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2012年07月 アーカイブ


2012年07月27日

裏那須の三倉山目指すも敗退


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 今年の夏の山登りは、今まであまり歩いていない県北の那須をと考えていた。手始めは三本槍とその周辺ということになる。三本槍方面なら県央に住む我々は茶臼岳からのアプローチが一般的ではあろうが、福島側から林道を車で詰めて大峠からのアプローチが自分としては心惹かれる。

 大峠から考えられる登山コースの中では、流石山、そして栃木県最北端の百名山である大倉山、更に福島県側の三倉山へと続く縦走路が素晴らしいと聞く。特殊な気候ゆえ、標高1800m程度で森林限界を超えてしまうこのルートは手軽に天空の稜線歩きを楽しめるコースなので人気があるのだ。また、7~8月はキスゲをはじめとした高山植物に飾られた稜線であることもよく知られている。

 宇都宮から車で大峠を目指すのはかなり距離があるので覚悟が必要である。とは言っても高速を使えば2時間あまりでアプローチ可能なのだが、この暑い時期の登山を考えるとやはり早朝に到着したいところだ。逆算して自宅を出発したのが朝4時、白河ICで高速を降りて大峠の林道終点に着いたのが6時頃である。林道途中で車窓から見える眺望からして既にその山深さに圧倒されるのであった。

 数日来の猛暑はこんな山奥の早朝にも灼熱の片鱗を感じさせている。あと1時間早く出発すればと少し後悔した。もっともこの時点では今日の登りで予想外に暑さに苦しめられることを知る由も無かったのである。

 林道終点手前の駐車地(下郷町が車両侵入を制限しているこの地点の更に先に本当の林道終点がある)には2台の車が止まっており、既にハイカー達は出発している。早朝出発組なのであろう。支度をしていると後からもう一台やってきた。中年の単独者と二言三言会話を交わす。

 大峠へのアプローチは古の会津中街道跡をたどる道である。{詳細はWikiを参照されたし}。当時の面影かどうかは定かではないが、石畳の痕跡と思われる道がしばらく続く。やがて「大峠終点」と案内板が立つ所に車止めがあるといよいよ登山道となる。

     
金曜の早朝から自分を含め4台    石畳の古道を行く    大峠林道終点

 登山道に入っても依然石畳の痕跡であろう緩やかな道を進んでいくと、段々と山道らしくなってくる。勾配が急になりじんわりと汗ばんでくる頃ふと視界が開け、朝の陽光が眩しく降り注ぐ大峠に到着。峠を吹き抜ける爽やかな風に癒されながら一休みした。右手を見上げると笹の中に続く綺麗な一筋の登山道が上へ上へと続く。

 流石山までの最初の標高稼ぎが今日のルートで一番辛いところだ。一歩一歩確実に慎重に足を運ぶが、既に森林限界を超えた稜線は夏の日差しを遮るものも無く、頼りは時折吹き抜ける風である。過去の自分の山行ではあまり縁が無かった花も、数こそ少ないが登山道の周りに可憐に咲き誇り急登の疲れを慰めてくれる。

     
大峠の朝日    笹原を登る    花の登山

 高度を上げながら振り返ると、覆いかぶさるような三本槍がどんどん大きくなってきた。沼原の調整池が目線と同じ位の高さに見えるのが面白く、その横から端正なシルエットで裾野をなす白笹山も美しい。
 初めの急登から開放されてやや勾配が落ち着くと、その先にはなだからかで胸のすくような見事な稜線が延々と続く。目指す初めの三角点ピークが流石山であるが、山頂然とした感じではなく白笹山の山頂が登山道の途中に忽然と現れたのとよく似た雰囲気の静かな山頂に到達した。

     
沼原の調整池が見える    その先が流石山   

 山頂に着くまでの稜線眺望があまりにも素晴らしかった故に、流石山の山頂の凡庸なることはさして気にならない。広大なパノラマ稜線はまだまだ続く。


 次なる目標ピーク、大倉山へ到達したが何故か今日は調子が今ひとつ。暑さのせいか給水タイミングが適切でない気がする。水負けしてしまったのか。なんとなく体がだるくて調子が出ない。今回調子が出なかったもう一つの理由は荷の重さのせいもあるのだ。

 暑さを見越して冷たい飲み物、冷たい食料にこだわって保冷水筒3本(氷入り)と銀マット素材のクーラーボックスに保冷剤4片をザックに仕舞っていた。背負う前にちょっと重いかなとも思ったが、ここのところ歩き慣れていなかったことを計算に入れると確実に過重量だったようである。

 そのかわり、苦労して運んだ冷やしうどんの美味いこと美味いこと。氷水で割ったタレ汁の冷たさも疲れた体にキーンと染みこむ。トッピングの冷えたプチトマトの酸味がまた良い。

 ということで、今回は登山が目的か、山で冷たいものを食べるのが目的かわからない本末転倒な結果になったが、これはこれでヨシとしよう。幾らかの反省点を得たので次回は軽量化をしながら山に冷たいものを持ち込むことができるだろう。

     
写真が飛んで大倉山    今日はこれを担いだので重かった    冷やしうどんと自家製プチトマト

 大倉山の山頂は潅木に囲まれて少しすっきりしない眺望であるが、背の低い潅木ゆえにつま先立ちすればグルリと眺望を得る事ができる。地図ではあともう一歩の三倉山は、手前の三角点峰の一の倉、次のピークが二の倉(本倉)、最後のピークが三の倉となる三つ子ピークである。一番標高の高い二の倉が山頂となるのだが、大倉山から見える二の倉は挑発的な鋭角ピークである。暑さ負けしていなかったら是非三の倉までを踏んでみたかったものである。だが今日はここまで。無理をして下山時に怪我などしてもつまらない。

     
山頂より北側    三倉山の挑戦的なシルエット    男鹿山塊が堂々と続く

 大倉山からは往路のピストン。下りで精神的な余裕もあり、雄大なパノラマを楽しみながらの下山となる。稜線に忽然と現れる池塘なども珍しい。

     
大倉山からの下山路にて    池塘の向こうは白笹山    流石山へ戻る
     
南会津の山並み    独特な山容の旭岳(赤崩山)    三本槍が大きい

 流石山から高度を下げていくと、登りはこんなに急な所を登ってきたのかと改めて知る。本当はとりわけ急ということでもなく、周囲に遮るものがまったく無いので急に感じるだけなのかもしれない。照りつける日差しとコンディションがそう思わせたのかもしれない。

 今日は金曜日なのであまり人に会わないだろうと思っていたが、さすがの人気コースで対向後続あわせて10組程度はあっただろうか。単独者は花の写真が目的で歩いている人も多く、中にはガッシリした三脚を据えてじっくりと撮影をしている人もいた。

 遅い時間に出発した人が喘ぎながら大峠から登ってくる。きついのはここだけですよと声をかけると、そこに見えるのが流石山の山頂ですかと問われた。ピークを幾つか越した先ですと答えると、少し落胆した表情を見せたが次の瞬間には山を愉しむハイカーの顔に戻り力強い足どりで登っていった。雲が幾らか多くなってきたので、優しい日差しがきっと彼を助けることだろう。

 大峠に無事降り立つ。朝同様、峠の風にしばし休息を得た後、古道を下る。帰路はバリエーションルートのほうを選んだが、夏の日差しから優しく守られた鬱蒼とした木々の中を下っていくのであった。

  
大峠へ戻ってきた    木立の中は涼しい

概略コースタイム
駐車地発(6:18)-大峠(7:05)-流石山(8:34)-大倉山(9:37)-食事休憩-
行動再開(10:08)-流石山(11:08)-大峠(12:11)-駐車地着(12:53)

2012年07月20日

リハビリ山行



-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。
鞍掛山の過去の記事
  2009年3月15日 鞍掛山から盗人岩
  2008年12月7日 鞍掛山から470m級Pを周回
  2007年1月8日 記念すべき第一歩「鞍掛山」

 夏の間は会社の休みが木曜金曜となる。ウィークディに休みになるならウィークディならではの過ごし方を楽しもうと思うが、やはり山とバイクがメインになってしまうものだ。

 梅雨開けが発表されたが、昔から梅雨明け十日と云われるこの時期は晴れが続く猛暑日となる可能性が高い。夏が訪れたことをはっきりと自然に教わるのだ。この時期は登山にしてもバイクツーリングにしても計画するのに最適なのである。ところが今年はどうだろう。気象庁の梅雨明け宣言はちょっと性急だったと思わせぶりな空模様がここ数日続く。

 昨年来の私事による忙しさもようやく一段落し、何はともあれ梅雨も開けた。さて、バイクの方は短距離ながらボチボチ乗り始めたのだが山の方はどうだろう。山歩きの体力は随分落ちている筈だから少しづつ慣らしていったほうがよい。そして、ここ数年ですっかりボロボロになった安物の山靴を更新した。

 いままで2足履き潰してきたが、いずれも量販店で1万円もしないトレッキングシューズもどきの安物。2足目はソールこそビブラムで丈夫だったが、サイドの布地の痛みが激しく穴が開く始末である。登山道の無い薮斜面の急登で酷使してきたせいか流石にくたびれ果てか感があり替えどきである。

 好日山荘のバーゲンがあったので、店員さんにアドバイスを受けながら自分としては大判振る舞いの2万弱の製品を手にした。選択のポイントは偏平足の自分の足型に合うもの。そしてソールのつま先部分が硬いもの。
 つま先の部分にこだわるのは、林床や落ち葉などの柔らかい急斜面を登る時につま先部分が柔らかいと足先とふくらはぎの筋肉に負担をかけていたことが多かったためである。今日はこの靴の慣らしとも言える山行になる。

 天気予報は終日曇で夜から雨。今までの自分の山行姿勢からすれば間違い無く出かけないコンデイションであるが、今日は景色云々より山歩きのリハビリと靴慣らしがメインである。多少腰が重かったのは正直なところだが、通過儀礼としての今日の登山をやらなければ、まばゆいばかりの風光溢れる夏山がやってこないようなそんな気がした。

     
山頂付近はガスが掛かっている    本日履きおろし    車は他に無し

 休日とてあまり人の姿の無い鞍掛山だが、今日は登山口に止めてある車も皆無。いつも以上に静かな山行になることだろう。

 登山道が左手の沢沿いに折れていく手前で右手の沢を渡り、岩を巻くようにして急登を重ねる。このコースは解説本や案内板には記述の無い裏コースだが、最近は歩く人も多いようで道形も鮮明だ。急登の連続にはいささか辟易するが、道標の1~2本も立てればハイキングコースとして案内しても良いのではとは思うくらいである。

 途中、岩に黄色のペンキで昌子岩と大書。犬のマーキングのようで少し幻滅する。少し先には同じ書体とペンキで井上某とも書かれてあった。

 蜘蛛の巣を払いのけながら進み、ピークを乗り越した先のとコルで、下から上がってくる反時計回りの正規登山道と接合する。あと一息で大岩だ。

 雨粒が静かに叩く葉音に耳を傾けて一息つく。自然の傘のお陰で体は濡れない。気まぐれなガスが少し遠ざかったのを見届けて最後の僅かな一投足。

 霧雨が去った大岩に立ち、霞む景色と涼しさに身を任せていると、こんな日に登ってくる物好きは自分一人ではないようだ。ガスっていて何も見えませんねと言う彼は空を仰いで天気を気にする。「古賀志山に向かいます」と去っていった。

 少し早いが自分はここでのんびりと昼食とした。いつも此処から見る景色は晴れた日のもの。乳白色のガスの切れ間に新里の集落がやっと見えるのもまた一興である。

     
如何なものか?    大岩より 予想どおりの景色   

 さぁ、下山はどうしよう。時間は充分にあるので鞍掛尾根を少し歩いて行くことにした。

 490m級ピークに登ると北側の景色もガスで視界がすこぶる悪い。観音寺山(猪倉城趾)のシルエットを見るのがやっとだ。手前の下猪倉370m級ピークの麓では昭和ケミカルの砕石機の音が大きい。週末は操業していなかったようで、此処を歩いていて音を聞いたのは今回が初めてである。丁度お昼のサイレンが鳴り響き、日常生活がそこにあることをあらためて実感する。

 下山ポイントの340mコルで一旦西側林道を偵察。林道鞍掛線を確認したところで撤退した。鬱蒼とした小薮だがしっとり濡れた緑もまた美しいものだ。
 春の鳥だとばかり思っていたウグイスが賑やかに鳴くコルを後にして、ここもまたクモの巣だらけの作業道をのんびりと下って行った。

     
夏向きメニュー    昭和ケミカルは操業中    340mコルより西へ探索
  
湿った緑も美しい    大量の丸太

概略コースタイム
駐車地発(10:22)-裏道分岐(10:35)-大岩(11:14)-休憩-出発(11:34)-490m級P(12:02)-
340mコル(12:26)-西側偵察撤退地点(12:37)-340mコル東側作業林道接合(12:54)-駐車地着(13:16)

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