前回敗退の高原山へ向かう。
今回は、中間テストを控えて勉強にいそしむ娘は参加不能。家内は娘を置いてはゆけぬということで、単独で向かうことになった。
前回の家族ハイキングは大間々駐車場から八海山神社往復という距離的にも超お手軽コースの予定であったが、悪天候故の敗退。
今回は自分だけなので、剣が峰から大入道経由で廻ってみようか。いや折角だから往復3時間を頑張って釈迦ヶ岳(しゃかがたけ){1795m}まで足をのばしてみよう。
八方ヶ原といえばこの時期ツツジが有名である。一面のツツジの海原を期待して行ったのだが、小間々周辺はもう既に見頃が過ぎてしまっていた。
駐車場は今の時期相当に混雑するという事前情報を警戒して、朝7時半頃には既に小間々駐車場に到着した。結構な台数が既に停まっており、なおかつ皆さん行動を開始しているようである。見れば大部分県内ナンバーなので常連さんなのか。
車内で朝食をとってしばし休憩。身支度を調えいざ出発だ。遊歩道を使って大間々へと向かう。
大間々手前から林を抜けると一体に広がるツツジ。樹々に覆われた遊歩道歩きから解放されたことも手伝って、鮮やかなツツジの花を楽しむことが出来た。
大間々駐車場に到着したのは8時40分頃だが、既に駐車場は満車。後で調べて解ったのだが、ツツジを見るのならここからミツモチ山へ向かうのも良いらしく、これは是非来年の家族企画に採用しよう。
それにしても今日は風が強い。しかしながら空には雲一つ無いピーカンである。実は、昨晩から続くこの強い風の原因は解っていた。
大型の低気圧が東海上に去りつつも、外輪の気圧が混んでいる部分が未だ本州上に残っているからである。日曜になれば低気圧は完全に去り高気圧に支配される予報天気図を見ていたので、風の事だけ考えれば今日より明日という判断だが、まぁヤセ尾根で吹き飛ばされそうだったら今回も敗退すれば良いだろうと思った。
結果的には翌日に残る疲れを考えると、土曜日決行が正解だった。だがこれはあくまで結果論。(筋肉痛の日曜日にこれを書いている)
駐車場からしばらくは砂利林道(車両は進入禁止)をのんびりと歩く。時折老夫婦が花の写真を撮っていたりとなかなかのんびりした雰囲気である。見上げれば真っ青な空に緑の筆を下ろしたようなきらめき。気温も丁度良いし、風さえ無ければこれほどのハイキング日和は無い。
程なく登山口に到着し、入山ノートに記帳してここからが山道である。今回の山行で思ったのだが、山としての深さやそれに付随する危険度は流石にそこらの里山より一枚上手。しかしながらコースの整備度(道標や道そのもの)はさすが高原山は一流である。最近は、道標などろくに無いあるいは全く無い、そして踏み跡が薄いとか厚いとかそういったところを登っていたので、こうも潤沢に標識が設置されているとさながらカーナビで走って居るような感じである(笑)
整備と言えばもう一つ思ったのが、特に後半の剣が峰~大入道~小間々間の笹道。昨シーズンに登山道に生い茂った笹を丹念に刈り取り、ハイカーが誤って笹の中に迷い込まないよう配慮されている。これもまた日頃藪山にいそしむ自分にとっては過剰サービスという気がしないでもないが、確かに足元を凝視しての笹漕ぎは危険かつ道迷いの原因なのは火を見るより明らか。作業に携わる地元関係者に大いに感謝である。
初めは緩やかだった登りもややきつくなってきて、上に明るさが見えてきてエイヤと更に一登り。眺望良好な尾根筋に到着。大間々駐車場から八海山神社に向かうこの南側のルートの名前は「見晴らしコース」。なるほど、コース名の期待を裏切ることなく見事な眺望風景が迎えてくれた。後から来た初老夫婦が大きく息をつき腰を下ろして休憩を始めた。つられて自分もザックを降ろしてしばしの休憩。
ここで家内にメールを入れようと試みるが、圏外だったりアンテナが2本立ってみたり、でも通信そのものは不能。いつもの低山なら大抵の所で携帯は使えるのだが、流石に眼下の集落からこちらへの指向性の電波は無いようである。このあとも幾つか街が見えるポイントでも発信を試みたが何処も駄目。連絡が無いので家内が気を揉んでいるのではと、行動中少しそれが気がかりだった。事前に解っていれば説明していたのだが。
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大間々のツツジ |
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青空に映える緑 |
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見晴らしコースより |
八海山神社へ向かう見晴らしコースはあまりにも景色が素晴らしく、所々足を止めたくなるほどだ。先ほどから見えている釈迦ヶ岳を目指して更に進むと程なくガレ場が始まり、遠くに小祠が見えてきた。あれが八海山神社{1539m}。
神社の周りは岩だらけ。あたりを遮るものも無く眺望も良い。更にケルンなども積んでありアルペンムードが漂う。ここから来た道を戻るもよし、林間コース(北側の尾根のコース)を使って帰るのも、家族ハイキングや日頃山には行かない人にとってはうってつけのコースになるのではと思うことしきり。
八海山神社を後にして更に進むと、少し道が静かな感じになる。適度な斜度のコースを黙々と登っていくとそこは矢板市最高地点{1590m}。木々に覆われ眺望は無い。
この先、帰路の剣が峰~大入道コースにもこういったピークが幾つかあるが、いずれも眺望は無い。先ほどの見晴らしコースの景色があまりにも素晴らしかった故少し物足りないような気がした。
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これから向かう釈迦ヶ岳 |
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八海山神社 |
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矢板市最高地点 |
矢板市最高地点より高度を下げて剣が峰分岐へ。剣が峰は帰りに寄ることにしてそのまま西へ進むと更に高度が下がっていく。ここからが釈迦ヶ岳往復のコースに入った訳だが、道に不明瞭などというのは微塵も無し。しかし、流石に急峻なエリアにふさわしく、北側の谷は深く切れ込んでおり道が痩せている箇所もある。私などのようなビギナーハイカーが言うのもおこがましいが、初めて訪れる方は充分に注意をして通行されたい。地形図をご覧になれば解るが、落ちると一発で50m以上は滑落しそうな感じである。もっとも危険箇所にはロープを張って注意を促したりと、この辺も関係者の配慮はぬかりが無い。
切れ落ちた区間を注意しながらやり過ごすと、今度は結構な急登区間が待ち受けている。トラロープに助けて貰いながら登るこの辺になると流石に疲労もピークになって来た。喘ぎ喘ぎ休み休み登って行く。止まる度に高度計を見ても稼いだ高さはまだ20m、やっと30m。
ヘロヘロになりながらようやく登り切ると鶏頂山からの登山道と合流する分岐へ到着。釈迦ヶ岳山頂へはあと一歩の筈が、脚が進まずここでも立ち止まる。さぁもう一頑張り!
山頂到着。
苦しかった登りの疲れも一瞬にして吹き飛ぶような素晴らしい風景に暫し立ちつくす。流石は一等三角点を有する高原山の盟主。
宇都宮市内からは日光男体山と共に高い山のシンボルとして慣れ親しみ、いつも「見」ていた山。今まさにその山頂に立っているという感動!
相変わらずの強風で、遮るものの無い山頂はちょっと辛いものがあったが、皆さん枯れ笹の中で腰を下ろしてランチにいそしんでいる。これに習って適当な場所を陣取るとあら不思議。あんなに強い風も笹に覆われて風は殆ど感じない。
雄大な景色を見ながらの昼飯は最高だ。コンビニのおにぎりもここではとびきりのご馳走である。非常時用にキープしてある氷入りの水筒からよく冷えたお茶を一杯飲む。あぁ極楽だね。
その後、枯れ笹のベッドに横たわり青空を眺めながら一休み。こういった場所がある山頂は貴重である。
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釈迦ヶ岳山頂より鶏頂山 |
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枯れ笹特等席でランチ |
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南側眺望 |
贅沢な時間を過ごして、さぁ気を引き締めて後半のコースへ。
先ほど喘いで登った急登も、下りは慎重にも慎重を重ねてゆっくりと降りていく。登りではまったく気が付かなかった白く清楚な花が美しい。(恥ずかしながら名前解らず。どなたか教えてください)
先ほどの切れ落ちた危険地帯を再びやり過ごし、その後登り返して剣が峰{1540m}。
剣が峰もはその峻険な名前とは裏腹な小広い静かな頂である。眺望は全く無い。きつい下りで多少腿が痛くなってきたのでクールダウンを兼ねてザックを降ろし、しばし静寂を楽しむ。
ここから大入道へ向かう尾根は、穏やかな道が続く気持ちの良い道である。全体的に下り基調だが、若干の登り返しが釈迦ヶ岳往復で疲れた体にムチを打つ。
北西方向にぞびえる明神岳や前黒山を木立の合間に見やりながら進んでいくが、相変わらず風が強く、山をごうごうと鳴らしている。聞こえて来るのは山のうなりとセミ(山セミ?)の降りかかるような鳴き声のみ。時折遠く聞こえるヒグラシの声が何故か懐かしく感じる。
尾根から西側山域につながる深い谷を見ていると、到底人が入り得ない険しさがある。あそこにはクマでもイノシシでも、本来有るべき姿の自然がきっとあるに違いない。そんな事を考えながら歩いていた。
あと少し、と気持ちを引き締めてどうにか大入道{1402m}へ到着した。この時点で既に山道を10km以上も歩いているので疲労は当たり前である。自分の体力では釈迦ヶ岳往復を抜いた位がベストかな?と思った。
大入道でもまた腿のクールダウン。今回から持参の筋肉疲労用瞬間冷却スプレーを吹き付ける。周囲に人気が無かったのでズボンを下げてパンツいっちょで、太ももにもシュッと一吹き。
冷たいのは良いのだが本当に筋肉痛に効いているのかしらん。まぁ気休めで無いよりましだろう。冷たいのは間違いないから。
よくマッサージをしてほぐれてきたら、さぁ出発。最後の下りを注意しながら降りないと。ここで怪我などしたらつまらないからね。
冒頭にも書いたように、よく手入れされた笹の間のコースを降りていく。途中沢を横切るあたりでちょっと道が散逸する感じがあっても、岩にデカデカとペンキで矢印が書いてあったりと実に親切である。
最後の沢(桜沢)を横切り一登りすると小間々キャンプ場が見えてきた。ゴールはもうすぐ。あとは平坦な林を抜けるとそこは駐車場だ。
7時間以上にもわたる山行も無事終了。急いで家内へ無事メールを入れた。
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大入道 |
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今回のGPS軌跡 |
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追記
今回はコース中常に日差しが差し込んで衛星の補足が可能、かつザックへのGPS受信機の取り付け位置の改善が功を奏し、ほぼ完璧な歩行軌跡を捉えることが出来た。
(上写真右)
剣が峰~釈迦ヶ岳間で一部谷側に軌跡が飛んでいるがこれは測定誤差。ここに落ちたら死んでます。
また、新たに購入したザックも、歩き始め1時間位は肩紐に違和感を感じたものの、程なく慣れてしまって、逆に腰の部分のしっかりしたベルホールドが思いの外軽快な背負い心地になるということを実感した。更に、今回初めて着た汗を溜めない新素材のアンダーウェア。激安店の安物だが、なかなかの高機能。従来なら汗で下着がベットリ濡れて嫌な思いをしたものだが、こいつは快適そのものだ。新素材の進歩に驚いた。山やスポーツだけでなく、これからの夏場に向けて日常生活での着用も良いのではと思う。
追記その2
今まで当ブログを読んで頂いていた方にはちょっと違和感があるかもしれないが、従来の「ですます」調から「である調」へと今回から書き方を変えることにした。
理由はいろいろとあるが、「ですます」調の表現力って案外難しいのではと最近気づいたのが最大の原因か。
概略コースタイム
小間々駐車場発(8:05)-大間々駐車場(8:40)-登山口(8:50)-尾根上(9:25)-八海山神社(9:50)-矢板市最高地点(10:00)-剣が峰大入道方面分岐(10:14)-鶏頂山分岐(11:37)-釈迦ヶ岳山頂着(11:40)-休憩・昼食-山頂発(12:18)-剣が峰(13:24)-大入道(14:26)-一本目の沢(15:02)-桜沢(15:15)-小間々駐車場着(15:22)
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