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2008年07月 アーカイブ


2008年07月21日

茶臼岳



-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 ついに森林限界突破である。薮っぽい低山よさようなら・・・なんて事は言わない。薮山は薮山で深~い味わいがあるのだ。

 梅雨明け宣言も、ただ単に気温が高いからだけという感じがしない訳ではないが、何はともあれ夏の到来である。夏と言えば、青い空、白い雲、爽やかな高山にそよぐ風と相場が決まっている。{誰が決めたんだ(^^;

 ということで、H君と共にアルペンちっくな那須を目指す事にした。予定コースは峠の茶屋から峰の茶屋経由朝日岳往復、茶臼岳(ちゃうすだけ){1915m}のお鉢巡りをしてロープウェイで下山である。

 出だしに職場からCALLが有って一旦会社に行ったり途中で道を間違えたりといろいろあったが、予定の1時間遅れで無事ロープウェイ山麓駅に到着した。

 予報では朝のうちの霧が晴れると暑い夏の一日ということだったが、那須へ向かうにつれて霧は更に濃さを増していく。上のほうはわからないが、状況次第によってはルート短縮か中止もやむなしと覚悟を決めていた。

 有料道路の終点を過ぎた辺りで、それはもう本当に突然ぱっと霧が晴れて、茶臼岳と朝日岳の勇姿が目に飛び込んできた。どうやら丁度霧の境目の標高だったようである。今日は朝からいろいろケチがついたのでH君共々いささか気落ちした感じではあったが、すっきりと見渡す山姿に一気に勇気づけられたのは言うまでも無い。

 帰りは余分に歩くのが嫌だったので、ロープウェイの駅の所に車を置いて出発だ。おぃおぃ出だしの階段堪えるよ。などと言いながら峠の茶屋へ到着する。

 峠の茶屋脇から道標に従い登って行くと登山指導所あり。ここで入山届け出を書くが、流石に良く出来た用紙で、コースも丸印を付けるだけで良いというサービス満点。メジャーな山は出だしから違うものである。

 鳥居をくぐり、歩き出しはいつもの歩き慣れているような樹林帯を行く。階段がちょっと脚に合わないが、まぁこんなものだろう。汗が出てきた頃にはすっかり樹がなくなって雄大なパノラマの中を歩いている。なかなか気持ちの良いコースだ。

 先ほどから上の方で小さな子供達の元気な声がしていたが、幼稚園の行事登山のようである。最後尾の保育師さんに尋ねてみれば年長さんだとか。引率の先生方や親御さん達がはっぱをかけて、元気な子、手を引っ張って貰っている子。皆空身で登っているのだが、飲料水や食料運搬の強力役の係の人も必要だろう。フォローが大変そうだなぁと思った。それにしても子供達は皆生き生きとして登っていること。

     
山麓駅からいざ出発    ここが本当の登山口    年長さんも頑張る頑張る

 元気一杯の幼稚園児達の傍らで一人調子の上がらないのがH君。比べて、私は今日は好調だ。斜度は決してきつくはない。第一こんなに整備された明瞭な道だと、とにかく気を遣わずに歩いて行けるので精神的な疲労感が皆無であるところも大きい。雄大な眺望を見ながら登るのも、日頃の山域では考えられない事だ。

 H君は出だしの階段でペースを乱されたようで、加えて脚の付け根の関節が少し痛むらしい。私も膝痛が出た時は辛かったが、今日は無理は止した方が良さそうである。

     
クレヨンしんちゃんの園長先生みたい    H君調子上がらず 園児に追い越されちゃうぞぉ    流石にせ穂高の異名 アルペンチック!

 峰の茶屋を目指し鋭い陽光の中を進む。暑いことは暑いのだが、吹く風は爽やかそのものである。
 樹林帯の山を歩くときは、目的物が見えないことが殆どである。一体何処まで歩くのか?という葛藤が心に常にあるのも事実。こうもはっきりと目的地が視界に入っているのはわかりやすいが、中々進まぬ景色に少々嫌気がさすのもまた事実。我が侭なものだ。

 峰の茶屋で休憩を入れる。朝日岳方面へ向かう道にはアリが行列を作るようにハイカーが続いていた。茶臼岳とほぼ同じような標高差を考えると、大した行程でないような気もしたが今日は取りあえず此処までとしよう。

 再スタート。峰の茶屋より少し登った地点からの南西側の眺望が素晴らしい。低い層と高い層の異なったタイプの雲が見せるパノラマは絶景だ。

     
峰の茶屋から剣が峰    ピカピカの鎖が 流石メジャールート    何とも言えない美しい雲のバランス

 だいぶ高度を上げて下を見ると峰の茶屋は遙か下に。噴煙の吹き出す音を間近に聞きながらガレ場を慎重に登っていくと外輪である「お鉢」のへりへ辿り着いた。向かい側のひときわ高い所が茶臼岳の山頂のようである。

 ほぼ平坦な「お鉢」を西回りで巡り山頂へ到着した。那須岳神社の立派な祠があるが、いつも見慣れている多種多様な山名板は此処には全く無い。もっとも山名板をくくりつける木そのものが無いので当たり前なのだが、これはこれでいささか寂しい気もした。

     
峰の茶屋は遙か下    ごうごうと噴煙たなびく    茶臼岳頂上到着!

 山頂の真下の岩陰で昼食をとる。時折下から吹き上げてくるガス(雲)、おびただしい数のトンボの群れ。なかなか普段の山では味わえない光景である。

 最後の下り、ガレ場下りは気を遣う。浮き石に乗って怪我でもしたら一大事。ガレ場を過ぎると今度は砂礫歩き。これもまた油断すると足を取られて歩きづらいことこの上も無し。

 ところで先ほどから気になっていたのだが、話には聞いていたものの、ロープウェイで登ってきた一般の観光客は本当に軽装で茶臼岳へ登って行き、そしてまた峰の茶屋方面へと下っていくものだ。まるで山支度で歩いているこちらのほうがちゃんちゃら可笑しい位だ。

 確かにルート的には明瞭なのだが、中には運動靴では無くパンプスなどで登っている人も居たりでこちらが肝を冷やす。我々が山頂を目指してガレ場を進んでいる時だった。もう老年と言って良い頃合いの年齢の夫婦が岩を伝いながら降りてくる。二人とも観光バスで名所旧跡巡りをしているようなごく普通の出で立ちである。奥さんが岩に難儀しているのを待っている間の僅かな時間にご主人は、なんとチューハイ片手、しかももう片方の手にはつまみを持って悠然と岩の上に立ち一杯やっているのである。

 ここまで来るともはや何をか言わんやである。本人にとっては大した事では無いのかも知れない。また現時点では誰にも迷惑を掛けている訳でもないが、何か違うよなぁと思ったのは自分だけなのか。

 ロープウエィ駅が見えてきた。茶臼岳も朝日岳方面も振り返って見ると濃いガスに包まれつつある。考えて見ると良いタイミングで降りてきたのかも知れない。此処までの殆どの時間素晴らしい風景を堪能することが出来たのだから。

 よし。待ってろよ朝日岳。今度こそ・・・
 そんな想いを胸にして下りのロープウエィの客となった。

     
ロープウェイ駅が見えてきた    軽装な観光客    雲がかかってきたが無事到着

概略コースタイム
ロープウエィ駐車場発(9:50)-峠の茶屋(10:07)-峰の茶屋(11:00)-小休止-
茶臼岳山頂着(12:03)-昼食休憩-山頂発(12:36)-ロープウエィ山頂駅着(13:16)

2008年07月20日

西荒川林道を辿って大滝へ

 たまにはパジェロミニで林道らしい所を走りたかったので、懸案の西荒川林道に向かった。途中にある大滝で避暑がてら昼飯でも食おうということで家内と二人出かける。

 東古屋湖を越えて暫く西へ向かうと林道の入り口がある。ここから砂利の林道が始まるが、所々道一杯の水たまりなどもありオフロードっぽい雰囲気が漂う。

 特に深い轍やハードなダートがあるというわけでも無いので、オフ初心者の自分にとっては丁度良いコースである。

 ルートが北に方向を転じて暫くすると西荒川林道の名所とも言える大滝へ到着した。

 滝の飛沫で涼を楽しみながらコンビニご飯をいただく。今日は火を持って来なかったので冷たい飲み物しかなかったが、ひんやりと涼しい滝の木陰では熱いコーヒーも良かったかもしれない。

 滝を充分に堪能した後は、西荒川添いの林道を北へと向かい県道へと抜けた。予定していた第二区間である西平岳登山口方面へ折れ高度を段々と上げていく。

 釈迦ヶ岳開拓の集落が途切れる辺りから再び砂利の林道が始まる。西平岳登山口の直前に車を駐める広場あり。この先はにさらに釈迦ヶ岳登山口へと林道が続いている筈なのだが、沢を跨ぐところで道がぷっつり途切れる。崩落してしまったのだろう。やむなくバックで200m程後退だ。

 登山口の偵察も兼ねたプチドライブであったが、久しぶりの4駆走行にパジェロミニも水を得た魚のようであった。


滝を見守る不動明王

 話は変わるが、つい先日知ったGPSのトラックログを表示する面白いツールを2つここで紹介する。

 下に並べる2つがそれ。左はALPSLAB routeというサービス。地図でお馴染みのALPS社のサービスで、無料でデータの作成と公開が出来る。右は「轍」というフリーソフトで作ったデータ。こちらはGoogleMapのAPIを使っているので、当ブログでも時々バイクの走行軌跡を表示するのに使っていたtrk2googlemapsで作成したデータとほぼ同じだ。一長一短だが、GoogleMapAPIを使う場合は「轍」のほうが好みで、これからは基本的に「轍」を使っていこうと思う。

 共にルート再生が出来るところがミソでありなかなか面白い。いろいろといじくって楽しんでいただきたい。

(2012年11月現在、ALPSLAB routeはサービスを終了してしまっている模様)

 

「轍」で作成したデータはこちら

2008年07月12日

地蔵岳と多気山 意外な組み合わせ?

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 GPSを新調してからまだ実戦での使用を経験していない。梅雨の中休みの予報だが、基本的には不安定な大気。早い時間に一座こなして余裕があればもう一座と考え、粕尾峠にある地蔵岳(じぞうだけ){1274.3m}に、もう一座は細尾峠旧道から薬師岳往復をと考え自宅を発つ。

 粕尾峠はこの季節バイクが多い。タイトで見通しの悪いコーナーの連続は決してハイスピードで楽しむ事は出来ないが、それでも一つ一つコーナーを手繰っていき山越えをしてく醍醐味はこの峠ならではであろう。とりわけ今の季節は、明るい緑の織りなす風景が筆舌に尽くしがたい程美しい。そんな峠に向かって元気に走り去るバイクに道を譲りながら、パジェロミニも日常では使わないような低いギヤーと高回転域のエンジンで高度を上げていく。久しぶりに鞭打たれたターボーエンジンの甲高いタービン音が高揚を誘う。

 峠を越して250m程先に地蔵岳登山口の道標があり、もう少し先に駐車スペースが有った。身支度を調え、GPSをカーナビモードから登山モードに設定変更していざ出発!

 登山口から暫くは穏やかな斜面が続き、ガイドブック通り「トラバース気味」に高度を上げていく。それもすぐ終わって平坦な湿地帯のような所へと出る。地蔵平である。「思川源流へ5分」の道標がある。帰りに寄ってみよう。

 新しいGPSが気になって途中幾度も画面を覗き込んだのだが、事前に把握していた尾根道とは随分離れているルートを歩いて来たようだ。途中には道標が至る所に設置されており、現に予定通りに地蔵平へも到着しているのでミスコースでは無いの確かなのだが・・・

 下野新聞社「栃木百名山」や「栃木の山紀行」さんで紹介されているルートは、いずれも「粕尾峠より足尾寄りに250m下ったポイントから入山し、トラバース気味に登り地蔵平へと到着する」とある。今回自分もまったくその通りに歩いて来たのだが、決定的に事実と違うのは両者とも紹介している地図上に、粕尾峠から殆ど離れていない地点から続く境界尾根を示している点であった。

 ここまでは尾根に乗らずにトラバースしているので、GPSなぞ無くても山慣れした方なら状況記述と地図にトレースされたコースとの不一致にすぐ気付く筈だ。初心者の自分もこの事に確信を持つに至ったのは後半の下山時であった。

     
登山口    地蔵平   

 地蔵平からは山頂より伸びる主尾根に乗り、段々と斜度もきつくなってくる。途中にある展望岩からは東側がひらけており、方塞山の電波塔から大きな横根山一帯が広がる。この展望岩から一登りで山頂である。

 山頂もまた東側の樹木が伐採されており眺望は展望岩とほぼ同じである。祠に鎮座する地蔵が見守る静かな山頂には沢山のトンボが飛んでいた。ザックを降ろししばし休憩といきたいところだが、先ほどから顔の廻りや両腕にアブやら虫がまとわりついて五月蠅いことこの上なし。貴重なほ乳類出現とあって吸血鬼の格好のターゲットにされそうになった。いや、正確には2度ほどチクリとやられているのでもはや未遂ではない。虫除けスプレーの携帯を忘れた事に深く後悔しながら慌ただしく山頂を後にするのであった。

 実は後になって地蔵岳が双耳峰であることを知った。山頂からほぼ南に直線で約200m。確かに地図上には顕著なピークが記されてる。前地蔵と呼ばれているそうだ。南に向かう道形は山頂で確認していたので、もし事前に知っていたら間違いなく歩いていた筈だが、次回の楽しみにとっておこう。

     
展望岩    展望岩より横根山方面    地蔵岳山頂

 地蔵平まで戻り、「この先5分」の道標に従い"思川源流"を訪ねる事にした。
 途中崩落した所を上巻するように付けられた場所以外は特に起伏も無く、程なく源流へと到着した。栃木市をゆったりと流れる思川がここより始まるという感慨を胸にして、地蔵岳より生まれし清流をひとしずく口に含む。冷たくはあったが、どこか柔らかい味のする水であった。

 地蔵平でひときわ目を引くのが少し小高い場所にある首缺け地蔵である。200年程の昔から存在すると言われているが、真新しい緋色の涎掛けは今でも篤い信仰のもと手入れがされている事を物語っている。

 で、この地蔵さまの写真を撮ってふと上のほうを見てみると、境界石が埋め込まれているではないか。往路に気になっていたことが一瞬で頭の中ではじけた。慌てて地図を取り出してみると間違いなく境界尾根である。GPSを取り出し"臨戦モード"に設定し辿って見ることにした。本来は此処を通ってくるべきだったのだから。

 歩き出してすぐ道形が無くなったと思ったら見覚えのある地点、すなわち往路で通過した地点で登山道と合流。ここでクロスしていたのか。

 さて改めて地図とGPSで検討し、目前を塞ぐピークに取り付いてその先に続く尾根を追うことにした。当然の事ながら道は無いが、薮にはなっていないので高度を上げるのは易しい。所々よく見るとかなり薄いが消えかかった踏み跡が散見される。最後の方は斜度も若干きつくなったが、登り切ってみるとやはり地図通り延々と尾根が続いている。尾根通しの道形ははっきりしてはまた消失しての繰り返し。境界杭の存在と、GPSの示す現在位置と次のポイントへのコース角、いずれもが一致していた。若干痩せ気味の箇所もあったが、危険な感じはまったく無い。

     
思川源流    首缺け地蔵    道無き尾根を辿る

 2つめのピークを降りた所で忽然と手前に岩が散乱するピークが現れた。それまで忠実に追うことが出来た稜線も見た目には此処で分断された形になった。写真で見ると小さな石ころのように見えるが、大きな物は長辺で2m弱くらいのものもある。よく見ると角が浸食されておりかなりの長い年月そこに露出していたことが伺える。向かい側の斜面から崩落したにしては付近にあまり岩が目立たないのは不思議である。人知を越えた神のなせる技・・・天狗の仕業か?人知れぬ粕尾の山中のミステリーである。

 さて、ここをどう進もうかと思案する。斜度を見ると右手が比較的楽に行けそうだが薮が濃い。左手を巻くのはちょっと偵察してみたが、どのみちピークに這い上がらなければならない。ならば正面突破だろう。岩を越えてその先の斜面を、高度差にして約20m程よじ登るとまた道形が現れた。

 以前はこのルートで地蔵岳にアクセスしていのかも知れないが、起伏を嫌ってトラバースルートが出来てからはこちらは歩かれなくなったのだと思う。ネットで色々な人の山行記録を読んでみると、粕尾峠からのこのルートは、先ほどの岩場地点あたりで踏み跡消失という雰囲気で書かれているものが多い。今回の自分のケースでは車道まで数百mの地点で、目指す方向も明確故に余裕の判断であったが、逆向きに山奥へ向かうとなると、いくら地図と照らし合わせて正しい方角でも、完全に道形と踏み跡が消失する岩場付近で諦めるのは正解と言える。

 寄り道ですっかり時間を食ってしまった。もう少しで粕尾峠へ出てしまうのは解っていたが、丁度昼食に良い岩があったのでここで食べていく事にした。樹に囲われていて全く景色は無いが、苔むした岩に腰掛けて食事するのも一興だろう。ここでもまた、珍客を格好の吸血ターゲットとする虫達と共に過ごすことになった。

 食事を終えて再スタートするとあっけなく粕尾峠のアスファルトが目に飛び込んできた。最後はザクザクと草を踏んで適当にフィニッシュ。道路に出て見ると、「登山口250m先→」と往路のトラバースルートに誘導する道標が目に入る。

     
行く手を阻む岩場    手頃な岩で昼食    粕尾峠出合

 車に戻り次なる目的地、細尾峠旧道へと向かう。相変わらずバイクの走行台数は多い。

 足尾側へ幾つか下った右カーブの所で、SUZUKIの赤い400ccがガードレールの所に前輪を落としていた。ライダーが引き上げようともがいている。恐らくオーバースピードでフロントブレーキを掛けたら浮き砂でスライドでもしたのだろう。車を脇に駐めて一緒に引き上げた。中排気量だとフロントも軽いので2人で引っ張れば大丈夫だが、大型だとこんな場面はかなりキツイかもしれない。まぁライダーも怪我無し、バイクも目立った損傷も無かったようで何よりである。

 日足トンネルの手前を道路標識に従い旧道へと曲がる。草が左右に張り出した入り口を少し進むとすぐ通行止めの看板が目に飛び込んできた。道路崩落で歩行者までも通行禁止になっている。「長い長い峠道案内」かぁ。徒歩でも良いから一度は歩いて見たいものだ。

 国道へ復帰し、長い長い日足トンネルをくぐる。向こう側の日光側入り口に未練たらしく行って見るも、ここは以前からゲートで閉鎖されていることは知っていた。うーーむ。閉ざされた細尾峠。いつの日か訪れん。

     
細尾峠足尾側入り口    うーん行ってみたい    細尾峠日光側入り口

 二座目を肩すかしされた格好の自分であるが、このままおめおめと日光街道を走って帰るのも悔しかったので寄り道をすることにした。

 寂光の滝。涼味満点。女峰山登山口として登山カード入れが設置してあったが、地図を見るとここからのピストンはかなり体力がある人でないと制覇できそうも無い。自分などとんでも無さそうだ。

     
寂光の滝      

 まだまだ、寄り道は続く。

 大沢の先からいつもの県道22号に入り、鞍掛トンネルを越える。栗谷沢ダムの北側、すなわち半蔵山の南面にちょっとした林道がある。以前まだ草があまり生えていない頃に走ったことが有ったが近況や如何に。

 なるほど鬱蒼と茂った道はまるで山に吸い込まれていくような有様である。途中唯一のビューポイントからのロマンチック村方面の明るい景色が眩しい。

 更に寄り道は続く。

 仕上げは「多気山だな」と、心の中で呟く自分。

 実は以前に走った林道で気になるポイントがあったのだ。今日は装備万全なので是非足で歩いて見ようと思った。

 多気山の南側を巻く舗装林道から、更にまたもう一つ山側を巻く砂利林道へと車を入れると程なく砂利道は行き止まりになる。

     
栗谷沢ダム北面林道    林道からロマンチック村方面    多気山南側林道終点

 以前偵察で訪れたこのポイントに、「愛宕神社入り口」という道標があったことがいつも頭の片隅にあったのだ。

 ネットでいろいろと調べては見たのだが、詳しい情報は見あたらない。
 多気山は元来山城であり、その遺構地形も多いようであり、神社があっても不思議では無いのだろう。

 道標に導かれ、作業道を進むと辺り一帯がかなり伐採されており比較的見通しが良い。2枚目の道標で道を逸れて草むらを横切ると、果たして鳥居が見えた。愛宕神社である。山でよく見る祠と変わらないが、近年立派な石の鳥居をあつらえたのだろう。場所が場所だけに、なかなか荘厳な雰囲気を醸し出している。

 祠の裏手を失礼し(バチあたりか?)、何かの遺構のような広い平坦地を越えて再び作業道に出会う。後はGPSで山頂を目指しながら作業道を何本か乗り換えると御殿平へ到着してしまった。改めて今日一日のGPSの働きを振り返ると、予想通りの高感度で衛星の補足切れも無い。20mとはいえ等高線付きの地図を表示出来るのは大変に頼もしい限りであった。衛星から計算されるコンパスは自分が移動していないと正しく表示出来ないが、GPSMAP60CSxは電子コンパス内蔵でこれもまた使いやすさに大きく貢献している。素晴らしいマシンである。

 多気山山頂では大量の薮蚊の熱烈歓迎を受けたのは言うまでも無い。だが薮蚊の攻撃も、里山のうだるような蒸し暑い道も、探検を終えた少年の心のような軽い足取りの自分にとってはさして辛くも感じない、そんな夕刻であった。

     
愛宕神社の標識あり    愛宕神社    作業道を進む
  
多気山頂上      

概略コースタイム
駐車地(10:07)発-地蔵平(10:25)-展望岩(10:41)-地蔵岳山頂着(10:57)-小休止-
地蔵平(11:18)-思川源流(11:22)-地蔵平(11:34)-往路と交差(11:41)-
岩場(11:59)-昼食P着(12:06)-再出発(12:32)-粕尾峠(12:43)-駐車地着(12:50)


《番外編 多気山》
駐車地発(15:47)-愛宕神社(15:51)-山頂(16:09)-駐車地着(16:25)

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