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再訪、谷倉山

アーカイブ:安蘇の山達  日時: 2010年04月25日 22:00


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --


 春がどんどん通り過ぎていくというのに、ここ一ヶ月ほどなかなか山行予定と天気とスケジュールが噛み合わない。今回見送ったら今年はもうおしまいにしようと半ば諦めかけていた。だが予報とおりの期待を裏切らない快晴に多少の心残り(パソコンが故障してしまった)に、文字通り「万障繰り上げて」今期薮山の締めくくりの谷倉山を歩くことにした。

 谷倉山は昨年(2009年)の正月に、下野新聞社の"栃木百名山"ルートで登りにてこずったのが記憶に新しいが、登路の険しさとはうって変わって穏やかな尾根の印象が忘れられなかったのである。
 前回はガイドブック通りに谷詰めで登り、尾根半ばから谷を降りて周回をするといったルートであったが、今回はぐるりと外周の尾根を周回することにした。南端の神社からの取り付きはネットでの明確な情報を自分は見ておらず、また偵察も行ってはいない。だが、すぐ三角点(198.5mP)があることなどからあまり心配はしなかった。むしろその先の緩やかな尾根道が薮で覆われているのではないかと気になった。だが、その心配もことごく霧散することをこの後知ることになる。

 星野遺跡の所にある駐車場に車を置き、一旦車道で来た方向へ戻る。菜の花も綺麗に咲き、鯉のぼりが元気に泳ぐ風景はまさに春爛漫である。県道の大きな道路に出るとすぐ脇にある神社、「村社星宮神社」が今日の取り付き地である。

     
粟野より谷倉山    菜の花と三峰山    ここが今日の取付となる

 よく手入れされた鳥居をくぐり、短い階段を登るとすぐに社殿があった。裏手を見渡しても急斜面の土手ばかりでとても登れそうも無い。だが、右手の青々とした薮の下をよく見ると踏み跡発見。これを追うと、ジグザグ2回程度であっけなく尾根突端に到達である。今になって思えば今日のコースの最大の難関にして激薮であったが僅か数分でクリアという拍子抜けでもあった。

     
うぅむこれは手強い    踏み跡アリ    尾根突端に出ればこっちのもの

 すぐに198.5m三角点。続いてしばらくダラダラとした感じで小薮がうるさいが高度が上がるにつれ、まるで整備された登山道のように歩きやすくなってくる。

     
198.5mP    次の登りまで少し辛抱    尾根に乗ると快適!

 等高線の緩いピークは往々にして予定線から外れそうになるが、それでも上へ上へと歩きやすいルートを選びながら行く。時折比較的新しい靴跡があるが、よく見ると何かを掘り起こした跡が周囲に見られる。金になる植物の株でもあるのだろうか。ここを歩くのはそんな山師か自分のような物好き位らしい。取り付きの198.5m三角点からはずっと人工物のかけらも無い静かな山旅である。348mPで一息ついて更に進む。

     
コツコツと上を目指す    何か採掘した跡が    348mP

 348mPから先はにわかにツツジが増えてくる。花はまだほんの少しであるが、葉の色の鮮やかさがひときわ目に染みる。あと半月もしたらきっと見事なツツジのトンネルになっているだろうに。

     
   ツツジの多い尾根   

 465mPで赤く塗られた石の境界杭を見る。上の木の枝には今日初めて見る赤テープがあった。北側に明瞭な踏み跡が続いている。恐らく林道から登ってくるのだろう。

 ここからコースは真東になる。正面に谷倉山を見据えて進めばよいのだが、目指す山頂はまだまだ遥か彼方。地図ではそんなに距離が無いはずなのに実際その場に立ってみるといかにも山はスケールが大きい。人間って奴も山に比べれば遥かに小さな体なのに、こんなに遠くまで、そしてあんな所までよく歩いて行けるものよと感心する。

 465mPからの谷倉山主稜線は明るく開けており心地よい。薮山なんてどこへやら、綺麗な植林の並びはまるで街路樹のようだ。

     
465mP    目指す谷倉山    遊歩道並み

 尾根を詰め切ると、そこに電波塔施設があり裏手に殺風景な山頂三角点がある。一応踏儀礼として踏み、すぐさま踵を北北西の伐採地に向けた。前回は日陰の北斜面の深い霜柱を踏みしめながら歩いたが、今日はうって変わって暖かな春の陽気。運ぶ足も軽やかである。

 ザックを下ろして、伐採地の切り株に腰かけてから風景を一望。いつものランチに取り掛かる。奥日光から鹿沼の山並み、古賀志山、篠井富屋連峰まで、日頃慣れ親しんだフィールドがすべて見通せるのが嬉しい。高い山から見る迫力あるパノラマも素晴らしいが、この景色も自分にとっては値千金である。

     
相変わらず殺風景な山頂    伐採地よりパノラマ    日光方面
     
粟野から上がってくる建設中の林道    散り行く桜もまた美しい    後方より展望地

 一旦山頂まで戻り、残りの半周をスタートする。昨年這い上がってきた枝尾根の分岐を懐かしみながら今回は南下を続ける。真新しい間伐の枝や丸太が片付けられていないので歩きづらい。地形が隠されているので、えてして尾根形を見失いがちだが少し辛抱しながら丹念に歩いていこう。

 集落に向かってほぼ真東に伸びる尾根に乗り換えると段々と不明瞭な区間が多くなってくるが、引き込まれるような尾根も無いのでまさに電車道のようなもの。途中から木材搬出用の溝も出てくるがこれもかまわずに進路キープに努める。

 標高250m地点で本日唯一の道標を発見する。梵天山?見晴台?、一体それは何処にあるのだろうか。果たしてこの道標の前後はハイキングコースと言えるのであろうか?かつては整備されていてビューポイントがあったのか。大いなる謎である。


     
樹林帯を下る       はて梵天山とか見晴台は何処に

 下のほうへ行くほど踏み跡が錯乱して誘惑されそうになるが初志貫徹。GPSをこまめにチェックして薮をくぐり民家脇に無事フィニッシュ。

 帰宅してGPSのログを見て驚いた。今回は想い描いた通りにほぼ完璧に歩きとおせた事。薮納めに相応しい結果に大満足である。本当はこの周回尾根が、実は相当に地図通りに素直な実に懐の深い奴で、始終自分の進路を見守っていてくれていたのに違いない・・・とも思ったのである。

     
木材搬送溝を嫌って進路は薮    民家脇に無事到着    星野の里と谷倉山

概略コースタイム
駐車場発(9:03)-取付地(9:13)-198.5mP(9:24)-348mP(10:04)-465mP(10:30)-
山頂(11:07)-伐採地着(11:13)-昼食休憩-行動再開(11:50)-493mP(12:29)-
339mP(12:52)-集落(13:21)-駐車場着(13:25)

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コメント (6)

リンゴ:

谷倉山?・・・なるほど周辺地図を見て納得。
随分前に三峰山に行ったことがあるので何となく分りました。
山中の緑も増えて薮が薮らしくなる、そんな季節になりましたね。

せろーG:

この時期は 新緑がとってもきれいですよね。写真がいいです。
まっちゃんの文章から 疲れたような表現がなくなって久しいですね。
体力がついてるんでしょう。羨ましい。

5月2日に 熊鷹山へ行ってこようとおもってます まっちゃんの過去ブログも参考にさせてもらいました。

まっちゃんは知ってるかとも思いますが『ヤマレコ』というサイト GPSを使って山を楽しんでいる人は帰ってきてからの
レポート管理にいいんじゃないかと思います。一度覗いてみてください。

けむ:

まっちゃん こんばんは

完璧にトレースしましたねー。
最近のまっちゃんのレポートは、難コースでも危なげがないです。
私も谷倉山は軽く偵察してそれっきりのルートがあるのですが、来季こそは行かないとだなあ・・・

まっちゃん:

>リンゴさん

谷倉山はなかなか地味な山ですが、静かな感じがして好きな山です。
星野遺跡から見えるどっしりした三峰山も見ごたえアリです。
薮はもう少しすると人を寄せ付けないようになっていくのでしょう。
本当に好きな人はこれからの季節も歩くのでしょうが、安全第一の自分は次の冬までお預けです。


>せろーGさん

芽吹きの緑は本当に綺麗ですね。この時期ほんの短い期間ですが遠めに山の色が輝いています。
これを過ぎると今度はいよいよツツジの出番ですね。

熊鷹山あたりも連休はツツジが見ごろかもしれませんよ。結果報告お待ちしています。
自分は2日は珍しく家内とどこか歩いてこようと思っています。
『ヤマレコ』、後でチェックしてみます。


けむさん>

去年も話題に登ったこのコース、歩いてきました。
これで今年はおしまいと自分の中で区切りとしましたが、蜂とヘビをまだ見て無いのでまだまだ行けるかな?
なんて思ってるとほんとに遭遇しそうなのでやっぱり今期打ち止めで次の冬の構想を練ります(^_^)

Non:

 こんばんは。県内には三角点や稜線を踏破しまくっておられるベテランさんが多くいらして、
それとは別に、地元の方や、はたまた盗掘目的の不届き者がいて、標高が低い山では、そういう
人の匂いのような空気を感じますね。単独の時はふっと安心感を覚えたりしますが、
逆に同じ人工林でも、何年、人の手が入ってないんだろう?と思うものは、物寂しいですし。
この山もよく人が入っているようで、尾根なんかすごいですね。ちょっとびっくりです。
周回としてもすごく楽しそう。また機会を見て歩きたいです。


まっちゃん:

Nonさん、おはようございます。

先日次石山で出会った鎌を手にした人は、向こうもかなりびっくりしていました。
お互いこんな所で人に遭うとは思っていなかっただけに(笑)

谷倉山はあまり人気が無いだけに、この周回コースに少し手を入れればなかなか良いハイキングコースになるのではと思いました。
自分としてはこのままのほうが良いですが。

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  • 里山逍遥
    栃木の山とその周辺の低山を巡る日々「里山逍遥」。もぉ、このタイトル見ただけで直ぐに相互リンクを申し込んでしまいました。新田次郎さんと飲んだことがあるという凄い方です。登山に対するフランクな考え方も共鳴できます。
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    季節の移ろいと自然の姿に心惹かれるブログ主さんの記事は、山好きな人ならきっと共感することと思います。自分も長い間隠れファンでしたが、この度相互リンクさせていただきました。
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