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2010年01月 アーカイブ


2010年01月31日

仏頂山と高峯


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 久々のH君との山行は茨城県境の稜線歩きである仏頂山と高峯である。

 R123を水戸方面へ走り七井の先から笠間に抜ける県道の途中、小貫の集落方面で南へと折れた。集落の最奥地の堰堤の箇所に車を駐めて林道歩きで奈良駄峠を目指す。

 栃木茨城県境は標高500m程度の山地が多く、伐採材の搬送路としての林道もしっかりした道が縦横無尽に作られておりアクセスが大変楽である。その反面人工的な雰囲気が奥地まで届いているというマイナス面も併せ持つ。

 砂利の林道を進んでいくと間伐された箇所が目立つようになるが、売り物にはならない細い丸太が放置されて散らかっているのは少し残念な思いである。下の写真のように日の浅いものはまだ良いが、場所によっては長年放置された箇所も目につく。林業にはまったく疎い自分だが、植林地をあちこち歩いた経験からやはり美林とそうでない山ははっきりと見分けることが出来る。山を想えばオーナーも美林たらんと考えるだろうが、やはり林業経営の厳しさというものが立ちはだかっているのだろう。

     
左手を奈良駄峠へ向かう    砂利林道    間伐されている

 いよいよ車が通れなくなる位に道が細くなってくる。もはや自転車とオフロードバイク位しか通行は無理である。しかも一箇所道が崩落している箇所があり、自分の腕前ならオフロードバイクも無理であろう。谷に後輪を落として復帰不能になるのが関の山。

 そんな道であるが、次の瞬間思わず目を疑う。

 四輪車が捨てられているのである。一体全体こんな場所にどうやって? 捨てられた車の車幅すら無いような道なのに、実にミステリアス。過去は車が往来出来るような道だったのだろうか。

 この四輪車遺棄現場よりほんの僅か先に茂木町の町道終点の杭があり、その先が奈良駄峠である。峠の先には南に向かうやはり歩道にしかならない程度の細い道が続くのみ。ますますもって謎である。

     
何故車が??    謎である    奈良駄峠が見えてきた

 奈良駄峠にある巨大境界石に驚き、更に峠南面に拡がる採掘場に溜息をつく。いろいろと意外性のある山である。一休みして、ここからが山登り本番となる。

 まずは東側に尾根を縦走し仏頂山までのピストンだ。階段の多いルートとは聞いていたが、のっけからその洗礼を受けることになった。

     
でかい境界石    何かの採掘場    足に優しくない立派な階段

 一旦階段を登り切ってやや平らな所へ出るとその先にまた階段。遊歩道として整備するのもよいが、少し過剰なのではと思う。階段嫌いの人が"避けて"出来た踏み跡がしっかり出来ている。自分も出来るだけ階段を使わずにそちらを通った。

 殆ど岩が見られない尾根道に、突然桃が2つに割れたその名も桃太郎石の出現。意外性は尾根道でも健在だ。

 やがて伐採地に到着すると、北側の景色が広がった。それまでの風景に乏しい歩きの溜飲を下げる思いだ。残念なのは天気がイマイチなこと。冬の低山歩きは、やはりすっきりした青空が似合うものなのだがこればかりはしょうがない。

     
登り切ってもまた階段    桃太郎石    伐採地から北側

 東へ向かっていた尾根が大きく北へ針路を変えると一旦ガクンと高度を下げる。下りきった所から尾根を乗り換え再び東進し標高差にして90mも登り返すとそこが仏頂山の頂上である。樹に覆われた山頂からの景色はすっきりしないが、天気が悪いのでさほど落胆もしない。久々の山行でまた調子のあがらないH君が登って来るのを待って写真を撮った。

 ここまでの区間、階段もそうだが道標も完璧に整備されていて流石にハイキングコースを胸張って名乗るだけのことはあるとは思う。事実、先ほどから既に数組のハイカーとすれ違っておりそれなりの人気コースのようであるが、やはりどう考えても階段づくしはいただけない。コースが荒れないようにという配慮からだろうが、足元の悪さもハイキングの味わいの一つと自分などは思うのだが。

     
向かうピークへもまた階段    H君山頂までもうちょっと    仏頂山頂上

 ピストンで奈良駄峠まで戻り此処から今度は高峯に向けて西進である。奈良駄峠は尾根の下部を突き抜いたような感じで交差しており、東西の尾根に取り付くにはまず階段登りをしなければならない。えぇい面倒だから適当に取り付いて尾根に上がってしまえという行儀の悪い事は今日は無し。おとなしく階段をコツコツと登っていく。

 平坦な箇所になると時折穏やかな道が現れほっとする。少し斜度が出るとすかさず出てくる階段にもあきらめがついてきた頃、高峯山頂に到着。こちらは仏頂山より南北に幾らか眺望があるが、更に西に行った次のピークが景色が良いというのでそちらへ進む。

     
当然帰りも階段    緩やかな尾根にほっとする    高峯山頂

 一旦鞍部まで下がり次のピークがパラグライダーの離陸場で南側180度の好眺望。

 驚いた事に、鞍部まで下から車で上がって来れるようだ。元々パラグライダーの機材を上げた道なのだろう。今はマウンテンバイクをワンボックス車で上げて来てダウンヒルを楽しむ若者達で賑わっている。肝心のパラグライダーのほうは、設備が見る影も無い状況なので今はもう使われていないのだろうか。

 兎にも角にもハイカーにとっては嬉しい好眺望ポイントであるのは間違いない。

     
ハングライダー場パノラマ      

 幸いにして陽差しが幾らか出てきて暖かくなってきた。疲れて食事が喉を通らないH君には申し訳ないが、向かいに加波山を望む雄大な景色でゆっくりと昼食を楽しませて貰った。

 下山を始めると「太平洋眺望まで50秒」という道標が目に入り寄り道をする。笹を分けてほんの少しだけ行くと東側に開けたポイントがあった。良く晴れた日なら太平洋も可能かも知れないが、残念ながら今日は霞がかかっていて遠くはよく見えない。

 帰路は奈良駄峠まで下らずに、途中から上小貫への分岐を下っていくが、いやはや強烈な階段下りがまたまた出現だ。どこまでも続く階段はやがて植林帯へと呑み込まれ、そして林道終点でやっと階段から解放された。

 階段尽くしと奇妙なオブジェの眠る山。いつもとは変わった雰囲気の山行であった。

     
太平洋眺望50秒とな?    晴れていれば見えるのだろう    うわぁ下りも階段!
  
林道出会い    駐車地の堰堤

概略コースタイム
駐車地発(9:40)-奈良駄峠(10:14)-桃太郎石(10:28)-伐採地(10:35)-仏頂山(11:00)-
奈良駄峠(11:53)-高峯山頂(12:46)-パラグライダー場(12:55)-昼食休憩-
下山開始(13:38)-下山口分岐(13:54)-林道出会(14:08)-駐車地着(14:35)

2010年01月23日

半蔵山北側を歩く


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 宇都宮市北西部に横たわる半蔵山。前回は楽を決め込み、山頂直下に車をデポして南西へと縦走、鞍掛峠へと抜けたが、歩き残しの北半分と林道が複数入り組んでいる西側の領域が気になっていた。

 半蔵山は里山にしては比較的スケールが大きいので「道無きアプローチ」もいろいろと考えられる。薮山歩きの素材としては楽しみな山なのだ。

 今回は、日光街道沿いの上町集落の神社から入山し、半蔵山の北東を登っていく。明瞭な尾根が無いため、地図を見ていて難易度が高いなと常々思っていたが、先般、数度にわたるオフロードバイクによる偵察を重ね、ようやくここをやる目処が付いたのである。

 取り付きより半蔵山の北の肩に到達したら、今度は北西に方向転換して425mPを踏み一旦石那田へ下山。林道を使い山頂の西側にアプローチしてから谷を詰める。半蔵山主稜線へ復帰した後、男抱山へ下っていくのが今回のコースである。

 家内に出動を要請し、2台で自宅を出発した。朝の気温は低いが、これから向かうコースへの緊張感で寒さをあまり感じない。
 下山地である男抱山登山口にパジェロミニを駐め、ここから更に取り付き地の上町集落に向かい鳥居の前で車から落として貰った。まばゆい陽差しの中いざ出発である。

 日光宇都宮道と平行する階段を登っていく。結構距離があるが、登り詰めると突き当たりに鳥居があり、社殿があった。名前など一切無いのがかえってミステリアスな雰囲気を醸し出しているが、良く手入れされた周囲は神事の日には信仰の人によって賑わうのだろう。

     
取付地の鳥居    まずは石段    社殿の前の鳥居

 静かな社殿脇からは、落ち葉を踏みしめながら小尾根を登っていく。さぁ今日のルーファンの首尾や如何に。

 初めのうちは歩きやすかったが、やがて細かい薮が出るようになってきた。特に濃い訳ではないので問題は無い。基本的に植林地なので、往時は山仕事の人が入っていたのだろうが、うち捨てられた倒木の古さやあまり手入れされていない枝ぶりからすると最近は訪れる人も絶えて久しい雰囲気である。無秩序に散らかる倒木を避けながらザクザクと進んでいくと、忽然と鉄塔が視界に入ってきた。(鉄塔1)

     
社殿脇から登っていく    濃くは無いがうるさい薮    突然鉄塔現る(鉄塔1)

 このあたりは傾斜が緩いので、針路角をミスする可能性が充分考えられた。GPSと地図を頻繁に出して針路の確保に努めるが、踏み跡は皆無。油断は禁物である。

 やがて光が差しこむようになると東側に開けた伐採地に出た。樹林歩きに馴れた目にはひときわ太陽の光が眩しく感じられる。

 伐採地を過ぎると、一旦下から上がってくる鉄塔巡視路に合わせるが、ここを登りきってしまうと目的の方角に向かうためには急斜面超えになってしまうことを先日の偵察で確認していたので、小さな谷を渡り隣の山腹に取り付いた。薮の薄い所を狙って若干頑張るとまた植林帯が拡がる。足元がフカフカした急斜面は非常に歩きにくい。

     
明るくなってくると・・・    伐採地に出た    歩きやすい所を選んで

 前方に苔むした岩が露出しているピークが現れた。向かうべき針路角と若干ずれるが、こんな所にひっそりと鎮座するピークに人知れず佇むのも一興だろうと思い、立ち寄る事にした。

 いざ岩に立って見るとさほど景色が良い訳ではない。枝越しに篠井連峰が見えるだけである。だが、何となく満たされた気分、そう、隠れ家を見つけた子供のような気持ち。

 更に登っていくと再び伐採地へ着くが、ここからの北側の眺望はなかなか素晴らしい。正直今回は景色をまったく期待していなかっただけに、予想外の眺望に思わず足を止めて長々と休憩をした。高原山も綺麗だが、手前に見える篠井連峰の榛名山や男山、本山をこの角度から見るのも新鮮だ。また、真正面には先日登った高へら山もその姿を全て見せている。

     
苔むした岩    岩の上から篠井連峰    好眺望!

 登りを再開したが、再び下から上がってきた別な古い作業道に一旦合わせる。そろそろ針路角がずれてきたなと思った頃に、良いタイミングで道が折れるも山を巻くのみで上に上がっていく様子が無い。どこかで見切りを付けなければまずいと思うが、上を見るとかなり濃い薮が覆っていて気乗りしない。この辺かこの辺かと窺いながら先に行くとやっと薮が切れた斜面が見つかる。何故かここだけ上まで電車道のように薮が切れているのだ。

 相変わらず歩きにくい急斜面の直登に喘ぐ。呼吸を整える小休止を数回経て平坦地に到着。半蔵山の北の肩に到着だ。

 ここからは北西に針路変更だが、地図上でもはっきりとした尾根線を行くのでルートの心配はほぼない。障害物があれば巻けば良いし、とにかく尾根キープで行けば問題は無さそうだ。

 こちらのルートはネットで報告もありそれなりに歩かれているようだ。踏み跡もあるし所々赤ペンキもあるので、先ほどまでの登りとは段違いの気楽さだ。明るい尾根を下るとやがて鉄塔に到達した。そこから男体山が良く見える。

     
薮を嫌うと突破口が開けた    明るい尾根    鉄塔2より男体山

 更に北西へ下り鞍部から425mPへ登り返す。写真で見ると大したことが無さそうだが、落ち葉で足が滑り易い急登。時折薄いが薮も邪魔をしてなかなか骨が折れる。

 大きく肩で息を切りながら登り詰めた425mPは眺望も何も無し。水を一口飲んで次を急ぐ。小広いピークからどうやって西へ進むのかと周囲を窺うと、足元に急降下があってその先に踏み跡が続く。これを丹念に辿っていくとやがて正面に紅白の鉄塔が見えてきた。

     
425Pへの登り    (同左)軽い薮の急登    425Pから西へ下る

 他のネット記事では、この鉄塔から先は巡視路を使って石那田へ降りているようである。先日の偵察でこの巡視路も検討したが今回自分はここを降りずに更に西の尾根を辿る。

 鉄塔を過ぎた頃一旦尾根形を見失う。ここもGPSと地図でしつこい程チェックを重ねながら進んで行くと薮の中にまた踏み跡を見つけた。鉄塔付近で失った踏み跡なのか、或いは違う目的の道と合流したのか。

 大分高度が下がってきた頃木造の祠と出くわす。もはや生活圏まで下ってきたようである。

     
紅白鉄塔    薮だが足元の踏み跡アリ    木造の祠

 舗装林道が下に見えてきた。本日の第一区間は緊張のルートファインディングであった。特に前半の半蔵山北の肩までは、なかなか難しい局面の連続であったが故に達成感も大きい。

 林道を離れ一旦車道を歩く。次なる取り付き点へ1Km強の移動である。

     
舗装林道が見えてきた    林道を一旦出る    次なる林道へ向けて車道歩き

 先ほどの紅白鉄塔を傍らに見ながら南に進み、やがて舗装林道へと吸い込まれていく。先日の偵察では支線の隅々まで調査済みなので、進むべき「羽黒山登山口」までは間違う筈がないのだが、緊張が途切れてぼっとしていたのだろうか。うっかり別の支線に間違えて入ってしまい行き止まりだ。脇の高みを超えれば目的の支線に、或いは眼前のピークを乗り越せば方角的には目的の登山口に到達出来るかも知れないという予想はしたが、家に残してきた行動予定線図以外のルートは取るべきではないだろう。すごすごと来た道を戻り分岐から再度林道を進んだ。

     
先程の紅白鉄塔    林道分岐    同左

 支線終点に「羽黒山登山口」とプレートがある。ここから谷詰めで、半蔵山と南西にある493mPの東方約200mにあるピーク、通称羽黒山に向かうことが出来るらしい。

 登山口と銘打つ位だから途中に道標が幾つかあるのだろうと思っていたが、見事にその期待は裏切られたようである。案内されたのは"登山口"という事実だけで、どこをどう登ったら良いのやら、どこでもお好きにどうそといった感じである。

 一応こんな時の為に想定ルートを考えていたので、まずは方角と一致した作業用のブル道を登る。上の方に行くと歩き辛くなってきていよいよ谷も詰まってきた。羽黒山へ向かう稜線は恐らく谷の右手を登らないといけないが、少し斜度もきつく稜線までの距離はかなりある。安全をとるならば左手を登り支尾根から主稜線に合流したほうがベターなような気がする。だが左の支尾根は、上の方に大きな岩が見えるのが気になった。

     
羽黒山登山口    ブル道を辿る    谷詰めになるが・・・

 しばし思案し、左の支尾根に取り付くことにした。微かであるが踏み跡が感じられる。他の人もやはりここで同じように考えたのだろうか。

 砂利で滑る足元に気を付けて小尾根によじ登ると、一直線上の真上に例の岩が待ちかまえていた。だが良く見ると岩の間が割れていて通過出来そうだ。ここが絶望的なら、一旦谷に戻り少し低い所から右の尾根を狙おうと思っていたので一安心である。

 岩に近づくと驚いた事にトラロープが下がっていた。もはや此処が羽黒山へのデフォルトルートであることは疑う余地も無い。ロープが無くても頑張れば通過出来るが、ありがたく補助として利用させていただいた。

     
左の小尾根に乗って    岩の間にルートアリ    先人のトラロープ

 トラロープの岩場を過ぎると、直ぐ半蔵山の主稜線に出ることが出来た。上から見ると何も目印が無いので、下りに使うには至難の業であろう。

 この区間は自宅に帰ってから落ち着いて良く地図を見返した。「羽黒山登山口」で左右の尾根のどちらかに、多少の藪漕ぎを辞さずに取り付いてしまえばスムースに登れたのではと反省。だが眼前に道があるとやはりそちらを歩いてしまう判断力の弱さがまだまだ払拭出来ていないようである。これは今後も課題であろう。

 主稜線から幾らか登っていき半蔵山頂上に到着。今日は踏ん張り続けの直登急登で前傾姿勢が多かったせいだろうか、珍しくかかとが靴に当たって痛い。前回の赤岩山に続いて新しい靴での2回目の山行になるが、概ね靴の調子は良好。当面、足との良い付き合いが期待できそうだ。

 景色のあまり良くない山頂であるが、時間なのでここで昼食休憩とした。幾らか雲が出てきて急に気温が下がってきた。汗が冷たいので上着を重ねて切り株に腰を降ろして静かな食事をとる。

 眼前には先ほど通過してきた425mPとその左手に紅白の鉄塔が見える。改めてぐるりと周回してきたことを実感した。

     
半蔵山南西主稜線に出る    半蔵山頂上    先ほどの425Pと紅白鉄塔

 山頂からは一旦舗装の林道、牛沢天王寺線へ出る。50m程で「男抱山へ」の道標を見てここから再び山に入る。半蔵山から男抱山までの区間はずっと歩きたいと思っていたが、単発で歩くのもちょっと物足りない気がしていたのでなかなか歩かずじまいであった。今日は好機である。

 下り始めるとまず大きな岩の出現に驚く。その名も大岩山。岩の地肌を見ると細かいノミの跡のようなものが多数見られる。誰がいつ、何の為に掘削したのかは知る由もないが、興味深い岩である。

 この後も途中途中に巨大岩場がルート脇にあり、飽きることがない。

     
一旦、林道牛沢天王寺線に出る    大岩山    同左

 最近整備された道標が所々に見られるが、ハイキングコースと言うにはややワイルド。途中植林地の作業道なども交錯し、山馴れした人でないと道迷いする可能性も高いが、概ね安心感のあるルートをつたい、男抱山の鞍部に到着した。

 犬を散歩させている夫婦に遭遇。本日初めてのヒトとの出会いだ。このあと男抱山東峰の富士山に到着すると、10人くらいのおばさん達が山頂の岩に陣取って、おしゃべりとお菓子に余念が無い。無愛想な中年男は写真を一枚だけ撮ってそそくさと下山。立派な木造プレートが最近設置された男抱山登山口に駐まっている愛車を見て、長かった緊張の一日が無事終わった事を知ったのである。

     
男抱山へ向かう    男抱富士より鞍掛山と鞍掛尾根    男抱山登山口へ到着

概略コースタイム
取付地の神社(9:29)-鉄塔1(9:50)-伐採地(10:00)-苔むした岩(10:16)-高原山眺望(10:23)-
半蔵山北の肩(10:39)-鉄塔2(10:46)-425mP(11:02)-紅白鉄塔(11:20)-木造の祠(11:30)-
林道着地(11:32)-道間違いで行き止まり(11:53)-羽黒山登山口(12:07)-半蔵山主稜線(12:26)-
半蔵山頂上着(12:41)-昼食休憩-行動再開(13:13)-林道牛沢天王寺線と合流(13:24)-大岩山(13:27)-
男抱山鞍部(14:13)-男抱山西峰富士山(14:18)-男抱山登山口着(14:44)

2010年01月19日

会社更生法申請日のJALに乗る

 JALが会社更生法申請をしたその日、奇しくもそのJALで北海道出張となった。

 ネットであらかじめ購入した格安航空券を受け取りに、羽田の発券カウンターに行くといつにも増して係員の腰が低いように感じた。やはり世論に対して気を遣うようよう指示がでているのか。大幅なリストラの敢行も余儀なしという状況で乱れぬのは流石であるが、規制と認可のしばり、そして公共性という名目の中で喘いできた現場の優秀な社員には同情の余地があろう。だが官と癒着した放漫な経営者は罰するべきである。

 ちなみに今回の搭乗は、往路が羽田(9:50発)→千歳、復路が千歳(16:50)→いわて花巻であった。

 羽田→千歳は各社ドル箱路線であり、この路線で今までに何度も乗ったANAやAirDOは常に満席だった。今日のJALは何故か定員の7割位の乗客である。流石に運航には支障の有るはずも無いのに何故乗客が少ないのだろう。他社機も同じ状況だったのか。

 そして帰りの千歳→いわて花巻線は、搭乗口で待っている人が出発15分前なのに10人も居ない。眼前には小型とはいえジェット機が駐まっているのに。

 結局出発してみれば100人ちょい乗れる小型ジェット機に、約20人程度の乗客のみ。これは赤字になるのは素人でも明白である。繁忙期と合わせて黒字になるかどうかは知らないが、国内線の地方路線の実体を垣間見た気がした。



※下写真説明

(左)烏山{たぶん}上空から西に鬼怒川を見て、突き当たりが日光連山
(中)黒磯{たぶん}上空から見た高原山
(右)        〃 高原山北側の男鹿山脈

     
日光方面    高原山    日留賀岳、男鹿岳

2010年01月11日

奥日光でスノーシュー

 スノーシュー。

 何年か前から耳にするようになったが、要は西洋かんじきとでも言おうか。今風かんじき?最新式かんじき?

 スノーシューを使って歩くコースが奥日光に展開されて、フィールド好きの人々に楽しまれているということを伝え聞き以前から興味があった。

 何せ全く知識も当然経験も無いし、ましてやコース情報やリスクも何も解らないのでどうしようも無かったのだが、折良く最近Mixiで参加した山関係のコミュニティで企画があったので連れて行って頂く事にした。

 基本的な服装はスキーウェア上下とグローブ。勿論冬山装備を持っている人ならなお結構だろう。靴はトレッキングシューズに前夜たっぷり撥水スプレーを染みこませておいた。これにレンタルのスノーシュー(ストック付き)¥900也でビギナー向け装備が一式揃う。

 コースは、金精峠入り口の冬季閉鎖ゲートより歩き始めて車道を辿り、谷に向かってやや下ると平坦な所に蓼ノ湖という凍結湖がある。ここで昼食を取り少し北側の斜度があるところでソリ遊びに興じるという長閑な内容であった。

 靴の前面を締め具で固定するも、かかとが浮くので思ったより足の不自由さは無い。下り斜面ではどこに重心を置いたら良いのか一瞬とまどうが、5分も歩けばすぐに馴れてくる。急斜面の登りは得意のガニ股で行けば威力百倍!

 正直こんなに雪上歩行が楽だとは思っていなかっただけに、冬場の活動を薮山に限定しておくのも勿体ないのではと開眼した次第である。もっとも楽とはいえ、新雪のラッセルをやるとやはりかなり体力を消耗する。単独で深い所に入山して雪解けまで発見されないのは嫌だからとても無理は出来ないが(笑)

 散策と言ってよい位の短い距離ではあったが、凍った湖の上を恐る恐る渡ったり、ゆうに30年ぶりくらいかもしれないソリ遊びなど楽しい冬の一日であった。

     
金精峠入口ゲートから    車道を進む    天気も快晴
     
蓼ノ湖へ到着    湖は氷結している   
     

2010年01月03日

赤岩山



-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 2010年の歩き初めは、何となく歩き残していた古賀志山の西域である赤岩山

 年明け早々、くたびれきったトレッキングシューズを買い換えたので試し履きも兼ねた山行となった。

 ルートは通称西登山口から風雷神社経由で赤岩山主稜線に乗り、尾根の西端にある猿岩(432.7m四等三角点)へのピストンの後、赤岩山を踏み御岳山より滝コースにて下山とした。

 古賀志山と赤岩山の間は岩尾根で、場所によってはザイル確保が必要という記述がガイドブックにあるが、実際に歩いた人の話だと中尾根や東陵が歩けていればOKだという。まぁ危なければ撤退すれば良いだろう。あくまで今日は靴慣らしなのだから。

 城山西小より少し先に宇都宮市で設置した駐車場があるが、混雑期以外ここに駐める人は数少ない。みな林道の途中のスペースに路駐しているようだ。自分も下山地を考慮して少し先の空きスペースに駐めた。舗装林道を西へ暫く歩くとパラグライダーの発進所(低いところにあるほう)を左に見る。程なく風雷神社の石鳥居に到着。ここが西登山口となる。

 ゴーロとまではいかないが、小さめの石が目立ついささか歩きづらい登山道を行く。周囲は暗く鬱蒼としているが道はしっかりしている。やがて風雷神社の赤い鉄の鳥居の所へ着いた。暑くなってきたので一枚脱いで一息ついてから鳥居の先の急斜面を登ると、岩棚にひっそりと石祠が奉られていた。霊験あらたかな雰囲気とはまさにこのことか。岩のなせるわざなのか、えもいえぬ威圧感のようなものを感じた。

     
風雷神社登山口鳥居    風雷神社鳥居    岩棚にひっそりと石祠

 左右を岩に囲まれた谷を急登していく。先ほどの鳥居の所で後ろから来た登山者に先行されたが、足が達者な人であっという間に背中が見えなくなってしまった。

 自分としてはこの程度の急登なら呼吸を乱さず一気に登り切りたいという気概はあるが、まだまだそんな体力とは程遠いようである。

 杉木立の合間から光が差してきた。稜線へ出るのかと思ったが、ハングライダー用の索道ルートであった。上を見るとハングライダーの発進所がある。折良く索道を遊園地の列車のような車両が上がってきた。乗客はめいめいに大きな荷物(ハングライダー)を抱えて降り立ち、床に幌を拡げる。一人が離陸するのを見届けて自分も登山道に戻ることにした。

     
谷を急登    ハングライダーの索道    TAKE OFF!

 登山道に戻る・・・筈だったのだが踏み跡が見つからない。上を見ると主稜線までは標高差数十m程度といったところか。ままよといつもの薮山よろしく直登す。新しい靴は実に素晴らしい。今までの靴はヘタリが激しくて、こういった所を歩くと全く踏ん張りが効かなかった。急斜面をトラバースする時などは、スキーの斜滑降のように谷足のエッジが効かないと大変だ。だが新しい靴はキチっと足をホールドしてくれてそれでいて柔軟性もある。ソールもビブラムでこれで1万円以下(在庫処分特価)とは実にお買い得であった。あとは耐久性だがこればかりは使い込まないと判らない。まぁ3年もてば御の字だろう。いつかしっかりした靴も欲しいところだが、もう少しいろいろ試してみたい気もする。

 赤岩山の肩に辿り着くと、ひとまず西方を目指し高度を下げる。西端にある猿岩までのピストンだ。途中60歳台の単独男性と会う。話によると鉄塔巡視路を使ってアプローチして直接猿岩に到達したという。西側の市境あたりから上がってきたのだろうか。この先1つめのピークである篭岩がやや厳しく、2つめが猿岩であるとの情報を頂いた。

 どんどん高度を下げていくと、成る程、一つめの大きな岩(篭岩)がここを通すものかとばかりに立ちはだかっている。左に巻いている道があるのでこれを少し歩いたが、高度を下げる一方。戻って岩をよく見ると、ちゃんと登路はある。慎重に手付き足付きを探りながら無事乗り越すと更に向こうにピークが見える。あそこが猿岩だろう。もう少しである。

 最後の急登を登りきると、最初に三角点の石が目に入って次に男体山。おや、最近似たような景色が・・・そう、船生の富士山と同じパターンだ。

 山頂からは、今自分が登ってきた道、そして北と南に、あわせて3ルートの明瞭な踏み跡があった。猿岩直登ルートがあるのだろうか。そういえば先ほどすれ違った男性もこの2本の踏み跡のどちらかを登ってきた訳だから、自分も次回の猿岩攻略が断然楽しみになるというものだ。

 下(右)写真をご覧の方はお気づきかと思うが、SHCカワスミさんの山名板は間違いのようである。もっとも無名峰なので明確な定義があるわけではないものの、四等三角点のある432.7mPは通称『猿岩』、その東側約100mにある岩峰が通称『篭岩』とする情報が多い。したがってカワスミさんは、『猿岩』ピークに『篭岩』の山名板を付けてしまったようだ。

 更に分県版「栃木県の山」では、一番西から篭岩・432.7mP・猿岩と記述しているが、これも全く違うのではと思うが。

     
篭岩ピーク    猿岩山頂   

 急降下と難しい岩場の連続でいささか時間が掛かったのか、時計を見ると丁度12時だ。予定ではもう少し赤岩山寄りで食事をする筈であったが、この静かなピークでゆっくり休むのも良いだろう。腰を下ろしてバーナーに火を付ける。

 眺望は西側を覆っている木のせいで今一つ。まぁ独り占めの景色だから良しとしよう。

 長時間休んでいると体が冷えてしまうので早々に撤収。赤岩山へと戻る。来るときは急降下だったから、登り返しはなかなかキツイ。

     
猿岩より岩崎444mP    同左 紫雲山方面    篭岩へ登り返す

 赤岩山の山頂は木に覆われ眺望は全く無し。そして、ここにある山名板もまた間違いがある。標高が520mと記されているが、地形図上では535mとなっている。

 山頂東側にあるハングライダー発進所跡地からは南側と東への眺望が開ける。これから向かう546mPとその手前の岩峰がずんぐりととしていて壮観だ。成る程これを越えていくのか。やっと赤岩山の正体を見たような思いになった。

 全てが岩尾根ではないのでさして緊張することもないが、所々にある岩超えを注意深く行けばさして危険では無い。546mP先に一箇所だけ垂直に近い岩があったが、それもせいぜい高さにして5~6m程度か。ホールドは充分にあるのでロープがあっても使わないで充分登れる。ただ、背の低い人、体重が重い人(身長や体力比)、高い所が苦手な人は、やはり途中で進退窮まる可能性も否めない。メンバーのレベルが多岐にわたる場合は、ザイルで確保したほうが良い場所も確かにあった。

     
赤岩山頂上    ずんぐりとした546mP    見慣れない大きな鳥が飛んでいた

 546mPの手前の岩峰を過ぎると黒く焦げた木が見られるようになる。07年2月の山火事の跡のようだ。広範囲に焼けた感じがあまりしないが、あの時は数日間に渡ってヘリで散水し、なかなか消火しなかったような記憶がある。

 546mPから下ると正面に御岳山が見え、稜線縦走も終盤に近いことを知る。垂直な岩場を一つ乗り越すとあとは穏やかな道になり一投足で眺望の御岳山へ到着した。

     
山火事の跡    546mP付近から御岳山方面    岩場の多い尾根

 来し方の赤岩山、篭岩方面から鞍掛尾根までの相変わらずの好眺望である。眼前の岩崎444mPのピーク肩が良く見える。昨年の春の岩崎5峰周回の際にそこで食事をしながらこちら側を眺めていたのがつい昨日のようである。

 良く言われる古賀志山馬蹄形縦走では、自分が歩いた岩崎5峰の一部もそのルート上にある。問題は559mPから西へどこを降りて383mPに到達するかだ。383mPから444mPまでは既に歩いているので問題無し。444mPからは西ないしは南西に降りないと馬蹄形にならないのだが、上から見るとなかなか一筋縄でないように見受けられる。もう少し情報を揃えて来シーズン辺りには実現したいところだ。

     
篭岩、赤岩山方面    岩崎444mP、奥は日光    鞍掛尾根、奥は高原山

 昼食時は大変賑わう御岳山だが、時間を外しているので静かなものだ。夫婦連れのハイカーが去った後、一人になってしまった山頂を自分もまた辞する。

 下山は御岳山脇の階段を降りた所で南へ下降。大きな岩をいくつも背にしながら谷を下っていく、通称『滝コース』を使って新年の初山行を終えた。

 回を分けたがこれで半蔵山から赤岩山西端までを全て歩いた事になる。(半蔵山北側日光街道までは未踏)
 改めて古賀志山群を振り返ってみると、赤岩山から猿岩までは人影まばらの奥座敷、古賀志連峰の離れといった趣。起伏に富み岩の厳しさと自然ななままの雰囲気が色濃く、なかなか良いエリアである。

 赤岩山から御岳山はとにかく岩に次ぐ岩。案外ハイカーも多いので静かさではイマイチだが、単純に岩超えが楽しい箇所。
 御岳山から古賀志山までは、これは言わずと知れた古賀志山銀座である。その北559mPももはや銀座の仲間入りと言ってよいくらいに賑わっている。
 鞍掛尾根は起伏が多いので結構体力を使うが、コース自体は難しくない。もっとも、最近ネットで調べていると、猿岩から尾根に取り付き、赤岩山・古賀志山・559・鞍掛尾根・鞍掛山・半蔵山とずっと繋いで古賀志連峰縦走とする報告が見られる。今の自分には体力的にほぼ不可能だが、近隣の宇都宮市民ハイカーなら一度は歩いてみたいと夢見る縦走ではないだろうか。

           
駐車地帰着      

概略コースタイム
駐車地発(10:19)-西登山口(10:38)-風雷神社(10:54)-ハングライダー発進所(11:24)-
赤岩山肩(11:31)-篭岩(11:50)-猿岩着(11:59)-昼食休憩-出発(12:31)-篭岩(12:39)-
赤岩山(12:55)-546mP(13:33)-御岳山(13:51)-ロッククライミング場脇(14:21)-駐車地着(14:36)

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