間部に差し掛かってくると段々雪の厚みが増してきてやがて圧雪状態になる。先週同様、直結四駆のパジェロミニが大活躍である。

 山の駅たかはらに着くと既に10台以上の車が駐まっている。さすがは人気エリアだ。

 初めておろすスノーシューに足を通していざ出発。まずは車道を塩原方面へ200m程移動。そこが今回の取り付き地(道標2)になる。

 トレースはばっちりなので道に迷う可能性はほぼゼロ。というよりもトレースを追う以外為す術が無しといったほうが正解か。一応GPSにポイントの仕込みはしてきてあるのでどこでも勝手に歩くことは可能なのだが、初めての雪道なので表面から判断できない危険など察知する能力も自分には無い。したがって手堅くトレースを追うのみである。何の跡もついていない無垢な雪面に踏み出すのを躊躇するのは、神々しいほどに美しい雪のせいであろう。

 初めの僅かな区間は比較的急な登りになる。先日奥日光でスノーシューを体験済みとはいえ、本格的に登るのは今回が初めてである。足捌きはまぁ問題無いとしても、やはり夏道を歩くのと比べると時間も体力も消費量が多めである。

     
ここから入山、道標2    はじめはこんな感じ   

 斜度が緩み平坦路を行くと小間々から大間々へ向かう夏道の散策路に合流する。まさに"スノーシューハイク"といった風情で鼻歌交じりだ。途中で4人組パーティを追い越し、大間々駐車場の手前あたりからは本日の初足跡になり益々気分上々。春を待ち望むツツジの枝の間を縫いながら進んでいく。

     
      途中から本日の初足跡になる

 大間々駐車場へ到着。夏であれば観光客や登山者の車で賑わうこの場所も、学校平でゲート閉鎖されているのでまったく閑散としている。スノーモービルの走った跡ばかりが目立つ。所々風紋状にアイスバーンになっているが此処は相当風が強いのだろう。
 左手に目をやると釈迦ヶ岳、そして塩那の山々が拡がる大パノラマである。

 一体外気温は何度なのだろうか。ドリンクカバーに入れているのに買ったときより冷たくなっているお茶で喉を潤して再出発する。夏の様子が到底想像できないような圧雪路の林道を釈迦ヶ岳登山口へと進む。

     
大間々Pよりパノラマ      

 さぁいよいよ登山道である。学校平から目的地の八海山神社までのほぼ半分の標高まで登ってきているが、ここまでは散策路。ここからが登山道となる。褌を締めてではないが、気合いを入れて登ることにした。

 斜度がきついぶん散歩用のテールが長いスノーシューはやはり歩きにくい気がする。トレースの先行者も初めのうちはアイゼン装着だが、何箇所か踏み抜いた後にワカン(輪のかんじき)に切り替えたようである。更に高度を上げていくと今度はスノーシューの跡になった。両方持ってきたのだろうか。謎は後刻解き明かされる。

 今回スノーシューで実際に歩いてみた感想としては、やはり斜度がきつい箇所は前後長が短いワカンの方が有利のように思えた。カカトが自由で無い点がワカンのデメリットなので履いて歩いてみないと本当のところは判らないが。
 それから、自分が今回買ったスノーシューは登山用ではないモデルなので浮力重視でカカトの後ろが長い。これが斜度の急な登り下りだとネックになるのである。かなり深い新雪ならともかく、有る程度硬い雪ならあまり浮力も必要ないような気がするのである。こういったことを考えるとやはり登山用のモデルのほうがオススメかもしれない。
 余計な浮力よりも取り回しを重視したテール長。登り斜面でカカトを上げることが出来るヒールリフターの存在。だが、数万円という値段を考えるとワカンも捨てがたいような気がする。

     
ここからいよいよ山道へ       樹氷が美しい!

 樹林の中をアルバイトよろしく、時には逆ハの字の足で汗を掻きながら稜線へ到着すると、眩しいばかりの雪面の耀きが待ち受けていた。

 夏道なら尾根とはいっても道の左右には幾ばくかの木なりなんなりがあるものだが、こんもりと円く湾曲した真ん中にあるトレースを追っていく。トレースを外して谷側に寄ったらそのまま下まで真っ逆さまか。ふと向こう側に目をやると雪庇があり、その上に楽しげな小動物の足跡が見えている。

 初め痩せていた稜線も、やがて幅が広くなってくる頃には正面の釈迦ヶ岳が大きく見えるようになってきた。南に見える筈の塩谷町方面はガスが掛かっていて何も見えない。

     
樹林を登り詰め稜線へ    釈迦ヶ岳が見えてきた    南からガスが登ってくる

 途中で下ってくる一行とすれ違う。60過ぎくらいの男女だが、皆見るからに足がしっかりしている。挨拶を交わしながら足元を観察すると全員ワカンである。そして最後尾にスノーシューが一名。登りの足跡の謎が解けた。初めツボ足だった面々はやがてワカン、そして最後尾の人がついにスノーシューを履いたのだろう。

八海山神社から南に弓なりになっている稜線は、後半になると北側の眺望に恵まれるようになる。那須野ヶ原をしっかり見届け、雪の上に岩が所々露出する箇所にさしかかるとスノーシューは少々邪魔になってくる。なんとか我慢して進んでいくとようやく八海山神社小洞のある標高1539m地点へ到着である。


     
北側眺望    那須野ヶ原    八海山神社直下

 見れば剣が峰方面へ向けてトレースはまだまだ続く。だが今日はここまでとしよう。下りもあるし体力配分がまだ見えていないから。

 今回初装備(という程のものでは無いが)のレジャーシートを雪の上に敷きスノーシューを脱いで腰を降ろす。釈迦ヶ岳を眺めながらランチを済ませてコーヒーが終わる頃には、塩谷方面から登ってきたガスであっという間にホワイトアウト。急激に気温が下がってきたので早々に片付けをして八海山神社の小洞を辞すことにした。

     
先にトレースは続くが自分はここまで    雪上ランチ    ガスってきた八海山神社を辞す

 林間コースは途中迷いやすいというのをネットで読んだことがあったので敢えて登りには使わなかったが、先ほど山頂から先発したグループも林間コースを使って降りていった。様子を伺うとトレースは充分にあるので、自分もこちらを降りることにした。

 ガスが通過したようで途中で空が明るくなってきた。恐らく尾根からは南側にひらけた眺望が見えるのだろう。だがこちらのコースも捨てたもんじゃない。かなりゆったりとした平均斜度と明らかに豊富な雪の量。危険の無い範囲で少しトレースを外しながら新雪を楽しむことが出来た。

     
林間コースは雪深い       トレースを付けながら

 帰路は大間々から小間々そして直接学校平へ抜ける夏道をそのままトレース。後半は靴ズレに若干悩まされる。
 というのも、スノーシューで長時間靴を振り回され、急な登りや下りは通常ならあり得ない角度に足を置いたりするのでこれが以外な箇所を擦りつけて靴ずれとなったようである。

 今回は、曇止めを持って行かなかったゴーグルが全く使いものにならなかった事や、やはりスキーウェアでは無く山用ウェア(シェル)が欲しかった点、ワカンも意外に検討の価値有りなどなど。いろいろと課題の残る山行ではあったが、初めての雪山(とは言えないが自分的には充分)は満足のいく内容となった。今シーズン中に奥日光でもう一度ガッツリと歩いてみたいところである。

     
学校平へ帰着    帰路に寄った県民の森方面    バイクの快走路も春まだ遠し

概略コースタイム
山の駅たかはら発(9:21)-取り付き点:道標2(9:28)-夏道合流:道標4(10:03)-大間々駐車場(10:36)-
見晴らしコース登山口(10:52)-主稜線(11:19)-八海山神社着(11:52)-昼食休憩-再出発(12:24)-
大間々との分岐点:道標5(13:21)-往路と合流(13:35)-道標8(14:04)-山の駅たかはら着(14:23)

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コメント (4)

リンゴ:

高原山スノーシュー、楽しんで来られたようですね。
降雪量も十分でまだまだ楽しめそうですね。
私も体調を整えて今月中には遊んで来たいと思っています。

まっちゃん:

見晴らしコースですと雪は案外締まっているので、スノーシューはちょっと過剰装備のような気もしました。

記事にも書きましたが、途中ですれ違った一行の足捌きが軽快だったので、ワカンにも興味津々です。

Non:

 こんばんは。「釈迦ヶ岳が見えてきた」の写真に目が釘付けでした。うーん、違いますね!
何度も見ているはずの展望なのに、全く知らない山のようです。道標がずっと低く見えるのも、
当たり前なのに不思議な感じです。
 あと、山の駅でスノーシューレンタルがあるのは知っていましたが、雪山ハイカーにとっては
高原山ってかなりメジャーなんですね。八海山神社までなら散策から登山道へ向かい始める
初心者向けのようですし、さすが良いコースを選択なさったなぁと思いました。

まっちゃん:

Nonさん、こんばんは。

見晴らしコースの稜線に出た時は、"雪山~"って感じがかなりしました。
もっともトレースばっちりなので歩きはラクチンでしたけど。
このコースはお勧めです。

あと、やはりワカンもかなり気になっています。
適度に踏まれたコースなら取り回しの楽なワカンのほうが良さそうな感じを受けました。
アルミのベーシックなタイプなら数千円位で手に入りそうなので一つ持っていても良いかななんて考えてますが、こういう道具を手中にするとまた道具を使う場所に行きたくなってしまうので、それはそれで悩ましい(^^;ものです。

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