古賀志山馬蹄形縦走
古賀志山馬蹄形縦走。トレースが馬蹄に見えるところからそう呼ばれているが、古賀志山に足繁く通う方なら一度は聞いたことのある名前だろう。
コースの全貌は上図の軌跡のような感じで、一般的には森林公園駐車場から北登山道経由で富士見峠よりこの周回コースに入るようだ。今回自分は、赤岩山の北西端から取り付き、再びそこへ戻る周回とすることにした。
赤岩山の北西からの登山道は、かつて「西登山道」の道標も掲げられていたということをネットで見たことがあるが、今はそれも撤去され、少し太めの赤テープが一本樹に巻かれているだけの寂れた登路となっている。
古の西登山口についてはヤマレコの馬蹄形縦走のデータを参考にさせていただいたが、駐車地の確保には不安があった。先般偵察を済ませてようやく実行に移す目処が付いたのである。余談であるが、駐車地の周辺は枝道も加えるとかなりの林道が存在し、中でも東に向かう主線は地図上で破線になるもまだ先まで走行可能で、鞍掛尾根まで直線で600m弱という箇所まで車(パジェロミニ)で接近可能である。ネタとしていつか企画に使いたいものだ。
森林公園を横目に文挟方面へと車を西走させる。古賀志山のビューポイントで赤岩山~古賀志山の岩稜をカメラに収めた。今日の縦走コースの南側半分ということになる。先週は母親の入院騒ぎがあり(経過良好で既に退院可能な状況まで回復)、仕事も超多忙であった為に気力が幾分衰え気味であったが、この稜線を見ていると力が沸き上がってくるので不思議なものだ。
予定していたポイントへ車を駐める。林道はよく整備されているので、ヘタをすると土曜日でも重機が入って作業があるかもしれないので念の為に邪魔にならないような場所を選んでおいた。
赤岩山から古賀志山全景 | 駐車地 | まずは作業道を辿り |
作業道を少し進むと左右の鉄塔へ向かう巡視路があるが、直進が赤テープが樹に巻かれた取り付き点である。ここまでは既に偵察済で、方角からして赤岩山の稜線に向かうことは間違いない。
しっかりとした道形を辿り、シダの生えた古い伐採地から左手にトラバース気味に登ると廃作業小屋があった。ここからは尾根に突き上げるように一本道になるも、道形は消え踏み跡も千々に乱れる。方角はひとつしか無いので迷うことは無い。登っていくと上の方に衝立のように大きな岩が見えてきた。
ここが取り付き点 | 廃作業小屋 | 奥に岩が聳える |
岩の直下まで来ると、左の巻き道に付いた赤テープと、半分に欠けた道標が掛かっているルートに分かれる。岩を縫って高度を上げる道標コースが正解と考えこちらを登る。それにしても欠けた道標の上半分が気になるところだ。二文字目は龍だと思うが一文字目は馬でないことは明らかのようだ。自分が知るこの先にある初めのピークは猿岩なのだが。
ルートは等高線の混み具合を見ていただくと解るが、時折岩混じりの胸突き八丁。今日は先が長いのでセーブしながら登っていくも、いきなり息が上がってくる。踏み跡は顕著で迷うようなことは無い。
岩肌が剥き出しに | 何岩なんだろう | 真新しいトラロープが下がる |
みるみる高度を稼ぎ、時折振り向くと西側の景色が広がってくる。笹目倉から鶏鳴山への美しい稜線の上に男体山が鎮座する姿、奥には白根山が白く輝くこの景色は宇都宮近郊の山からの定番眺望だ。
途中に小さなピークのような所があったが、此処が割れた道標にあった岩峰の頂上だったのか、山名板も何もかかっていなかったので不明である。
更にひと登りすると猿岩へ到着。三年前に赤岩山に登った時にこの猿岩までは歩いているが、その時に西の鉄塔の方から登ってきたという人に出会った。今回は自分もそのコースを辿ってきたのだ。
赤岩山主稜線は小さな岩のピーク超えの連続である。予報では風は強く無い筈だったが、いきなり強い風が稜線を吹き抜け始めた。急登の汗も引いてきたのでザックにしまっておいたダウンを思わず羽織る。
ここでちょっと不具合発生!
というと大袈裟だが、実はここ数年自分も世間の人並みに「花粉症」とやらが春に発症するようになっていた。重症ではないのだが春先は鼻がむずむずするのだ。山歩きを好む者にとって花粉症は手痛い病気。病は気からでは無いが、努めて「自分は花粉症では無い。ただちょっと鼻水が出るだけ」と暗示をかけまくって薬も使わず今までやり過ごしてきたのだ。
実は今年も数日前から鼻に異変を感じていたのだが、どうやらこの稜線に到着した途端に鼻水が炸裂。登りは頭が上を向いてるから良いのだが下りは汗の滴るが如く鼻水が垂れる始末。幸いにして先程から山域にハイカーの気配も無し、御岳山あたりまではティッシュの鼻栓をして歩くべし。
猿岩 | 岩のピーク超えの始まり |
いくつもの岩を越えていく岩稜は南側の景色がすこぶる良好。歩いているうちに風も収まりダウンをザックにしまう。これで鼻水が治まれば最高なんだけどね(笑)
篭岩 | ハングライダー着陸地点 |
鋭く毅立する岩をいくつも見送りながら、やがて赤岩山へ到着。高原山を真正面に捉えることの出来る眺望に観音寺山(猪倉城趾)が横たわり、その先に先般歩いた高知山などが見える。
赤岩山 |
寂れたハングライダーの離陸点跡地からは正面に古賀志山が見える。地形の関係なのか、成る程下から風が吹き上げてきているのでハングライダーやパラグライダーにはここは適しているのかもしれない。
それにしても今日の風は暖かいを通り越して少し暑い位だ。山登りは立ち止まれば寒いくらいのほうが調子の良い自分なので、胸元を開けて風を取り入れるなど体温調節に腐心する。嗚呼それにも増してこの鼻水が・・・(^^;
ハングライダー発進跡地から古賀志山方面 | ここは巻き道がある | 程よい緊張感の岩尾根 |
赤岩山を振り返る
鼻水も流石に岩場超えをしている時は気にならいもの。やはり病は気からと自分にうそぶきながら進む。御岳山へあと少しという辺りで後続に今日初めてのハイカーの気配を感じる。
御岳は先着のシルバーハイカーのグループが談笑中であった。ティッシュの鼻栓を素早く抜き去った自分も端のベンチに腰を下ろす。やがて後続の単独者も到着し、山頂に収まる。
一息入れて先を急ぐ道すがら、沢山の人達が憩う古賀志山山頂。流石人気の山である。
人々が憩う古賀志山 |
御岳山より本日の縦走路後半
富士見峠から登ってくるシルバーエイジの人達多数とすれ違う。この時間に登って、下山すると丁度半日コースで良いのだろう。それにしてもみなさん結構一杯一杯で登っているように見受けれるが、いざ我が身を振り返るに果たしてあの年齢まで山に登り続けることが出来るかどうか、いささか羨ましくもあるものだ。
富士見峠より少し北進すると最近有名になった伐採地である。稜線を外して伐採地に付いたトレースを進むとなかなか景色は良いが土が剥き出しなのは流石に悲しいものがある。御岳山で撮影した上の写真でも分かるように、下の方まで広く山が崩壊しているのが見て取れる。
中尾根分岐まで来ると、交差するハイカーの数も多く、更に先に見える559mPは沢山の人達で賑わっている模様。
富士見峠北側の伐採地 | 砂礫ならアルペンムードなのだが | 崩落で丸裸のピーク地 |
この先進むルート | こちらも痛々しい | 559mPは沢山の声で賑わっているようだ |
途中、左手に見える谷に向かった伐採地も行く手が丸見えになっており、踏み跡が下へ伸びている。古賀志山フリークのハイカーの格好の新ルート開拓の餌食になっているのだろう。
559mP手前の急登に息せき切りながら、やがていつもの静かな鞍掛尾根に落ち着く。ピーク超えにいささか足取りも重くなってきたが、自分の鞍掛尾根のお気に入りポイントである540mPで休憩と決めていた。
540mPはいつもの好眺望で迎えてくれたが、いかんせん日差しが強くて食事をするには少し辛い。東へ少し降りた箇所におあつらえ向きの岩のテラスがあるのを知っているのでそこへ移動。思えば今年の初日の出はやはりこの岩でコーヒーを沸かして迎えたものだ。二人も座れば一杯になってしまうような狭い岩だが、勝手にマイテラスと命名したくなるような景色の良い岩棚である。
こちらも伐採で丸見えになった谷筋、踏み跡が下へ伸びている | 鞍掛尾根に落ち着く | 540mP脇のマイテラス岩 |
食事の後は本日のコースの核心部、鞍掛尾根から444mPへ向かうルート。手始めの手岡方面への下りが待っている。
手岡方面への分岐は以前は古くて小さな道標が掲げられていたが、今は歩く人も無いらしく撤去されてしまった。それでも場所は以前から知っていたし、木の幹に刻み込まれた「手岡」の文字で解る。
出だしは若干心許ないが踏み跡は確かにある。辿っていくと自然林から植林帯へとトラバースし続け、やがて尾根へと導かれた。尾根に到達すれば、先ほどの分岐の心細さから想像出来ないような明るい落葉の稜線がしばらく続く。
今や木彫りの道標のみの手岡方面へ | トラバース気味に降りて尾根を探る | 落葉の稜線は心地よい |
やがて林相が完全に針葉樹へ変わるが、所々露出する岩が古賀志山ファミリーの一部であることを証明している。これから向かう444mP周辺は赤岩山側から見ると結構な岩稜なのだ。
途中、伐採地で辺りが急に開ける。コルを挟んで丁度V字型のように伐採されている。
この山域は全て岩で出来ているようだ | 383mP手前の伐採地 |
ハゲ山の下りと登り。大した標高差ではないが意外に骨が折れる。登り切って振り向くと鞍掛尾根が綿々と続いている。宇都宮側から見ることの多い鞍掛尾根だが、西側からの至近距離でのアングルは希少であろう。
振り返って鞍掛尾根を見る | 右奥が540mPだろう | 444mPに向けて岩超えが出てくる |
444mPに近づくと数箇所岩超えが出てくる。超マイナーコース故勿論整備などされていない。ロープや鎖は皆無だ。一番最後の岩が少し高度感があるが、落ち着いて行けばホールドも多いのでさほど心配も無い。
最後の岩を登り切った箇所が、四年前に岩崎にある無名五峰を巡った時に昼飯を食べた眺望地である。その時は今回のルートの383mPまで歩いているので、これで岩崎観音方面から鞍掛尾根まで貫通したことになる。
ロープは無いので慎重に | 幸いにしてホールドは多い | 最後の岩を登り切って鞍掛尾根方面 |
壊れかけの小さな石祠がある444mPを過ぎる。正面に朝登ってきた猿岩へ続く稜線が見えるので、馬蹄形としてはほぼ一周してきた訳だ。あとは高度を下げるだけなのだが、この最後の区間が実は一番の山場なのだ。最後の気力体力チャージの為、バテた体を地面に放り投げてしばしの休息をとることにした。
今日は暑さが予感できたので氷入りのテルモスにドリンクを詰めてきたが、まだ水の残量もあるのでテルモスの冷たいドリンクで体を冷やしてしばし鋭気を養う。
右手奥から朝登ってきた稜線 | 444mP | 流石にバテた |
降下点は444mPの南西側より岩の切れたところから降下すると山レコの記録にある。上から見てもどのへんに岩があるのか解らないので注意が必要だ。ヤマレコのGPSデータを参考に、ここぞという地点に到達するも、測位誤差が無いとは言えないので安心出来ない。
少し先の方まで歩いてみると稜線が急に切れ込んで降下していく。地図通りの状況であるし、そちらのほうが踏み跡も濃いような気がする。ただ、植林地や普通の薮とは違って岩の多い地帯故、実績を見ていないルートは避けるべきと判断し、引き返して予定地点から微かな踏み跡を追うことにした。
ニ~三箇所赤テープがあったが、方向に統一性が無いので全面的に信用出来ない。比較的濃い踏み跡も進路角から大きく外れてトラバースしようとしている。向かうべき方角は斜度がきついので落ち葉で踏み跡は消えかけているが、予定しているコースはあくまで稜線キープ。ここは手堅く方角を合わせて進むべし。しばし下り幾らか斜度が緩んだ頃、上を見ると結果的に岩の合間を縫ってうまく降りてこられたようだ。
目印も無いが間違いなく此処が降下開始点 | 踏跡も微かだが方角を外すまい | 岩の合間を縫うように降りてきた |
やがて尾根を正確に捉えることが出来るようになると再び踏み跡も濃くなってくる。馬蹄形縦走の本来のルートがここであるかどうかは不明だが、後半の歩きやすさと踏み跡の濃さを見るとあながち不正解とも言い切れない。ただ、軌跡を改めて眺めてみると、実は444mPの稜線から降下するときに少し行き過ぎた先の急降下をそのまま行けば、もっと綺麗な馬蹄形になったのではないかという些末な反省点を残した。これは本来の馬蹄形縦走がどうのこうのという古賀志山愛好家的(自分は古賀志山フリークでは無い)目線の話ではなく、地形図歩きを好む一登山者としての意見であることを付け加えておこう。
尾根を捉えると後は穏やか | 林道が見えてきた | こう降りてきた |
ゴール! |
概略コースタイム
駐車地発(07:48)-廃作業小屋(07:57)-割れた道標(08:11)-猿岩(08:26)-
篭岩(08:40)-赤岩山(09:01)-御岳(09:59)-古賀志山(10:16)-富士見峠(10:24)-
559mP脇(10:49)-540mP(11:17)-昼食休憩-行動再開(11:52)-手岡分岐(12:01)-
383mP(12:26)-444mP(13:20)-下降開始(13:27)-林道接合(13:52)-駐車地着(13:57)
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