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静かなる紅葉の塩沢山

アーカイブ:県北の山達  日時: 2012年11月04日 22:08

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 塩沢山 の登山口が国道121号沿いの目に付く場所にあるのは以前から気になっていた。おあつらえ向きのようにその直ぐ手前には「独鈷沢ふれあい広場」というのがあり、その駐車場に停めれば登山が容易ということに迂闊にも最近気づいたばかりである。普段なら車でもバイクでも単なる通過点でしかないこの場所だからだ。駐車スペースに腐心しながら林道奥まで分け入るのに比べると、なんともお気楽な駐車スペースである。

 今年の夏は、夜が明けやらぬうちに出発し朝日を受けながら登り始めるというのがすっかり板についた。だが、季節も変わり今回の秋の山は7時に自宅出発、のんびり山行である。人も街も充分に目覚めた朝の鬼怒川温泉を走り抜けるのも久しい。

 国道脇の登山口に一歩踏み込むと、そこは鬱蒼とした薄暗い植林地。里山登りのような雰囲気でスタートだ。

     
R121沿いの登山口    薄暗い植林地へ   

 仕事道のような効率の良い登山道を行く。やがて開けた斜面になると今度はそこをジグザグと登っていく。標高1,000mに達しないこの辺りではまだ紅葉には早いようだ。だが、時折吹く風はもう充分に冷たい。上着のジッパーを思わず喉元まで引き上げた。紅葉を誘う冬の息吹は確実に辺りを覆い始めているようだ。
 小尾根に登り上がると「一服ウチワ」なる場所に着いた。可笑しな名前の由来に興味津々だが知る由もなし。確かに一服するには丁度良い頃合いだな。

     
広い谷を登る    紅葉は未だ    なんとも可笑しな一服ウチワ

 尾根を進むと登山道は、直登の「健脚コース」とジグザグの「一般コース」に別れる。ここは「健脚コース」を選んだ。
 斜度と距離を考慮しても"健脚"とはいささかオーバーなような気がする。せめて一般コースと楽々コース位にしたほうが良さそうである。雰囲気的には、針葉樹の中の薄暗い道を進むより、尾根の芯を登る健脚コースのほうが気分が良い。
 直登コースを登り詰め、乗り換えた次の尾根の少し先に今度は「遊雪の君」が現れる。奮った名前の場所がある山だ。再び由来を推し量るも到底思いつく代物でない。広々とした平坦地に彼女(彼)が嬉々として走り回る・・・程度のインスピレーションしか無いのは自分の感性の貧弱さか(笑)。・・・それにしてもこの小ピークでである。

     
直進は健脚コース       由来が知りたい

 遊雪の君を過ぎると、立ち塞がるように1100mPが正面に構える。周囲は木々の色づきが目立ち始め、青い空に映える暖色の紅葉が目に優しい。1,000mを超えた辺りから風に吹かれる汗が冷たくて、いささか辛くなってきた。ものぐさでここまで着替えずに歩いてきたが、フリースを脱いで薄手のダウンを羽織った。

     
1100mP      

 膝丈ほども無いような低い笹が出てくる。暫くは鼻歌まじりの緩斜面だが、徐々に斜度がきつくなってくると一投足で山頂へ着いた。
 山頂は東側が広くひらかれており、正面の高原山が間近に見える。この方角から見る高原山は珍しいので大変新鮮だ。ゲレンデの形もよく分かる。

     
塩沢山    背の低い笹の中を進む   
     
   山頂に近づくと傾斜が急になる   

 今日のランチはお洒落にパスタである。ところが、登山口でザックを背負った時に感じた微妙な荷の軽さは何だ。調理とコーヒー用の水を1リットル持ってくるのを忘れたのだ。飲料水はお茶のペットボトル500mlを一本余計に持ってきているので、これをリザーブすれば非常時用の水500mlで調理とコーヒーは何とかなるだろうと考えた。いざスパゲッティ(サラダ用早茹で4分)をコッヘルに入れようとしたら今度は箸が無いことに気が付き呆然。いつもはコンビニでカップラーメンを買った時に割り箸を貰っているので意識が無かった。これは実に痛い。

 辺りを見回し代用品を物色するが、手頃な枝も無い。仕方なく一帯に繁茂する笹の茎を抜いた。
 直径2ミリにも満たないような笹の茎ではなよなよとしていていささか心許無いが、それでも細い麺をかき混ぜるには何とかなるものだ。

 水をケチったので煮詰まってお湯が段々少なくなってきた。笹の箸も心許ないが、茹でるお湯の方も風前のともしび。
 若干芯に硬さを感じるがヨシとして、お湯切りして"混ぜるだけの具を"投入。笹の箸でなんとかかき混ぜて完成である

 味はというと・・・それはもう苦労した分だけ美味しかったのは言うまでもない(爆)

 箸としては殆ど役にたたない笹の枝は補助として、コッヘルからすするようにして食べたことも付け加えておこう。

     
哀れ、笹の箸    パスタ完成(混ぜるだけ)    コーヒーはいつも通り美味かった

 登路では下山者数組とすれ違った。おそらく六時か七時には登りはじめたのではないか。この時間に下山するのなら近間をもう一座くらい登るのかもしれない。栃木百名山の中ではかなり目立たぬ地味な存在の塩沢山だが、それなりに静かな人気がうかがえた。

 塩沢山を検討する時、やるならば是非北の尾根を辿って三依山も踏んでみたいと思っていた。だが、塩沢山から先は笹ヤブの尾根道らしく案外手間取ったという記録を見ていたし、ピストンで三依山というのも時間が掛かりそうなので躊躇される。三依山から北西に下山し周回(駐車場に戻る自転車のデポが必要)するコースについては今ひとつ調査段取り不足であった。
 今回はまず尾根の状況把握ということで少しだけ偵察で歩いてみた。

     
高原山、手前はニ方鳥屋山    奥は三依山方面への尾根    膝丈の笹をかきわけ偵察

 先般歩いた燕巣山から湯沢峠へ向かう悪魔の笹藪に比べれば極楽のような心地良い膝丈の笹尾根である。何よりも視界が効くので尾根を辿るのもこれならば楽勝であろう。三依山から上三依の集落に下山するまでこの状態が続くという保証はないが、背丈超えの笹ヤブでなければそう苦労することも無い。来年、この時期に是非歩いて見ようと思った。
 僅かな距離であったが、一つ目の風情ある小ピークで偵察を終了とした。

     
一つ目の静かなピークで偵察終了    下山路から冠雪の白根山   

 一旦山頂へ戻り下山を開始する。下る向こう側には枝の間から太郎山や雪化粧の白根山、名前は言えないが遠く冠雪する山なども頭を覗かせている。高度を下げていくと五十里湖の輝く湖面がちらちらと見えるようになってきた。

     
眼下に五十里湖を望む      

 植生が度々変わる塩沢山の登山道だが、一服ウチワは北側が植林地となっており、あたり一面に見慣れない筒が設置されている。

     
一枚だけ変わった道標    遊雪の君手前、このコースではs珍しい岩コブ    一服ウチワ脇の植林地

 中を覗いて見ると幼木の苗が保護されているようだ。(下写真左)写真では万華鏡のように不鮮明にしか写っていないが、丈がまだ20センチも無いような苗がちゃんと植えてある。筒が動物達から守っているのだ。

     
筒の中は幼木       下山終了

 帰路は五十里湖沿いの旧道を走り、かねてより食して見たかった「ほそい」の蕎麦を求めて寄り道をした。

     
独鈷沢ふれあい広場    ふれあい広場駐車場    五十里湖、海尻橋旧道にある「ほそい」

 北海道は幌加内の新蕎麦粉を使用していると店内の張り紙に書いてある。出てきた蕎麦はよく挽かれた白い粉を使った麺で、クセのない味わいで特に突出したところは無い。ツユも平均的な味に留まっているような気がする。舌に客観的な自信がある訳ではないので一つの意見として考えて欲しいが、自分としては及第点にもう一つといった感じであった。周囲を見ると付け汁蕎麦(熱い鴨汁)を頼む人も多いようで、後からネットで見るとどうやらこちらのうほうがオススメのようであった。
 バイパスの立派なトンネルができてしまったせいで鄙びた感じのロケーション、今となっては静かな味わいを演出し、また雰囲気ある店内もなかなか良い。午後2時を回っても続々と客足が耐えない人気店であった。

  
   「ほそい」の駐車場から

概略コースタイム
駐車地発(8:24)-沢(8:53)-一服ウチワ(9:12)-遊雪の君(9:32)-1100mP(10:10)
山頂着(10:49)-休憩-行動再開(11:53)-尾根北偵察終了(11:56)-遊雪の君(13:08)-
一服ウチワ(13:18)-沢(13:29)-駐車地着(14:03)

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コメント (8)

Non:

 こんばんは。レポートお待ちしていました。こうして拝見すると、良さそうな山ですね~
時期がいいのかな? 他の方のレポで見ると、花も多いようですが。紅葉もきれい。
 五十里湖とか、あの辺って、どこか山深~い感じがして魅力を感じていたものの、
なぜかチャンスがなかったんですよね。展望は少ないようですが、ぜひ来年の山リストに
追加したいと思います。

 それから×2、お昼ご飯のくだり、1人でくすくす笑いながら拝読しました(^▽^)
いや~調理用のお水を忘れたことに気づいた時には、さぞや愕然だったでしょう(笑)
笹のお箸というのも、なかなか野性味があって良いかもしれません。
 ちなみにマカロニなら、早ゆで90秒というのもありますよ。けっこう便利です。

リンゴ:

先々週に紅葉狩りを兼ねて湯西川に行き、周辺にある栃木百名山の登山口などを偵察(という程大袈裟では無いが)して来ました。
葛老山、南平山は登りやすそうでしたが、明神ヶ岳と持丸山は難易度が高そうでしたね。
で、帰路はR121で塩原周りとしましたが、途中上三依に向かう手前で○○登山口というのが一瞬目に留まりました。
登山をやっていると”登山口”という文字に敏感に反応してしまって・・・(笑)
運転中でしたので山名までは確認できませんでしたが、まっちゃんのレポを拝見して「なるほど~」と思いました。
位置関係からして塩沢山に間違いありませんね。
近いうちに楽そうな葛老山、南平山をやりたいと思ってましたので、ついでに塩沢山も候補に挙げておきます。

匿名:

T0☆9
ブログでは、お初です (^^)/
5月にここに登った時、すれ違った人に三依山までの話をききました。その方は残雪期で、三依山でどこでおりるか、悩んだとか。
ひとり藪こぎがお好きでしょうが、三依山までの縦走いってみたいなと思っとります。
さすれば車2台となりますよ!

でもひとりでいっちゃっても・・・です。^^

まっちゃん:

Nonさん、こんばんは。

五十里湖周辺の山域って案外穴場ですね。
標高は低いですが意外と山深いので魅力的です。賑やかな山が好きな人にはちょっと寂しい雰囲気があるかもしれませんし、どの山も派手な眺望は無さそうで、要は地味な山ということなんでしょう。

昼食は・・・ホント参りました。
最近は早朝出発が多かったので、時に朝バタバタしなくて済むように前の晩に準備万端で行くようにしているのですが、まだまだ抜けてます>自分

まっちゃん:

リンゴさん、今晩は

葛老山・南平山もかなり地味な感じですが、葛老山は道の駅に車を置いて下山後は即温泉という魅力もありますね。残念ながら自分は風呂が苦手、というより入浴すると疲れてしまってその後車で帰るのが億劫になってしまうので出先で温泉は避けるようにしています。本当は下山後にすっきり汗を流したいとは思うのですが。

塩沢山は植生が猫の目のように変化する山で面白かったのでオススメです。

まっちゃん:

T0☆9さん、拙ブログへようこそ。

そうなんですよね。尾根歩きは楽勝だと思うのですが、三依山からの下りが実は難しいんです。
地形図を眺めて下山ルートを三つ考えているのですが、国道手前の等高線が込んでいるので急斜面で立ち往生する可能性があります。下山ポイントを充分に偵察してから臨みたいと考えています。実行は来年のこの時期。お待ち頂けるならご一緒ください。

亀三郎:

こんにちは
次の山の候補のひとつなので研究に来ました。
こちらのレポや
ヤマレコを見ると
なんとなくですが、、、亀三郎向き??って、、、
気もして・・・(^_^;)(^_^;)
駐車地から道路を渡って
北に向かうと
スルメの道標が出てくるのでしょうかね たぶん、、、

まっちゃん:

スルメの道標は既に失念してしまいました。

途中の地点の名前が奮ってます。
遊雪の君 とか。

亀三郎さんの山行ログ、お待ちしておりま〜す。

ところで、上のほうの自分のコメント見るとこの頃はまだ立ち寄り湯は行かなかったんです。
その頃はお酒も殆ど飲まなかったし。
ここ数年でオトナのお遊びに目覚めたみたい>自分

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