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宇都宮近郊の山達アーカイブ


2013年03月09日

古賀志山馬蹄形縦走


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。

関連山行
  2010年1月3日 赤岩山
  2009年3月28日 岩崎尾根五峰を巡る

 古賀志山馬蹄形縦走。トレースが馬蹄に見えるところからそう呼ばれているが、古賀志山に足繁く通う方なら一度は聞いたことのある名前だろう。

 コースの全貌は上図の軌跡のような感じで、一般的には森林公園駐車場から北登山道経由で富士見峠よりこの周回コースに入るようだ。今回自分は、赤岩山の北西端から取り付き、再びそこへ戻る周回とすることにした。
 赤岩山の北西からの登山道は、かつて「西登山道」の道標も掲げられていたということをネットで見たことがあるが、今はそれも撤去され、少し太めの赤テープが一本樹に巻かれているだけの寂れた登路となっている。

 古の西登山口についてはヤマレコの馬蹄形縦走のデータを参考にさせていただいたが、駐車地の確保には不安があった。先般偵察を済ませてようやく実行に移す目処が付いたのである。余談であるが、駐車地の周辺は枝道も加えるとかなりの林道が存在し、中でも東に向かう主線は地図上で破線になるもまだ先まで走行可能で、鞍掛尾根まで直線で600m弱という箇所まで車(パジェロミニ)で接近可能である。ネタとしていつか企画に使いたいものだ。

 森林公園を横目に文挟方面へと車を西走させる。古賀志山のビューポイントで赤岩山~古賀志山の岩稜をカメラに収めた。今日の縦走コースの南側半分ということになる。先週は母親の入院騒ぎがあり(経過良好で既に退院可能な状況まで回復)、仕事も超多忙であった為に気力が幾分衰え気味であったが、この稜線を見ていると力が沸き上がってくるので不思議なものだ。

 予定していたポイントへ車を駐める。林道はよく整備されているので、ヘタをすると土曜日でも重機が入って作業があるかもしれないので念の為に邪魔にならないような場所を選んでおいた。

     
赤岩山から古賀志山全景    駐車地    まずは作業道を辿り

 作業道を少し進むと左右の鉄塔へ向かう巡視路があるが、直進が赤テープが樹に巻かれた取り付き点である。ここまでは既に偵察済で、方角からして赤岩山の稜線に向かうことは間違いない。

 しっかりとした道形を辿り、シダの生えた古い伐採地から左手にトラバース気味に登ると廃作業小屋があった。ここからは尾根に突き上げるように一本道になるも、道形は消え踏み跡も千々に乱れる。方角はひとつしか無いので迷うことは無い。登っていくと上の方に衝立のように大きな岩が見えてきた。

     
ここが取り付き点    廃作業小屋    奥に岩が聳える

 岩の直下まで来ると、左の巻き道に付いた赤テープと、半分に欠けた道標が掛かっているルートに分かれる。岩を縫って高度を上げる道標コースが正解と考えこちらを登る。それにしても欠けた道標の上半分が気になるところだ。二文字目は龍だと思うが一文字目は馬でないことは明らかのようだ。自分が知るこの先にある初めのピークは猿岩なのだが。
 ルートは等高線の混み具合を見ていただくと解るが、時折岩混じりの胸突き八丁。今日は先が長いのでセーブしながら登っていくも、いきなり息が上がってくる。踏み跡は顕著で迷うようなことは無い。

     
岩肌が剥き出しに    何岩なんだろう    真新しいトラロープが下がる

 みるみる高度を稼ぎ、時折振り向くと西側の景色が広がってくる。笹目倉から鶏鳴山への美しい稜線の上に男体山が鎮座する姿、奥には白根山が白く輝くこの景色は宇都宮近郊の山からの定番眺望だ。
 途中に小さなピークのような所があったが、此処が割れた道標にあった岩峰の頂上だったのか、山名板も何もかかっていなかったので不明である。
 更にひと登りすると猿岩へ到着。三年前に赤岩山に登った時にこの猿岩までは歩いているが、その時に西の鉄塔の方から登ってきたという人に出会った。今回は自分もそのコースを辿ってきたのだ。

 赤岩山主稜線は小さな岩のピーク超えの連続である。予報では風は強く無い筈だったが、いきなり強い風が稜線を吹き抜け始めた。急登の汗も引いてきたのでザックにしまっておいたダウンを思わず羽織る。

 ここでちょっと不具合発生!

 というと大袈裟だが、実はここ数年自分も世間の人並みに「花粉症」とやらが春に発症するようになっていた。重症ではないのだが春先は鼻がむずむずするのだ。山歩きを好む者にとって花粉症は手痛い病気。病は気からでは無いが、努めて「自分は花粉症では無い。ただちょっと鼻水が出るだけ」と暗示をかけまくって薬も使わず今までやり過ごしてきたのだ。
 実は今年も数日前から鼻に異変を感じていたのだが、どうやらこの稜線に到着した途端に鼻水が炸裂。登りは頭が上を向いてるから良いのだが下りは汗の滴るが如く鼻水が垂れる始末。幸いにして先程から山域にハイカーの気配も無し、御岳山あたりまではティッシュの鼻栓をして歩くべし。

     
   猿岩    岩のピーク超えの始まり

 いくつもの岩を越えていく岩稜は南側の景色がすこぶる良好。歩いているうちに風も収まりダウンをザックにしまう。これで鼻水が治まれば最高なんだけどね(笑)

     
   篭岩    ハングライダー着陸地点

 鋭く毅立する岩をいくつも見送りながら、やがて赤岩山へ到着。高原山を真正面に捉えることの出来る眺望に観音寺山(猪倉城趾)が横たわり、その先に先般歩いた高知山などが見える。

     
   赤岩山   

 寂れたハングライダーの離陸点跡地からは正面に古賀志山が見える。地形の関係なのか、成る程下から風が吹き上げてきているのでハングライダーやパラグライダーにはここは適しているのかもしれない。
 それにしても今日の風は暖かいを通り越して少し暑い位だ。山登りは立ち止まれば寒いくらいのほうが調子の良い自分なので、胸元を開けて風を取り入れるなど体温調節に腐心する。嗚呼それにも増してこの鼻水が・・・(^^;

     
ハングライダー発進跡地から古賀志山方面    ここは巻き道がある    程よい緊張感の岩尾根

赤岩山を振り返る

 鼻水も流石に岩場超えをしている時は気にならいもの。やはり病は気からと自分にうそぶきながら進む。御岳山へあと少しという辺りで後続に今日初めてのハイカーの気配を感じる。

 御岳は先着のシルバーハイカーのグループが談笑中であった。ティッシュの鼻栓を素早く抜き去った自分も端のベンチに腰を下ろす。やがて後続の単独者も到着し、山頂に収まる。

 一息入れて先を急ぐ道すがら、沢山の人達が憩う古賀志山山頂。流石人気の山である。

     
      人々が憩う古賀志山

御岳山より本日の縦走路後半

 富士見峠から登ってくるシルバーエイジの人達多数とすれ違う。この時間に登って、下山すると丁度半日コースで良いのだろう。それにしてもみなさん結構一杯一杯で登っているように見受けれるが、いざ我が身を振り返るに果たしてあの年齢まで山に登り続けることが出来るかどうか、いささか羨ましくもあるものだ。

 富士見峠より少し北進すると最近有名になった伐採地である。稜線を外して伐採地に付いたトレースを進むとなかなか景色は良いが土が剥き出しなのは流石に悲しいものがある。御岳山で撮影した上の写真でも分かるように、下の方まで広く山が崩壊しているのが見て取れる。

 中尾根分岐まで来ると、交差するハイカーの数も多く、更に先に見える559mPは沢山の人達で賑わっている模様。

     
富士見峠北側の伐採地    砂礫ならアルペンムードなのだが    崩落で丸裸のピーク地
     
この先進むルート    こちらも痛々しい    559mPは沢山の声で賑わっているようだ

 途中、左手に見える谷に向かった伐採地も行く手が丸見えになっており、踏み跡が下へ伸びている。古賀志山フリークのハイカーの格好の新ルート開拓の餌食になっているのだろう。

 559mP手前の急登に息せき切りながら、やがていつもの静かな鞍掛尾根に落ち着く。ピーク超えにいささか足取りも重くなってきたが、自分の鞍掛尾根のお気に入りポイントである540mPで休憩と決めていた。

 540mPはいつもの好眺望で迎えてくれたが、いかんせん日差しが強くて食事をするには少し辛い。東へ少し降りた箇所におあつらえ向きの岩のテラスがあるのを知っているのでそこへ移動。思えば今年の初日の出はやはりこの岩でコーヒーを沸かして迎えたものだ。二人も座れば一杯になってしまうような狭い岩だが、勝手にマイテラスと命名したくなるような景色の良い岩棚である。

     
こちらも伐採で丸見えになった谷筋、踏み跡が下へ伸びている    鞍掛尾根に落ち着く    540mP脇のマイテラス岩

 食事の後は本日のコースの核心部、鞍掛尾根から444mPへ向かうルート。手始めの手岡方面への下りが待っている。
 手岡方面への分岐は以前は古くて小さな道標が掲げられていたが、今は歩く人も無いらしく撤去されてしまった。それでも場所は以前から知っていたし、木の幹に刻み込まれた「手岡」の文字で解る。

 出だしは若干心許ないが踏み跡は確かにある。辿っていくと自然林から植林帯へとトラバースし続け、やがて尾根へと導かれた。尾根に到達すれば、先ほどの分岐の心細さから想像出来ないような明るい落葉の稜線がしばらく続く。

     
今や木彫りの道標のみの手岡方面へ    トラバース気味に降りて尾根を探る    落葉の稜線は心地よい

 やがて林相が完全に針葉樹へ変わるが、所々露出する岩が古賀志山ファミリーの一部であることを証明している。これから向かう444mP周辺は赤岩山側から見ると結構な岩稜なのだ。

 途中、伐採地で辺りが急に開ける。コルを挟んで丁度V字型のように伐採されている。

     
   この山域は全て岩で出来ているようだ    383mP手前の伐採地

 ハゲ山の下りと登り。大した標高差ではないが意外に骨が折れる。登り切って振り向くと鞍掛尾根が綿々と続いている。宇都宮側から見ることの多い鞍掛尾根だが、西側からの至近距離でのアングルは希少であろう。

     
振り返って鞍掛尾根を見る    右奥が540mPだろう    444mPに向けて岩超えが出てくる

 444mPに近づくと数箇所岩超えが出てくる。超マイナーコース故勿論整備などされていない。ロープや鎖は皆無だ。一番最後の岩が少し高度感があるが、落ち着いて行けばホールドも多いのでさほど心配も無い。
 最後の岩を登り切った箇所が、四年前に岩崎にある無名五峰を巡った時に昼飯を食べた眺望地である。その時は今回のルートの383mPまで歩いているので、これで岩崎観音方面から鞍掛尾根まで貫通したことになる。

     
ロープは無いので慎重に    幸いにしてホールドは多い    最後の岩を登り切って鞍掛尾根方面

 壊れかけの小さな石祠がある444mPを過ぎる。正面に朝登ってきた猿岩へ続く稜線が見えるので、馬蹄形としてはほぼ一周してきた訳だ。あとは高度を下げるだけなのだが、この最後の区間が実は一番の山場なのだ。最後の気力体力チャージの為、バテた体を地面に放り投げてしばしの休息をとることにした。
 今日は暑さが予感できたので氷入りのテルモスにドリンクを詰めてきたが、まだ水の残量もあるのでテルモスの冷たいドリンクで体を冷やしてしばし鋭気を養う。

     
右手奥から朝登ってきた稜線    444mP    流石にバテた

 降下点は444mPの南西側より岩の切れたところから降下すると山レコの記録にある。上から見てもどのへんに岩があるのか解らないので注意が必要だ。ヤマレコのGPSデータを参考に、ここぞという地点に到達するも、測位誤差が無いとは言えないので安心出来ない。
 少し先の方まで歩いてみると稜線が急に切れ込んで降下していく。地図通りの状況であるし、そちらのほうが踏み跡も濃いような気がする。ただ、植林地や普通の薮とは違って岩の多い地帯故、実績を見ていないルートは避けるべきと判断し、引き返して予定地点から微かな踏み跡を追うことにした。

 ニ~三箇所赤テープがあったが、方向に統一性が無いので全面的に信用出来ない。比較的濃い踏み跡も進路角から大きく外れてトラバースしようとしている。向かうべき方角は斜度がきついので落ち葉で踏み跡は消えかけているが、予定しているコースはあくまで稜線キープ。ここは手堅く方角を合わせて進むべし。しばし下り幾らか斜度が緩んだ頃、上を見ると結果的に岩の合間を縫ってうまく降りてこられたようだ。

     
目印も無いが間違いなく此処が降下開始点    踏跡も微かだが方角を外すまい    岩の合間を縫うように降りてきた

 やがて尾根を正確に捉えることが出来るようになると再び踏み跡も濃くなってくる。馬蹄形縦走の本来のルートがここであるかどうかは不明だが、後半の歩きやすさと踏み跡の濃さを見るとあながち不正解とも言い切れない。ただ、軌跡を改めて眺めてみると、実は444mPの稜線から降下するときに少し行き過ぎた先の急降下をそのまま行けば、もっと綺麗な馬蹄形になったのではないかという些末な反省点を残した。これは本来の馬蹄形縦走がどうのこうのという古賀志山愛好家的(自分は古賀志山フリークでは無い)目線の話ではなく、地形図歩きを好む一登山者としての意見であることを付け加えておこう。

     
尾根を捉えると後は穏やか    林道が見えてきた    こう降りてきた
  
   ゴール!

概略コースタイム
駐車地発(07:48)-廃作業小屋(07:57)-割れた道標(08:11)-猿岩(08:26)-
篭岩(08:40)-赤岩山(09:01)-御岳(09:59)-古賀志山(10:16)-富士見峠(10:24)-
559mP脇(10:49)-540mP(11:17)-昼食休憩-行動再開(11:52)-手岡分岐(12:01)-
383mP(12:26)-444mP(13:20)-下降開始(13:27)-林道接合(13:52)-駐車地着(13:57)

2013年02月03日

里山七座を巡る

-- ルート軌跡は『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
※各コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。

 かねてより懸案の低山巡り。栃木の山を歩き初めた頃より憧れていた里山中の里山のはしご歩きである。標高も低い小さな山だから、一つ一つはあっという間に登ってしまう。だが、日頃は山仕事の人しか知らないそんな斜面を狙ったルートで丹念に辿る里山逍遥に憧れていた。この数年来の計画を遂に実現する時が来たのである。

 

一座目 浅間山

 

 宇都宮市下小池町にある雷電山から西へ寅巳山、浅間山へと続く独立山塊。以前、雷電山から車道をまたぎ寅巳山へと縦走したことがある。この時にもう少し足を伸ばして浅間山まで歩きたかったが、時間切れで断念した。
 今回は浅間山だけを登るが、いずれまた日を改めて違ったコース取りでこの三山を歩いてみたいものである。

 予定していた駐車地に車を駐め、某病院脇から上を窺う。ゴミが捨ててあって雰囲気が良くないので、少し奥まった箇所から斜面へ取り付くことにした。
 出だしは雑木の林なので落ち葉で多少足が滑るが、さほど歩きにくくもない。

     
駐車地(場)    某病院裏手より    雑木林を登る

 急登直登に喘ぎながらもやがて尾根へとたどり着く。何処の藪山もそうだが、植林地の尾根の背の部分は木が植えられていないのでほぼ間違いなく歩くやすくなっている。これが自然林だと、意地悪な笹ヤブや屈強な灌木に占領されていて通過を阻んでいるものだ。

     
      尾根は歩き易い

 程なく山頂へ到達。厳しい表情の石仏がカッとこちらを睨みつけるように鎮座しており、静寂の中一瞬息を飲む。

 景色は良くないが、枝越しに見える寅巳山、北東に伸びる尾根筋は木漏れ日に満ちている。いつかそこを歩いて寅巳山を目指そうと心に誓い山頂を後にした。

     
山頂に鎮座する石像       隣の寅巳山
概略コースタイム

駐車地発(08:36)-病院裏手(08:43)-尾根(08:55)-山頂(09:08)-駐車地着(09:21)

ニ座目 高知山

 この山は、今回の一連の低山の中で特筆すべき眺望の良さを持っていると聞く。かつてはハイキングコースもあったらしく、登るのも簡単そうだ。
 だがこの山の最大の難しさは駐車地にあるのだ。何度か偵察を重ねているが、はっきり言ってしまうと車は何処にでも駐められる。だが、どこの空き地や空きスペースも全て個人の所有地であり、造成地のような地域内故に田舎のあぜ道に駐めて容認されるような鷹揚さが住民の方々にあるかどうかがはっきりいってわからない。

 なるべく迷惑をかけないような場所に車を置いた。
 「栃木の山紀行」さんの記録に見る取り付き口は既に下見済みであったが、此処もまた人家の庭先をかすめながらなので、無難な箇所で人目に触れにくそうな藪から裏口入山する。

 想定コースに向かって藪の中を横切りながら進む。藪の外れにある民家の二階からこちらが丸見えだ。ここはなんとか素早く通過したいところだが、どんなに密かに移動しようとしても藪を踏む乾いた足音は容赦なく辺りに響く。おまけに藪こぎスタイルの真っ赤なヤッケなので、そこに人が居れば容易に発見されてしまことは必至(汗)

 ようやく事なきを得、目論見のハイキングコース跡へ接合することが出来た。

     
この先へ進む    駐車地脇からまず藪へ    登山道らしき道形

 打ち捨てられた一枚の道標が、かつてハイキングコースだったことを物語っているその道は、迷うこともなくひたすら一直線に登っていく。上の方になると僅かに道形も心許なくなってくるが、さして心配も無し。やがて明るい稜線が見えてきた。

 稜線に這い上がり少し歩くと、それまでの鬱蒼とした杉の森から想像も出来ないような明るい山頂が待っていた。真新しいベンチが二脚あつらえてある。南側を180度以上の広さでゴルフ場に囲われているので、別な登山道はありえない。山頂だけ一体なぜこんな整備をしているのだろうか考えた時、ハタと膝を打つ。
 山頂から北東に伸びる稜線を行けば今市青少年スポーツセンター方面へ降りられるのは地形図を眺めて知っていた。もしかしたらここちら側をオフィシャルなコースとして整備しつつあるのではないか。想像の域であるのでこの点はネットの情報、ひいては実際にこちら側のコースを歩いてみて検証すべしと思った。

     
ハイキングコースの名残    植林地を登る    山頂はすっきりした眺望
     
   笹目倉から鶏鳴山    大沢の城山?
  
   団地内にはこんなものも
概略コースタイム

駐車地発(09:36)-山頂(09:52)-駐車地着(10:11)

三座目 前山

 

 大室ダムの裏手にこじんまりと端正な形を見せる前山。横を走る道路を幾度と無く通過する度に、いつかは訪れようと思いながらもなかなかその機会はやってこなかった。小さな山だから何かのついでにと思ってのびのびになっていたのだ。

 ダム前の立派な駐車場に車を駐めて、ポケットにGPSを忍び込ませてデジカメだけを持って歩き出す。ダム湖を周回出来る遊歩道を散歩するだけでもかなり気持ちがよさそうだが、今日の目的は前山だ。

 遊歩道より階段を登り高度を上げる。最高標高点からは案外景色が良い。上を見上げると山頂は更に少し先のようだ。

 道は無くなるが、僅かな距離を直登すると木に覆われた山頂からはの景色は無い。

 遊歩道に戻ると、家族連れや老夫婦、犬の散歩など沢山の人達で賑わっている。日頃運動不足であろう父親は子供の手を引きながら額の汗を拭い、子供たちは開放的な景色に元気一杯である。そんな微笑ましい光景が繰り広げられるダムのほとりであった。

     
遊歩道脇より階段を登る    遊歩道最高地点より    山頂はこの上
  
   日光連山が素晴らしい
概略コースタイム

駐車場発(10:20)-山頂(10:31)-駐車場着(10:40)

四座目 大山

 

 大山は、厄除け方位除け祈祷で、地元の知る人には割りと有名なたかお(漢字変換不能)神社を麓に擁する里山である。

 たかお神社についてはHP(http://www.takaokami.skr.jp/index.html)をご覧頂きたいが、少し奥まった場所にありあまり目立たない。偵察で何度か訪れてはいるものの、いつも参拝者の姿が絶えないくらい親しまれている神社である。

 表通りからだと小さな鳥居だけで本殿が見えない。さして大きな神社ではないと思われがちだが、車で回りこむようにして境内敷地内の砂利道を進み奥の駐車場まで行くとその脇に立派な本殿があるのだ。

     
道路脇の鳥居       駐車場

 丸いしめ縄が掛かった鳥居をくぐり、本殿脇から奥社への石段を登っていく。本殿では時折祈祷が行われており、太鼓の重厚な音が山内に響き渡る。

     
      奥社へと進む

 奥社脇から「ツリーハウス」を案内するカラフルな道標に従って登っていくと、何度か森林作業林道を串刺しにしながら高度を稼ぐ。林道は山全体を螺旋状に切り開いた感じで、かつて盛んに伐採が行われたことが伺えるが、今はこの作業道も休眠中なのだろうか、若干荒れ気味で軽く藪化している。

     
奥社       奥社脇から登ると・・・

 やがて、大山の南西小ピークの突端位置にあるツリーハウスへ到達する。日も差し込まず、眺望に乏しい林内にこのようなツリーハウスを作った意図が若干不明ではあるが、果たして訪れる人はいるのだろうか。

 ツリーハウスを後すると、ここからいよいよ藪道となる。

     
ツリーハウス       ここから藪となる

 地図通りに小ピークを登り下りすると、山名板だけが静かに迎えてくれた山頂である。

     
尾根を行く    大山、山頂   

 来た道を取って返し、ツリーハウスまで戻る。目指す西側の414mPへはそのまま真っすぐ進めば良いのだが、少し藪が深くて躊躇する。手薄な所を探し、下に見える鞍部目指して強行突破だ。

 鞍部には作業道が通っているがこれをそのまま追うとコースアウトする。右手の小尾根がGPSの示す進路角に一致するのでここを登ってみる。

 どうやらルートに乗ったようで、段々尾根形が鮮明となる。GPSの現在地も問題ない。

     
右手の尾根を辿る    少しう藪だが快適    ピークは近い

 何も無いだろうと思っていた414mPには石祠が一つだけひっそりと置かれていた。

 下山は、藪を突っ切って最短距離で神社へ復帰しようとも思ったが、相変わらず山内に響く祈祷の太鼓の音も大きく、ご神域であまり傍若無人に歩きまわるのも憚れるので、大人しく廃作業道を辿りハイキングコースへと戻った。

 下山後は、神社敷地内にある蕎麦屋、「ことじ(これも変換不能)」http://kotojidayori.jugem.jp/にて蕎麦をいただく。

 席数は少ないが、まだ新しい造りの店の内部は大山を擁するこの杜の雰囲気によく合っている。蕎麦の味は香り豊かな麺に、少し甘めのダシの効いたつゆがなかなか美味である。デザートの蕎麦ゼリーは黒蜜の芳醇な甘みが疲れた体に染み渡った。

     
414mPの石祠       神社境内の蕎麦屋で食事
  
   蕎麦ゼリー

概略コースタイム

駐車場発(10:46)-ツリーハウス(11:01)-山頂(11:18)-
ツリーハウス(11:28)-鞍部(11:38)-414mP(11:47)-駐車場着(12:05)

五座目 名野山

 名野山は南側を分譲団地(杉の木台)に面しており、登るならここからが最短コースとなる。「栃木の山紀行」さんはこの団地の西端にある作業林道からアプローチしたようで、自分もその箇所を何回か偵察している。だが現在は工事中の看板で入り口にロープが張られている。
 他の場所でも直登してしまえばどこでも良いのだが、基本的に住宅街なので車を置く場所も取り付き箇所も住民の目に触れる可能性は極めて高い。この時世だから、不審者どころか変質者扱いもされかねない。
 従って早々に団地からのアプローチは断念し、北東の大谷川側からのルートを考えた。

 駐車ポイントを決める最後の偵察の時のことである。丁度良い塩梅の神社を見つけたものの、肝心の取り付きは直登しか見当たらない、と思いきやそばにやはり作業道が伸びており、ここしかないと決めた。
 少し奥のほうを覗こうと思って藪を分けると・・・向かいの農家の犬のチェックが鋭く入り、咆哮の嵐。普段着でデジカメを片手にぶら下げているだけなのにこの騒ぎ。いざ本番のその時、ザックを背負ってて藪漕ぎの真っ赤なヤッケなど着てざくざくやったら犬も半狂乱になることは想像に難くない。しまいには、犬を飼っている家の人が訝しげにこちらを伺う始末。早々にその場を退散した。
 他の場所はと車を進めると、ほんの僅かな距離で石塔と石段の続く道を発見。傍らには丁度車一台分の駐車スペースもある。男體山と記されたその石塔から階段を少し登った。道がどこまで続いているかは不明だが、名野山へのアプローチとしては渡りに舟のような石段だ。

 ・・・と、偵察の抜群な成果に気を良くして今日は本番に望む。デザートの蕎麦ゼリーの甘美な黒蜜で若干モチベーションが弛緩した気もするが、いざ気を引き締め直して出発。

     
駐車地はここ    男體山とあり    石段を登ると

 石段は直ぐに尽きて、突き当りに小さな社があった。裏手に続く植林尾根は枝打ちも丁寧で思った以上に陽の光が差し込む。一つ目のピークの375mPには真新しい色のSHCカワスミさんの山名板、「天王山」が掛かっていた。途中にピンクリボンがあったが、最近ここを歩いたカワスミさんが付けたものかもしれない。

 375mPから降下して名野山の主稜線に乗り換える箇所は、往路はすんなり辿ることが出来たが、復路は道なりに歩いて南に伸びる尾根に引きこまれそうになる。藪の生え方で下りだと来た道が非常に見えづらく、GPSを片手にリバースした位だ。

     
小さな社があった    裏手の尾根を行く    進路を定めながら

 山頂が近くなると岩が地表に顔を覗かせる。程なく名野山の山頂に到着した。木に囲われた山頂の眺望は殆ど無く、南側に団地方面が微かに見えるのみ。三角点から西へ伸びる尾根を辿ればあっというまに団地に降りることが出来そうである。

     
上部は岩が出てくる    名野山、山頂    南西へと続く尾根

 下山は、先程も書いたように一箇所コースミスをしながらも無事帰着。取り付きの石段脇には貯水塔があるが、その屋根の向こうに大山が顔を覗かせていた。

  
社へ戻ってきた    脇の貯水塔肩越しから大山
概略コースタイム

駐車地発(13:13)-375mP{天王山}(13:23)-山頂(13:45)-駐車地着(14:16)

六座目 富士山

 

 富士山といえば船生の富士山を思い出すが、栃木にもあまたある富士山が、船生から至近のこの場所にあるのも面白い。ここも、駐車地に随分頭を痛めたが、ご覧のようにR461脇に一台分のスペースを見つけた。山頂の富士浅間神社に参詣する人向けかどうかは定かではないが、パジェロミニには少しゆったりしたそのスペースをお借りした。

 ここは他の山と違って山頂までが参拝路のようで、道はしっかりしている。特に道標などはないが、地元の方々の信仰の山なので登る人は限られているのだろう。

     
駐車地    浅間神社の鳥居    石の階段の痕跡

 登路に小さな社、講堂のような大きな社が続く。

     
初めの小さな社    溝場の道    大きな社

 3つ目の社を過ぎると、山頂直下はやはり岩が出てくる。一息入れて枝越しに下を眺めると、国道461を通過する車の姿も大分小さくなってきた。

     
また小さな社    やはり山頂直下は岩が出る    眼下の国道461

 程なく山頂の富士浅間神社へと到着。何故か社殿の中にR.Kの山名板が収められていた。

     
山頂の富士浅間神社    何故か社の中に山名板が   

 社殿の裏手に回ると、最後に登る狩場山と木曽仲居が眼前に黒ぐろと横たわっている。下山はあっという間であったが、山全体が境内のようなこの場所を適当に取り付いて直登しなくてよかったと思った。日頃信心の無い自分も幾らか心が洗われたかどうかは定かでないが(^^; そんな信仰の一座であった。

狩場山
概略コースタイム

駐車地発(14:25)-山頂(14:41)-駐車地着(14:53)

七座目 狩場山

 最後の山は刈場山である。ここも最短コースを考えたが、地形図を眺めていてどうしても気になっていた「木曽仲居」という名前に惹かれ、南からのアプローチとした。

 予定段階では、南西の突端から尾根に取り付く自分のルーファンの定石で行こうと考えていたが、改めてよくよく現地を眺めると、間伐で思いのほか見通しが良く、取り付き地点を変更した。

 先ほど登ってきた富士山がよく見える田んぼ脇の空き地に車を置かせて貰い、正面にある素朴な造りの鳥居をくぐる。小さいが端正な揃いの社には、神領の山に立ち入る事を告げる心持ちで軽く頭を下げた。

     
駐車地    帽子を取り一礼してから進む   

 過去のものとなった伐採作業道には構わず直登をしてみる。細かい荊棘はズボンの上から足を突き刺し、いささかこたえるが、それでも構わず上を目指してようやくピークへ届く。420mのこのピーク、地形図に表記のある木曽仲居がこのピークを指すものかどうかは不明だが、山名板も何も無いひっそりとした頂きであった。

     
伐採作業道跡に構わず直登してみる    細かい藪に手こずる    高みを目指す

 刈場山へ向けてS字のように進む尾根筋は枝打ちされた木が整然と立ち並び、神々しくもあるほど良く手入れされている。渡り廊下のような尾根を進むと程なく山頂へ届いた。

 山頂はまったく眺望が無いが、北斜面の藪を少し下ると思った以上の景色が広がる。山頂で直ちに踵を返した登山者も多かろう。だが、ここを見ると見ないとでは大違いだ。景色を保証されている有名な山ならどうということのないこの眺望も、踏み跡も道形も無いルートを辿って登った山で見るからこそ値千金なのだと深く思うのだ。

 空は未だ明るくとも、樹間から射す陽だけの植林地は暗くなるのも早い。明るさが失われかけた尾根に張る根は妙におどろおどろしく見えた。
 駐車地を目指して斜面を直滑降すると、パジェロミニの後ろに広がる田んぼの土手に野焼きの煙がむせぶ。里の夕方の風景である。

     
枝打ちされた美林を進む    山頂    山頂北側より
     
   植林地をひたすら戻る    ゴールは近い
概略コースタイム

駐車地発(15:01)-420mP(15:17)-山頂(15:29)-駐車地着(16:03)

2013年01月03日

古賀志山北尾根から中尾根周回

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。

ブログ仲間のケン坊さん、リンゴさんからいただいた情報で『古賀志山北尾根』の存在を知った。
 『古賀志山北尾根』は、宇都宮市が管理整備している北登山道 のことではなく、森林公園駐車場から北へ伸びる舗装林道長倉入線の右手尾根を登るコースである。
 かつて天狗鳥屋から下山する際に偶然このルートの一部を知ることがあったが、当時は山歩きを初めて日が浅く、道迷いが怖くてたまらず林道にエスケープした想い出が懐かしい。
 また、今回はかねてより気になっていた559mPの西北西にある『弁天岩(弁当岩)』を訪れるのも計画に組み入れた。

 森林公園駐車場に車を駐めて歩き出す。右手にある林道長倉入線に入りほんの少し進んだ所で右手にある道が取り付きである。
 道形もはっきりしており、迷うようなポイントは全く無い。また傾斜も緩く、里山散歩の雰囲気で進んでいく。

     
林道長倉入線へ入ってすぐ取り付く    雑木の自然林    時折松が交じる
     
里山らしい道が続く      

 349mPに到達するまでの間に、下から上がってくるしっかりした道形が2本見られた。手前の一本は北尾根のすぐ西の谷筋を登り、もう一本は北尾根と林道の内側にあるもう一筋の尾根を上がってきている模様。ここ古賀志山エリアでは、もはや尾根形ある所に踏跡必ずアリといった感じになっているようだ。

     
   林道長倉入線終点が見える    道はどこまでも広くしっかりとしている

 このコースの中で唯一大きく分岐する360mPに到着。進路がはっきり二択となり、北へ進む尾根と北西へ進む尾根に分かれる。どちらも道形はしっかりしているのでうっかりすると引き込まれ易いが、ここは北西の尾根が正解である。
 二つの尾根に挟まれた眼前の谷が地形図で読み取ったものよりかなり大きく感じられる。疎林で下がよく見えるので広く感じるようだ。読図の未熟さを思い知らされた。
 また、良く目を凝らすと谷の中に幾筋もの古い仕事道が付けられている。かつてこの谷を間伐した時期の名残なのだろう。

     
唯一の分岐点    分岐点より北へ降りる尾根   

 一旦高度を下げて林道鞍掛線を横断し、再び尾根筋を辿るようになるが、依然として道形ははっきりしている。

     
林道鞍掛線を横断      

 北に向かう小尾根を登りきり、進路が北西へと変わると伐採地に出た。意表を突かれた感じで展望が開けたので少し得をした気分になった。左から鞍掛尾根490mP~鞍掛山、更に右には雨乞山の三つのピークも行儀よく並んでいる。この角度、高度から至近距離で見る鞍掛山の山並みはなかなか新鮮である。

 伐採地の終端に到達すると、そこからは鞍掛尾根に突き上げる最後の登りになり斜度がきつくなる。ここまでが随分緩やかな登りだったので、多少息があがるがそれも僅かな区間。鞍掛尾根合流直前で落ち葉に隠された踏跡を見失うが、上を見て構わず直登。

 無事鞍掛尾根に乗ってしまえば、後は古賀志山までの一本尾根である。

     
伐採地より      
     
      鞍掛尾根に乗るとやがて盗人岩がよく見えるようになる

 元旦の早朝に登った540mPに到達。そこからの日光連山は、男体山だけが一人機嫌が良いようで、女峰山から赤薙山は雪雲に閉ざされている。

{540mP単独で登る場合は、南側の林道の最上部に車を置き、堰堤の所から鞍掛尾根に突き上げると30分で到達。下山は東の尾根を辿ると地図に表記の無い林道に出て、そこを下ればはじめに来た林道に合流。僅かに堰堤側に戻れば駐車地に到達するミニ周回が可能}

 岩を一箇所登って559mPがいよいよ近づく。今日は寄り道をして未踏の弁天岩を訪問するこにする。

 弁天岩の登りはなかなか高度感があるが、それでも東稜直下の岩場や中尾根取り付きの岩場に比べれば僅かな時間で通過出来る。落ち着いて通過すれば特に問題無いと思う。ただ、足のホールドに若干苦慮する箇所があるので小柄な人は苦戦するかも知れない。岩慣れした方なら問題は無いだろう。

 岩を登りきり、少し西側に行くと眺望の良い弁当岩という所へ出る。更に西へと続く道形があるが今日はここまでとし、岩の上で食事休憩とした。

     
今日の540mPからの日光連山    弁天岩にチャレンジ    弁当岩もなかなか風景良し!

 弁当岩からは日光連山方面の眺望も良いが、古賀志山側の最近伐採された尾根筋がその全容をあらわにしており、あちらもまた歩けるのではないかしら、と思わせる開放感がある。

 昼食の後は弁天岩を下り559mPへ。景色は弁当岩で堪能しているので、ここは立ち止まらずに通過する。後は中尾根を下るのみである。
 途中の496mPは何度か通過したことがあるが、カマボコ板に書いたような手製の山名板を見つけた。初めて見たのだが、以前からあったのだろうか。

     
弁当岩より、左,559mP 右,古賀志山    中尾根の途中から    こんな山名板発見

 中尾根は何度歩いても、変化良し眺望良しで、古賀志山ルートの中では一番好きなルートだ。途中、鞍掛山方面や今日歩いてきた北尾根もよく見える。

 フィニッシュは細野ダムを目指して落下傘よろしく岩場の急降下。途中、一眼レフを首に下げた若者が登ってきたが、岩角に筐体やレンズがぶつかって壊れないかと人ごとながら気が揉めた。

 年末年始の食い過ぎ消化山行のつもりだったが、終えて見ればなかなか充実の一日であった。食べ過ぎたものが充分こなれたかどうかは定かではないが、帰宅後の晩飯が美味くて腹八分目で無かったことは明らかである。

     
中尾根より見る鞍掛山    中尾根岩壁の向こうに古賀志山    あの高みから落下傘下山

概略コースタイム

駐車場発(08:02)-384mP(08:38)-分岐(08:46)-林道鞍掛線横断(9:04)-
伐採地(09:16)-鞍掛尾根へ合流(09:41)-540mP(10:41)-弁当岩(11:27)-
昼食休憩-行動再開(12:02)-559mP(12:11)-496mP(12:41)-
北登山道合流(13:42)-駐車場着(13:58)

{鞍掛尾根合流までの『北尾根』の区間は、読図トレーニングなどを行いながらゆっくり歩いた}

2013年01月01日

謹賀新年

 皆様、あけましておめでとうございます。
 今年も一年、山談義でよろしくお願いします。

 早速ですが、初日の出を見に鞍掛尾根に出かけてきました。
 ご来光の写真は相変わらずコンデジではうまく映らず、むしろ初日の出を受ける日光連山のほうを狙っていたので、満足のいく景色となりました。

 一昨年(平成23年)の大晦日の朝に偵察を行なっていたので一年越の計画実行(笑)となりましたが、駐車スペースにも困る程の森林公園駐車場の混雑からひっそり離れたポイントは狙い通りの眺望独り占め。贅沢な朝の散歩となりました。

2012年12月02日

家内と歩く栃木百名山

 多気山の眺望が開かれたというのを聞いてもう久しいが、すっかりご無沙汰になった地元の里山に、家内と散歩がてらでかける。

 前日に僅かな時間だか激しく降った雪は街なかでは儚くも消え去った。だが、日陰に残った降雪の跡を踏みながら登るとすっかり冬支度の趣。吹く風の冷たさも一層厳しいが、見事に展望が開けた城址にてお湯を沸かして昼食とした。

 眼下に拡がる宇都宮の市街地に我が家の姿や見ゆるか?肉眼では無理無理。

 自宅から山頂まで約40分。たまにはこんな山もよいものだ。

 

 
    御殿平より山頂へ向かう落ち葉の道
 
相変わらず眺望の無い山頂    
 
宇都宮市街地   大谷七名山、戸室山
 
    篠井富屋連峰、手前は男抱山

 

 
多気山神社へと降りる    
 
苔むす石塔    

2012年07月20日

リハビリ山行



-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。
鞍掛山の過去の記事
  2009年3月15日 鞍掛山から盗人岩
  2008年12月7日 鞍掛山から470m級Pを周回
  2007年1月8日 記念すべき第一歩「鞍掛山」

 夏の間は会社の休みが木曜金曜となる。ウィークディに休みになるならウィークディならではの過ごし方を楽しもうと思うが、やはり山とバイクがメインになってしまうものだ。

 梅雨開けが発表されたが、昔から梅雨明け十日と云われるこの時期は晴れが続く猛暑日となる可能性が高い。夏が訪れたことをはっきりと自然に教わるのだ。この時期は登山にしてもバイクツーリングにしても計画するのに最適なのである。ところが今年はどうだろう。気象庁の梅雨明け宣言はちょっと性急だったと思わせぶりな空模様がここ数日続く。

 昨年来の私事による忙しさもようやく一段落し、何はともあれ梅雨も開けた。さて、バイクの方は短距離ながらボチボチ乗り始めたのだが山の方はどうだろう。山歩きの体力は随分落ちている筈だから少しづつ慣らしていったほうがよい。そして、ここ数年ですっかりボロボロになった安物の山靴を更新した。

 いままで2足履き潰してきたが、いずれも量販店で1万円もしないトレッキングシューズもどきの安物。2足目はソールこそビブラムで丈夫だったが、サイドの布地の痛みが激しく穴が開く始末である。登山道の無い薮斜面の急登で酷使してきたせいか流石にくたびれ果てか感があり替えどきである。

 好日山荘のバーゲンがあったので、店員さんにアドバイスを受けながら自分としては大判振る舞いの2万弱の製品を手にした。選択のポイントは偏平足の自分の足型に合うもの。そしてソールのつま先部分が硬いもの。
 つま先の部分にこだわるのは、林床や落ち葉などの柔らかい急斜面を登る時につま先部分が柔らかいと足先とふくらはぎの筋肉に負担をかけていたことが多かったためである。今日はこの靴の慣らしとも言える山行になる。

 天気予報は終日曇で夜から雨。今までの自分の山行姿勢からすれば間違い無く出かけないコンデイションであるが、今日は景色云々より山歩きのリハビリと靴慣らしがメインである。多少腰が重かったのは正直なところだが、通過儀礼としての今日の登山をやらなければ、まばゆいばかりの風光溢れる夏山がやってこないようなそんな気がした。

     
山頂付近はガスが掛かっている    本日履きおろし    車は他に無し

 休日とてあまり人の姿の無い鞍掛山だが、今日は登山口に止めてある車も皆無。いつも以上に静かな山行になることだろう。

 登山道が左手の沢沿いに折れていく手前で右手の沢を渡り、岩を巻くようにして急登を重ねる。このコースは解説本や案内板には記述の無い裏コースだが、最近は歩く人も多いようで道形も鮮明だ。急登の連続にはいささか辟易するが、道標の1~2本も立てればハイキングコースとして案内しても良いのではとは思うくらいである。

 途中、岩に黄色のペンキで昌子岩と大書。犬のマーキングのようで少し幻滅する。少し先には同じ書体とペンキで井上某とも書かれてあった。

 蜘蛛の巣を払いのけながら進み、ピークを乗り越した先のとコルで、下から上がってくる反時計回りの正規登山道と接合する。あと一息で大岩だ。

 雨粒が静かに叩く葉音に耳を傾けて一息つく。自然の傘のお陰で体は濡れない。気まぐれなガスが少し遠ざかったのを見届けて最後の僅かな一投足。

 霧雨が去った大岩に立ち、霞む景色と涼しさに身を任せていると、こんな日に登ってくる物好きは自分一人ではないようだ。ガスっていて何も見えませんねと言う彼は空を仰いで天気を気にする。「古賀志山に向かいます」と去っていった。

 少し早いが自分はここでのんびりと昼食とした。いつも此処から見る景色は晴れた日のもの。乳白色のガスの切れ間に新里の集落がやっと見えるのもまた一興である。

     
如何なものか?    大岩より 予想どおりの景色   

 さぁ、下山はどうしよう。時間は充分にあるので鞍掛尾根を少し歩いて行くことにした。

 490m級ピークに登ると北側の景色もガスで視界がすこぶる悪い。観音寺山(猪倉城趾)のシルエットを見るのがやっとだ。手前の下猪倉370m級ピークの麓では昭和ケミカルの砕石機の音が大きい。週末は操業していなかったようで、此処を歩いていて音を聞いたのは今回が初めてである。丁度お昼のサイレンが鳴り響き、日常生活がそこにあることをあらためて実感する。

 下山ポイントの340mコルで一旦西側林道を偵察。林道鞍掛線を確認したところで撤退した。鬱蒼とした小薮だがしっとり濡れた緑もまた美しいものだ。
 春の鳥だとばかり思っていたウグイスが賑やかに鳴くコルを後にして、ここもまたクモの巣だらけの作業道をのんびりと下って行った。

     
夏向きメニュー    昭和ケミカルは操業中    340mコルより西へ探索
  
湿った緑も美しい    大量の丸太

概略コースタイム
駐車地発(10:22)-裏道分岐(10:35)-大岩(11:14)-休憩-出発(11:34)-490m級P(12:02)-
340mコル(12:26)-西側偵察撤退地点(12:37)-340mコル東側作業林道接合(12:54)-駐車地着(13:16)

2012年06月24日

久しぶりの山歩き

 3ヶ月ぶりの山歩きである。

 たった数時間の山歩き。たった3ヶ月のブランクなのに、もう歩き方を忘れてしまったのか。

 穏やかな尾根道、急な斜面。恐竜の背骨のようにゴツゴツした岩尾根も気をつけて進んでいく。
 長い鎖場は、初めてジャングルジムに登る幼児のようにドキドキしながら。

 森の匂いや鳥のさえずり、生命溢れる中を歩きながらどんどんいろんなことを思い出してくる。
 やはり山は素敵な場所だ。

2011年12月31日

2011年最後のモルゲンロート

 初日の出が年の始めを寿ぐものであれば、行く年をいとおしむ、その年最後のモルゲンロートも一度は見ておきたいと思った。

 場所は鞍掛尾根某所。東眺望があったかな?と思いきや、日の出もばっちり。再来年はご来光で登るのも良いだろう。

 朝日に染まる里山の姿にしばし心洗われる心持ちであった。


 拙ブログをご覧いただいている皆様へ。

 春先から、長期に渡って休日が自由に使えない状況でなかなか山行に及ぶことが叶いませんでした。回数は少なくても自分としては毎回全力で臨んだ山行であることは間違いありません。

 今の時代、長文で記事を書くブログというのはごく少数派であると思います。また、それが作り手の自己満足に偏りがちなのは拙ブログとて指摘を免れない事実です。

 願わくば、「こういう山好きな奴がいるんだな」という認識のもと、つたない写真を眺めるだけでも結構です。雰囲気を楽しんでいただければ幸いです。 

 それではみなさん、来年もよろしくお願いします。


2011年01月03日

ホームフィールドへご挨拶

男抱山 盗人岩

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 2011年最初の山歩きは里山に敬意を表して、男抱山盗人岩。ホントは単に時間が無かっただけなので手軽に廻れるこの二座となったのである。

 コースや山の様子は過去の記録を見ていただくとして、今回の重要なポイントは昼食にペペロンチーノを作ることである。

 とは言ってもちゃんと調理するのではなく、火の通りの良いサラダ用スパゲッティを茹でて、お湯を切ったらバターを絡めて一炒め。最後に秘密兵器のペペロンチーノの素ふりかけを混ぜればハイ、美味しいペペロンチーノの出来上がり。以前Mixi登山でご一緒した方が作っているのを見て真似したくなったのである。

 うーん。ガーリックの香ばしい香りが鼻をくすぐる。具材が無いのが玉に瑕だが、味は結構いけてる。カップラーメンの昼食は冬場の山登りの定番になっていたが、これで一つレパートリーが増えたのが嬉しい(笑)

     
登山口の緑が目に眩しい    ペペロンチーノ初挑戦?    うまそうにできた

男抱山、西峰の富士山より(多気山、雲雀鳥屋、雨乞山、古賀志山、鞍掛山、半蔵山)

 ペペロンチーノの後はイタリアンコーヒーといきたいが、いつものブルックスで我慢して出発。男抱山からは新設の道標に従い、北下山口を降りていく。

 すぐ、真北に下りる道形と東に降りるリボンコースに分岐。折角道標を作ったのだから、この分岐にも設置したほうがよかったのではないかと老婆心ながら思う。ちなみに真北に下りると尾根形を辿り中央登山口の周回路と合流するのだからこちらも間違いではないのだが、途中足が滑りやすい急斜面なので一般的に勧められない。

 だが、東に下りるルートも迷うことこそ無いが、結構な斜度と落ち葉で滑りやすい。おまけに下りきったところでテープの進路が不明瞭なのだ。里山慣れしていない人がこの道標に従うのはあまり薦められたものではないと思った。

     
男抱山より篠井連山    こんな道標が・・・    右が北下山道らしい

 ラストが曖昧な北下山道であったが、最後は適当に車道を目指して一旦R293へ出た。そのまま駐車地まで戻るのもつまらないので、途中の薮を越えながら戻ってやろう。

     
リボンがいざなう    結局今日もこういう所へ    薮・・・

 すぐ脇にR293が走っているし、おおよその地形は頭に入っている。地図をまったく見ずに感覚だけで歩いてみる。作業用のブル道を何度か跨ぎ上を目指す。標高差20m位を登り返して小ピークへ到達。そこに、石鳥居がある石祠を発見。赤飯が供えられていてしめ縄も真新しい。地元の方が今も手入れをしているのだ。裏の碑文は判読しがたいが、明治以前の年号であることは間違いない。ちなみに石鳥居のほうは明治時代と読み取れた。

     
そして、また薮    石鳥居の石祠発見   

 さて、後半は一旦移動して盗人岩へ。

 取り付きの鉄塔巡視路付近が最近伐採されていたのは知っていたが、入山するのは今日が初めてである。巡視路は後回しにして、まずは伐採地の頭頂部へ登る。

 いやぁ、なかなか絶景ではないか。鞍掛尾根の490mPの鋭利な姿が眼前に大きい。コルから431mPに登る稜線もはっきり見える。ちょっとした穴場のビューポイントだ。

 眺望を堪能した後は、伐採地上部を辿り樹林に入り紅白鉄塔を目指す。踏み跡薄い巡視路を登り詰め、鉄塔の裏手から一登りで盗人岩山頂尾根へ到達する。本日二度目のコーヒータイム。

     
盗人岩脇の伐採地    奥の樹林に向かう    お馴染み紅白の鉄塔基部

伐採地ビューポイントより


盗人岩、山頂尾根より(笹目倉山、鶏鳴山、城山、石ざき山、観音寺山)

 以前に比べて断然山名板が賑やかになった山頂から未踏の西尾根を下ってみると、岩が張り出したビューポイントがあった。盗人岩は一般的にあまり知られていないが、景色は侮れないのだ。

     
山名板が随分増えた    裏を見ると2009年12月    盗人岩から西に降りたポイントから

 進んでいくと踏み跡はすぐ落ち葉に封印され、斜面も急になってくる。適当な所でトラバースして鉄塔を脇に見ながら南を目指した。途中、なにやら怪しげな岩の洞窟あり。中を覗くと随分前に火を使ったような跡があった。山仕事の人が休憩に使ったのか、はたまた、盗人の一味が隠れ家としていたのか、真実は定かでない(笑)

     
西の尾根は岩が多い    洞窟か?    火を使った跡あり

2010年12月31日

干支の山、寅巳山


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。

 2010年最後の山歩きは、干支のトラの名前を冠した寅巳山である。

 遠く東京や大都市からも登山ツアーがこの地方の無名な里山に訪れていたというのだから驚きである。2010年にもう一座県内で脚光を浴びたのは、標高2010mの赤薙山。こちらは栃木の主峰群とも言える日光連山の一角をなす名山であるから頷ける気がする。

 さて、ツアーハイカーはともかくとして、地元の里山愛好家としては押さえておきたい一座だ。3年前の初夏、田植えも終わり緑が全山を覆いつくす時期に一度登っている。この時はガイドブックに従い、南側の野鹿台団地裏から周回するコースを取った。

 今回はどう登るか。

 日光街道を西走する時にいつも思っていた。篠井にある雷電山から寅巳山、さらにその西側の浅間山までつないで歩いたら面白いのではないかと。
 地形図を精査すると、雷電山と寅巳山間は一旦車道またぎにはなるが、そのほかはなんとかルートを引けそうな気がする。今回は現地の偵察をまったくしていないが、雷電山も寅巳山も共に一度は歩いているのでなんとかなるだろう。

 まずは、雷電山の東の麓にある神社手前の駐車スペースに車を置き出発。前回に続き今回も此処を登山口した。

 前日(12月30日)に県内は寒波の影響で広範囲に降雪があり、篠井付近では車道でも日陰で2センチくらい積もっているところがあった。雪を纏った薮は今回が初めてだが、これもまた一興であろう。東側に目をやると、寒々とした朝の空気の中、先般登った篠井連峰に冠雪した様子が珍しい。

 神社裏からの取り付きは特に踏み跡も無く、左手の植林帯の急登を行くか正面突破で薮を突っ切るかの二択である。右手は薮が濃くて谷状になっているのでパス。

     
雷電山取り付きの神社前    神社に参拝後裏手から失礼    雪の薮だぁ

 薮を払いながら登っていき、左手の植林帯の斜度が緩むのを見計らってそちらへ移動。暫く登ると予定ルートと歩行進路が一致した。境界杭が出る頃になると踏み跡も明瞭になってくる。どうやら地元の人達の歩く道に乗れたようである。

 このコースで唯一珍しい露岩を通過して、程なく寅巳山の頂上へ到達。ここまでは順調である。

     
   境界杭を追う    岩の露出が珍しい

 石祠と小さな梵天が置かれた山頂を辞して、北西へと伸びる明瞭な尾根を伝う。一旦コルから360m級Pへ登り返す予定であったが、ここで本日一回目の進路角ミス。言い訳をするとすれば、地形図の三角点位置と実際の三角点位置が50m程違いがあったことである。これはログを見て後で判ったことだが、現地ではこの違いに気づかずに思い違いをしたのである。尾根の派生を見極められずに予定より50m近くも余計に高度を下げて谷に出てしまった。よく見ると上方に稜線が繋がっているのが見える。現在地をしっかり再確認して、眼前の360m級Pへ直登することにした。

 無事予定ルートに戻ると境界杭も現れほっとする。まだまだ修行が足りないようである。

     
寅巳山頂上       下山がなかなか難しい
     
コースミスで一旦谷へ    登り返す途中で    境界杭を見るとほっとする

 327mPまでは小薮がうるさいが、ルート的には難しくない。だが、327mPから先は北に一旦降りて更に西へというつもりであったが、薮があまりにも濃いのでこれは断念。薮の手薄な所を選んで車道へ向かって降下する。

 予期せぬコースアウトで思いのほか時間を費やしてしまったが、無事車道へ出ることが出来た。次は向かい側の寅巳山に取り付くのだが、薮が濃くて文字通り"取り付くしまも無し"といった感じだ。車道を少し北上して、薮が切れかかっている箇所から強行突破だ。

     
流石にこの先はギブアップ    この奥から出てきて    こちらから寅巳山へ

 薮に入るとすぐ旧い作業道が現れた。出来るだけコイツを利用して楽をしながら登っていくと、ほぼ目論見のコースに乗ることが出来た。尾根形も明瞭になってきたな、と思っていたら再び尾根派生を見誤りコースアウト。今回は向かうべき稜線間に急斜面があるので無理をせずに降りてきた斜面を登り返した。

 どうみても地形図と現場の状況が一致しない(少なくとも自分にはそう見えた)が、よく見ると赤テープが一本見えた方向に尾根が延びているではないか。いやはやルーファンは難しいものだ。自分はまだまだ観察力と洞察力に欠けているなぁと痛感した。

 薮を払いのけながらも高度を上げていくと、目指す稜線はますます明瞭。踏み跡も一時的にではあるが濃くなってくる。だが、すぐに次の薮が待っている。

     
枝を払いのけ稜線目指す    大分歩き易くなってきた    一旦穏やかなるも薮が待っている

 標高400m地点あたりまで到達すると、まだ薮は残るものの道形がはっきりしてきた。雷電山同様、山頂の少し手前にある岩を通過すると程なくして寅巳山頂上である。

     
樹間から雷電山    山頂まであと少し    これまた希少な岩

 三年前は山頂がすっかり緑に覆われていてまったく眺望が得られなかった。だが落葉のこの季節、うっすらと周囲の景色が見えるのが嬉しい。

 今日の薮歩きは木に積もった雪が解けて森の中は雨降り状態であった。今考えるとカッパを着たほうがよかたっかなと後悔しているが、何とかヤッケで歩き通してしまった。

 山頂で遅い昼食をとっていると、濡れた体があっという間に冷えてきた。コースミスの連続で予定時間も押している。どうやら今回の薮歩きは自分の負けのようである。体力も時間もまだ余裕はあるが無理は禁物。ここは潔く負けを認めて来るべき新年に雪辱を期待しようではないか。
 後半の浅間山への縦走を諦め、所用で近くまで来ている家内に電話をかけた。野鹿台団地へ降り立ち、迎えにきた家内の車に収容されて2010年の山歩きは幕を閉じたのである。

     
寅巳山へ到着    南側、日光街道方面    下山途中より浅間山越しに日光方面

概略コースタイム
駐車地発(10:42)-雷電山(11:12)-コースアウトの谷(11:27)-車道(12:01)-
二回目コースアウト(12:32)-寅巳山(13:04)-昼食休憩-行動再開(13:44)-
野鹿台団地着(14:08)

2010年12月19日

篠井富屋連峰縦走



-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 ブログ仲間のQ造さんから篠井富屋連峰を歩かないかとお誘いを受けた。実際に顔を合わせるのは今日が初めてだが、集合場所のコンビニで待っていると、トランクのザックに荷物を入れている人あり。声をかけてみるとビンゴであった。

 さて、本日のコースは鬼山付近にパジェロミニをデポし、Q造さんの車で移動して子供の森から篠井連峰、富屋連峰へと縦走である。

 朝の、未だまばゆい光のもと、子供の森駐車場を出発。すぐ登山道に入ると、日差しが遮られピンと張り詰めたような空気の冷たさに身震いする。それもほんの僅か。歩を進めれば、たちまち体が温まりだしてくる。

 取り付きは男山直登コースを選んだ。谷詰めをして尾根に出るほうが効率的なのは判っていたが、やはり里山は初めに急登ありきが味わいだろう。

     
男山直登分岐    急登    枝越しの日光連山

 男山から榛名山へのピストン後、順序よく本山へ向かう。尾根の途中にある採掘口跡をQ造さんに教えていただいた。本山周辺は江戸時代から金やその他の鉱石が採取されていたということだが、斜面にぱっくりと口を開けたその様子を窺うと、穴の奥の闇に吸い込まれそうで不気味であった。

 本山に向けて更に進むと、南側の斜面を伐採した箇所へ出た。遠くから眺めると本山付近で広域に伐採されているなと常々思っていたが、大展望で半蔵山が大きく見えるのがハイカーには嬉しい。

     
   本山手前の採掘口跡    本山手前伐採地より

 本山よりの眺めは相変わらず素晴らしく、今日は好天も手伝い遠く那須まではっきりと見渡せる。やはりこういう低山は空気が綺麗な冬場が良いなと改めて認識する。

 山頂下にも採掘口跡があるという。Q造さんの案内で山頂西側の斜面を下りていくと、先ほど尾根で見たような割れ目がこちらにもある。もっと正確に言うと、本山山頂は大きな岩の上にあり、その岩が実は採掘されていたのだ。今まで数回山頂を踏んでいるが、教えて貰わなければまず気付くことは無いだろう。
 暗い採掘口を覗くと、結構深い感じがする。中がどうなっているのかは想像も出来ないが、いずれにせよある程度の規模の坑道や採掘された空間があると思うと実にミステリアスである。

 本山を後にして飯盛山方面へと進む。振り返ると、歩いてきた榛名山と男山が伐採地の向こうに良い形で並んでいる姿が見えた。

     
   本山直下の採掘口跡    榛名山と男山を振り返る

 せっかく稼いだ高度を惜しげもなく下げて一旦コルへ。中篠井への下山分岐を分けると、鉄塔脇から飯盛山への急登が始まる。4年前にこのコースを歩いた時は青息吐息であった。多少息はあがったが、今日は難なく登ることが出来た。

 少し時間が早かったが、残りの行程もまだ長い。飯盛山の山頂で昼食休憩をとることにした。
 葉が完全に落ちているこの季節は飯盛山も明るくて気持ちが良い。

 ここより富屋連峰へ向かう下りは、急斜面かつ足元が滑りやすくて強烈。ここを通過するのは今日で三度目だが、今回は比較的新しい頑強なロープが張られていて大助かりだ。最近はつとめてロープや鎖に頼らないで歩くようにしているが、此処だけは別格である。

     
静かな山道    飯盛山    急坂を下るQ造さん

 一旦舗装林道と交差して富屋連峰の縦走路に入る。ところが、ここでちょっと道間違い。というよりも、前回は方角を合わせて踏み跡を追っていったらコースに乗れたのに、今回は道形消失である。GPSを眺めても進路角は間違いない。目前の緩やかな斜面の小藪を突破すれば・・・などといつもの癖で考えていたら、車道まで引き返していたQ造さんが手招きをしている。
 戻ってみると、真新しい道標の矢印が道路沿いを指しているではないか。今日は人を案内するのだから、まず道標をちゃんと見ないといけない筈なのだが、まったく困り者の道案内人である。頭を掻いて反省しつつ車道を進むとやんぬるかな、ハイキングコースの入り口道標があった。

 特徴の無いだらだらした道を行くと段々と斜度がきつくなってくる。少し登り詰めた所にある大岩で道が方角修正をすると高舘山の西端に出た。ここから電車道のように真っ直ぐに山頂へ向かうが、僅かなこの距離が実に滑りやすい。粘土質の斜面に枯葉が堆積しているので、靴がうまくグリップしてくれない。

 小広い高舘山山頂は、4年前に比べると樹が茂ってしまったせいか眺望はいまひとつすっきりせず。
 先週鶏鳴山で会った人は、先ほど交差した車道に車を置き、早い時間に此処に登って朝食を食べてからのんびりと下山することがよくあると話していた。自分も次の春あたりは、ツェルトでも張り、陽が傾くまで一日中のんびり本を読んだりして過ごすのも面白いのではと思った。

 再び滑りやすい斜面をへっぴり腰になりながら下っていくと、やがて暗い植林帯へと飲み込まれていく。大網下山口方面への分岐を分けるあたりで一瞬樹林が切れるが、再び暗い森へ。僅かに登り返すと、一通過点として見落としてしまいそうな黒戸山の頂上である。

     
高館山手前大岩       黒戸山より来し方

 篠井、富屋の両連峰縦走もいよいよ大詰めである。ガイドブックでは残すところ兜山の一座のみ。今日はオプションで南東にある鬼山も登る。

 兜山と鬼山は、共に標高372mの三角点を有する。地形図では南側の372m峰が兜山、北の372m峰は無名とされているが、実際は国土地理院の誤記で、北側が兜山、南側が鬼山ということらしい。こういう珍しいケースの山を歩くのも、里山歩きの味わいでああろう。

 兜山はつい最近も散歩がてらに登った事があるが、前回無かった真新しいブル道が山頂直下まで作られていた。植林の山だからまったくもって致し方ない事ではあるが、ちょっぴり残念な思いである。

 オーラスの鬼山は道なしの直登である。もともとこの北斜面は自然林だが潅木も少なく難しい薮ではない。加えて充分に落葉しているのでコンディションはベストであろう。標高差約60mの直登であるが、よく眼を凝らすと縦横無尽にごく薄い踏み跡が交差している。動物が多い箇所でもないので獣道ではなくヒトが歩いた跡なのは間違いない。3年前に登った時とは明らかに雰囲気が違うのだ。登山ブームはこの超マイナーな山にも確実に届いているようであった。

           
     

今回歩いた篠井富屋連峰の全景

概略コースタイム
子供の森駐車場発(8:06)-男山直登コース分岐(8:21)-男山(8:52)-榛名山(9:12)-本山(9:44)-
中篠井下山口分岐(10:20)-飯盛山(10:42)-昼食休憩-行動再開(11:16)-車道交差(11:33)-
高舘山(12:06)-大網下山口分岐(12:20)-黒戸山(12:35)-兜山(12:56)-鬼山(13:15)-パジェロミニデポ地着(13:22)



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2010年09月26日

初秋の古賀志山

 台風一過の日曜日、とは言っても宇都宮は台風の"へり"が通過しただけだが、それでも天気予報は一点の曇りも無く晴れマーク。絶好の山日和ではあるが、彼岸の墓参りを老母と約束していた。

 ならば、朝のうちにやっつけ登山でもと思い、古賀志山へと向かった。コースは最短が取れる階段コース(ゲートのある林道最高標高店よりピストン)。階段だけを往復するのも芸が無いので、登りは途中の分岐から直登コースを使う。

 真夏の間はとても暑苦しくて近寄りがたかった里山も、ひんやりとした空気に包まれて秋の訪れを感じる。まばゆい光もどこか柔らかい。

 あっという間に山頂に立つことが出来た。山頂の広場には、小学生位の女の子とその父親が食事中であった。立ち止まると、すぐに汗が冷たくなってきて、暖かいものが美味しい季節到来だ。  湯気の立ち上るカップを持つ女の子の表情が、実に楽しそうで生き生きとしていた。


 山頂を後にして御岳山へと向かった。朝の景色はどうだろうか。

 素晴らしい眺望だ。二股山から鹿沼の山々。笹目倉と鶏鳴山。日光の山並みと高原山。
 我が栃木の山が勢ぞろい。横に目をやればうねうねと鞍掛尾根。向こうに半蔵山。

 男体山と女峰山の頂上付近にだけ雲が掛かっている。意地悪な天気の神様の仕業かな?

 しばし眺望に癒されて下山の途につくと、ひっそり静かな登山道もいつものハイカー達で賑わいはじめた。


2010年03月14日

ひと味違う羽黒山


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 先週、先々週と悪天候の週末ですっかりアウトドアも停滞してしまったが、待望の晴れマークに「雪」か「薮」かと思案をしていた。

 予想外の春の足音の早さにはいささか困惑するが、花の時期が近づいてきたことは山歩きをする者として歓迎である。今年はどんな花とまみえることが出来るのか、楽しみである。

 奥日光にスノーシューで雪収めも考えていたが、しばらく高い温度が続いていたので雪崩もあり得る。流石に単独では危険なので「雪」はパス。ならばと、薮山ネタ帳の未消化案件である上河内の羽黒山南東尾根を敢行することにした。

 羽黒山は山頂直下にある神社下まで車で上れるので自分も幾度となく訪れているが、実は歩いて登ったことが一度も無かった。今回は南東に長く延びる薮尾根を辿り、参道に合流して頂上を目指し、下山は石畳の参道を下るルートとした。

 南東の尾根の末端と高速道路が接する所にユッピーの森と銘うたれた看板があり、ここよりより少し入ると駐車場がある。脇には立派な水洗トイレもあるが、あまり訪れる人もいないような感じがするのだが。

     
今里より羽黒山全景       駐車地

 網の目のように良く整備された階段の遊歩道添いに上を目指す。毎度のこと、階段を嫌って脇の斜面を登っていくのだが、侮れない斜度でなかなかキツイ。アキレス腱が辛くなってきた頃には展望所に寄り道をして一休み。南側に長閑な田園風景が広がる。

     
まず遊歩道を行く    途中に展望所あり   

 更に階段を上り詰めて遊歩道最高点に到達。奥を見ると微かな踏み跡が薮の奥へと続いている。恐らく自分のような物好きが往来しているのだろう。

 薮は始めのうちこそ軽く特にうるさいこともないが、段々と荒れた植林地へと変わっていく。足の踏み場を捜しながら尾根形を辿っていくと伐採地に飛び出した。

     
遊歩道最高地点    軽く薮    荒れた植林地を行くと

 南西側に篠井富屋連峰が広がる眺望はすこぶるよろしい。人知れず歩く薮でこんな景色に出会えた時は、砂浜で一粒のダイヤを見つけたような気分になる。これだから薮山はやめられない。

 好眺望の伐採地を後にして自然林の軽い薮を進む。所々獣道が見え隠れする程度だが密集した薮ではないので苦労は無い。全般的に尾根の西側は植林地、東側は自然林といった感じだ。

 331P地点に一旦登り詰め、北北東の緩い尾根を降下する積もりだったが、ここは薮が濃さそうな感じなので一旦植林帯へ下巻きをしてから針路補正をした。

     
伐採地から好眺望    再び軽い薮を行く    一旦下巻きをする

 鞍部より尾根の中心を拾っていくと自然と340m級の双耳ピークの一つめに到達した。ここから真西に下り、もう一つの340m級Pへ向かえば良いのだが、四方を薮に囲われて少しきつくなってきた。GPSとコンパスと地図を総動員してしばし考察。慎重に針路維持をしながら突破だ。もっとも尾根をどちらへ外してもすぐ判るような単純な地形だからさして心配もないのだが。

 西側の双耳ピークからはにわかに道形がはっきりして踏み跡も濃い。快調に高度を下げていくとやがて東から登ってくる参道と合流する。どうやら本日の薮コースはあっけなく終了のようである。

     
針路維持の為に突破    参道と合流   

 あとは石畳の参道をのんびりと登ればよい。所々に丁目石があるが、中には崩壊してしまっているものもある。パジェロミニならやすやすと登れてしまうほど道幅が広いが、このように広い道を作る必要があるほどかつては人の往来があったのだろうか。苔むした路傍の石のみぞ知る過去の賑わいである。

 石畳を登り詰めると一旦車道を跨ぎカラッソ坂へ。脇に階段があしらえてあるが、ここもあえて急斜面を進んでいく。斜面側にロープが張られているが頼らずにもう一踏ん張り。美味い飯を食べるには、もう少し苦労しないと。

     
石畳の参道    丁目石    車道を跨ぎカラッソ坂

 なかなかキツイな、と息を荒げて登り詰めた茶屋脇からいつのも展望小屋前を通り過ぎる。車で上がってきた家族連れの子供の声がはしゃいでいる様子が聞こえてきた。

 訪れた時は展望小屋でしばし景色に見入るのが習慣だが、今日は目指す山頂まであと少し。脇目もふらずに神社の石段を登っていく。山に登らなかった頃はこの石段でさえ息を弾ませ汗を滲ませたものだが、最近は大分脚力がついたのだろう。こんな所にやってくるのに、雨具から非常時グッズや予備の食糧と水、果てはツェルトまで携行のフル装備でパンパンの重いザックを背負っても幾らか余裕を残して歩いている自分に少し嬉しくなった。

     
茶屋脇の展望台    羽黒山神社石段へ   

 神社脇から先は、今回初めて歩く領域である。境内に続くコンクリート道路はいただけないが、ここを少し下ると西側に眺望が広がる見晴らし地があり、更にその少し先に道路に埋まった三角点があった。山頂である。

 予想はしていたが、流石に興ざめは否めない。まぁ、今日の目的は南東尾根攻略だったから山頂はオマケと思うことにしよう。

 北側突端にある蜜嶽神社を見てUターン。見晴らし地で昼食とした。

 ここからの景色は篠井富屋連峰を一望し、奥手にはドシッと日光連山。なかなか見応えのあるものだ。帰りに判ったのだが、神社の階段脇の車両止めのコンクリート道をゆるゆる行けばあっという間にここに出ることが出来る。山歩きが嫌いな人をお弁当に誘うのも良いかも知れない。また季節によっては夕日を眺めるのも一興であろう。

     
コンクリートに三角点       山頂手前の眺望地より

 往路のピストンで下っていく道は、樹の切れ間から差し込む淡い光に春を感じる。一足先に芽吹いた若葉の青さも初々しくて鮮やかである。頬をなぜる柔らかな風に別れを告げると参道は谷間へと差し掛かって行った。

     
参道を下山する      

 やがて、朱に塗られた鳥居が下界との境を仕切る頃になるとその先に車道が見えてくる。石鳥居をくぐれば本日のルートは全て終了である。

     
      参道入り口

 石鳥居から1Km程度の車道歩きで駐車地へ復帰するが、始めの取り付き区間で遊歩道に気を取られて235.8m三角点を踏んでいなかったことに気づいた。少し登り返して階段脇から薮に入ると、そこは紅白の棒がたった一本刺さっただけの三角点であった。

 かなり早い時間に下山してしまったので帰りは少し寄り道をしようと思い、今里から西走して大網へ抜けるべく冬室の集落を走る。向かう正面にはその名も字の如し、飯盛山がそびえ立つ。このまま林道大畑線を進むと丁度飯盛山南東の裾を越えるような感じになる。

     
235.8mP    冬室より西走す   

 峠に到達すると何となく消化不良の足が疼く。どれ、一気に150mの急登で汗を流してくるかぁ。

 登り詰めた山頂から眺めると、早春の穏やかな陽差しを浴びた羽黒山がそこに佇んでいた。

     
   転げるような急坂    飯盛山から羽黒山

概略コースタイム
駐車場発(10:05)-ユッピーの森最深部(10:15)-伐採地(10:29)-331mP(10:37)-
参道と合流(11:00)-カラッソ坂(11:08)-羽黒山神社(11:18)-蜜嶽神社(11:25)-
眺望地(11:30)-昼食休憩-再出発(12:07)-参道と薮道合流点(12:26)-
参道入口(12:54)-235.8mP(13:07)-駐車場着(13:10)

2010年01月23日

半蔵山北側を歩く


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 宇都宮市北西部に横たわる半蔵山。前回は楽を決め込み、山頂直下に車をデポして南西へと縦走、鞍掛峠へと抜けたが、歩き残しの北半分と林道が複数入り組んでいる西側の領域が気になっていた。

 半蔵山は里山にしては比較的スケールが大きいので「道無きアプローチ」もいろいろと考えられる。薮山歩きの素材としては楽しみな山なのだ。

 今回は、日光街道沿いの上町集落の神社から入山し、半蔵山の北東を登っていく。明瞭な尾根が無いため、地図を見ていて難易度が高いなと常々思っていたが、先般、数度にわたるオフロードバイクによる偵察を重ね、ようやくここをやる目処が付いたのである。

 取り付きより半蔵山の北の肩に到達したら、今度は北西に方向転換して425mPを踏み一旦石那田へ下山。林道を使い山頂の西側にアプローチしてから谷を詰める。半蔵山主稜線へ復帰した後、男抱山へ下っていくのが今回のコースである。

 家内に出動を要請し、2台で自宅を出発した。朝の気温は低いが、これから向かうコースへの緊張感で寒さをあまり感じない。
 下山地である男抱山登山口にパジェロミニを駐め、ここから更に取り付き地の上町集落に向かい鳥居の前で車から落として貰った。まばゆい陽差しの中いざ出発である。

 日光宇都宮道と平行する階段を登っていく。結構距離があるが、登り詰めると突き当たりに鳥居があり、社殿があった。名前など一切無いのがかえってミステリアスな雰囲気を醸し出しているが、良く手入れされた周囲は神事の日には信仰の人によって賑わうのだろう。

     
取付地の鳥居    まずは石段    社殿の前の鳥居

 静かな社殿脇からは、落ち葉を踏みしめながら小尾根を登っていく。さぁ今日のルーファンの首尾や如何に。

 初めのうちは歩きやすかったが、やがて細かい薮が出るようになってきた。特に濃い訳ではないので問題は無い。基本的に植林地なので、往時は山仕事の人が入っていたのだろうが、うち捨てられた倒木の古さやあまり手入れされていない枝ぶりからすると最近は訪れる人も絶えて久しい雰囲気である。無秩序に散らかる倒木を避けながらザクザクと進んでいくと、忽然と鉄塔が視界に入ってきた。(鉄塔1)

     
社殿脇から登っていく    濃くは無いがうるさい薮    突然鉄塔現る(鉄塔1)

 このあたりは傾斜が緩いので、針路角をミスする可能性が充分考えられた。GPSと地図を頻繁に出して針路の確保に努めるが、踏み跡は皆無。油断は禁物である。

 やがて光が差しこむようになると東側に開けた伐採地に出た。樹林歩きに馴れた目にはひときわ太陽の光が眩しく感じられる。

 伐採地を過ぎると、一旦下から上がってくる鉄塔巡視路に合わせるが、ここを登りきってしまうと目的の方角に向かうためには急斜面超えになってしまうことを先日の偵察で確認していたので、小さな谷を渡り隣の山腹に取り付いた。薮の薄い所を狙って若干頑張るとまた植林帯が拡がる。足元がフカフカした急斜面は非常に歩きにくい。

     
明るくなってくると・・・    伐採地に出た    歩きやすい所を選んで

 前方に苔むした岩が露出しているピークが現れた。向かうべき針路角と若干ずれるが、こんな所にひっそりと鎮座するピークに人知れず佇むのも一興だろうと思い、立ち寄る事にした。

 いざ岩に立って見るとさほど景色が良い訳ではない。枝越しに篠井連峰が見えるだけである。だが、何となく満たされた気分、そう、隠れ家を見つけた子供のような気持ち。

 更に登っていくと再び伐採地へ着くが、ここからの北側の眺望はなかなか素晴らしい。正直今回は景色をまったく期待していなかっただけに、予想外の眺望に思わず足を止めて長々と休憩をした。高原山も綺麗だが、手前に見える篠井連峰の榛名山や男山、本山をこの角度から見るのも新鮮だ。また、真正面には先日登った高へら山もその姿を全て見せている。

     
苔むした岩    岩の上から篠井連峰    好眺望!

 登りを再開したが、再び下から上がってきた別な古い作業道に一旦合わせる。そろそろ針路角がずれてきたなと思った頃に、良いタイミングで道が折れるも山を巻くのみで上に上がっていく様子が無い。どこかで見切りを付けなければまずいと思うが、上を見るとかなり濃い薮が覆っていて気乗りしない。この辺かこの辺かと窺いながら先に行くとやっと薮が切れた斜面が見つかる。何故かここだけ上まで電車道のように薮が切れているのだ。

 相変わらず歩きにくい急斜面の直登に喘ぐ。呼吸を整える小休止を数回経て平坦地に到着。半蔵山の北の肩に到着だ。

 ここからは北西に針路変更だが、地図上でもはっきりとした尾根線を行くのでルートの心配はほぼない。障害物があれば巻けば良いし、とにかく尾根キープで行けば問題は無さそうだ。

 こちらのルートはネットで報告もありそれなりに歩かれているようだ。踏み跡もあるし所々赤ペンキもあるので、先ほどまでの登りとは段違いの気楽さだ。明るい尾根を下るとやがて鉄塔に到達した。そこから男体山が良く見える。

     
薮を嫌うと突破口が開けた    明るい尾根    鉄塔2より男体山

 更に北西へ下り鞍部から425mPへ登り返す。写真で見ると大したことが無さそうだが、落ち葉で足が滑り易い急登。時折薄いが薮も邪魔をしてなかなか骨が折れる。

 大きく肩で息を切りながら登り詰めた425mPは眺望も何も無し。水を一口飲んで次を急ぐ。小広いピークからどうやって西へ進むのかと周囲を窺うと、足元に急降下があってその先に踏み跡が続く。これを丹念に辿っていくとやがて正面に紅白の鉄塔が見えてきた。

     
425Pへの登り    (同左)軽い薮の急登    425Pから西へ下る

 他のネット記事では、この鉄塔から先は巡視路を使って石那田へ降りているようである。先日の偵察でこの巡視路も検討したが今回自分はここを降りずに更に西の尾根を辿る。

 鉄塔を過ぎた頃一旦尾根形を見失う。ここもGPSと地図でしつこい程チェックを重ねながら進んで行くと薮の中にまた踏み跡を見つけた。鉄塔付近で失った踏み跡なのか、或いは違う目的の道と合流したのか。

 大分高度が下がってきた頃木造の祠と出くわす。もはや生活圏まで下ってきたようである。

     
紅白鉄塔    薮だが足元の踏み跡アリ    木造の祠

 舗装林道が下に見えてきた。本日の第一区間は緊張のルートファインディングであった。特に前半の半蔵山北の肩までは、なかなか難しい局面の連続であったが故に達成感も大きい。

 林道を離れ一旦車道を歩く。次なる取り付き点へ1Km強の移動である。

     
舗装林道が見えてきた    林道を一旦出る    次なる林道へ向けて車道歩き

 先ほどの紅白鉄塔を傍らに見ながら南に進み、やがて舗装林道へと吸い込まれていく。先日の偵察では支線の隅々まで調査済みなので、進むべき「羽黒山登山口」までは間違う筈がないのだが、緊張が途切れてぼっとしていたのだろうか。うっかり別の支線に間違えて入ってしまい行き止まりだ。脇の高みを超えれば目的の支線に、或いは眼前のピークを乗り越せば方角的には目的の登山口に到達出来るかも知れないという予想はしたが、家に残してきた行動予定線図以外のルートは取るべきではないだろう。すごすごと来た道を戻り分岐から再度林道を進んだ。

     
先程の紅白鉄塔    林道分岐    同左

 支線終点に「羽黒山登山口」とプレートがある。ここから谷詰めで、半蔵山と南西にある493mPの東方約200mにあるピーク、通称羽黒山に向かうことが出来るらしい。

 登山口と銘打つ位だから途中に道標が幾つかあるのだろうと思っていたが、見事にその期待は裏切られたようである。案内されたのは"登山口"という事実だけで、どこをどう登ったら良いのやら、どこでもお好きにどうそといった感じである。

 一応こんな時の為に想定ルートを考えていたので、まずは方角と一致した作業用のブル道を登る。上の方に行くと歩き辛くなってきていよいよ谷も詰まってきた。羽黒山へ向かう稜線は恐らく谷の右手を登らないといけないが、少し斜度もきつく稜線までの距離はかなりある。安全をとるならば左手を登り支尾根から主稜線に合流したほうがベターなような気がする。だが左の支尾根は、上の方に大きな岩が見えるのが気になった。

     
羽黒山登山口    ブル道を辿る    谷詰めになるが・・・

 しばし思案し、左の支尾根に取り付くことにした。微かであるが踏み跡が感じられる。他の人もやはりここで同じように考えたのだろうか。

 砂利で滑る足元に気を付けて小尾根によじ登ると、一直線上の真上に例の岩が待ちかまえていた。だが良く見ると岩の間が割れていて通過出来そうだ。ここが絶望的なら、一旦谷に戻り少し低い所から右の尾根を狙おうと思っていたので一安心である。

 岩に近づくと驚いた事にトラロープが下がっていた。もはや此処が羽黒山へのデフォルトルートであることは疑う余地も無い。ロープが無くても頑張れば通過出来るが、ありがたく補助として利用させていただいた。

     
左の小尾根に乗って    岩の間にルートアリ    先人のトラロープ

 トラロープの岩場を過ぎると、直ぐ半蔵山の主稜線に出ることが出来た。上から見ると何も目印が無いので、下りに使うには至難の業であろう。

 この区間は自宅に帰ってから落ち着いて良く地図を見返した。「羽黒山登山口」で左右の尾根のどちらかに、多少の藪漕ぎを辞さずに取り付いてしまえばスムースに登れたのではと反省。だが眼前に道があるとやはりそちらを歩いてしまう判断力の弱さがまだまだ払拭出来ていないようである。これは今後も課題であろう。

 主稜線から幾らか登っていき半蔵山頂上に到着。今日は踏ん張り続けの直登急登で前傾姿勢が多かったせいだろうか、珍しくかかとが靴に当たって痛い。前回の赤岩山に続いて新しい靴での2回目の山行になるが、概ね靴の調子は良好。当面、足との良い付き合いが期待できそうだ。

 景色のあまり良くない山頂であるが、時間なのでここで昼食休憩とした。幾らか雲が出てきて急に気温が下がってきた。汗が冷たいので上着を重ねて切り株に腰を降ろして静かな食事をとる。

 眼前には先ほど通過してきた425mPとその左手に紅白の鉄塔が見える。改めてぐるりと周回してきたことを実感した。

     
半蔵山南西主稜線に出る    半蔵山頂上    先ほどの425Pと紅白鉄塔

 山頂からは一旦舗装の林道、牛沢天王寺線へ出る。50m程で「男抱山へ」の道標を見てここから再び山に入る。半蔵山から男抱山までの区間はずっと歩きたいと思っていたが、単発で歩くのもちょっと物足りない気がしていたのでなかなか歩かずじまいであった。今日は好機である。

 下り始めるとまず大きな岩の出現に驚く。その名も大岩山。岩の地肌を見ると細かいノミの跡のようなものが多数見られる。誰がいつ、何の為に掘削したのかは知る由もないが、興味深い岩である。

 この後も途中途中に巨大岩場がルート脇にあり、飽きることがない。

     
一旦、林道牛沢天王寺線に出る    大岩山    同左

 最近整備された道標が所々に見られるが、ハイキングコースと言うにはややワイルド。途中植林地の作業道なども交錯し、山馴れした人でないと道迷いする可能性も高いが、概ね安心感のあるルートをつたい、男抱山の鞍部に到着した。

 犬を散歩させている夫婦に遭遇。本日初めてのヒトとの出会いだ。このあと男抱山東峰の富士山に到着すると、10人くらいのおばさん達が山頂の岩に陣取って、おしゃべりとお菓子に余念が無い。無愛想な中年男は写真を一枚だけ撮ってそそくさと下山。立派な木造プレートが最近設置された男抱山登山口に駐まっている愛車を見て、長かった緊張の一日が無事終わった事を知ったのである。

     
男抱山へ向かう    男抱富士より鞍掛山と鞍掛尾根    男抱山登山口へ到着

概略コースタイム
取付地の神社(9:29)-鉄塔1(9:50)-伐採地(10:00)-苔むした岩(10:16)-高原山眺望(10:23)-
半蔵山北の肩(10:39)-鉄塔2(10:46)-425mP(11:02)-紅白鉄塔(11:20)-木造の祠(11:30)-
林道着地(11:32)-道間違いで行き止まり(11:53)-羽黒山登山口(12:07)-半蔵山主稜線(12:26)-
半蔵山頂上着(12:41)-昼食休憩-行動再開(13:13)-林道牛沢天王寺線と合流(13:24)-大岩山(13:27)-
男抱山鞍部(14:13)-男抱山西峰富士山(14:18)-男抱山登山口着(14:44)

2010年01月03日

赤岩山



-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 2010年の歩き初めは、何となく歩き残していた古賀志山の西域である赤岩山

 年明け早々、くたびれきったトレッキングシューズを買い換えたので試し履きも兼ねた山行となった。

 ルートは通称西登山口から風雷神社経由で赤岩山主稜線に乗り、尾根の西端にある猿岩(432.7m四等三角点)へのピストンの後、赤岩山を踏み御岳山より滝コースにて下山とした。

 古賀志山と赤岩山の間は岩尾根で、場所によってはザイル確保が必要という記述がガイドブックにあるが、実際に歩いた人の話だと中尾根や東陵が歩けていればOKだという。まぁ危なければ撤退すれば良いだろう。あくまで今日は靴慣らしなのだから。

 城山西小より少し先に宇都宮市で設置した駐車場があるが、混雑期以外ここに駐める人は数少ない。みな林道の途中のスペースに路駐しているようだ。自分も下山地を考慮して少し先の空きスペースに駐めた。舗装林道を西へ暫く歩くとパラグライダーの発進所(低いところにあるほう)を左に見る。程なく風雷神社の石鳥居に到着。ここが西登山口となる。

 ゴーロとまではいかないが、小さめの石が目立ついささか歩きづらい登山道を行く。周囲は暗く鬱蒼としているが道はしっかりしている。やがて風雷神社の赤い鉄の鳥居の所へ着いた。暑くなってきたので一枚脱いで一息ついてから鳥居の先の急斜面を登ると、岩棚にひっそりと石祠が奉られていた。霊験あらたかな雰囲気とはまさにこのことか。岩のなせるわざなのか、えもいえぬ威圧感のようなものを感じた。

     
風雷神社登山口鳥居    風雷神社鳥居    岩棚にひっそりと石祠

 左右を岩に囲まれた谷を急登していく。先ほどの鳥居の所で後ろから来た登山者に先行されたが、足が達者な人であっという間に背中が見えなくなってしまった。

 自分としてはこの程度の急登なら呼吸を乱さず一気に登り切りたいという気概はあるが、まだまだそんな体力とは程遠いようである。

 杉木立の合間から光が差してきた。稜線へ出るのかと思ったが、ハングライダー用の索道ルートであった。上を見るとハングライダーの発進所がある。折良く索道を遊園地の列車のような車両が上がってきた。乗客はめいめいに大きな荷物(ハングライダー)を抱えて降り立ち、床に幌を拡げる。一人が離陸するのを見届けて自分も登山道に戻ることにした。

     
谷を急登    ハングライダーの索道    TAKE OFF!

 登山道に戻る・・・筈だったのだが踏み跡が見つからない。上を見ると主稜線までは標高差数十m程度といったところか。ままよといつもの薮山よろしく直登す。新しい靴は実に素晴らしい。今までの靴はヘタリが激しくて、こういった所を歩くと全く踏ん張りが効かなかった。急斜面をトラバースする時などは、スキーの斜滑降のように谷足のエッジが効かないと大変だ。だが新しい靴はキチっと足をホールドしてくれてそれでいて柔軟性もある。ソールもビブラムでこれで1万円以下(在庫処分特価)とは実にお買い得であった。あとは耐久性だがこればかりは使い込まないと判らない。まぁ3年もてば御の字だろう。いつかしっかりした靴も欲しいところだが、もう少しいろいろ試してみたい気もする。

 赤岩山の肩に辿り着くと、ひとまず西方を目指し高度を下げる。西端にある猿岩までのピストンだ。途中60歳台の単独男性と会う。話によると鉄塔巡視路を使ってアプローチして直接猿岩に到達したという。西側の市境あたりから上がってきたのだろうか。この先1つめのピークである篭岩がやや厳しく、2つめが猿岩であるとの情報を頂いた。

 どんどん高度を下げていくと、成る程、一つめの大きな岩(篭岩)がここを通すものかとばかりに立ちはだかっている。左に巻いている道があるのでこれを少し歩いたが、高度を下げる一方。戻って岩をよく見ると、ちゃんと登路はある。慎重に手付き足付きを探りながら無事乗り越すと更に向こうにピークが見える。あそこが猿岩だろう。もう少しである。

 最後の急登を登りきると、最初に三角点の石が目に入って次に男体山。おや、最近似たような景色が・・・そう、船生の富士山と同じパターンだ。

 山頂からは、今自分が登ってきた道、そして北と南に、あわせて3ルートの明瞭な踏み跡があった。猿岩直登ルートがあるのだろうか。そういえば先ほどすれ違った男性もこの2本の踏み跡のどちらかを登ってきた訳だから、自分も次回の猿岩攻略が断然楽しみになるというものだ。

 下(右)写真をご覧の方はお気づきかと思うが、SHCカワスミさんの山名板は間違いのようである。もっとも無名峰なので明確な定義があるわけではないものの、四等三角点のある432.7mPは通称『猿岩』、その東側約100mにある岩峰が通称『篭岩』とする情報が多い。したがってカワスミさんは、『猿岩』ピークに『篭岩』の山名板を付けてしまったようだ。

 更に分県版「栃木県の山」では、一番西から篭岩・432.7mP・猿岩と記述しているが、これも全く違うのではと思うが。

     
篭岩ピーク    猿岩山頂   

 急降下と難しい岩場の連続でいささか時間が掛かったのか、時計を見ると丁度12時だ。予定ではもう少し赤岩山寄りで食事をする筈であったが、この静かなピークでゆっくり休むのも良いだろう。腰を下ろしてバーナーに火を付ける。

 眺望は西側を覆っている木のせいで今一つ。まぁ独り占めの景色だから良しとしよう。

 長時間休んでいると体が冷えてしまうので早々に撤収。赤岩山へと戻る。来るときは急降下だったから、登り返しはなかなかキツイ。

     
猿岩より岩崎444mP    同左 紫雲山方面    篭岩へ登り返す

 赤岩山の山頂は木に覆われ眺望は全く無し。そして、ここにある山名板もまた間違いがある。標高が520mと記されているが、地形図上では535mとなっている。

 山頂東側にあるハングライダー発進所跡地からは南側と東への眺望が開ける。これから向かう546mPとその手前の岩峰がずんぐりととしていて壮観だ。成る程これを越えていくのか。やっと赤岩山の正体を見たような思いになった。

 全てが岩尾根ではないのでさして緊張することもないが、所々にある岩超えを注意深く行けばさして危険では無い。546mP先に一箇所だけ垂直に近い岩があったが、それもせいぜい高さにして5~6m程度か。ホールドは充分にあるのでロープがあっても使わないで充分登れる。ただ、背の低い人、体重が重い人(身長や体力比)、高い所が苦手な人は、やはり途中で進退窮まる可能性も否めない。メンバーのレベルが多岐にわたる場合は、ザイルで確保したほうが良い場所も確かにあった。

     
赤岩山頂上    ずんぐりとした546mP    見慣れない大きな鳥が飛んでいた

 546mPの手前の岩峰を過ぎると黒く焦げた木が見られるようになる。07年2月の山火事の跡のようだ。広範囲に焼けた感じがあまりしないが、あの時は数日間に渡ってヘリで散水し、なかなか消火しなかったような記憶がある。

 546mPから下ると正面に御岳山が見え、稜線縦走も終盤に近いことを知る。垂直な岩場を一つ乗り越すとあとは穏やかな道になり一投足で眺望の御岳山へ到着した。

     
山火事の跡    546mP付近から御岳山方面    岩場の多い尾根

 来し方の赤岩山、篭岩方面から鞍掛尾根までの相変わらずの好眺望である。眼前の岩崎444mPのピーク肩が良く見える。昨年の春の岩崎5峰周回の際にそこで食事をしながらこちら側を眺めていたのがつい昨日のようである。

 良く言われる古賀志山馬蹄形縦走では、自分が歩いた岩崎5峰の一部もそのルート上にある。問題は559mPから西へどこを降りて383mPに到達するかだ。383mPから444mPまでは既に歩いているので問題無し。444mPからは西ないしは南西に降りないと馬蹄形にならないのだが、上から見るとなかなか一筋縄でないように見受けられる。もう少し情報を揃えて来シーズン辺りには実現したいところだ。

     
篭岩、赤岩山方面    岩崎444mP、奥は日光    鞍掛尾根、奥は高原山

 昼食時は大変賑わう御岳山だが、時間を外しているので静かなものだ。夫婦連れのハイカーが去った後、一人になってしまった山頂を自分もまた辞する。

 下山は御岳山脇の階段を降りた所で南へ下降。大きな岩をいくつも背にしながら谷を下っていく、通称『滝コース』を使って新年の初山行を終えた。

 回を分けたがこれで半蔵山から赤岩山西端までを全て歩いた事になる。(半蔵山北側日光街道までは未踏)
 改めて古賀志山群を振り返ってみると、赤岩山から猿岩までは人影まばらの奥座敷、古賀志連峰の離れといった趣。起伏に富み岩の厳しさと自然ななままの雰囲気が色濃く、なかなか良いエリアである。

 赤岩山から御岳山はとにかく岩に次ぐ岩。案外ハイカーも多いので静かさではイマイチだが、単純に岩超えが楽しい箇所。
 御岳山から古賀志山までは、これは言わずと知れた古賀志山銀座である。その北559mPももはや銀座の仲間入りと言ってよいくらいに賑わっている。
 鞍掛尾根は起伏が多いので結構体力を使うが、コース自体は難しくない。もっとも、最近ネットで調べていると、猿岩から尾根に取り付き、赤岩山・古賀志山・559・鞍掛尾根・鞍掛山・半蔵山とずっと繋いで古賀志連峰縦走とする報告が見られる。今の自分には体力的にほぼ不可能だが、近隣の宇都宮市民ハイカーなら一度は歩いてみたいと夢見る縦走ではないだろうか。

           
駐車地帰着      

概略コースタイム
駐車地発(10:19)-西登山口(10:38)-風雷神社(10:54)-ハングライダー発進所(11:24)-
赤岩山肩(11:31)-篭岩(11:50)-猿岩着(11:59)-昼食休憩-出発(12:31)-篭岩(12:39)-
赤岩山(12:55)-546mP(13:33)-御岳山(13:51)-ロッククライミング場脇(14:21)-駐車地着(14:36)

2009年12月13日

高へら山と富士山(船生)


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 高へら山は日光街道から船生方面へ抜ける県道を走る時にいつも横目で眺めていた山だった。少し南側にある人気のハイキングスポット、篠井富屋連峰とは趣を異にする静かな里山である。
 一般的な登山道は無いが、地図を眺めると山頂からそれぞれ北西、南東に延びる尾根が特徴的である。今回は北西の尾根を辿ってみることにした。

 本日の行動は午前中の数時間となるが、時間が余ったら船生にある富士山にも足を伸ばす予定だ。

 高へら山のアプローチは、ネットで記録のある山頂西側から直登するコースが考えられる。これだといささか強引過ぎて面白みに欠ける気がするので、あくまで尾根狙いとし北西尾根を選んだ。林道の奥は偵察が不十分故に駐車地が心配だったが、車が置けなかった場合は手前側の既知スペースに駐め西面直登でも仕方が無いだろうという気持ちで臨む。

 やんぬるかな、狭い林道を進むと想定していた尾根末端付近で駐車可能なスペースがあった。恐らく山仕事の人が車を置きやすいように作ったのだろう。

 支度を済ませ裏手の薮から取り付く。枯れ草の平坦部からすぐに突き上げるように登っていくが、思った以上に足元が滑らないので楽に高度を稼げる。やがて境界石が出てくると幾らか斜度が緩んできた。

 尾根上は広葉樹の自然林である。葉もすっかりと落ちた今の季節は軽く枝を払って歩くことが出来るが、春から秋にかけては遠慮したいところだろう。切り株や倒木などの仕事の跡はいずれも古く、あまり人が入っていない様子は一目瞭然である。

     
駐車地と取り付き    尾根末端    境界石

 山頂の北西尾根に突き上げる直前、枝越しに高へら山の頂が見えた。右へ90度針路が変わると、今度は少しづつ岩が出てきて山頂が近いことを知る。景色は殆ど無いが、うっすらと北側の小林地区であろうか、町並みが広がっている。

     
向かう高へら山    岩も出てくる    北側

 山頂近辺で岩を巻く顕著な細い踏み跡がある。人ならばもう少し太い筈だが、果たして獣道なのだろうか。獣といってもこの近辺では猪くらいしか居ない筈なのでそれはそれで遭遇したくない嫌な奴である。

 山頂に着くと石祠と数枚の山名板が迎えてくれた。ザックを降ろして一休みしたあと、南東側を覗いて見るとこちらも大体同じような雰囲気である。南側に降りてしまうと林道との間の薮が深そうなので、こちらに降りるならば尾根末端まで南東にずっと行くしかないだろう。駐車地のことを考えるとこれは現実的でない。

 エスケープルートとして往路ピストンを担保し、山頂西側を窺う。数例のネットでの山行記録ではここを使って登っている筈であるが、よく見ると成る程、赤リボンが僅かであるが付けられている。あちこちに咲いている季節外れのヤマツツジがリボンと紛らわしい。

     
高へら山三角点    西へ向かって降りる    季節外れのヤマツツジ

 標高差にして150m程降下しなければならないので油断は出来ないが、枯れ枝で見通しが良いので不安感は無い。ずり落ちないように注意しながらトラバース気味に高度を下げていくと左手に植林地が見える。リボンはそちらに向かっているが、車が遠くなるので想定コースへと針路を変えた。

 やがて林道が見えてきて、小薮を抜けると無事着地である。

     
ルートを選びながら    林道が見えてきた    無事着地

 首尾良く一座目を終えて、まだ時間も充分にある。予定の富士山に向かって車を走らせた。

 富士山は数度偵察を行っているが、取り付き地の薮の深さが未知数、そして民家の裏から登るのが少し気が引けるところである。

 取り付き地の横にある路側の広い所に車を駐めて、民家のまさに裏側から登り始めるが、侵入するといった体でいささか気後れする。

 前もろくに見えないような檄薮だが、足元を見ると微かな踏み跡が続いているではないか。物好きなのはどうやら自分だけでは無いらしい。とにかく薮を踏む音が思ったより大きく響く。近隣の優秀な番犬達が一斉に吠え立てるのには閉口した。どうやら彼らにとって自分は特一級の侵入者であり、ここぞとばかりに警告を発しているようだ。

 全力で激薮ゾーンを切り抜けると、やっと犬達も一息ついたようで辺りに静寂さが戻ってきた。腰ほどまで丈が低くなってきたがまだ薮は続いている。だがそれもほんの少しの辛抱で、尾根形がはっきりしてくると歩き易くなってきた。山頂東側の谷には作業道が上がってきているので、面白味に欠けるがこれを使うのが無難だっただろう。

     
民家裏から失敬    激薮    薄くなるもまだ薮

 やはり山頂が近くなると岩が出てきた。高さは3m近くもあるだろうか。巨大な岩が重なっている。先ほどから山頂近辺にはカラスが群れ飛んでいる。山でカラスを見る事自体が珍しいが、生活圏にある里山ならではの光景であろう。突然の人間の侵入に対し数羽が警戒を発し、取りあえず山頂を明け渡して貰った形でそこへ到着した。

 三角点は西側に突出した岩の上にある。足を一歩踏み出すと、それまで無縁だった光と風に、一遍にまみえる感動の瞬間である。更にその先は切り立った崖になっているので景色が良いわけだ。

 眼下に広がる田畑や道路といった、生活感の有るありふれた田舎の風景。遠くには我らが栃木の山々が連なる。これぞ里山の原風景ではないだろうか。

     
高さ3m近い巨岩    山頂直下    三角点と日光の山
     
山頂よりパノラマ      

 吹きさらしのような山頂は北風が冷たい。だが、コーヒーで体を温めていると日当たりのよい山頂は思いの外心地よいものだ。春の暖かな日に、ここで昼寝をしたり読書をしたりしたらさぞ素晴らしいことだろう。そんな山頂を後にして、下山は外輪尾根を北に向かい周回することにした。

 途中に石祠一基、針路が東に変わった頃に「富士浅間」と刻まれた比較的新しい碑石と崩壊した石祠があった。地元の人の信仰が偲ばれる。

     
山頂尾根を北へ    北の方に石祠    富士浅間の碑石

 朽ちた中継用TVアンテナを通り過ぎると、予定していた方角より少しずれて一旦不明瞭になった尾根形がはっきりしてくる。着地点に大差は無いだろうと判断し、端正な木立の間の歩きやすい尾根の背を下っていくと直ぐに平坦な薄薮へ出た。

     
朽ちたアンテナ    端正な木立を下る    道路まであと僅か

 無事道路に復帰し車の所に戻る道すがら、取り付き箇所の全貌を見ることが出来た。成る程。これは薮が濃い訳だ。よくぞあんな所を登ったものだ。冬なお濃いこの薮をくぐるなら、すぐ脇にある作業道をおとなしく辿ったほうが正解。地域の番人である犬達に迷惑をかけないことは明らかだから。

     
薮が濃い訳だ    駐車地    帰路日光を望む

概略コースタイム
《高へら山》
駐車地発(8:17)-北西尾根(8:37)-山頂(8:57)-林道出会(9:21)-駐車地着(9:40)


《富士山》
駐車地発(9:40)-山頂(9:59)-休憩-再出発(10:09)-駐車地着(10:29)

2009年07月05日

古賀志山、早歩き


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 前回の赤薙山からもう2ヶ月ほど山を歩いていない。いい加減だぶついてきた腹周りとみるみる衰えてくる足腰が不安になってきたが、どうにも梅雨空のうっとおしさに今一つ腰が上がらない。

 昨晩は夜半にかなり強い雨が降っていたので、若干晴れ間が覗く今日の近場の山はさぞかしサウナ状態だろうという弱気もあった。軽くジョギングでもするくらいの気持ちで自宅を出る。

 近場で手軽な山は幾らでもあるが流石に冬場の薮歩きのような訳には行かないので、コースがしっかり整備された古賀志山の道標ルート、それも歩行時間最短の「階段コースを車道最高標高地点からのピストン」とする事にした。

 城山西小学校側から林道を登り、最高標高点から赤岩ダムに向けて下っていく辺りが通行止めになっているのでここへ車を置く。先客1台有り。

 脇にある登山口から、通称「階段コース」を目指して入山する。懐かしいかな。2年前の冬、歩き初めの頃に登ったルート。あの時は赤岩ダムから舗装道を延々と歩いてここまで上がってきて、登山道に入る前にかなり息があがっていたような思い出がある。道標によれば山頂まで700mらしい。下の方に手書きで30分とも書いてある。2年前にここを歩いた時はこの700mがとてつもなく遠い距離に感じられたものだ。

 昨晩の雨で枝や葉に水を満々と湛えた山道は少しむっとした感じがしたが、何よりも懐かしい気持ちで足元が軽い。

     
最高標高点に駐車    懐かしの階段コース登山口    出たな!階段!

 丸太で組まれた階段を少し登ると、直登コースと階段コースの分岐がある。前回は"岩場あり"という言葉で迷わず"階段"を選んだ。岩場なんか危なくて歩けないという気持ちもあったが、それ以上に"直登"という言葉に自信が無かった。

 この「直登コース」についてはその後ネットでハイカー諸氏の情報を得ていたので、今回は安心して進む事が出来た。

 実際に岩場といっても東稜の岩場や中尾根のダム側取り付きの岩場に比べれば、岩場と表現するのが適切かどうか迷う程度なのでまったく問題は無かった。もっとも、高齢者のビギナーの方には少し難しいかもしれないので"岩場有り"の道標は正しいだろう。

 身長を少し超えるか越えないか程度の岩を所々登っていく。角度は緩いしホールドも充分。岩はルートの途中に階段のように出てくるような感じなので、左右に落下する可能性が低いので危険はほとんど無い。この岩の多いコースは、高度を上げていくと所々ルート脇に岩のテラスがあり眺望が開けてなかなか気持ちが良い。

 ちなみに下右写真は、ルート軌跡図中に記入した「展望岩」から見た雨乞山方面である。いつも登っているコースと違って、南側からの景色なので新鮮な角度だ。

     
直登コースをチョイス    岩と言ってもこの程度    珍しい方角から雨乞山を望む

 上のほうに携帯電話の大きなアンテナ塔が見えると山頂はすぐそこである。冬場は沢山のハイカーでごった返す山頂も今はひっそりとしているが、たっぷりと緑を蓄えた木々の葉が代わりに賑わいを見せているように感じられた。

 山頂で一休みして御岳まで足を伸ばす。此処もまた冬場は雪の日光連山を眺めるハイカーで足の踏み場も無いほどだが、先客は小学生の息子とその父親一組だけ。

 真っ正面に今冬歩いた岩崎の峰々がよく見える。この間はあちら側から今立っている御岳や赤岩岳方面を見渡したっけ。そういえば岩崎から古賀志559へ向けて縦走を考えたことがあるが、こうして見ると地図で見た以上に559手前の辺りが険しそうだ。何よりも露出している岩が牙を剥いているあたりはちょっと自分の力量では難しいであろうと思う。

     
山頂はひそっりと    御岳より岩崎の峰々    559も青々としている

 下山は素直に階段コースを辿ったが、階段はどうも相性が悪い。僅かな距離なのに右膝に違和感有り。やはりこれは少しトレーニングしないと夏場の山を歩けないなと実感。

 自宅に戻ってシャワーを浴びても未だ正午前。たまにはこんな山歩きも良いものだ。

  
   おまけの坊主山

概略コースタイム
駐車地発(9:13)-古賀志山(9:52)-御岳(10:09)-坊主山(10:43)-駐車地着(10:45)

2009年04月05日

観音寺山と下猪倉370m級ピーク

観音寺山(猪倉城趾) 下猪倉370m級ピーク

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 今回は里山シリーズ番外編で、いわば取りこぼしルートでも言おうか、一日企画にするには少しスケールの小さな2箇所を歩いてきた。

 猪倉にある観音寺山(猪倉城趾)は板橋の城山からその東の向山(384mP)とセットで3座を繋げて歩こうと考えていた。だが、アスファルト路で分断された区間を歩くのがどうにも気が乗らなかったので、観音寺山を単発で登ることにした。本日の行動予定は午前中だけであるが、この一座だけだと少し物足りないので、以前盗人岩から見た昭和ケミカル北面の小高い岩山を訪れるのもセットとした。

 まず初めに観音寺山から。猪倉城趾への登路は、麓にある泉福寺からのアプローチがメインルートのようである。泉福寺付近には旧今市市が設置した道標が随所にある。

 早い時間故、人の気配の無い寺の駐車場に車を置かせていただき、身支度を整える。本堂脇から石段を登ると奥の方に猪倉城趾方面の道標があるのでそちらへと進む。

     
泉福寺    境内より石段を登る    奥に猪倉城趾の導標

 道は大変よく歩かれており、途中に石鳥居がある。ここをくぐると、泉福寺建立の大きな石祠がある。また、上に登るに従い、城郭を偲ばせる土塁の跡や、斜面に作られた平坦地(何か施設があったのだろう)なども随所に見られる。大谷の多気山南面を歩いた時も大規模な山城の遺構を実感したが、この山もかつては堅牢な山城だったのだろう。

     
   泉福寺建立の石祠    道はしっかりしている

 途中に一箇所だけ道が崩落している部分があったが、薮山ハイカーとしては全く問題なし。家族連れの小さなお子さんや高齢者の方は注意されたし・・・というか、そういう人はこんな地味な所に来ないか(笑)

 そんな感じでつらつらと歩いて行くと、「此処に猪倉城ありき」という立派な石碑が出現。この脇の小高い所に、猪倉城を解説する案内板と、石鳥居の奥には石祠も祀られている。木の上には白い梵天が掲げられていた。

     
途中崩落箇所あり    立派な石碑   

 案内板には420mの山頂にあるとされているが、ここは400mピークであるので説明と食い違うのでは無いかと思うが、どうやら快適な登山道もここまでのようである。石祠の裏手からこの先の西側は、道無き尾根を進むことになる。

 地図には現れない鋭く削られた凹凸、これもやはり山城としての細工なのだろうか。今までに見たことのない複雑な地形を辿るのは楽しいものである。

     
城趾説明板箇所にも石祠    ここからは道無き尾根に   

 頂上尾根に乗ると、南側の枝の合間から先日歩いた岩崎地区の山並みが見えた。眺望に乏しい往路だけに、ふと足を止めて暫し休憩を取る。

 この後は、僅かにシノ薮を漕いで山頂到着。山名板は無く、三角点標石と標高を記したプレートがひっそりとと出迎えてくれた。このプレートは『栃木の山紀行』さんが設置されたものであろう。山頂は樹に覆われていて眺望は無い。

 山頂直前から気になっていたのが、西側の産廃処分場から流れてくる異臭。酸っぱい感じのこの匂いは恐らく有機物浄化槽の汚泥の匂いだと思うが、静かな山歩きだっただけに少々残念な思いである。

     
南に岩崎方面    三角点直前の薮    三角点

 山頂から北はネットで記録が見いだせなかったが、地図を見る限り明瞭な尾根が北北東に延びているのできっと踏み跡があるだろうと読んでいた。そんな思惑通り、暫くは順調に尾根を下って行くことができた。だが、350m地点で尾根は不鮮明となってしまったので、方角を失わないようにして山肌を直接降りていくことにした。薮が幾らかあるが、最近は激薮馴れしてしまったせいか全く気にならない。

 斜度は多少きつい所もある。だが、昨日の降雨で湿った林床に丁度良い塩梅で靴がめり込んで、かえって滑りにくいのでわりと楽に降りることが出来た。

     
北に向かう尾根    ここから不鮮明    薮が出てくる

 ポンと飛び出すように降りた林道を辿ると、小川が流れる明るい里に出てきた。アスファルトを幾らか歩き、泉福寺の看板が目に入ると周回の終わりを知る。

     
振り返るとこんな感じ    里に復帰    泉福寺へ戻って来た

 駐車場で靴を履き替えていると、黒服の女性二人が車で上がってきた。法事でもあるのだろうか。ようやく静かな寺も一日が始まったようである。

 先ほど歩いた林道の途中に、「弁天沼へ」という道標があった。興味が沸いたので、寄り道でこの林道を西へ走ってみた。畑の脇に案内板が張り出された所から枯沼が拡がっている。彼方に小高く聳えるのは向山らしい。板橋の城山の東にある384mPだ。ここも是非登ってみたいものである。

     
駐車場から寅巳山    弁天沼   

 弁天沼を後にして観音寺山を廻り込むような感じで車を東へ進める。今日の二番目の目標地は「ペット霊園宇都宮」である。

 ここも先日の偵察で確認済みであったが、肝心な頂上への登路詳細は不明である。地形図を眺めてカンを頼りに登る訳だが、もともと小さな山で地形も単純なのでそう難しいことも無さそうである。心配なのは、盗人岩から眺めた時に随分と南面に岩が露出して見えた点だ。

 霊園の駐車場に車を置き、斎場奥に伸びる砂利の立派な林道を歩いて行く。地図にある道と一致しているので、このまま行けば山頂から伸びる稜線の東端にぶつかる筈だ。そこが取り付きだろう。

 道路が突き当たった所に廃資材置き場があり、ここから末端となる尾根へよいしょと取り付く。

     
ペット霊園宇都宮    斎場奥の林道を進む    尾根へ取り付く

 よじ登って上を見るとなんて事はない、すぐにブル道が上がってきている。廃資材置き場から伸びているようだ。尾根のラインに添って作られたこの道を進むとすぐに行き止まり。ここからは落ち葉深い斜面、進めば踏み跡も見あたらない自然林の静かな雰囲気が辺りを覆っている。

     
すぐブル道に出る    ブル道行き止まりで尾根に乗る    踏み跡無し

 上の方に行くと幾らか岩が出てきたが、問題は全く無し。落ち葉に足を取られながらも、程無く頂上尾根に到達した。

     
   頂上尾根   

 頂上付近は落葉した木々に覆われ明るい雰囲気だが眺望は今一つすっきりしない。下を見ると何やら大きめのフンが有る。「住人」が居るようである。

 頂上地点でお茶休憩を楽しんだ後再出発。帰路は尾根を西へ下っていく予定だ。下り始めるとすぐ南側が大きく開ける岩の展望地がある。盗人岩が眼前に拡がり、下に目をやると、昭和ケミカルの発破採掘現場も丸見えだ。

     
誰のフン?    盗人岩全景    昭和ケミカルの発破現場

 思わずして発見した秘密のポイントに暫し足を止めて再出発しようとすると、この先は切り立った岩で行き止まり。かろうじて靴幅一つくらいの踏み場所はあるが、此処で滑ると恐らく南側の斜面に滑落は必至。北は巻けるかと眺めると、これまた地形図からは想像出来ない程の深い急斜面が口を開けている。

 流石にこれは撤退だなと思ったその時。「ザッザッザッ」と足音が。例によってである。今回も姿形は見えなかったが、どうやら先ほどの糞の主が岩の向こうを闊歩しているようである。慌てて、熊鈴をじゃんじやんと鳴らすと、幾らか慌てた感じで去っていく模様。荒々しいイノシシでは無さそうな雰囲気だが一体何者なのであろうか。

 復路は、単純にピストンも味気ないので、有る程度高度を下げて視界が確保出来た辺りで適当に斜面を下る。巨大な岩棚が露出している箇所もあり、こんな小さな山なのになかなか迫力があるものだ。

 先ほど歩いてきた砂利林道の手前にあるもう一筋の古い作業道に拾われてこれを辿るが、すぐに砂利道へ降りてしまいそうな雰囲気なので、途中からまた薮に入り軌道修正をする。

     
文挟方面だろう    岩で行き止まり    古い作業道

 最後は、霊園の墓地エリアに南から降りていくような恰好で下山終了である。

 帰りはいつもの新里街道を走ったが、路傍に咲く菜の花が明るい日差しを受けて輝いている。春の訪れと共に里山が目覚めるのもう少しであろう。

 それにしてもあの山頂に居た奴は一体誰なのだろう。実は、霊園に眠るペット達の守り神だったのではないか、などと思った。

     
自生カタクリ    ペット霊園に戻ってきた    篠井富屋連峰方面

  
新里街道脇の菜の花    自宅の桜

概略コースタイム

観音寺山:
駐車場発(7:51)-猪倉城趾の説明板(8:11)-山頂(8:31)-林道出合(8:55)-駐車場着(9:08)

ペット霊園裏山:
駐車場発(9:28)-尾根取り付き(9:37)-頂上(9:51)-お茶休憩-行き止まり(10:11)-
北斜面直下降(10:20)-駐車場着(10:35)

2009年03月28日

岩崎尾根5峰を巡る

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 赤岩山の北側に点在する岩崎尾根のピーク群。文挟方面からは古賀志山の前衛として横たわるこの山々もつい先日、けむぞうさんや『栃木の山紀行』さんが歩かれている。両サイトの情報に基づきプランを練っていざ出撃である。

 偵察でお馴染みの岩崎観音脇に車を置いてスタート。はじめの320m級Pまでは、破線の古い道を辿るつもりだったが、どうも地図上の場所には存在しない。ちょっと山側に入って見ると作業道の跡のようなところがあったので追ってみると民家にぶつかる。山側は岩になっていて進めない。仕方が無いのでアスファルト道路に戻り少し北に進むと右手に林道のような道が入り込んでいる。GPSを見ると正解のようだ。測量後に道が変わっているのだろう。

 右手にざっくりと削られた痛々しい斜面を見る頃になると、砂利道も落葉で深く覆われるようになる。

     
林道入り口    山が削られている    出だしは順調

 途中2箇所分岐があるが、地図の破線通りに進んで行き、北側から谷を詰め始めるとにわかに薮っぽくなってきた。先日の盗人岩でのイノシシ遭遇もあった事だし、それにここはイノシシの好きな谷。ザックの熊鈴のネジを締めて音が鳴るようにした。静かな森に鈴の音が響く。

 地図に書いてある道は標高300m手前あたりで事実上消失。最後は適当に直登して尾根に出るとすぐ脇にある320m級Pへ到着した。今日の第一ステップクリアである。

     
上に行くと薮がでてくる       320m級P

 次なる目標の359P方面に向かうには一旦コルに降りての登り返しになるが、320m級Pから降りる道形も途中で怪しくなりだしてきた。歩きやすそうな所を選んでコルを目指し降りていくと、向かう先にはっきりと尾根の形が見える。これを追って行けば良いわけだ。

 静かなピークに登りかえすと、石祠が待っていた。この辺りは若干岩っぽい感じだが、特に問題は無い。

     
一旦コルへ    木漏れ日が気持ちよい    359P手前のピーク

 東へ進むと程なく359Pへ到着。大小の石祠が並んでいる。傍らには、今は朽ちてしまったが元は石仏か何かだったのか。物言いたげに石の塊が鎮座している。

 大きなほうの石祠を見ると建立が明治云年とある。最近見たこの手の石祠としては比較的新しいほうかもしれない。

     
359Pに並ぶ石祠    元は何だったのだろう    明治云年

 359P周辺からは、尾根の踏み跡が随分濃くなってくる。明るい林を進んでいると、メジャーコースを歩いているようなそんな錯覚さえ感じる程穏やかな尾根だ。

 次なるコルから408.8Pの標点ピーク目指して再び登り返していくと、忽然と大きな岩が完全に行く手を阻む。なるほど。これが、けむぞうさんが手を焼いた岩だな。

 しばし観察。左(北)は巻けない。行ったら岩を越える以上に危なそう。正面突破はどうだろう。一つめの岩はなんとかクリア出来そうだが、その上はどうなるか保証無し。破綻する可能性はかなり高いだろう。右(南)は若干急斜面だが、明るいまばらな広葉樹林である。ルートも自由度が断然高い。けむぞうさん同様こちらを行くのが賢明だ。

 GPSを出して位置関係を正確に確認する。下り過ぎないように、可能な限り尾根に早期復帰を念頭に置いてスタートしようとしたその矢先。

 進むべき方面から、「ざくざくざく」と歩く音が。人か?、イノシシか? 蹴落とした落石が転がっていくのが見えた。確かに居る。

 今回は姿形を見ることは無かったが、必ずといっていいほど最近は動物に逢っている。もっとも、こんな人が滅多に入らない所は元々彼らの領域なのだから仕方が無いだろう。侵入者はこちらなのだから。

 少し躊躇したが、足音は聞こえなくなったので鈴を手でじゃんじゃん鳴らしながらトラバース開始。左手は結構デカイ岩場で地図には記載の無い崖地である。上のほうに所々暗い割れ目が口を開けているが、先ほどの足音の主がそこに入ったのでは無いかと想像するとぞっとする。長居は無用である。岩が切れたすれすれの所を狙って急登急登。

 小岩と薮が若干行く手を阻むが、こちらは難なくクリア。程なく頂上から伸びる尾根に合流して一安心である。思い返すと今日一番の難所と言って良いだろう。

     
明るい尾根    408.8P手前の岩が阻む    南に巻く

 苦労して踏んだ408.8Pからは、西側の眺望がある。枝越しではあるが日光方面や今しがた歩いてきた359Pも良く見える。ピーク真西の下が先ほど突き当たった岩のあたりのようだが、上から眺めても登ってくるのは相当難しそうに見える。

 また、ピークから北東に延びる尾根方面に踏み跡があるが、こちらは『栃木の山紀行』さんが登ってきたルートである。359P方面から来てこの岩を巻くなら350m地点あたりで北東の等高線が緩い所をトラバースしてピークの北東尾根を目指すのもアリかも知れない。しかし、かなり大回り。南を巻くのは傾斜があって多少疲れるが距離は少しで済む。岩穴の住人が許可してくれればである。

     
苦労して踏んだ408.8P    この真下が行く手を阻んだ岩    通過してきた359P

 次の目標点である444Pとの中間点にある鉄塔が見えてきた。この辺りは南に景色が開けるポイントがあり気持ちよい。鉄塔脇まで降りると尾根道は一旦激薮へ吸い込まれるが、シノ薮で漕ぎやすいので強行突破。薮が切れると一旦巡視路に出たが、これを追うと下って行ってしまいそうなので、適当に左手の尾根を目指して再度シノ薮に突入すると、薮の向こうに尾根筋が再び現れる。

 登り詰めた444Pは、埋まりかけた石祠が一つだけ寂しそうにポツンとある。ここから東に少し降りた辺りが岩場の好眺望ポイント。ここで昼飯休憩とする。

     
鉄塔脇のシノ薮へ突入    444Pの石祠    444P先の展望地より

 左(東)側を見ると、盗人岩方面から先日通過した494P、鞍掛尾根と古賀志山の北面、そして眼前の赤岩山稜線が右(西)へなだらかに下っていく。日頃歩いているエリアを違った角度からパノラマで見ることが出来て感動である。

 北東にこんもりとした小高い392P(地元名、牧場山)が見える。下山はあそこを越えて北の集落へ抜ける予定である。

     
赤岩山を裏(北)側から       左下は392P(牧場山)

 展望地直下の岩は、『栃木の山紀行』さんの指摘通り若干足つきが悪いが、下が切れ落ちていたりしていないので、気を付ければ問題無いだろう。体の小さな人や岩が苦手な人は北側の急斜面から巻いた方が確かに無難かもしれない。

 岩は二段になっていて、ここをクリアするとまた凡庸な尾根道になる。帰路に北進する分岐を通過して東進すると枝の切れ目から猪倉山と高原山が見えた。数少ない北側の眺望である。

 383Pへは『栃木の山紀行』さんルートで巡視路をチョイス。一旦北にトラバースして北北西の尾根から338Pへ向かうルートだ。巡視路分岐でそのまま尾根を直進してもよさそうな雰囲気があったが、上の方が少し薮っぽかったので取りあえず行きはこちらを登る事にした。

     
展望地直下の岩場    383Pへ向かう途中で高原山方面    巡視路をチョイス

 巡視路途中に木橋で補強している箇所があった。果たして補強する必要がある程の荒れ具合なのだろうかと疑問に感じた。これは想像だが、巡視路の本来の用途からすると、重い荷物(測定器具や工作機械類)を担いで歩くのではないのだろうか。歩きやすいに越したことは無いのだろう。

 何も無い383Pから西の尾根を使って、先ほどの巡視路分岐を目指す。踏まれた感じが途切れると尾根はやはり薮に阻まれている。北に逃げると、すぐ先ほどの木橋の所へ出た。

     
補強する必要があるのか?    何も無い383P    帰りは尾根+薮少々

 先ほど通過した392Pへの分岐点で給水休憩をしていると、行きには気付かなかった地面に描かれた矢印が目に入った。(下写真左)

 まだ真新しい感じがするが、こんな所を歩く物好きは自分以外にも居るものだ。地面の痕跡に親近感を感じてしまう。

 ここからルートは、392Pを乗り越す形でひたすら北進することになる。地図を見る限り向こう側の鉄塔までは尾根も顕著であるので迷うことは無いだろう。

 歩き出すと、確かに尾根を見落とすことは無さそうだが、所々濃い薮があったり踏み跡も不鮮明になる所があり一筋縄ではない。とにかく我慢で尾根キープである。

 コルから、見上げるような392Pへ登り返すとここもまた何も無い静かなピークである。地元名を牧場山と言うらしいが、由縁を知りたいものだ。子供の頃に林間学校で行った清里の飯盛山が丁度こんな外観であったことをふと思い出した。そういえばあの辺りは放牧地だったっけ。そうそう、栃木のハイカーとして忘れちゃならないのが篠井富屋連峰の飯盛山。あそこも見事にお椀を逆さにしたような姿だ。

     
最近歩いた人アリ    薮だが尾根は外さず    392P(牧場山)

 392Pからは鉄塔めがけて急降下だ。踏み跡も千々に乱れて皆自分の歩きやすい所を選んでいる模様。傾斜が緩くなると次はまた濃い薮が待ち受けている。だがこれをやり過ごすと、パッと開けた鉄塔基部へ到着する。

     
392P北の厳しい下り    鉄塔手前でまた激薮    256号鉄塔

 256号鉄塔からは、東側に盗人岩の鉄塔、西は日光連山と手前に408.8Pの北尾根が見える。振り返ると鉄塔の脚枠越しに今降りてきた小高い392P。ここは、今日のコースでは2番目の眺望であろう。

     
盗人岩の鉄塔が見える       今降りてきた392P

 鉄塔から先は巡視路下りになる。想定していたコースは東隣の尾根だったが、この巡視路の行く先は先日の偵察で確認済みだったので、素直にこちらを歩いた。今日は緊張感みなぎる山行であったが、肩の荷を降ろしたように何も考えずに黙々と歩くことが出来た。

 やがて沢音が聞こえてきて舗装林道へ出会う。集落から先は通行禁止のロープが張られていて(不法投棄対策)、一般車は入って来れないこの林道を少し歩くと、偵察で見覚えのある集落へ戻ってきた。向こうの畑で腰の曲がった老婆が作業中だ。ほぼ宇都宮市と言って良いほどのエリアなのに、約4時間半ぶりに人に出会った訳である。

 さぁ、後は駐車地まで2キロちょいの車道歩き。宇都宮市内は桜が開花したというが、この辺はまだ梅が盛りだ。農家の庭先の見事な枝振りの梅の向こうに見える男体山の姿などを眺めながら、ぶらりぶらりと行こう。あ・・・、ちょっと腿が痛いかな? 緊張から解き放されたせいか、軟弱な足腰はやはり相当疲れていたようである。

 里山シーズン終盤。今期構想中の歩き残しはあと2箇所である。

     
巡視路出口    舗装林道を北進    集落へ戻ってきた

概略コースタイム
駐車地発(10:06)-320m級P(10:39)-359P(11:10)-440.8P岩手前(11:32)-440.8P(11:47)-
鉄塔(12:03)-444P(12:10)-展望地着(12:16)-昼食休憩-展望地発(12:52)-
分岐(13:13)-383P(13:29)-分岐(13:47)-392P(14:03)-集落へ(14:33)-駐車地着(15:05)

2009年03月22日

偵察

 3連休は21日の土曜日が絶好のアウトドア日和であったが、残念な事にヤボ用で自宅停滞を余儀なくされた。

 19日に日帰りで盛岡出張だったので、会社には暫く行っていないような気がしているのだが、今日は工事で停電になるというので、ホストやサーバーの電源を見る為午前中だげ出社した。

 勿論PCは使えないので仕事はろくに出来ないが、引き出しの中の要らない書類の整理を始めたら捨てる物が出てくる出てくる。
 不要な物ほど保存してあるというマーフィーの法則を痛感しながら、あっという間に2時間チョイの工事時間が終わり無事ホストを立ち上げて退社。

 家族は東京へ遊びに行ってしまったので午後はすることも無し。天気も悪いし、偵察行くか。

 ということで、まずは岩崎の「下の家」で岩崎観音の320mPを窓越しに眺めながら蕎麦をいただく。この奥にある359Pからその先にある『岩崎3峰』ルートを想いつつ。

 この後はチョイ北の方に場所を移動し、企画熟成度70%くらいの某エリアを検分。あそことそこに車を置いてここから取り付いてこんなところからつないで、こっちに渡って云々かんぬん。

 マムシ多しのエリアなので今年はもう無理かなぁ。


写真は、手岡から望む雨に煙る盗人岩

2009年03月15日

鞍掛山から盗人岩

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 数日前から、天気予報に全開の晴れマークが出ていた。最近天気予報に裏切られることが多かったが、朝、目覚めると日差しが降り注ぐ好天気。

 それでは今日も行きますぞ、と先週の半蔵山に引き続きマイナールートを求めての里山歩きだ。今年は春が早そうなので、里山歩きもそろそろ終盤の雰囲気である。

 さて今日のお題は、

 1.鞍掛山の南尾根
 2.鞍掛490Pから北西の鞍掛林道へ着地
 3.盗人岩を南から攻略
 4.盗人岩の巡視路口(真南)から鞍掛尾根の飛び494Pを目指す
 5.鞍掛尾根431Pより真西の尾根を下る

 と、盛り沢山だ。事前にそれなりに偵察しており地形図の精査もしたつもりだが、鞍掛山南尾根以外はコースがあるという情報はとんと見受けられない。つまり踏み跡はあまり期待出来ないということだ。

 まずは鞍掛山へ。ルートは登山口にある石鳥居をくぐらず、即右手の斜面へ取り付く。斜面の向こう側はゴルフ場のコースなので、コースのヘリ内側の小薮を登る。薮は濃くなったり薄くなったりするので潜りやすい所を捜しながら進んで行く。

 ゴルフ場の突端を離れ更に高度をあげると、大きな岩が忽然と現れた。正規コースの沢からもここへ到達できるようである。とても正面から越えられる岩ではないが、左手に巻ルートがあるのでこれを登る。結構斜度があり足元も滑りやすい。木につかまりながらなんとか登り切ると、北東に向かって伸びる尾根の末端に届いた。依然斜度がきついが、踏み跡も方向も安定しているのでさほど苦労はしない。やがて勾配が緩くなると周囲が明るく開けてきてほっとする。

     
登山口からゴルフ場方面へ    ルートを捜しながら    岩の上の明るい尾根

 イタズラ書きされた石の脇を通ると、大岩から真南に延びる尾根の終端が右手に見える。回り込むようにしてそこに着けば小岩があり、そこから雨乞山が良く見える。後は北に進路をとり、450m級Pを乗り越す形で一般登山道に合流する。

 等高線で見ると大したことはないのだが、いつ登っても大岩直前の登りは息が切れる。肩で息をしながら大岩に着くと先客のハイカーが岩の上で甲羅干しよろしく休憩中だ。さにあらん、こんな天気の良い春のような陽気なら誰もがくつろぐ眺望である。
 北側に目をやれば、先週歩いた半蔵山から池ノ鳥屋へ続く稜線が間近に見える。南側は今越えてきた450m級Pがこんもりと亀の背中のようだ。

 のんびりしたいのはやまやまだが、自分は先があるので小休止に留めて再スタートする。

     
東側に雨乞山    450m級Pを振り返る    大岩から池ノ鳥屋方面

 鞍掛尾根への分岐はもう随分お馴染みで、すっかり通い馴れた気分だ。最近は鞍掛尾根もどうやらメジャー化しつつあるようで、今日も途中で逢ったハイカーは皆鞍掛尾根を歩いていく。もはや鞍掛山単独で登る人は居ないのではないかと思わせる雰囲気である。

 こちらも相変わらずキツイ490m級Pを喘ぎながら越えて、下りに転じる辺りから地図とGPSを出して本日初めの要注意ポイントを探る。地図には現れない鞍部のようなところで南西へ下る鞍掛尾根と別れ、北西方向の尾根に通じるであろう道形を以前確認していた。今日はここから、北西、北と進路を取り舗装の鞍掛林道へ抜けるのが課題である。

 突き当たる390m級Pまではほぼ地図と周囲の状況は合致している。鞍部まで降りきると390m級Pは岩に阻まれていた。だが、周囲は傾斜が緩いので容易に巻けることが出来た。390m級Pから振り返るとモンスターのような490m級Pのシルエットが枝越しに写る。

     
越えてきた450m級P    390m級Pより鞍掛490m級P    盗人岩の鉄塔が近い

 ここからは踏み跡がいくらか怪しくなるが、それでも忠実に追っていくと予定の方角と少しズレが発生してきた。恐らく林業関係者が通る道なのだろう。辿れば間違いなく下へ降りることは出来るだろうが、想定した着地点から大幅に狂う可能性があるので、トラバスース気味に下降し北へ進路変更する。

 GPSを出して見るとやはり少し南側に振られすぎている感じだが、向かう北側も地図には見えない谷があり斜度もきつそうなので無理に近づかない方が無難だろう。ここは手堅く斜面を真下に降りる。行く先にはさほど厚くは無いが薮が見える。先ほどから沢音が聞こえていたので、現在地が間違っていなければ、偵察済みの鉄塔巡視路に程なく拾われる筈である。

 最後の薮をくぐると泥の作業道へいきなり飛び出した。これを少し辿るとやんぬるかな、ドンピシャ目的の小橋へ到着。GPSで進路ナビゲーションをしていたとはいえ、歩行状況を修正しながらの手探りだったのでまずまずの首尾である。

     
陽の差し込む植林地を降りる    最後は薮    巡視路にある小橋

 さて、一旦舗装の鞍掛林道に出て、林道竣工の記念碑の北側、斜度の緩い所から次なるターゲットの盗人岩南面に入る。

 取り付くとすぐに重機用の作業道に出る。昨日の雨で結構ぬかるんでいるが歩けない程では無い。山を巻くようにして高度を上げていくが、このまま辿って行くと頂上尾根東端より西に偏ってしまうので、上を窺いながら歩きやすそうな箇所から薮へ突入した。

 GPSには尾根東端のみを次の目標ポイントとし、ひたすら薮の合間をかいくぐって登る。この区間は何処を登るか特に考えていなかったが、とにかく登りやすい所(安全な所)を捜しながら進んで行った。帰宅してGPSのログを見ると、地図上では不鮮明な尾根でも実歩行ではちゃんと追っているのが解るので面白いものである。容赦の無い薮にはいささか閉口するが、今の時期枯れ薮なので視界は問題無い。春からは到底通ることは出来ないだろう。

 右手に鉄塔がチラっと見えたのでそちらへ進むと253号鉄塔へ飛び出した。鬱蒼とした薮漕ぎから解放された鉄塔基部の明るさが、眩しいばかりのすがすがしさである。

     
いよいよ盗人岩へ突入    このへんはまだ良いほう    253号鉄塔がすがすがしい

 巡視路を上がってくればここまで比較的楽に上がって来ることが出来るのだろうが、それはまた次回のテーマにとっておこう。

 鉄塔脇からは道形が現れ、一気に踏み跡が濃くなってきた。そして程なく頂上尾根の東端付近に到達した。後はここから西に延びる岩尾根を辿るばかり。

 岩尾根は頑張れば越えられそうな所、ちょっと厳しそうな所、様々だが、無理をせずに巻けるところは巻くべし。やがて岩の上を歩けるようになってくると好眺望の昼食ポイントへ到着である。

     
盗人岩頂上尾根は岩が続く    巻くのも一苦労    やっぱ昼ご飯は此処でしょう

 午前中は結構ハードなコースだったが、雄大な眺望とのんびりとした食事のお陰で元気回復。午後の行動開始だ。

 盗人岩に敬意を表し、三角点を踏んでから鉄塔に下り巡視路へ向かう。鉄塔基部から鹿沼方面の山が並び、左端に二股山の特徴的な山頂も見える。

 もう少し降りれば巡視路という矢先、右手の薮から突然動物が下へ駆け下りて行った。姿をはっきり見ることが出来なかったが、一瞬ジャンプした背中から察するに恐らくイノシシか。足音は2頭。駆け下りて一旦立ち止まった2頭から、怒気を含んだような荒い鼻息が聞こえてくる。
 これはまずいな。しばしその場に立ち止まり様子を伺う。静寂の後、大きな空咳をしてストックを地面に叩き付けると、驚いたことにもう1頭潜んでいた奴も慌ただしく薮を駆け下りていった。

 今まで山で出会った動物であるカモシカや鹿はいずれも韋駄天の如く斜面を駈けるが、足音はどちらも軽やかである。ところがイノシシときたらどうだ。斜面のあちこちに体躯をぶつけながら降りていくのか、ダンプカーの如き地響きのような音を立てて去っていくので迫力満点である。スピードもかなりのものだ。正面からぶつかったらただじゃ済まないだろう。

 イノシシ達が駆け下りていったのは巡視路の右下の谷の方だから、上から歩いていけば敢えて駆け上がってくることも無いだろうと思い下り始めた。勿論用心の為、熊鈴は全開でじゃらじゃら鳴らしながらである。

 無事イノシシの襲撃も受けずに巡視路を降りきると、鞍掛林道への接合点が破壊されていた。見ると、林道から伸びる重機用の作業道が建設中であり、巡視路が横断された形になっていた。

 ここからは林道をまたいでそのまま南進。494Pを越えて鞍掛尾根を目指す第三ラウンドだ。

     
鮮やかな紅白の鉄塔    左のほうに二股山    494Pへ向けてのファーストアプローチ

 見渡しても踏み跡はまったく無し。だが、今まで何度も偵察でこの斜面を眺めているが、林相と地形図と眼前の状況が上の方まで一致すれば、取りあえずの目標点である470m級Pまでは進める筈である。

 柔らかい林床に足を取られながら斜面を登っていく。夏場なら下草がうるさいであろうこの斜面は、さながら雪上ルートのように好きな所を歩けるのがありがたい。上の方にはついたてのように大きな岩が張り出し正面を塞いでいる。これも先日単眼鏡で確認済みである。よく見ると左右に巻けるが、左は岩の間をくぐって岩に這い上がるような感じなのでリスキー。手堅い右を進む。

 これが正解で、巻上がると踏み跡が出てきた。踏み跡に惑わされないように(最近はこれで失敗することが多い)方角をGPSで正確にとりながら進むが、予定進行方向と踏み跡は一致している。

 途中、忽然と西に降りる道が出現しそこにご丁寧にロープまで掛かっていた。何処に向かう道かは不明だが、今自分が追っている尾根の西にあるもう一本の尾根に続いているのか。そちらが実は踏まれているコースなのかもしれない。

 暫くはっきりしていた道形も、470m級P直前で一面の落ち葉に覆われて完全に消失。静寂が支配する空間に若干威圧感さえも感じるが、目と鼻の先の470m級P目指して一登りだ。

     
冬場ならではの登路    西へ下る秘蔵ルート    踏み跡完全消滅

 470m級Pは特に眺望無し。北側に盗人岩の紅白鉄塔が見えるのみ。

 ここより尾根が南西になるが傾斜も緩やかで、再び道形がはっきりしてくる。494Pがはっきりと見えると少し急な下りで鞍部に到達。494Pへの登り返しがなかなかきつい。フィックスロープや、ロープ代わりの古コンセントが張られていたり、通行の多さが感じられる。鬱蒼とした494Pを下りて無事鞍掛尾根に合流した。

     
470m級Pより盗人岩鉄塔    494Pが見えてきた    鞍掛尾根に無事合流

 鞍掛尾根に乗ると、時折左手に今しがた歩いてきた盗人岩とその南にある尾根筋がよく見える。山を歩いていると、頂上に到達した時のみならず、こうやって自分の歩いた箇所を俯瞰する時にも達成感を感じるものである。

 鞍掛尾根は途中分岐があり、左下にある小さな道標を見逃すべからず。ここを真っ直ぐに(実際道は直進の方が太い)行くと南東に降りて林道に拾われてしまう。

     
盗人岩全景    盗人岩からの登路も見える    これ見落としちゃいけないポイント

 431Pから鞍掛尾根は真北に下っていくが、敢えてここから西へ延びる尾根を今回は下ることにする。見る限り完全な薮なので少し臆するところもあるが、万が一の場合は北側の等高線の緩い所へ逃げ込むかまたは登り返し。南には近づかないという点に注意して行動することにした。

 実際進んで見ると薮はかなりうるさいが、斜度は地図通りで下りるのに無理はない。少し急になりそうな箇所は進路修正を繰り返して降りていく。下の方になると細い竹藪が出てきて視界が遮られ遠望が効かなくなるが、先ほどからGPSを手のひらに出しっぱなしで細かく進路チェックを重ねているので不安は無い。このように視界が限定されている時は流石にGPSの威力は絶大である。

 一旦薮が切れて伐採地に到達する。ここを北に降りれば林道に出ることも出来るが、地図を見る限りかなり下の方の傾斜がきつそうなので、予定通り尾根を終端まで降りる事にした。

 林道までもうあと少しというところで、急にガクンと落ちる箇所があった。地図を見ていてここは注意ポイントと予想していた。標高差は僅かなので崖があるとは思えないが、沢音がする左手はセオリー通りパス。右手の方を選んで下ると程なく平坦地に出た。竹が刈り払われているので作業用に往来があるのだろう。沢の狭い所を見つけて最後の薮をくぐると林道に届いて無事帰還終了である。

 今回のルートの中ではこの薮下りがやはり一番緊張を強いられる区間であった。万が一進路をロストしたりGPSが故障しても、最悪コンパスで北へ迂回すれば打開されるという前提で歩いたが、特に判断に苦しむ状況が展開されなかったのは運が良かったのかもしれない。
 いずれにせよ、登る薮と下る薮では下りの方が数段難しいと感じた。どうやら、今回のこの下りが自分の能力から見て危険分界点のように思えた。安全に歩けるのはこの辺までということである。

 林道を歩きを終えて車の所へ戻ると、もう一台駐めてあった軽トラのケージの主であろう猟犬が元気よく向こうから駈けてきた。目の前で勢いよく垂直ジャンプをして泥だらけの体で全身嬉しそうな様子。

 「ねぇねぇ見て見て。薮で泥遊びしてきちゃったんだ。」とでも言いたげ。

 「おじさんもね、今、薮遊びしてきてへとへとだよ」と心の中で語り掛けるも、元気な彼はまた薮の中に吸い込まれて行ってしまった。

    
431Pから東の薮へいざ行かん    伐採地が見えてきてあと少し

概略コースタイム
駐車地発(9:30)-大岩(10:26)-490級P(10:56)-北西尾根分岐(11:11)-鞍掛林道(11:38)-
253号鉄塔(12:06)-昼食ポイント(12:30)-昼食休憩-行動再開(13:05)-鞍掛林道(13:24)-
494P(14:12)-431P(15:03)-林道出合(15:30)-駐車地着(15:44)

2009年03月08日

半蔵山から池ノ鳥屋

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 宇都宮市内の山といえば、古賀志山が真っ先に上げられることに異論の有る方は少ないだろう。森林公園という行政のバックグランウンドを持つ山だから、整備もされているし訪れる人も沢山居る。

 確かに自分自身にとっても古賀志山は愛すべき山であるが、実は新里の北方に雄大な広がりを見せる半蔵山の存在はかなり以前から気になっていた。かなり以前というのは栃木で山に登るようになる以前からのことである。

 今市方面から宇都宮を目指す場合、日光街道はこの半蔵山山塊を迂回するように遠回りしている。直線的なアプローチは山越えしか無い。そこで作られたのが鞍掛峠である。今でこそ旧道の下にトンネルが作られて快適なドライブが約束されているこの道も、雪など降るとたちまちアイスバーンになり狭い車幅で対向車とのすれ違いに苦労する難所でもあった。

 また、家内の実家のある篠井地区では、かつてUHF波が供給されていなっかた頃宇都宮のVHF波がこの半蔵山山塊により遮られ、非常に難視聴区域であった。山が文化を遮っていたのだ。その外見の偉容さのみならず、半蔵山は大きな存在だったのである。

 栃木の山に登るようになり地図がある程度読めるようになってくると、遠くから見える半蔵山の主稜線がとても魅力的に感じるようになってきた。道は無いかもしれないが、宇都宮と今市を分けているあそこを歩けないものかと・・・

 

 相変わらずH君とのコンビは天気に恵まれていない。昨日(土曜日)は天気も良く温度も高かった。こういういうベストコンディションの日に限って、外の様子を恨めしく思いながら会社でデスクに向かっている。今日は曇予報だが雨は夜以降との事。眺望は期待していないから今日を決行日としよう。

 

 先日偵察済みの駐車地にパジェロミニを駐める。今回は車2台体制で、先ほどH君の車を栗谷沢ダム脇に駐めてきたところだ。

 駐車地が既に440m程の標高にあるので、半蔵山は目と鼻の先である。本来の企画は男抱山から半蔵山を目指すつもりであったが、池ノ鳥屋に向けての尾根歩きに藪漕ぎや直登があるといけないので体力温存でここまで標高を車で稼いでしまった。

 駐車地のすぐ右手には男抱山方面の道標がある。このデザインの道標は、一昨年あたりからこのエリア一帯の随所に見られる道標であり、先日偵察をした半蔵山の北西側や、離れてはいるがかまど倉周辺にも見られた。一体どういう方達が整備されているのだろうか。頭の下がる思いである。

 さて、車を置いた所から僅かに北に進むとすぐ左手に林業用の作業道があり、ここに道標がある。幅の広い作業道なので若干興ざめな感じもするが、まずは半蔵山を目指す。

     
半蔵山下駐車地    男抱山方面への案内    半蔵山登路の作業道

 かなり上の方まで作業道は伸びているが、尾根が見えた頃、刈り払われた伐採地を構わず直登するとすぐに半蔵山の山頂に到着した。枝越しに僅かに眺望があるが、三角点のみのひっそりとした山頂である。
 山頂からはいよいよ縦走の開始だ。尾根を外さずしっかり歩いていこう。

 意外な事に、驚くほど尾根上はよく歩かれている。道形もはっきりしているし、危ないところもほとんど無い。ちょっと拍子抜けしてしまった。

     
伐採地を登る    半蔵山頂上    台座のみの石祠(左奥)

 半蔵山から493p(羽黒山)までの尾根道は快適そのもの。途中大きな岩があちこちに顔を覗かせているが、道を塞ぐような岩は今のところ無い。また、道標も所々にあり、安心感があるのも意外だ。色んな事態を想定して、実はザックにツェルトを忍ばせていたりするのだがどうやら杞憂であったようだ。

     
展望岩    明るい尾根   

 程なく"羽黒山"の山名板が掛かったピークへ到着する。493mと書かれているが、地形図の493m地点はもう少し西側になる。

 ここで丁寧にも池ノ鳥屋への道標が掲げてあったが、安政年間に建立されたと彫られている巨大石祠に目を奪われてしまい、思わず祠の向かう先の続く良く踏まれた道を降りてしまった。

     
羽黒山頂上    巨大石祠    安政三年建立とあるが

 すぐに気が付き引き返したが、戻る途中に首欠けのご神体が忽然と現れたり、巨大石祠が地元の人達の強い信仰の対象であったことが窺われる。石祠の向かう先の南側の道は今でも参道なのかもしれない。

 羽黒山まで戻り、西の尾根への入り口を見つける。鞍部から一旦登り返して地図に表記のある493Pを通過。こちらは何も無い。

 493pから、更に西に向かって行くが、470m地点で今日一番の難所に差し掛かる。慎重に行けば問題は無いが、垂直の岩で遮られた所を立ち幅やっとで急斜面をトラバースする区間があった。道無き道が好きな人には面白いコースかも知れないが、山馴れしていない方にはここは勧められない。

     
首欠けのご神体    地図表記の493m    493Pよりの厳しい下り

 493pを下りきったあたりで、それまで西を目指していた尾根が北へ進路を変える。うっかりしていると西の尾根をそのまま進み兼ねないが、ここは事前に要注意ポイントだったので難なくクリア。依然として道形ははっきりしている。

     
南側が見え始める    オブジェ?    一旦北西へ方向転換

 471mp(池ノ鳥屋)の直前で、平たい岩に出くわす。これによじ登るとその先に、今度は小さいがまた石祠がある。祠の向かう方角は田口の集落か落合集落か。建立者の願いを静かにたたえながらも長い間人知れず風雪に耐えてきたかと思うと感慨深いものがある。

 ここから更に進むと、樹に覆われた薄暗い池ノ鳥屋に到着。SHCカワスミさんの青い山名板が目を引く。

     
平たい岩を登る    小さく佇む石祠    池ノ鳥屋

 池ノ鳥屋からの下りはまたしてもミスコース。下っていく眼前に拡がる市街地の景色を見て、「おや!鞍掛山方面が見える筈なのだが」。
GPSを出すと完璧に逆方向。さて、南西の尾根は何処にあるのだろうかと山頂から見渡すと、山頂の少し手前から派生している尾根が見える。これは解りづらい。

 無事南西の尾根に乗ることが出来たが、池の鳥屋からの下りは途中途中に等高線で10m程度のピーク、また地図に現れない小ピークも幾つか越していく。さほどきつくは無いのでむしろ変化があって楽しい。もともとあまり眺望には恵まれないこのコース、途中岩の間に山ツツジの芽があちこちにあったので春先の天気の良い日も楽しい尾根歩きになるのでは無いかと思いを巡らせながら進む。

 樹間に鞍掛山が見えてきた、だいぶゴールが近づいてきたようである。

 さて、予定時間より大幅に早く来てしまっているので飯をどうしよう。時計を見ると11時ちょっと前だが出来れば少し気分の良い所で食べていきたいものだ。事前に眺めていた地図で、寄り道しようと思っていたピークまで足を伸ばす事にした。

 コースが南へ大きく進路を変えるポイント、ここから北西に境界石を辿れば410m級ピークがある。そこで食事としよう。

 410m級ピークに続く道は途中からは踏み跡が極端に薄くなり、行く手を阻む岩でほぼ往来は閉ざされた感じがする。岩をどうしたものかと思案したが、偵察してみると適度にホールド感があり、高さもさほど無いので先ず私が先行して登り切る。上から廻りを眺めると巻ルートが有るように見えるが、思ったより岩が簡単にクリアできたので上からアドバイスを出してH君にも追従して貰う。

     
地図に無い小ピークを幾つも超していく    鞍掛山が見えてきた    寄り道ピーク手前を阻む岩

 岩を登り切ったその先には、枯葉の絨毯が敷き詰められた気持ちの良い小広いスペースがあった。ここもまた枝に覆われ景色は良くないが、静けさの支配するこの空間はとても心地よい。さぁ少し早いが食事にしよう。

 食後のコーヒーを飲んでいると人の声が聞こえてきた。別のハイカーが我々と同じコースを通過しているようだが、この寄り道ピークまでは近づく気配は無いようだ。やがて声が遠ざかった頃我々も腰を上げる。

 先ほどの分岐まで戻り、南へ進路が変わると植林地の中を進むようになる。等間隔に植えられた樹林は、下枝が綺麗に枝打ちされていてなかな美しい。

     
ここを昼食ポイントとしよう       よく枝打ちされた美しい植林

 やがて栗谷無線中継所が近づいてくると右手に管理用舗装道が見えてくる。無線中継所の所では先ほどのハイカーが食事中である。今日のコースでは、正直H君以外の顔を見ることは無いだろうと思っていただけに、これまた拍子抜けである。

 栗谷無線中継所からは真南に階段がありこれを降りる。と思いきや、階段はすぐに無くなり後は竹藪になってしまった。だが、はっきりと踏み跡が続くので構わずこれを追っていくと程なく舗装の鞍掛峠の旧道に出た。不法投棄が後を絶たないようで、冷蔵庫などが無造作に捨てられていて目を覆いたくなるような状況だ。

     
栗谷無線中継所    踏み跡を追って構わず降りる    鞍掛峠へ降りた

 H君の車を駐めた栗谷沢ダムまでの旧道のアスファルト歩きは案外と足に堪える。今日はスタート地点から大きく見れば山下り的なルートであったが、それでも幾つかの起伏を越しての尾根歩き。想像していたような未開ルートとは程遠かったが、鞍掛尾根に次ぐ宇都宮の奥座敷然とした雰囲気に満足することの出来た一日であった。

     
栗谷沢ダム駐車地へ到着    栗谷沢ダムより半蔵山    田口集落より半蔵山

概略コースタイム
駐車地発(8:40)-半蔵山頂上(8:52)-羽黒山(9:21)-池ノ鳥屋(10:21)-昼食ピーク着(11:02)-
昼食休憩-昼食ピーク発(11:40)-栗谷無線中継所(12:11)-栗谷沢ダム脇駐車地着(12:41)

2009年02月14日

盗人岩との出合

 近々、半蔵山から池の鳥屋を歩くつもりでいる。2年越しの計画だ。

 半蔵山はガイドブックにも載っていない為、正式な登山道は無いが、それでもこの辺りの山域を愛する人々にはそれなりに歩かれている山でもある。
 今回は準備の仕上げとして、駐車地と取り付きの確認に出かけた。

 今日はその他にも、比較的広範囲に数ポイント偵察を行った。詳細については個々の山行記録をお待ち頂くことになるが、けむぞうさんの盗人岩(ぬすひといわ){442.8m}のアプローチを探している時に、鞍掛林道の最高地点から例の紅白の鉄塔をチラ見してしまったのである。

 車を駐めて(丁度良い塩梅に駐車スペース有り)上を窺うと、安全確実安心(笑)な巡視路が続いているではないか。何の装備も無い丸腰状態だが、かろうじてGPSは携帯している。どれ、少し見てくるかという軽い気持ちで登りはじめる。

 鉄塔の基部に立つと、あと少し上のほうに岩尾根っぽいのが見える。裏側を探して見ると、明瞭な踏み跡有り。辿ればすぐに「盗人岩」の三角点に到達だ。枝に覆われていて景色は悪いが、東に向かって岩のピークが連なっている。

 岩稜からは東西がぱっと開けた。おぉ!素晴らしき眺望よ。秘密基地を探り当てたような気分だ。頂上尾根はまだまだ続きそうだが、何せスニーカーでは足が靴の中で遊んで歩きづらい。今日はここまでとしよう。

 東を見ると鞍掛山の490mPから鞍掛尾根の連なりが真裏から見える。北の眼下にはやけに岩っぽい山が控えているが、昭和ケミカルの北側の山であろう。山頂で一瞬チラチラ光る物が見えた。人が居るのか?単眼鏡を取り出して覗きこむが、風で樹が揺れたようである。

     
盗人岩三角点       なんと素晴らしい眺望

 図らずもプチ登山となってしまった盗人岩を後にして、この後数箇所林道の奥地に入ったりして一応本日の偵察終了。半蔵山の東側と西側、そして岩崎地区、シメは岩崎観音の脇にある蕎麦屋。今日は5月並の陽気で汗ばむ位だ。冷たい蕎麦のひんやりとした喉越しが心地良かった。

     
鞍掛山西(490p)峰    やけに岩っぽい山がそこに    岩崎観音脇の蕎麦屋
     
大もりそば    パンフ    盗人岩のコース(一応)

概略コースタイム
駐車地発(11:48)-盗人岩三角点(11:58)-最深部{東}(12:08)-駐車地着(12:23)

2009年02月01日

古賀志540mPへ

 昨日の低気圧の通過で今日は朝から雲一つ無い青空。等圧線が狭いので風は幾分強いが、雨上がりの水蒸気を吹き飛ばしてくれるので景色には大いに味方となる。

 朝起きて天気が良ければ今日はどこぞの山へ・・・なんていう気まま生活(勿論ウィークディの話)が理想である。しがないサラリーマンは流石に平日は無理としても、それでも休日にドンピシャ条件が合うと嬉しいものだ。昨日の雨で日光の山並みに新雪が降ったかどうかは判らない。でも、きっと今日の輝やきはいつにも増して綺麗に違いない。宇都宮近郊から日光方面の好眺望ポイントは多々あるも、今回はその中でもお気にいりの古賀志山540mPからの日光連山に逢いに行くことにした。

 森林公園駐車場に着くともう10時を回ろうという時間なのに、これから出発するハイカーも沢山見られる。流石に古賀志山だ。最近1日中誰にも会わない山ばかり歩いているので少し異様な光景に見えてしまう自分が実は異様なのか?(笑)

 車を奥に進めると、北登山道の入り口にある釣り堀周辺も路駐で車が一杯だ。川のたもとに一カ所丁度パジェロミニがスッポリ収まるスペースがあったので此処に駐める。

 支度を終えて真上を見ると何やらしっかり歩かれた感じのルートが続いているではないか。そういえば以前東陵尾根コースに北登山道から取り付いた時に、途中から南の尾根から登ってきた人達を見たが、恐らくこのコースなのだろう。地図を見ても十中八九間違いなさそうだ。今日は中尾根の岩場で全身運動をし、その後のアップアダウンで汗をかいてから540mPへ向かう予定だったが、見上げるルートも見過ごせない。よし、今日は東陵コースだ。

 のっけから岩が顔を覗かせている斜面を行くが、よく歩かれているのでルートに不安感は全くない。というよりも、最近歩いている山に比べるとあまりにも人の往来が多いので、枝道の一本一本がどれも立派な登山道に見えてしまうのでかえって要注意だ。

 幾らか高度を稼いだかなと思いふと後ろを見ると、左に天狗鳥屋が迫り、そして右に目をやれば雲雀鳥屋と多気山が赤川ダムの向こうに並ぶ。

 間もなく北登山道から登ってくる道と合わせると、後は正面に大きい東陵を目指して尾根を詰めていく。

     
東陵尾根登山口に駐車    岩を縫って快適に登る    左から、天狗鳥屋・雲雀鳥屋・多気山

 東陵直下の岩場の所で南に巻く道を少し追ってみた。トラバース気味に幾らか下降すると、右手(北側)に大岩壁現る。これぞ古賀志山の正体か?ロッククライミングの練習場になっている岩場があると聞いていたが周囲に人の気配無し。

 流石にここは進める訳も無く、元のルートへ復帰。鎖場を慎重に登って東陵に出てみると既に沢山のハイカーでごった返していた。ここまで出会った登山者は1名のみだったが、やはりここは古賀志山。北や南のメジャーコースからは沢山登ってきているのだ。

 見晴台より東を見ると、先日登った雨乞山のピーク達が行儀良く並んでいる。

 景色は素晴らしいがちょっと人の多さには辟易してしまう。給水休憩もそこそこに富士見峠、559p方面へと先を急ぐ事にする。

 富士見峠から北側は、流石にハイカーの数は激減するもそれでも時たま対向のグループとすれ違ったり、高齢のご夫婦を追い抜いたりとなかなか人気のエリアだ。559p直前の急登も上から数グループが降りてきて道を譲った程である。(お陰で立ち止まる時間が増えて楽だった)

 丁度お昼時だった事もあり、559pも沢山の人の声で満ちている様子。自分の今日の目的は540pだから、ここも立ち寄らず素早く通過である。

     
行く手を塞ぐ大岸壁    東陵見晴台より    559の鞍掛尾根分岐

 いよいよ鞍掛尾根に入った訳だが、またしても数名の登山者と行き違う。お目当ての540pに着き食事を取っていると、後続の中年夫婦一組がランチタイムとなった。彼らもまた古賀志山の喧噪を避けてこの好眺望の540pを訪れたのであろうか。こうやって年々有名になって行くのは良い事であるが、秘密基地を見つけられた子供のように、ちょっぴり残念な気持ちにもなるものだ。

 眺望はと言えば、一番上の写真、下の写真。言わずもがな大満足。あぁこれでまた一週間、仕事のストレスを我慢することが出来るなぁなどと思いながら、時折吹く強い北風に現実に追い戻されるようにして下山の途につくのであった。

 で、

 もうちょっと北側の尾根を歩いて、舗装林道に抜けるルートで駐車場に戻る筈だったのだが、

 540pから降りていく最中に、「日当たりの良い南斜面は暖かいなぁ」、「む!南斜面?」

 今日は既知のルートだったので地図はGPSのみ。また、GPSにルートは設定していなかった。途中急な所にロープが掛かっていたりしたのですっかり油断していたが、真東の尾根を降りてしまったようだ。道形もしっかりしているし、GPSで確認しても方角的には目指す林道に向かっているので構わず降りていくと、何やら中年女性が2人、道に陣取って食事中。

 通りかかると、「すみません、鞍掛山から来たのですが道が判らなくなって、もう疲れちゃって登り返す元気が無い」と言う。自分も道を今間違えたところだが、感じでは此処を降りればOKっぽい雰囲気だと告げる。

 判りました、それでは、という感じだったが、自分一人では適当にルートを取れても、この二人が切り抜けてくれなければ事故に繋がり兼ねないので「一緒に行きましょう」と声を掛けた。こんな即席パーティ、以前鳴虫山でもあったなぁ。

 すぐ下に作業道の道形が現れ、程なく地図には無い舗装林道に出る。後はこれを辿れば大丈夫だろう。僅かの間のリーダーだったが無事お役目御免となった。

  
540mPより 今日のルート      

概略コースタイム
駐車地発(10:29)-大岩壁(11:25)-東稜見晴台(11:46)-富士見峠(11:56)-559分岐(12:18)-
540p着(12:49)-昼食-540p発(13:07)-舗装林道出合(13:35)-駐車地着(14:06)

2009年01月25日

薮をかき分け雨乞山

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 最近やたらと仕事が忙しい。この景気低迷の時代に仕事が有るというのは幸せな事かも知れないが、「有りすぎる」というのも困ったものである。30代の頃も猛烈に忙しかった時期はあったが、当時は仕事で燃え尽きた感があり家では脱力していたものだ。最近は忙しくともどこか余力を残す知恵がついたようで、これをずるいと言うか賢いというか、50歳を目前にしてもまだどちらかはっきりとは判らないものである(^^;

 で、まぁ普通なら日曜くらい家でゆっくりといった所だが、日頃クヨクヨする時間の多い中高年にとって黙々と汗を流すのは精神的にも大いに結構。だが、ジムに会費を払ってマシンの上でハムスターみたいな真似事は性に合わない。やはり自分は山である。

 寒さもいよいよ本番を迎える"薮山の旬"、日曜の午後に地図に山名も無くば、ルートも不明な雨乞山(あまごやま){360m級}へ向かった。

 雨乞山は、かねてより新里街道を日光方面に車で向かう際に、その形の良い姿が気になっていた。また、男抱山からも西に、その鋭敏なピークが認められ、あそこに立てないものかと思っていたところ、ブログ仲間のけむぞうさんが先日歩かれたのが刺激になり、是非自分もと思い立ったのである。

 鞍掛山へ向かう道の石鳥居のある手前、少し左側にスペースが膨らんでいる所に車を置く。ここから田んぼのあぜ道を失礼させていただき、チェーンで封鎖された舗装林道を進んで行く。

 真新しい砂防ダムがあったり、なかなか整備が行き届いた感じの植林地は奥に行くとやや荒れてくるが、まだ舗装道路はしっかりしている。あらかじめ地図で検討しておいたポイントから薮が生い茂る斜面へ取り付いた。道も踏み跡も皆無だが、標高にして30m~40mも登れば尾根筋に出る筈だから何とかなるだろう。

 序盤は伐採された緩斜面なので楽に登れた。そのうち薮と倒木が出てくると斜度も手伝ってなかなか手強くなってくる。安全で体力を消耗しないコース取りは案外難しいものだ。

     
舗装林道入口    ここから左へ取り付く    行く手を阻む薮

 尾根に出てみると鉄条網が稜線伝いに張られている。隣が射撃場なので(今は使われていない感じがする)危険防止の為に立ち入り禁止のようだ。手入れがされていないで数箇所破れている所もある。下を窺うと、射撃場方面に下っていく踏み跡が微かにあるので往来があるようである。

 尾根も容赦の無い薮に覆われているが、なんとかストックで払いながらやり過ごす。やがて現在伐採が進行中のエリアになり、薮とは一旦お別れになった。

     
尾根上に鉄条網が    尾根上も薮が    植林地を登る

 チェーンソーを使って上手に椅子とテーブルがあしらえてあったり、真新しい切り株があちこちにあるところを見るに、平日に作業員の方が作業している様が目に浮かぶようである。
 稜線を段々登り詰めていくと鉄条網も無くなり雰囲気も明るくなってくる。西側に枝の合間から見える鞍掛山のシルエットが大きい。

 最後の電車道のような登りを終えると、そこが一つめのピーク。西峰である。景色はかろうじて枝の合間に西側北側が少しといったところだ。

     
きこりの休憩所    鞍掛山が見える    西峰

 西峰から一旦鞍部に降りるのだが、薮に覆われていて尾根筋がよく見えない。少し南に下る方向に踏んだ感じがあるのでこちらを辿る。方角をロストしないようにトラバース気味に降りると古い作業道に出会う。少し先を見ると鞍部より若干下げた南側に続いているのが見えたので、そこまで進み再び尾根に取り付き直す。やたら棘の多い薮なので難儀した。今日はこんな薮なのに軍手を忘れた事を大いに後悔する。取り付いた尾根から西峰への踏み跡がばっちりと付いていたので、やはり入り口を見落としたのだ。

 ここからは案外しっかりした尾根道が続くが、中央峰(雨乞山)直前の急登はなかなかきつい。枝や根を頼りに息き切らせながら登り切ると、やや明るいもののそこもまた眺望に乏しい。山頂の北側は結構鋭敏に切れ落ちていて凄みがある。

 中央峰から南東への高度下げが難しかった。踏み跡は深く落ち葉に覆われていて、とにかく安全に行ける所を選んで進むといった感じで気が抜けない。難しかった箇所をやり過ごし、鞍部前の小ピークで再び薮に隠された尾根筋を見過ごす。よくよく見ればはっきりとわかるのだが、若干巻くのだろうなどと勝手な想像で踏み跡の濃い方を辿るとどんどん高度を下げていくので間違いに気付いた。リカバリして、薮をほんの少し掻き分ければ今度は軽快な尾根道である。なかなか一筋縄ではいかないが、メリハリが効いていて楽しい山歩きである。

     
西峰から再び鞍掛山    中央峰(雨乞山)    軽快な尾根道

 東峰(333mP)への登りは案外平穏。もう一息という所で岩が見えてきた。そこから眺望があるのかと期待をしながら登るも、ここもうっすらと南の雲雀鳥屋方面が見えるのみ。

 東峰からはの下りは特に迷うポイントも無い。一番東側の四つ目の展望峰へ向かう中間点を下山ポイントと考えていた。ところが、様子を伺うとかなりの激薮でちょっと手に負えそうも無い。展望峰まで行ってその先の尾根を降りられなかったら戻るしか無いかぁと腕時計に目をやりながら進んでいく。

 鞍部では北側から作業重機用の砂利林道が上がってきている。と、同時に樹に赤テープが巻き付けられていてにわかに人の手の入った気配が濃くなってきた。それまで野生の中を彷徨うようにして歩いてきたせいか少しほっとしたのも事実である。

     
東峰直下の岩    岩から雲雀鳥屋方面    展望峰手前鞍部

 一登りして展望峰へ到着。パッと東側に開けた眺望が目に眩しい。今日のご褒美にしばし休息だ。

展望峰より宇都宮市街

 さぁ、下山はどうしよう。先ほどの鞍部まで降りて薮を突破しようか。南の尾根はどうだろうと偵察すれば、赤テープが続く。良く踏まれているし、手堅くこちらだなと即断だ。{薮はちょっと食傷気味}(^^;

 深い落ち葉に転びそうになりながら降りていくとやがて車道の向こうにパジェロミニの姿が見えてきた。けむぞうさんコースでどんぴしゃ着地成功!

     
茗荷沢寄りにて    手前展望峰,左奥鞍掛山   

概略コースタイム
駐車地発(13:19)-林道から取り付き開始(13:34)-尾根(13:43)-東峰(14:08)-中央峰(14:37)-
コースアウトで約10分ロスト-東峰(15:00)-展望峰(15:17)-駐車地着(15:38)

2008年12月21日

もう一つの羽黒山神社

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 鹿沼街道を西走する時にいつも気になっていたのが、野口雨情旧居がある場所の裏手の山。道路添いから見るとこんもりとした裏山のような風情で、上に向かって真っ直ぐ伸びていく道が見えていた。地形図には山名表示はないものの、ネットマップ(Mapion)で見ると羽黒山神社となっている。

 午前中に少しだけ時間が出来たので懸案のこの場所に行ってみる事にした。散歩の延長だから、普段着にスニーカーだが、デジカメとGPSだけはしっかりと携行する。カ○チ薬局の駐車場の片隅に車を置かせて貰った。一応買い物をと思い、缶コーヒー1本を自販機で買う。

 野口雨情旧居をチラっと見学して、この建物の裏手から北側参拝路前と進む。こんな場所を歩いてくる人間も少ないのだろう。裏手の家に繋がれていた犬が「何何?なんなの」といった感じでびびっている。やおらデジカメを取り出して撮影を始めると「わぉーん(何やってるの怖いよぉ)」わぉーんと鳴きだした。

 いやー、すまんすまんと北側の急登(笑)に取り付くと・・・

 何かすごーーく足が滑る。深い落ち葉の下は固い露岩のよう。水を含んですっかり滑りやすくなっていて思わず転びそうになった。

     
野口雨情旧宅    北側参拝路入口    同左全景

 急登(再び笑)をあっという間にやり過ごすと三角点に到着。神社の裏手だ。上河内にある羽黒山神社にも置いてあるような槍(なんて言うのだろう)のようなものが置いてあるので、やはりこちらは分山なのだろうか。

 社殿の表に出てみると、南から車道が登ってきている。周囲は微妙に枝に邪魔されていて景色はすっきりしないが、木を2~3本切れば東側はお手軽な初日の出スポットになるだろうにと残念である。もっとも聖域なのだから、初日の出を見たいが為に木を切ってくれなどと言ったら氏子から一喝されてしまうだろう。

     
三角点    羽黒山神社    下の住宅地

 神社から南へ進むと、一旦アスファルト路を挟んで公園がある。遊具も設置されているので、近所の子供達にとっては恰好の遊び場だろう。山の東側はどこからでも自由に山頂を目指せる感じなので、基地の設営や戦争ごっこ(我々が子供の頃はこういう地形を利用してよく遊んでいたものだ)に最適だと思うが、今は親も周囲も神経質になっているのでそんな遊びをする子供などいないのだろう。

 この公園から更に南に進むと、石段のある明るい参拝路になる。こちらが通常参拝路のようだ。犬を連れた子供が元気よく石段を駆け上ってきて、すれ違いざまに笑顔で「こんにちは」と挨拶をした。山の中でよく交わされる挨拶とは違った何気ない日常の一コマの中でのこの挨拶。思いがけない清々しい気分になれた散歩であった。

     
公園    南参拝路    同左

概略コースタイム
一応コースタイム
駐車地発(10:09)-三角点(10:17)-公園(10:22)-缶コブレイク-南鳥居(10:32)-駐車地着(10:37)

2008年12月07日

鞍掛山から470m級Pを周回



-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --


 ネット山仲間のNonさんのところで鞍掛山から周回で登山口西側の林道へ出てくるコースが話題になった。

 土曜日に仕事だったので、一応日曜は安息日にしたい。まぁ適度な運動も必要だろうという言い訳を自分にしながら(^^;、距離的に内容的にも丁度手頃なこのコースを歩く事にした。

 駐車地付近はもう幾度となく徘徊を繰り返しているのでもはや庭のような(大袈裟)感覚である。
 11時頃に駐車地に着くと、今日は一杯車が止まっていて駐車スペースが無い。登山口の少し先にある路側が少し膨らんだ所にパジェロミニを駐める。前回鞍掛尾根を縦走したときも此処に駐めた。丁度ミニがすっぽり収まるスペース。自分の指定席かなと錯覚したりするのもまた楽しい。

 天気もすこぶるヨシ。鼻歌交じりで植林地脇を登って行く。双体神の所でカメラを取り出し撮影すると・・・
 シャッターを切った後の液晶のプレビュー画面がおかしい。横に縞々が入っていて良く見えない。回路がバグッたのかと思って電池抜きリセットで数分間放置を試みるも変わりなし。
 まぁ撮影は出来るので、ディスプレイだけの問題かなと思い、この後もいつものペースで撮り続けた。が、・・・家に帰ってPCに取り込んでみると、プレビュー画面と同じ。微かに写っていたり真っ白だったり、まったく見られたもんじゃない。
 壊れてしまったようである。

 という訳で、今回は残念ながら写真無しである。

 気を取り直し、進路を東に取り尾根コースを辿る。終盤の急登を登り切って、大岩から南東に延びる肩尾根に到着。

 今回の探検その1は、ここから南へ約50m先のピークである。探検というにはいささか拍子抜けする内容ではあるが、この南峰(勝手に命名)は木に覆われていて眺望は樹間にまばら。更にほんのちょっと南側には、東~南へ眺望が開けるポイントあり。直下に男抱山の双耳峰が行儀よく並んでいる。ここもまた初日の出ポイントとして良いかもしれない。

 南峰から更に南へ下る道が続いている。「栃木の山紀行」さんでもルートの紹介がある。次回課題としよう。

 道草の後は大岩でのランチタイムである。

 今回はお湯を注ぐだけのカップラーメンから一歩前進!

 ジャジャーン! 袋ラーメンであります。

 "所詮煮るだけじゃん"というツッコミもあろうが、"煮る"というのが妙に料理っぽくてわくわくする行為だったりする。てな訳で、買ったコッヘルも初めて本来の機能を任されたのであった。{写真が撮れなかったのが残念無念}(笑)

 大岩で先に食事をしていたのが土浦から来ていた70代のご夫婦。100名山は歳の数と同じ70位まで制覇。栃木や群馬の山頂も次々と踏んでいるようで、「分県 栃木の山」の巻末山名一覧の登った山に沢山マルが書いてあった。元気なお二人を見送り、熱いコーヒーで景色を眺める。至福の一時だ。

 後半は、山名の通り鞍のような山頂の平坦地を突っ切り、最近設置されたばかりの「古賀志山へ」の道標に従い樹林深き北側の尾根に吸い込まれていく。以前大間違いをしたポイントも流石に3回目になればもう余裕しゃくしゃく。ずんずん高度を下げた向こうに470m級ピークが聳えている。この登り返しは結構キツイ。

 登り返せばまた明るさが戻って来る。北側の景色が良くなり、雪を纏った日光連山が白く耀きながら静かな尾根を遠くから見守っている。

 ジェットコースターのような470m級ピークが下りに転じる。慎重に歩いていたつもりが一カ所コースアウト。よく見ればルートを判別出来た筈なのに、踏み跡一杯の方面に釣られていくのは、集団心理に毒されている証左かとちと自虐的な気分になる。そこを間違った人は、皆一様に急斜面からトラバースして正規ルートへ復帰しているようである。そんな道迷いの恥ずかしさを隠すように、優しい落ち葉が踏み跡を覆っていた。

 本日の探検その2。
 高度を下げきった鞍部から予定していた林道への藪漕ぎ想定区間はあっけなく終了。本当にあっけなく(数十m)、薮などまったく無くて拍子抜けしてしまった。ちょっと企画倒れだったかな?  まぁよしとしよう。低山シーズンはまだ始まったばかりだから。


概略コースタイム
駐車地発(11:11)-大岩手前峠(11:50)-南峰(11:53)-大岩着(12:06)-ランチタイム-
大岩発(12:48)-鞍掛山頂上(12:58)-470m級P(13:17)-林道出合(13:38)-駐車地着(14:00)

2008年11月24日

里山の秋を散歩する

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 連休は、初日は休出で残務処理に追われる。先週来の出張漬けの疲労が溜まっていて、日曜は流石に歩く気力が起きなかったが、澄み渡る青空を仰ぎながら忸怩たる思いに身を焦がす。更に最終日は雨予想で落胆する。

 雨の一日をどう過ごそうかと思いながら、目覚めてカーテンを引くと、降りそそぐ朝日がまばゆい。これは朝のうちだけでもどこか歩きたいものだ。前日の周到な用意はしていないので、初めての所は無理。男抱山はどうだろう。基本的に南方面の眺望だ。冠雪の日光方面を是非見たいので却下。しばし思案の末、大谷にある戸室山でコーヒーを飲んで男体山を眺めてくることに決めて出発した。

{戸室山の前回の記事はこちら

 前回も同じようなアングルから戸室山全景を撮影したが、色づいた風景はなかなか素晴らしい。里山なれど侮りがたし。仕事でいささか落ち込み気味の気分が一挙に昂ぶってくる。低いけれど、今からあの色づいた山を歩くのだなと。

 登るのは2回目なのでコースに不安は無いが、ちょっと欲を出して神社脇の踏み跡を追ってみるもすぐに斜面が急になる。ままよ、とそのまま木の枝に捉まりながら直登して登山道へ復帰。あとはあっというまに山頂手前の展望岩へ到着。

 予想通りの風景を眺めながら、ゆっくりとお湯を沸かしてコーヒーを飲む。疲れが癒される瞬間だ。

     
戸室山の紅葉    展望岩より古賀志山と男体山    鹿沼の山並み

 ふと気が付くとすっかり体が冷えてしまった。予報通り、南西の方角にはもはや高い所に雲がせりだして来ている。

 前回は北側の尾根を降りて車道伝いに大きく迂回して戻ったが、今回は山頂から南東に延びる道を辿ってみることにした。
 すぐ、東側に開けた岩の展望台が現れた。真東の宇都宮市街が一望出来る。これは初日の出ポイントだなと閃いたが、神社がある山だから地元の人達で混み合うのだろうか。まぁ後でネットで調べるとしよう。

 道はこの展望岩で終わり。だが下を見ると傾斜の緩い所に縦横無尽に踏み跡か獣道なのか、こっちへおいでよろしく下へと続いている。地図を見ると展望岩から下には崖地が無いので様子を見ながら降りてみる事にした。

 枝に捉まって降りるところ数箇所、木も少ないし薮は殆ど枯れているのでルートが自由に取れる。やがて農家の大きな屋根が見えてきた。田んぼ脇の木橋を渡って車道に復帰。目標の駐車地より少しだけ手前に出たので、もう少しトラバース気味に降りればドンピシャだったのだが、行く手にちょっと岩っぽい雰囲気があったのでまぁ安全第一でよしとしよう。
 自分で降りておきながら言うのも気が引けるが、この下山路は登山道では無いので通行される場合は完全に自己責任でお願いしたい。また、農家の裏手に出てしまった事から、私有地を通行している可能性も大きいのでこの点にも留意していただきたい。

 山頂であれだけのんびりしてきたのに、時計を見るとまだまだ時間が早い。昼に自宅へ戻るならば、天狗鳥屋あたりの寄り道もよろしかろうと、遊びならなかなか機転の利く自分である。

 森林公園へ車を進めると、一帯は紅葉が綺麗になっていた。赤川ダムから望む古賀志山もいつもと違った趣がある。

     
戸室山頂上付近    宇都宮市街が見えるポイント    赤川ダムから古賀志山

 

 

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 ダム脇のキャンプ地あたりからトリムコースを登っていく。よく整備されたコースの周回点で、コブシ岩への道標を見る。ほぼ一直線に尾根を歩き、登り詰めたピークを左折する。鞍部から大きなジグザグで登り返せば天狗鳥屋の山頂だ。相変わらず木に囲まれていて眺望は無い。ここから少し南に下った場所にあるコブシ岩展望台で一休みとする。

{天狗鳥屋の前回の記事はこちら

 

 もう少し眼前の木を何とかすれば景色も開けて人が来るのにと残念だ。

 今回の下山は、腹案だった駐車場への周回コース。前回は林道長倉入線終点からアスファルト路歩きを延々としたが、既に偵察済みの林道外側の尾根を辿って見ることにした。

 天狗鳥屋からピストンで先ほどの分岐ピークまで戻り、そこを北へと進む。穏やかな尾根道が続く。やがて右下に舗装林道の終点が見え、直進で尾根を追うことも出来るが斜面沿いに右へ180度転回すると、そちらにもまたしっかりした尾根道が続く。少し下に土の作業道があるが、これは見送る。

 349mピークあたりに左右に降りていく道があるが、これに引き込まれないように忠実に尾根を追う。若干ガクンと急に下がる箇所をやり過ごすと再び緩やかな下りになる。やがて、右手の作業道と並行し、暫くするとアスファルト林道に出た。駐車場から林道終点までの1/3位の地点だから上首尾だろう。

 軌跡を見ていただくと解るが、道は尾根から少しずれている。次回ここを歩く時は、終盤に道を外して尾根を忠実に辿れば、アスファルト歩きをせずにダイレクトに駐車地に出る筈。そんなことを考えながら本日の散歩は終了した。

     
天狗鳥屋方面分岐    コブシ岩より    周回して林道へ

 

《追記》

 最後に歩いた林道の舗装部分軌跡が2万5千分の1地形図と約30m程平行してずれているのが不思議である。
 GPSのほうは測定誤差が当然出てくるが、同じ山域でもほぼピーク通過時とかは正確にトレース出来ているので、空が見える林道で30mも誤差が出るのは考えづらい。ということは地形図の道路の位置がずれているのでは・・・などという想像もまた、アフター山歩きの愉しい部分である。


概略コースタイム
【戸室山】
駐車地発(8:27)-山頂東肩の展望岩着(8:41)-コーヒー休憩-出発(9:13)-東の肩展望岩(9:20)-
車道(9:33)-駐車地着(9:36)


【天狗鳥屋】
駐車地発(10:02)-北側尾根分岐(10:22)-天狗鳥屋頂上(10:28)-コブシ岩(10:31)-
北側尾根分岐(10:42)-方向転換ポイント(10:50)-349mピーク(10:54)-
林道出合(11:08)-駐車地着(11:13)

2008年07月12日

地蔵岳と多気山 意外な組み合わせ?

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 GPSを新調してからまだ実戦での使用を経験していない。梅雨の中休みの予報だが、基本的には不安定な大気。早い時間に一座こなして余裕があればもう一座と考え、粕尾峠にある地蔵岳(じぞうだけ){1274.3m}に、もう一座は細尾峠旧道から薬師岳往復をと考え自宅を発つ。

 粕尾峠はこの季節バイクが多い。タイトで見通しの悪いコーナーの連続は決してハイスピードで楽しむ事は出来ないが、それでも一つ一つコーナーを手繰っていき山越えをしてく醍醐味はこの峠ならではであろう。とりわけ今の季節は、明るい緑の織りなす風景が筆舌に尽くしがたい程美しい。そんな峠に向かって元気に走り去るバイクに道を譲りながら、パジェロミニも日常では使わないような低いギヤーと高回転域のエンジンで高度を上げていく。久しぶりに鞭打たれたターボーエンジンの甲高いタービン音が高揚を誘う。

 峠を越して250m程先に地蔵岳登山口の道標があり、もう少し先に駐車スペースが有った。身支度を調え、GPSをカーナビモードから登山モードに設定変更していざ出発!

 登山口から暫くは穏やかな斜面が続き、ガイドブック通り「トラバース気味」に高度を上げていく。それもすぐ終わって平坦な湿地帯のような所へと出る。地蔵平である。「思川源流へ5分」の道標がある。帰りに寄ってみよう。

 新しいGPSが気になって途中幾度も画面を覗き込んだのだが、事前に把握していた尾根道とは随分離れているルートを歩いて来たようだ。途中には道標が至る所に設置されており、現に予定通りに地蔵平へも到着しているのでミスコースでは無いの確かなのだが・・・

 下野新聞社「栃木百名山」や「栃木の山紀行」さんで紹介されているルートは、いずれも「粕尾峠より足尾寄りに250m下ったポイントから入山し、トラバース気味に登り地蔵平へと到着する」とある。今回自分もまったくその通りに歩いて来たのだが、決定的に事実と違うのは両者とも紹介している地図上に、粕尾峠から殆ど離れていない地点から続く境界尾根を示している点であった。

 ここまでは尾根に乗らずにトラバースしているので、GPSなぞ無くても山慣れした方なら状況記述と地図にトレースされたコースとの不一致にすぐ気付く筈だ。初心者の自分もこの事に確信を持つに至ったのは後半の下山時であった。

     
登山口    地蔵平   

 地蔵平からは山頂より伸びる主尾根に乗り、段々と斜度もきつくなってくる。途中にある展望岩からは東側がひらけており、方塞山の電波塔から大きな横根山一帯が広がる。この展望岩から一登りで山頂である。

 山頂もまた東側の樹木が伐採されており眺望は展望岩とほぼ同じである。祠に鎮座する地蔵が見守る静かな山頂には沢山のトンボが飛んでいた。ザックを降ろししばし休憩といきたいところだが、先ほどから顔の廻りや両腕にアブやら虫がまとわりついて五月蠅いことこの上なし。貴重なほ乳類出現とあって吸血鬼の格好のターゲットにされそうになった。いや、正確には2度ほどチクリとやられているのでもはや未遂ではない。虫除けスプレーの携帯を忘れた事に深く後悔しながら慌ただしく山頂を後にするのであった。

 実は後になって地蔵岳が双耳峰であることを知った。山頂からほぼ南に直線で約200m。確かに地図上には顕著なピークが記されてる。前地蔵と呼ばれているそうだ。南に向かう道形は山頂で確認していたので、もし事前に知っていたら間違いなく歩いていた筈だが、次回の楽しみにとっておこう。

     
展望岩    展望岩より横根山方面    地蔵岳山頂

 地蔵平まで戻り、「この先5分」の道標に従い"思川源流"を訪ねる事にした。
 途中崩落した所を上巻するように付けられた場所以外は特に起伏も無く、程なく源流へと到着した。栃木市をゆったりと流れる思川がここより始まるという感慨を胸にして、地蔵岳より生まれし清流をひとしずく口に含む。冷たくはあったが、どこか柔らかい味のする水であった。

 地蔵平でひときわ目を引くのが少し小高い場所にある首缺け地蔵である。200年程の昔から存在すると言われているが、真新しい緋色の涎掛けは今でも篤い信仰のもと手入れがされている事を物語っている。

 で、この地蔵さまの写真を撮ってふと上のほうを見てみると、境界石が埋め込まれているではないか。往路に気になっていたことが一瞬で頭の中ではじけた。慌てて地図を取り出してみると間違いなく境界尾根である。GPSを取り出し"臨戦モード"に設定し辿って見ることにした。本来は此処を通ってくるべきだったのだから。

 歩き出してすぐ道形が無くなったと思ったら見覚えのある地点、すなわち往路で通過した地点で登山道と合流。ここでクロスしていたのか。

 さて改めて地図とGPSで検討し、目前を塞ぐピークに取り付いてその先に続く尾根を追うことにした。当然の事ながら道は無いが、薮にはなっていないので高度を上げるのは易しい。所々よく見るとかなり薄いが消えかかった踏み跡が散見される。最後の方は斜度も若干きつくなったが、登り切ってみるとやはり地図通り延々と尾根が続いている。尾根通しの道形ははっきりしてはまた消失しての繰り返し。境界杭の存在と、GPSの示す現在位置と次のポイントへのコース角、いずれもが一致していた。若干痩せ気味の箇所もあったが、危険な感じはまったく無い。

     
思川源流    首缺け地蔵    道無き尾根を辿る

 2つめのピークを降りた所で忽然と手前に岩が散乱するピークが現れた。それまで忠実に追うことが出来た稜線も見た目には此処で分断された形になった。写真で見ると小さな石ころのように見えるが、大きな物は長辺で2m弱くらいのものもある。よく見ると角が浸食されておりかなりの長い年月そこに露出していたことが伺える。向かい側の斜面から崩落したにしては付近にあまり岩が目立たないのは不思議である。人知を越えた神のなせる技・・・天狗の仕業か?人知れぬ粕尾の山中のミステリーである。

 さて、ここをどう進もうかと思案する。斜度を見ると右手が比較的楽に行けそうだが薮が濃い。左手を巻くのはちょっと偵察してみたが、どのみちピークに這い上がらなければならない。ならば正面突破だろう。岩を越えてその先の斜面を、高度差にして約20m程よじ登るとまた道形が現れた。

 以前はこのルートで地蔵岳にアクセスしていのかも知れないが、起伏を嫌ってトラバースルートが出来てからはこちらは歩かれなくなったのだと思う。ネットで色々な人の山行記録を読んでみると、粕尾峠からのこのルートは、先ほどの岩場地点あたりで踏み跡消失という雰囲気で書かれているものが多い。今回の自分のケースでは車道まで数百mの地点で、目指す方向も明確故に余裕の判断であったが、逆向きに山奥へ向かうとなると、いくら地図と照らし合わせて正しい方角でも、完全に道形と踏み跡が消失する岩場付近で諦めるのは正解と言える。

 寄り道ですっかり時間を食ってしまった。もう少しで粕尾峠へ出てしまうのは解っていたが、丁度昼食に良い岩があったのでここで食べていく事にした。樹に囲われていて全く景色は無いが、苔むした岩に腰掛けて食事するのも一興だろう。ここでもまた、珍客を格好の吸血ターゲットとする虫達と共に過ごすことになった。

 食事を終えて再スタートするとあっけなく粕尾峠のアスファルトが目に飛び込んできた。最後はザクザクと草を踏んで適当にフィニッシュ。道路に出て見ると、「登山口250m先→」と往路のトラバースルートに誘導する道標が目に入る。

     
行く手を阻む岩場    手頃な岩で昼食    粕尾峠出合

 車に戻り次なる目的地、細尾峠旧道へと向かう。相変わらずバイクの走行台数は多い。

 足尾側へ幾つか下った右カーブの所で、SUZUKIの赤い400ccがガードレールの所に前輪を落としていた。ライダーが引き上げようともがいている。恐らくオーバースピードでフロントブレーキを掛けたら浮き砂でスライドでもしたのだろう。車を脇に駐めて一緒に引き上げた。中排気量だとフロントも軽いので2人で引っ張れば大丈夫だが、大型だとこんな場面はかなりキツイかもしれない。まぁライダーも怪我無し、バイクも目立った損傷も無かったようで何よりである。

 日足トンネルの手前を道路標識に従い旧道へと曲がる。草が左右に張り出した入り口を少し進むとすぐ通行止めの看板が目に飛び込んできた。道路崩落で歩行者までも通行禁止になっている。「長い長い峠道案内」かぁ。徒歩でも良いから一度は歩いて見たいものだ。

 国道へ復帰し、長い長い日足トンネルをくぐる。向こう側の日光側入り口に未練たらしく行って見るも、ここは以前からゲートで閉鎖されていることは知っていた。うーーむ。閉ざされた細尾峠。いつの日か訪れん。

     
細尾峠足尾側入り口    うーん行ってみたい    細尾峠日光側入り口

 二座目を肩すかしされた格好の自分であるが、このままおめおめと日光街道を走って帰るのも悔しかったので寄り道をすることにした。

 寂光の滝。涼味満点。女峰山登山口として登山カード入れが設置してあったが、地図を見るとここからのピストンはかなり体力がある人でないと制覇できそうも無い。自分などとんでも無さそうだ。

     
寂光の滝      

 まだまだ、寄り道は続く。

 大沢の先からいつもの県道22号に入り、鞍掛トンネルを越える。栗谷沢ダムの北側、すなわち半蔵山の南面にちょっとした林道がある。以前まだ草があまり生えていない頃に走ったことが有ったが近況や如何に。

 なるほど鬱蒼と茂った道はまるで山に吸い込まれていくような有様である。途中唯一のビューポイントからのロマンチック村方面の明るい景色が眩しい。

 更に寄り道は続く。

 仕上げは「多気山だな」と、心の中で呟く自分。

 実は以前に走った林道で気になるポイントがあったのだ。今日は装備万全なので是非足で歩いて見ようと思った。

 多気山の南側を巻く舗装林道から、更にまたもう一つ山側を巻く砂利林道へと車を入れると程なく砂利道は行き止まりになる。

     
栗谷沢ダム北面林道    林道からロマンチック村方面    多気山南側林道終点

 以前偵察で訪れたこのポイントに、「愛宕神社入り口」という道標があったことがいつも頭の片隅にあったのだ。

 ネットでいろいろと調べては見たのだが、詳しい情報は見あたらない。
 多気山は元来山城であり、その遺構地形も多いようであり、神社があっても不思議では無いのだろう。

 道標に導かれ、作業道を進むと辺り一帯がかなり伐採されており比較的見通しが良い。2枚目の道標で道を逸れて草むらを横切ると、果たして鳥居が見えた。愛宕神社である。山でよく見る祠と変わらないが、近年立派な石の鳥居をあつらえたのだろう。場所が場所だけに、なかなか荘厳な雰囲気を醸し出している。

 祠の裏手を失礼し(バチあたりか?)、何かの遺構のような広い平坦地を越えて再び作業道に出会う。後はGPSで山頂を目指しながら作業道を何本か乗り換えると御殿平へ到着してしまった。改めて今日一日のGPSの働きを振り返ると、予想通りの高感度で衛星の補足切れも無い。20mとはいえ等高線付きの地図を表示出来るのは大変に頼もしい限りであった。衛星から計算されるコンパスは自分が移動していないと正しく表示出来ないが、GPSMAP60CSxは電子コンパス内蔵でこれもまた使いやすさに大きく貢献している。素晴らしいマシンである。

 多気山山頂では大量の薮蚊の熱烈歓迎を受けたのは言うまでも無い。だが薮蚊の攻撃も、里山のうだるような蒸し暑い道も、探検を終えた少年の心のような軽い足取りの自分にとってはさして辛くも感じない、そんな夕刻であった。

     
愛宕神社の標識あり    愛宕神社    作業道を進む
  
多気山頂上      

概略コースタイム
駐車地(10:07)発-地蔵平(10:25)-展望岩(10:41)-地蔵岳山頂着(10:57)-小休止-
地蔵平(11:18)-思川源流(11:22)-地蔵平(11:34)-往路と交差(11:41)-
岩場(11:59)-昼食P着(12:06)-再出発(12:32)-粕尾峠(12:43)-駐車地着(12:50)


《番外編 多気山》
駐車地発(15:47)-愛宕神社(15:51)-山頂(16:09)-駐車地着(16:25)

2008年06月01日

梅雨入り直前の晴れ間

たろっぺ茶屋とGSX

 

梅雨入り前の渾身の晴れ。スッカンの天晴れとは今日の天気のことであろう。

 午前中は鹿沼にある運転免許センターで行われる【二輪車安全運転競技会】 へ出場するバイク仲間の応援へ。参加した仲間は各部門の準優勝総ナメという好成績を収めた。
 応援組は途中で抜け出し、ぷらっとプチツーリングで上永野にあるたろっぺ茶屋へ蕎麦を食べに行った。

 自宅に戻るとまだ日も高い。貴重な日差しの恩恵を無にするのも勿体ないのでちょいと運動がてら歩いてみますか。

 ちょいと歩くとなれば・・・

 そう。男抱山だろう。

 登山口の所のファミマでお茶ペットと山頂で食べるお菓子を一つ仕入れていざ歩かん!

 ただでさえマイナーな山なのに、流石この時間(3時半過ぎ)ともなると駐車地の車も人影も無し。

 30分位で男抱山頂上到着。日差しが強いので暑さが堪える。

 水を張った田がキラキラ輝いていて綺麗だ。

 山頂から真北に降りるルートは昨年偶然に歩いたことがあったが、今回様子を見ると木にマジックで「北口下山道」と書いてある。踏跡も随分はっきりしてきているので歩く人が増えてきたのだろう。

     
男抱山より    男抱富士より田口集落    北口下山道?

 西峰富士山へ向かう鞍部の道標も、今年の初日の出登山の時には無かった半蔵山コースが明示されていてビックリ。
 鞍部から真北に一旦降りて外周尾根の291mピークを越えて北北西へ向かうコースは去年私も随分考えていたのだが、どうやらルートとして確率されたようである。これは是非踏破せねばならないが、いかんせん草が深くなってきているので次回の冬までお預けとしよう。

 標識の充実ぶりはまだある。
 富士山から周回で下山していくと西側に面した岩場の景色が良いが、ここにも「大岩展望台」「小岩見晴台」と標識が賑やかだ。
 うーーん。道標は良いのだが、静かなる男抱山の一ファンとしてはあまり飾り立てられるのもちょっといただけない。心の中の自分だけの「大岩」を持てるのがこういった鄙びた山の良さなのではと贅沢な感慨に耽るのであった。

     
鞍部分岐 半蔵山へ?    大岩展望台だそうだ    こちらは小岩見晴台

 下山してみると実は登山口に既に「半蔵山ハイキングコースへ」と書いてある。そこまでハッキリ書くならよほどコース整備がされているのだろう。さて半蔵山側は如何にという疑問が頭をもたげだした。半蔵山の頂上に至るには必ず林道牛沢線を横切らなければならない。そこで本日のシメとして林道牛沢線を車で辿る事にした。

 R293から田口の集落へ入る部分でちょっと迷ったものの何とか林道の入り口に到達。右上を見ると先ほどまで自分が居た富士山の頂上の岩が見える。

 林道とはいえ路面は完全舗装だ。落石や砂なども無いが、一カ所上の木から太いつるが垂れ下がって道を塞いでいる所があった。これを強行突破すると車の屋根にキズが付くので一旦降りて丁寧に除去。

 林道最高標高地点(約430m)付近に若干駐車可能な路側があり、このちょっと先の右手に道標を発見する。「男抱山へ」の標識の向こうには、まだ背が低い草の中に延々と道が伸びている。やはり地図で考えていた通りの地点で林道と合流しているようだ。ここの道標に従い少し進めば林道から山頂へ向かう道にまた道標が付けられていた。
 かつての道無きピークへの面影が薄らぐのも寂しいが、やはり安全に登れるのは歓迎である。

 宇都宮市街から見える身近な山。意外な程に山容が大きい半蔵山。一度は登って見たいと思っている。
 南西の493mピーク、そこから西北西の471mピークへとつないで鞍掛峠をまたぎ、鞍掛山へ。当面の目標かな。

     
写登山口に立派な道標が
こちらにも半蔵山コースとある
   林道牛沢線最高高度地点付近から男抱山へ続く道    半蔵山登山口

概略コースタイム
登山口発(15:30)-山頂着(16:00)-富士山発(16:30)-登山口着(16:50)

2008年03月08日

再訪、鞍掛尾根

-- 『e-trex Leggend US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 鞍掛山から古賀志山へと連なっていく尾根筋を誰が言うともなく「鞍掛尾根」と呼ぶ。
 古賀志山も鞍掛山も宇都宮市民に愛されている山であるのは言うまでもないが、この二つの山を結ぶ尾根筋、遠目に見ても起伏の激しいこの尾根筋を歩いて見たいと考えるのは宇都宮に暮らすハイカーならば誰しもが一度は抱く願望かもしれない。

 さて、くだんの鞍掛尾根であるが、私は既に3度目になる。正確には途中挫折一回、想定コース一部逸脱一回。すなわち全コースをきちんと歩き通したことが無かったのである。今回はまさにリベンジならぬ三度目の正直になる。

 途中挫折の一回目は体力不足と準備不足。そしてミスコースの二回目は地図読み能力の欠如と判断力の甘さが原因。鞍掛尾根に「おまえにはまだ早い」と諭されているようで内心結構悔しかったのは事実。今回は充分に周到な準備で臨み全コース制覇を成し遂げた。前回の失敗をまた繰り返してしまいそうな一幕もあったが・・・

 

 今回のチャレンジは単独では無い。H君同行だ。二人だとこういうマイナーなコースは(後で決してマイナーでは無いという事を知る)心強いということや、離れた地点に車をデポ出来て機動性が発揮出来るのがありがたい。

 まずは森林公園の駐車場で待ち合わせ。パジェロミニにH君を乗せて鞍掛山の方へと赤川ダム脇の車道を奥へと進む。細野ダムを過ぎ、対向車が来たら到底すれ違い出来ないような舗装林道を走る。

 峠から高度を下げて直線の区間に入った時、突然目に入ったのがあたり一帯の落ち葉が焼けて灰になった光景である。まだあちこちくすぶっていて煙が立ちこめている。数カ所赤い火も小さいながら見られる。割と平坦な場所だったのと、かなり広い範囲だったので下草焼でもしているのかなと思い通り過ぎる。だが周囲に全く人の気配が無い。H君と「あれは山火事なんじゃない」と話して急遽Uターン。

 戻って見るとやはりくすぶってはいるものの熾火のように中が真っ赤に燃えているところ、炎が立木を焦がしている場所もあり、慌てて消防へ通報する事にした。消火活動をしようと思ったが近づいて見るとかなり危険な雰囲気だし、延焼していきそうな感じは取りあえず無さそうなので消防車を待つことにした。
 どうも周囲の焼け方を見ると昨晩あたりに焼けたのでは無いかと思う。付近にビールの空き缶が散乱していたり、焼けたスプレー缶が何故か道の真ん中当たりに落ちている所から、未成年者が焚き火でもして飲酒をしたのでは無いかなどと想像してしまう。いずれにせよ空気が乾燥している昨今、山での焚き火は危険極まりない。

 10分も待っただろうか、消防車や警察、関連の車両がけたたましいサイレンと共に到着。目の前で消火活動開始。とはいっても元々大きな火の手が上がっていたのではないのでちょろちょろっと水を撒いて鎮火した。
 この後、発見&通報者として消防と警察から簡単な事情聴取を受ける。いざこれから登山と言う時に出鼻をくじかれたようでちょっと気落ちしてしまったが、まだ9時前なので今から行けば間に合うだろうと考え予定通りに行動を開始した。

     
消防車到着    くすぶっている    消火活動

 鞍掛山登山口の少し先の所へパジェロミニを駐める。路側にちょっと張り出したところがあって、そんな所でもすっぽりと駐車出来る。流石は軽である。こんな時の為におまえを買ったのだよと一人悦に入るのであった。

 さてさて、山火事騒ぎも一件落着した事だし気を取り直して登山開始だ。今回は長丁場故、出来るだけ体力温存したいところだ。従って、登りの楽な大岩を目指す東回りコースで登る事にした。

 楽なコースなのだがやはり急登の鞍掛山は辛い。それでもまだまだ元気な二人は息を弾ませて大岩に辿り着く。天気は上々。風も無く日差しが暖かい。これから向かう古賀志山が向こうに見える。気温が高いせいか霞が掛かって遠景は今一つだ。

 大岩で充分休憩を取り、文字取り馬の鞍のように平らな山頂尾根をのんびりと進む。相変わらず眺望の全く無い山頂を通り過ぎ、程なく分岐地点を古賀志山方面へと進む。なんと道標が新設されているではないか。最近道標整備のめざましい鞍掛山であるが、よほど歩く人が増えたのだろうか。

 暫く西へ進路を取る尾根であるが、440m級ピークから境界尾根は北へ方向を転じアップダウンのきつい460m級ピーク越えに向かう筈である。実は去年の失敗はここで北へ進路を変えることが出来なかった事だった。今年はここが山場とばかりに注意をしながら進むが、やはり今回も再び440m級ピークから明らかにしっかりと踏まれた西側へのルートへ引き込まれそうになる。下の方面にあちこちにヒラヒラしている赤テープに惑わされて失敗したのが去年。流石に同じ轡は踏まじと立ち止まり北へのルートを探す。少し直下降してはみたものの、道は有りそうもなく山肌は何処までも谷に向かっていく。

 このルート探索の最中に東側の木立の隙間に微かに稜線のようなものが見えた。一旦440m級ピークへ登り返して見ると、なんと北に向かう尾根の入り口に赤ペンキの大きな矢印が。東から歩いて来ると見にくいのが難点だがまずは一安心。今年はルートを外さないで済みそうだ。それにしても如何に廻りをよく見ていないで歩いているということである。ちょっと反省をした。

地図の拡大図はこちら

     
大岩から古賀志山    道標が新設されている    ここは絶対間違えてはいけない

 鞍掛山の北北西にある460m級ピーク越えはなかなかキツイ。等高線を見てもらえばわかるが、北へ方向転換する「例の分岐」から一気に下げて、まるで一こぶラクダようなとんがりピーク越えだ。

 また、コブを下りきった最低鞍部(約340m)から次の431mピークまで一気に90m高度を稼ぐのはかなり脚に負担が掛かる。休日の登山以外、日頃のトレーニングをしていないにわかハイカーの二人にとってはなかなかに骨の折れるコースである。

     
北方面が開ける    尾根からの鞍掛山    ピーク超えは続く

 今日のコースは多くても一人か二人くらいしか会わないのでは無いかと思っていたが、どうしてどうして結構ハイカーが多い。古賀志山の奥座敷としては渋いコースだと思っていた自分にとっては軽いショックだ。何と東京からやってきた6~7人の団体さんも鞍掛山から尾根に乗ってきたという。途中森林公園脇の林道からショートカットで尾根に上がってきた人達。古賀志山から鞍掛山へ向かう老夫婦や、いかにも歩き慣れた感じの中年3人組。すっかりこのコースもポピュラーになってしまったと言わなければならないようだ。
 ちなみに去年2回歩いた時はいずれも一日中人には出会わず、むしろ心細い位だったものだ。

 今日このコースを歩いた人達の中では一番ペースが遅いのではと自負する(笑)われら二人もようやく好眺望の530m級ピークへ到着。このコースでは唯一樹に邪魔されない広々とした眺望が得られるポイントだ。食事は此処か559でと考えていたが、山火事騒ぎで時間が遅れていたのでここで弁当を広げる事にした。

 岩に腰掛け、良く歩いたものだと二人してつぶやく。距離は決して無いのだが、ピーク越えが連続するこのコースはボディブローのように脚に疲労が溜まっていく。こういう時は大休止の後に腿がつったりするものなので注意注意。

 相変わらず霞がかった遠景はイマイチだが、稟とそびえ立つ雪の日光連山や手前に静かに控える鶏鳴山。左へ目をやれば、先日歩いた笹目倉の三角形の山姿が美しい。

     
鉄塔はアクセント?    昼食Pから    笹目倉と鶏鳴山

 一旦50m程下って2つのピーク越え。ランチ休憩で幾らか足取りが軽くなった感じもしたが、やはりかなり辛い。既に太ももがパンパンだ。

 559直前の北側、左手が切れ落ちた部分は水たまりがそのまま凍っていて危険箇所である。神経を使いながらゆっくりと進む。やがて、見慣れた南側からの道との分岐へ、そして559へ到着。

 いやぁー疲れた疲れた。この先ピーク越えはもう無いという安心感から丸太ベンチにどっと腰を掛け、しばし休憩だ。後ろを振り向くと、朝から歩いてきた鞍掛尾根が見渡せる。見ればやはりアップダウンはかなりのものだ。

 559で中年ハイカー二人(それぞれ単独)と話をしたが、鞍掛尾根縦走をするのに森林公園駐車場から天狗鳥屋脇の尾根を縦断して、鞍掛山登山口へ向かうコースで歩いた事があるという。流石に辛かったそうであるが、我々としてはそんな事をしなくても車で鞍掛山登山口へ横付けしてもまだまだ辛い。話をよく聞くと、このお二人、相当古賀志山を歩き込んでいるようで、最近のハイキングブームで心ない人が山を荒らしていくことをしきりにぼやいていた。

     
559から鞍掛尾根    同左    同左

 さあ、いよいよ下山だ。疲れも溜まってきているし事故があってはいけない。注意をしながら降りていこう。

 うーん、やはり太ももがかなりのダメージ。ピクピクと軽い痙攣を起こしそうになる。ちょっと立ち止まり軽くマッサージ。こういう時は少しづつ負荷を掛けながら動かし続けた方が良いので、リズム良く筋を伸縮させながら歩く。

 下山コースは一旦中尾根コースへ入り、途中、北登山道へのエスケープルートを通った。
 中尾根コースは途中ちょっとした岩場が何箇所かあるが、下から登ってくる犬連れのハイカーに二度遭遇した。かねてより犬が岩場を登れるかというのが気になっていたのと、たまたま3m程の鎖場の後だったので飼い主に質問してみた。

 犬はダックスフンド(のような)小型犬であった。だが、殆ど自力で登るという。肉球でグリップしながらルートも考えながら登っていくという。飼い主は勿論イザという時の為にリードは握っているのだから万が一滑落しても大事には至らないのだろう。だが犬にとっては自分の体の数百倍もある岸壁に素手(?)で挑むのだから、結構なチャレンジだと思う。愛犬がけなげに岩場をアタックする姿に飼い主が目を細めるのも解るような気がする。

 やれやれ、北登山道への分岐が見えてきた。ここからはやや急ではあるが南向きに降りていく。降り注ぐ浅春の日差し、広く開けた斜面が優しく一日の疲れを労ってくれているような心もちであった。

     
中尾根から古賀志東稜    中尾根から北登山道へ    鞍掛山麓にて

概略コースタイム
鞍掛山駐車地発(9:00)-周回コース分岐(9:18)-大岩(9:41)-小休止-鞍掛山頂(9:58)-
440m級ピーク(10:08)-約8分間道迷い-460m級ピーク(10:36)-尾根最低標高地点(10:54)-
431mピーク(11:10)-530m級ピーク着(12:17)-昼食-530m級ピーク発(12:46)-
559mピーク(13:18)-小休止-中尾根分岐(13:41)-北登山道への分岐(13:59)-
北登山道合流(14:07)-森林公園駐車場着(14:48)

2008年01月20日

里山探検 戸室山


 市内の高い場所から西側を見ると、一番手前に堂々と横たわる多気山、そしてその後ろに控えるゴツゴツとした古賀志山。さらにその遙か彼方にどっしりと、今の季節は白い雪をまとって凛と佇む日光連山。宇都宮市民なら山に興味が無くとも見慣れた景色である。
 実はこの見慣れた景色の中に一つだけずっと気になっていた高みがあった。多気山からほんの少し視点を南にずらすと平地にぽこんと飛び出す独立峰の存在がある。今回の散策のターゲット、戸室山(とむろやま){228m}である。地形図上の山名表示はないが、近くから見るとなかなか形の良いシルエットだ。

 山の南側に神社の参詣用の石段がある。車を5~6台ほど置くスペースが有りここからスタートだ。鳥居をくぐり長い石段を登っていく。

     
鳥居       まず石段を登る

 石段を登り詰めると一対の狛犬が迎えてくれる。振り向けば南側に冬枯れた里の風景が広がる。
 かつて社殿があったのだろうか、平坦な場所に礎石が見られたり記念碑のようなものも残されている。右手の小高い場所には社殿というにはちょっと派手な建物がある。まったく人の気配もしない場所故、流石に腰が引けて中をよく見るのはためらわれた。従って正確には何が祀られていたのかは解らない。

 さて、地図に道の記載なぞ無ければ道標も全く無い山なので、ここからは勘で登る事になる。だが、社殿の裏側を覗いてみるとしっかり山頂方面へ踏み跡が続いているではないか。随分と歩かれた感じがするルートだ。

     
石段の頂上から    何やら社殿?が    建物の跡か?

 社殿の場所から5分も登っただろうか、急に大きな岩が目立ち始める。途中、岩をくぐり抜けて向こう側に抜けることの出来る場所などもある。男抱山もそうだが、岩の多い古賀志山と血を分けた弟分の証のようでもある。きっと地元の子供達にとっては楽しい遊び場なのではないか。ドラエモンの裏山のような雰囲気一杯だ。もっとも、最近の子供は山で遊ぶなんて事はしないのかな?

 山頂直下には、通せんぼするように岩が立ちはだかる。切れ目に挟まれるようにしてにじり上がるとパッと眺望が広がった。GPSで確認すると山頂はもう少し離れた所だ。数十m離れた木々に囲まれた場所に三等三角点が埋め込まれた山頂があった。

 山名板が2枚掛かっていたが、"栃木の山紀行"さんやあちこちでよく見る山名板は掛かっていない。やはりマイナーな山なのであろう。

 山頂から先ほどの景色の良い岩場まで引き返す。東側は樹に邪魔されて景色は無いが、北側の古賀志山方面から西側は遮るものの無い素晴らしい眺望だ。男抱山も低い里山ながら堂々とした景色が得られるが、どうしてどうして、戸室山も決して引けを取らない素晴らしさである。宇都宮市内や近隣にお住まいの方なら一度登ってみても損は無いだろう。

     
山頂直下の岩    ひっそりとした頂上    岩越しの古賀志山

 一番高い岩の上に腰を掛けて、しばし景色を愉しむ。麓の田舎道を通り過ぎる軽トラックがおもちゃのように見えた。新緑の季節に登ったら、水彩画のようにさぞ綺麗だろう。夕日を眺めるのも悪くないかな。

 帰りは北側に張り出している尾根を伝って降りていくルートを考えていた。これまた目を凝らすと薄く踏み跡が続いている。地形図を片手に進むとほぼ想像通りのルートが続く。幾らか高度が下がると更に踏み跡は濃くなり、北側斜面に到達すると一転して薮に吸い込まれるように再び薄くなってくる。代わりに作業道が幾つか交差するようになってきた。予定していた着地ポイントへ向かうには小さな谷を越さなければならず億劫だった為、あえて作業道に引き込まれることにした。

     
岩の上から    踏み跡辿って    いよいよ踏み跡微か

 作業道を進むと、程なく枯れ草の生い茂った広場に出た。足音を聞きつけて勢いよく草むらから飛び出した雉にハッと驚く。傍らを見ると、すっかり忘れ去られてしまったような石祠が寂しげに佇んでいる。戦中には大谷一帯に「中島飛行機の地下軍需工場」があったと聞くが、ネットで調べるとどうやら戸室山にも地下工場があったようである。草むらに奥深く進入すれば何事やあるかも知れぬ。そんな気配を感じさせる廃石祠であった。

  
廃石祠    今回のルート   

概略コースタイム
駐車地発(13:01)-神社(13:08)-山頂(13:21)-車道着地(13:48)-駐車地着(13:57)

2008年01月14日

浅雪の古賀志山


-- 『e-trex Leggend US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 元旦の「男抱山御来光登山」が今年の初山行ではあったが、3連休にくすぶっているのも勿体ないので星野にある三峰山あたりでも・・・と考えていた。あいにく夕方の所用が発生してしまい、あまり遠いところには行けない。結局近場の古賀志山へ行くことにした。
 コースは今までに歩いたことの無い所を選び、東綾尾根より登り、559~中尾根の周回コースとした。東綾の最後の岩が心配であったが、中尾根の取り付きの岩に比べれば遙かに簡単そうらしいので、「駄目なら戻る」心づもりでの出発だ。

 いつものように北登山道へ向かう。数日来の寒波で顔などがピリピリと痛い程である。北登山道入り口の木製の橋を渡ってすぐの所の左手に入っていく道があるが、これが今日の登山ルートである東綾コースへの入り口である。中尾根コースが初めに岩場を鎖で登り切ってしまうのに比べて、こちらはオーソドックスに尾根に這い上がるといった感じの趣だ。自分的にはこちらの方が好みである。

 まずはひたすらアルバイト。汗が滲む頃には主尾根に辿り着き、取りあえずの眺望が広がって一休み。土曜日(12日)に降った雪がスギの枝先にうっすらと残ってまるで花が咲いたように美しい。

 東綾尾根は気持ちの良いコースだ。徐々に高度を上げていく穏やかなルートは、岩場の登り下りの連続する中尾根とは対照的である。それでも、いよいよ東綾直下の弾丸のような岩場を直前にすると緊張感が高まってくる。コースの難所である鎖場だ。

 丁度我々が鎖の下に到着すると、単独の高齢者の方が鎖を降りている最中だった。思った以上にホールドポイントも多そうでこれなら大丈夫だろう。体重の重いH君がちょっと心配なので先に行って貰い下からアドバイスを出す。無事彼が登り切ってから今度は自分の番。ちょっと考えないと初めの取り付きが難しいが、後は比較的登りやすい感じ。5m位登ると一旦斜度が緩くはなるものの暫く鎖が続く。登り切った所で一旦小休止。再開すると少し離れた所でまた鎖場出現。今度は正面、横と3ルート鎖が下がっている。偵察した結果右側の方が安全そうなのでこちらから登る。ここを登り切れば東綾ピークである。
 H君と共に鎖場クリアの達成感(というほど大袈裟でも無いが)に浸りつつ眺望を楽しんだ。

 東綾を後にして富士見峠へと向かう。道が山の北側へ変わったせいか、うっすらと積もる雪もところどころ凍っていて油断が出来ない。下りゆえなおさらである。

     
雪の中の道を行く    雪の花が咲いたようだ    下りは滑りやすい

 いつも見慣れた富士見峠だが、ブッシュド・ノエルよろしくフロストシュガーでもまぶしたようなその雰囲気もまた一興である。鞍部で日が差さないから夏でも涼しい位の場所なので雪も溶けないのだろう。

 いつもの急登に息を上げながら559Pに到着。向かい側正面に今登ってきた東綾尾根が良く見える。ピーク直下はあんなに急だったんだねと再認識する。

 少し時間が早かったが昼食にすることにした。先客、後からやってくる人、中年夫婦も多い。この山域を知り尽くしたような人が多く、日溜まりのランチタイムに古賀志山談義が花咲く。

     
富士見峠    559より東綾    定番眺望 雪の日光連山

 559Pへのアプローチは鞍掛尾根分岐の地点を目指すルートしか無いと思っていたが、Pから東に降りるルートがあるという。先ほどの古賀志山通の人に「中尾根方面へ通じる」と聞いていたので我々も辿って見ることにした。地図を見る限り一旦高度を下げて後はトラバースしながら中尾根に乗り換えるといった感じなのだが・・・

 岩混じりの急な下りをやり過ごすと、その先は深い植林地。ふと斜め上に目をやると右手の尾根に上がっていく緩やかな道がある。ここを登るとなんてことは無い。通常の中尾根分岐~559間の中間点あたりに出てくるという寸法だ。通常ルートを直登せずに遠巻くような感じの道の付き方だが、559直下の部分は結構険しいのでこれなら通常ルートの方が楽なのでは?と思うが、それでも結構登ってくる人が多い。こうやって古賀志山はまた歩き拡げられていくようである。

     
高原山 鉄塔が邪魔ですね    中尾根の岩に難儀中のH君    さりげなく残雪

 中尾根の岩場に注意しながら降りていく。今日の膝の調子はというと・・・行動開始から左膝にサポーターを軽く巻いていたせいか調子が良い。が、まてよ。右の方がちょっと違和感があるような。

 結局左を補強した反動で今度は右膝に負担が掛かっているような感じがする。帰宅して時間が経ってから軽い痛みがあったが、次回は両膝サポーターが必要かも知れない。春になって暖かくなり幾らか改善すれば良いのだが、やはりトレーニングをきちんとすべき状態なのかも知れない。

 中尾根の最後に控える手強い岩場は去年の夏に苦戦したので今回はあっさり敬遠。安全一番で迂回コースを下って行く。積雪といってもほんの数センチにも満たない雪ではあるが、北側斜面一帯に積もった雪の中に延々と続く足跡は儚くも頼もしい存在であった。

 最後のジグザグをくだって舗装林道に飛び出し下山終了。振り返って見ると、夏場などは草が生い茂ってとても登山口とは見分けが付かないかもしれないポイントである。(下写真右)

     
中尾根の迂回ポイント    足跡は続くよどこまでも    中尾根コースの着地点

概略コースタイム
駐車場発(8:30)-北登山道入口(8:47)-東綾直下岩(9:46)-東綾P(10:13)-富士見峠(10:40)-
559P着(11:11)-昼食-559P発(11:45)-中尾根分岐(12:03)-496P(12:35)-
中尾根岩場迂回分岐点(13:14)-細野ダム(13:34)-駐車場着(13:50)

2008年01月01日

新春、御来光 男抱山


 日の出の写真って難しい!

 っていきなり現実的な問題で書き出してしまったが、実際日の出の感動を伝えるにはあまりにも撮影のテク不足。そしてちょっと付け加えさせて貰えば、機材が貧弱ということも。

 何はともあれ懸案の2008年の初日の出、晴天無風という絶好のコンディションの中感動的に迎える事が出来た。

 朝、5時半。約束していた場所でH君の車に拾って貰う。静寂に包まれた日光街道を北へと進む。6時に登山口でもう一人の同行者であるセローさんと待ち合わせだが、30分なんてとても掛からないだろうスムースさで車は走る。

 案の定、10分ちょっとで登山口前の駐車地に着いてしまった。ところがなんともう駐車地には1台の先客有り。既に目前で登り始める別のグループもいた。こんな無名な山に初日の出を見に来る人はそうは居ないだろうと思っていたが、山頂から東側に開けたあの眺望を知る山好きならば「男抱山で御来光」という考えが思い浮かばない筈は無い。

 程なくセローさんも到着。予定時間には少し早かったが、まだ漆黒の闇に包まれた夜道をヘッドライトを頼りに我々も登り始める。山頂はあまり広くないので少し早めに行って良いポジションを陣取らなければならないのだ。寒波が来ているということだっが案外寒さは堪えない。

 墓の横の道を進む。実は先月のクリスマス後に一度"暗さ"の下見に来ていたのだが、今日は3人で歩いているので心強い。下見の時は、ふとライトを消してみると男抱山の闇に押しつぶされそうになる威圧感を感じたものだ。

 東回り西回りの登山口分岐まで来ると何やら目新しい道標が立っている。
(男抱山、富士山間の鞍部にも新設されている)
 この1年間男抱山を何度か歩いてきたが、訪れる人が増えてきたのだろうか。ぱっと見ると市や行政が設置した感じでも無いので有志の団体もしくは個人のお陰かもしれない。
いずれにせよありがたい話だ。

 石の鳥居をくぐり、相変わらずの急登をフーフー息を荒げながら登っていく。ヘッドライト(LED)を使って登るのは初めてだったが案外明るくて歩きやすいものだ。念のためにLED懐中電灯も一緒に持って歩いたのだが、道を歩くにはまったく不自由が無い明るさだ。

 私が1番手、後ろをセローさん、最後尾をH君。健脚なセローさんに迷惑にならないようにいつもより早めのピッチで登っていたら案の定途中で息が上がってしまった。無理をしてもしょうがないので我々二人はペースダウンして所々息を整えながら上がっていく。それにしてもいつも鍛えて居る人にはまったくもって敵わないものである。

 ふと後ろを振り返ってみると遠く東の地平線が薄いオレンジ色に染まり始めている。山頂までもう一頑張りだ。

 山頂の岩が見えてきた。直下の東側岩には無かった筈の真新しいトラロープが目にとまる。やはり最近整備をして貰ったようである。
 先に到着しているセローさんの横に無事陣取ることが出来た。既に山頂に居た人、後から続々と登ってくる人。最終的にはあの狭い山頂が16~17人くらいの人達で埋め尽くされた。いやはや隠れた日の出スポットではあるが、こじんまりした規模での一体感とでも言おうか、有名なポイントで迎える御来光とは一味違った雰囲気がある。

 日の出前の時間は一日のうちで一番気温が下がる瞬間でもあるのだが、あまり寒さを感じなかった。実際さほど気温が低くなかったのか、それともこの後迎える御来光への期待が熱かったのかは自分自身でも知る由が無い。
 東側のオレンジ色が益々鮮やかになってきた。ふと北東側を見ると雲がピンク色に染まっている。何と言って表現したら良いのだろう。本当に微妙な色合いのピンク色だ。

 腕時計が6時51分を刻む頃、チラっと光のかけらが地平線の影から飛び出してきた。息を飲むような艶やかな、そしてエネルギーに満ちた御来光!
 みるみるうちに周囲がオレンジ色の空気で満たされていく。山頂に集う人にも、そして西にそっとひかえていた古賀志山にも。
 西側の手前に大きく見える多気山と先日も歩いた雲雀鳥屋、その雲雀鳥屋山頂のすぐ左手にはやはり雪をほのかにピンクに染めた富士山がそびえている。

     
ピンクに染まる北東域    オレンジ色の山頂    赤く染まる古賀志山

 辺りが充分に明るくなった頃、まるで呪文がとけたように一人また一人と山頂を後にしていく。我々も西峰の男抱富士山を経由して下山することにした。
 山頂から西側の岩を降りて山陰に入ると途端にピリリとした冷気が顔を刺す。実は相当に気温が低かったようである。もう山道も充分に明るい。

 鞍部からまた急な登り返しをして西峰に着くと、すっかりオレンジ色の空気は朝の清々しい透明な色へ変わろうとしていた。東ルートの岩峰からは古賀志山や田口の集落が新年の朝日に光り輝いている。そんな中、我々一行は清々しい気持ちで下山の途についたのであった。

        
雲雀鳥屋の向こうに富士山    文字も鮮やか 新設の道標      

 

男抱山の過去の記事:07年1月20日 07年4月21日 07年5月12日 07年5月20日 07年7月1日  

2007年12月30日

(連絡事項)2008年ご来光男抱山登山


-- 連絡事項です --


昨日今日と低気圧の通過で荒れ気味の天気ですが、予報によると初日の出は関東地方はかろうじてOKそうな感じです。

懸案の男抱山ご来光登山ですが、今のところ予定通りに実施するつもりです。

集合解散は登山口の墓地前にて。
日の出に間に合わないといけないので、6時丁度にスタートします。

厳しい寒さが予想されますので防寒体制と、それから6時20分頃までは足元が暗い為ヘッドライト等の装備をお願いします。

なお、天候状況悪化の場合の中止連絡については、こちらで31日夜に掲載します。

2007年12月15日

雲雀鳥屋探索

-- 『e-trex Leggend US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 宇都宮から古賀志山を眺めると前衛の多気山が目を引く。また、その少し右手に端正に佇むのが今回の目的の雲雀鳥屋(ひばりとや){362m}である。

 森林公園脇のトリムコースの延長線上に位置する天狗鳥屋(てんぐとや){365m}とお揃いのこの山名。鳥屋を"とや"と読ませる由来が何かあるのであろうか。資料も情報も無いので知る由も無いが、なかなか興味深いものである。
天狗鳥屋についてはこちら

 

 往復で1時間少々のピストンコースであることをネット情報で知っていた。午後から散歩がてらに山行する時の為に・・・と、とっておいたコースだが、先週の膝痛もありリハビリにはもってこいだろうと思い昼食後に出発した。自宅から車で30分もかからずに取り付き地へ到着してしまうのだから、本当にお散歩コースである。

 山側に向かって階段が設置されている駐車地は、古賀志山へ向かう途中いつも通っていたので場所は前から知っていた。その先に雲雀鳥屋がることも既知だったので、「何時かは」という思いであった。

 急な階段を登ると鳥居がある。石祠が祀られており、この裏手から取り付くことになる。雲雀鳥屋は整備された登山コースや道標は皆無なので、この記事を読んで入山される方は注意して行動されたい。

 石祠裏手をざっと眺めると、草が枯れてすっかり見通しが良いため幾筋もの薄い踏み跡が見られるが、一番しっかりとした踏み跡を辿りしばし急登するとすぐ右手の尾根筋に乗ることが出来た。途中ピンクテープが所々にあるので難しく無いだろう。尾根に乗ってしまえばあとは道形がしっかりしている一本道である。

     
駐車地    登山口の石鳥居   

 先週の膝の一件があったので、今日は登り初めからストックを出している。さて、歩き終わった頃の状態はどうだろう。

 少し汗ばんできたころ、第一のピークに到着。ふと後ろを振り返ると多気山が梢越しにどっしり構える。第一のピークからは眼下に広がる谷へ一旦下降し、第二のピークへ登り返していく。すっかり落葉が堆積してふわふわな尾根筋を気持ちよく進む。

 第二のピークから再び高度を下げて、頂上への最後の登りにかかる手前の鞍部で作業道に出会う。ここはネット情報で指摘されていたので注意し、真北に進路を取るとまた道形がはっきりしてくる。

 程なく雲雀鳥屋山頂に到着する。山名板と三角点が確認出来ないがGPSは間違いなく山頂に到達したことを示している。眺望はほぼ無い。枝越しに薄く東と北が望める程度である。

 北側をよく見ると向こうにもう一つピーグが見える。地形図を調べると、山頂から北北西の方角に延びる肩尾根があり、どうやらそこに地図では現れないピークがあるようだ。


     
後ろの多気山    山頂手前鞍部    雲雀鳥屋山頂

 山頂から連絡通路のように痩せた尾根を僅か6~7分程度で北側の肩へ着いた。小高いピークは山頂よりも枝が少なくぐっと明るい感じがする。自分的にはここを山頂とし、荷を降ろして休憩することにした。右手下側にはゴルフ場が広がり、ショット時のボールのカツンという音やゴルファー達の声がかすかに聞こえてくる。遠くカートが移動するのも見える。

     
北の肩より    古賀志山を望む    鞍掛山を望む

 北の肩ピークで休憩をしながら西側を見ると、下にも踏み跡が続き赤テープが見られる。地図を眺めると、初めは等高線が込んでいるが後は比較的緩やかな尾根が張り出し、やがて森林公園へ向かう車道へ降りていくようになっている。
 当初の計画ではピストンで戻る予定であったが、目前の赤テープを辿り下山してみる事にした。GPSのポイントは予定外なので入力していない。もはやコンパスと地図のみが頼りだが、とにかく慎重に行けば大丈夫だろう。まぁどちらに迷ってもゴルフ場に出るか車道に出るかの2択しかないのだが。

 下りはじめは少し急な斜面に落ち葉が厳しい。足を取られぬように注意しながらゆっくりと降りる。地図には右手ゴルフ場側に岩の崖が記入されているが、なるほど岩が切り立った部分がある。踏み跡も岩場を縫っていく。

 急な下りをやり過ごすと広い伐採地へ出くわし、赤テープは見あたらなくなった。ここで慌てるとミスコースの可能性が高くなるためにコンパスと地図で再度確認。

     
北の肩ピーク    岩の多い西側ルート    伐採地

 高度を見てもまだ左の谷へ降りてはいけない状況なのでここは尾根筋をとにかく辿るべきである。だが、踏み跡は完全に無くなりちょっと思案のしどころだ。
傾斜の緩い尾根が続いており、地図とも一致している。まったく道形は無いが、薮をくぐりながら忠実に尾根を降りていくと更にもう一度広い場所に出る。下から作業道が伸びてきている。ここは作業道を辿っても予定通りの方角だ。
 やがて右手奥に舗装道が見えるが、予想コースに固執し左側を尾根伝いに降りると、最後は少し薮漕ぎをして林道へ到達。すぐに舗装路へ飛び出した。

 ルートファイデングというにはあまりにも簡単なコースではあったが、自分としては意外な楽しい一時を過ごすことが出来た。

 また、懸念していた膝痛も歩行時間が短い故か、あるいはストック頼りのせいか、全く問題の無いコンディションを保つことが出来てホッと胸をなで下ろした。

     
道無き尾根    下山終了    車道出合
  
R293より雲雀鳥屋全景      

概略コースタイム
駐車地発(13:00)-第一ピーク(13:11)-第二ピーク(13:18)-雲雀鳥屋山頂(13:38)-
北の肩(13:47)-伐採地(14:14)-舗装路(14:30)-駐車地着(14:40)

2007年11月23日

男山直登!篠井連山とおまけ付き

 なんやかやで、今日は予定が狂い突如暇な一日になってしまった。天気も良いし、家族はみな別行動なので遅い支度をして一人篠井の山を一歩きしてくることにした。

 今回は、男山(おとこやま){527m}直登、本山、下篠井登山口へ降りるコースを歩くことにした。また、登山口はこどもの森駐車場脇からではなく管理事務所先から登る事にした。

 この登山口がなかなか解らず、管理棟の方に訪ねてみれば道標が無いところを入っていく。歩いて見ればしっかりとした道が続き、やがて駐車場からのコースと合わせる。危険なところも無いのでハイキングコースとして、せめて入り口に1枚道標を立てても良いのではないかと思う。

 薄暗い杉木立を登って行き、やがて男山直登口と榛名山方面の登山道の分岐に到達。前回ここを通過したときは、男山に向かって伸びる電車道のような直登一本道を見てたじろいだものだが、今日はここを登っていくのだ。

 初めは伐採された山肌を一登りする。この後は草に覆われた急登をひたすら続けていく。高くなればなるほど斜度もきつくなってくるような感じがする。ふと後ろを振り向くと、樹の間に見え隠れする白く冠雪した日光の山並みが励ましてくれる。

 途中一カ所岩場があった。トラロープで左を巻いていたが、よく見ると右側に大きく巻くルートもあった。ここを越して更に一頑張りすると上に平らな部分が見えてきた。男山北側の尾根の肩に乗ったようだ。やれやれ急登はこれでおしまいかと思いきや、山頂直下に最後の転げ落ちんばかりの急登が待ち受けている。下山には使いたくないルートだ。

 大きく肩で息をしながら山頂によじり登ると、樹に邪魔をされているがまずまずの眺望である。

 このあとは、今日で3度目になる見慣れた尾根を歩き本山へ。本山手前の急登も相変わらずキツイ。もっとも先ほどの男山急登に比べればマシだが。

 本山(ほんざん){561m}からの眺めは今日はバッチリだ。今春は霞がかかって雪の日光連山が見えなかったので感動もひとしおだ。

     
こどもの森からの登山口    男山頂上    本山より高原山
     
本山より日光連山    本山より前日光エリア   

 本山で昼食とする。先客の中年男女4人組が狭い山頂を陣取っていたので隅のほうへ座った。聞くとはなしに耳に入って来るのは、どうやら職場の人の悪口。これで随分盛り上がっている。寄ればそういった話が出るのは場の流れなのだろうが、何もこんなに素晴らしい景色のまっただ中でそんな話をしなくても良いだろうにと思い山頂を後にした。

 岩の混じった急な所を降りると前回9月にミスコースから登山道に突き上げた地点を通過。今は草がだいぶ少なくなってきて登山道からもよく見えるが、よくよく見てみると踏み跡というよりも獣道と言った方が間違い無いかな。道理で前回は大変な思いをして登った訳だ。

 飯盛山との分岐を分け、冒険の森方面へと進む。程なく下篠井登山口と冒険の森への分岐があるが、下篠井登山口方面は草に覆われぱっと見た目に道が無い。駐車場に近い冒険の森方面コースが主ルートになたのであまり歩かれなくなってしまったのだろう。

 こういうことも有るだろうと思いGPSにこのあたりのポイントを沢山仕込んでおいた。コンパスと地形図も総動員で臨戦体制で草を踏み分け倒木を超えながら進んでいく。尾根を外さないように慎重に進むが、伐採の作業動が複雑に交錯していてなかなか難しい。

 数少ない経験だが、こういった自信があまり無い局面で立派な作業道が出てくると自然とそちらに引き込まれてしまうものだ。
 失敗はすまいとばかりに慎重に細かくチェックをしながら進むと、すぐに道がはっきりしてきた。やがて「下篠井登山口← →本山」と記された道標も見つかり一安心だ。

 暫くすると下に作業道が見えてきた。樹林の中にしっかりと道形を見せ、ずっと下の方へ伸びている。かたや登山道はと言えば、ぱっと見た目消失しているし、何やら赤テープも散逸している。下山の方角としてはどちらも同じだが、作業道は明らかに尾根を外している。少し作業道を下りGPSを見ると、通るべき尾根から逸脱しかけている。くわばらくわばらと元のところへ戻り良く見てみると草の向こうに道が続いているのではないか。この後は道を外すようなポイントは皆無だが、意味も無く道標が数カ所立てられていた。是非先ほどの所に道標を出して欲しいと思う。

     
   前回の薮漕ぎ地点    荒れている下篠井ルート

 下山道に砂利が混じる頃になると里はすぐそこ。ぱっと目の前に田んぼがひらけ、その向こうに見える男体山が暗い樹林を歩き続けた目に眩しい。

 最後のアスファルト路をとぼとぼと歩きながら、ちょっぴり冒険の森コースを選ばなかったことを後悔したが、まぁいいさ。静かな枯れた道を歩けたのだからと。

     
里に出た    来し方(道標が倒れている)   

 アスファルトを歩いている時にふと思いついたのが今春に篠井富家連峰を縦走したときに気になっていた鬼山(おにやま){372m}の事。
 国土地理院の地図上の兜山は鬼山であり、向かい側の同じ標高の無名372m峰が本来の兜山である。同じ標高なので地図に誤記されているということらしい。

 まだ時間が早かったので今日のおまけコースとして行ってみる事にした。車で徳次郎にある晃陽中学校前にある神社脇に入り林道を登る。篠井富家連峰の縦走コースからへ兜山へ向かう分岐点にある、259号鉄塔への標柱があるところの南側が鬼山となる。林道の舗装はここで切れるので路側に車を駐めた。

 鬼山は登山道が無い。だが、下から見上げても標高差70m程度の行程なのでなんとかなる直登だ。
 目を凝らすとうっすらと踏み跡が有るような無いような。取りあえず草や薮は枯れているので、多少トラバース気味に歩きやすいところを探しながら登っていく。途中一ヶ所大岩が出現する。なかなかの偉容だ。きっと薄暗い時に見たら鬼でも潜んでいるのかと見間違う事だろう。

 この大岩あたりからは一層斜度がきつくなるが、上を見ると尾根はすぐそこ。エイヤと登り切ると短いながらも北東から南西に延びる稜線に辿り着いた。向こう側に山名板らしきものが見えるので近づくとそこが鬼山頂上であった。樹に覆われて景色は全く無かったが、以前から何となく気になっていた山だけに満足感に浸ることの出来た往復30分のプチ登山であった。

     
形の良い榛名山    鬼山の巨岩    鬼山頂上
     
道は無い    取り付き地点    鬼山と兜山
  
今回のルート      

概略コースタイム
こどもの森駐車場発(10:43)-男山直登コース入口(11:16)-男山北北西尾根肩(11:42)-
男山(11:53)-本山着(12:13)-昼食-本山発(12:34)-飯盛山分岐(13:11)-下篠井登山口(13:55)-
こどもの森駐車場着(14:20)


鬼山
駐車地発(14:35)-山頂着(14:48)-山頂発(14:51)-駐車地着(15:04)

2007年10月13日

新パートナーと古賀志山へ

 会社の若手であるH君を山に誘ったら二つ返事で行くことになった。山は初めてということだが、特に勧めなかったのに自主的にトレッキングシューズを買いに行くという熱心さである。

 さて、どこへ行こうかと思案したが、やはり宇都宮市民としては近場で馴染みやすいところ、コースの多彩さ、いずれも入門にふさわしい古賀志山を選択した。

 コースは北登山道から富士見峠、東稜見晴らし台-古賀志山-御岳山で昼食。H君の体力を見て余力があれば帰りは559に寄って中尾根、エスケープして北登山道という予定で出発した。

 駐車場に車を駐めていざ出発。赤川ダム脇の舗装路を歩いていくとH君既に息が荒くなってきた。それでも北登山道入り口から水場、ベンチ休憩所までは何とか上がってこれたが、この後斜度が幾らかきつくなると休み休み進む。思えば自分も今年の初めの頃は彼と同じだったなぁと思う。

 富士見峠にようやく到着する。H君かなり疲労困憊の様子。しばし休憩の後再スタートするも、「まだ登っていくんですか?」と不安げだ。

 ようやく東稜展望台へ到着する。晴れてはいるものの霞んでいて眺望はいまいちだ。それでも眼前に広がる風景でH君の苦労も幾らか解消されたようである。

 途中すれ違った人から、「山頂は沢山人がいるよ」と聞いていたが、なるほど古賀志山頂上はごった返すような人。めいめいに陣取って昼食の最中である。我々は当初より眺望良好な御岳山で昼飯にする予定だったので、荷も下ろさずにすぐ出発。賑わう山頂を後にした。

 赤い鳥居の社殿跡を過ぎて2つめの岩場。あっ!とH君が一声。足がつったようである。ここで何かあるといけないので、下から声を掛けながら無事通過を見届けてから岩に腰掛け小休止だ。御岳山はすぐ目の前だがここは慌ててもしかたが無い。下山時にこの区間は巻道を素直に行けば良かったと少し反省をした。

 H君、渾身の力を振り絞りようやく御岳山頂到着。登りでは辛そうだったその表情も好眺望で一気に明るくなっていく。食事をして大休止を取るとすっかり元気が戻ってきたようだ。

     
若手H君    559    鞍掛尾根よ、今冬は待ってろよ

 帰りはあまり無理をしないほうが良いと判断し階段コースから降りることにした。

 延々と続く階段を降りて車道歩きを暫くして、初めて歩くトリムコース方面へ入っていく。よく整備されたハイキングコースをのんびり歩けばやがて赤川ダムへ。H君ご苦労さまでした。

 感想を聞くと、途中辛い部分もあったが楽しかったとの事。月1位で行きましょうと逆に提案された。家内に続けて2人目の山行パートナー誕生である。

     
次はパラグライダー挑戦か?    階段は続くよどこまでも    トリムコースへ
     
緩やかな道    今日の古賀志山   

2007年09月02日

良く歩かれた山の歩かれていない道

-- 『e-trex Leggend US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 猛暑の後は速攻で秋雨前線とはこは如何に?

 と天気にあたってもいたしかた無いことだが、一日中曇ながら今日は雨は降らないと天気予報が告げている。ならば運動不足解消へ近間に登ってくるかと思案すること暫し。9時を回った頃、「では篠井の本山あたりをちょこっと」ということになった。

 事前準備は全く無しで、子供の森駐車場から登って榛名山、本山、下篠井登山口へ下山と大雑把な計画であった。GPSもポイントの入力はしていないので中身は空。

 駐車場を出発して、敷地内を進む。以前篠井富屋連峰を縦走した時の感覚から、登山口の道標はすぐ見つかるだろうと思っていた。子供の森敷地に入ってすぐ右に折れるほうにキャンプサイトや宿泊施設あるらしい。舗装路をどんどん進んでいくと小さな道標に本山・飯盛山方面を見かけ迷わずそちらへと進む。実はこれが大きな甘ちゃんだったことは後ほど発覚。

 子供の森から外れるとすぐに舗装林道に出会う。(下写真左)
 ここにもしっかりと道標があるので迷うことは無い。しかし、こんな所に地図にも載っていない林道があるとはねぇ。10分程緩やかな登りを歩くと忽然と倒木が道を塞ぐ。これは車で来てもここ停まりだろうに。倒木をよく見るとどうやら意図的に掛けているようで、暗に通行禁止の様子である。その割には途中アスファルトを綺麗に修復していたりと不可解だが、きっと林業関係の作業道なのだろう。

 倒木を過ぎると案の定ほどなく舗装は切れ道が荒れ出した。進むにつれ草が張り出す部分もあったりするが道は依然はっきりしてどこまでも沢沿いに高度を上げていく。地図を見ると下篠井からの登山道とは明らかに違うが、途中道標もあったし、その後顕著な分岐も皆無故概ね間違いの無い感じである。

 この後道は心細くなったり急にしっかりとしたり状況は一定しないが、素人目にもしっかりと尾根に向かって進んでいるし、踏み跡こそ薄いが道としての「形」がしっかりしていることに励まされて登っていく。

 植林帯の少し深い所にさしかかると急に道が消えた。  というより一部道が崩壊しているのだ。ふと上を見ると明らかに山腹を巻ながら登っていく道があるのでそこまで少し直登。こんな事を幾度か繰り返すうちに行く手を岩場に遮られる。うーん、これは鞍掛尾根縦走の時と同じパターンだな、と思い撤退を決めかけていると、岩場右側に巻くルートあり。それも先人の赤丸ペンキがルートを誘導してくれている。取りあえず初めの尾根はそこにすぐ見えているのでもう少し登ってみることにした。何とか藪を払いのけ尾根に出てみると左手(西)に谷を挟み榛名山が見える。高度計が450mを示しているのでもう少しで本山・飯盛山間の主尾根に到達する筈である。草木は生い茂っているが、枝尾根を外さないように進んでいくと若干傾斜の緩い場所に出てここで一休み。

 これを書いている今、よく地図を見てみると500m等高線あたりがそうだったのだろう。ここからは少し道がはっきりしているが、結構斜度がきつくて喘ぎ喘ぎ登っていくとまた道が不明瞭になってきた。上に明るい稜線がはっきりと見えてきたので最後に藪を抜けて湿った落ち枝に滑らぬよう踏ん張って、それこそ藪の中から"ぽっこり"と主尾根に到達。やれやれである。

     
道標もしっかりあるし・・・    車は通れない    道不明区間

 主尾根に"ぽっこり"出た所に朽ちた道標が落ちている。(下写真左)
 辿ってきた道の感じからすると、恐らくかつては歩かれていたのだろうが、現在は廃道同然である。なによりも下篠井登山口へは飯盛山へ登る鞍部あたりから下っていた筈であるので、ここに道標をうち捨てているのは如何かと思った。登りは何とかなったが、あのコースを下るのはちょっといただけないし、下りは往々にして迷いやすいものだ。
 このあと別な所でも、朽ちた道標が明らかに違う方角を指し示している箇所があったが、しっかり固定されていない道標は信頼してはいけないという証左である。比較的整備されている山域だっただけにちょっと残念な気持ちもした。

 いつものことながら、藪漕ぎの急登は疲れる。本山手前の小ピークを前にしてでザックを降ろしてやれやれ。運動不足解消のリハビリ程度の山行のつもりだったが、結構なアタック(笑)にしばし休息。さあ、本山までもう一息。

 山頂に着いてみれば今日は登山者無し。春に登った時は山頂に入りきれない程ハイカーが居たものだが、夏場の低山は不人気のようである。今日あたりは気温も低いので決して辛くはないのだが、天気もはっきりしないから皆さん足が遠いのかな?

     
尾根に出てみれば    本山    二股山方面

 山頂で食事を済ませる。いつもながら下界の音が良く聞こえる山頂だ。今日は麓の小学校で運動会をやっている模様。

 当初の予定の丁度逆コースになった感じで、本山から榛名山へ向かい途中男山へ寄り道しながら子供の森に下山することになる。

 榛名山からどんどん高度を下げていく途中、岩場の好眺望ポイントでヘビが日光浴をしている。幸い登山道ではなかったので問題は無いが、よく観察すると色は黒いがシマヘビなのだろうか?マムシで無いことはう私にも一目瞭然。

     
男山    榛名山    ヘビに遭遇

 きつい下りが暫く続くと、子供の森の最上部にある展望台に到着だ。ここからは整備された”森”となる。
 下のほうから家族連れの子供のはしゃぐ声が聞こえてきた。

     
よく見かけるこのコブは一体何?    子供の森見晴台から榛名山    子供の森内の吊り橋

概略コースタイム
子供の森駐車場発(10:35)-林道出会(10:48)-倒木(10-58)-主尾根到達(11:45)-本山到着(12:05)-昼食-本山発(12:21)-男山(12:45)-榛名山(13:00)-子供の森駐車場着(13:48)

2007年08月13日

早朝の古賀志山


-- 『e-trex Leggend US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 うだるような連日の猛暑。さすがにこうも暑いと昼間はクーラーの効いた部屋でじっとしていたくなるものだ。
1ヶ月以上も山を歩いていないのですっかり足腰がなまってしまった感があるので、ここらで少しトレーニングを兼ねて涼しい時間に一歩きしてみようと思った。

 どうせ歩くなら本当に早い時間(日の出と共に行動開始)に歩ける所。そんな時間に歩いても有る程度安全な所をと考えた。古賀志山を北登山道から富士見峠へ向かい、山頂は踏まずに559Pを行動の目標点とし、中尾根コースで赤川ダムへ下山というルートを歩くことにした。

 中尾根コースは、前回鞍掛尾根縦走の際に下山ルートとして選択したが、途中から北登山道へのエスケープルートへ引き込まれてしまっている。今回は事前に情報も仕入れ済みなのでリベンジチャレンジである。

 宇都宮地方の日の出時間は4:56。日の出と共に登山を開始する為に4:30には自宅を出発すると、あたりはもう白み始めている。途中、多気山脇のポイントから東側に見える日の出前のオレンジ色の空が綺麗だったので、思わず車を止めてカメラに収めた(下の写真左)

 予定通り、日の出直後の5:00丁度に行動開始。当然他の登山者の人影なぞ皆無の薄暗い砂利道を歩き始める。沢の水音と木立の鬱蒼とした感じから、山がまだ眠りから覚めていない感じが伝わってくる。

 歩き初めて10分程で水場へ到着した。樹が少し切れて空が見える。随分明るくなってきた。GPSの電源を入れ、衛星の捕捉を確認。この先富士見峠までは道に迷うことも全く無い道中だが、何故かホっとする。流れ出る冷たい水で顔を洗い、少しだけ喉を潤す。相変わらず"重い"感じの味だが清冽であることには違いない。

 段々と空の青みがくっきりとしてくる頃になると、日の光は木の葉を切り裂くように鋭く差し込んでくる。冬場はあれほど太陽の光が恋しかったのに、今の季節はそんな強い日差しから登山者を守ってくれる森に感謝。

 登り初めはひんやりしていた空気も、段々と温度が上がっていくのが刻々と感じられる。高度を上げるにつれ、湿度もまた高くなってきた。さしたる登りではないがもう既に汗だくだ。沢音も聞こえなくなってきて遠く山鳩が儚げに鳴く声だけが聞こえる。ふと立ち止まると自分の胸の鼓動がやけにはっきり聞こえた。

 富士見峠で一休みをしていると、古賀志山山頂方面から人の声が聞こえてきたような気が一瞬した。自分と同じような物好きな奴がいるのかな?と思ったが移動している気配無し。空耳かはたまた物の怪のなせるわざか(笑)

 559Pへ向かう途中の小ピークからの眺めは、光の加減が丁度良いあんばいで、幽谷幽玄という言葉がぴったりなまるで一幅の山水画のような風景であった。(下の写真、中・右)
この風景を見られただけでも今日の山行は甲斐があったというもの。早い時間に登り始めて本当に良かった。

 相変わらずの急登を息せききって559Pへ着いたのが6:30。自宅に登頂のメールを入れ朝飯の菓子パンをほおばる。休日の正午などは平均年齢が70歳以上なのではと思うほどのハイカーでごった返す山頂も今日は一人。向かい側の古賀志山、そして裏側の鞍掛尾根方面までも全て一人で占有しているんじゃ無いかなという達成感がちょっとこそばゆかった。

     
多気山脇から東    霧に佇む山影    霧に佇む山影

 559Pから富士見峠方面へ一旦戻り、中尾根分岐から細野ダムを目指す。暫くは登ったり下ったりのデコボコ縦走である。

 右手に東綾が大きく見えてきた頃、何か小動物が素早く足元を走り去っていく。
 あまりにも一瞬の出来事であったが、登山道から谷へ向かった「そいつ」はなんと小猿であった。子供が居れば親も居るのは当たり前で、親1匹ならトレキングポールで戦えるだろうが、万が一群れにでも会ったら厄介だなと一瞬びびる。結局親も群れも姿を見せなかったが、こんな所に猿がいるという事は、クマ同様やはり沢山の登山者が残す食料目当ての生息なのだろうか。

     
559Pから日光連山    559Pから高原山    中尾根より東綾

 間もなく、前回道を間違えたポイントへ到達。(下の写真左)
 右は北登山道へのエスケープルート。直進は中尾根コース継続。左が・・・何処へ向かうのだろう。地図を眺めてもさっぱりだが、その割には道は左(北)が一番明瞭である。

 今回はこのポイントで直進し、間違い無く中尾根コースを辿ることが出来た。が、しかし、このあと道がどんどん難しくなっていくことにまだ気付いていない。
 暫くして、本日一人目の登山者とすれ違った。猿の事を話そうかと思ったが挨拶だけを交わす。

 十字路の後の2つめの小ピークを超えた地点での出来事。踏み跡のかなりしっかりした方に何の躊躇もせずに足を踏み入れると、やけに高度を下げる。それも巻かずに南へ一直線に下り一辺倒だ。一番怪しかったのは先ほどすれ違った登山者がいたのに道を塞ぐようににクモの巣が張っていたこと。更に途中でまた二股に分かれ、そのどちらもそれなりに歩かれた感じがあるがますます下っていく模様だ。危ない危ないと思いGPSを見てみるとやはり目標ポイントから外れかけている。迷ったら戻るべしの鉄則にのっとり、登り返す。こういう時の登りはやけに辛いものだ。

 先ほど引き込まれた分岐点まで戻ってよく観察すると北北東方面に草に邪魔されたルートがあるでは無いか。冬場なら見落とす筈は無いが、草深い夏場は注意が必要である。
 以前にも思った事だが、古賀志山は縦横無尽に歩かれており、獣道か登山道か登山道もどきか判別に苦しむ事が多い。道というものは、本来何も無かった所に往来が発生してやがて道になるものである。従ってこういった踏み跡のどれもが道の卵であるには違いないが、途中で破綻してしまうコースへ招待されるのはご免被りたい。

 あちこちに踏み跡が散乱している状況なので、流石に地図を頻繁に見、GPSもまめにチェックしながら進行。細野ダムからの登りなら一本調子だが、逆コースははっきり言ってかなり緊張していないとコースアウトしそうだ。

 真向かいの天狗鳥屋との間にひっそりと佇む細野ダムを見下ろす地点で尾根は切れた。このポイントからは一気にダムに向かって下がる感じだ。
 ジリジリと照りつける日差しの中、1本また1本と虎ロープに助けられながら高度を下げていく。ようやく植林地にたどり着いて沢を渡れば北登山道の登山口へ到着。細野ダムから注がれる沢の水で顔を洗ってさっぱり。無事車へ戻る。

     
問題の分岐    再び東綾、鹿沼の街並みも見える    赤川ダム
  
細野ダムを見下ろし一気に降下      

概略コースタイム
北登山道発(5:00)-水場(5:12)-ベンチ休憩所(5:26)-富士見峠(5:47)-559P着(6:28)-559P発(6:46)-小猿に遭遇(7:03)-十字路(7:10)-道迷いポイント(7:24)-道迷いから復帰(7:39)-496P(7:44)-尾根終端(8:30)-細野ダム着(8:45)

2007年07月01日

フィットネスin男抱山

 どうも週末に思わせぶりに晴れ間がのぞくので誘惑的でいけない。 土曜日は仕事だったので良かったのだが。

 午前中の青空が見え隠れする時間帯に、先週のツーリングで濡れたカッパやその他装備をしっかり乾かして、ついでにバイクも洗車してしばし乾燥。
 昼頃から雲が多くはなってきたものの、天気予報やウェザーニュースを見ても広域的に雨雲は発生していない模様。それならば足腰のトレーニングにちょっとだけ登ってきましょう!と男抱山へGo。

 反時計回りコース(東回り)を立ち止まり休憩なしのノンストップ約20分で山頂到着。初めて登った時は40分かかったので我ながら脚力の進歩を感じることひとしお。
(というか以前が体力無さ過ぎ)

 頂上からの田んぼ風景は稲穂が充分成長して、一面の緑の絨毯。なかなか絵になる。今度は稲刈りの時期にまた登ってみたいものである。

 さて山頂で一休みして、今日は富士山への鞍部から北へ降りようと思い、山頂からどんどん高度を下げていく。もう一くだりで鞍部というところで、「ブーン」という重い羽音が聞こえた。
 スズメ蜂が道の至近距離で八の時に飛んでいた。距離的にはまだ5m以上は前方であったのと、蜂も単独だったのでこちらには気づいていない。取りあえず脱兎の如く今下ってきた急坂を一気に登り返す。単独行は静かなので周囲の音に集中出来て良いかもしれないが、グループだとこういう時に気が付くのが遅れるかも知れない。

 困ったな。あそこを通れないとすると今日はピストンで下山か。2~3分待ってゆっくりと偵察よろしく先ほどのポイントまで降りる。するとやや飛行ポイントが移動してはいるものの、やはり熱心に八の時を描き続けている。この時期巣作りの早い段階なのでそう凶暴な訳では無いと思うが、八の時に飛ぶということは何かを観察中に違いない訳で近くを通って刺激するのは得策でないと判断し撤退決定。

 いつも気になっていたのだが、山頂北側を巻く道があって、かなりしっかりした踏み跡がある。折角なのでちょっと覗いて見ることにした。

 20~30m進んでみても踏み跡は全く薄くならず、どんどん高度を下げていく。有る程度下がると明らかに植林地内の作業道のようである。下草が無いので足元も比較的安心だが、何せ直登(降)なので結構な斜度である。今日はGPSを持って来なかったが、この周辺は春先に外輪尾根を探検しており、また国道や高速を走るクルマの音が良く聞こえる。地形はほぼ頭に入っているので不安はまったく無くどんどん降りていく。

 途中、道から離れた樹の幹の枝わかれした所ににヘビがとぐろを巻いて涼んでいた。マムシでは無かったので気にせずスルー。一瞬写真でも撮ろうかと思ったがやはりためらわれた。山の中でヘビと空間を共有するというのも結構張りつめたものがある。

 一旦降りきったところで更に作業道が複雑に交差する。ここでコンパスで確認をしてR293方面を目指すと若干薄いながらもなおも踏み跡が続く。沢を越えるとやや広い所に抜け、向こう側に建物が見えてきた。「星降る丘キャンプ場」のようだ。

 結局鞍部から北に降りてきた道と合流したので、今回のルートはショートカットコースという訳だが、そのうちまた冬の低山シーズンにGPSを携帯して下ってみる予定である。

 男抱山のような登山者の少ないエリアは、夏の間は蜂やヘビなどの動物達、本来の住人達のものになっているのだ。運動不足解消に、手頃な男抱山をフィットネスクラブ代わりにしようという甘い考えは、どうやら山の住人達に却下されたようである。

2007年06月03日

寅巳山

 今日も家内の実家に所用あり。
で、確信犯的に準備をすすめ、先週の雷電山のお隣、寅巳山(とらみやま){445.8m}へ登ってきました。

 まずは取り付き地である野鹿台団地の最深部へ。

 以前バイクで下見を済ませてあり、車の駐車が難しそうだったので、今回は取り付き地へ家内の送迎付きの豪華?山行です。

 登山口は標識もなく、鬱蒼と草が生い茂っておりちょっと心細い感じですが、10mも入るとしっかりとした林道があってびっくり。
この林道もすぐに途切れますが、ガイドブック(栃木の山140)通りに谷を忠実に登って行きます。

 途中左手一体が伐採されており、尾根筋が丸見えで思わずそちらによじ登りたくなりますが、ガイドブックに従いここはじっと我慢で谷を詰めていきます。

 踏み跡が谷をはずれると次第に急登になります。喘ぎながらここを登り切ると、ガイドブックの表現がぴったり、文字通りポコンと「突き上げる」ようにして尾根鞍部に到達です。
{下山時に同地点を通過しましたが、尾根からは見過ごしてしまいそうになるほど}

     
登山口    登山口入ってすぐ    沢から尾根へ登る

 ここから更に北へ少し登って次の尾根に乗り換えると、程なく山頂へ到着です。ガイドブック等で既知の通り、展望はまったくありませんが幾つかの山名板が迎えてくれました。
 山頂広場を独り占めして昼食タイムです。三角点にカップラーメンを置いてその脇にある石に腰掛けて、さながら簡易テーブル(笑)

     
山頂    三角点    紫陽花のような?花

 帰路は、先ほどの「突き上げた」尾根の箇所まで戻り、尾根を南南西方面へ直進すると、忽然と現れる柱状節理。本当に唐突と現れます。この草木で覆われた山の中に隠された地質や如何にと思わせる表情の豊かさとでもいいましょうか。
  所々に控えめに咲く紫陽花のような花(無粋故名前解りません)を眺めながらの下山路もまた、踏み跡を外さないように慎重に下っていきます。
 結構な斜度と滑りやすい足元故、たまらずトレッキングポールの世話になりました。

傾斜が緩やかになったあたりで踏み跡は消失しますが、右側谷筋(登り路)を意識してそちらへトラバース気味に下りていくと登山口付近の林道へ合流。無事下山終了です。

     
柱状節理    団地入り口の地図 登山道への唯一の地元情報    田に写る寅巳山 なかなかに美しい

今回は思ったより衛星の補足状況が悪くGPSの軌跡はメタメタに切れていました。しかしながら、「栃木の山140」の記述通りぴったりの道程だったのはビックリ。寅巳山担当の執筆者の文章の適切さには脱帽でした。


概略コースタイム
登山口(12:30)-尾根突き上げ(12:55)-山頂着(13:03)-昼飯-山頂発(13:28)-柱状節理(13:38)-登山口(13:55)

2007年05月26日

雷電山

-- 『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
(クリッックすると地図は大きくなります)
なお、実線はGPSで記録した歩行軌跡ですが、衛星の補足状況が悪く軌跡が飛んでいる箇所もあります。また、GPSの測定誤差もありますのであくまで参考としてお考え下さい。

今市でスープ焼きそばを食べた後、所用で家内の実家へ立ち寄りました。
用事を済ませて、家内がおしゃべりをしている合間に、どれっ!一山歩いて来るかと、裏山(と言うほど近くは無いがすぐそこ)の雷電山{386m}を目指して出発。この後ちょっと会社に行かなきゃならない用事があったので、目標タイムは往復40分の予定です。

雷電山については、実は20年以上も前に一度暇つぶしに登ったことがありました。当時は特に楽しみとして登った訳でもなく、大した記憶も無かったのですが、とにかく道がわからず取り付きに苦労したことだけははっきり覚えていました。

今回は「栃木の山紀行」さんのサイトで事前に情報を仕入れてはいたのですが、やはりのっけから道がわからなく尾根まで直登は20年前と同じです。
登山口の神社裏で小偵察をして検討を試みるも、ままよ。ほぼ全山の山容が丸見えなので、気にせず尾根を目指します。

以前との違いは、取り付き位置が若干違っていて、確か20年前は伐採後の裸斜面を直登したのでおそらく集落の人々から丸見えだったことかもしれません。
ほぼ同じところを今回は下山に使いましたが、綺麗に植林されて順調に育っている樹の太さから、改めて年月を感じちゃいました。

     
植林地を無理矢理登って一休み 光少なくブレブレ    山頂の祠    山名板はこの他、「栃木の山紀行」さん

しかしこの山、尾根に登るとしっかりとした踏み跡があって迷う様子は無いのに皆さん地元の人はどうやってアプローチしてるんでしょうね。

聞くところによると以前は地元の小学生(低学年)が遠足で登っていたそうな。
それなりのルートが有りそうなものなのですが。
ちなみ高学年になると、篠井連峰に登るそうです。
引率の先生も大変そうですね。

山頂間近になると一カ所だけ忽然と岩が出現します。他の山のそれと比べると「おしるし」程度ですが、何故か有る意味ホッとしました(^_^)

樹間からうっすらと南東方面が見える以外の眺望が全くない山頂には祠があり、片隅に一升瓶が立てかけてありました。ここも地元の方の信仰の山なんですね。

下山は、しっかりとした尾根道の終点まではこれを使い、その先は地図+雰囲気で別ルートを選択。
ほぼ下りきったところで藪を一漕ぎして外に出てみれば、あれまぁ田んぼだ。
ちょい廻ってあぜ道のところまでもう一漕ぎ。やれやれ脱出しました。

車はすぐそこに見えているからまずまずの首尾かな、と思ってあぜ道を歩いているとシマヘビさん出現!

「なんやあんた?」とでも言いたげな感じでのっそりと穴に入っていきました。

油断させておいて、いきなり穴から襲おうって魂胆なら(そんな筈は絶対あり得ん)困るなぁ。
こちとら早く帰らなきゃならないし・・・
で、トレッキングポールで、その辺をバシバシ叩きながら脱兎のごとく通過。
本日の散歩は無事終了です。

  
山頂近くには唯一の岩が露出    藪を分けたら田んぼでした

ちなみに、前回の男抱山からGPSのザックへの装着箇所を変えました。
以前は左胸の少し下あたりに付けていたのですが、やはり体に邪魔されて衛星の補足が困難になっていたようです。

取り付け位置をザックの背中側の比較的高い位置にしたことで、今回のような深い樹林でもそこそこに軌跡を記録することが出来るようになりました。
以前の取り付け位置だと軌跡記録ポイントは恐らく数十分の1位で、殆ど使い物になりませんでした。

2007年05月20日

駐車場で断念!剣ヶ峰 結局男抱山(^^;

記念すべき?我が家の家族山行第二弾。
高原山、大間々~剣ヶ峰。

県民の森から山道をぐるぐる回り、大間々の駐車場はきっと混んでいるだろうと駐車スペースを考え、非力な軽自動で何とか辿り着いてみると、比較的低い雲と強風。
そして何よりもBadだったのが、低い気温と強風と雨粒が時折僅かに混じる天候に対応出来る装備が3人とも出来ていなかったことでした。

後ろ髪をひかれる思いとはまさにこのこと。ですが無理は禁物。
出がけに全員の装備の最終チェック(自分のも含めて)をしなかったおのれを恨みましたが、まぁあの強風で歩いてもそれはそれであまり安全ではなさそうだったのでこの決断をヨシとしました。

結局大間々までの新緑観望ドライブとなってしまった訳ですが、昼飯も買っちゃたし、どこか登ろうということで、先週に引き続き「男抱山」に登ってしまいました。

勿論家族は初めてだったので、山頂眺望はそれなりに楽しめたようでした。

     
今回は西周り    富士山 山頂    富士山より筑波山を望む

2007年05月12日

男抱山とPROTREK

実は山登りを始めてから非常に欲しかったモノがありました。
CASIOから発売されているPROTREKという登山向けの腕時計。
見た目は一世を風靡したG-SHOCKの一回り大型判といった感じなのですが、機能的に、

 1.高度計
 2.気圧計
 3.方位計

この3つの機能(トリプルセンサーとカシオは呼んでいる)を持ち合わせているのが特徴です。数種類のラインナップがあって、上位機種はソーラー電池+電波時計、で結構なお値段になっています。

で、機能は上位機種と大して変わらないので、トリプルセンサーで一番安いやつを入手しました。
http://casio.jp/wat/PROTREK/products/triple.html

先日宇都宮駅ビルでメガネを作って貰っている待ち時間に、たまたま寄ったヨドバシに陳列してあったのが運のつき。
オークションの新品相場と比べると千円くらい高かったので交渉してみると、ポイントの一部を長期保障に繰り入れて云々+αという条件で交渉成立。
手持ちポイントも足してそこそこ安く入手することができました。

まぁ、実際のところ、コンパスはアナログ式のを持っているし、高度計といっても登れる高さは知れてるし(測定上限の10,000mに行くことははあり得ない)、ということで果たして必要か?と問われれば、

「電子小道具ヲタクとして外せないアイテムです!」とキッパリ答えてしまいそうな自分。

当然、買ってしまえば使いたくなるのは人情です。

いざ、男抱山から里田の風景でも眺めて来ますか。

と、朝早くから自宅の草取りに精を出し、昼前に支度して出発です!

東コースは階段があって嫌いなのですが、前回は西回りだったので今日は東を選択しました。
ちなみ1月に初めて登った時は途中でゼーゼー休みながら登って約1時間近くも掛かったのが、今日は30分で山頂に到着。

さすがに頻繁に歩いているので少しは体力が付いてきたのかなぁ。
というよりも歩く要領が良くなってきたのかも知れませんね。
自分の体力に合ったペースがようやく最近は掴めるようになってきたという感じです。

途中PROTREKで高度を確認しながら登っていきますが、おぉ確かにどんどん表示高度が上がっていくじゃないか(超当たり前のことなのだがなぜか嬉しい)。
どれどれ高度アラームを設定するぞ。300mでアラーム鳴動ね。

黙々と歩く。

腕時計のアラームが鳴る

「うむ。300m地点到達だ。次は方位計測だな。まず2点補正をしなければ云々・・・」

と、景色もそこそこに登りながらあっという間に山頂到着です。

高度を早速チェックしてみると340m。
地形図標高が338mなのでドンピシャじゃないですか、これまた至極当然の事に感動です。
新しいおもちゃが出来て山登りが一層楽しくなりました。

山頂から見える眺望は今日もまた一段と格別。
期待していた、苗で緑に彩られた田んぼ風景はまだちょっと早かったようですが、水を張った田のキラキラした美しさを楽しむことができました。

結構長い時間を山頂でのんびり過ごし、下山開始。
今回は未踏コース男抱・富士山鞍部より南側ルートで下山です。
鞍部中間地点で、南北に下りる分岐点があり、こちらを左に折れます。
(写真右 の分岐点を左{南}へ)

     
男抱山 山頂の岩陰から    水を張った田んぼが美しい    男抱山・富士山中間鞍部の4差路

下山路に入るといきなり、文字通り「根こそぎ」状態で木が倒れていて道を塞いでいます。
木を乗り越え進んでいくも、このあとも草が道にせり出していてあまり通る人がいない事を物語っています。何度クモの巣が顔にくっついた事か。

ところが道は思った以上にしっかりとしていて、踏み跡を失うという事はまったく無く、下山しきった状態で振り返って見ると斜度はほぼ一定でなだらか。男抱山と富士山の双耳峰のちょうど中間の谷筋を忠実に辿るこのコースが、実はもっとも楽に登れるコースであるということが判りました。

少し降りた地点で忽然と石祠出現。
「栃木の山140」にも書いてあった事を思い出し、つくづく山は周辺の民の信仰の対象なのだなぁと改めて感じました。

石碑に「・・・年没」と彫ってあるところを見ると誰かの墓でもあるようですね。

     
根こそぎ倒れた巨木    途中の石祠    始終こんな感じで草が道を覆っています


クモの巣と格闘しながら、それでもあっという間に下山終了。
登山口のコース分岐点に到着しました。
着いてみれば、あら見事。同じところから3ルートに分かれていたのですね。

今度登りで通られる方は一度如何ですか?草が無い冬場かな。お勧めは

2007年05月05日

鞍掛山~古賀志縦走

前回、古賀志方面からチャンレンジして途中挫折の鞍掛尾根の縦走に、GW最後の晴天日にチャレンジしてきました。コースミスで480Pが未踏なのはちょっと悔しいですが、来年の3月あたりに再チャレンジの予定です。



-- 『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

(クリッックすると地図は大きくなります)
なお、実線=歩行軌跡ではありません。GPSの測定誤差もありますのであくまで参考としてお考え下さい。


おなじみの森林公園駐車場に車を駐めると、今日も皆さん登山にサイクリングにと既に沢山の車が駐車しています。流石にGWだけあって普段来ないようなお客さん目当ての屋台なども出ていたりで、いつもの休日とはちょっと違った面持ちでした。

身支度をととのえ駐車場を出発。細野ダム方向へと向かい、更に林道を北へ歩くことしばし。林道鞍掛線の入り口に到着です。
林道鞍掛線では、途中山肌で何か藪の中で動く音が聞こえたので一瞬ドキリとしましたが、山菜採りの方でした。

鞍掛山登山口に到着すると、以前あった猿(ゴリラ?)の置物のようなものは撤去されて、代わりに立派な案内看板が設置されています。
新年度で観光予算が付いたのかな?

それにしても、御岳山<->赤岩山間の通行規制案内がこんなところにも張られていますね。
古賀志山の周囲の各登山口や踏み跡程度の「裏登山口」にさえもこの案内が張られているのは見かけていたのですが、どうやら鞍掛山も立派に古賀志山登山口として認知されている模様。
看板にも、・・・・で古賀志山へって書いてありますものね。

    

(写真左)林道鞍掛線
(写真中)鞍掛山登山口に新設された案内板
(写真右)鞍掛山も古賀志山入山口と考えられている模様


ところどころの道標もすっかりリニューアル(古いのも併設)されて、こころもちフレッシュな気分で登っていきます。
今回は東廻りの尾根コースからアプローチですが、やはり終盤は斜度が結構きつくて休み休みの進行。今日は長丁場なのでここで体力を消耗するわけにはいきません。

この時期山ツツジが綺麗ということですが、ツツジの株自体が少ないせいか今一つぱっとしない感じでした。
一汗かいて大岩に到着。これから向かう古賀志山方面を眺めながらしばし休憩です。

    

(写真左)双体神
(写真中)新緑と青空が見事
(写真右)大岩からこれから向かう古賀志山方面を望む


山頂から奥の院方面へと進み、右手へ下る道へ入りいよいよ縦走開始です。
道はしっかりとついており、忠実に進んで行きます。
が、一旦高度が下がったあたり、比較的伐採が広めになされた箇所で道が不明に。
明らかに踏み跡がしっかりついていて、なおかつ赤テープが行く手に続くほうを選択したのが失敗でした。
100m程進んで、更に広い伐採された広場に出ました。GPSは尾根から逸れて衛星が補足できないので、充分警戒しながら地図とコンパスを片手に進んで、この広場で一考。

480P南側に降りてしまったことは地図を見て一目瞭然。
左手の緩い傾斜の植林帯を下れば、すぐそこに林道があり今日は一旦そちらにエスケープか?
しかし、上手に続く植林帯にも上へ上へと続く赤テープあり。
これををもう少し登って見ると480Pとそれから降りてくる尾根筋がはっきりと見え、赤テープの誘導通りに進むと無事尾根筋のしっかりとしたルートに復帰することができました。

まずは一安心で、尾根道の小岩に腰掛け大休止!
480Pを踏まなかったのはちょっと残念ですが、コースアウト後の無駄な登り返しでいささか疲れていたので取りあえず先を急ぐ事にしました。

この時期になると日差しが結構堪えますが、尾根道は樹に覆われていながらも木漏れ日が優しく差し込み快適に進むことが出来ます。

    

(写真左)ヤマツツジ
(写真中)鞍掛山頂も新しい山名板で賑やかでした
(写真右)コース図の写真1


鞍部からグッと登り返した431Pにてバテ気味。時間も丁度良いので昼食休憩を付近の平坦地でとることにします。
7-11で買ってきたおにぎりをほおばるも、何故か米粒がぱさついて喉を通らない。
先ほどからまめに給水していたのですが、どうもお茶は沢山飲むと口の中に違和感が残って食べ物の風味食感までも変えてしまうようです。
次回からこの時期の山行は食事用のお茶と飲み水と分けて持って行くべしと反省しました。

山が花で綺麗に彩られると同時にそこに集まる虫たちも活動が盛んな様子です。
食べている間も、小さな蜂やら虫やらがぶんぶん顔の周りを飛び回っていて、賑やかというか迷惑というか(^^;
おにぎり1個をなんとか流し込み再び行動を開始することにしました。

    

(写真左)コース図の写真2 コース中のデンと鎮座する岩から来し方(480P方面)を振り返る
(写真中)431Pあたりから猪倉方面
(写真右)コース図の写真3 数少ない道標


コース中盤のこのあたりになってくるとやはり疲れがたまってきて、小ピークを越えては降りるの連続にいささか堪えるようになってきました。
まぁ日もまだ充分に高いし、安全の為に休み休みいきましょう。

    

(写真左)↑の数少ない道標東側の三角点。これから更に東側に降りる踏み跡あり 要注意
(写真中)コース図の写真4
(写真右)コース図の写真5 


前回古賀志山側からのアプローチで挫折した境界石地点までようやく到着。
何か一つの心の区切りのように感じホットしました。
この先、尾根筋が真っ直ぐ南に向かい始めると西側眺望が段々と開け始め、疲れた体を元気づけてくれます。

写真7地点の小ピークでは木が全く無く、ほぼ360度の眺望です。
南に559Pとその奥の古賀志山も見えてきて、いよいよゴールが近づいてきたことを知ります。

    

(写真左)境界石
(写真中)コース図の写真6 踏み跡も薄く斜度もあり、どう見ても文挟方面は廃道?
(写真右)コース図の写真7地点から西側眺望

    

(写真左)コース図の写真7地点から北西側眺望
(写真中)           〃    西側眺望
(写真右)           〃    559Pを望む

559Pよりコースを振り返る

この好眺望のピークを後にして、垂直に切り立つ岩場を横に巻ながら559P北側の鎖場を登ると559Pへ到着です。

北側風景を眺めながら、今日の縦走を振り返ることしばし。
いやぁなかなか充実した山行でした。
おっとまだ気を抜いちゃいけない。
下山がこれから。

当初富士見峠から北コースで下山と予定していたのですが、時間が押していたのと家から早く帰ってこいメールが入っていたため、変更で中尾根コースと北コースへエスケープするルートで下山することにしました。

中尾根コースから北コースへの分岐点はあれだけ利用者が多いので是非道標が欲しいところです>宇都宮市さん

北コースの砂利道を歩くころには、朝の行動開始から既に7時間近く歩いているので足にまめが出来る寸前です。砂利道を進む足取りは重かったですが、鞍掛尾根の小ピーク達を振り返ると本当に楽しい一日でした。

帰りに立ち寄った水場。
前回も気になっていたのですが、触れてみれば手の芯まで凍り付きそうな冷たい水です。
汗が乾いて塩だらけになった顔を洗って、意を決して置いてあったコップで一口飲んでみました。

冷たくておいしい一杯の水。
「一杯の水がくれる元気」を、まさに実感した一瞬でした。


概略コースタイム
8:40 森林公園駐車場出発-9:10 林道鞍掛線入口-9:30 鞍掛登山口
9:46 鞍掛神社-9:49 分岐-10:15 大岩-10:26 大岩発-10:33 鞍掛山山頂
11:30 480P尾根下-11:46 480P尾根復帰-12:20 431P-13:23 境界石
14:34 559P 手前鎖場-14:43 559P-14:55 中尾根コース分岐
15:09 中尾根コースより北コース分岐-15:18 北コースと合流(ベンチ設置箇所)
16:00 森林公園駐車場着

2007年04月21日

男抱山北側稜線探索



-- 『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

(クリッックすると地図は大きくなります)

前回の男抱山(ブログ記録無し)の下山で気になっていた北側尾根筋の探索に行ってきました。
今回取り付きは前回の下山口、すなわち下田中の墓地前からとなります。

今日は午前中に行動終了予定なので、いつもより早めの朝8時に自宅を出発。
通常登山口に車を止めて、身支度を調え出発。約600m程R293を北上します。
そういえば、帽子を忘れてきちゃったな。最近何かしら忘れ物をするんで困ったものです。

テクテク暢気に歩いて、イタ飯屋さんの看板がある取り付き地へ到着。
山道に入ってすぐ右上墓地裏ヘ上がる踏み跡を追うとすぐに尾根筋に辿りつきます。
とにかくピンクテープが一杯あるので、これを追っていけばまず道を外すことも無いでしょう。
それから山の大きさ自体が小さい事。下を通る高速などの景色などから、自分の位置を把握しやすく、迷うということはほぼ皆無ともいえましょう。

    

(写真左)通常登山口前の墓地 すっかり木が伐採されて墓地が丸見えでした
(写真中)取り付き地 国道の標識のところを入っていきます
(写真右)取り付き直後、ここを左に行くと男抱北下山ルートに行ってしまうのでここは右上へ


眺望は殆どありませんが、なかなか冒険気分に浸れて楽しいルートです。
それにしても周りを見ると植林地では無い自然林なのに、何故か尾根筋だけ綺麗に伐採されて踏み跡もしっかりしているのは何故だろうと気になります。もっともかなり多数の境界杭が打たれているので頻繁に人が入っているようです。

292Pから一旦降りた鞍部あたりから左手斜面が植林地になります。
ここでちょっとピンクテープが薄くなり、左下の踏み跡に引き込まれそうになりますが、高みを辿って尾根を外さないようにします。

291Pとの中間地点に前回発見した神社跡?(と勘違いしていた)に到達しました。
よくよく見てみると何と大谷石の採掘跡のようです。

    

(写真左)ほぼこんな感じでピンクテープがコース誘導してくれます
(写真中)292Pあたりから北側樹間に半蔵山が見え隠れします
(写真右)謎の神社跡は大谷石採掘跡


前回はこの苔むしたごろごろの大谷石の西側を登ってきたことが今回解りました。
また、更にこの先にも採掘跡や設備跡があり、鉄条網で周りを囲われていますが、かなり大規模に採掘していたようで、現在どういう状態になっているか解らない為、このエリアに行かれる方は大変危険ですので絶対に近づかない方が良いです。

291P直前で男抱-富士山鞍部へ続くと思われるピンクテープに一旦別れ告げ、291Pを目指します。
地図を見るとすぐ脇を直登すれば良いのですが、斜度と藪の深さから危険と判断しました。暫し周りを見渡すと右下に林道を発見。しかし降りて行っても登り返す様子が無いので、再度良く観察してみると、薄い踏み跡の先に儚げにピンクテープがヒラヒラしています。

なんとかエイヤと登り無事291P到着。

    

(写真左)苔むす、うち捨てられた大谷石の破片
(写真中)こちらは更に大きな採掘跡
(写真右)林道発見



291Pで荷を下ろし、休憩。
ここからも男抱山方面へ続くであろうピンクテープが続いている様子ですが、この先西側は、広く木が切られており頼みのピンクテープもここまでのようです。
また、当初考えていた真西へ向かうコースも、その先の藪が深く断念せざるを得ません。
さあどうしたものかと少し進むと作業林道に出くわしました。

    

(写真左)こんな山中にこんな設備が かつてロープか何かを引っ張っていたのかも
(写真中)291P(だと思う)
(写真右)作業林道に出くわす


この作業林道を行くと、やがて鉄塔への標識が。
鉄塔巡視路だったんですね。ちょっと寄り道です。

巡視路はから下方に砂防ダムが見えてきました・・・
が、どうにも下へ降りる道が見つからない。
ままよ。と僅かな区間ですが藪漕ぎで降りちゃいました。

    

(写真左)鉄塔への標識
(写真中)鉄塔
(写真右)最後の藪こぎ


砂防ダムへ辿り着き、砂利林道を歩けばすぐに田んぼが広がり菜の花が目に飛び込んで来ました。
鬱蒼とした尾根筋の緊張感から解放されて清々しい風景です。

    

(写真左)砂防ダム 左手上が最後の藪漕ぎ地点
(写真中)廃道にガードレール?
(写真右)里へ降り立ち半蔵山を望む


ここからは舗装路歩きですが、丁度田んぼに水を張りだしたところで、用水のせせらぎの音が心地よく疲れを癒してくれます。
ふと西側に目をやれば、鞍掛山・雲雀鳥屋・多気山と、春めいた色合いの山肌が行儀良く並んでいてこれまた楽しませてくれます。

途中、林道富士山線というのがありましたが、やはり地元の人にとって富士山は馴染みのある名前なのですね。
R293に近づくに従って、大音量の選挙カー、トラックのエンジン音、里の喧噪が耳につくようになってきます。思わずちょっとショートカットして林の中を抜けたら、どこかのお宅の裏庭の納屋脇に出てしまいました。そのお宅の犬にえらく吠えたてられてR293へOUT。
{裏庭通過で失礼いたしました>お家の方 騒がせてゴメン>犬殿}

あとはぽっくりぽっくりとR293を歩き無事駐車地へ到着。
朝は自分の車だけでしたが、他に2台の客人あり。
今頃男抱山頂の岩に腰掛けて昼飯でも食べてるかな?

    

(写真左)ひっそりと佇む野仏
(写真中)林道富士山線? 富士山という山名を唯一冠した名称
(写真右)最後は民家の脇を失礼しました


概略コースタイム
駐車場8:20-取付地8:34-292P9:07-291P9:57-鉄塔10:08-砂防ダム10:24-田口集落10:30-林道富士山線分岐10:52-R29311:00-駐車場11:13
(地図を見たり周りの様子を伺いながら、かなりのスローペースで歩きました)

2007年04月14日

鞍掛尾根縦走(途中挫折)



-- 『カシミール3D』+『山旅倶楽部プラグイン』にて作成 --

(クリッックすると地図は大きくなります)

1月に鞍掛山を登ってからずっと気になっていた鞍掛尾根縦走(古賀志山北コースの富士見峠~鞍掛山)にチャレンジしてきました。

まずは、森林公園駐車場(11:30発)から北コースへの林道を歩き、登山口へ。
北側に積乱雲(のような感じ)が出ていたのが気になり、状況によっては引き返すのもやむなしと思いながら登山開始です。

初めは比較的なだらかな斜面故足慣らしには丁度良い感じでしたが、ほぼ1ヶ月ぶりの登山でなまっていたせいか、富士見峠についた時には結構疲れてしまって、やはり基礎体力不足を痛感しました。

    

(写真左)北コース登山口
(写真中)水場 ここの水は本当に飲んで大丈夫なんでしょうか?それにしてもシカの人形が何故ここに置いてある?
(写真右)富士見峠で一休み



さあ、一休みしていざ鞍掛尾根へ。
まずは噂の?559峰を目指します。
小ピークを2つ3つ越えながら気持ちの良い尾根歩きを続けて手前の急登を登り切ると鞍掛への分岐を示す道標。ここを右に折れればそこが559ピーク。

いやしかし、いつ来ても古賀志山は登山者の平均年齢が高いこと。
70は軽く越えているであろうと見受けられるご夫婦が急登をバンバン登ってきて、559で「ヤッホー」と雄叫びならぬ大きな声で登頂の喜びを表現されていました。
(古賀志山東稜の岩にこだましてましたよ)

ああいった爽快な歳の取り方が出来る人生って素晴らしいなと思いますが、自分ではとても足元にも及ぶべくもなく・・・と思うと複雑な心境。

    

(写真左)559手前鞍掛分岐
(写真中)古賀志山 東稜を望む
(写真右)多気山 宇都宮市街 遠く筑波山を望む



高齢者(失礼)で混雑する559Pを後にして、先ほどの鞍掛分岐で昼食タイム。
じっとりと汗ばんだ体に吹き抜ける風が心地よいのんびりした時間です。
気になっていた雲の状態もすっかり良い感じになってきました。更に北を目指して出発。

途中ハードな鎖場もなんとかクリヤしながら更にピークをいくつも超えて行きますが、このあたりからの西側日光方面の眺望はなかなか素晴らしいものがあります。

それにしても今日は疲れる。何故だろう。

一ヶ月ぶりだから?
いや、そうでは無くてやはり今日の気温がなり高いのが原因なのでは。
そういえば先ほどから水を飲むペースがいつもより多め。
携行してきた水はお茶のペット500ml+お湯500ml。
お湯は昼飯で使ってしまって、現在お茶の残が150ml程度。
これからの時期は飲み水だけでも最低1Lは必要だなぁと反省。

縦走コースも尾根部分自体でまだ半分程度しか歩いていないし、なにより水の残量が心許ない。
スタートした時間がちょっと遅すぎるし、疲労感も加えてこのまま強行すると危険がありそうな感じだったので、エスケープルート分岐より少し先の境界石地点で休憩を取り下山を決断しました。

    

(写真左)日光方面の景色が美しい
(写真中)460鞍部の分岐 手前が森林公園へ向かうエスケープルート
(写真右)挫折を決断した境界石


境界石のところで荷を下ろし、しばし森の静寂を楽しんでいると、楽しげに鳴くウグイスの声に混ざって、「キーン」という聞き慣れない鳴き声が。
あれはなんだろうと思って耳を澄ませているとどうやら移動しているようで、段々近づいてくる。

シカって確かあんな感じの鳴き声だったような気がするが、果たしてこんな山域でシカが居るものなのだろうか。
ちょっぴりドキドキしながら息を潜めているとこちらに気づいたのだろうか、鳴き声は段々遠ざかっていきました。

充分に休憩を済ませたあと、右手を見ると小高い494Pに続くよく踏み固められた道が続いています。
途中撤退を決断して、時間にも心にも余裕が出来たのでちょっと寄り道して5分位で頂上へ。
残念ながら眺望はまったくありませんでした。

460鞍部より先ほどの森林公園方面分岐を下り、暗い植林地の中を進むと程なく唐突に堤が現れます。こんな場所によくこんなものを作ったなぁ、と思っていたら、そのすぐ先に舗装林道の終点がありました。
あとは暢気な林道歩き。作業林道だけあって車の往来がないので気持ちよく歩けました。
途中鞍掛林道との合流点で、「次回は鞍掛山まで縦走して必ずここに戻ってくるぞ」と心に誓うのでありました。

    

(写真左)分岐降りてすぐの堤
(写真中)標語としてはOKだが、リスが可愛くない
(写真右)細野ダム


概略コースタイム
森林公園駐車場(11:30)-富士見峠(12:20)-559着(12:50)-昼食-559発(13:20)-境界石(14:30)-分岐より下山開始(14:45)-林道着(14:55)-森林公園駐車場着(16:10)

2007年03月04日

篠井富屋連峰縦走

篠井富屋連峰は少なからず縁がある山系です。
家内の実家から見渡せるこの山系、随分前からいつかは登ってみたいと思っていました。

以前、「こどもの森」が出来てから一度だけ榛名山の途中までひやかしで登ったことがあるのですが、今回は篠井連峰より富屋連峰へとロング縦走です。

今日の相棒は、第二志望ながらも合格通知を手にした受験生の息子です。第一志望の発表はまだ一週間先になりますが、そちらは現在のところほぼ絶望的らしくすっかり受験の緊張が切れた様子。
暇をもてあまし気味故、「山に行くか?」に二つ返事での同行となりました。

いつものようにガイドブックやネット、事前のコース調べは充分にしたつもりでしたが、先週の「かまど倉」の一件もあるし、一番情報が"濃い"中篠井登山口より登ることにします。

まずは「こどもの森」駐車場へ車を止めてトイレで用を足してから出発。
トイレ脇にも登山口があることを確認。次回登る時はこちらから行くことにして、今回は県道77号をテクテクと北上すること6~7分。中篠井登山口に到着したのがほぼ10時です。

民家の裏側を失礼して通過{登山道なのでしかたがない}しながら樹林の中を進むと、やがて「こどもの森」からの林道と合流、その後、男山への直登コース分岐から右へなだらかに登る頃になると足元の岩が多くなってきます。

つい先日まで受験勉強に忙殺されていたとはいえ、部活で鍛えていただけに息子(18才)は全然息が上がらない。こちらは既に息が乱れ始めています。

尾根に辿り着き、気持ちのよい稜線を辿ると程なく今日の一座目である榛名山(524m)へ到着です。

    

(写真左)中篠井登山口
(写真中)岩が多い登山道
(写真右)尾根到着


天気は晴れているのに遠望が効かないのは春霞故か。3月上旬とはとても思えぬ暖かさ(暑い?)でじんわりと汗ばみます。
榛名山頂より先ほどの尾根分岐まで戻り本山に向かう途中、寄り道をするような感じで男山(527m)へ到着。
景色的にはほぼ榛名山と同じですが、山頂間の直線距離が280m位しか離れていないので至極当然でしょう。

息子曰く。「男山があるなら女山は無いのか?」
なるほど。確かに一般的にはそういうものだなと妙に感心しながらも次の本山を目指します。

男山から一旦少し高度を下げて山頂直前は急登。先行していた中高年グループも流石にペースダウンしている様子。我々も喘ぎながら登って行きます。
篠井富屋連峰は、古賀志山に劣らずメジャーな山域なのでしょうか。登山者に随分沢山出会いました。
なるほど道標もよく整備されているし、まず迷うことも無いと思います。

    

(写真左)尾根分岐から気持ちの良い榛名山方面への稜線
(写真中)榛名山山頂(まっちゃん本人です。ちょっと腹の出具合が×)
(写真右)男山山頂(こちらは息子。一応ポーズとってます)


本山(562m)は連峰の最高峰。眺望も360度ということでしたが、やはり霞であいにくの景色です。冠雪の男体山位は見たかったのですがちょっと残念です。景色は次回登頂のお楽しみですね。

    
    
(写真下右)本山より榛名山と男山

本山山頂ではおなじみのカップラーメン昼食です。
幸いな事に先着の団体さんが山頂を後にするところだったので、ラーメンにお湯を注ぐ頃には比較的狭い山頂も我々二人の貸し切りとなりました。
麓の篠井サーキットからカートのエンジン音、射撃場の発砲音、はたまた丁度12時のお昼のサイレンが聞こえてきたりと、案外下界の音が多いのにはちょっと閉口ですが里山はこんなものかな。

さてさて後半戦の一番手である篠井連峰南端の飯盛山(501m)へと向かいます。

本山から小ピークをいくつか登り降りしながら飯盛山山頂手前の急登ポイントへ到着。
そびえ立つこの急登。地形図の等高線を見ての通り、まさに予想通りの急登でした。
ロープが無いのでここは下りの方がきついかもしれません。山頂から下ってきたご夫婦は、奥さんが腰が引けてしまっていてご主人が後ろから「そこは右、そこは左!」と声を上げていました。

飯盛山山頂は眺望はあまりよくありませんが、適度な広さがあり先客が昼食をとっていました。
もうあと少しだけ周りの木を切ってくれると、かなり景色が開けそうな感じです。

山頂で給水小休止の後は本日最大の難所。トラロープゾーンを降りて行きます。
各サイトやガイドブックでも案内されている通り、足元が良く滑ります。雨の後などはロープにしがみつかないと降りられないかもしれませんね。
写真だとまったく迫力不足ですが実際はかなり難儀しました。息子は運動靴でずるずる滑りながら苦戦しています。

    

(写真左)飯盛山山頂
(写真中)山頂よりの下り
(写真右)下り切ったところから


無事難所をクリアすると、程なく舗装林道が左下に見えて来ました。
篠井連峰に別れを告げ林道を暫く歩きます。道標に導かれ高舘山登山口より再び心地よい落ち葉を踏みしめながら富屋連峰へと進みます。

徐々に高度を上げて小ピークから更に一登りで高舘山(476m)へと到着。
だだっ広い山頂は明るい雰囲気があり、ポツンと佇む石仏が迎えてくれました。今まで歩いてきた篠井連峰の山容がよく見えます。
日光サーキットを走る車の爆音がちょっとうるさいのが残念。そのうち静かな平日にでも是非訪れてみたいものです。

    

(写真左)林道より青嵐峠、高舘山方面への道標
(写真中)高舘山、山頂
(写真右)榛名山、男山を望む

    

(写真左、中)高舘山、山頂
(写真右)黒戸山へ向かう途中、樹林がまったく無い山腹より半蔵山を望む


高舘山を後にして黒戸山との中間点、伐採で樹林がまったく無い坊主地帯があり、ここに道標もないクイズのような分岐があります。
道なりに真っ直ぐ、左上のピークに向かってほぼ並行に2本の道。
地形図と現在のGPSのポイント(樹が無いので衛星はしっかり補足)を見るに間違いなく左のピークを目指すべきと判断し一登りすると、伐採の影響なのでしょうか。ぷっつりと道跡が途切れてしまっています。

よく確認してみると踏み跡があり、その更に先にしっかりとした山道がありました。
どうやら先ほどの別な道のどちらかにつながっているようです。しっかり整備されたコースである今回の山行で一番判断を要した局面でした。

この後は徐々に高度を下げていく感じの道のりで、途中の小ピークの一つとも思える黒戸山(415m)へ到着。

    

(写真左)黒戸山、山頂
(写真中)大網方面
(写真右)学林払下? どこかの学林だったのでしょうか


黒戸山を後にして高度を下げていくと砂利林道に出会い、更に進むと間もなく真新しい舗装林道に出くわしましす。
ガイドブックにも載っていなかったのでかなり最近に作られたのでしょうか。
それにしても一体こんな場所に何故こんなアスファルト路が必要なのか、理解に苦しみます。

連峰最後の兜山(372m)への取り付きを探しますがちょっと解りづらくて苦労しました。
この新舗装路をほんのちょっと進むと以前からある林道に出会い、ここをガイドブックの説明に従い右へ進みますが、登山口など一体どこにあるのやらといった感じです。

少し歩いてみるとありました。登山口。ひっそりと。(下、写真左)
ここからほぼ直線で進みますが、横に巻いている作業道を何本かやり過ごしながら若干の不安を感じながらもガイドブックにも記載のある大岩の地点に到着。かなり大きな岩です。

この岩を巻ながら進むと程なく山頂へ到着です。
山頂は樹々に覆われ鬱蒼とした雰囲気ですが、少し先の岩だなからは大網方面が良く見えます。

この兜山の南側に同じ標高の鬼山がありますが、国土地理院の地図の記載ミスという珍しい現象で、鬼山と兜山が入れかわっているようです。
従って地図の記載の兜山が鬼山。北側の無名の372mピークが兜山になります。

  

(写真左)兜山登山口(これはわかりづらい)
(写真右)兜山、山頂


連峰縦走の締めくくりである兜山を後にして、心地よい疲労感と爽やかな充実感に抱かれながら林道を降り田川の橋に辿り着くと、そこに携帯で連絡していた家内と娘の乗る車が見えました。長い長い縦走も無事終了です。

車に乗り「こどもの森」駐車場まで向かう道すがら、連峰を眺めながらよくぞこんなに歩いたものだと我ながら感心してしまいました。

今回の縦走路。各ピークの標高値だけ見るとさして苦労の無いコースのような気がしますが、地形図を眺めると案外起伏に富んだ行程ということがわかります。そして何より実際歩いてそのことを実感として感じとることが出来ました。

息子は4月から栃木を離れて学生生活を始める予定ですが、子供を送り出す父親として、そんな感傷も交えた素晴らしい山行でした。


※※ おまけ ※※

今回、私としてはこれほどにハードな登山をこなしたのにも関わらず、翌朝の寝起きの体の痛さはほぼ皆無。
毎週のようにあちらこちらを彷徨い歩いているのでその成果ありや。とほくそ笑んでいましたが、
翌日の日中からその翌日にかけてしっかり腿の痛みが出てきました。
初回山行の鞍掛山翌日(手すりに捉まらないと階段が登れなかった)に比べりゃ遙かに軽いですが、何よりも時間が掛かってダメージ出るところがブルー。メタボなお年頃です。


概略コースタイム
子供の森駐車場(9:50)-中篠井登山口(10:00)-榛名山(10:50)-男山(11:10)-本山(11:40)-
(昼食)-飯盛山(12:50)-高舘山(13:50)-黒戸山(14:40)-兜山(15:20)-徳次郎の田川の橋(15:50)

(予告)篠井富屋連峰縦走

先週の娘との山行に続き、今週は受験がなんとか終わった息子と共に篠井富家連峰を縦走してきました。
さすがに疲れちゃって今日は書けそうもありませんが取りあえず報告ということで。

明日以降詳細を掲載予定です。
いやーぁしかし充実した一日でした。

2007年02月11日

まだまだ続く里山巡り

今日も昼飯を挟んで数時間散歩をしてきました。

本日のお山は城山(しろやま)(443m)

「栃木の山140」では扱っていないものの、いくつかのネット情報を頼りに安全を確認しての登山になります。

ところがどっこい、最近新しく出来たばかりの林道と旧林道に騙されてスタートからちょっと厳しい状況になりましたが・・・

    

(写真左)
今回、ネット情報で取り付き地へのアプローチである林道への入り口。実はこんなところから登らなくとも・・・というのは後で気が付いたのですが。

(写真中)
出来たばかりなんですね。それにしても緊急整備事業とは如何に?道はやたら綺麗だったけど通っている人は皆無。

(写真右)
路側に車を止めて、取り付きは藪こぎ数十メートルという事前情報通りで藪に突入しました。
伐採の作業道をいくつか通り過ぎながらもほぼ直登状態が約10分位続きます。


    

(写真左)
こんな感じの作業道が何本もありました。このまま山を巻いて高度を上げてくれるならよいのですが、ただ単純に周回しているような雰囲気なので、また山腹を直登します。
やがて尾根筋のしっかり踏み固められた登山道に出会うことが出来てホッとします。

(写真中)
樹間からまぶしいばかりの日差しが届いてきました。山頂はもうすぐ。

(写真右)
順不同ですが、先に昼飯の様子です。(今日は味噌ラーメンです)
土台が少しぐらぐらしてましたが、ベンチもありました。

山頂付近は意外に広く開けており、南東に向けて木が切られている為思いのほか景色は良好です。
それまで鬱蒼とした林の中を、初めのうちは藪こぎ直登で少々心細くなっていただけに、山頂直前でパッと開けたこの眺望は本当に気持ちの良いものでした。
反対側(北西)は木立に邪魔されています。


    

(写真左)
城跡だったので、「城山」なんですね。地名の由来である板橋藩というのがあったそうです。

(写真右)
古賀志山連峰の北面を望む


    

(写真左)
正面奥は鞍掛山。

(写真中)
右手奥に二股山の特徴的な山容が見えます。その右側は川北山とかまど倉かな?

(写真右)
右奥は石尊山?(おそらく)


    

食事を終えた頃から急に風が強くなってきました。天気予報通りですね。風がとても冷たく、登りで暖まった体も一気に冷えてきたので、好眺望を後にして下山することにします。
山頂より南側に向けて道が続いており、地図で見ると359mピーク方面に何かありそうでしたが、取りあえず今日はこのまま帰ることにして来た道を下って行きます。

先ほど藪こぎから登山道に合流した地点に戻って来ましたが、ここは素直に踏み固められた道を選びます。

(写真左)
鳥居が出現。

(写真中)
石祠が二つ並んでいます。石の刻み文字を見てみると一つは昭和三十七年となっていました。もう一つは不明。


    

約10分程であっという間に車道に到着。車を置いた地点より少し離れていますが、どうやらこちらが本来の登山道だったようです。先ほどの『川口浩探検隊』ばりの藪こぎ直登は一体なんだったんだ。

(写真左)
本来の登山道入り口。ちゃんと整備されてます。

(写真中)
地図と道標もしっかりありました。

(写真右)
いろいろとコースがあるようです。次回は始めにこのコース図を見てからじっくり周りたいものです。

なお、図面上の林道は今は廃道っぽいような感じで(地図上は存在する)、今回車を止めた新林道は一回り日光線より側に存在しています。
私が登りで辿ったルートは、おそらく金山ノ沢近辺から取り付き、山腹を横断して羽黒山(山祠があった所)と山頂の鞍部へ到達といった感じです。


  

(写真左)
車を置いた所へ戻る途中にゲートボール場有り。ここに車を置いて説明図のコースで登るのが無難なようです。複数コースのどこを辿っても大体この辺に戻ってきます。

(写真右)
下板橋の集落から城山を望む


概略コースタイム
11:20取り付き開始-12:05山頂着-12:40山頂発-13:00登山道入口着-13:08駐車ポイント着

2007年02月03日

宇都宮市民なら一度は登ろう!「古賀志山」

300m級の低山でどうにか体が慣れてきたことだし、おさらいとして宇都宮市北西の山並みの雄である古賀志山(こがしやま)(583m)へ挑戦してみたくなりました。

自宅を10時半頃出発し、森林公園駐車場に車を止めると、ほぼ満車状態。サイクリングを愉しむ人、古賀志山を初めとした周辺の山並みに出かける人達のメッカの様相を呈しています。駐車場自体の人影はまばらで皆さんとっくに出発されているようです。

身支度を調え午前11時丁度にスタート!

まずは舗装林道を延々と歩きます。途中山内の道路地図表示板などもあって、流石古賀志山。
・・・実はあとで解ったのですがここで道を間違えてしまい当初の予定の逆コースを行ってしまうのでした。


下山時に撮影しました。一番初めにある指導標がこれじゃねぇ。しっかり直して下さい>宇都宮市さん


「古賀志山あたりは指導標もバッチリ整備されているのでまず安心だろう」というのが実は大きな誤りでした。舗装林道をどこまで登っても登山口が見あたりません。時折見える山稜やGPSが指し示す方角は間違っていないような気がするのだけど・・・
先ほどから下山者も何人か通過しているし、ままよとそのまま進むことに。

緩い登りを連続で30分程歩き、うっすら汗が滲んできたころやっと指導標発見。でもまた暫く舗装林道が10分程続いてようやく土を踏みしめ登山開始です。

    

程なく「直登コース」「階段コース」の分岐出現(写真左)

ここは一発頑張って「直登コース」!
な、わけ無いです。体力とスキルは無いんで当然「階段コース」です。

が、「階段コース」も侮りがたし。確かに整備はされているのだけど、後半結構きつくなってきて何度か立ち止まりながら進んで行くと、高校生の登山部の一行が元気に降りてくる。ヘロヘロなのを見られるのもみっともないんで、せめてすれ違う時くらいはとカラ元気で登って行きます。

そのあと同じ高校の女子グループ一行2パーティともすれ違い、カラ元気合計3回発動で疲れました。

やれやれ何とか尾根にたどり着き一安心。
まずは尾根を左に、眺望の良い御岳山に向かいます。
この辺に来ると若干岩場が出現するも、よく見ると岩を巻くコースもあり、無理せずこちらをチョイス。最後の鉄梯子だけは慎重に渡ってやっと着きました御岳山頂上。(写真中)

いやーーーぁ素晴らしい眺め。疲れが吹き飛びます。

鞍掛山、半蔵山、篠井富家連峰(写真右)


    

山名無しの559(m)峰(写真左)
奥日光の山並み(写真中)
赤岩山方面{ハンググライダーが飛んでますね}(写真右)


    

南側眺望、鹿沼方面(写真左)
多気山とその奥に宇都宮方面(写真中)

絶景をおかずに今日もまたカップラーメンをおいしくいただくことができました。

それにしても流石に人の多いこと。それも中高年、というよりも高年者の多いこと。
皆さんとうに還暦は過ぎた感じの方々ばかりで、私なぞ鼻ったれ小僧並の年齢差。
もっとも登山ペースを比べるとにわかに逆転。私が高齢者で皆さん青少年並といった感じでホント圧倒されました。つくづく自分のふがいなさを痛感した次第です(汗)

食事を終えてひとしきり景色も堪能したので尾根へ戻り、程なく古賀志山山頂へ到着。(写真右)
北側の眺望は枝に邪魔されていまいちでしたが、南側は開けています。御岳山と比べてしまうとやはりちょっと地味な感じですが。


    

下山は富士見峠経由で駐車場方面へ(北コース)降りていきます。
ちょっと寄り道をして東稜見晴らし台へ。
こちらからの559(m)峰。鶏頂山、釈迦ヶ岳方面が綺麗に見えますね(写真左)

富士見峠という名なのに眺望が全く無いのは如何に?(写真中)

この後は一部荒れた感じの区間もあり気をつけながら下りていきます。
後ろからペースの速い足音が近づいて来るので振り返って見ると、しっかり白髪の男性。
そういえばこの人、先ほど私がトレッキングポールで慎重に下っていた区間を上気した顔でエライ勢いで登ってきた老人ではありませんか。トンボ返りで降りてきたのかな。今度は岩の多い下山路を飛ぶようにして、むしろ小走りといったほうが正確か。いやはや鍛えている人にはつくづくかなわない。

赤川ダムに注がれる赤川(ホントに赤い:写真右)に出会うとほぼ下山も終了。
駐車場に戻ったのが2時20分頃なので、約3時間20分の山中行でした。
リターンハイカーの最長記録で流石に疲労困憊ですが、さわやかな達成感に包まれた幸せな一日でした。

2007年01月28日

今週もまた登りました。

生来の凝り性ゆえ、何事も始まるとしばらくは火照りが収まるまで暫し猪突猛進(今年は歳男です)な私。

というわけで今日も、「そこに山があるから」登ってきました。

本日は、多気山(たげさん)(377m)。

宇都宮市民にとって多気山といえば=多気山神社という感じですが、今日は何故かいつにもまして神社に向かう人が多く、神社手前の駐車場がほぼ満車状態。下山時には路駐で溢れかえっていました。
今日は何か神社のイベントでもあったのかな?

いつものようにコンビニで昼飯とお茶のペットボトルを仕入れていざ出発。
駐車場前の桃畑茶屋脇の登山道から取り付きます。

    

さすが、宇都宮市のハイキングコースに指定されているだけあって、道や指導標の整備もバッチリ。快適に落ち葉を踏みしめながら、丁度案配の良い斜度(私にとっては)を登っていきます。(写真左)

元々、多気山は戦国時代の山城だったそうでかなり屈強な守りを誇示していたそうな。
2/3程登ったところに石版が崩落して置いてありましたが、かろうじて4文字目の「神」という文字だけが読めたけど、これは一体何を表しているのでしょうね。何かいわれのあるものなのか(写真中)

今まで登った他の山なら20分連続で歩く事など出来ませんでしたが、穏やかな登り故に、ほぼ指導標のコースタイム通りの20分で休まず一気に山頂の三角点に到着しました。(写真右)


    

山頂は樹木ですっかり遮られており眺望は無し。唯一南側に鹿沼市街を望むことが出来ました。(写真左)

山頂の少し手前にベンチなども設置されている広場(御殿平公園)があり、こちらで今日は昼飯といたしましょう。(写真中)
コンビニで買ってきたカップラーメンをおもむろに取り出し、500mlのステンボトルに自宅で仕込んだお湯を注いで・・・

ハーハーフーフー。青空の下で食べるカップラーメンは最高!
願わくば景色がもっと良ければね。


下山は、多気山神社脇へ降りるコース、森林公園方面へ真北へ降りるコースの2つがありますが、今回は森林公園方面へと向かいます。
うっそうとした木立の合間から古賀志山の勇姿が垣間見えます。(写真右)


    

御殿平は、神社から登ってくる家族連れの子供達のはしゃいだ声で結構賑やかでしたが、対照的な静けさの木々の中を進みます。途中1カ所倒木で完全に道が遮断されたところがあった他は指導標も完璧に整備されており不安感は全くありません。(写真左)

程なくガイドブックで既知の急坂が出現。トレッキングポールの出番です。
滑りやすい斜面を慎重に下っていくと、下から夫婦らしき二人が息を切らして登ってきました。

(写真中)下山途中より、東側、宇都宮方面

多気山をぐるっと巻く形の舗装林道に降り立ったところで山道は終了です。
後は林道を約700m程伝って駐車場を目指します。
しかし、ここの林道にも不法投棄物が散乱していて嫌な気分になりますね。
都市に隣接している林道はどこも深刻な問題になっていますが、中には明らかに産業系と見られる廃棄物もあり、嘆かわしい限りです。自分自身で出来る事はゴミの持ち帰り程度ですが、何とかして欲しいものですね。

(写真右)林道より、次に狙っている雲雀鳥屋連峰を望む

2007年01月20日

今日の運動は男抱山

こんな近いところにこんな良い山があったとは。

「栃木の山140」でも、インターネットの栃木山行各サイトでも好眺望で評価の高い男抱山(おただきやま)(338m)に登って来ました。

地図にも山名表示の無い超マイナーな山ですが、頂上は評判通りの360度展望で大満足です。

    

ロマンチッック村先、ただおみ温泉を少し過ぎたあたりの墓地脇が登山口です。
指導標は、登山口と山中に唯一これ一つのみ(写真中)ですが、道はかなりしっかりしており、迷う要素はまったくありません。
暫くすると里山特有の急登開始です。(写真右)

今回から超安物(980円也)とはいえトレッキングポール持参です。
下りは当然ながら、登りもお世話になっちゃいました。
楽ですが、杖頼りの軟弱者になってしまうのも問題だなぁ。まぁ無理してもしょうがないかぁ、とぶつぶつ考えながらも途中休み休み登って行きます。


    

山頂一帯はそこだけ岩場になっており、展望が一気に開けました。
山名板が無い代わりに岩に直接書いてありますね。(写真左)
東に向かって撮ったこの写真。ちなみに右側に東北道とR293が交差する景色が見えます。
写真中は、真西側、手前が男抱山の双耳峰である富士山、右奥が鞍掛山方面、真ん中奥あたりが古賀志山なのでしょうか。ちょっと自信無し。

山頂でコンビニ弁当を食べ、風景も満喫したところで双耳峰である富士山へ向けて出発です。
鞍部へ一旦降りてまた登り返しですが、どうも高度を下げるというのは損な気がするなぁ。せっかく登って来たんだから(笑)

程なく富士山山頂(写真右)に到着。こちらも最後は岩1つ登って頂上は全周眺望。
しかし、富士山とはずいぶんまた頑張った名前だこと。


    

(写真左)富士山山頂から男抱山山頂を望む
(写真中)こちらには山名板が樹にぶらさがってました。

岩の多い尾根道、勾配がきつめの樹林帯、トレッキングポールに世話になりながら下っていくと、程なく先ほどの唯一の指導標の分岐点に到着しました。
今日も軽い疲労と共に運動終了!
(登山開始から下山まで、約1時間半)

(写真右)男抱山全景。右が男抱山、左が富士山。
男抱山山頂の岩が少し見えます。

2007年01月13日

コンボメニュー

食べ物の話ではありません。あしからず。

今日は午前午後共に少し時間が出来たため、

午前はバイクの初乗り!
午後は低山登山2発目!

と、盛りだくさん(まるでファミレスのコンボメニュー?)の一日でした。

午前中は半蔵山というこれまたローカルな山の登山口偵察を兼ねて、林道・牛沢天王寺線とその周辺をバイクで走行。

結局半蔵山への取り付き口はよく解らなかったので、偵察としては成果無しといったところですが、それにしても宇都宮市内にもこんな林道があったなんて。
眺望のよい箇所は一カ所のみですが、行き止まりの支線とは違って山の向こうへ抜けられるので興味の有る方は一度は走って見ることをお勧めします。
GSXでなんとか走れましたが、やはり軽快なオフ車で走りたいコースです。

この後も周辺を徘徊して、午前中の初乗りは約1時間半、50kmの行程でした。


さて、一旦家に戻り、子供が学校から帰って来るのを待って午後は低山へ。

今回は天狗鳥屋(てんぐとや)(365m)へ。
宇都宮の有名なハイキングスポット、古賀志山の手前に連なるピークの一つです。

面白いですね。山の名前は普通何とか山、とうようにたいがい山の文字が最後に来るものですが、天狗鳥屋山ではなく天狗鳥屋なんです。

14時丁度くらいに登頂開始。

  

赤川ダムの森林公園駐車場へ車を止めて、フィールドアスレチックが登山ルートに配置されている「トリムコース」から取り付きます。

所々にフィールドアスレチック設備が配置されているだけあって、道もよく整備されています。
やがてコースから離れて、山道っぽくなり進むこと15分位で山頂に到着。


  

山頂は木々に阻まれご覧の様子。(写真右)は古賀志山
で、ここから少し西側へ降りた所ににある「コブシ岩展望台」が唯一眺望が開ける箇所。


  

ベンチもあるここで、古賀志山、赤川ダム方面を眺めながらしばしの休憩です。
赤川ダム周辺は人出が多く結構賑やかな為、下から色々な音が聞こえてくるのがいまいちでしたが、標高もそれなりなのでまぁ仕方がないでしょう。

下山は山の北側を廻り、途中鞍掛山方面の縦走路を見やりながら、林道長倉入線の行き止まり地点へと辿り林道を1Km程歩いて駐車場へ到着。3時を少しまわっていたので、約1時間ちょいの行程でした。

僅かな距離と時間、高低差もさほど無いわりには結構山の雰囲気が楽しめました。
次回は是非ここから鞍掛山への縦走路を歩いてみたいものです。


  

(写真左)林道長倉入線  (写真右)右側のピークが天狗鳥屋{おそらく}

2007年01月08日

記念すべき第一歩「鞍掛山」

 鞍掛山(標高492m)といえば、我が家で墓参りに行く時にいつも通る道、新里街道が大沢方面へ抜ける途中にあるトンネルの真上に鎮座する山です。遠くからの山容は、さも馬具の鞍がかかったような感じでうまいネーミングと唸らされます。

 さて、山歩きを伝授された親父を偲んでというのは偶然の一致としても、リターンハイカー初回山行はこの鞍掛山と相成りました。

 山頂でコンビニご飯を食べようという予定でちょっと早めに自宅を出発。目的の登山口までは事前に道も調べていたので30分位で難なく到着です。

  

登山口の少し手前の林道入り口ので撮影。
(写真右)うーーん。もう行き先表示板がこんなになっている。この先ちょっと不安ですね。


  

 登山口近辺には数台の車が止まっており、先客の居ることを確認してまずはほっと一息。
(写真左)何故かほおっかむりした猿の置物があります。遠目に何かいるんじゃと一瞬ビビリました。
小さな鳥居をくぐってさぁ登山開始です。

 適度に枯葉が積もった木立の中を気持ちよく歩きます。ちょっと息が乱れてきたけど谷筋のせせらぎも心地よくまずは快適な登り出しでした。

ところがななーーんと。
道が途切れてる(^^;


  

正確に言うと、沢がルートになっている。(写真左)

 沢登りですかぁ?ビギナーだからちょっとまずいんじゃないの?とガイドブックを開いてもどうやら方向的には間違いなさそう。慎重に少し進むと奥の方に標識がありました。

 この僅かな沢登りの区間を通り過ぎるとまた登山道が現れてきてどんどん勾配がきつくなってくる。水平距離にして僅か1Km程度、高度差300mを一気に稼ぐ登りです。
 喘ぎながら登り、休みの繰り返し。そのうち上の方が開けてきたかなと思ったらガイドブック通りに手すりに鎖の急坂出現。(写真右)

もうこの時点で思いっきりグロッキーです。
ちょびっと登っては立ち止まってハーハーゼーゼー。写真で見るよりはかなりの急坂です。
パーティで登ったら絶対足引っ張るよなぁこの体力って 思いながら。

 露出した岩と上の方に尾根筋らしき感じが見えて来たのでそろそろ登りの終盤と思いつつ、あと一歩がどうしても踏み出せずに思わず大休止。


    

(写真左)
座っている自分の足元を撮影。この斜度です。スキー場なら横倉の壁ってとこでしょうかねぇ。
ペットボトルのお茶で喉を潤し息も整ってきたのでエイヤと最後の僅かな登りです。

やったーー。やっと尾根に出たぞ!
左手にある奥の院(写真中)で更にもう一休みしちゃいます。
ここまでくると木立の間から眺望が開けて精神的にも随分楽になってきました。
鼻歌交じりで尾根をつたい程なく山頂へ到着(写真右)

 山頂もこれまた木立の間からのみの景色ですが、ガイドブックで織り込み済み。更に東へ少し進むと若干尾根を降りたあたりに大岩が出現しました。2m程の岩壁をよじ登ると、ぱっと南側の展望が開けます。
{パノラマのつもりで撮ったのですが、ずれてますね}


 既に先客がおり昼食中。若干吹く風が強く冷たいけれど、ここでお目当てのお弁当タイムです。
車やバイクで峠から見る景色もそれなりに素晴らしいですが、やはり自分の足で稼いだ景色は最高ですね!

 下りは大岩から少しだけ東に廻り、先ほどの登りコースよりやや緩やかな道を下ります。
 落ち葉が敷き詰められてはいるものの、たまに露出している土がよく滑ること。
 転ばないようにと踏ん張るも、不摂生ですっかりなまった足腰が既に登りでダメージを受けており本来のクッションの機能がなかなか言うことをきいてくれない。まぁゆっくり行こう。転ばないように。


  

 程なく、行きの急登箇所への分岐(写真左)である地点へ到着。
 右へ僅かに寄り道すると、突き当たりの滝の脇に小さな祠あり。鞍掛神社(写真右)です。
 ご神体の写真も撮ろうかと思ったのですが、本当に小さな小さなご神体が祀られているほの暗い祠の中は何か厳粛なものを感じてカメラを構えることは出来ませんでした。

 やれやれ、無事車まで戻ったのが登頂開始から約1時間半後。記念すべき第一歩はなんとか無事に終了しました。
 体力は激減しているので無理は禁物。でもやはり山歩きは楽しいという事を久々にかみしめることが出来ました。

さぁ、次はどこの山だ?



帰りの道路でふと振り返った鞍掛山全景

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