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オフロードアーカイブ


2010年10月24日

林道ツーリングと田代山


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 バイク仲間であり山仲間でもある"なおべぇ"さんからお誘いが来た。

 「バイクで林道を走って田代山に登りませんか?」

 田代山は栃木と福島の県境に位置している。山頂に広大な湿地帯を擁し、そこから雄大な景色を望む事が出来る有名な山である。僅かな残雪を残す初夏から湿原を花が覆い尽くす時期は特に人気のスポットで、栃木の登山者としては一度は訪れてみたいと思う山でもある。

 最短コースは猿倉登山口から標高差+600mを2時間で登り、1時間半で下ることが出来る。登山道は良く整備されていて迷うような所もなく、山歩きとしては大変お手軽と言えるのだが、登山口までのアプローチがなかなか大変なのである。

 栃木県側からは、栗山から土呂部を経て砂利林道を延々と走ることになるが、場合によってはこの林道が閉鎖されることもあるらしく、通行が楽な福島県側から向かうとなると宇都宮から大回りになってしまって大変時間がかかる。

 今回の企画はそんなプローチの大変さも、栃木側からの正攻ルートをバイクの林道走りをで楽しんでしまおうという、バイク+山、一粒で二度美味しい的なものである。

 大笹牧場に朝7時半集合を目指す。昨日まではずっと天気が予報が良かったのに、日曜日朝の予報は曇りのち雨と一転。家を出ると東の空は恨めしい朝焼けのオレンジである。日光街道を西走していくと、時折気まぐれのように雲間から射す日差しがもどかしい。太陽と雲の駆け引きはどうやら今日は雲の優勢のようだ。後は雨が降らないことを祈るばかりである。

 今市から小百を抜けて大笹牧場へ向かう。牧場への裏道のようなこのルートは、観光ルートとしてのデフォルトである「旧霧降有料道路」が無料化された今もなお自分のお気に入りコースである。鄙びた感じがするこの小百ルートこそ峠を越えるという実感を味わえるからだ。

 朝の冷たい空気に山ズボンがちょっと厳しかった。上半身は初冬レベルのウェア構成なので寒くは無い。だが下半身はちょっと見当違いであった。普段バイクに乗っていても、真冬以外はGパンで走ってもさほど寒くはないものだが、山ズボンは機能的に風通しや速乾性が優れておりこれが仇になってしまう。要は風通しが良すぎるのだ。

 さてさて、大笹牧場で3名の同行者(なんと往年のレプリカバイク、NSR250で林道を走るという猛者が一名)が集合して出発する。自分は下半身が辛いのでバイクカッパのズボンを履いて走り出した。

 大笹牧場から栗山へ降り、土呂部から田代山林道へとバイクを進める。ダート入り口で一旦休憩としたが、既にこのあたりも葉が美しく染まっていて目を楽しませてくれる。

 休憩箇所でもう一名の参加者と合流し、ダート区間は各自フリー走行となった。林道ビギナーの自分は大人しく景色を楽しみながら進むべし。

 林道からの眺めは素晴らしく、自然林の織り成す紅葉もまさに盛り。県境の山並みもまた素晴らしい。以前パジェロミニで走った事がある田代山林道であるが、やはり風を感じて走ると景色も一層際立って見えるものだ。

     
ダート入り口で休憩    林道からの眺めは素晴らしい   
     
     

 車での参加組と登山口で集結し、約20名のパーティとなる。我らがグループ以外にも沢山のハイカーが登っていく様子から、この山の人気が伺い知れる。

 巨大な熊鈴、鈴というよりもはや鐘といったほうが正解かな。登り始めの一箇所と、その先にもう一箇所に設置されている。賑やかに鳴る鈴の音を、この山深いいずこで熊が聞いていたかは知る由も無し。

     
登山口へ集結    登山開始!    これだけ人が多いと熊もさぞ喧しかろう

 登山道は一本調子の登りで、結構斜度がある。歩き慣れない人はきついかもしれないが、道が荒れて歩き辛いなどということとはまったく無縁で、各自のペースを維持すればさほどてこずることも無い筈だ。

 小田代まで登ると暫くは平坦で楽が出来る。その後に最後のアルバイト区間を登りきれば雄大な山頂湿原が待ち構えている。

     
一本調子の登りも一休み       気持ち良い湿原歩き

 空は相変わらずどんよりとしているが高曇りで遠望は思いのほか利く。尾瀬の山並みがしっかりとその全容を見せてくれていたのは嬉しかった。湿原の草花はもはや冬支度へと一足先に向かったようだが、一面の枯れ模様もそれなりに見ごたえのある情景であった。正直に告白すれば、やはり花が咲き誇る時期に・・・と思ったが、それは次回の楽しみにとっておこう。

 避難小屋前で所狭しと昼食タイムとなった。こんな大人数で山ご飯を食べるのは小学校の遠足以来40年ぶりくらいかな?
参加者の方が重い荷物を担ぎ上げてふるまってくれたホットケーキ。中年親父に気さくに話しかけてくれる若者達に触れ、久しぶりに人のぬくもりを感じる事の出来る山行であった。

     
避難小屋前で食事    ホットケーキをご馳走になった    下山路も景色が良い

概略コースタイム
登山口発(10:08)-小田代(11:23)-田代山周遊道(11:50)- 弘法大師堂着(12:07)-
昼食-行動再開(13:06)-周遊道終点(13:21)- 登山口着(14:43)

2010年09月18日

オフ車で行く猪苗代湖

クリックするとルート図が開きます

 実は8月に試みたこのルート。廃道寸前の甲子林道に迷いこんで実力不相応の超ハード走行となってしまった。大した事はなかったが、今現在も右の脛に残る小傷跡が反省のしるし。甲子林道には『洗礼』を受けたような気がする。バイクツーリングといっても単独で林道となるとやはり山に入る時とほぼ同じ心がけと救急装備は必須と実感したのであった。

 さて、前回未遂の企画のあらましはこうだ。

 まず、自宅から那須へ向かう。もちろん下道だ。宇都宮から玉生街道(県道63)経由で矢板へ出て、さらに県道30を使って北を目指す。いつものことながらメジャーな国道は一切嫌っていく。那須の大丸から北に降り、一旦R289で東走して雪割橋から西に戻ると本日の第一目標である「鎌房林道」へ到着。

 「鎌房林道」「西部林道」の後はR118で繋ぎ「黒沢林道」で安藤峠超え。会津若松へ出た後、猪苗代湖岸を出来るだけ湖面沿いに忠実に走る。ぐるりと南半分を周回した後に名前が如何にも恐ろしげな御霊櫃(ごれいひつ)峠を超える。その後もマイナー県道を繋いで宇都宮へ帰るというものだ。

 ポイントは、
 1.県北の手軽な林道(非舗装ダート)を楽しむ
 2.普段見たことの無い猪苗代湖の南岸を小路を辿りながら走ってみたい
 3.かねてより名前が気になっていた御霊櫃峠訪問

 ホントは夏の冒険として温めていた企画だったのだが、前回は道間違えの敗退。今回がリベンジと相成った。

 ついこの間まであんなに暑かったのが嘘のように突然やってきた秋。メッシュジャケットではすぐに寒くなりインナーにヤッケを着込んだ。
 走り慣れた県道63を北上すると、開けた所から日光の峰々や向かう北側の高原山が朝の清々しい光を受けてくっきりと全容を見渡すことが出来る。澄んだ空気で、山頂の木々の一本一本が見えるのではないかと見まごうばかりである。うろこ雲が浮かぶ高い空とのコントラストが美しい。

 那須の温泉街を抜けて殺生石で一回目の休憩を取る。3連休中日だけあってまだ早い時間なのにぽつぽつと観光客が訪れている。先を急ぎ、大丸でバイクを一旦止めて風景をカメラに収め北へと降下していく。

     
殺生石で1回目休憩    ススキと秋の空    大丸から茶臼と朝日岳

 R289から東へ約4km程走った箇所、うっかりしていると見落としそうな雪割橋入り口の看板を左折する。田舎道を辿ると本日のメイン区間である林道セクションへと繋がっていく。

 雪割橋から直線で西走すると行き止まりの看板がある。何気ないこのL字路を右折するのだが、行き先は下郷方面となっている。(下写真左)
 下郷に行くには鎌房林道から甲子林道を抜けなければならない。オフロード車でも悶絶しながら走行する区間だけに、この道案内の意図する部分がまったく見えない。更に面白いのはこの地点の北東部に広がる自衛隊の演習地の存在だ。(下写真中)
 丁度一週間前に実弾射撃訓練があったというのだ。もっとも、演習場のエリアには迷い込む可能性はゼロだが、なかなか凄い所である。そういえば辺りには広々とした牧場があってどこと無く北海道のような雰囲気も漂っていた。

     
下郷方面って!普通は通れないだろう    布引山の演習場がある    甲子峠方面

 畑の中の細い道を通っていくとダートに接合。さぁいよいよ林道区間の開始である。前回もこの先の西部林道・甲子林道分岐までは既に経験済みであるが、始めは楽に通過出来るダートも徐々に川原のように大きな石がゴロゴロするようになってきた。距離こそ短いが、険路である甲子林道の前哨戦に相応しい区間となる。
 今回はライディングシューズまで届くような長いニーシンパッドを装着、怪我をした時の応急セット等、装備も心構えも万全。気を引き締めて難路をクリアしていく。

 甲子林道との分岐点で一休みしていると、先程ダート入り口で地図を確認していたモタード車の人が、心地よい単気筒音を響かせながら先に西部林道へと吸い込まれていった。何時の日か再び訪れようぞと甲子林道入り口に目をやって自分もエンジンをかけた。

 小砂利の続く西部林道は走りやすい。自分のようなビギナーかつサンデーオフローダーには丁度楽しいコースである。距離も結構あって走り応えがある。

 途中羽鳥湖スキー場脇にぽこっと飛び出す。脇の舗装路をそのまま進むと市街地に下りていってしまうが、途中にある林道入り口を見つけて再びダートへ。奥西部林道の分岐を見送り北転すればやがて舗装路へ接合する。振動の無い平坦路のなんと快適なことか。まるで摩擦ゼロの氷上をスケートで滑っているような気分だ。

     
さぁダート開始    右が西部林道、左は悪夢の甲子林道    西部林道は走りやすい

 R118で移動し黒沢林道へ向けて再び北上する。人家もまばらな集落を過ぎると黒沢林道のダート区間開始である。こちらも特に荒れた所の無い快適ダートだ。頂上の安藤峠は北の会津若松市、南の天栄村との境界上にある。

 安藤峠より少し下ると布引山へ向かう支線がある。寄り道をして布引山の風力発電施設を見に行った。

 遠めにも大きな風力発電の羽根は真下で見ると壮大。そんな羽根が見渡す限りの広大なエリアに連なって設置されている風景は感動的である。エンジンを止めてヘルメットを脱ぐ。ススキがそよぐ一帯は、羽根が風を切る音でピューピューと何処か裏悲しい。

     
黒沢林道もまた快適ダート    見晴らしはないが、安藤峠に到着    布引山の風力発電所
     
      小さなせせらぎを跨ぎながら

 黒沢林道後半も心地よい自然路である。やがて、忽然と立派な舗装路に接合すると、山奥によくある照明の無いトンネル。まだ真新しい。
 安藤峠の標識にも書いてあったが、「東山温泉と天栄村を快適道路で結ぶ」プロジェクトがあるらしい。どうやら北側はここまで延びてきているようだが、少し東側にR294があることや、東山温泉が会津若松の中心部から至近でアクセス出来ることを考えるといささか疑問の残る開発のような気がする。

 東山ダムと温泉街を抜けると程なく会津盆地へ。昼飯の為に、飯盛山脇から一旦市街地を彷徨う。

 大きなバイバス通りを走ると、例に漏れず全国展開の外食チェーンやファーストフード店が並ぶ。その中で目を引いたお店、「万世楼飯店」の暖簾をくぐった。

     
途中から立派な舗装路とトンネル    東山ダム    会津ラーメンって有名だっけ?

 頑固親父の味、とうたった品書きから味噌タンメンと餃子を注文。北島三郎の色紙が掛けられていた。
 お味のほうは如何。中華料理店らしいしっかりした味わい。いささか冷えてしまった体の芯に染み透る。一緒に注文した餃子はなかなか素晴らしい。とかく脇役の餃子だが、独立した立派な一品(ひとしな)であった。

 食事の後は再び飯盛山方面へ戻り、東側の山沿いにある道を行く。普通ならR49を使って猪苗代湖を目指すところだが、ここもこだわりの狭路を辿る。距離的には最短のこのルートは、国道が整備されていなかった時代は猪苗代湖へ通じる重要な経路ではなかったのかと推察する。

 さびれ切ったわけでもなく、適度に整備されている舗装路なのでオンロード車はもとより4輪でも充分通行可であるが、やはりオフロード車がよく似合う道だ。
 山道を降りるとR294を跨ぐ。すぐ脇には車が沢山走っているR49も見えるが構わずそのまま進む。地図の上で存在する筈の道は途中薮で深く閉ざされていた。(写真下中)
 流石にこれはパスして少し先を遠回りして本来のルートに復帰。細かい分岐や交差点に注意してGPSに従って進むと猪苗代湖が見えた。

     
頑固親父の逸品味噌ラーメン    猪苗代湖へのアプローチ(流石にこれはパス)    湖が見えてきた

 湖岸道路に着いた最初の浜で一休みとする。雄大な湖に癒される思いだ。観光で賑わうことも無いこの静かな浜も、紅葉の頃はきっと素晴らしい風景が惜しげもなくあたりを飾ることだろう。

 この後は湖岸を舐めるようにして進んでいく。可能な限り湖面沿いにと行きたいところだが、途中高度を上げての山超えもある。高い所から見える磐梯山と茶色の砂浜が美しい。中禅寺湖の八丁出島を彷彿させるのは材木山。

     
湖岸で一休み    違う浜でも一休み    手前に突き出したのが材木山、奥は磐梯山

 一旦大きく内陸に入り、舗装林道を行く。すぐ南にはR294があるので、ここを走るのは地元の人か物好きかのどちらかである。峠から先はもう郡山市である。

     
一旦湖岸を離れて    内陸の林道を行く    最高標高部付近で郡山市へ

 林道が終わると再び湖岸へ出る。磐梯山も大分遠くなって気がする。キャンプ場脇の最後の直線区間を抜けて猪苗代湖に別れを告げて、本日の最終セクションである御霊櫃(おれいひつ)峠へと向かう。

 峠への入り口は小さな標識が一つ。道路地図でも白色の如何にも狭路といった雰囲気だったので、訪れるならオフ車でと以前から決めていた峠道だ。走ってみれば道幅こそ狭いがしっかり舗装整備されていて4輪でもまったく問題なし。名前のおどろどろしさから何となく寂れた悪路を想像していただけに若干拍子抜けした気がした。

     
磐梯山が遠くなってきた    御霊櫃峠へ向かう道    高度を上げて猪苗代湖を振り返る

 峠に着くとまさに郡山と猪苗代の分水嶺。古の人がこの峠を越えた思いに触れるような風景であった。また、この峠から南北は、国土地理院の地形図を見ると無名なピークを辿るハイキングコースが整備されている。
 北側の額取山方面は見た目にも岩尾根続きの展望コース。南側はロングな尾根歩きを楽しんで三森峠へと抜けることが出来る。車のデポが確保出来れば是非歩いてみたいものだ。

     
峠より郡山市街地方面    峠北側、額取山方面    峠南側
  
  

 御霊櫃峠を降りてしまえば後は帰るだけ。詳しいことはもうお終いにするが、国道を嫌ってGPSを睨みながら裏道を辿る旅は続く。稲刈りを終えた田に野焼きの煙がたなびく風景は一日の終わりを一層物悲しくする。ジェベルの非力なエンジンと振動に随分疲れたが、気がつくと300km超えのこのツーリング。思い描いたルートを行動出来た喜びがふつふつと湧き上がってきた。

2010年06月12日

今市ダム周回

100612route.gif
-- 『GPSMAP60CSx US版』+『轍』+『GoogleMaps』にて作成 --

 栗山の月山西尾根から眼下にひっそりと佇む今市ダム。以前から気になっていた。道があるのは判っていたが、関係車両以外通行禁止なのではないか?とか路面状況が悪いかもしれないのでは?と情報不足でなかなか足が向かなかった。とにかく駄目もとで行ってみることにした。

 目論見はダム手前の林道を辿りあわよくば周回であったが、結果から言えば首尾よく大成功と相成った。

 朝の7時前に自宅をジェベルで出発した。週明けからは雨マークが並んでおり梅雨入りももうすぐのようだ。入梅前の最後の走りになるだろうか。

 今市の轟の先の交差点を左折し、道なりに行く。暫くすると大きく左にカーブするが、途中で砥川沿いに北西の細い道を辿る。集落が切れるようになると、まだ早い時間で十分に陽が届かない木立の中は思ったより空気が冷たい。メッシュジャケットではいささか寒い位である。

 ダムまではよく整備された舗装路が続きあっという間に到着。途中のブラインドコーナーを抜けると、悠然と道路の真ん中を歩いていた鹿の親子がエンジン音に反射的に踵を返して谷へと駆け込む。

 関係者の姿すら一切見られない静かなダムの端に腰をおろし、まだ輝かしい朝の日差しを受けながらコンビニで買ってきたパンにかじりついた。

     
発電所概略図    仕組みはこうだ   

 湖畔の説明板を読むと、今市ダムと栗山ダムの関係がよく判って興味深い。なるほどと思いながら目を上にやれば、月山が湖面に映る様子もまた美しい。

 一息ついて、更にトンネルを越えて先に進む事にした。頼りない蛍光灯のみのトンネルを抜けると地下発電所方面はしっかりとした鍵で施錠されて立ち入り禁止となっている。

     
   ダムと月山    進入禁止

 湖の北側を渡る橋を過ぎると、程なくして舗装路は切れて砂利道となった。段々と標高を下げて湖面へと近づいていくが、やがて谷から押し出された土石流で無残に道は遮断されておりここで行き止まり。歩きで少し先まで行ってみたが、もはや人が近づくことを許さない獣達の領域と化しているようである。

     
湖畔のダート    土砂崩れで行き止まり    新緑が美しい

 ダムより往路を戻り、途中で試しに支線を一本走ってみると、どこまでも舗装が続く。若干浮石が多いが道としてはしっかりしているのでこれを走っていくと、やんぬるかな。「林道西小沢入線」入り口の標識が出現した。地形図では確かに細い実線が引かれていたが詳細は不明なこの道が案外しっかりしていた事に驚く。
 ダム手前では鹿の親子に逢ったが、ダート区間はイタチ(のような)小動物や羽を広げる姿が思いのほか巨大な鳥なども見られた。人知れず暮らす彼らの静かな朝は、バイクの侵入でさぞやかましかったことだろう。

 途中からダートになった。オフロード車の本領発揮である。はじめはフラットだったが段々と道が荒れてきて岩がゴロゴロしている区間は多少難儀もした。だが、小沢入沢沿いを走る頃には穏やかな砂利の小路となる。

 田植えの済んだ風景に抜けると、人間の領域に戻ってきたと実感した。

     
林道西小沢入線      
           
里に抜けた      

2010年04月29日

田川遡上

今回の走行軌跡はこちらからご覧ください。


 GW初日(とは言っても金曜土曜は仕事)は、低気圧の前線通過で丁度昼前後に雨が降った。午後からまばゆいばかりの青空が戻ってくると、もう家にじっとしてはいられない。

 実は先日偵察で少し走った田川沿いのオフロード。どこまで行けるか試してみようじゃないか。午後の中途半端な時間を埋めるには丁度よい内容だ。

 スタート地点は宇都宮駅前に掛かる「宮の橋」である。行き交う若者達にうさんくさそうな目つきで見られながらも、メット姿のまま写真をパチリ。

 川沿いの細い道をとことことスタート。途中に柵があるが、特に車両進入禁止とも書いてないので通行させてもらう。

     
宇都宮駅前宮の橋       四輪はここまで

 鎌倉橋付近で白沢街道を横切る。すぐ畦道へ復帰して川沿いをキープする。この先石畳があったりと、いろいろと趣向が凝らされている区間があるが、遊歩道で車両禁止という訳ではない。道幅一杯を使って、釣り人の車がたまに往来していたりする。

     
白沢街道、鎌倉橋付近      
     
     
     
     

 先日の偵察走行で見つけた絶壁の上の石祠。時間が無かったので詳しくは調べなかったが、実は奇しくもブログ仲間のけむぞうさんがつい先日訪れたそうだ。

 正面から見るととても人が近づける様子では無い。裏手に民家がありその脇から登れるのではないかという所までは先日の偵察で判っていたが、あまりにも"人の家の庭先"っぽい雰囲気があったのでためらっていたのである。

 今回は小さなバイクだから、ちょいと脇に置かせていただいて登ってみる事にした。

 む!はじめは穏やかな道もすぐ荒れだした。おっ、今度は、立派な階段が・・・
 ものの数分で登りきった先には一の鳥居。くぐれば、赤い屋根の建物に「御嶽山」の文字。

 二の鳥居脇の碑文を読むと天保五年云々のくだりがある。結構古くからここに構える社のようだ。

     
隠れスポット、御嶽山    民家の裏手から   

     
   一の鳥居    広場がある

     
   二の鳥居    天保五年建立?

 更に二の鳥居をくぐると、その先に道路から見えた絶壁に毅立する石祠が見えた。そしてその向こうには半蔵山や、篠井富屋連峰のはずれに座する兜山と鬼山の姿が見える。

 傍らのツツジが、けなげにも彩を添える狭い山頂でしばし休憩。あぁまたすばらしい場所を知ることが出来た。

     
最奥の石祠    半蔵山    鬼山、兜山

 下山は進入禁止(不法投棄対策)だった舗装林道を下るか、来た道を素直に戻るか、それとも目の前の作業道を辿るか。

 答えは3番。すぐに突き当たりで道は終了。一旦斜面を上がって向こう側を覗くと、先ほどの道と民家が見える。構うもんかと薮の斜面をざくざく降りていく。先のほうの田んぼで作業中の人に見られてるんじゃないかと思うと柄にもなくちょっと恥ずかしかった。

 このあと、田川は西と北に分岐するが、北に向かう逆川沿いにバイクを走らせて行く。右手には篠井連峰が近づいてきた。

     
帰りは別ルートでプチ薮    篠井富屋連峰   

 榛名山の真横を通り過ぎ、更に進むと、一旦狭くなった川幅は更に先で堤が有りまた広くなったりしている。農家にとって、川は大切なリソース(資源)であることがよくわかる。

     
榛名山    随分細くなった逆川   
     
チェンジペダルに花が    まだまだ行ける    アーチ橋って珍しい

 可能な限り走ってみたが、自分の腕前ではここがリミットである。向かう薮に走行を断念!

 退散後にバイクを降りてみたら薮走行の残骸多数(^^;

 田川遡上計画はこれで一応おしまいと相成ったが、帰りにもう一箇所、兜山へ寄り道をしていこう。田川に面する山だからテーマを外してはいないだろう。

 4年前に息子と歩いた時はカマボコ板のような道標が地面に置いてあっただけだったが、今は真新しい立派な道標が新設されている。裏を見ると宇都宮市の文字がある。

     
降参!    一杯くっついてた    寄り道の兜山

 だいぶ木が育ったようで、ますます景色は利かなくなってきているが、静かな山頂からは枝越しに半蔵山が重々しく横たわるのが見えた。

     
   兜山頂上より半蔵山    泥だらけで帰宅

2009年09月13日

林道三昧、ジェベル初全日ツーリング

 ジェベル購入後の初の全日ツーリングに出掛ける。
 ホントは某山に登るつもりで土曜の夜にしっかり支度を済ませていたのに、朝になったらどうも鼻水が少々。チト風邪っぽいので、予定していたハードなコースは体調万全な時に行くことにした。という訳で、遊びとなると実に臨機応変に行動出来る自分に喝采。

 さてさて、頭の中で以前から練っていたコースを実行へ移す。残念なのは綿密な予定を立てて居なかったこと。林道だって導標くらいはあるだろうから大体の方向感覚だけ頭にインプットしていけば何とかなるだろうと思ったが、結構コレが反省点になったことを後ほど知る事になる。大ミスでロスタイムという程の事は無かったが、多少のミスコースや一箇所方向感覚麻痺で逆走もあった。(GPS軌跡は編集でカット)林道走りにも地形図とGPSのポイント設定が必要だという事を大いに学ぶ。

 まずは一本目。古峰ヶ原峠を越えて粕尾峠側に南下するとすぐ都沢林道の入り口がある。存在は随分以前から知っていたし、パジェロミニでも一度少しだけ侵入したことがあったが、何せ先が見えないので撤退していた林道である。

 笹に覆われた導標が良い雰囲気を出している。関東ふれあいの道の一部なのでどちらかというと歩道なのだろうか。だが道は終始酷く荒れた箇所もなく、オフロード初心者に優しい。都沢の流れに添って走る区間になると、なかなか気持ちの良い爽やか林道である。対向車後続車とも無く、ハイカーに逢うこともなく全区間を完全に独り占めすることが出来た。
 道幅がある程度広い事や、勾配の急な区間が無い事から急速に荒れていくとは思えないが、古峰ヶ原~粕尾峠間が完全舗装化で開通したことを考えると、同じ足尾に向かうルートとして都沢林道が廃れていくのは時間の問題だろう。

     
都沢林道入り口    笹に覆われた導標がGood    都沢林道はイージーオフ

 足尾の街を抜けて国道を南下する。草木湖の北端にある沢入(そうり)から北西の山域が目指す2本目の林道になるが、その前にわたらせ渓谷鉄道の沢入駅へ寄り道をして休憩を取ることにした。

 駅舎の廻りはちょっとした集落になっているが、人の気配どころか猫一匹すら目に入らない静かな佇まいである。時折国道からけたたましバイクの排気音が流れてくるのが耳につく。自分もバイク乗りだが、マフラーの音は出来るだけ静かなほうが良いと思う主義なのでいささか残念な気持ちになった。

     
沢入(そうり)駅で休憩    駅舎脇から    これから向かう方面

 国道122号より小中西山林道へ入る。行く手にはハイキングコースもあり、「寝釈迦」などもあるらしい。別な機会に是非"足"で訪れてみたいものである。

 林道のほうは完全舗装だが、折れた枝が道に散らばっていたりと多少荒れ気味である。時折植林帯のまっただ中を進んでいくような箇所有り、傾斜のきつい箇所有りで、今まであまり走ったことの無いタイプの雰囲気だ。GSX1400でも注意すれば通過出来るだろうが、やはりジェベルだと軽快で小気味良く走れる。

 先刻より風が強くなってきたが、途中の鉄塔から東側の景色を眺めて小休止していると、鉄塔を切り刻む風の音がごぅごぅと凄まじい。

     
小中西山林道入り口       鉄塔より東側県境方面

 林道区間の最北点に駐車場がある。袈裟丸山への登山口になっているようだ。あるじの帰りを待つ数台の車と南側の眺望が迎えてくれた。

     
      途中の駐車場から南側眺望

 ここから更に林道を辿ると分岐があり、南に向かえば大滝を経て国道122号へ周回復帰出来る。だが、今回はこの地点より更に西側に延びる小中新地林道を目指す。

 それまでまがりなりにも舗装だった道が一気に悪路に変わり出す。袈裟丸山の南西尾根側登山口辺りからは砂利道が多くなり、いよいよ本格的なオフロードと化していく。救いは道が谷沿いに付いていないということだろう。慎重に走れば全く問題無い。

 この区間は対向車後続車も全く無く、途中導標の無い分岐が数箇所あった。手持ちの情報だけでは少々心許ない感じがした。地形図をプリントし、GPSにチェックポイントを仕込んで来れば・・・と後悔もした。だが何とか夢中で走り抜け、皇海山の南西エリア方面からの林道との合流点でオフ車のツーリンググループと出会った時は内心ほっとする。

 写真がいきなり飛んでしまうが、根利で一般道に復帰したあとは、赤城山の東側の快適県道をひた走り国道122号へ復帰した。途中昼飯を蕎麦屋で取り午後の部の開始である。

 午後は草木湖の東岸についた道路をぐるりと辿り、湖のほぼ中間地点辺りで東へ護岸が食い込んだあたりから「三境線」に入っていく。桐生側から通過することをずっと考えていたのだが、今回はコース取りの都合で逆コースとなった。

 三境線は、道路地図やネット地図、そして地形図にも途中から記載の無い山越え林道である。ここもまた全線完全舗装されているが多少荒れた区間もある。また、眺望ポイントも唯一一箇所のみである。三境山の南南西尾根を跨ぐ区間はトンネルで通過することになるが、奥深い山中に忽然と現れるトンネル内は明かりの一つも無く、唯一出口の光を頼りに進むのは中々風情あり。バイクのヘッドライトとしてはかなり強力の部類に属するジェベルのライトが、いつにも増して力強く感じられたのは言うまでも無い。

     
小中新地林道    三境線入り口(草木ダム側)    三境トンネル

 トンネルを抜けると唯一の眺望ポイントあり。うっかり通り過ぎそうになったが、慌ててUターンして一休みだ。

 ここから暫く走るとやがて石鴨の北方、根本山の登山口手前で三境線は終了となる。梅田に向けて走る県道も初めは道幅が狭く、一台通過した対向車をやり過ごすのにバイクでもやっと。梅田湖に近づくにつれ道も良くなってくると一日の緊張も解けてきた。さぁ、あとは宇都宮までの一般道をひた走るのみ。単気筒の振動がステップから足裏に伝わってきてマッサージのようだ。スリムなシートにケツも悲鳴を上げだしてきた。それでも楽しかった一日を振り返ればなんのその。かくしてジェベルとの全日ツーリングは幕を閉じる。

     
三境線随一の好眺望ポイント    三境線出口(根本山南西)    根本山登山口まで約300m、バイクで行ける

2009年09月06日

林道、河原小屋三の宿線を行く

 先週はジェベルが納車されるも、すっきりしない天候で近場の散歩で終わってしまった。今週は生憎土曜日が仕事だったので、日曜は多少の手入れ(錆び対策)や磨き込みをして午後から林道探索に出掛けることにした。

 まず一本目。古峰ヶ原に向かう途中、羽賀場山の南南西あたりにある鉄塔巡視路、いつも横目でチラ見していたこの入り口(写真下左)に入ってみる。

 初めのうちは平坦な砂利道だが段々轍が深くなって荒れ出していく。これはパジェロミニなどで入ったら大変だ。ジェベルでもコース取りが結構難しい。ひとしきり登ると意外な事に途中から舗装が始まり、やがて草地の道へ。登り詰めた所に鉄塔有り。

 この鉄塔は羽賀場山の南東に走る送電線を中継し、ここより南西の537mPの鉄塔から鳴蟲山の紅白の巨大鉄塔へと至るものである。

 道はそのまま西に向かって下っていくが、切り倒された木が積み重ねてあり侵入は不可能。北側は羽賀場山の山腹に向けてまだ道が続いているも、左右に深い薮が生い茂り、歩いてもかなり困難な雰囲気があるので此処で撤退とした。

     
一本目!    初めはこの程度だが    羽賀場山から鳴蟲山へ向かう中継鉄塔

 二本目はこの林道より僅か西側にある「熊の沢線」に入ってみる。

 大きな岩礫がゴロゴロしている箇所を我慢して通過するとやはり舗装路が出てくる。ただしこちらはかなり勾配が急だ。途中沢を3度ほど渡るが、道がしっかり出来ているのでタイヤを少し濡らす程度で済む。なかなかオフロードっぽくってイイ感じだ。静かな谷にジェベルのエンジン音だけが響き渡る。

 結局道が薮に吸い込まれるようにして行き止まり。若干戻って途中にあった支線を攻めてみたが、倒木に遮られてこちらもUターン。倒木が無ければかなり高い所まで行けそうな雰囲気があったが、ビギナー故深追いは禁物。もう少し経験を積んでからにしよう。

 古峰神社の一の鳥居の手前を右に折れ、東大芦川沿いの道を進む。ここから滝ヶ原峠までの区間は実はこの30年間一度も通ったことの無い区間であった。縁が無いと言おうか、いつ来ても必ず工事中で通り抜け不可という状況であったからだ。

 この河原小屋三の宿線、舗装されていたのは知っていたが、GSX1400では多少不安があり探検行は流石に腰が引けていた。だが今まさにジェベルの出番である。幸いなことに今日は工事中の案内も行き止まりの案内も無い。

 奥まった川中島の集落を過ぎ、いよいよ山深い東大芦川峡谷沿いを進むと、みずみずしい緑が目に染みる。成る程、自然保護団体がこの地域の保護を訴えているのも理解出来るというものだ。

     
二本目は熊の沢線    舗装は薮に遮られ撤退    河原小屋三の宿線の大滝前

 大滝前で小休止する。エンジンを止めると滝の音だけが周囲を包む静寂。癒やされる一時である。

 大滝から先の上流は本沢と日光沢に別れる。道は日光沢添いに続き、やがて沢が消失したあたりから崩落しやすい雰囲気の場所に差し掛かるが、随所に大規模な修復が見られる。この為に長い期間通行止めになっていたのも頷ける。

 左手に三の宿山の懐を回り込むようにして北上すると、ほぼ林道の最高標高点あたりで東南東方面の眺望が開ける地点があった。手前には火戸尻山、そして奥には雲間の光を受けて明るい緑に輝く鶏鳴山がどっしりと控えている。なかなか見応えのある光景だ。

 フィニッシュは滝ヶ原峠。この峠は車でもバイクでも、もう幾度通ったことだろうか。訪れる度に通行止めの看板に行く手を遮られたものだが、その未知の区間を走り抜けてきた喜びが、今こみ上げてきた。

     
大滝    火戸尻山と鶏鳴山    滝ヶ原峠へ出た

 

河原小屋三の宿線走行軌跡
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