足利にある仙人ヶ岳{663m}にH君と登ってきた。
安蘇の山々は、前日光や県央の古賀志山、篠井富家連峰などとまた違った低山の趣を持っているような感じがする。宇都宮からだと少し登山口まで距離があるのでつい敬遠しがちだが、聞けば仙人ヶ岳は人気があるようなのでまずは安蘇山塊の第一歩として選んだ次第である。
不安定な気候の時期も終わり、今日もバッチリと快晴な冬の一日の始まりである。田沼までのR293は単調なドライブ。それでもこう天気が良いとこれから臨む山域の事で心が躍る。田沼からは国道に別れを告げて県道を何本か乗り継ぐ。昨晩の雨でしっとりと濡れた峠を越えて猪子トンネルをくぐると登山口の岩切に到着だ。
10台程度は駐められるであろう無人の?有料駐車場はほぼ満車。路側にも数台駐めてあったのでこちら側の並びに駐める事にした。時間は10時少し前だったので地元の早立ち組はとっくに入山している様子だが、我々の後にもまだ車が入ってきたのでやはり人気の山のようである。
駐車場脇にある鳥居が登山口になるようだ。あちこちに私有地であることを告げる張り紙がしてある。先日登った鶏鳴山も私(社)有地であったが、山一つを所有するというのも豪気な話だ。もっとも最近は急増するハイカーの為に、山域が荒らされたり山火事が発生したりするのでオーナーも気が抜けないのは事実。山を愛する者として深く自重をして楽しませて頂きたいと思う。
今回のルートは岩切から谷を沢添いに詰め、熊の分岐に登り上がり仙人ヶ岳山頂往復。熊の分岐からは南東に延びる尾根を辿って猪子峠経由の周回コースである。事前のガイドブックによると、仙人ヶ岳山頂は眺望は期待出来ず、後半の尾根に好眺望ポイントが多いということだ。
登り初めは清らかな沢を左へ右へと、少し朽ちかけてたわみ加減の丸木組の橋を何度も渡っていく。色の褪せた葉が一面に積もる沢のよどみは、紅葉の鮮やかな時期にはさぞかし素晴らしい渓谷模様を描いているのだろうと容易に想像出来る。
生不動尊の社殿、マンガン採掘抗跡(金網で囲われている)などを見ながら徐々に高度を上げていく。地元小学校の子供達が作った標識があり、よく見てみるとなかなか面白い。ちなみに下写真右はちょっと見づらいが「左へ行くと迷います」。作業道に引き込まれないように注意を促しているのだが実に明快!
沢音も消えかけて幾らか勾配が急になってくると子供達の次のメッセージだ。「難所! ゆっくりいけば大丈夫」。なかなか気の利いた標識だ。もっとも、尾根に登り上がるこの急登区間は我々の脚力では自然と"ゆっくり"になってしまったが(笑)
今回のコースではここが一番キツイのは解っていたので、やれ登れそれ登れと頑張って熊の分岐へ到着。最後のほうはトラロープなども掛かっていた位なのですっかり足元ばかり見ていたが、ふと振り返って見ると樹木越しに南北の視界が明るく開けだしている。峠でまずは一休み。
熊の分岐からは稜線伝いに西側に見える仙人ヶ岳に向かい、最後の尾根を詰め上がる感じの登りになる。地形図通りに最後の一登りをこなすとそこは山頂から続く東の肩。広い平坦地に掲げられた子供達のメッセージは「ここは山頂ではありません」。山頂はここから僅か西側にあった。
だだっ広い山頂は確かにガイドブックの通りあまり眺望が良くない。落葉しているのである程度の景色があるが、どうも中途半端な見え方でいささか不満である。丁度冷たい北風が強く吹き始めてきたので記念撮影をして早々に山頂を後にした。今回は下山路に好眺望ポイントが多いので、食事はあらかじめ山頂を外して取ることを計画していたのだ。
山頂から先ほどの熊の分岐までピストンで戻る。登りではあまり意識しなかったが実はかなり固い岩地の道であり、下りだと結構膝に負担が掛かっていた。この後辛い状況になるとはこの時点では未だ予想だにしていない。
熊の分岐の日だまりでお弁当を広げている中年女性3人組の前を通り過ぎ、ピークを2つ3つ過ぎるとパッと視界が東側に開ける。伐採ですっかり視界が広がったここからは眼下に松田川ダムを従え、左手に赤雪山、向かうは遠くに筑波山、右手はこれから下りていく尾根が綿々と続く。今日の昼食ポイントである561mピークに到着だ。
この後も尾根沿いに何箇所か眺めの良い場所があるが、食事をするならば絶対に此処だと断言して良い。素晴らしい景色と昼食を堪能し食後のコーヒーでくつろいでいると先ほどの中年女性3人組が、こんな景色の良いところがあったんじゃない、と悔しそうに通り過ぎて行った。
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山頂と思いきや・・・ |
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仙人ヶ岳頂上 |
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561峰の眺望に見入るH君 |
561mピークからは変化の多い尾根が続く。初めのうちは左手に松田川ダムが見え隠れする。途中からは右手の仙人ヶ岳や南側の深高山方面が迫る景色が楽しませてくれる。所々に露出している岩場も歩きに変化があって楽しい。
途中のピークに"宗の岳"などという(下写真右)山名板が掛かっていた。地形図に名前が載っていないので勝手に命名されたのか、それとも由来があるのかな。
ガイドブックやネット情報で指摘されている難所の「犬帰り」へ到達。先ほどの中年女性3人組が往生している模様。一人だけは無事下りた様子だが、残り2名は引き返して巻道を行くようだ。我々も無理をせずに巻道を下りていく。
普通、岩場の巻道というと文字通り岩の廻りをグルリと回っていくパターンだが、ここの岩はかなり巨大であり、巻道もジェットコースターのように下って、岩の根元を大きく回ってまた登り返すようになっている。下りもそうだが登りもかなりキツイ。ようやく犬帰りの反対側へにじり登ると、確かに6~7m位の垂直に切り立った崖だがしっかりとした鎖もあり、ホールド箇所も多そうだ。巻道の急な登り降りと天秤にかければ岩を下りた方が楽なのかなとも思った。
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岩尾根の急なアップダウン |
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コメントが一言欲しかったなぁ |
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犬帰りの正体 |
犬帰りの巻道を下っている最中、膝に何となく違和感を感じていた。それでも息を切らして巻道を登りきった時、違和感が現実の痛みに変わってしまった。
どうやら下りで足を出す特定の角度のみで左足の関節が痛むようだ。面白いことに平坦な所や登りは全く痛まない。はじめのうちは左足をかばって右足に力を入れて歩いていたが、それでも容赦なく岩質の山道のアップダウンは続く。ついに右の太ももが悲鳴をあげだした。このままだとつるのは時間の問題。下山路はまだ先が長い。ここで動けなくなっては困る。取りあえず道ばたに座り込み足を伸ばして太ももマッサージをしていると、先ほど追い抜いた例の中年女性3人組が「なかなか(下に)着きませんねぇ」と我々に声を掛けながら通り過ぎていった。長丁場の尾根にバテてしまったとでも思われているのだろうか。こちらはもう少し深刻な状況なんだけどねぇ(笑)
痛みをだましだまし、みるみるうちに歩行ピッチが落ちてきた。まるで傷痍軍人のような心持ちである(超大袈裟)。こうなると、とにかくこれ以上のダメージを受けないように慎重に確実に下山するしか無いのだが、後ろに控えるH君の存在が大いに頼もしい。また、尾根からの素晴らしい景色にも励まされながら歩を進めていく。
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岩の向こうは石尊山 |
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昼食場所の561Pを望む |
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猪子山 |
長い尾根道もようやく終端に達し、ここからは下り一辺倒である。痛む膝をかばいながら段々と樹林の中へ吸い込まれるように深く下りていく。まだ太陽の高い時刻だとういのに薄暗い猪子峠に到着だ。道を岩切方面へ折れると、程なく向こう側にアスファルト路が見えだした。やれやれ無事下山が出来たが、今回はちょっと苦労した山行でもあった。
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ここからやっと下り |
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逆コースなら登山口 |
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右手より下山してきた |
膝のその後
宇都宮まで約2時間車を運転し、自宅へ着いて車から降りた瞬間は痛みでにわかに動けず。その場で少しほぐして何とか歩く。
明らかに筋肉痛と異なるが、念のため入浴後に関節の廻りに消炎湿布を張る。膝の代わりに酷使した太ももも勿論バッチリ張った。
翌朝月曜日。布団から立ち上がると、何だ全然平気じゃないか。でも階段を下りるとやはりかなり痛む。下りるときのある一定の角度に関節が曲がった時だけの痛みだ。会社の階段の登り降りはかなりキツイ。何とか一日仕事を終えて、帰り際に整形外科(スポーツ整形外科)で診て貰おうと思っていたが、気のせいかほぼ痛みが治まってきたような気がする。仕事も忙しかったので取りあえず様子見とした。
火曜日は名古屋まで日帰り出張だ。駅などで階段の登り降りの多い1日になる。朝自宅の階段での感触では大丈夫そうな感じであったが、実際東京駅で階段を下りるとやはり痛みがあり、東京の気ぜわしい人達の歩行リズムから遅れをとってしまって若干意気消沈する。やはり昨日病院で診て貰えば良かったかな・・・・と。
それでも、帰りに名古屋駅で階段を登り降りする頃には随分と良くなってきた。下りの姿勢でも痛みが殆ど出ずに無理なく関節が曲がるようになってほっとする。まだまだ完璧という感じでは無いが、自然治癒力が自分にも残されているのだなと安堵の気持ちだ。何はともあれ今日の段階ではここまでであるが、もう少し予後を観察しないといけない。
今回の敗因は、下りの早い段階でストックを使わなかった事にあると思う。ただでさえ固い岩質のそれも急斜面。思いおこすと、滑るまいとして左足を無理な体勢で多く出していたような気がする。初めからストックでバランス補助をする、あるいはもう少しペースを落として歩いていれば良かったと反省しきりである。
下りのペースについては殊更私が早い訳では無いが、後ろから来るH君がストックを出して、彼自身の安全ペースを固守する姿を私も見習うべきであった。彼も初心者だが、私とてさほどの違いも無い。ましてや基礎体力に劣るのは私の方である。とにもかくにも山は故障や怪我をしては何にもならないところなのだから。
お騒がせの膝のその後2
水曜日(12日)にはほぼ全快とでも言えるような感じで、階段の上り下りも違和感が無くなってきた。「喉もと過ぎれば・・・」ではないが、職場の給湯室から見える古賀志山を見てはうずうずしてしまう自分って懲りない奴!
概略コースタイム
駐車地発(9:50)-熊の分岐(11:03)-仙人ヶ岳山頂(11:40)-熊の分岐(12:05)-
561mピーク着(12:24)-昼食-561mピーク発(12:43)-犬帰り(13:33)-
猪子峠(15:10)-駐車地着(15:30)
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