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2012年03月 アーカイブ


2012年03月03日

再訪、雪の桝形山


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。
また雪の無いシーズンの牧場内は、防疫の為関係者以外の立ち入りが禁じられています。
桝形山の過去の記事
  2011年5月4日 八方ヶ原のアカヤシオ
  2011年2月13 リベンジ、桝形山

 今シーズンはスノーシューをまだ履いていないが、個人的に3月から暫くアウトドア遊びは中断せざるを得ない事情にある。だが、ぎりぎり休みを一回使える事になった。

 昨晩、宇都宮市内は冷たい雨が降ったが、メッシュ予報では山間部は降雪予報。ここのところ平野部も春の雪が降るなど確実に季節の移ろいを感じる日々である。もし予報が外れて八方ヶ原に降雨があり、雪質が落ちていたら軽く散歩に留めて帰ろうと思っていた。

 県道30号を泉交差点から離れ西に向かい、コーナーの続く山道に差し掛かる。このあたりの道路の積雪具合で八方ヶ原のコンディションが大体想像出来るのだが、今日は昨晩の雪が溶けてシャーベット状になっている。圧雪ではないのでやはり気温が高いのだろう。
 県民の森から登ってくる道と合わせると、その先から段々と路面全体が雪で覆われてくるようになった。先行した車の轍を追いながら快調に進んでいくと、見る見る間に雪の量が多くなり、ついには先行車も途中でUターンしてしまったようである。パジェロミニには嬉しいコンディションだが二駆車にはちょっとキツイ路面かもしれない。

 本日の一番タイヤ痕を付けながら山の駅たかはらへ到着。

 風が多少強く、雪の結晶が時折頬を打つ。だが、朝一で見た天気図はさほど等圧線が込んでいなかったから、そんなに悪い状況にはならないだろう。何よりも頭上には真っ青な空が広がっている。

 雪質は申し分の無いほどのとびきり特上である。出発時の予想は完全に杞憂に終わったようだ。

     
雪で垂れ下がった枝が前方を遮る    本日の一番のり    雪質抜群

 序盤は車道を使い北進する。八方ヶ原北部は車道がぐるりと整備されている。もちろんこの時期は雪に深く閉ざされているので一般車両の通過は出来ないが、趣味や狩猟の人のスノーモービルの往来が結構多い。
 時間が遅くなると、スノーモービルが通過して轍が出来てしまうと思って早く来たのだが、これが正解だった。ベルベットのように敷き積まれた雪面に足跡を刻みながら進んでいくのが楽しい。スノーシューを履いていても10センチから20センチは沈むが、林の中にある道に入りこむと更に深さが加わり、時折膝くらいまで埋まることもある。脇道に入った途端、深い雪に覆われて道自体が不鮮明となった。何処を歩いても同じなので林の中を方角を頼りに進んで行った。

     
見渡す限りの新雪    道路も途中で不明に   

 車道を離れ山の中に入った。桝形山へのルートは整備された登山道があるわけではない。去年、やはり雪の中を登った時は少し先の林道から植林帯を突っ切って最短距離で山頂を目指した。今回は去年の春にアカヤシオ目当てリンゴさんに連れて行って貰ったコースを再現することにした。

 当時のGPSログがあるので迷うことは無いが、緩斜面ではあるが微妙なアップダウンが加わると軽快なスノーシューとはいえ案外ラッセルに体力を消耗する。夏道では要領よく超えることが出来た小さな沢も、今は深く雪に閉ざされている。吹き溜まりの斜面は膝まで埋まりながらの前進となった。

     
山中もまた静寂なり      

 沢を越えるとルートは比較的明瞭になる。とは言っても足跡一つ無い緩斜面なので方角だけは失ってはいけないが、進むに従い段々と記憶に懐かしい景色が見えてくる。夏道ならさして苦労することもない傾斜だが、雪に足を取られると、そう楽には進めない。

 やがて最後の登りを詰めると、そこは山名板一枚が静かに迎える桝形山の頂きである。樹林に覆われ相変わらず眺望に乏しいその山頂からは、向こうに前黒山が大きく聳えていた。間をわかつ桜沢に吹き渡る風が、轟々と恐ろしげな音を立てているのもまた去年と同じであった。

 時間が早かったので、山頂は小休止に留め下山を開始した。往路は孤独なラッセルであったが、帰路は我が足跡が相棒である。

 このままただ往路を辿るのも勿体無いと考え、適当な所で東側にある林道「桝形山線」を目指すことにした。左手に疎林が拡がる。突破するなら此処しかないだろう。

     
三角点石は雪の下       疎林を縫い林道を目指す

 林道手前は僅かに植林帯があるが、適当に降りていったら時折腰のあたりまでも埋まりながら脱出する。去年は逆に林道側から薄手の所を選んで侵入したのだが今年は逆。もっとも僅かな距離なので雪にまみれながら行くのも爽快で楽しいものだ。

 林道に降り立つとスノーモービルの轍がある。林道の終端から戻ってきたのであろうか、間もなく後方より一台通過する。「物好きな奴が歩いているな」ときっと思った事だろう。実際、大間々方面は人気のスノーシューコースだが、桝形山を歩こうとい人は殆どいないだろう。ましてや経路にこの林道を使う人は更に少ないだろう。だが、桝形山にしてもこの林道にしても大間々方面に負けず劣らす、いや、自分的には人が多いあちらより格段に素晴らしい八方ヶ原であると思うのだが。いや、訪れる人が増えるのが嫌なのでここは敢えて声を大にするのを控えておこう(笑)。

 林道を抜ければ再び車道を使い戻ることも可能だが、今年は牧場内を歩いてみたいと考えていた。その前に、そろそろ足も疲れてきたし、先程からガス切れのような気もするので腹ごしらえとしよう。

     
桝形山林道はスノーモービルの先客あり    桝形山林道入口    八方湖に向かう車道

 牧場の傍らにビニールシートを敷いて腰かける。スノーシューを外すと一気に足が自由になって面白いくらいだ。朝方いくらか吹いていた風もどうにか収まったようだ。流れる雲が時折日差しを遮ると、さっと気温が下がる。雲が切れて暖かさが元に戻れば、これほどの雪を前にしてもどことなく春の匂いが感じられるものだ。

 食後は牧柵を超えて駐車場まで直線最短距離を目指す。道も目印も無いこんな広大な雪原はまさにGPSの面目躍如。コースポインタの指し示す方角に向けて雪の海原を踏みしめながら進んでいく。

     
食事ポイントより牧柵    あの樹の元へ、いざ行かん    広大な牧場に我がトレースのみ

 最短距離で直線というのも案外楽ではない。地図ではこれといった変化の無い地形の筈が、超えるとなるといろいろと障害もあり、急斜面の谷下りは時には迂回、また状況に応じては正面突破など。結構な汗をかく。それでも、どこまでも続く美しい雪面を進むのは感動的であり、振り向けば後方に延々と続く我が足跡もかなり非日常的な光景として思い出となった。

 冒頭にも書いたが、今年の春は訳あってアウトドアに興ずることが出来ない。だが、2月に入って雲竜渓谷、赤薙山、そして今回の桝形と季節にふさわしい雪のフィールドを堪能することが出来た。そして先週は粟野のいぶし銀のような薮山、大倉山を楽しむ事も出来た。春のアカヤシオの時期に入山出来ないのは後ろ髪を引かれる思いだが、県北の山に遅い春が訪れ、峰々にツツジが咲く頃にまた山を訪れたいと思う。

     
谷超えも雪なら何処でも通れる    風紋が美しい    延々と続く足跡
  
  

概略コースタイム

《今回は登山とは多少趣が異なるが、約7.5Kmの雪中行動であった》

山の駅たかはら発(8:06)-展望台(8:42)-車道より離れる(9:05)-桝形山(10:04)-
往路より離脱、東の疎林へ(10:34)-林道に接合(10:50)-牧場脇昼食ポイント着(11:28)-
昼食休憩-行動再開(12:09)-山の駅たかはら着(13:18)

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