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市内の高い場所から西側を見ると、一番手前に堂々と横たわる多気山、そしてその後ろに控えるゴツゴツとした古賀志山。さらにその遙か彼方にどっしりと、今の季節は白い雪をまとって凛と佇む日光連山。宇都宮市民なら山に興味が無くとも見慣れた景色である。
実はこの見慣れた景色の中に一つだけずっと気になっていた高みがあった。多気山からほんの少し視点を南にずらすと平地にぽこんと飛び出す独立峰の存在がある。今回の散策のターゲット、戸室山(とむろやま){228m}である。地形図上の山名表示はないが、近くから見るとなかなか形の良いシルエットだ。
山の南側に神社の参詣用の石段がある。車を5~6台ほど置くスペースが有りここからスタートだ。鳥居をくぐり長い石段を登っていく。
鳥居 | まず石段を登る |
石段を登り詰めると一対の狛犬が迎えてくれる。振り向けば南側に冬枯れた里の風景が広がる。
かつて社殿があったのだろうか、平坦な場所に礎石が見られたり記念碑のようなものも残されている。右手の小高い場所には社殿というにはちょっと派手な建物がある。まったく人の気配もしない場所故、流石に腰が引けて中をよく見るのはためらわれた。従って正確には何が祀られていたのかは解らない。
さて、地図に道の記載なぞ無ければ道標も全く無い山なので、ここからは勘で登る事になる。だが、社殿の裏側を覗いてみるとしっかり山頂方面へ踏み跡が続いているではないか。随分と歩かれた感じがするルートだ。
石段の頂上から | 何やら社殿?が | 建物の跡か? |
社殿の場所から5分も登っただろうか、急に大きな岩が目立ち始める。途中、岩をくぐり抜けて向こう側に抜けることの出来る場所などもある。男抱山もそうだが、岩の多い古賀志山と血を分けた弟分の証のようでもある。きっと地元の子供達にとっては楽しい遊び場なのではないか。ドラエモンの裏山のような雰囲気一杯だ。もっとも、最近の子供は山で遊ぶなんて事はしないのかな?
山頂直下には、通せんぼするように岩が立ちはだかる。切れ目に挟まれるようにしてにじり上がるとパッと眺望が広がった。GPSで確認すると山頂はもう少し離れた所だ。数十m離れた木々に囲まれた場所に三等三角点が埋め込まれた山頂があった。
山名板が2枚掛かっていたが、"栃木の山紀行"さんやあちこちでよく見る山名板は掛かっていない。やはりマイナーな山なのであろう。
山頂から先ほどの景色の良い岩場まで引き返す。東側は樹に邪魔されて景色は無いが、北側の古賀志山方面から西側は遮るものの無い素晴らしい眺望だ。男抱山も低い里山ながら堂々とした景色が得られるが、どうしてどうして、戸室山も決して引けを取らない素晴らしさである。宇都宮市内や近隣にお住まいの方なら一度登ってみても損は無いだろう。
山頂直下の岩 | ひっそりとした頂上 | 岩越しの古賀志山 |
一番高い岩の上に腰を掛けて、しばし景色を愉しむ。麓の田舎道を通り過ぎる軽トラックがおもちゃのように見えた。新緑の季節に登ったら、水彩画のようにさぞ綺麗だろう。夕日を眺めるのも悪くないかな。
帰りは北側に張り出している尾根を伝って降りていくルートを考えていた。これまた目を凝らすと薄く踏み跡が続いている。地形図を片手に進むとほぼ想像通りのルートが続く。幾らか高度が下がると更に踏み跡は濃くなり、北側斜面に到達すると一転して薮に吸い込まれるように再び薄くなってくる。代わりに作業道が幾つか交差するようになってきた。予定していた着地ポイントへ向かうには小さな谷を越さなければならず億劫だった為、あえて作業道に引き込まれることにした。
岩の上から | 踏み跡辿って | いよいよ踏み跡微か |
作業道を進むと、程なく枯れ草の生い茂った広場に出た。足音を聞きつけて勢いよく草むらから飛び出した雉にハッと驚く。傍らを見ると、すっかり忘れ去られてしまったような石祠が寂しげに佇んでいる。戦中には大谷一帯に「中島飛行機の地下軍需工場」があったと聞くが、ネットで調べるとどうやら戸室山にも地下工場があったようである。草むらに奥深く進入すれば何事やあるかも知れぬ。そんな気配を感じさせる廃石祠であった。
廃石祠 | 今回のルート |
元旦の「男抱山御来光登山」が今年の初山行ではあったが、3連休にくすぶっているのも勿体ないので星野にある三峰山あたりでも・・・と考えていた。あいにく夕方の所用が発生してしまい、あまり遠いところには行けない。結局近場の古賀志山へ行くことにした。
コースは今までに歩いたことの無い所を選び、東綾尾根より登り、559~中尾根の周回コースとした。東綾の最後の岩が心配であったが、中尾根の取り付きの岩に比べれば遙かに簡単そうらしいので、「駄目なら戻る」心づもりでの出発だ。
いつものように北登山道へ向かう。数日来の寒波で顔などがピリピリと痛い程である。北登山道入り口の木製の橋を渡ってすぐの所の左手に入っていく道があるが、これが今日の登山ルートである東綾コースへの入り口である。中尾根コースが初めに岩場を鎖で登り切ってしまうのに比べて、こちらはオーソドックスに尾根に這い上がるといった感じの趣だ。自分的にはこちらの方が好みである。
まずはひたすらアルバイト。汗が滲む頃には主尾根に辿り着き、取りあえずの眺望が広がって一休み。土曜日(12日)に降った雪がスギの枝先にうっすらと残ってまるで花が咲いたように美しい。
東綾尾根は気持ちの良いコースだ。徐々に高度を上げていく穏やかなルートは、岩場の登り下りの連続する中尾根とは対照的である。それでも、いよいよ東綾直下の弾丸のような岩場を直前にすると緊張感が高まってくる。コースの難所である鎖場だ。
丁度我々が鎖の下に到着すると、単独の高齢者の方が鎖を降りている最中だった。思った以上にホールドポイントも多そうでこれなら大丈夫だろう。体重の重いH君がちょっと心配なので先に行って貰い下からアドバイスを出す。無事彼が登り切ってから今度は自分の番。ちょっと考えないと初めの取り付きが難しいが、後は比較的登りやすい感じ。5m位登ると一旦斜度が緩くはなるものの暫く鎖が続く。登り切った所で一旦小休止。再開すると少し離れた所でまた鎖場出現。今度は正面、横と3ルート鎖が下がっている。偵察した結果右側の方が安全そうなのでこちらから登る。ここを登り切れば東綾ピークである。
H君と共に鎖場クリアの達成感(というほど大袈裟でも無いが)に浸りつつ眺望を楽しんだ。
東綾を後にして富士見峠へと向かう。道が山の北側へ変わったせいか、うっすらと積もる雪もところどころ凍っていて油断が出来ない。下りゆえなおさらである。
雪の中の道を行く | 雪の花が咲いたようだ | 下りは滑りやすい |
いつも見慣れた富士見峠だが、ブッシュド・ノエルよろしくフロストシュガーでもまぶしたようなその雰囲気もまた一興である。鞍部で日が差さないから夏でも涼しい位の場所なので雪も溶けないのだろう。
いつもの急登に息を上げながら559Pに到着。向かい側正面に今登ってきた東綾尾根が良く見える。ピーク直下はあんなに急だったんだねと再認識する。
少し時間が早かったが昼食にすることにした。先客、後からやってくる人、中年夫婦も多い。この山域を知り尽くしたような人が多く、日溜まりのランチタイムに古賀志山談義が花咲く。
富士見峠 | 559より東綾 | 定番眺望 雪の日光連山 |
559Pへのアプローチは鞍掛尾根分岐の地点を目指すルートしか無いと思っていたが、Pから東に降りるルートがあるという。先ほどの古賀志山通の人に「中尾根方面へ通じる」と聞いていたので我々も辿って見ることにした。地図を見る限り一旦高度を下げて後はトラバースしながら中尾根に乗り換えるといった感じなのだが・・・
岩混じりの急な下りをやり過ごすと、その先は深い植林地。ふと斜め上に目をやると右手の尾根に上がっていく緩やかな道がある。ここを登るとなんてことは無い。通常の中尾根分岐~559間の中間点あたりに出てくるという寸法だ。通常ルートを直登せずに遠巻くような感じの道の付き方だが、559直下の部分は結構険しいのでこれなら通常ルートの方が楽なのでは?と思うが、それでも結構登ってくる人が多い。こうやって古賀志山はまた歩き拡げられていくようである。
高原山 鉄塔が邪魔ですね | 中尾根の岩に難儀中のH君 | さりげなく残雪 |
中尾根の岩場に注意しながら降りていく。今日の膝の調子はというと・・・行動開始から左膝にサポーターを軽く巻いていたせいか調子が良い。が、まてよ。右の方がちょっと違和感があるような。
結局左を補強した反動で今度は右膝に負担が掛かっているような感じがする。帰宅して時間が経ってから軽い痛みがあったが、次回は両膝サポーターが必要かも知れない。春になって暖かくなり幾らか改善すれば良いのだが、やはりトレーニングをきちんとすべき状態なのかも知れない。
中尾根の最後に控える手強い岩場は去年の夏に苦戦したので今回はあっさり敬遠。安全一番で迂回コースを下って行く。積雪といってもほんの数センチにも満たない雪ではあるが、北側斜面一帯に積もった雪の中に延々と続く足跡は儚くも頼もしい存在であった。
最後のジグザグをくだって舗装林道に飛び出し下山終了。振り返って見ると、夏場などは草が生い茂ってとても登山口とは見分けが付かないかもしれないポイントである。(下写真右)
中尾根の迂回ポイント | 足跡は続くよどこまでも | 中尾根コースの着地点 |
今年は娘が高校受験だ。手始めに明日一校目の試験がある。何も三が日明けすぐでなくても良いのではないかと思うが、やれやれ厳しいものである。
当の本人は2日の朝から既に塾に籠もりっきりで勉強している。流石に正月気分もあったものでは無さそうで、取りあえず最初の試験が終わったら後のことはともかく(親としてはその後の受験の方が気がかりなのだが)一旦遊びに繰り出す予定らしい。
息子も帰省してはいるものの、旧友などとの集まりで殆ど家には寝に帰る状態で、夫婦二人の静かな正月である。
家でじっとしているのもくさるので娘の合格祈願でもと思い、県庁裏にある受験の神様、蒲生神社へ願掛けに家内と二人で出かけてきた。
風一つ無い日だまりの中、境内へ向かう緩い石段を登っていく。ぱっと左手に古賀志山から男体山まで気持ちよく見渡せる場所があった。こんな街中なのに思わぬ好眺望ポイントに出くわすと、ちょっと得した気分になる。
帰り際ふと右手を見ると「雷神社」という別の神社があるのでついでに寄ってみることにした。
位置的には塙田トンネルの丁度真上である。地図に名称の記載も無いが、県庁の建物の隣にひっそりと佇む社は訪れる人もまばら。しかしながら綺麗に落ち葉が掃き清められており清々しい。
御蔵山古墳という古墳の最上部に建立されたのが雷神社であるとの説明書きがある。
狛犬から社殿、その向こうに県庁の新庁舎がそびえるさまは、新旧の対比が印象的だ。開発の中にしっかりと残された旧跡は何か特別な息づかいを感じるものだ。
流石学問の神様? | 境内から景色が良い | 御柱説明 |
ハードルは高い? | 雷神社と県庁 |
日の出の写真って難しい!
っていきなり現実的な問題で書き出してしまったが、実際日の出の感動を伝えるにはあまりにも撮影のテク不足。そしてちょっと付け加えさせて貰えば、機材が貧弱ということも。
何はともあれ懸案の2008年の初日の出、晴天無風という絶好のコンディションの中感動的に迎える事が出来た。
朝、5時半。約束していた場所でH君の車に拾って貰う。静寂に包まれた日光街道を北へと進む。6時に登山口でもう一人の同行者であるセローさんと待ち合わせだが、30分なんてとても掛からないだろうスムースさで車は走る。
案の定、10分ちょっとで登山口前の駐車地に着いてしまった。ところがなんともう駐車地には1台の先客有り。既に目前で登り始める別のグループもいた。こんな無名な山に初日の出を見に来る人はそうは居ないだろうと思っていたが、山頂から東側に開けたあの眺望を知る山好きならば「男抱山で御来光」という考えが思い浮かばない筈は無い。
程なくセローさんも到着。予定時間には少し早かったが、まだ漆黒の闇に包まれた夜道をヘッドライトを頼りに我々も登り始める。山頂はあまり広くないので少し早めに行って良いポジションを陣取らなければならないのだ。寒波が来ているということだっが案外寒さは堪えない。
墓の横の道を進む。実は先月のクリスマス後に一度"暗さ"の下見に来ていたのだが、今日は3人で歩いているので心強い。下見の時は、ふとライトを消してみると男抱山の闇に押しつぶされそうになる威圧感を感じたものだ。
東回り西回りの登山口分岐まで来ると何やら目新しい道標が立っている。
(男抱山、富士山間の鞍部にも新設されている)
この1年間男抱山を何度か歩いてきたが、訪れる人が増えてきたのだろうか。ぱっと見ると市や行政が設置した感じでも無いので有志の団体もしくは個人のお陰かもしれない。
いずれにせよありがたい話だ。
石の鳥居をくぐり、相変わらずの急登をフーフー息を荒げながら登っていく。ヘッドライト(LED)を使って登るのは初めてだったが案外明るくて歩きやすいものだ。念のためにLED懐中電灯も一緒に持って歩いたのだが、道を歩くにはまったく不自由が無い明るさだ。
私が1番手、後ろをセローさん、最後尾をH君。健脚なセローさんに迷惑にならないようにいつもより早めのピッチで登っていたら案の定途中で息が上がってしまった。無理をしてもしょうがないので我々二人はペースダウンして所々息を整えながら上がっていく。それにしてもいつも鍛えて居る人にはまったくもって敵わないものである。
ふと後ろを振り返ってみると遠く東の地平線が薄いオレンジ色に染まり始めている。山頂までもう一頑張りだ。
山頂の岩が見えてきた。直下の東側岩には無かった筈の真新しいトラロープが目にとまる。やはり最近整備をして貰ったようである。
先に到着しているセローさんの横に無事陣取ることが出来た。既に山頂に居た人、後から続々と登ってくる人。最終的にはあの狭い山頂が16~17人くらいの人達で埋め尽くされた。いやはや隠れた日の出スポットではあるが、こじんまりした規模での一体感とでも言おうか、有名なポイントで迎える御来光とは一味違った雰囲気がある。
日の出前の時間は一日のうちで一番気温が下がる瞬間でもあるのだが、あまり寒さを感じなかった。実際さほど気温が低くなかったのか、それともこの後迎える御来光への期待が熱かったのかは自分自身でも知る由が無い。
東側のオレンジ色が益々鮮やかになってきた。ふと北東側を見ると雲がピンク色に染まっている。何と言って表現したら良いのだろう。本当に微妙な色合いのピンク色だ。
腕時計が6時51分を刻む頃、チラっと光のかけらが地平線の影から飛び出してきた。息を飲むような艶やかな、そしてエネルギーに満ちた御来光!
みるみるうちに周囲がオレンジ色の空気で満たされていく。山頂に集う人にも、そして西にそっとひかえていた古賀志山にも。
西側の手前に大きく見える多気山と先日も歩いた雲雀鳥屋、その雲雀鳥屋山頂のすぐ左手にはやはり雪をほのかにピンクに染めた富士山がそびえている。
ピンクに染まる北東域 | オレンジ色の山頂 | 赤く染まる古賀志山 |
辺りが充分に明るくなった頃、まるで呪文がとけたように一人また一人と山頂を後にしていく。我々も西峰の男抱富士山を経由して下山することにした。
山頂から西側の岩を降りて山陰に入ると途端にピリリとした冷気が顔を刺す。実は相当に気温が低かったようである。もう山道も充分に明るい。
鞍部からまた急な登り返しをして西峰に着くと、すっかりオレンジ色の空気は朝の清々しい透明な色へ変わろうとしていた。東ルートの岩峰からは古賀志山や田口の集落が新年の朝日に光り輝いている。そんな中、我々一行は清々しい気持ちで下山の途についたのであった。
雲雀鳥屋の向こうに富士山 | 文字も鮮やか 新設の道標 |
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