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塩原の名峰、日留賀岳

アーカイブ:塩原の山達  日時: 2011年06月05日 22:00


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 塩原の名峰、日留賀岳に登ろうという企画がなおさんからあり、参加をさせていただくことにした。

 日留賀岳は登山口からの標高差が1300mにも迫ろうという健脚向けの山。  日留賀岳より北へ目をやると、鹿又岳・男鹿岳へと続く秘境ともいうべきこの稜線は県境へと繋がっていく。以前、北海道へ飛ぶ飛行機の窓からこの山塊を見下ろした時、心を奪われたものである。

 単独で行こうかと悩んだこともあるが、5合目からの富士登山に匹敵する標高差と16kmを超える移動距離、そして熊の出現率が高いという話を聞くとさすがに心細い。今回は企画にありがたく参加させていただくことにした。
 また、参加メンバーの一部で前半区間の林道をバイクでやっつけてしまおうという魅力的なオマケ付きの企画でもあった。

 約束の時間で合流し登山口の小山氏宅にメンバーの車を駐車させていただき、バイク組の我々は林道へ向けて出発。小山氏によると、途中崖崩れで道路が寸断されているということであったが、とりあえずこの目で確認するまではという気持ちで走り出す。

 ウトウ沢林道にあるゲートは手で開閉出来たのでとりあえず問題は無し。暫く走ると突然目の前に崩落現場が・・・

 こりゃ無理だね!とバイク組三人は思わず失笑。急遽Uターンとなった。

 本隊に遅れること30分あまり、急ぎ支度をして小山邸の傍らにある登山道入り口より登山開始である。

     
林道崩落現場    小山氏宅    お宅の裏手より登山道

 小山邸の裏庭のような美しい竹林を過ぎると、今度はシラン沢林道へと向かうジグザグの登り。やがて鉄塔へ到達し林道へ合流すると、東側に深い谷と向かい側のピークがはっきりと見える。本隊に無事合流して林道終点で一休みしてから登山道へ入った。緑豊かな広葉樹林が登山者に優しい。良く手入れされていている登山道は歩きやすいことこのうえも無し。

     
まずは林道へ向けて    林道の途中で貴重な眺望    緑あふれる林を行く

 比津羅山の北側をトラバースして一旦下ると、そのあと暫くは谷詰めとなる。1200mまで高度を稼いだ頃に再度トラバースして尾根に登り返す。地形図の道は比津羅山の北コルから尾根にまっすぐ引かれているが、実際の道はこのようになっていた。

 高度を稼いでいくとやがてツツジが見られるようになり、疲れた体が癒される思いだ。連続する急登にいささかうんざりする頃に傾斜が緩んでくると木の鳥居が見えた。

     
   標高が低い場所にはツツジ    木の鳥居

 日留賀岳の特徴は、その標高差ゆえに異なる植生を一度の登山で楽しめる点にある。樹木についてはまったく知識の無い自分であるが、それでも登るにつれ木々の変化を感じ取ることが出来た。花も、ツツジ・白ヤシオシャクナゲと登るに従い次々と楽しむことが出来る。
 鳥居を過ぎるるとまもなく行者ニンニクの群生地である。歩いている時にどこに行者ニンニクがあるのか皆目見当がつかなかったが、参加者のととさんに教えてもらうと、実はそこかしこに生えていることに初めて気づく。
 生でも食べられるということなので早速葉を一齧りしてみると、ニンニクとニラを混ぜたような味わいでなかなかいける。野菜や山菜好きの自分としては摘んで持ち帰る袋を持ち合わせていなかったのがまことに残念であった。

     
シロヤシオ    行者ニンニクの群生地    長楕円の葉が行者ニンニク
     
標高があがるとシャクナゲ    株によって濃淡がある    清楚に咲く山桜

 行者ニンニクの群生地を過ぎると再び稜線は上へ上へと伸びていく。植生の変化や花には随分慰められる登りだが、稜線の左右は殆ど景色が無いところがたまにきずである。

 終盤のキツイ登りに喘いでいると金属製の小さな鳥居があった。いよいよ山頂も間近かと思ったが、登りきると眼前に一層小高くそびえる山頂が姿を現した。
 いつもの登山ならなんてことはない距離感だが、今日は流石に足がなかなか前に出ない。ラストは太い根に足運びを大いに邪魔されながらも渾身の一投足で山頂へ到達!

 期待していた360度眺望はガスに深く閉ざされていたが、憧れの名峰に立つ事が出来た喜びの方が勝っていた。僅か5年程前までは、慢性の運動不足で階段の登り下りだけでも息が切れていた自分が嘘のようである。

 やがて後続グループも無事到着し、山頂には満足げなメンバーの笑顔が花咲いた。

     
金属製の鳥居、頂上近し    山頂現る    最後の登りがきつい
     
山頂    鹿又岳方面へのピーク   

概略コースタイム
登山口発(7:30)-シラン沢林道(7:53)-林道終点(8:22)-木製鳥居(10:13)-金属鳥居(11:26)-
山頂(11:52)-昼食休憩-下山開始(13:01)-木製鳥居(14:23)-林道終点(15:54)-登山口着(17:04)

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コメント (10)

まっちゃんさん、日留賀岳お疲れさまでした。
日留賀岳は当に栃木の名峰だと思います。
植生が標高に応じて綺麗に変化していたり、
花々や樹種が豊富だったり、
そして、なによりも体力勝負な部分が栃木百名山に相応しいですね。
写真と山行記録を拝見していたらまた行きたくなりましたよ。
そしてなによりも自分の時は行者ニンニクの群生地、良く判りませんでした(汗)。
内容の濃い日帰り山行、良かったですね。

yamasanpo:

日留賀岳でしたか。
私達も毎年のようね足を運びましたが今年はお休みです。
ここはギョウジャニンニクの群生地でもありますね。
醤油に浸して食べると美味しいですね。
先日に歩いた前掛山への道すがらにもそれはそれはの群生でした。
少々頂いてきました。
山に入り山野草の副産物があるのも良いものですね。

けむ:

まっちゃん こんばんは
この標高差はしびれますねー。
すっかりおじいちゃん化した私には遠い憧れの山です。

日留賀岳というと、かれこれ22~3年前、オフロードバイクで塩那スカイラインまで行き、そこから尾根伝いに日留賀岳へ行けないものかと検討したことがありました。
いろいろと調べてみた結果、ハイマツのひどい藪で通行不可とのことであきらめたことがあります。
実際は、シャクナゲと笹で踏み跡もあるそうですね。

まっちゃん:

>purplesageさん

植生の変化を肌で実感できる山でした。
また、登山道も過剰にならず、かといってなすべき部分はしっかりと手が入っていて素晴らしい整備状況だと思いました。整備に当たられている方々には頭の下がる思いです。

ガツンとした標高差は流石に堪えました。
月~火曜日と筋肉痛で階段の下りがちょっと辛かったですが今日はだいぶ楽になってきました。
久々に山のお土産を味わっています(笑)

まっちゃん:

>yamasanpoさん

今回同行の方に行者ニンンクを教えていただきましたが、単独で歩いているとそういった事はまったく無頓着で歩いてしまうので、もしかしたら随分今まで損をしていたのかなぁ・・・と思いました。

樹木草花オンチの自分も、こういった経験を通して牛歩ながらも僅かに知識を勉強させて貰っています。

まっちゃん:

>けむさん

塩那スカイラインの土平ゲートから先の区間は、
"死ぬまでに一度は走りたい"道のベスト1です。

天空のスカイラインという名前も良いし、1800mの秘境稜線を通る林道なんてのは考えただけでも垂涎もの。

実は、日留賀岳の山頂から北方の鹿又岳まで稜線伝いで行けそうな雰囲気を見てしまいました。
(山頂の北側笹薮はしっかり刈り払われていたので、かなり歩かれているっぽい)
鹿又岳方面に向かえば、途中で塩那スカイラインにも合流するわけだし。
なんだか考え出すとワクワクしちゃいます。ただ、山が深いので軽挙はちょっとヤバイかもしれないです。

Non:

 こんばんは。すでにUPされていたんですね。一気に拝読しました~ なんだか、癖になりそうな山です。
どんな風に…とは上手く説明できませんが、あのシンドさの先にある山頂に再び…とか考えそうで。
うーん、でも、そういうのは歩いてから考えるべきですね。とりあえずは歩かせてもらいたいなぁって。
あとは我がパートナー様次第… とりあえず調子の良さそうな時に声をかけてみようと思います。

 標高を上げるに従って植生が変わるって、飽きなくて良いですよね。里山にはない魅力です(^^)

リンゴ:

日留賀岳は登山を始めて間もない頃に登りました。
紅葉の美しい秋でしたが山頂が近付くと霙降る大荒れの天候で途中撤退も考えました。
何とか山頂に辿り着いたものの展望は利かず、もう1度登り直したいと常々思い続けている山の一つです。
レポを拝見してその思いが更に強くなりました。

まっちゃん:

>Nonさん

表情豊かな山・・・そんな感じでした。
今まで歩いてきた山とは明らかに一線を画しているような気がします。
今回は下山の2/3の行程はカッパ着用でしたが、雨の山歩きもたまには雰囲気があって良いなと思いました。

やはり苦労して踏んだ山頂から360度眺望を眺めることが出来なかったのは正直くやしいです。
今秋に、きっと素晴らしいであろう紅葉のもと、もう一度訪れてみようかと思っています。

まっちゃん:

>リンゴさん

山頂からの景色もそうですが、次回はじっくりと樹木なども観察しながら登ってみたいなと思っています。

更に北方の大佐飛山や男鹿岳にも少しづつ心が傾き始めていますが、用意周到安全第一の山域でもありますね。とりあえず鹿叉岳までは単独で狙ってみようかと考えていますが、以遠はやはり経験者と一緒に入山する機会があればなぁと思います。

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