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2013年01月 アーカイブ


2013年01月26日

赤雪山~仙人ヶ岳周回


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
※展望地から松田湖へ降りるルートは、他のルートに比べると整備されていません。
参考にされる場合は自己責任でお願いします。
仙人ヶ岳の過去の記事
  2007年12月9日 仙人ヶ岳

 赤雪山をどう登るかについてはかなり以前から悩んでいた。

 松田湖を起点とした周回コースがあるが、ちょっと物足りないような気がする。「栃木百名山本」には名草の巨石群方面からのアプローチが掲載されており、これは良さそうなのだが車の回収が難しい。以前、ブログ友のNonさんが歩いていたのを思い出し、仙人ヶ岳への縦走をして周回コースとすることにした。

 松田湖の最奥地にあるキャンプ場駐車場に車を停めると、正面に見える高みが下山の際の降下開始点である展望地(561mP)だ。

 湖畔をぐるりと廻るようにして、今しがた走ってきた車道を戻る。日陰は身震いするほど寒い。程なく道路脇の道標に従い登山道へ入った。今回赤雪山に登るコースは山頂へストレートに突き上げる南尾根コースである。

 初めのうちは植林帯に付けられたジグザグを登っていくが、標高350mあたりから車でも通れそうな幅広の真っ直ぐな尾根道となる。

     
キャンプ場の駐車場    ここから登る    車でも通れそうな広い尾根

 更に進み、等高線が混みだすと再びジグザグの道が現れ、軽く岩角が出てきたりする。尾根といえども両脇が木に覆われているので眺望は少ない。

 立派なあずまやが建つ赤雪山の山頂からの眺望は、南側が開けているものの、その他の方角は枝に邪魔されすっきりしない。小休止をしていると男性2人組が東側の尾根から息を切らして登ってきた。聞けば、やはり仙人ヶ岳まで縦走するという。

 彼らに先発して仙人ヶ岳への尾根道に足を踏み入れた。赤雪山までは過剰とも言えるほどよく整備された山道だったが、こちらのエリアはやはり通過する人が少ないのだろう。いつもの慣れ親しんだ感じの山道に、心癒される静かな趣が戻ってきた。「栃木百名山本」には"踏み跡も薄いため、初心者には勧められない"とあるが、明らかに行政が設置した立派な道標が要所にあり、初心者の方も安心して歩ける登山道になっている。危険な箇所も全く無い。確かにアップダウンが続くというのは本のとおりだが。

     
赤雪山頂上    南方面    仙人ヶ岳へ向けて

 北向きの一部区間で残雪がアイスバーン状になっていた。想定していたので携行していた4本爪軽アイゼンを装着。雪が消えてもまた凍結区間が出てくるので、腰にアイゼンの袋を下げて何度か脱着を繰り返す。

 地形図を見ていて、標高差40~50mのアップアダウンが数回あるというのが頭に入っていたからペース配分を崩さずに登ることが出来たが、「こんなに下るの勿体無いなぁ。折角汗かいて登ったのに」と未だそんな煩悩に悩むことしきり(笑)

     
所々アイスバーン    アップダウンの繰り返し    ステンレス製の道標恐らく私設?

 仙人ヶ岳の北東尾根が近づいてくると目指す仙人ヶ岳の山頂付近が大きく見えるようになってくる。尾根に突き上げたあと、等高線の込んだ623mPに汗を絞られる。ここで先行者のシルバーグループに追いつく。対向ですれ違ったグループもやはり年齢が高そうな人達で、人気の山であることを実感した。

 仙人ヶ岳の山頂は既に数組の先客が弁当を広げているところ。自分の前にいたグループのメンバーに知り合いがいたようで「やぁやぁどうも」と歓声が上がっている。古賀志山のように、常連さんはパーティを変えながら登っているのだろう。

 赤雪山で出会った男性二人組もやがて山頂へ到着。自分もザックを降ろして昼食とした。他のパーティの人達は随分声高でテンションが高い感じだが、先ほど追いついたグループのメンバーから酒の匂いが少しした。どうやら途中の休憩で既に気付け薬を処方してきたのかもしれない(^^;

 複数のパーティーで喧騒渦巻く山頂は、この後も続々と到着するグループで膨れていく。重ね重ねも仙人ヶ岳は人気の山である。

 コーヒーも終えたので、一足お先に出発するとしよう。

 熊の分岐に近づくと、一体は山火事の跡が痛々しく散見される。熊の分岐の表示板も端が焦げている。山火事はつくづく恐ろしいものだ。自分もストーブで火を使うので充分注意が必要だが、煙草を吸う人には特に注意して貰いたいと切に願うものである。

 熊の分岐からは猪ノ子峠へ向かう道を選ぶ。ルートを分けた岩切への稜線が気持ちよさそうに向かいに伸びている。

     
仙人ヶ岳が見えてきた       山火事の跡
     
   熊の分岐の標識も焦げている    岩切へ向かう稜線

 やがて伐採地跡の展望地(561mP)へ到着。朝、出発の時に駐車場から見上げた箇所である。ぐるりと180度以上の眺望が開け、眼前の赤雪山、そして左に目をやると今日歩いてきた稜線が一望できる。遠く東の彼方には形の良い筑波山が見える。眼下には松田川ダム、そしてその一番手前に駐車場に置いてあるパジェロミニが肉眼で確認出来るほどだ。右手には猪ノ子峠へ伸びる尾根がすーっと伸びていくが、一本筋の稜線から切れ込む渓谷は遮るものもなく素晴らしい景観である。

     
駐車場が小さく見える    遠く筑波山がひときわ高い    恥ずかしながらセルフ撮り

 この眺望地より、猪ノ子峠と松田湖へと、ステンレスの道標が道を分ける。松田湖へは初め赤土の急降下。これが実に滑りやすくて難儀する。やがて北東へ向かう岩尾根となり展望はますます衰えない。今日のルートの中では最高の場所だ。また、道形はしっかりしてはいるものの幾らか藪っぽいところや痩せた岩尾根は程よく野趣があり、歩いていて実に楽しい。赤雪山も仙人ヶ岳も管理された登山道が多いのでで安心だが、やはり山道はこうした味わいも欲しいものだ。
 このコースとて特に危険な箇所はないが、他のコースと比較するなら幾らか難易度は高い。山を歩きはじめたばかりの方は経験者の同行が望ましいと思う。

     
松田湖へ向けて下る    猪ノ子峠へ向かう稜線    道形ははっきりしているが野趣溢れるコース

 途中、珍しい層状の露岩の脇を超えて暫くすると再びステンレスの道標がある。ここを見落として尾根を直進してもやがて別な林道に拾われダムに向かうようだ。

 岩尾根に別れを告げ右90度へ転換して高度を下げる。初めはスギの幼木が植えてある日当たりの良い道も、やがて落ち込むように植林帯へと突入していく。

     
珍しい岩が露出している    岩尾根もここまで    杉幼木の植林帯へ

 ひとしきり急な下りをこなしていくと突然作業林道の終端部へと飛び出す。見上げると、よくぞこんな所にルートを作ったものだなと、道を拓いた人のインスピレーションに脱帽。

     
急斜面が厳しい    作業林道へ飛び出す   

 林道をひたすら下っていくと突き当たりの沢で道は消失。その先の寂れた堰堤脇の踏跡を辿ると駐車場へとたどり着いた。見たところ、駐車場方面から林業用の重機が入るルートは無さそうなのだがこの林道が思ったほど荒れていないのが唯一不思議である。

寂れた感じの堰堤、駐車場はこの先

 GPSのログを見ると、沿面距離約9Km、累積標高+973mと結構ハードなコースであった。眺望が終盤の松田湖への下降区間だけというのが少し寂しいが、仙人ヶ岳と赤雪山を単独で歩くよりもずっと楽しみなコースであった。


概略コースタイム
駐車場発(08:25)-赤雪山登山口(08:36)-491mP(09:10)-赤雪山(09:39)-
585mP(10:23)-623mP(11:08)-仙人ヶ岳(11:52)-昼食休憩-行動再開(12:09)-
熊の分岐(12:33)-展望地561mP-岩尾根終了(13:13)-作業林道出合(13:24)-駐車場着(13:41)

2013年01月20日

一日で三座、家内と巡る栃木百名山シリーズ

 家内と歩く栃木百名山巡り。ラクラク山歩きとして厳選吟味され尽くした(^_^)コースは次なる三座。まずは、馬頭の鷲子山。続いて茂木の鎌倉山。三座目は芳賀富士。
 いずれも山頂直下まで車でアプローチ出来る山で有名だが、今回はそんな変わり種百名山を訪れる山旅となった。

 

 まずは鷲子山。

 烏山の市街地を通り抜ける頃になると、日陰に溶けずに残った雪が所々アイスバーンになっており運転にも気が抜けない。日なたは乾燥路面なのにコーナーを抜けたその先が突然アイスバーンということもたびたび。

 鷲子山神社へ向かう細い道もまた然り。対向車と凍結箇所に注意しながら進み、神社の駐車場に到着した。車を降りると杉木立に覆われた空気が刺すように冷たい。

 有名な県境をまたぐ石段を登る。96段の石段を往復すると不苦労(2×96)だというが、そんなに段数は無いのではと思いつつ頂上の本殿へとすぐ着いた。本殿脇には巨大な千年杉が鎮座しており年月の重みを感ぜずにはいられない重厚な神社である。
 社殿の裏手に山名板があるというネットの記録を読んでいたのだが、探してみたもののそれらしきものは見当たらなかった。間違いなく周囲ではこの場所が一番高そうなのでここが山頂と見るべきなのだが。

 下野新聞の『栃木百名山』本の解説では、
本県と茨城県に二分された階段を上り切ると、鷲子山上神社の本殿であり、標高468mの鷲子山山頂である。
とされているので、山頂に到達したのは間違いないと思うのだが、いささかしっくりこない。

     
県境をまたぐ石段    往復すると不苦労   

 社殿前にまわり道の案内がある。石段を降りなくてもよいルートがあるのだが、見るとうっすら雪が積もっている。だが、足跡も多数あるし、靴が潜る程の深さではないのでこちらを下った。
 そう、察しの良い方はお気づきだろうが、96段の下りを端折ってしまったので『不苦労』成就せず(笑)

     
ご丁寧にいたみいります      

 少し離れた所にまた石段があり、そちらに金属製の巨大ふくろうオブジェがある。ふくろうの先にはやはり社殿があるが、家内にここで待ってもらって裏手をプチ探索した。雪面から見てここ数日人が立ち入った形跡の無い周囲は特にこれといったものは何もなし。給水用のポンプ小屋が奥にあるのみ。
 ところが、戻りしなに足元にひっそりと佇む小さな石像のようなものを発見。うっかり見落としてしまいそうなその像は、秘めやかに人知れずそこに居たのかと思えば、鷲子山神社が賑やかなところだけにちょっと神秘的な雰囲気である。

 帰宅してカシミールをよくよく眺めると、山頂標高の468mは、この巨大ふくろうの裏手より直線距離160mほど北にある468mPのことなのではないか。検証が必要な宿題を残した気分である。次回訪れるときは是非この468mPを踏みたいものだ。

     
巨大ふくろうが・・・    巨大ふくろう社殿の裏手に    高さ20センチ程

 途中、牧野の蕎麦で腹ごしらえをして鎌倉山へと向かう。道が高度を上げるとやはり日陰は雪が沢山残っている。

 行き止まりに車を置き歩き出すと、僅か数歩の場所に鎌倉山の山名板がかかっていた。

     
   車を駐めて鎌倉山へ   

 山名板より続く道を少し進むとまず菅原神社の鳥居をくぐり、更にその先にある菅原神社の下に那珂川が見下ろせる大展望が待っていた。車から僅か数分でなかなか素晴らしい眺望である。

     
菅原神社の鳥居    菅原神社    雲海のビューポイント

 ここ鎌倉山も、216mという山頂標高点が少し離れた所にあり、道路終点より南東側に見えるピークがそれのようである。下野新聞の『栃木百名山』本にもこの点に付いては記述があるが、日陰の尾根には雪面にトレースも見られず、このルートを家内を連れて歩く訳にも行かないので今日はこれでよしとしよう。

 些末なことだが、地形図の記載内容と下野新聞『栃木百名山』本{改訂版}の地図に差が有ることを指摘しておきたい。
 我々が踏んだ車道終点脇の山名板には標高200mとある。下野新聞『栃木百名山』本は
駐車場の北側(207m)を鎌倉山山頂としている・・・
とある。下野新聞『栃木百名山』の地図は207mPから直線でルートが引かれ、あたかもトラバースで216mPに進むような印象を受けるが、実際の207mPも駐車場位置も西側に一つ手前のピーク位置に記入されている。小さな地図に押し込めたので文字が重なってしまう故の対処であろうが、ガイド本として出版するならばこのような略描は一言注記を入れるべきなのではないかと思った。

 次は芳賀富士である。最短距離で登る為、熊野神社手前まで車を入れた。

     
   木陰は雪が沢山残っている    熊野神社の石段手前に駐車

 始めは石段歩きだが、熊野神社本殿脇から山道となる。雪はうっすらと残っているが、固くもなく柔かすぎることもなく丁度歩きやすい。軽アイゼンを携行していなかたので、もしアイスバーンになっていれば中止にするつもりであったが全く問題なし。

     
まずは熊野神社へ       熊野神社から山道

 僅かな距離の登りを終えて山頂へ。熊野神社からゆっくり歩いて10分程度であろうか。

     
     

 山頂は西側眺望が開けており、南は少し樹がうるさいが、それでも想像以上の堂々とした景色に満足である。時折吹く強い北風も、南向きにあつらえてあるベンチには届かず、ただただ日差しが優しく温かい。お湯を沸かし、持参してきたお菓子を広げてコーヒータイムを楽しんだ。周囲には桜の木が沢山あった。淡いピンクに山頂が染まった頃再び訪れたい山である。

     
太い樹が邪魔だが日光方面も見える    西側    雨巻山方面

帰路、路傍の田畑に残る雪が美しい

2013年01月12日

大小山から大坊山周回


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
関連山行記事
  2010年5月2日 住宅街の裏山、大坊山

 足利の人気の山、大小山を登った。

 コースは概ね「分県 栃木県の山」で紹介されているルートとし、微細なアレンジ(といってもすべて正規コース)を加えた。全般的に整備の行き届いた登山道なので危険箇所はまったく無いが、標高の低い里山だと思っていると疲労度は案外侮れない。カシミールのログを調べると累積標高差が+950mもあるので、尾根のピーク超えで如何にアップアダウンが多かったということが伺い知れる。また、一旦市街地に降り立ち、そこから大小山まで登り返すのがコースの最後に来るというのもなかなかハードであった。

 今日は全開晴れマークの予報なのに、空を見上げると何故かどんよりとした曇空。だが、西の山並みはオレンジに照らされている。このまま雲が去っていくいくことを願いながら車を走らせた。

 阿夫利神社へ着くと既に駐車スペースは埋まっている。少し手前にあるお寺さんの駐車場?が広々としており、こちらに車を置いて出発した。短時間で登れる山でまだ9時だというのに駐車台数も多く、人気が窺い知れる。

 見晴しコースは下山時に使うつもりなので、右手の妙義山コースに入る。初めは車でも走れそうな幅の広い道も、やがて溝が深くえぐられた道になると斜度が増してくる。溝は雨水が流れて出来たものなのだろうか。

     
住宅地の裏山といった趣    妙義山コースを登る    パジェロミニなら全然OKな道

 汗を拭う頃、妙義山の南東尾根に乗ればその先は葉の落ちた今の季節、実に気持ち良い稜線歩きとなる。

     
えぐられた登り    尾根筋は気持ち良い    だいぶ近くなってきた

 一箇所、小さな岩場がある。そこを登り切って振り返ると、眼下に広がる田園に一筋の煙が水平にたなびいている。水墨画を思わせる趣。里山ならではの光景であろう。

 この岩場の少し先に洞穴がある。覗きこむと結構深そうだが、一体何の目的で作られたものなのだろうか。自然に出来たものなのか。ミステリーである。

 更に進むと東から来る尾根道と合流する。この尾根を東に辿ると西場富士(159m峰)へ通じるという。次回この地を訪れる時はコースに加えると面白そうだ。

 妙義山の直下にはもう一箇所岩場がある。右手に巻き道はあるが、それほど高低差があるわけでは無いので取り付いてみる。ホールドも充分で全然問題なし。上部へよじ登ると丁度休憩中のグループの目の前に飛び出した。景色の良い岩場で休憩していたら、突然足元から顔が出てきたものだから、先方も多少驚いた様子(笑)

     
野火の煙がたなびく    何やら洞穴アリ    妙義山直下の岩場は巻かずにアタック

 ハイカーの数はひっきりなしの大小山、妙義山頂上も沢山の人達で賑わっている。今日は気温も高めなので人の出も一層多いのかも知れない。また、登山者のシルバーエイジ率が極端に高いようだ。自分も昨年の暮れに53歳となったが、出会う人々の様子を伺うにこの山域では未だ鼻垂れ坊主の部類だ。

 地形図では大小山と表記されているこのピークは妙義山と山名板に記され、一般的に大小山とされているのは南に少し下ったもう一つのピーク(天狗岩ピーク)である。

 妙義山からの眺望は360度の好眺望。心配していた空も西側はすっかり青空が広がり、遠く浅間山が見える。また、写真にはうまく収められなかったが、薄く富士山も望む事ができた。

     
妙義山頂上    西方面眺望    浅間山が遠く見える

 岩混じりの急斜面を降りて、一旦天狗岩ピーク(通称大小山)を踏む。後からよく考えたら、帰りに天狗岩の脇を通過するのでその時に踏めば良かったのだが、それでは何となく歩き残しがあるから・・・といった単純な理由(^^;

 天狗岩ピークは枝が邪魔しており妙義山ほどの眺望は無い。ハイカーも皆通過点と心得ている様子である。
 来た道を戻り、今度は越床峠へのルートに入る。

     
大小山頂上    大小山から妙義山    越床峠へ向かう

 妙義山~越床峠間は基本的に下り基調だが、途中幾つかピーク超えを重ねる。無名だが、振り返るとどれもそれなりに立派なピークである。
 ルートより見える風景は大坊山までのぐるりとした尾根周りが箱庭のように見え、地形図を俯瞰するような景色で面白い。

     
大坊山と麓への稜線が見える    いくつもこんなピークを超えていく    道標は流石に立派!

 途中の岩稜で一箇所痩せた箇所がある。そこにはひときわ目立つ特徴的な岩があり、この真ん中を抜くようにして渡る。安全極まりない今日のコースの中で若干危険があると言えば唯一ここだけかもしれないが、それもある程度慣れた人なら問題なし。はっきり確認していないが巻き道があったような気がするので苦手な方もきっと大丈夫だろう。
 ここより更に進むと先方に何やら山が削られている場所が見えてくる。

     
岩場の多い稜線は景色も良い    何やら大規模に山が削られている    大坊山が近づいてきた

 木々に囲まれた越床峠はひっそりと、そして道標が交錯しており、峠の雰囲気がよく伝わるたたずまい。此処より尾根を拾って北へと歩けば塩坂トンネル、須花トンネルをまたぎ、やがては赤雪山へと到達する遠大なルートが地形図から目に入ってくる。心惹かれるルートではあるが、距離的に何回かに分けなければ到底無理。だがいつの日か是非実現してみたいと思う。

 越床峠より登りに転じる。土が剥き出しの斜面は雨の後など滑りやすくて手こずるだろう。だが、今日は幸運にして乾燥したコンディション。しっかりグリップしてくれるので助かる。

 先ほど見えた掘削地へ到着すると、何やら山頂番屋なるものが建っている。個人の方が所有管理しているような雰囲気も見て取れるが、きっと地元では知られたことなのかもしれない。なお、「足利鉱山番屋」と銘うつように、この先のピークに突き上げるとそこが鉱山の山頂ということらしい。

     
越床峠    先ほど見えた掘削地    足利鉱山の山頂番屋だそうだ

 番屋脇から道は二分され、直進は鉱山山頂へ、左は巻き道となる。どちらも大坊山に通じるという事なので、折角ここまで来たのだから登ってみよう。

 一投足の登りの後、行き止まりに立入禁止のロープが張られている。その先はご覧の通り。目もくらむような崖の下には作業中のトラックや重機がゴマ粒のように見えた。左に目をやるとゴルフ場も広がり、景色としては少しいただけないが開放感はある。

     
   左、大坊山巻道 右、鉱山山頂経由大坊山    鉱山山頂より

 鉱山山頂より岩稜を大坊山へと向かう。途中にある見晴のよいつつじ山が今日の昼食ポイントである。
 以前、家内と大坊山に登ったことがあるが、その時にこのつつじ山がいかにも景色が良さそうだったのを記憶していた。今回は絶対此処で食事をすると決めていたのだ。

     
つつじ山へ到着    大坊山はすぐそこ    山川長林寺からの登りが懐かしい
つつじ 山より、歩いてきた稜線を望む

 向かいの山並みには先日歩いた両崖山から行道山が見える。群馬県側の山も少し霞んではいるが、よく見えるなかなかの眺望である。

 ベンチに腰掛けのんびりと昼食、そして食後のコーヒーを楽しむ。今日はルーファンのプレッシャーも無いし藪も無ければ特別にキツイ区間も無い。眼下のゴルフ場でプレーする人の声が時折風にのって流れてくる。生活の領域と隣接している風景は正に里山のダイナミズム?? さながら街のカフェでお茶を飲むようなゆったりとした時間を過ごすことができた。
(注)山を降りた自分は、街なかで一人カフェに入るような度胸とお洒落さとは全くもって無縁であることを加えておこう。

 大坊山では、60リットルはあろうかという大きなザックの若い母親が幼子たちに鍋で作ったうどんを食べさせているところだった。食材やら器具、子供達の為の細々とした用品まで全部背負いながら、まだ年端もいかぬ子供の手を引いて登るのも大変だろうと思うが、大山祇神社からだと距離も短いし道もしっかりしている。大坊山は子連れには最適な山なのである。子供たちも幼い記憶の中にこのハイキングがきっと鮮明に残ることだろう。

     
長林寺からの登山道との分岐点       大坊山からの下りはMTBの人は楽しそう

 大山祇神社まで降りると暫くはアスファルト道路歩き。道標が付けられているのでれきっとしたハイキングコースである。

     
大山祇神社前にて    アスファルト道もまたハイキングコース    住宅地に向かう
     
夏みかんの脇を進んでいく    意匠料とか払っているのか?    大坊山麓の旭幼稚園はここ
     
やまゆり学園を目指す    民家庭先の道標    舗装路を登る

 やまゆり学園を目指し、舗装路を登り切るとそこから再び山道。傍らの尾根に取り付き登っていく。一旦下山したかのような平坦路歩きの弛緩した筋肉にはいささか堪える登りである。背後の大坊山の高さがこちら側と変わらなくなってきたので、ほぼ登り返したという訳になる。登り切った箇所が大小山南尾根との合流点であり、ここからは東側の風景が見られるようになる。下のほうに、車を置いてきた駐車場が小さく見えた。

     
やまゆり学園脇から尾根に取り付く    先ほど下ってきた大坊山    駐車場が見えた
大小山を西から見る

 見晴台へと折れる分岐を下ると鉄の階段が現れ、これを降りると見晴展望台である。上を見上げると巨大な大小の文字が打ち付けられている。この真上が天狗岩ピーク(通称大小山)なので、朝から一日かけてほぼ一周したことになる。

     
見晴台へと向かう    鉄の階段を下ると・・・    近くで見るとなかなかデカイ

 下山は見晴コースの男坂を選択。女坂は谷沿いを行く穏やかな山道。男坂は岩混じりの激しい道のようである・・・と思って暫く降りると直ぐに仙間神社へ到着。

     
   ここも初日の出スポットなのだろう    奥の男坂を選択

 神社からは延々と石段が続くので、男坂の核心部は僅かの距離で終わり、やがてその石段も女坂と合流していよいよ今日のコースもお終いとなる。

     
あっという間に仙間神社    だが階段が続く    女坂のほうが階段無くて良さそうだが

 阿夫利神社脇には沢水が引かれている。冷たい水で顔を洗うと疲れが吹き飛ぶ心持ち。今日も無事に山行が終えられたことを神社に感謝しつつ駐車場へと戻った。

 最近の山行は必ず着替えを用意しており、汗を拭いて着替えてから車に乗ることにしている。今回は冷たい沢水で絞ったタオルで体を拭けたので、とりわけ爽快な締めくくりとなった。

     
阿夫利神社へ帰着    沢水で顔を洗ってさっぱり    広々とした駐車場

概略コースタイム
駐車場発(09:00)-妙義山(09:46)-大小山(09:57)-妙義山(10:09)-
越床峠(11:13)-足利鉱山番屋(11:25)-鉱山山頂(11:32)-つつじ山(11:52)-
昼食休憩-行動再開(12:35)-大坊山(12:49)-大山祇神社(13:05)-
やまゆり学園(13:45)-南尾根出会(14:20)-見晴台(14:30)-仙間神社(14:39)-駐車場着(14:54)

2013年01月06日

前黒山敗退

 Mixiの山仲間、なおべぇさんが栃木百名山をコンプリートするということで、ラストを飾る前黒山を登ろうというイベントに参加することにした。

 一昨年来、スノーシューとワカンを履き比べたりして雪道での感触は掴んでいたつもりではあった。所有しているスノーシューは平地用のショボイやつなので、前黒山の想定コースを見るにとても歯が立ちそうもない。それならば、ワカン+アイゼンでどうだろう思い参加することにした。

 いざ歩き始めると妙にペースが速い。傾斜の緩い林道歩きだが、緩やかでも登りは登り。初めのうちは無理をして追いついていたが、一度呼吸が乱れだすともうペースを合わせるのが辛くなってくる。もはやワカンがどうのこうのというレベルではない。

 林道を外れて尾根に取り付く急登区間になると、いくら蹴りこんで登ろうとしてもずり落ちるばかり。ワカンの場合は新雪のほうがかえって楽に登れるものだが、先頭でラッセルするのはもっと骨が折れる。先行者のスノーシューが付けた後は若干締まり気味かつ平になっているのでどうにもワカンとの相性が悪いようである。

 このままあがきながら登っていっても、グループの下山時刻に影響してしまうと判断し途中で登頂を諦め下山した。

 山頂を踏めなかった悔しさは残るが、自分の実力を知る上で貴重な体験だったといえよう。山岳会などに入っていれば、ビギナーはこういう辛酸を舐め尽くしているだろうが、自分のような気ままな単独者にとっては良い勉強であったと思う。

2013年01月03日

古賀志山北尾根から中尾根周回

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。

ブログ仲間のケン坊さん、リンゴさんからいただいた情報で『古賀志山北尾根』の存在を知った。
 『古賀志山北尾根』は、宇都宮市が管理整備している北登山道 のことではなく、森林公園駐車場から北へ伸びる舗装林道長倉入線の右手尾根を登るコースである。
 かつて天狗鳥屋から下山する際に偶然このルートの一部を知ることがあったが、当時は山歩きを初めて日が浅く、道迷いが怖くてたまらず林道にエスケープした想い出が懐かしい。
 また、今回はかねてより気になっていた559mPの西北西にある『弁天岩(弁当岩)』を訪れるのも計画に組み入れた。

 森林公園駐車場に車を駐めて歩き出す。右手にある林道長倉入線に入りほんの少し進んだ所で右手にある道が取り付きである。
 道形もはっきりしており、迷うようなポイントは全く無い。また傾斜も緩く、里山散歩の雰囲気で進んでいく。

     
林道長倉入線へ入ってすぐ取り付く    雑木の自然林    時折松が交じる
     
里山らしい道が続く      

 349mPに到達するまでの間に、下から上がってくるしっかりした道形が2本見られた。手前の一本は北尾根のすぐ西の谷筋を登り、もう一本は北尾根と林道の内側にあるもう一筋の尾根を上がってきている模様。ここ古賀志山エリアでは、もはや尾根形ある所に踏跡必ずアリといった感じになっているようだ。

     
   林道長倉入線終点が見える    道はどこまでも広くしっかりとしている

 このコースの中で唯一大きく分岐する360mPに到着。進路がはっきり二択となり、北へ進む尾根と北西へ進む尾根に分かれる。どちらも道形はしっかりしているのでうっかりすると引き込まれ易いが、ここは北西の尾根が正解である。
 二つの尾根に挟まれた眼前の谷が地形図で読み取ったものよりかなり大きく感じられる。疎林で下がよく見えるので広く感じるようだ。読図の未熟さを思い知らされた。
 また、良く目を凝らすと谷の中に幾筋もの古い仕事道が付けられている。かつてこの谷を間伐した時期の名残なのだろう。

     
唯一の分岐点    分岐点より北へ降りる尾根   

 一旦高度を下げて林道鞍掛線を横断し、再び尾根筋を辿るようになるが、依然として道形ははっきりしている。

     
林道鞍掛線を横断      

 北に向かう小尾根を登りきり、進路が北西へと変わると伐採地に出た。意表を突かれた感じで展望が開けたので少し得をした気分になった。左から鞍掛尾根490mP~鞍掛山、更に右には雨乞山の三つのピークも行儀よく並んでいる。この角度、高度から至近距離で見る鞍掛山の山並みはなかなか新鮮である。

 伐採地の終端に到達すると、そこからは鞍掛尾根に突き上げる最後の登りになり斜度がきつくなる。ここまでが随分緩やかな登りだったので、多少息があがるがそれも僅かな区間。鞍掛尾根合流直前で落ち葉に隠された踏跡を見失うが、上を見て構わず直登。

 無事鞍掛尾根に乗ってしまえば、後は古賀志山までの一本尾根である。

     
伐採地より      
     
      鞍掛尾根に乗るとやがて盗人岩がよく見えるようになる

 元旦の早朝に登った540mPに到達。そこからの日光連山は、男体山だけが一人機嫌が良いようで、女峰山から赤薙山は雪雲に閉ざされている。

{540mP単独で登る場合は、南側の林道の最上部に車を置き、堰堤の所から鞍掛尾根に突き上げると30分で到達。下山は東の尾根を辿ると地図に表記の無い林道に出て、そこを下ればはじめに来た林道に合流。僅かに堰堤側に戻れば駐車地に到達するミニ周回が可能}

 岩を一箇所登って559mPがいよいよ近づく。今日は寄り道をして未踏の弁天岩を訪問するこにする。

 弁天岩の登りはなかなか高度感があるが、それでも東稜直下の岩場や中尾根取り付きの岩場に比べれば僅かな時間で通過出来る。落ち着いて通過すれば特に問題無いと思う。ただ、足のホールドに若干苦慮する箇所があるので小柄な人は苦戦するかも知れない。岩慣れした方なら問題は無いだろう。

 岩を登りきり、少し西側に行くと眺望の良い弁当岩という所へ出る。更に西へと続く道形があるが今日はここまでとし、岩の上で食事休憩とした。

     
今日の540mPからの日光連山    弁天岩にチャレンジ    弁当岩もなかなか風景良し!

 弁当岩からは日光連山方面の眺望も良いが、古賀志山側の最近伐採された尾根筋がその全容をあらわにしており、あちらもまた歩けるのではないかしら、と思わせる開放感がある。

 昼食の後は弁天岩を下り559mPへ。景色は弁当岩で堪能しているので、ここは立ち止まらずに通過する。後は中尾根を下るのみである。
 途中の496mPは何度か通過したことがあるが、カマボコ板に書いたような手製の山名板を見つけた。初めて見たのだが、以前からあったのだろうか。

     
弁当岩より、左,559mP 右,古賀志山    中尾根の途中から    こんな山名板発見

 中尾根は何度歩いても、変化良し眺望良しで、古賀志山ルートの中では一番好きなルートだ。途中、鞍掛山方面や今日歩いてきた北尾根もよく見える。

 フィニッシュは細野ダムを目指して落下傘よろしく岩場の急降下。途中、一眼レフを首に下げた若者が登ってきたが、岩角に筐体やレンズがぶつかって壊れないかと人ごとながら気が揉めた。

 年末年始の食い過ぎ消化山行のつもりだったが、終えて見ればなかなか充実の一日であった。食べ過ぎたものが充分こなれたかどうかは定かではないが、帰宅後の晩飯が美味くて腹八分目で無かったことは明らかである。

     
中尾根より見る鞍掛山    中尾根岩壁の向こうに古賀志山    あの高みから落下傘下山

概略コースタイム

駐車場発(08:02)-384mP(08:38)-分岐(08:46)-林道鞍掛線横断(9:04)-
伐採地(09:16)-鞍掛尾根へ合流(09:41)-540mP(10:41)-弁当岩(11:27)-
昼食休憩-行動再開(12:02)-559mP(12:11)-496mP(12:41)-
北登山道合流(13:42)-駐車場着(13:58)

{鞍掛尾根合流までの『北尾根』の区間は、読図トレーニングなどを行いながらゆっくり歩いた}

2013年01月01日

謹賀新年

 皆様、あけましておめでとうございます。
 今年も一年、山談義でよろしくお願いします。

 早速ですが、初日の出を見に鞍掛尾根に出かけてきました。
 ご来光の写真は相変わらずコンデジではうまく映らず、むしろ初日の出を受ける日光連山のほうを狙っていたので、満足のいく景色となりました。

 一昨年(平成23年)の大晦日の朝に偵察を行なっていたので一年越の計画実行(笑)となりましたが、駐車スペースにも困る程の森林公園駐車場の混雑からひっそり離れたポイントは狙い通りの眺望独り占め。贅沢な朝の散歩となりました。

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