茶臼岳
ついに森林限界突破である。薮っぽい低山よさようなら・・・なんて事は言わない。薮山は薮山で深~い味わいがあるのだ。
梅雨明け宣言も、ただ単に気温が高いからだけという感じがしない訳ではないが、何はともあれ夏の到来である。夏と言えば、青い空、白い雲、爽やかな高山にそよぐ風と相場が決まっている。{誰が決めたんだ(^^;
ということで、H君と共にアルペンちっくな那須を目指す事にした。予定コースは峠の茶屋から峰の茶屋経由朝日岳往復、茶臼岳(ちゃうすだけ){1915m}のお鉢巡りをしてロープウェイで下山である。
出だしに職場からCALLが有って一旦会社に行ったり途中で道を間違えたりといろいろあったが、予定の1時間遅れで無事ロープウェイ山麓駅に到着した。
予報では朝のうちの霧が晴れると暑い夏の一日ということだったが、那須へ向かうにつれて霧は更に濃さを増していく。上のほうはわからないが、状況次第によってはルート短縮か中止もやむなしと覚悟を決めていた。
有料道路の終点を過ぎた辺りで、それはもう本当に突然ぱっと霧が晴れて、茶臼岳と朝日岳の勇姿が目に飛び込んできた。どうやら丁度霧の境目の標高だったようである。今日は朝からいろいろケチがついたのでH君共々いささか気落ちした感じではあったが、すっきりと見渡す山姿に一気に勇気づけられたのは言うまでも無い。
帰りは余分に歩くのが嫌だったので、ロープウェイの駅の所に車を置いて出発だ。おぃおぃ出だしの階段堪えるよ。などと言いながら峠の茶屋へ到着する。
峠の茶屋脇から道標に従い登って行くと登山指導所あり。ここで入山届け出を書くが、流石に良く出来た用紙で、コースも丸印を付けるだけで良いというサービス満点。メジャーな山は出だしから違うものである。
鳥居をくぐり、歩き出しはいつもの歩き慣れているような樹林帯を行く。階段がちょっと脚に合わないが、まぁこんなものだろう。汗が出てきた頃にはすっかり樹がなくなって雄大なパノラマの中を歩いている。なかなか気持ちの良いコースだ。
先ほどから上の方で小さな子供達の元気な声がしていたが、幼稚園の行事登山のようである。最後尾の保育師さんに尋ねてみれば年長さんだとか。引率の先生方や親御さん達がはっぱをかけて、元気な子、手を引っ張って貰っている子。皆空身で登っているのだが、飲料水や食料運搬の強力役の係の人も必要だろう。フォローが大変そうだなぁと思った。それにしても子供達は皆生き生きとして登っていること。
山麓駅からいざ出発 | ここが本当の登山口 | 年長さんも頑張る頑張る |
元気一杯の幼稚園児達の傍らで一人調子の上がらないのがH君。比べて、私は今日は好調だ。斜度は決してきつくはない。第一こんなに整備された明瞭な道だと、とにかく気を遣わずに歩いて行けるので精神的な疲労感が皆無であるところも大きい。雄大な眺望を見ながら登るのも、日頃の山域では考えられない事だ。
H君は出だしの階段でペースを乱されたようで、加えて脚の付け根の関節が少し痛むらしい。私も膝痛が出た時は辛かったが、今日は無理は止した方が良さそうである。
クレヨンしんちゃんの園長先生みたい | H君調子上がらず 園児に追い越されちゃうぞぉ | 流石にせ穂高の異名 アルペンチック! |
峰の茶屋を目指し鋭い陽光の中を進む。暑いことは暑いのだが、吹く風は爽やかそのものである。
樹林帯の山を歩くときは、目的物が見えないことが殆どである。一体何処まで歩くのか?という葛藤が心に常にあるのも事実。こうもはっきりと目的地が視界に入っているのはわかりやすいが、中々進まぬ景色に少々嫌気がさすのもまた事実。我が侭なものだ。
峰の茶屋で休憩を入れる。朝日岳方面へ向かう道にはアリが行列を作るようにハイカーが続いていた。茶臼岳とほぼ同じような標高差を考えると、大した行程でないような気もしたが今日は取りあえず此処までとしよう。
再スタート。峰の茶屋より少し登った地点からの南西側の眺望が素晴らしい。低い層と高い層の異なったタイプの雲が見せるパノラマは絶景だ。
峰の茶屋から剣が峰 | ピカピカの鎖が 流石メジャールート | 何とも言えない美しい雲のバランス |
だいぶ高度を上げて下を見ると峰の茶屋は遙か下に。噴煙の吹き出す音を間近に聞きながらガレ場を慎重に登っていくと外輪である「お鉢」のへりへ辿り着いた。向かい側のひときわ高い所が茶臼岳の山頂のようである。
ほぼ平坦な「お鉢」を西回りで巡り山頂へ到着した。那須岳神社の立派な祠があるが、いつも見慣れている多種多様な山名板は此処には全く無い。もっとも山名板をくくりつける木そのものが無いので当たり前なのだが、これはこれでいささか寂しい気もした。
峰の茶屋は遙か下 | ごうごうと噴煙たなびく | 茶臼岳頂上到着! |
山頂の真下の岩陰で昼食をとる。時折下から吹き上げてくるガス(雲)、おびただしい数のトンボの群れ。なかなか普段の山では味わえない光景である。
最後の下り、ガレ場下りは気を遣う。浮き石に乗って怪我でもしたら一大事。ガレ場を過ぎると今度は砂礫歩き。これもまた油断すると足を取られて歩きづらいことこの上も無し。
ところで先ほどから気になっていたのだが、話には聞いていたものの、ロープウェイで登ってきた一般の観光客は本当に軽装で茶臼岳へ登って行き、そしてまた峰の茶屋方面へと下っていくものだ。まるで山支度で歩いているこちらのほうがちゃんちゃら可笑しい位だ。
確かにルート的には明瞭なのだが、中には運動靴では無くパンプスなどで登っている人も居たりでこちらが肝を冷やす。我々が山頂を目指してガレ場を進んでいる時だった。もう老年と言って良い頃合いの年齢の夫婦が岩を伝いながら降りてくる。二人とも観光バスで名所旧跡巡りをしているようなごく普通の出で立ちである。奥さんが岩に難儀しているのを待っている間の僅かな時間にご主人は、なんとチューハイ片手、しかももう片方の手にはつまみを持って悠然と岩の上に立ち一杯やっているのである。
ここまで来るともはや何をか言わんやである。本人にとっては大した事では無いのかも知れない。また現時点では誰にも迷惑を掛けている訳でもないが、何か違うよなぁと思ったのは自分だけなのか。
ロープウエィ駅が見えてきた。茶臼岳も朝日岳方面も振り返って見ると濃いガスに包まれつつある。考えて見ると良いタイミングで降りてきたのかも知れない。此処までの殆どの時間素晴らしい風景を堪能することが出来たのだから。
よし。待ってろよ朝日岳。今度こそ・・・
そんな想いを胸にして下りのロープウエィの客となった。
ロープウェイ駅が見えてきた | 軽装な観光客 | 雲がかかってきたが無事到着 |
概略コースタイム
ロープウエィ駐車場発(9:50)-峠の茶屋(10:07)-峰の茶屋(11:00)-小休止-
茶臼岳山頂着(12:03)-昼食休憩-山頂発(12:36)-ロープウエィ山頂駅着(13:16)
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