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2010年11月 アーカイブ


2010年11月21日

望郷ラインを行く

クリックするとルート図が開きます

 沼田の市街地北部の山沿いを縫う「利根沼田望郷ライン」。

 広域農道として引かれたこの道は、4輪2輪問わずドライブ好きな者に人気がある。広域農道は栃木にもほうぼうにあり、そのどれもが閑散とした交通量に快適な路面。走って楽しいワイディングを備えている。

 この望郷ラインは、かつて2度走ったことがある。コースはR120の北側で完結しているとばかり思っていたが、地図を良く見ると南側にも続いており、赤城西麓広域農道、空っ風街道と繋がっているのである。「望郷ライン」でネットを検索しても、ざっと見る限りこの南の区間の記事は少なめである。それが故に、是非ここは走っておきたいとかねてより思案していた。

 金精峠が無事越えられるかどうかがポイントだった。

 冬季閉鎖は11月26日からだ。日光へ進んでいくと所々の電光掲示板に「金精峠、チェーン携行要」と表示されている。だが、いろいろと集めた情報と、今朝の男体山観測(毎朝男体山を眺めて着雪状況、融雪状況を確認している。最近それが習慣化)を勘案すると、ほぼ通行可能なのではないかと判断した。もちろん行って見なければ判らないが、駄目なら引き返す。その時は今日の計画は今年は縁が無かったと諦めよう。

 いろは坂を登り詰め、中禅寺湖畔を走ると、それまでの寒さとは一線を画した厳しく冷たい空気が待っていた。湖面の向こうの社山や半月山はすっかり初冬のいでたち。後は雪を待つばかりといった顔つきである。

 金精峠に入っても路面は問題ない。快調にバイクを進め、金精トンネルを抜けると路肩にやや雪が残っている。更に菅沼キャンプ場前には良く締まった雪が吹き溜まりとなっている。この場所は5月のGWに来ても最後まで雪が残っている場所である。

 この先は山の北側に道路が付いている。路面は若干WET気味故に、万が一凍結ということも考えられる。超徐行でバイクを走らせ、前方に凍結が見えた時点で即Uターンする積もりで進んでいく。
 暫くすると、対向方面から大型バイクが4台、やはり徐行で向かってくる。先頭の一台が手を振っているが、果たしてこの先が通行出来ないので戻ってきたのか?

 気を揉みながら慎重に走行し、丸沼スキー場付近でようやく路面がドライになってきた。スキー場は既に営業を開始していて、僅かな狭いゲレンデに沢山のボーダーがシュプールを描いていた。

     
金精山を目指して    トンネルを超えると路肩に雪    菅沼キャンプ場前

 R120を南下していくと景色の良い椎坂峠でいつものように休憩だ。日光側から沼田に抜ける場合、椎坂峠は絶対的に休憩を取りたくなるほど魅力的な景色が広がっている。


椎坂峠より上州の山並み

 沼田の市街地の手前に望郷ラインの入り口がある。まずは北半分をぐるっと周遊だ。観光道路的な色彩があるのはこの北半分であるが、快適なワイディングと交通量の少なさ、広域農道たる快走路である。
 さらに、ここ望郷ラインはなんと言っても景色が良い。地元のライダー達はなんと恵まれたことかと若干嫉妬さえ感じるほどである。

     
望郷ライン      

 望郷ラインの前半を走り終え、R120を日光方面へ少し戻ったところが本日の昼食スポット、中華料理店の「馬鹿旨」である。
 「馬鹿旨」のトマトラーメンは、栃木のバイク乗りの間では結構有名であるが、自分もそんな栃木ライダーの端くれとして一度は味わってみたいと思っていた。

 昼食時とあって店の外まで列が出来ていたが、「お一人様」ということで直ぐカウンター席に案内して貰った。

 注文は勿論トマトラーメン。味のほうは思っていたほど強烈な味ではなく、トマトの酸味が丁度良い感じ。中華とイタリアンの絶妙なコラボ。どちらかというと中華寄りに軸が振られた味はもう一度食べたいと思わせるには充分。自分的には麺をもう少し硬めにしてアルデンテのスープスパゲティを食べているような演出があれば良いのではと感じた。

 店は活気があり、リピーターとおぼしき客も多数いるようだ。他の品も食べてみたいと思わせるなかなか良い店であった。

 食後は、先ほど望郷ラインへ入った交差点まで戻り、ここより南側半分のコースへ進む。

     
馬鹿旨    これが噂のトマトラーメン   

 望郷ラインの南側は、広域農道としての地味な面持ちだけで華やかさは無い。ただ、それもはじめのうちだけで、片品川の対岸に渡り高度を上げると再びパノラマの広がる好眺望路と変わっていくのだ。

 地図を見ても、どこが望郷ラインなのか不明でいささか自信が無かったが、曲がるべきポイントには全て道標が設置されているので安心である。

 望郷ラインからは、赤城西麓広域農道、空っ風街道と繋ぎ、快走の果て、R122へ出た。草木ダムからはダムを渡り東岸の道路から三境林道を使い桐生へ抜ける積もりだったが、三境トンネル近辺が路面崩落で通行止めとの案内板があった。しかたなく、足尾経由で帰ることにした。

     
南側の望郷ライン       草木湖でコーヒーブレイク

 足尾トンネルをくぐる直前、廃道化しつつあるという旧国道122号の細尾峠へのゲートはどうなっているだろうかと立ち寄ってみる。

 いままで何度訪れても、猫の仔一匹通さないような頑丈なゲートが立ちはだかっていたが、今日は開いているではないか。丁度バイクのグループが上のほうから降りてきたところとすれ違う。自分も迷いなく峠へとバイクを進めた。

 落ち葉や枝などで少し雑然とした区間もあるが、特に通行に支障なし。今回のようにオンロードタイプの大型二輪でも全然問題は無い。イメージ的には粕尾峠とほぼ同じといえばバイク乗りならピンと来るかもしれない。

 今回は望郷ラインの南半分と、思いがけなく通過が叶った細尾峠。この予想外の収穫が嬉しいツーリングであった。

  
色褪せた旧道の標識    細尾峠

2010年11月19日

冬近し

 毎朝、会社の屋上でラジオ体操をするのだが、寒い冬と暑い夏はことのほか辛い。
 だが、天気の良い日は山が良く見えて励みになるものだ。
 今朝は日光の積雪が今年の冬一番。昼過ぎには消えていたが、こうやって段々根雪になり真冬がやってくるのだろう。


冠雪の日光連山



高原山と宇都宮アルプス(篠井連山)



富士山が見えた!

2010年11月14日

深高山と石尊山


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 深高山石尊山。地図で眺めると、サツマイモに良く似た丁度真ん中を走る尾根にあるこの二つの山。起伏の少ないこの尾根を一度歩いてみたいとかねてより思っていた。

 いつ登ろうかと思いながら2年程経過して今日に至るが、歩くならのんびりとした気分で・・・と考えていたところ、Mixiの山歩き企画のお誘いを受けて参加させていただくことにした。

 山行計画は、猪子トンネル入り口より深高山と石尊山を踏み、石尊山西側の展望広場で昼食。ピストンで下山である。
 主催者の「なおべぇ」さんにお願いして、昼食後に本隊と離脱してそのまま西に下山。麓の石尊神社にデポした自転車で猪子トンネル側まで帰還することにした。

 集合時間に遅れないよう余裕を見て出発したら、少し早めに到着してしまったので、ガイドブックなどにも紹介されている鶏足寺を訪れた。かつては広大な敷地に多数の伽藍を擁していたようだが、消失再建で規模縮小した今もなお、当時の雰囲気がどことなく漂う寺である。また、寺から見える石尊山が如何にも里山然としていて良い景色だ。

     
鶏足寺より石尊山      

 集合場所にメンバーも揃い、林道奥から伐採切り出しのブル道のような急斜面をまず登っていく。工事中で閉鎖されいる林道が蛇行して山道の脇を通る。やがてその林道からも離れ、間伐の植林帯の小尾根を登り詰めるとそこが猪子峠である。
 道標を見た瞬間、千人ヶ岳の下山時に此処よりトンネル西側へ降りた記憶がよみがえってきた。鬱蒼とした猪子峠からは、巻いて登って尾根を乗り換えて、最後の尾根道は電車道。山頂の深高山へ近づくにつれ傾斜も緩やかとなっていく。

     
猪子峠       枯葉の登山道

 深高山頂上は南がいくらか開けているがスッキリした眺望は得られない。先客のグループが大休憩の途中であったので我々もザックを置いて各々エネルギー補給タイムとなった。

 深高山から石尊山までの尾根道は起伏も殆どなく、歩きやすい。カサコソと膝に優しい枯葉の道を、ザックがリズミカルな足音に揺れていく。里山の晩秋は、派手さこそ無いが、静逸にして真っ盛りといった風情である。

     
   落葉の明るい尾根道    里山の秋

 石尊山もまた眺望は得られず、その少し先にある展望広場で食事になった。大きなテーブルを囲んで食事をしているとまるで遠足のようだ。天気は生憎の曇り空だが、雨の心配は無い高雲りのもと、のんびりとした時間を過ごす。

     
   眺望もひっそりと    石尊山先の見晴らし広場

 食事後は本隊から一旦離脱し同行の「せろーG」さんと西側の岩尾根を下っていく。見晴らし広場の直ぐ下には自転車をデポしてきた石尊神社の奥社があり、眼下に里の景色が見渡せる。浄水施設のようなものや、掘削した様子が痛々しく少し残念であるが、ふもとの集落は長年に渡ってご神体に見守られてきたのだろう。そんな地元の人達の篤い信仰により年に一度、梵天が奉納されるという。

     
石尊神社奥宮       奥宮の眼下

 ごつごつとした岩尾根をひたすら降りて、植林帯へ吸い込まれればもう下山も終わりである。「ここより女人禁制」の大きな石碑を通過すると、下に石尊寺の屋根が見えてきた。

 さぁ、後は猪子トンネル出口まで6キロ強、標高を+100m稼ぐ自転車漕ぎが待っている。

     
石尊山の西は岩尾根    かつては女人禁制の神域    自転車で駐車地へ戻る

 前回太郎山下山の裏男体林道で使った折りたたみ自転車があまりにもプアな性能だったので、安物ではあったが新車を調達して今回はその実地初走行である。
 新車の軽快間もあって、前半はなかなか快適な走行。だが、いよいよ斜度がきつくなる終盤は青息吐息。口数も殆どなくなり、6段ギアの一速でもついにギブアップである。力強く自転車を漕ぐ「せろーG」さんの背中がコーナーの向こうに吸い込まれると、もはやこれまで。潔く自転車を降りて押し歩きである。
 トンネル手前で何とか最高標高点まで登り詰めると、後は極楽の下り坂。あっという間に駐車地に到着した。今日一番の難所はこの区間であった。

           
本隊帰還     

概略コースタイム
駐車地発(10:32)-猪子峠(10:48)-深高山(11:59)-休憩-行動再開(12:19)-石尊山(12:58)-
展望広場着(13:11)-昼食休憩-行動再開(14:16)-石尊寺(14:53)-自転車-駐車場着(15:26)

2010年11月07日

光徳牧場より太郎山周回


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 今季登り残した夏山。

 夏山とは何ぞやという問いに対して、自分の夏山は、「メジャーな山域で標高2000m超」という定義にしている。
 県外に至ればそういう山は幾らでもあるのだが、ここはとりあえず『栃木の山』で、といったところである。

 さて、話を元に戻すが、再び、今季予定をしていて登り残した夏山。日光の太郎山と白根山が該当である。今年の夏は猛暑のせいなのか、2000mを超える所は下界から見る限り常にガスっていたような気がする。すっきりと秋晴れの元歩くべしと考えているうちになかなか機会を得ず、あれよあれよと季節は過ぎていく。会社から見える白根山が日々白くなっていくのを見るにつけ、もう今年は奥日光は無理かなと諦めかけていた。

 山に行くようになってからは、天気予報は常に微に細に渡ってチェックするようになったが、そのお陰か好機は訪れるものである。

 11月7日、気圧の配置予想が僅かにずれて奥日光に晴天の予報が出る。気温も少し高め。宇都宮から安物の単眼鏡で日光連山を観察すると、赤薙山南西の大鹿落し近辺に僅かに着雪が認められたものの特に積雪がある感じはしない。数日前に寒気が訪れて北面はどうなっているのか判らないが、危険だと思えば撤退すればよいだろう。念の為、前夜に軽アイゼンをザックに忍ばせた。

 自宅を早朝の4時に出発。まだ暗い裏男体林道を走り、太郎山の新薙登山口に着いたのは6時頃である。今日は此処に折りたたみ自転車をデポし、光徳牧場より山王帽子山と太郎山を周回する。

 自転車を降ろして固定物にロックしている僅かな間に辺りが明るくなってきた。先ほどから周囲で甲高く啼く鹿の、興味深げにこちらを伺う姿がすぐそこにあった。

 登山口である光徳牧場まで戻り、まだ車が一台も駐まっていない駐車場の片隅にパジェロミニを置いた。思ったより気温は低くなく、ほんの少し肌寒い程度である。朝食を摂っていると、牧場売店の建物から人が出てきて新聞受けの新聞を取りに来た。こんな所にも新聞の配達があるのかと少々驚く。

 準備を整えて出発!

 出だしは勾配も緩い散策路のような山道だ。霜が降りた落ち葉がサクサクと足に優しい。

     
早朝の光徳牧場P    まずは山王峠を目指す    晩秋の落ち葉
     
おだやかな笹の小径を行く       岳樺の林

 後半は、苦手な階段に息を弾ませながら登り詰めていくと、やがて山王峠へ到着である。なだらかで穏やかな笹の道を進むと、於呂倶羅山と向かう山王帽子山が大きく見えるようになる。とうに日が昇っているのに未だ朝の雲が厚い。周囲の笹に霜が降りていて、まだ周囲は眠りから覚めやらぬ雰囲気が支配していた。

     
   早朝の於呂倶羅山    山王帽子山を見上げる

 僅かに下ると舗装林道の奥鬼怒林道へ接合し、一旦光徳牧場側へ戻るとそこが登山口である。ここからが本番。水を一口含んで気合を入れなおす。

 初めのうちは楽な登りもどんどん傾斜がきつくなってくる。だが、振り向くと徐々に景色が広がってくるのが励みになった。天気は相変わらずスッキリしないが、現在地の西ならびに北側は青い空が支配し、太陽が居る筈の東側は中層の雲に覆われている。時折雲が切れて明るくなったり再び暗くなったり。そのたびに一喜一憂しながら登っていく。予報を信じて来たのだからスッキリと晴れた眺望を期待したいものだ。

     
奥鬼怒林道へ一旦接合    ここが登山口    振り向くと三岳

 樹林の中の登山道を黙々と登っていく。時折後方の枝越しに見える白根山に励まされながら山王帽子山へ到着した。山名板の向こうにはまだ覚めやらぬ雰囲気の男体山が重々しく鎮座している。尾瀬の山並みにも雪が見えるが、どことなく山に照る光は朝の色彩が残っていた。

     
山王帽子山頂上    朝の空気を纏った白根山    まだ覚めやらぬ男体山

 幾分風が強くなってきたのでヤッケを羽織り、笹の茂る静かなコルへと降りる。再び登りに転じると、やがてハガタテ分岐へ到達した。

 地形図に現在も表記されているハガタテ薙のコースは通行禁止となっている。ネットで歩いた人の記録を見ると、かなり危険な薙を通過するようで、流石に此処を行く人は命知らずだと自分も思うのだが、見る限り踏み跡はかなり濃い。通行禁止の看板も朽ち果てていてその字すらも判読できない。

     
一旦コルへ    来し方を振り返る    ハガタテ分岐より山王帽子山

 コツコツと高度を上げていくとふと人の気配がしたので上を見ると、大きな犬を連れた登山者が道を譲って待っているところだった。本日初めて遇う登山者だ。犬は図体がでかいが、案外小心のように見て取れる。主人と蜜月のように二人きりで歩いていた山中に、突然赤いヤッケを着た浸入者が、それもけたたましく熊鈴を鳴らしながら現れたのでさぞや驚いたようである。首をかしげながらこちらを伺うその尻尾はすっかり腹にぴったりと張り付き、きっと怖かったのだろう。犬が気の毒やら可笑しいやら、飼い主氏も苦笑いである。

 標高が高くなると、所々に樹氷が見られるようになってきた。丁度この頃雲が本格的に切れて日差しが降り注ぎ出した。一気に気温が上がり始め、解けた樹氷が剥がれ落ちる様子がなかなか素晴らしい。こんな光景は滅多に見ることは出来ないだろうにと思ってふと振り返ると、花が咲いたような樹氷の中に白根山が佇む風景。思わず息をのんだ。

     
樹氷       花咲く樹氷と白根山

 一投足で小太郎山頂へ到着。

 おぉーっ、と、思わず声が出るほどの好眺望。掛け値なしの360度眺望である。

     
小太郎山頂上は360度眺望    会津駒ケ岳方面?(自信無し)    燧ケ岳

白根山から北西方向

東側の帝釈山と小真名子山、大真名子山

男体山


360度の眺望動画

 景色を存分に楽しんだ後はいよいよ太郎山を目指す。

 始めの岩場が結構きつい。岩の下のテラスが狭く、その下は垂直に切れ落ちているので慎重さが要求される。ロープも張っていないし、高度感もかなりある。高所恐怖症の人や岩場通過初心者の人はやめておいたほうが無難であろう。
 今回、太郎山からの下山で新薙を通過したので、これで日光三険(大真名子山の千鳥返し、女峰山の馬の背渡り、そして太郎山の新薙)はすべて経験したことになるが、そのいずれよりもこの剣ヶ峰のほうが険しいのではという感想である。

     
太郎山へ向かう稜線       岩場を通過後
奥:小太郎山、中:剣ヶ峰

 岩場から続く痩せ尾根を過ぎると、向かい側に岩交じりのピークがあり、これを登っていく。太郎山のニセピークのような此処を通過し、右手に火口原のお花畑を見ると山頂はもう少し。

 お花畑への分岐から真っ直ぐ進んでいくと、上のほうから満面の笑みを湛えた顔が挨拶してきた。「最高の天気ですよ!」
 本日二人目の登山者である。

 入れ替わりに下山していった彼の笑顔の理由(わけ)が納得できるような素晴らしい眺望が広がる太郎山山頂。小太郎山からの景色とさほど違いはないものの、微妙にアングルが違うのでこちらも素晴らしい。

ながらも大きな満足感を隠せぬ顔でやってきた。

 男体山ファミリーに囲まれた山頂にはバーナーの炎の音だけが響く。遠くの山々はそんな寡黙な我ら四名を静かに見守っているようだった。

     
太郎山の南西の肩    火口原のお花畑    太郎山頂上
     
帝釈山、小真名子、大真名子、    男体山と中禅寺湖    太郎山より白根山


 山頂から真南に下っていくとお花畑に出る。肝心の花は既に乱獲されており、今は僅かな種類だけが残るというこの場所も既に初冬の装いで寒々しい枯野となっていた。

 お花畑より更に下ると薙を2箇所渡る。二つ目の薙渡りの途中に新薙のプレートがあった。日光三険の一つである新薙渡り。上を見ると、今直ぐに転がり落ちてくるような危険な岩は特に見当たらないが、まずは安全にすばやく渡るのが先決。

     
お花畑    新薙より小真名子と帝釈山   

新薙の様子

 新薙を過ぎ、樹林の中を下る登山道の傾斜がたいへんきつくなってきた。次に足を何処に出せばよいか考えてしまうほどの段差と悪路。登りはさぞかし辛かろう。背の低い方は通過に苦労するのではないだろうか。

 その厳しい下りも後半は随分と穏やかになり、男体山を見上げるようになると本日のコースも終盤大詰めである。

     
男体山を見上げる    左奥、小太郎山、右、太郎山    穏やかな日差し射す岳樺林

 無事林道へたどり着くと、早朝、鹿に見守られてデポした自転車が待っていた。さぁ、ラストセクションをよろしく!頼むぞ相棒。

 裏男体林道までの砂利道はハンドルを取られないようにそろそろと、舗装路からは快適な下りだ。お陰で約6キロの道のりをあっという間に走り切ることが出来た。

 実は光徳牧場駐車場手前の僅かな登り坂がキツくてキツくて・・・。最後の最後は自転車を押しながらのゴールインである。
 結果的には大助かりな相棒であったが、変速機なし、タイヤも小径で乗りづらい。おまけにブレーキも効かない。これからの冬の薮山シーズンに向けて、是非機動力のある一台を確保したいところだ。

     
下山終了    コイツが待っていた    頼むぞ!相棒

 裏男体林道を自転車で下る

 下山終了後は光徳牧場のアイスクリームに舌鼓を打ち、更なる本日の山遊びのデザートは、奥鬼怒林道を川俣へ向けてドライブとした。

 里近くまで降りてきている紅葉が目にも心にも沁みる。四季のある日本に生まれてよかったと思うひと時である。

以下、奥鬼怒林道ドライブ

     
北側から見た太郎山    県境の峰々    川俣湖
     
      残照(栗山村)

概略コースタイム
光徳牧場駐車場発(6:40)-奥鬼怒林道接合(7:40)-山王帽子山(8:40)-小太郎山へのコル(9:02)-
ハガタテ分岐(9:22)-小太郎山(10:16)-太郎山(10:56)-昼食休憩-行動再開(11:30)-
お花畑通過(12:01)-新薙通過(12:10)-新薙登山口(13:41)-ここより自転車-光徳牧場駐車場着(14:14)


2010年11月03日

唐沢山ドライブ

 男体山ファミリーも太郎山を登っていないのが今夏の忘れ物となってしまったが、もはや季節も秋から冬へと向かいつつある。

 文化の日、平野部は絶好の行楽日和であったが、これは西高東低の冬型気圧配置のお陰。西のほうへと目をやると標高の高い所には重厚な雪雲が押し寄せているように見える。

 ということで、前夜まで太郎山行きを画策していたのだが、ウェザーニュースの奥日光の荒天を見て中止とした。しかし、こんなピーカンの良い天気のもと、どこへも出かけないのも癪である。久々に家内と山行と思ったが、はて、急な計画でも楽々登山はどこかなと思案。

 唐沢山。Pから山頂まで15分。これ以上のお手軽さは無いだろうということで、ドライブも兼ねて出発した。

 まず初めは、下粕尾から大越路トンネルを抜けて永野へ。新蕎麦の幟に誘われて入った「ながの家」で蕎麦を食す。

 残念なことに新蕎麦は来週からということであったが、それでもなかなか美味い蕎麦である。突き出しのさしみこんにゃくも素朴な手作り感があり美味。茄子の漬物は柚子の香りがポイントで珍しい味わい。

     
ながの家    突き出しのさしみこんにゃくと漬物   

 永野より田沼を抜けて唐沢山へ。

 駐車場から山道は一切無く、神社の境内を歩いているうちに山頂へ到達。地図に三角点表記は無いが、山頂を記す箇所は神社の立ち入れない敷地内にあって踏むことは出来なかった。
 社務所脇から南の眺望があるが、遠く埼玉・東京方面の高層ビルが肉眼でたやすく見えるほど天晴れな景色である。此処でお湯を沸かしてコーヒータイムとした。
 駐車場脇に「天狗岩」なるポイントがあったので帰路に寄ってみると、西側の眺望がすこぶるよく、眼下に伸びる北関東道や遠く西方には浅間山もはっきりと見ることが出来た。

今回は山歩きとは決して言えないが、それでも一応「栃木百名山」。こんな山行もたまには面白いものだ。

 まだまだ時間があったので、道の駅ど真ん中田沼で買い物、その後、出流原弁天池にある福寿荘売店で揚げたての芋フライ。久々に観光的な休日であった。

     
唐沢山神社参道      
     
南方面    南西    都心方面高層ビル?
     
     
     
      天狗岩より
           
出流原弁天池の芋フライ      

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