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鏡ヶ沼から須立山と三本槍岳

アーカイブ:県北の山達  日時: 2012年08月31日 20:40

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 今年の夏に登る県北の山。三回目は那須岳の主峰である三本槍岳を目指す。

 ルートとしては茶臼岳からの尾根通しや三斗小屋温泉からが栃木側からは一般的だ。比較的行程が長いこのルートは三本槍をより那須の奥座敷たらんとしている感があるが、福島側の大峠からアプローチすると手軽なハイキングコースになってしまう。観光客が容易に山頂を目指せる茶臼岳周辺とは一線を画した裏那須の静寂を手軽に愉しむことが出来るのだ。栃木側からの車のアクセスには時間を要するが、そんなことを補って余りある程の素晴らしい山域である。

 今回は林道の終点まで車を入れる。林道大峠線のダート部分は最後の僅かな区間だけであるので車を選ばず向かうことができるが、林道最終地点手前は流石に四駆車の領域となる。前回の大倉山の時には一般の駐車スペースに止めたが、今回は様子が解っていたので終点までパジェロミニを進める。終点には今日の一番乗りのようである。

     
今日は林道最終地点に駐車    すぐ分岐    まだ薄暗い中を進む

 車止めの先にある登山道を進むと程なくして左手に向かう分岐があり、鏡ヶ沼の道標に従い笹の道へと入っていく。高い枝の先には青空広がっているようだが、まだ早い時間の登山道には薄暗さが残っている。

 笹が刈り払われた緩い道を進むとやがて荒れた涸れ沢を登るようになる。一旦辺りが開けると、まるで箱庭のように端正に配置された鏡ヶ沼と背後に控える須立山が目に入った。

     
途中から荒れた涸れ沢を登る    須立山が見えてきた    鏡ヶ沼と須立山

  鏡ヶ沼から先は急登区間だ。虎ロープの助けを借りながら細かく息を調整して徐々に高度を稼ぎやがて稜線へ到達。

 秋を思わせる稜線の涼やかな風に急登の疲れを癒され、東側には雲海、西には眼下の鏡ヶ沼と遠い会津の山々、すぐそこに堂々と横たわる流石山から三倉山への稜線。すでに贅沢な眺望を得られて大いに満足である。
 須立山へは歩く人が少ないのだろうか、何の問題も無い一本道だが若干左右の潅木がうるさいところも趣が良い。この潅木の張り出しはこのあと三本槍への登りにも終始しているので、やはりハイカーの往来より枝の成長のほうが優っているのだろう。

 程なく須立山の山頂に立つ。北側を三本槍岳の巨体に圧倒される以外はなかなか立派な眺望である。特に目を引くのが真北に突出している旭岳(赤崩山)、そして三倉山方面。旭岳(赤崩山)の右手に目をやると、以前バイクで悪戦苦闘しながら通過した甲子林道の擁壁が一直線に山腹を走っている。 

     
尾根から    東側は雲海   
     
例の凶悪な甲子林道が見える    北北東方面あの山並みの向こうは猪苗代湖か?    流石山から三倉山

 先ほど鏡ヶ沼から突き上げた峠まで戻り、いよいよ今日の登りも本番。三本槍岳を目指す。潅木のトンネルを所々潜りながら登り、一箇所だけあるガレ場を慎重にトラバースすると草丈も低くなってくる。同じ位の高さの三倉山方面が鮮やかに見渡せるようになるとすぐ山頂に到着である。

     
三本槍岳へ向かう    潅木のトンネルをくぐっていく    ガレ場が一箇所だけある
     
大倉山~三倉山の稜線が同じ高さになってきた    山頂へ到着    茶臼岳が間近に見える
     
遠く日光連山と白根山    北西方面    今日のクールデザート

  
鏡ヶ池、須立山、赤崩山    下山路からは終始流石山が大きい

 評判に違わない360度方位の好眺望を独り占めで楽しんでいると、茶臼岳方面から熊鈴の音が聞こえてきて間もなく今日初めてのハイカーと出会った。

 栃木と福島の県境の峰々は分水嶺のいただきでもある。日光の高い山に夏登るとよくわかるが、日の出と共に暖められた湿度の高い空気は霧となり関東平野側から徐々に押し上げられて二千メートルの峰々をも超えていくのである。
 山頂より大峠を目指して下山を開始した。下っていく稜線も南の谷から押し寄せてくるガスに支配されつつあった。稜線を超える風もいくらか強く、この暑い夏に天然クーラーの中を行くのは誠に快適である。これから頂上を目指す親子と交差するが、彼らが山頂を踏む時にガスが切れていれば良いのだが。


概略コースタイム
駐車地発(6:17)-鏡ヶ沼分岐(6:22)-鏡ヶ沼(7:05)-峠(7:29)-
須立山(7:41)-峠(8:01)-大峠からの尾根と接合(8:36)-三本槍岳(8:52)-
行動再開(9:28)-1826mP(9:46)-1524mP(10:32)-大峠(10:38)-駐車地着(11:08)

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コメント (4)

リンゴ:

大峠から鏡ヶ沼経由での三本槍、早速行かれましたか。
私はこのルートはまだ歩いた事が無いのですが、途中の尾根から眺める鏡ヶ沼は絶景ですね。
紅葉の時期はどれだけ素晴らしいか・・・。
これだけの好展望ですから、やはり晴れているうちに見ないと勿体無いです(笑)

まっちゃん:

>リンゴさん

三本槍は本当は紅葉の時期にと思っていたのですが、9月からまた休みが土日に戻ったのと、やはり人気の那須エリアですから大峠林道もピーク時には車も駐められない賑わいになるだろうと想像してフライングしてきました。

でも仰っしゃる通り、紅葉の盛りに益々訪れてみたくなりましたよ。

Non:

 こんばんは。おお~、なつかしいお気に入りのコースです。今年の夏もタイミングが合えば、
と思っていたので、拝読しながら、また行きたい気持ちが募りました。
 ウチは夏に行きましたが、秋の紅葉も良さそうですね~ 鏡沼でのんびりしてみたいとも
思うのですが、普通に歩いちゃうんだろうなぁと思います(^^;)
 本文中の下山路のお話は、随分とあっさりですね。私はあの稜線、大好きでしたよ。

まっちゃん:

Nonさん、こんばんは

ここのところ、裏那須の雰囲気にすっかりはまってしまいました。
鏡ヶ沼のほとりでのんびり寝そべって読書なんてのもかなり素晴らしいかなと自分も思いますが、
・・・やはり歩いちゃうのでしょうね(笑)

下山路は初めの1826mPあたりで既にガス上がってきてホワイトアウト。
その後段々とガスが抜けてきて一番最後の写真まで回復しました。
大峠から流石山への登山道を見ていると、三倉山へ誘われているような気がずっとしていました(^^;
涼しくなったらまたチャレンジです。

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