大戸川源流を詰め熊鷹山系5座縦走
2008年5月4日 県境の山 熊鷹山
4月末に敗退した大戸川源流リベンジ。今回は情報収集とGPSへのデータ入力、そして気力も万全の構えで臨む。
コースは基本的に前回と同じ。1時間早く行動を開始し、朝の8時前に西沢駐車場を出発した。
駐車場からの長い舗装林道歩きは、進むに従い心地よい新緑のトンネルとなっていく。ふと青空を見上げると、これから向かう沢ルートへの想いが自然と高揚してくる。
白ハゲ口から沢沿いの登山道に入ると、そこは鮮やかに輝く新緑のエリアだ。三滝へのコース取りは体力温存で山コースを選びコツコツと高度を稼いで、滝の展望台に達する直前の分岐より氷室山方面へと向かった。三滝を高巻くようなこの道は途中十二山への尾根道を分けた後、沢へ急降下するといよいよ大戸川源流の谷詰めとなる。
前回は三滝に到達する前に既に山コース途中で道を間違えてしまい、作業道をトラバースして川コースへ出るという大幅なタイムロスをした。間違えた地点を検分すると、よくもこんな所で・・・と一人山中で赤面するほどである。
白ハゲ口へ向かう林道 | 白ハゲ口より沢沿いへ |
田沼駅まで33Km! | 炭焼き窯跡 | 十二山への直登分岐 |
朽ちかけた古い橋を渡ると、まずは前回同様左岸を行く。一面落ち葉が敷き詰められたルートはすっかり踏み跡を消し去っているが、前回の撤退地点付近あたりで右岸に渡るべき赤ペンキがあった。沢の分岐は右を選ぶようにしていくと、再び渡り返して左岸を歩くようになる。立ち木に縦にくくり付けられた「宝生山へ」の道標が目立たず判り辛いが、これを見逃してはいけない。
古い橋で沢を渡る | 左岸を行く |
靴が埋まるほどの落ち葉 | 沢を覆う新緑が眩しい |
落ち葉と渓流のダークカラーにすっかり目が慣れた頃、ポツンと咲く一株のツツジ。紅紫の色合いが程よく緊張感を和らげてくれる。やがて旗川源流と越路館沢との分岐点に到達するが、ここにはしっかしりた道標があり安心だ。
右の沢(越路館沢)を登っていくと橋やトラロープなどが出てきて安心感もあるが、此処に至るまでのコースの手付かず感からすると逆に違和感を感じてしまう。橋が無くても特に通過に困難は感じられないのだが、水量が多い時の事を考えてなのだろうか?
やがて右手の氷室山から伸びる境界尾根が手の届く位の距離になってくる。何処から取り付くべきかと思案しながら進むと、やはり岩のペンキを見つけて尾根への取り付き点を知る。
ふと振り返るとツツジが咲いていた | 旗川源流と越路館沢分岐 | ちょっと下世話なロープと橋 |
沢を渡ると再び目立たない小さな道標があるが、先ほどの岩の赤ペンキとこの道標を見落とすと、宝生山付近まで沢を詰め続ける事になってしまうだろう。後刻、氷室山と宝生山の間の稜線を通過中にたまたま下の方から無理やりよじ登ってきたハイカーに出くわしたが、このご夫婦に話を聞くとやはり最後の取り付きポイントを見つけられず、仕方なく宝生山に直登してしまったらしい。(それはそれで凄いとは思ったが)
沢の対岸から境界尾根に向けてジグザグに登っていくと、視界が広がったその先にミツバツツジがあちこちに咲き誇る光景が広がってきた。閉塞感のある沢沿いから開放された気持ちも手伝って、その美しさに思わずため息をつかんばかりである。
尾根に登るとツツジが待っていた |
尾根はよく歩かれた感じのしっかりとした道が付いている。登るに従い斜度が緩んでくると、宝生山からの県境尾根とあわせてすぐに氷室山神社へ到着した。神社裏の高みが山頂ということなので裏手をよじ登った。
以前唐沢山で三角点が見つからずに神社の社殿の裏側を物色したことがあったが、その時家内に、「神様の後ろに侵入するなど不敬な」と言われたことをふと思い出した。だが、おおらかな宝生山の神様はきっと大目にみてくれるだろう。
今回縦走する五座は熊鷹山以外は展望の期待は出来ないことは織り込み済み。山頂は小休止にとどめ、先を急ぐ。
氷室山神社 | 宝生山へ向かう |
宝生山も眺望は得られず。山頂では先述の沢から直登してきたご夫婦と、やはり後から登って来た別なご夫婦としばし会話する。越路館沢詰めや熊鷹山のツツジが話題となり一休みをした。
宝生山から十二山への尾根道も実に穏やかである。点在するツツジや白ヤシオ、そして時折西側に拡がる足尾方面の山並みが清々しい。
白ヤシオ? | 足尾の山並みが見える |
やがて進路右手の樹間に根本山が見えてくると、程なく十二山へ到着。そろそろ腹も空いてきたことだしこの辺で食事にしようとザックを降ろすと、先ほど宝生山で一緒だった二組のご夫婦も少し離れた場所に腰を掛けて弁当を広げている。
十二山の山頂もまた眺望は無いが、山頂脇にすこぶる枝振りのよろしいツツジが、ハイカーのアイドルよろしく得意げに咲いている。
根本山が見えてきた | 枝振り良し |
根本山へは一旦西の稜線を辿ることになるが、それまでの尾根と何となく一味違った雰囲気の山道である。自然林に囲まれていた尾根筋に針葉樹が僅かに入り組み、植生が混合してきたのが原因だろう。
依然として豊かな落ち葉に覆われた優しい山道は続く。南側には熊鷹山方面の稜線も見えるようになってきた。
根本山へ | 向こうは熊鷹山方面 |
丁目石を見るとまもなく十二山根本山神社へ達する。かつては登拝者で賑わったであろう一帯も、今は小屋も朽ちてややうらぶれた感じがする。
神社を過ぎ、尾根より一段低い所に付けられた道から一旦稜線に上がり根本山を目指す登山道は、左手が植林地であり、歩き慣れた宇都宮近郊や鹿沼の山を歩いているような錯覚に一瞬陥る。咲き遅れのアカヤシオとその落花が、むき出しの土の登山道に淡い色合いを添えていた。
丁目石 | 十二山根本山神社 | 咲き遅れのアカヤシオ |
期待はしていなかったが、根本山もまた眺望は無し。山頂には賑やかなグループが昼食の宴たけなわといったところ。水を一口飲んで先を急ぐ。
熊鷹山への尾根道も起伏の少ない散策路のような登山道である。時折現れるツツジを目で追う様にして進めば、あっという間に山頂へ。相変わらずの360度眺望、人気の山頂は沢山のハイカー達が入れ替わりたちかわりでごった返している。
基本的に人口密度が高いのを好まない自分としては若干居心地が良くないが、今日のルートでは眺望はひたすら忍の字であったが故に、いつも昼食の時の為にと用意している珈琲と茶菓を此処までとっておいたのだ。良い景色を眺めながら飲むコーヒーはやはり旨い!
根本山への登り |
眺望とコーヒーを存分に堪能した後は西沢方面へ下山開始である。山頂直下は僅かな距離ではあるが、ツツジのトンネルがことのほか美しかった。
西沢方面下山口はツツジトンネル |
高度を下げていくと、ミツバツツジに代わって朱色のヤマツツジが見られるようになってきた。落ち着いた色に見える花に明るい日差しが照りつけると、山の中では妖艶な輝きを放つから不思議だ。妙に存在感がある。
やがて植生界を超え植林地を進むようになると、遠い沢音が段々と近づいてくる。沢に降り立ちわさび田の脇を抜けると林道の終点に出て山道は終わりとなった。
植生界を過ぎる | 林道終点に到達 |
西沢駐車場に戻ってみると、朝、数台あった車は皆帰ってしまっている。どうやら自分がオーラスのようだ。やはり此処からだと三滝往復か熊鷹山ピストンがメインコースになるのであろう。自分のように7時間以上も掛けて大回りする者は珍しいのかもしれない。
旗川源泉の名湧水として三本引かれているうちの一つ、蓬莱水(残る二つは上人の水と宝生水)を空いたペットボトル2本に詰めて持ち帰った。自宅でコーヒーを淹れて飲むとすっきりした味わいである。自然豊かな大戸川周囲の山が育んだ味わいと思うとまた格別である。
駐車場は自分の車のみ | 下水のような吐出口がちょっと気になるが味はよい |
概略コースタイム
駐車場発(7:49)-白ハゲ口(8:28)-十二山への尾根分岐(9:00)-越路館沢分岐(9:42)-沢より離脱(9:58)-
氷室山(10:27)-宝生山(10:55)-十二山(11:44)-昼食休憩-行動再開(12:06)-十二山根本山神社(12:20)-
根本山(12:38)-熊鷹山(13:29)-コーヒーブレイク-下山開始(13:56)-白ハゲ口への分岐(14:19)-
植生界(14:43)-駐車場着(15:32)
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