望郷ラインを行く
沼田の市街地北部の山沿いを縫う「利根沼田望郷ライン」。
広域農道として引かれたこの道は、4輪2輪問わずドライブ好きな者に人気がある。広域農道は栃木にもほうぼうにあり、そのどれもが閑散とした交通量に快適な路面。走って楽しいワイディングを備えている。
この望郷ラインは、かつて2度走ったことがある。コースはR120の北側で完結しているとばかり思っていたが、地図を良く見ると南側にも続いており、赤城西麓広域農道、空っ風街道と繋がっているのである。「望郷ライン」でネットを検索しても、ざっと見る限りこの南の区間の記事は少なめである。それが故に、是非ここは走っておきたいとかねてより思案していた。
金精峠が無事越えられるかどうかがポイントだった。
冬季閉鎖は11月26日からだ。日光へ進んでいくと所々の電光掲示板に「金精峠、チェーン携行要」と表示されている。だが、いろいろと集めた情報と、今朝の男体山観測(毎朝男体山を眺めて着雪状況、融雪状況を確認している。最近それが習慣化)を勘案すると、ほぼ通行可能なのではないかと判断した。もちろん行って見なければ判らないが、駄目なら引き返す。その時は今日の計画は今年は縁が無かったと諦めよう。
いろは坂を登り詰め、中禅寺湖畔を走ると、それまでの寒さとは一線を画した厳しく冷たい空気が待っていた。湖面の向こうの社山や半月山はすっかり初冬のいでたち。後は雪を待つばかりといった顔つきである。
金精峠に入っても路面は問題ない。快調にバイクを進め、金精トンネルを抜けると路肩にやや雪が残っている。更に菅沼キャンプ場前には良く締まった雪が吹き溜まりとなっている。この場所は5月のGWに来ても最後まで雪が残っている場所である。
この先は山の北側に道路が付いている。路面は若干WET気味故に、万が一凍結ということも考えられる。超徐行でバイクを走らせ、前方に凍結が見えた時点で即Uターンする積もりで進んでいく。
暫くすると、対向方面から大型バイクが4台、やはり徐行で向かってくる。先頭の一台が手を振っているが、果たしてこの先が通行出来ないので戻ってきたのか?
気を揉みながら慎重に走行し、丸沼スキー場付近でようやく路面がドライになってきた。スキー場は既に営業を開始していて、僅かな狭いゲレンデに沢山のボーダーがシュプールを描いていた。
金精山を目指して | トンネルを超えると路肩に雪 | 菅沼キャンプ場前 |
R120を南下していくと景色の良い椎坂峠でいつものように休憩だ。日光側から沼田に抜ける場合、椎坂峠は絶対的に休憩を取りたくなるほど魅力的な景色が広がっている。
椎坂峠より上州の山並み
沼田の市街地の手前に望郷ラインの入り口がある。まずは北半分をぐるっと周遊だ。観光道路的な色彩があるのはこの北半分であるが、快適なワイディングと交通量の少なさ、広域農道たる快走路である。
さらに、ここ望郷ラインはなんと言っても景色が良い。地元のライダー達はなんと恵まれたことかと若干嫉妬さえ感じるほどである。
望郷ライン |
望郷ラインの前半を走り終え、R120を日光方面へ少し戻ったところが本日の昼食スポット、中華料理店の「馬鹿旨」である。
「馬鹿旨」のトマトラーメンは、栃木のバイク乗りの間では結構有名であるが、自分もそんな栃木ライダーの端くれとして一度は味わってみたいと思っていた。
昼食時とあって店の外まで列が出来ていたが、「お一人様」ということで直ぐカウンター席に案内して貰った。
注文は勿論トマトラーメン。味のほうは思っていたほど強烈な味ではなく、トマトの酸味が丁度良い感じ。中華とイタリアンの絶妙なコラボ。どちらかというと中華寄りに軸が振られた味はもう一度食べたいと思わせるには充分。自分的には麺をもう少し硬めにしてアルデンテのスープスパゲティを食べているような演出があれば良いのではと感じた。
店は活気があり、リピーターとおぼしき客も多数いるようだ。他の品も食べてみたいと思わせるなかなか良い店であった。
食後は、先ほど望郷ラインへ入った交差点まで戻り、ここより南側半分のコースへ進む。
馬鹿旨 | これが噂のトマトラーメン |
望郷ラインの南側は、広域農道としての地味な面持ちだけで華やかさは無い。ただ、それもはじめのうちだけで、片品川の対岸に渡り高度を上げると再びパノラマの広がる好眺望路と変わっていくのだ。
地図を見ても、どこが望郷ラインなのか不明でいささか自信が無かったが、曲がるべきポイントには全て道標が設置されているので安心である。
望郷ラインからは、赤城西麓広域農道、空っ風街道と繋ぎ、快走の果て、R122へ出た。草木ダムからはダムを渡り東岸の道路から三境林道を使い桐生へ抜ける積もりだったが、三境トンネル近辺が路面崩落で通行止めとの案内板があった。しかたなく、足尾経由で帰ることにした。
南側の望郷ライン | 草木湖でコーヒーブレイク |
足尾トンネルをくぐる直前、廃道化しつつあるという旧国道122号の細尾峠へのゲートはどうなっているだろうかと立ち寄ってみる。
いままで何度訪れても、猫の仔一匹通さないような頑丈なゲートが立ちはだかっていたが、今日は開いているではないか。丁度バイクのグループが上のほうから降りてきたところとすれ違う。自分も迷いなく峠へとバイクを進めた。
落ち葉や枝などで少し雑然とした区間もあるが、特に通行に支障なし。今回のようにオンロードタイプの大型二輪でも全然問題は無い。イメージ的には粕尾峠とほぼ同じといえばバイク乗りならピンと来るかもしれない。
今回は望郷ラインの南半分と、思いがけなく通過が叶った細尾峠。この予想外の収穫が嬉しいツーリングであった。
色褪せた旧道の標識 | 細尾峠 |
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