連休最終日は鹿沼の奥座敷とも言える石裂山へ登ってきた。
石裂山は急峻な岩場コースが沢山あり危険と聞いていたので長い間敬遠していたのだが、漏れ聞く所によると梯子等の整備がよくされているので、慎重に歩けばそのへんの藪山より遥かに安全だという。
最近は岩場にも慣れてきたので決して苦手では無いが、あまり好きなほうでも無い。だがこの山の面白さは岩場渡りのコースにあるということなので、今日は覚悟しての入山である。
駐車場に着くとほぼ一杯の車にびっくり。流石人気の山は違う。脇のコース案内板もすっきりと判りやすい。加蘇山神社を拝んで巨木脇の裏門をくぐって登山道に入った。
周回コース案内板 | 加蘇山神社を拝んで入山 | 鄙びた社殿奥の巨木 |
暫くは瀬音も涼しげな清流脇を登っていく。神域なので登山道脇には巨木が並び、滝修行が出来そうな小ぶりの滝が出現する、まさに信仰の山なのである。
木立が切れて、向かうべき稜線が見える頃になると一気に初夏のような日差しが照り付ける。あっという間に額に汗が滲んできた。
別社 | 心地よい清流脇を登る | 向かう稜線 |
月山から降りてくるコースを合わせる分岐を過ぎて暫くすると沢音も徐々に遠のき、やがて天然記念物の千本かつらが忽然と姿を現す。推定樹齢1000年ということだから、平安時代からそこにあったと思うと感動もひとしおである。
周回の分岐点 | 天然記念物の千本かつら |
段々と斜度がきつくなってくる頃、眼前に長い梯子が現れた。行者返しの岩である。先行する2パーティが休憩をしていたので自分もザックを置いて水を口にした。こういう暑い日は木陰が本当に助かる。
先行パーティが出発したあと、ゆっくり後ろから写真を撮らせていただいた。メンバーのレベル差があるようで、結構通過時間が掛かっている。し
かし、ここからはいわゆる危険ゾーンなのでお互い慎重に行きたいところだ。
行者返しの岩をクリアすると、まもなくコースから一旦外れる感じで右手に伸びる奥社への梯子がある。先行者の後を追い登ってみた。
行者返しの岩 | 奥社への梯子 |
奥社の御本体は、岩洞にひっそりと静置されていた。コースが今のように整備されていなかった時代は此処へ来るのもかなり険しい修行であった事を思うに難くない。
さて、奥社の梯子を下りてルートに復帰するといよいよ傾斜がきつくなってくる。岩の根がにょろにょろと張り出したコースは日光の鳴虫山を思い出す。此処ははルート幅が狭く、かつ岩の間を縫うように進むぶん険しさが感じられる。
過去にこの周回コースで死者が出ているということなので、あちこちに危険を喚起する案内がある。確かに山を始めたばかりのまだ脚力がおぼつかないような中高年が、人気の山というだけで歩いてはいけないと思わせるには充分納得出来るコースである。特に足が滑りやすい雨の日や凍結が考えられる冬場は要注意であろう。
奥社、御本体 | 草の根うねる登山道 | 慎重に行けばそれほど危険ではないのだが・・・ |
元来取り付くしまもないような急峻な所にコースが付いているが故に、難所には梯子等も設置されているので助かる。というかこれらが無いと、まともに先に進むことも難しいだろう。
最近あまり斜度のきつくない山ばかり登っていたせいか、終盤の急登はいささか難儀する。尾根に這い上がると道標の向こうに穏やかな山道が続くのが見えてほっとしたのも束の間。今度は長い梯子の下りが待ち構えていた。
この階段が無いとかなりキツイかも | 山頂尾根は穏やか | 長い梯子の下りがある |
梯子は東剣ノ峰と次のピークの両方にあるが、後者のほうが高度差も大きい。いざ下ってみると、これは高所恐怖症の人はまず無理だなと思った。逆にこういう岩場好きな人にはスリル満点で楽しいことであろう。万が一足を滑らすとまずいので慎重に下っていった。
程なく北に伸びる登山道から一旦寄り道をするような感じで石裂山の山頂へ到着した。さほど広くない山頂からは西側だけに眺望が広がり、左奥には横根山の大きな姿が横たわっている。
写真を撮り山頂を後にすると、程なく月山へ到着。山頂尾根付近はちらほらピンク色の花びらが見られたが、月山の頂きでは綺麗なアカヤシオが迎えてくれた。
先行の3人組と、途中追い越してきた2パーティが後からやって来て人口密度が俄かに高くなってくる。山でこんなに沢山の人と一緒に食事をするのも実に久しぶりである。
ここ数日の陽気なら流石にカップラーメンももう終いだなと思い、今日はバーナー(ストーブ)は家に置いてきた。脇でストーブを使って袋ラーメンを作っている人が居たが、自分など冷たいソーメンでも持って来たかったと思う程である。
眼前の石裂山 | 山頂より西側眺望 | 月山 |
アカヤシオが綺麗だ | 夕日岳方面 | このシリーズいろいろある |
月山からの下りは、はじめ急坂。地図の破線である旧登山道のある尾根の途中から谷へと降りる。かつては直進して尾根通しで歩けたようだが、今はトラロープで遮られている。近場の里山なら踏み込んでしまいそうな良い雰囲気の尾根だが、たかだか800m程度とはいえ、岩を纏った急峻なこの山を甘く見てはいけない。ここはおとなしくハイキングルートを辿るべし。
つい直進したくなるがそちらは廃道 | リング状の鎖に修験者の面影が |
谷を下っていくと如何にこの山が岩で筋肉質であるということが周囲の風景でよく判る。また、高度を下げていくと神社の植林地のようでもあるが、伐採されて放置された木が苔むす風景も何処か荘厳なものがあった。
とにかく岩だらけの山 | 伐採後に苔むす | 県外ナンバーも多い |
概略コースタイム
駐車場発(9:44)-周回分岐点(10:14)-行者返しの岩(10:37)-山頂尾根(11:10)-
石裂山頂上(11:44)-月山(11:58)-昼食休憩-出発(12:16)-廃道分岐(12:29)-
周回分岐点(13:05)-駐車場着(13:29)
コメント (8)
締めは石裂山でしたか。昔登ったきりで最近は登ってません。
何年か前に自転車で神社の社務所まで行ったときに 山岳救助犬の訓練を石裂山でやっていましたよ。
冬の時期には幾度となく遭難事故の報道がありますね。
それにしても遊びきった バイク 山 バイク 山 山の大忙しの連休でしたね(笑)
投稿者: せろーG | 2010年05月09日 05:51
日時: 2010年05月09日 05:51
石裂山は私も何となく避けていた山です。
あの長い下りの梯子を皆様のブログで拝見すると気持ちが萎えてしまいます。
それだけに下山後の達成感は格別でしょうね。
投稿者: リンゴ | 2010年05月09日 12:24
日時: 2010年05月09日 12:24
石裂山侮りがたいですねー。
あの長いハシゴで逆周りしてくる人がいたらどうやって離合するんでしょうか。
人の多く入る山だと聞くと、そんないらん心配をしてしまいます。
投稿者: けむ | 2010年05月09日 20:07
日時: 2010年05月09日 20:07
>せろーGさん
そういえば以前偵察で加蘇山神社まで行った時に、沢山自転車ツーリングの人が来てました。
著名コースなのでしょうか?
帰りは緩い下りなので楽しそうですが、行きは辛そう。
>リンゴさん
逆にあれだけ人工物の多い山も珍しいかもしれません。
通過してしまうとあっけないものでした。
>けむさん
長い梯子は途中に繋ぎがありますが、退避は不可能なので完全一方通行になります。
見通しが良いので、対向者がある場合は譲り合いしかありません。
ガイドブックでも道標でも周回は石裂山~月山を推奨しているのはこの"梯子"問題なのかも知れませんね。
投稿者: まっちゃん | 2010年05月09日 22:18
日時: 2010年05月09日 22:18
こんばんは。まずは前日分の前日光から。象の鼻、2回目に歩いた時にはあっという間
だったなぁ(笑) 1回目は全く体力のなかった頃に訪れたので、私にはメモリアルな山域です。
そして、こちらの石裂山。もう懐かしい感じがするのは、なぜでしょう…(^^;)
と、自分のことは置いといて、確かに人工物でよく整備された山の方が、ちょっとマイナーな
山よりも安全かもしれませんね。
投稿者: Non | 2010年05月12日 00:59
日時: 2010年05月12日 00:59
Nonさん、こんばんは。
石裂山はちょっと拍子抜けの感も否めませんでしたが、まぁこれで「後回し」だった所が一箇所クリア出来ました。
象の鼻は今年の夏に一度夕日の写真を撮りに行こうと思っています。
投稿者: まっちゃん | 2010年05月12日 21:38
日時: 2010年05月12日 21:38
こんにちは、まっちゃんさん、
先週末は日曜に急な仕事が入り、石裂山の千本桂の写真撮影には行けませんでした。
粕尾峠の手前まで行って、いつも通りの車で通り過ぎながらの短時間の新緑撮影で終わってしまいました。
今週末は、福島・奥会津の長卸山という山に登山する予定です。
全コース1時間半くらいの初心者向けの山です。
投稿者: 山本 | 2010年05月18日 18:31
日時: 2010年05月18日 18:31
山本さん、こんばんは。
粕尾峠付近の新緑は実に綺麗です。自分はここの萌えるような新緑が大好きです。
ブログのトップの画像は粕尾峠付近で撮影しました。
奥会津は宇都宮と丁度一ヶ月遅れの気候なのでこれから花が咲き揃う時期なのでしょうね。
お気をつけて撮影楽しんできてください。
後日作品を拝見に伺います。
投稿者: まっちゃん | 2010年05月18日 21:13
日時: 2010年05月18日 21:13