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三床山から金原山へ縦走

アーカイブ:安蘇の山達  日時: 2012年12月16日 22:33
-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
※ニ床山~金原山は一般登山道ではありません。参考にされる場合は自己責任でお願いします。
三床山の過去の記事
  2008年12月23日 素晴らしき里山 三床山

 三床山周辺は標高こそ低いが、所々岩塊が剥きだしていて松が多いが故に、見るからに眺望が良いだろうと思わせる雰囲気がある。地形図を眺めていると、一筆書きのように北北東の金原山まで伸びる尾根筋が見えてくる。枝葉の枯れ落ちたこの時期、ここを歩いてみたいという衝動を抑えることは出来なかった。

 事前偵察によりコースのフィニッシュは「林道長谷場閑馬線」の最高標高点の峠とした。そこへ折りたたみチャリをデポしてスタート地点の鹿島神社駐車場まで約10kmの自転車走行の後、車を回収するという計画だ。

 朝の8時過ぎに峠に着く。路側にワインレッドは少し目立つかもしれないが、どうか下山まで無事にそこに居てくれと願いながら自転車を括りつけた。帰りに走る峠の下り坂を、右に左にとパジェロミニのハンドルを切りながら車で鹿島神社へ向かった。たかだか10kmと考えていたが、車で走っても結構距離があるような気がする。下山後の疲れた足腰で大丈夫かと思う一瞬の杞憂も、この区間が殆ど下り一辺倒なのは調査済みであることを改めて思い出す。

 ハンターの軽トラが数台駐められた鹿島神社の駐車場に到着。軽トラの荷台にある檻の扉は開け放たれており、猟犬も主人も既に出発しているようだ。
 準備を整え駐車場から登山開始すると、のっけから狩猟注意の看板が目立ち、「この付近は人がいるから注意して狩猟しましょう」と書かれている。いささか穏やかな話では無いが、以前会ったハンターから猟場のことは聞いていたので登山道自体は安心である。

 猟場についてはあくまで聞いた話だが、一床山~ニ床山南方の谷、高松の西側が主エリアらしく、散弾銃で主に鳥を撃っているらしい。この辺りは足を踏み入れないほうが良いのは間違いない。前回もそして今回もこの谷方面からは発砲音を数発聞いている。

     
林道の峠に折りたたみチャリをデポ    この付近は人の出入りアリ    谷筋は罠もあるらしい

 きちんと整備された道標に従って山中に入ると流石に登山者達のエリアとなり、物騒な雰囲気もなくなる。序盤は傾斜の緩い落ち葉の山道が足に心地良い。

 それにしても今日の気温の高さはどうしたことか。まるで冬が何処かに出掛けてしまったような暖かさだ。ちょっと厚着をしすぎたせいか汗がいつもより多めに吹き出してくる。高度を上げ登山道に岩角が現れる頃、ふと立ち止まり汗を拭うと後ろ側の眺望がが開けてきた。遠く富士山が綺麗に見えている。

     
道標がきちんと整備されている    落ち葉をかさこそ踏みしめて    高度を上げて振り返ると富士山が見えた

 前回、三床山を訪れた時にニ床山から見た高松(330mP)方面の箱庭のような風景が鮮やかに記憶に残っており、次に歩く時は是非踏みたいピークと考えていた。今回はその高松経由で登っている。高松に近づくにつれ、邪魔な樹が少なくなって、三床山・ニ床山・一床山からなる三床三山の姿があらわとなった。改めて三床山山塊の景色の良さにしばし足を止めたのは言うまでもない。

     
高松付近から三床山    高松(303mP)    一床山とニ床山

 高松から一旦下って登り返すとニ床山である。360度好眺望の一床山まで足を伸ばそうかと思ったが、今日は長丁場なのでで出来るだけ体力温存をしたいところだ。ニ床山での小休止の後、再び三床山への稜線へ登り返し、赤テープの箇所から金原山への小ピークを繋ぐ山旅が始まった。

     
ニ床山へ寄り道    高松を振り返る    此処より登山道を離れる

 金原山へ向かう縦走路から見る三床山は丁度台形を真正面から見る感じで、山頂周りに生える落葉樹がさながら坊主頭のようで面白い。

 分岐点から暫くは道形もあり踏み跡も鮮やかであったが、いつしか落葉が全てを呑み込み、手の加えられていないありのままの自然林の尾根となっていく。葉の生い茂る季節なら手こずりそうな箇所も、むしろ楽しげな小薮となり里山シーズンの到来を実感しながら進んでいく。

     
北から見る三床山は坊主頭    木々の合間を縫って尾根形を追う    落葉期は藪も明るい

 振り返れば必ず視界に入ってくる個性的な三床山の坊主頭も随分小さくなってきた。途中、つつじ山、桜山とマジックでプラスチック板に書かれた山名板がかかる小ピークを通過する。この先、大姫山、天ヶ岳、林山、六地蔵峠も同じタイプの山名板が続く。どうやらこのルートの常連さんが居るようだ

 大姫山を過ぎると数少ない植林地境界を左手に見るようになるが、それも僅かでそこを過ぎるとまた落葉樹と松の混合林に戻る。

     
三床山が随分遠くなってきた    日向に石祠が二基、桜山    数少ない植林境界

 天ヶ岳付近になると、西沢や梅園の集落を挟んだ西側から伸びてきた稜線が段々間近に近づいてくる。見ると所々岩峰があらわになっており、あちらもなかなか変化があって面白そうな感じである。次回の三床山は是非向こう側の尾根を歩くことにしよう。

 今回のコースはルーファンのセオリー通りのピーク繋ぎである。安全を考えて当然巻くつもりは無いが、実際歩くと等高線で読み取れる以上にアップダウンが容赦無く感じる。落ち葉が堆積している急登は踏ん張りが難しくて思いの外体力を消耗していくものだ。たまに巻けそうな小ピークに出くわすとトラバースの誘惑に駆られるが、手堅く進むにはやはり愚直にピーク越えを重ねるべし。コツコツこなして行けばやがてゴールも見えるというもの。

     
一本西側の尾根も歩いてみたい    落ち葉の急登は思いのほか体力消耗   

 そんなポジティブシンキングも、いやはや足腰にはなかなか厳しいぞ。下ってはまた登り返しのエンドレス。

 天ヶ岳の先にはついたてのように見える高みがあり、その右手にに目を移すと伐採地がある。あそこまで辿り着いたら大休止で食事としよう。

 高松に立った頃から風が強くなっていたが、伐採地は南東に向かって開けているので西風が丁度尾根に遮られる。風の影響を殆ど受けない穏やかな日溜まりへやれやれと腰を降ろした。

     
あそこまでまた登り返すのだ    樹間に里が垣間見える    昼食の伐採地

 この時点で行程としてまだ半分強しか歩いていない。ルートミスなどをしてロスタイムをすると最後の自転車区間で日没を迎えるという事も考えられるので、休憩もそこそこに出発をした。

 この先は岩角が多く見られようになる。所々痩せて鋭敏な所もあるが落ち着いて通過すれば危険は無い。また、コースで唯一薮が繁茂している箇所があったが、潅木や草も落葉のこの時期は尾根歩きにちょっとしたスパイスを加える程度である。

     
岩が出始めるが巻くほどではない    綿々と続く尾根筋    唯一の薮箇所。大したことはない

 登っては下り、下っては登ることの繰り返し。山歩きとは本来そんなものだが、どうにかたどり着いたピークを踏むと、デジャブのようにその先に新たなピークが待ち構えている。後半は流石に体力よりも気力が削がれていくような気がした。
 小ピークを踏むたびGPSを出して現在地の把握OK、歩き出す前にコンパスで進路もOK。最近のルーファン歩きの中では完璧ノーミスなのだが、地形図を超えた"一体どこまで続くのだろう、この尾根は"と思わせるこの感じは一体なんだろう。

     
眼前のピークのその次が金原山    自然のままの岩頭を超えていく    真新しい石祠があった

 動物達の気配でさえ深く落ち葉に封印された尾根道は本当に美しい。この美しい尾根を歩けるのが、まさに冬場の里山の醍醐味なのだ。

 ようやく到着した金原山も、栃木の山紀行さんの山名板と、威厳ある太い三等三角点の標柱さえ無ければ今まで越えてきた静かなピーク達と何も変わらなかっただろう。

     
美しい枯尾根歩き       ようやく金原山へ到達

 長かった縦走路も、林道へ降り立てばようやくお終いである。ふと振り返ると、金原山のシルエットが枝の奥にどっしり構え、あたかも里山のラビリンスから脱出したような感にふと包まれた。

  
自転車の待つ峠へ帰着    下り坂を快走!

概略コースタイム

今回、残念な事にGPSのログ採取が行えなかった(ログ採取のスイッチ入れ忘れ)、故に、コースタイムをご覧になる場合は、記憶に残っている大まか時間になってしまっている点に注意されたい。

鹿島神社駐車場発(09:0)-高松(09:40)-伐採地で昼食休憩(12:10)-
行動再開(12:30)-自転車デポ地(14:30)-自転車走行-鹿島神社駐車場着(15:30)

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コメント (11)

 こんばんは。昨日お邪魔して、お話に出ていた二床山~金原山の縦走路を歩かれたんだなぁと、
レポを楽しみにしていました。長い長い稜線歩き、お疲れ様でした。どこまで続くんだ~という
感覚は、実際に歩かなければ分かりそうにありませんが、それでも充分に伝わってきましたよ(^^)
 ただ、このコースも少し整備すれば、人気が出るのかなぁと思いますが、それはそれで
一部の方の楽しみを削ぐ行為かもしれませんね。

Non:

すみません、上記の匿名、私、Nonです(^^;)
ちゃんと入れておいたはずが…失礼しました。

リンゴ:

歩いてみたいと思ったエリアを偵察し、そしてしっかりと実行に移すまっちゃんの行動力には脱帽です。
気力、体力、そして実力が備わっていないととても最後まで歩き通せませんね。

どこだろう?もしかして茨城県?って思ってたら、なんと佐野なんですねぇ
地図を拝見したら唐沢・三好コースの裏手に広がってますね。(一度プレー経験あり)
それにしても、里山の日溜まりハイクとは呼べない??レベルに感じました。
でも、、、ここは、、、独自に研究して、亀三郎が歩ける範囲のコース設定して
いつか
挑戦してみたいなぁ、、、って思いました。
PS 山で、、、風が強くなると、、、すごくカラダに応えますよね、、、
  わたしも、、、風よけの方法(場所)を早く、身に付けねば!と思いました。

まっちゃん:

Nonさん、こんばんは。
システムが至らずご迷惑をおかけしていますm(__)m

滅多に感じることがなかった感情に今回は浸りました。
里がちらちら見えている低山ならではの現象かもしれませんね。
深山の中を歩けば開き直れるということかもしれませんが、やはり人間一人では生きていけないなんてそんなことをちょっと思った山旅でした。

まっちゃん:

リンゴさん、こんばんは。

以前にも書いたことがありますが、自分の場合は計画の段階、そして偵察と本番、こうやってブログに結果をまとめる段階まで全て愉しみながらやっています。
よく、ツアー登山で何処をどう歩くかも判らずにただ連れてって貰うだけの人っていますが、自分は到底そういう山行を理解出来ません。

もっとも、山に対するスタイルは十人十色。仲間で楽しく登るのもアリというのは、たまにグループで歩くと自分も感じます。でも、そんな山行でもフィールドでの行動の主体性は失いたくないと常々思っています。

まっちゃん:

亀三郎さん、こんばんは。

確かにゴルフ場に隣接してます。
一番近い箇所だと、プレー中の人の声が風に乗って聞こえてきたりします。

三床山はコンパクトな山ながら変化に富み眺望も良好。
最近は道標もしっかり整備されているので、初心者の方にも経験者の方にもお勧めです。
(ニ床山から北はルーファン{ルートファインディング}コースなので経験と装備とある程度以上の技術が無いと危険です)

冬の登山で強い風はホント堪えますよねぇ。
この時期、厚手の山シャツにフリース、休憩時用に薄手のダウン携行という恰好で歩くことが多いです。フリースは風には無力なので、吹きさらしではダウンを羽織る事になりますが、今度は暑すぎ。
ウィンドブレーカー(ヤッケ)を持って行けば良いのですが、万が一のビバークに備えて必ず厚めのインナーを持ち歩いているのでザックに余裕が無い状況です。

風が強いと食事の用意のストーブの炎が安定しなかったり、寒さも堪えるので樹林に囲まれた所に逃げがちですが、流石に好天の日はちょっと辛気臭いので風を我慢して吹きっ晒しの景色が良い所で我慢して休むこともあります(^^;

今回はその点、風よけの稜線を背負った休憩地でラッキーでした。

こんばんは
今、このログを振り返り
プラスで、佐野市のネット情報を見て考えたのですが
鹿島神社 → 沢コース → 三床山 → 二床山 → 一床山
→ 二床山 → 高松 → 鹿島神社
上記のルートなら
すこし頑張る気持ちがあれば
亀三郎の体力でも大丈夫ですかね?
自己分析ですが
休憩時間を入れないで
行動時間(往復)、2時間から2時間半が
ちょうど良い感じかと思っています。
それを超えると、、、だんだんキツイかも、、、
膝に痛みが来る怖さもあるので(滝汗)

まっちゃん:

亀三郎さん、おはようございます。

一床山からそのまま降りるコースもありますが、亀三郎さんの調べられたように、二床山まで戻って高松経由のほうが景色は良いと思いますので、このコースは確かにお勧めですね。

昼食は、景色が良い一床山が良いと思います。

こんにちは
2月3日に三床山を山歩きしてきました。
前回、ご報告したルートは
風が強くて
そして、、、ちょっと疲れたので
一部??変更
未踏の場所は、次回、、、リベンジ予定です(笑)

でもでも
三床山
良い里山ですね!!
栃木百名山じゃないのが
不思議な感じもしました^^v

まっちゃん:

亀三郎さん、こんばんは。

三床山、行かれたのですね。
鹿島神社の広い駐車場、明るい感じの登山コース、変化のある稜線、一床山の眺望。
いいところが揃った山です。

亀さん栃木百名山に是非選出してください。
ブログのほうはこれからおじゃまします。

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    季節の移ろいと自然の姿に心惹かれるブログ主さんの記事は、山好きな人ならきっと共感することと思います。自分も長い間隠れファンでしたが、この度相互リンクさせていただきました。
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