« 2007年11月 | メイン | 2008年01月 »


2007年12月 アーカイブ


2007年12月30日

(連絡事項)2008年ご来光男抱山登山


-- 連絡事項です --


昨日今日と低気圧の通過で荒れ気味の天気ですが、予報によると初日の出は関東地方はかろうじてOKそうな感じです。

懸案の男抱山ご来光登山ですが、今のところ予定通りに実施するつもりです。

集合解散は登山口の墓地前にて。
日の出に間に合わないといけないので、6時丁度にスタートします。

厳しい寒さが予想されますので防寒体制と、それから6時20分頃までは足元が暗い為ヘッドライト等の装備をお願いします。

なお、天候状況悪化の場合の中止連絡については、こちらで31日夜に掲載します。

2007年12月24日

2007年、歩き納めの雨巻山


-- 『e-trex Leggend US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 2007年の登り納めは栃木と茨城の県境にある人気の山、雨巻山である。

 年初に鞍掛山へリターンライダーならぬリターンハイカーとして登って早一年。学生時代に登山部に在籍したとかそういった類では無く、子供の頃のレジャーの思い出がハイキングがメインだったという意味でのリターン組。歳を重ねると、子供の頃に理解出来なかった親の趣味に共鳴出来るようになるのはやはり親の「教育」のたまものなのだろうか。あるいは単に追体験への安心感からなのだろうか。
 数年前なら何を好きこのんで・・・としか考えられなかったハイキングであったが、気が付いてみれば週末にどこぞの稜線を歩いていないと落ち着かない程までになってしまった。

 さて、雨巻山へ話を戻そう。

 計画当初は22日(2007年12月22日)に予定していた。しかし、事前の天気予報で週末に移動性の低気圧接近が予報されており、H君と協議の末24日に変更した。実際22日と翌日の天気予報は概ね的中し、とても山行出来る天候ではなかったので正しい判断であったのは言うまでも無い。

 ところがどうだろう、24日の朝になってみると明け方から滅多に無いような濃霧に包まれている。天気予報では晴れを報じているが、実際益子に向かって車を走らせても一行に霧が晴れる気配が無い。景色の無い中を歩くのもまぁ一興だろうと覚悟をしていたら、大川戸にある登山者専用駐車場に着くほんのちょっと手前で、それこそベールを剥いだように一瞬にして霧が晴れ渡った。気象とはまことに面白いものである。

 雨巻山はさすがに人気の山らしく、コースや駐車場の整備はかなりしっかりしている。大川戸の駐車場は概ね数十台は駐められるであろうスペースと、仮設ではあるがトイレも設置されている。ここを起点としてほぼ楕円形の周回縦走コースや、谷を途中まで縦貫する林道から左右の尾根に登る幾つものコースがある。更に東側の栗生方面からは数コースが登山道として設置されている。今回は駐車場から西側の尾根に登り、三登谷山から雨巻山を経て東の尾根を辿り周回するコースを選んだ。

 整備済のコースが多彩なので、古賀志山のように縦横無尽な踏み跡は殆ど見られなかった。ショートカットをするにしても既存のコースで間に合ってしまうのが理由であろう。また、今回歩いた周回コースは"猪転げ坂"が少し急なのを除けば終始穏やかな勾配なので、年配者や小さな子供連れでも縦走の醍醐味を味わうことが出来ること請け合いだ。

 

 駐車場からまだ舗装が続いている細い林道を歩いていくとすぐ道標があり、右手の樹林へ吸い込まれるような山道が付いている。ここをじわじわと登っていき汗をかき出す頃には景色のあまり良くないピークに到達。梢越しに三登谷山が見える。この後は南に向かって稜線を辿りながら高度を上げていくことになる。

 暫くして登り詰めるとパッと東側の眺望が開けた。三登谷山(みとやさん){433m}頂上である。

     
大川戸駐車場    梢越しの三登谷山    三登谷山頂上

 山頂を吹き抜ける風はしっかり冬の冷たさだ。汗ばんだ体も一気に冷やされ、慌ててジャンバーをはおり直す。

 北の方角に目をやると芳賀富士のシルエットが美しい。小さな山だが見事な円錐形だ。今冬に是非登ってみたいものである。

 三登谷山を後にして再び尾根を辿る。途中景色の良いポイントも多く、尾根道も明るく気持ちよい。幾つかピークを越していくが、総じて斜度は緩めで実に鼻歌交じりの縦走コースである。
 それでも最後の僅かな急な登りを終えればそこが雨巻山(あままきやま){533m}の頂上だ。

     
三登谷山頂上より日光方面    芳賀富士    展望の良い尾根
     
変わった枝ぶり    終始気持ちの良い尾根道    賑わう雨巻山頂上

 東側が大きく開けており、遠く水戸の街並み、さらにその向こう側に太平洋が見渡せる。広い山頂にはベンチが4~5基設置されているので昼食にはもってこいの場所だ。先客のハイカー達が豚汁とシャンパンでクリスマスイブの祝杯をあげている。

 時間が少し早かったので我々はもう少し先に行ってから昼食にしようと思い小休止をしていると、何やらこの先に展望台がありそこから富士山が見えるとのこと。この先5分という道標に導かれ行ってみることにした。

 一旦山頂から高度を下げて平坦な部分に櫓組の展望台が設置されていた。展望台の上からは西から南への眺望が素晴らしく、たまたま居合わせた人が雨巻山に詳しい人で、景色の解説をしてくれた。

 うっすらながらも富士山も確かに見える。コンディションの良い時にはくっきりと山姿が見通せるそうだ。また、新宿の高層ビル群、池袋サンシャインビルなども肉眼ではっきりと見ることが出来た。今日はあいにく双眼鏡を持ち合わせていなかったのが残念であったが、もし展望台に寄らずに行ってしまったら・・・と思えば至福の時間を過ごせた事に感謝である。

     
雨巻山頂上より太平洋側    展望台より首都方面    同、富士山を望む

 山頂に戻ると程よい時間になったので我々もここで食事とすることにした。
 山頂はなかなかの盛況ぶりで、こんなに人の沢山いるのは古賀志山と釈迦ヶ岳に次いで三番目だ。まぁ逆に今まで如何にマイナーな所ばかり歩いていたかという事になるのかも知れないが。

 縦走の後半は山頂から一転して北回りとなる。始めなだらかだった下りもくだんの"猪転げ坂"でストンと高度を落とす。ジグザグに付けられた道を歩いていけば大したことは無いが、なるほどこの斜度では真っ直ぐ降りたら猪も転がり落ちるだろう。

 前々回の仙人ヶ岳で洗礼を受けた膝痛だが、今日は登りからストックをしっかり使い、アップダウンも常に気を遣って歩いていたつもりだった。ところが、猪転げ坂手前の下りでやはり痛みが軽く出始めてしまった。これは抜本的に対策を講じなければならないだろう。取りあえずスクワットで筋力アップが必須だなと痛感した。

 猪転げ坂を下りきったあたりで、こんな事もあろうかと準備してきた膝サポーターを装着する。サポーターの類は生まれて初めて身につけるので加減が解らない。ちょっときつめにして歩き出したら、「アイタタ」こりゃ膝痛どころじゃないや、鬱血しちゃうよ、ということで緩めにする。ただ、きつめの方が膝がはかなり楽なのでもう少し装着方法に工夫が必要なのかもしれないとも思った。

 一旦高度を下げたものの再び尾根は登りに転じ、大川戸への下山路を分かち2つめのピークが御嶽山{433m}である。

     
左加波山、右筑波山    急坂の猪転げ坂    周回最後の御岳山

 眼下に足尾山、その先に送電線が北へ向かって綺麗に引かれている様子が見てとれる。

 足元の40度はあろうかと思われる絶壁のような下り道があり、ここを鎖を頼りに降りていけば足尾山を経て下山することも出来る。だが足尾山は景色が望めないということもあり、眺望が良いとされているコースを進むべく一旦分岐まで戻り、本日最後の眺望を楽しみながら降りていく。途中崩壊した祠があるあたりから、道は一転して暗い樹林の中に吸い込まれていった。

 気になっていた膝痛だが、サポーターのお陰か、慎重に歩いたせいか、意外にダメージが深く無かった。だがやはり下りで膝に気を遣いながら足を出すのでは楽しさも半減してしまう。歩き初めて1年目で洗礼を受けた膝痛であるが、来年は何とか克服を目指したいところである。

     
御岳山より北側    足尾山へ向かう超絶下降    崩壊した祠

概略コースタイム
駐車場発(9:18)-三登谷山(10:05)-雨巻山頂上(11:08)-展望台(11:24)-雨巻山頂上着(11:32)-
昼食-雨巻山頂上発(11:52)-猪転げ坂通過(12:21)-御岳山(13:06)-駐車場着(13:57)

2007年12月16日

県庁落成一般公開


新県庁舎15階よりの眺望 手前は多気山~雲雀鳥屋、奥は古賀志山~鞍掛山、後ろに日光連山

 栃木県庁新庁舎が落成記念一般公開を行うというので午後から出かける。

 15階の食堂があるフロアと9階の知事室、8階の緊急(防災)管理センターと1階のフロアが公開コースになっていた。

 大きなガラス張りのオフィスはまるで温室のように暖かく、さぞや暖房費が節約出来ることだろう(笑)

 箱はすっかり立派になったのだからそれに見合った県政も是非期待したいところだ。

 それにしても360度の眺望はなかなか気持ち良い。ちなみに知事室は西側に面しており、沈む夕日がさぞかし綺麗なことだろう。

 

     
15階フロア    南 側    北 側

南側は、手前に二荒山神社境内、遠くは筑波山。
北側は、正面に羽黒山、左手に篠井富屋連峰、奥手は雲がかかった高原山。

2007年12月15日

雲雀鳥屋探索

-- 『e-trex Leggend US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 宇都宮から古賀志山を眺めると前衛の多気山が目を引く。また、その少し右手に端正に佇むのが今回の目的の雲雀鳥屋(ひばりとや){362m}である。

 森林公園脇のトリムコースの延長線上に位置する天狗鳥屋(てんぐとや){365m}とお揃いのこの山名。鳥屋を"とや"と読ませる由来が何かあるのであろうか。資料も情報も無いので知る由も無いが、なかなか興味深いものである。
天狗鳥屋についてはこちら

 

 往復で1時間少々のピストンコースであることをネット情報で知っていた。午後から散歩がてらに山行する時の為に・・・と、とっておいたコースだが、先週の膝痛もありリハビリにはもってこいだろうと思い昼食後に出発した。自宅から車で30分もかからずに取り付き地へ到着してしまうのだから、本当にお散歩コースである。

 山側に向かって階段が設置されている駐車地は、古賀志山へ向かう途中いつも通っていたので場所は前から知っていた。その先に雲雀鳥屋がることも既知だったので、「何時かは」という思いであった。

 急な階段を登ると鳥居がある。石祠が祀られており、この裏手から取り付くことになる。雲雀鳥屋は整備された登山コースや道標は皆無なので、この記事を読んで入山される方は注意して行動されたい。

 石祠裏手をざっと眺めると、草が枯れてすっかり見通しが良いため幾筋もの薄い踏み跡が見られるが、一番しっかりとした踏み跡を辿りしばし急登するとすぐ右手の尾根筋に乗ることが出来た。途中ピンクテープが所々にあるので難しく無いだろう。尾根に乗ってしまえばあとは道形がしっかりしている一本道である。

     
駐車地    登山口の石鳥居   

 先週の膝の一件があったので、今日は登り初めからストックを出している。さて、歩き終わった頃の状態はどうだろう。

 少し汗ばんできたころ、第一のピークに到着。ふと後ろを振り返ると多気山が梢越しにどっしり構える。第一のピークからは眼下に広がる谷へ一旦下降し、第二のピークへ登り返していく。すっかり落葉が堆積してふわふわな尾根筋を気持ちよく進む。

 第二のピークから再び高度を下げて、頂上への最後の登りにかかる手前の鞍部で作業道に出会う。ここはネット情報で指摘されていたので注意し、真北に進路を取るとまた道形がはっきりしてくる。

 程なく雲雀鳥屋山頂に到着する。山名板と三角点が確認出来ないがGPSは間違いなく山頂に到達したことを示している。眺望はほぼ無い。枝越しに薄く東と北が望める程度である。

 北側をよく見ると向こうにもう一つピーグが見える。地形図を調べると、山頂から北北西の方角に延びる肩尾根があり、どうやらそこに地図では現れないピークがあるようだ。


     
後ろの多気山    山頂手前鞍部    雲雀鳥屋山頂

 山頂から連絡通路のように痩せた尾根を僅か6~7分程度で北側の肩へ着いた。小高いピークは山頂よりも枝が少なくぐっと明るい感じがする。自分的にはここを山頂とし、荷を降ろして休憩することにした。右手下側にはゴルフ場が広がり、ショット時のボールのカツンという音やゴルファー達の声がかすかに聞こえてくる。遠くカートが移動するのも見える。

     
北の肩より    古賀志山を望む    鞍掛山を望む

 北の肩ピークで休憩をしながら西側を見ると、下にも踏み跡が続き赤テープが見られる。地図を眺めると、初めは等高線が込んでいるが後は比較的緩やかな尾根が張り出し、やがて森林公園へ向かう車道へ降りていくようになっている。
 当初の計画ではピストンで戻る予定であったが、目前の赤テープを辿り下山してみる事にした。GPSのポイントは予定外なので入力していない。もはやコンパスと地図のみが頼りだが、とにかく慎重に行けば大丈夫だろう。まぁどちらに迷ってもゴルフ場に出るか車道に出るかの2択しかないのだが。

 下りはじめは少し急な斜面に落ち葉が厳しい。足を取られぬように注意しながらゆっくりと降りる。地図には右手ゴルフ場側に岩の崖が記入されているが、なるほど岩が切り立った部分がある。踏み跡も岩場を縫っていく。

 急な下りをやり過ごすと広い伐採地へ出くわし、赤テープは見あたらなくなった。ここで慌てるとミスコースの可能性が高くなるためにコンパスと地図で再度確認。

     
北の肩ピーク    岩の多い西側ルート    伐採地

 高度を見てもまだ左の谷へ降りてはいけない状況なのでここは尾根筋をとにかく辿るべきである。だが、踏み跡は完全に無くなりちょっと思案のしどころだ。
傾斜の緩い尾根が続いており、地図とも一致している。まったく道形は無いが、薮をくぐりながら忠実に尾根を降りていくと更にもう一度広い場所に出る。下から作業道が伸びてきている。ここは作業道を辿っても予定通りの方角だ。
 やがて右手奥に舗装道が見えるが、予想コースに固執し左側を尾根伝いに降りると、最後は少し薮漕ぎをして林道へ到達。すぐに舗装路へ飛び出した。

 ルートファイデングというにはあまりにも簡単なコースではあったが、自分としては意外な楽しい一時を過ごすことが出来た。

 また、懸念していた膝痛も歩行時間が短い故か、あるいはストック頼りのせいか、全く問題の無いコンディションを保つことが出来てホッと胸をなで下ろした。

     
道無き尾根    下山終了    車道出合
  
R293より雲雀鳥屋全景      

概略コースタイム
駐車地発(13:00)-第一ピーク(13:11)-第二ピーク(13:18)-雲雀鳥屋山頂(13:38)-
北の肩(13:47)-伐採地(14:14)-舗装路(14:30)-駐車地着(14:40)

2007年12月09日

仙人ヶ岳

 足利にある仙人ヶ岳{663m}にH君と登ってきた。

 安蘇の山々は、前日光や県央の古賀志山、篠井富家連峰などとまた違った低山の趣を持っているような感じがする。宇都宮からだと少し登山口まで距離があるのでつい敬遠しがちだが、聞けば仙人ヶ岳は人気があるようなのでまずは安蘇山塊の第一歩として選んだ次第である。

 不安定な気候の時期も終わり、今日もバッチリと快晴な冬の一日の始まりである。田沼までのR293は単調なドライブ。それでもこう天気が良いとこれから臨む山域の事で心が躍る。田沼からは国道に別れを告げて県道を何本か乗り継ぐ。昨晩の雨でしっとりと濡れた峠を越えて猪子トンネルをくぐると登山口の岩切に到着だ。

 10台程度は駐められるであろう無人の?有料駐車場はほぼ満車。路側にも数台駐めてあったのでこちら側の並びに駐める事にした。時間は10時少し前だったので地元の早立ち組はとっくに入山している様子だが、我々の後にもまだ車が入ってきたのでやはり人気の山のようである。

 駐車場脇にある鳥居が登山口になるようだ。あちこちに私有地であることを告げる張り紙がしてある。先日登った鶏鳴山も私(社)有地であったが、山一つを所有するというのも豪気な話だ。もっとも最近は急増するハイカーの為に、山域が荒らされたり山火事が発生したりするのでオーナーも気が抜けないのは事実。山を愛する者として深く自重をして楽しませて頂きたいと思う。

 今回のルートは岩切から谷を沢添いに詰め、熊の分岐に登り上がり仙人ヶ岳山頂往復。熊の分岐からは南東に延びる尾根を辿って猪子峠経由の周回コースである。事前のガイドブックによると、仙人ヶ岳山頂は眺望は期待出来ず、後半の尾根に好眺望ポイントが多いということだ。

 登り初めは清らかな沢を左へ右へと、少し朽ちかけてたわみ加減の丸木組の橋を何度も渡っていく。色の褪せた葉が一面に積もる沢のよどみは、紅葉の鮮やかな時期にはさぞかし素晴らしい渓谷模様を描いているのだろうと容易に想像出来る。

 生不動尊の社殿、マンガン採掘抗跡(金網で囲われている)などを見ながら徐々に高度を上げていく。地元小学校の子供達が作った標識があり、よく見てみるとなかなか面白い。ちなみに下写真右はちょっと見づらいが「左へ行くと迷います」。作業道に引き込まれないように注意を促しているのだが実に明快!

     
登山口    生不動尊    左に入るべからず

 沢音も消えかけて幾らか勾配が急になってくると子供達の次のメッセージだ。「難所! ゆっくりいけば大丈夫」。なかなか気の利いた標識だ。もっとも、尾根に登り上がるこの急登区間は我々の脚力では自然と"ゆっくり"になってしまったが(笑)

 今回のコースではここが一番キツイのは解っていたので、やれ登れそれ登れと頑張って熊の分岐へ到着。最後のほうはトラロープなども掛かっていた位なのですっかり足元ばかり見ていたが、ふと振り返って見ると樹木越しに南北の視界が明るく開けだしている。峠でまずは一休み。

     
晴天哉    ここから急登    熊の分岐

 熊の分岐からは稜線伝いに西側に見える仙人ヶ岳に向かい、最後の尾根を詰め上がる感じの登りになる。地形図通りに最後の一登りをこなすとそこは山頂から続く東の肩。広い平坦地に掲げられた子供達のメッセージは「ここは山頂ではありません」。山頂はここから僅か西側にあった。

 だだっ広い山頂は確かにガイドブックの通りあまり眺望が良くない。落葉しているのである程度の景色があるが、どうも中途半端な見え方でいささか不満である。丁度冷たい北風が強く吹き始めてきたので記念撮影をして早々に山頂を後にした。今回は下山路に好眺望ポイントが多いので、食事はあらかじめ山頂を外して取ることを計画していたのだ。

 山頂から先ほどの熊の分岐までピストンで戻る。登りではあまり意識しなかったが実はかなり固い岩地の道であり、下りだと結構膝に負担が掛かっていた。この後辛い状況になるとはこの時点では未だ予想だにしていない。

 熊の分岐の日だまりでお弁当を広げている中年女性3人組の前を通り過ぎ、ピークを2つ3つ過ぎるとパッと視界が東側に開ける。伐採ですっかり視界が広がったここからは眼下に松田川ダムを従え、左手に赤雪山、向かうは遠くに筑波山、右手はこれから下りていく尾根が綿々と続く。今日の昼食ポイントである561mピークに到着だ。
 この後も尾根沿いに何箇所か眺めの良い場所があるが、食事をするならば絶対に此処だと断言して良い。素晴らしい景色と昼食を堪能し食後のコーヒーでくつろいでいると先ほどの中年女性3人組が、こんな景色の良いところがあったんじゃない、と悔しそうに通り過ぎて行った。

     
山頂と思いきや・・・    仙人ヶ岳頂上    561峰の眺望に見入るH君
     
561峰より赤雪山    561峰より    同 左

 561mピークからは変化の多い尾根が続く。初めのうちは左手に松田川ダムが見え隠れする。途中からは右手の仙人ヶ岳や南側の深高山方面が迫る景色が楽しませてくれる。所々に露出している岩場も歩きに変化があって楽しい。
 途中のピークに"宗の岳"などという(下写真右)山名板が掛かっていた。地形図に名前が載っていないので勝手に命名されたのか、それとも由来があるのかな。

     
      ??宗の岳??

 ガイドブックやネット情報で指摘されている難所の「犬帰り」へ到達。先ほどの中年女性3人組が往生している模様。一人だけは無事下りた様子だが、残り2名は引き返して巻道を行くようだ。我々も無理をせずに巻道を下りていく。

 普通、岩場の巻道というと文字通り岩の廻りをグルリと回っていくパターンだが、ここの岩はかなり巨大であり、巻道もジェットコースターのように下って、岩の根元を大きく回ってまた登り返すようになっている。下りもそうだが登りもかなりキツイ。ようやく犬帰りの反対側へにじり登ると、確かに6~7m位の垂直に切り立った崖だがしっかりとした鎖もあり、ホールド箇所も多そうだ。巻道の急な登り降りと天秤にかければ岩を下りた方が楽なのかなとも思った。

     
岩尾根の急なアップダウン    コメントが一言欲しかったなぁ    犬帰りの正体

 犬帰りの巻道を下っている最中、膝に何となく違和感を感じていた。それでも息を切らして巻道を登りきった時、違和感が現実の痛みに変わってしまった。

 どうやら下りで足を出す特定の角度のみで左足の関節が痛むようだ。面白いことに平坦な所や登りは全く痛まない。はじめのうちは左足をかばって右足に力を入れて歩いていたが、それでも容赦なく岩質の山道のアップダウンは続く。ついに右の太ももが悲鳴をあげだした。このままだとつるのは時間の問題。下山路はまだ先が長い。ここで動けなくなっては困る。取りあえず道ばたに座り込み足を伸ばして太ももマッサージをしていると、先ほど追い抜いた例の中年女性3人組が「なかなか(下に)着きませんねぇ」と我々に声を掛けながら通り過ぎていった。長丁場の尾根にバテてしまったとでも思われているのだろうか。こちらはもう少し深刻な状況なんだけどねぇ(笑)

 痛みをだましだまし、みるみるうちに歩行ピッチが落ちてきた。まるで傷痍軍人のような心持ちである(超大袈裟)。こうなると、とにかくこれ以上のダメージを受けないように慎重に確実に下山するしか無いのだが、後ろに控えるH君の存在が大いに頼もしい。また、尾根からの素晴らしい景色にも励まされながら歩を進めていく。

     
岩の向こうは石尊山    昼食場所の561Pを望む    猪子山

 長い尾根道もようやく終端に達し、ここからは下り一辺倒である。痛む膝をかばいながら段々と樹林の中へ吸い込まれるように深く下りていく。まだ太陽の高い時刻だとういのに薄暗い猪子峠に到着だ。道を岩切方面へ折れると、程なく向こう側にアスファルト路が見えだした。やれやれ無事下山が出来たが、今回はちょっと苦労した山行でもあった。

     
ここからやっと下り    逆コースなら登山口    右手より下山してきた

膝のその後

 宇都宮まで約2時間車を運転し、自宅へ着いて車から降りた瞬間は痛みでにわかに動けず。その場で少しほぐして何とか歩く。
 明らかに筋肉痛と異なるが、念のため入浴後に関節の廻りに消炎湿布を張る。膝の代わりに酷使した太ももも勿論バッチリ張った。

 翌朝月曜日。布団から立ち上がると、何だ全然平気じゃないか。でも階段を下りるとやはりかなり痛む。下りるときのある一定の角度に関節が曲がった時だけの痛みだ。会社の階段の登り降りはかなりキツイ。何とか一日仕事を終えて、帰り際に整形外科(スポーツ整形外科)で診て貰おうと思っていたが、気のせいかほぼ痛みが治まってきたような気がする。仕事も忙しかったので取りあえず様子見とした。

 火曜日は名古屋まで日帰り出張だ。駅などで階段の登り降りの多い1日になる。朝自宅の階段での感触では大丈夫そうな感じであったが、実際東京駅で階段を下りるとやはり痛みがあり、東京の気ぜわしい人達の歩行リズムから遅れをとってしまって若干意気消沈する。やはり昨日病院で診て貰えば良かったかな・・・・と。

 それでも、帰りに名古屋駅で階段を登り降りする頃には随分と良くなってきた。下りの姿勢でも痛みが殆ど出ずに無理なく関節が曲がるようになってほっとする。まだまだ完璧という感じでは無いが、自然治癒力が自分にも残されているのだなと安堵の気持ちだ。何はともあれ今日の段階ではここまでであるが、もう少し予後を観察しないといけない。

 今回の敗因は、下りの早い段階でストックを使わなかった事にあると思う。ただでさえ固い岩質のそれも急斜面。思いおこすと、滑るまいとして左足を無理な体勢で多く出していたような気がする。初めからストックでバランス補助をする、あるいはもう少しペースを落として歩いていれば良かったと反省しきりである。
 下りのペースについては殊更私が早い訳では無いが、後ろから来るH君がストックを出して、彼自身の安全ペースを固守する姿を私も見習うべきであった。彼も初心者だが、私とてさほどの違いも無い。ましてや基礎体力に劣るのは私の方である。とにもかくにも山は故障や怪我をしては何にもならないところなのだから。

お騒がせの膝のその後2

 水曜日(12日)にはほぼ全快とでも言えるような感じで、階段の上り下りも違和感が無くなってきた。「喉もと過ぎれば・・・」ではないが、職場の給湯室から見える古賀志山を見てはうずうずしてしまう自分って懲りない奴!


概略コースタイム
駐車地発(9:50)-熊の分岐(11:03)-仙人ヶ岳山頂(11:40)-熊の分岐(12:05)-
561mピーク着(12:24)-昼食-561mピーク発(12:43)-犬帰り(13:33)-
猪子峠(15:10)-駐車地着(15:30)

最近のコメント

リンク集

  • ケン坊の日記
    情報(ネタ)の検証はピカ一。実践派のケン坊さん。多方面にわたるネタで楽しむことができます。
  • らんばらしょうぎ
    目指すは亀三郎百名山。印象派の亀三郎さんのブログです。更新量豊富。山ネタ以外も綺麗な写真がいっぱい掲載されてます。
  • 散歩エクスペディション
    薮山に目覚め始めた頃、毎日飽きずに見ていました。今日の自分に影響大なり。薮山歩きではメンタル面の我が師匠、けむぞうさんのサイトです。ブログのほうも面白くてお勧めです。(そこナニBlogで検索してね)
  • 里山逍遥
    栃木の山とその周辺の低山を巡る日々「里山逍遥」。もぉ、このタイトル見ただけで直ぐに相互リンクを申し込んでしまいました。新田次郎さんと飲んだことがあるという凄い方です。登山に対するフランクな考え方も共鳴できます。
  • リンゴの叫び!
    季節の移ろいと自然の姿に心惹かれるブログ主さんの記事は、山好きな人ならきっと共感することと思います。自分も長い間隠れファンでしたが、この度相互リンクさせていただきました。
  • 北関東の山歩き
    ご夫婦で仲良く山歩き。栃木県内や宇都宮近郊の山はもとより、HPのタイトル通り北関東の山並みを歩かれているNonさんのサイトです。楽しそうな山行記録を読みながら、「是非自分も歩いて見たい」と思うこと度々。
  • PIAN PIANO.
    バイク仲間であり山仲間のなおさんのブログ。ブログ名のPIAN PIANO.(ピアン ピアーノ)は、イタリア語で「あせらず、ゆっくり」という意味だそうです。

RSS