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大間々より西平岳

アーカイブ:塩原の山達  日時: 2010年10月16日 21:38

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 一週間も経たない内に山に行けるのもなかなか贅沢なことであはあるが、紅葉を逃したくないという思いから何処に行こうかと思案した。日光の太郎山と白根山はまだ登ってないので丁度紅葉と合わせたいところだが、この時期大渋滞必至のいろは坂超えはどうも気乗りしない。

 そうだ!高原山へ行こう! とひらめく。
 那須の時同様、リンゴさんの情報がヒントになったのは言うまでも無い。

 宇都宮から県道63を北上。玉生から更に県民の森へ。クネクネ道を快適に走るが、いつ走ってもこの道は通行量が少なくて快適だ。やがて快晴の大間々駐車場に着くと既に10数台の車が停まっていたが、那須のような狂気的な込み具合とは別世界である。

 支度を終えて、ザクザクと砂利の道を歩き出した。今日の予定は見晴らしコースで釈迦ヶ岳まで、更に足を伸ばし中岳、西平岳をピストンし、時間と体力にお釣りがあれば鶏頂山も廻ってしまうという欲張りなものである。

     
快晴の大間々駐車場    駐車場より大入道方面   

 登山口から展望の良い尾根にを伝う「青空コース」を登るのは今回で三回目になるが、一度目は三年前の六月で、八海山神社に至るのも結構疲労困憊。あの時は釈迦ヶ岳の下山に大入道経由で小間々に降りたのだから今考えてみると体力的に無謀だったとも言える。
 二度目は今冬、スノーシューで八海山神社を目指した時。慣れていなかったせいか、雪道が相手となるとやはり通常の倍近く疲労するような気がした。
 そして今回の三回目は、あっけないほどたやすく取り掛かりの区間を登ることが出来た。自分のようなビギナーにとっては、時間をおいて同じコースを歩くのは脚力の向上が実感出来て大変嬉しいものである。

 稜線の木々は既に落葉してしまっていて、もはや初冬の趣である。それでも所々にまだ赤い葉を付けた木々が山肌に遠く見えて地味ながら秋の美しさを精一杯見せてくれているようでもある。

     
稜線は既に落葉    正面、鶏岳   
     
八海山神社より       樹間より明神岳方面

 景色の無い剣が峰はパスして、尾根を乗り換えるような感じで釈迦ヶ岳方面へと廻り込んでいく。途中の痩せ尾根通過も、三年前は多少腰が引けていたような記憶があるが、今ではすっかり落ち着いて通過出来るようになった。
 山頂直下の標高差約200mくらいの急登は流石に今回も息が切れるが、それでも以前のボロボロになりながら登っていた自分が懐かしい程だ。

 登山道で後続者先行者は数人しか見なかったが、流石人気の山だけに山頂には既に数十人の登山者が休憩中である。自分にとって今回釈迦ヶ岳は通過点なので先を急いだ。

     
落葉    笹道を登る    釈迦ヶ岳より鶏頂山

 釈迦ヶ岳山頂より笹の間を南西に抜けると眼下に続く急降下とその向こうの中岳、そして厳しい下りの途中から北側に見えるどっしりとした鶏頂山に目を奪われる。大間々からだけではなく、旧鶏頂山スキー場からも釈迦ヶ岳に登ったことがあるが、今まで歩いた箇所と雰囲気がかなり異なる。いわば奥座敷のような趣きが自分は一発で気に入った。

 ジェットコースターのように鞍部まで一気に降りると、今度は岩交じりの中岳へよじ登っていく感じ。トラロープが何箇所か下がっているも岩の間を縫うようなルートなので骨が折れる。だがなかなか荒々しくて変化があってよろしい。

 そろそろ上が見えてきたかなと思ったら、何も眺望の無い中岳山頂。山名板のみの静かな山頂である。

     
中岳への下りから鶏頂山    中岳   

 中岳から西平岳に向かう下りもまた荒々しい。コースも不明瞭な上深く堆積した落ち葉が先行者の足跡をかき消す。というよりも、釈迦ヶ岳より先行者後続者はまったく無し。実に静かな行程である。

 時々樹にくくり付けられた赤リボンやコースの足元に半分朽ちかけている道標を見ると心強くなる。もっとも、この区間は足跡が薄いであろうことは事前に予見出来ていた。先日失態の那須のように観光客然としてではなく、藪山歩きと同じくらいの警戒レベルで行動しているので心の迷いは無い。

 間もなく西平岳山頂手前のザレ場に到着。単独の登山者が一名、岩に腰掛けて眼前の雄大な鶏頂山に向かって食事中であった。あまりにも深山故に心細くて鳴らしていた熊鈴のネジを慌てて緩めて音を消した。喧しい鈴の音は、一人静かに雄大な景色を楽しんでいた彼にとってきっと迷惑であったろう。

     
   中岳を振り返る    西平岳山頂直下のザレ場

 西平岳の山頂はこのザレ場のほんの少し先にある。先ほどから南からガスが上がり始めていて山頂はまったく視界が利かなくなっている。写真を一枚撮ってすぐ先ほどのザレ場に戻って自分も食事にすることにした。
 食事を終えたら鶏頂山の写真を撮ろうと思っていたが、ガスが見る見る昇ってきて撮影する頃には大分鶏頂山の光が失われしまったのが残念である。

 先客の登山者が腰をあげて釈迦ヶ岳方面へ向かうと今度は自分一人の番になった。こうして目の前の大きな鶏頂山と谷一つを挟んで向き合っていると実に雄大な気持ちになってくる。時折谷のどこかから鹿の甲高い鳴き声が聞こえてくる。ガスの動きが早くて山肌に射す光の去就が忙しい。まるで大自然の寸劇を見ているようである。

     
      ザレ場より鶏頂山

 すっかり体も冷えてしまったので撤収することとしよう。

 帰路もまた原始の山道のような中岳を超えて一旦下がりきると釈迦ヶ岳への突き上げるような登り返しが待っている。流石に一気には登れず、少し登っては一息ついての繰り返し。

     
   釈迦ヶ岳への登り返し    登りこたえあり

 釈迦ヶ岳山頂に着くと、もはやガスが掛かっていてほとんど眺望は無い。それでも時折南の景色が切れることがあり、これを楽しみながらおやつを頬張り第二の休憩。後はひたすら往路を帰るのみ。朝はあんなに天気が良かったのに、ガスというより低い雲に覆われ出した山道は急に薄暗くなってきた。

     
   鹿の食害    岐路に見る矢板市最高点方面

 八海山神社に立つと風が冷い。秋というよりどことなく寂寞感を含んだ初冬の雰囲気が漂っている。真冬にスノーシューで此処まで登ってきた事がふと思い出される。

 帰路は林間コースを抜けて行った。驚くほど至近に、また遠く離れた箇所で鹿の鳴く声が林間に鋭く響く。鈴を鳴らしながら闖入する者に警告を発しているのであろうか。ここはオレ達の縄張りだぞ・・・と。

           
鹿の鳴き声が始終聞こえた     

概略コースタイム
駐車場発(8:25)-八海山神社(9:25)-剣ヶ峰分岐(9:50)-釈迦ヶ岳(10:57)-中岳(11:25)-西平岳(11:44)-
ザレ場(11:46)-昼食休憩-再出発(12:08)-中岳(12:33)-釈迦ヶ岳(13:02)若干休憩後-
八海山神社(14:50)-駐車場着(15:59)


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コメント (4)

リンゴ:

実は釈迦ヶ岳から先はまだ未踏の地です。
山頂直下からの突き上げるような中岳は迫力満点!
西平岳は塩谷町側からと考えていましたが大間々からもありですね。
参考になりました。

けむ:

速報で書いていらっしゃったように、どことなく地味な紅葉ですね。
でも、これはこれで渋くて素敵。

熊鈴を、の件で思い出しましたが、今年は熊の目撃情報が多いとの報道を見ました。
本当かな~。私が行くような里山でも熊注意のカンバンを見かけますが、足跡とか熊棚とか見た事ないですよねえ。

紅葉もそろそろ里に降りてきます。
私もウォーミングアップ代わりに、どこか紅葉見物でも行こうかしらん。

まっちゃん:

>リンゴさん

何度も書いているんですが、ホント釈迦ヶ岳~西平岳は高原山のなかでも一味違った雰囲気でした。西平岳脇のザレ場から見るでっかい鶏頂山は迫力ありました。


>けむさん

今年は熊情報多いですね。山に食べ物が少ないのかなぁ。
登山道で遭遇することは可能性として低そうですが、最近の傾向は食料が見込める人里やもろにヒトのテリトリーに進入しているところを見ると、里山徘徊はちょっとビビリますね。
冬眠しない(あるいは眠りが浅い)熊も居るそうで、要注意です。


Non:

 こんばんは。西平岳から中岳、そして釈迦ヶ岳へ至る景色、すごく懐かしく感じます。
私たちが歩いた時はずっとガスが出ていて、展望はあまり良くありませんでしたが・・・
 カシミールの記録、真ん中辺りに目を2つ書いたら、「悪魔島」になりそう(笑)
私も高原山を歩くたびに自分自身の変化に気付きますが、想い出も増えて、よい山ですね。

 紅葉は、なるほど少し地味な感じがしますね。序盤の「稜線はすでに落葉」の写真を
拝見して、「えっ、もう?」と思いましたし、去年より全般的に早いかもしれません。
週末は土曜に好天の予想・・・ どこへ行こうか、もう一度練り直そうと思います。

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