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篠井富屋連峰縦走

アーカイブ:宇都宮近郊の山達  日時: 2010年12月19日 19:23


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 ブログ仲間のQ造さんから篠井富屋連峰を歩かないかとお誘いを受けた。実際に顔を合わせるのは今日が初めてだが、集合場所のコンビニで待っていると、トランクのザックに荷物を入れている人あり。声をかけてみるとビンゴであった。

 さて、本日のコースは鬼山付近にパジェロミニをデポし、Q造さんの車で移動して子供の森から篠井連峰、富屋連峰へと縦走である。

 朝の、未だまばゆい光のもと、子供の森駐車場を出発。すぐ登山道に入ると、日差しが遮られピンと張り詰めたような空気の冷たさに身震いする。それもほんの僅か。歩を進めれば、たちまち体が温まりだしてくる。

 取り付きは男山直登コースを選んだ。谷詰めをして尾根に出るほうが効率的なのは判っていたが、やはり里山は初めに急登ありきが味わいだろう。

     
男山直登分岐    急登    枝越しの日光連山

 男山から榛名山へのピストン後、順序よく本山へ向かう。尾根の途中にある採掘口跡をQ造さんに教えていただいた。本山周辺は江戸時代から金やその他の鉱石が採取されていたということだが、斜面にぱっくりと口を開けたその様子を窺うと、穴の奥の闇に吸い込まれそうで不気味であった。

 本山に向けて更に進むと、南側の斜面を伐採した箇所へ出た。遠くから眺めると本山付近で広域に伐採されているなと常々思っていたが、大展望で半蔵山が大きく見えるのがハイカーには嬉しい。

     
   本山手前の採掘口跡    本山手前伐採地より

 本山よりの眺めは相変わらず素晴らしく、今日は好天も手伝い遠く那須まではっきりと見渡せる。やはりこういう低山は空気が綺麗な冬場が良いなと改めて認識する。

 山頂下にも採掘口跡があるという。Q造さんの案内で山頂西側の斜面を下りていくと、先ほど尾根で見たような割れ目がこちらにもある。もっと正確に言うと、本山山頂は大きな岩の上にあり、その岩が実は採掘されていたのだ。今まで数回山頂を踏んでいるが、教えて貰わなければまず気付くことは無いだろう。
 暗い採掘口を覗くと、結構深い感じがする。中がどうなっているのかは想像も出来ないが、いずれにせよある程度の規模の坑道や採掘された空間があると思うと実にミステリアスである。

 本山を後にして飯盛山方面へと進む。振り返ると、歩いてきた榛名山と男山が伐採地の向こうに良い形で並んでいる姿が見えた。

     
   本山直下の採掘口跡    榛名山と男山を振り返る

 せっかく稼いだ高度を惜しげもなく下げて一旦コルへ。中篠井への下山分岐を分けると、鉄塔脇から飯盛山への急登が始まる。4年前にこのコースを歩いた時は青息吐息であった。多少息はあがったが、今日は難なく登ることが出来た。

 少し時間が早かったが、残りの行程もまだ長い。飯盛山の山頂で昼食休憩をとることにした。
 葉が完全に落ちているこの季節は飯盛山も明るくて気持ちが良い。

 ここより富屋連峰へ向かう下りは、急斜面かつ足元が滑りやすくて強烈。ここを通過するのは今日で三度目だが、今回は比較的新しい頑強なロープが張られていて大助かりだ。最近はつとめてロープや鎖に頼らないで歩くようにしているが、此処だけは別格である。

     
静かな山道    飯盛山    急坂を下るQ造さん

 一旦舗装林道と交差して富屋連峰の縦走路に入る。ところが、ここでちょっと道間違い。というよりも、前回は方角を合わせて踏み跡を追っていったらコースに乗れたのに、今回は道形消失である。GPSを眺めても進路角は間違いない。目前の緩やかな斜面の小藪を突破すれば・・・などといつもの癖で考えていたら、車道まで引き返していたQ造さんが手招きをしている。
 戻ってみると、真新しい道標の矢印が道路沿いを指しているではないか。今日は人を案内するのだから、まず道標をちゃんと見ないといけない筈なのだが、まったく困り者の道案内人である。頭を掻いて反省しつつ車道を進むとやんぬるかな、ハイキングコースの入り口道標があった。

 特徴の無いだらだらした道を行くと段々と斜度がきつくなってくる。少し登り詰めた所にある大岩で道が方角修正をすると高舘山の西端に出た。ここから電車道のように真っ直ぐに山頂へ向かうが、僅かなこの距離が実に滑りやすい。粘土質の斜面に枯葉が堆積しているので、靴がうまくグリップしてくれない。

 小広い高舘山山頂は、4年前に比べると樹が茂ってしまったせいか眺望はいまひとつすっきりせず。
 先週鶏鳴山で会った人は、先ほど交差した車道に車を置き、早い時間に此処に登って朝食を食べてからのんびりと下山することがよくあると話していた。自分も次の春あたりは、ツェルトでも張り、陽が傾くまで一日中のんびり本を読んだりして過ごすのも面白いのではと思った。

 再び滑りやすい斜面をへっぴり腰になりながら下っていくと、やがて暗い植林帯へと飲み込まれていく。大網下山口方面への分岐を分けるあたりで一瞬樹林が切れるが、再び暗い森へ。僅かに登り返すと、一通過点として見落としてしまいそうな黒戸山の頂上である。

     
高館山手前大岩       黒戸山より来し方

 篠井、富屋の両連峰縦走もいよいよ大詰めである。ガイドブックでは残すところ兜山の一座のみ。今日はオプションで南東にある鬼山も登る。

 兜山と鬼山は、共に標高372mの三角点を有する。地形図では南側の372m峰が兜山、北の372m峰は無名とされているが、実際は国土地理院の誤記で、北側が兜山、南側が鬼山ということらしい。こういう珍しいケースの山を歩くのも、里山歩きの味わいでああろう。

 兜山はつい最近も散歩がてらに登った事があるが、前回無かった真新しいブル道が山頂直下まで作られていた。植林の山だからまったくもって致し方ない事ではあるが、ちょっぴり残念な思いである。

 オーラスの鬼山は道なしの直登である。もともとこの北斜面は自然林だが潅木も少なく難しい薮ではない。加えて充分に落葉しているのでコンディションはベストであろう。標高差約60mの直登であるが、よく眼を凝らすと縦横無尽にごく薄い踏み跡が交差している。動物が多い箇所でもないので獣道ではなくヒトが歩いた跡なのは間違いない。3年前に登った時とは明らかに雰囲気が違うのだ。登山ブームはこの超マイナーな山にも確実に届いているようであった。

           
     

今回歩いた篠井富屋連峰の全景

概略コースタイム
子供の森駐車場発(8:06)-男山直登コース分岐(8:21)-男山(8:52)-榛名山(9:12)-本山(9:44)-
中篠井下山口分岐(10:20)-飯盛山(10:42)-昼食休憩-行動再開(11:16)-車道交差(11:33)-
高舘山(12:06)-大網下山口分岐(12:20)-黒戸山(12:35)-兜山(12:56)-鬼山(13:15)-パジェロミニデポ地着(13:22)



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コメント (6)

けむ:

ほほう・・・これが採掘口跡ですか
最近、篠井金山に関する資料を続けてみたので感慨深いです。
採掘口跡は別の場所が紹介されている事が多く、ここの場所は初見でした。
篠井金山跡ツアーでも行こうかな。地味なハイキングになりそうですけど。

リンゴ:

素晴らしい詳細レポお疲れ様でした。
地図や写真を拝見すると、男山への直登コースは以前に途中まで歩いたかも知れません。
採掘口跡はコースからそれほど離れなければ自分でも探せそうですね。
単独では飯盛山から下篠井、或いはこどもの森に抜けるコースが無難でしょうか。

Q造:

ご案内ありがとうございました。
1人だと多分歩かないコースかも知れません。
また花の時期にご一緒しましょう。

まっちゃん:

>けむさん

鉱山跡は子供の森より少し北側、サーキットとの間あたりに立ち入り禁止のエリアがあります。
このあたりに掘削口跡が多いらしいですが、今回は山の上で独特の雰囲気がありました。


>リンゴさん

男山直登分岐をまっすぐ進むと榛名山の手前に出ます。これが一番ポピュラーなルートなので、きっとこちらを歩かれたのだと思います。
車の事を考えると、子供の森起点で周回できるコースのほうが手軽ですね。


>Q造さん

日曜日はありがとうございました。
全八座は、後半ちょっと消化試合的な雰囲気がありましたが、話のネタとして記憶いただければ幸いです。
飯盛山の下りはかなりきつかったですね。自分もあちこちつかまりながら降りていったので、翌朝腕の筋肉に違和感を感じました。(^^;

花の高原山、是非ご案内お願いします。

Non:

 こんばんは。明日の下調べと思って、あちこち見つつ、つい「篠井富屋連峰縦走」と
「風雨雷山~笹目倉~鶏鳴山」、まとめて拝読してしまいました。やばい、仕事モードに
戻れなくなりそうです(苦笑) とりあえず、両方とも“がっつりと里山”という雰囲気で、
いいですね。里山歩きにはこういう楽しみ方もある、というのを改めて感じました。
 そう、私は単独だと5~6時間も歩けませんもん。3時間、長くて4時間かなぁって。
それも読図トレがてらなので、余計に時間かかってますが…
 感想などは、また折を見て。すみません、ちょっと半端で。それではぁ~(^^;)

まっちゃん:

Nonさん、お仕事ご苦労さまです。
珍しく更新が止まっているので、かなり忙しいのではと推測しておりました。
どうぞ、体など壊さぬようご自愛ください。

鶏鳴山周回は距離も標高差もあり、コースは不明瞭の箇所あり。
鶏鳴山頂からの下りは久々に厳しいルーファンで心身共に疲れましたが、実に楽しかったです。
2日間筋肉痛残りました。

篠井富屋連峰は、通しで歩いたのは2回目。
1回目と疲労感が全然違っていて、今回は事後の筋肉痛なども皆無。自分の体力の向上にびっくりしました。
Nonさんも以前おっしゃっていたと記憶していますが、自分も最近は標高差1000mを超えたあたりが疲労の境目かなと感じています。

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