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前日光の山達アーカイブ


2013年02月09日

古峰ヶ原峠から方塞山


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
※無雪期の方塞山南側の放牧地へは進入はすべきではありません

方塞山の過去の記事
  2007年10月28日 三枚石と方塞山

 今年は暖冬なのか。日頃生活していく中では充分寒いからそんな筈はないと思うのだが、山は何故か雪が少なかったり雲竜渓谷もスッカン沢も氷爆の育ちが今ひとつだという。

 今シーズンはまだ雪道をきっちり歩いていない。唯一の前黒山も途中敗退の不完全燃焼であった。

 このまま春になってしまうのかとやきもきしていたが、まずは行動してみければ解らない。桝形山と赤薙山は今年も是非登りたいものだが、その前に気になっていた古峰ヶ原を今回は歩くことにした。

林道前日光線がまず関門だなと考えていたが、古峰神社の脇からどんどん高度を上げても一向に道路の着雪は無い。スリップするのでは無いかと思うほど塩カル(融雪剤)が大量に撒かれており、古峰ヶ原峠まで路面に雪があったのは数箇所のみであった。

 峠に着き支度を始めると、これから登る尾根の上から丁度日が射し始めたところ。どうりで寒い筈だ。

 今日はスノーシューとワカンとアイゼン。とりあえず全て持ってきたが、雪面はここ数日降雪が無かったのか、よく締まった状態。トレースはスノーシューのものがあるが、既に風化しつつある。幸いなことに今日はまだ誰も歩いていない。

 今日の行程にはきつい登りが無いから、出だしからパウダースノーならスノーシュー、そうでなければツボ足で行けるところまで行ってその先はワカンと決めていた。とりあえずワカンをザックの背中に括りつけてツボ足でスタートである。

 締まった雪面なので、たまに沈む程度で特に問題は無し。樹間から溢れる陽光が恋しい。

     
古峰ヶ原高原    一の鳥居   

 二の鳥居を過ぎると吹きさらしはトレースが完全に消し去られ、沈み込みも多くなってくる。無理をしないでワカンを履くことにした。

     
二の鳥居    吹きさらしはトレースが消える    ワカンを履くことにした

 部分的に夏道も探せない程の新雪の上を行く。美しい風紋もまた踏み越えて登っていく。ルートは尾根通しなので間違えることは全くないが、完璧にノートレースだといくらか気後れがするものだ。

     
ノートレースを行く    風紋が美しいがここも踏んでいく   

 途中、三枚石手前の1377.7mPへの道標あり。少しそちらへ登ってみたが、当然のことながら三角点は深く雪の中に封じ込められていた。

     
1377.7mPはこの上    登ってみると    何もない、というか埋まってる

 岩がサンドイッチ状に重なる三枚石へ到着。これを見るのは二度目だが、雪の上で見るとまた違った新鮮さがある。

 ここより方塞山方面は更なるノートレース区間である。

     
ウサギかな?    三枚石へ到着    更にノートレース

 方塞山の手前ピークとのコル辺りから動物の足跡が非常に多くなってくる。三枚石までの区間は、アニマルトラッッキングを見つけては微笑ましい心持ちであったが、この辺りはもはや動物たちのメインストリートと化している状況。夜間などビバークでもしようものなら、動物達にツェルトを剥がされて食い物を奪っていかれそうな勢いである。
 動物達もきっと思っただろう。見慣れない足跡だな、人間か?なんてね。

     
ルートが溝状になっている    蹄の足型が    これは水滴でなくて全部足跡

 電波中継所のある方塞山へ到着。抜けるような青空が眩しい。丁度頭上を通過する旅客機を仰ぎみる。暫くすると轟音が遅れてあたりにこだまする。他には何も音のない静かな山頂であった。

     
      丁度頭上を通過

 山頂からは南側の眺望がすこぶる良く、手前に横たわる山脈は熊鷹山に至る稜線なのであろうか、そして遠くには富士山が抜きん出た姿を覗かせている。

 まだ時間が少し早かったのでしばし周辺を散歩しようと思い、山頂南の放牧地を下ってみる。一直線に伸びる小動物の足跡を追うようにして、我が足跡もまた続く。

     
遠く富士山が見える    点々と続く足跡を追って    我が足跡

 前日光ハイランドロッジが眼下に見える頃、あまり下り過ぎても登り返しが辛いのでこのへんで食事とすることにした。一旦夏道へ戻り展望の良い所にあるベンチでザックを降ろした。

 食事の用意をしていると遠くから犬の吠え声、やがて姿を現したビーグル犬の首輪には発信機がついている。こちらをチラと一瞥しただけで直ぐ任務に復帰。よく仕込まれた奴だ。後からもう一匹やってきたが、これも雪面を嗅ぎまわって黙々と仕事をしている。やはりこちらを少し見ただけで特に関心は示さない。あたりには、遠く姿の見えない場所で彼らの主人が鳴らす熊鈴の音が鳴り響くだけである。山の中には動物も沢山いることが先ほどの足跡で見てとれるが、今日の行程で出会ったはのは唯一この二頭のみであった。

 最スタートは後は、牧場の中を横切るようにして緩やかに登っていく。八方ヶ原を思い出すような放牧地特有の景色の良さ、開放感がある。

     
枝の影模様    さらさらの風紋    ここを登っていく

 方塞山の西の稜線へ戻り下山を開始する。
 下りは樹間から日光方面の山並みがチラチラと見えるがどうもスッキリとは見えない。アングルを替えればどうかなと少しルートを外したりもしたが、どこから見ても結局枝に邪魔されてスッキリとはいかない。ルートを外すと深く潜ることになるが踏み抜きとまではならないのでこれもまた楽しいものだ。

     
   ルートを外すと20センチ位沈む    快晴なり

 比較的良好な位置から撮影したものが下の写真。しめくくりは、駐車地から僅かに足を伸ばし高原ヒュッテからの三枚石を方面をしばし眺め、雪の山行をお終いとした。

     
     
     
社山から黒檜岳への稜線?    皇海山が形よく聳える    下山後、高原ヒュッテ(無人小屋)から見る三枚石方面

概略コースタイム
駐車地発(07:58)-ワカン装着(08:34)-1377.7mP(09:23)-三枚石(09:31)-
つつじ平(09:42)-方塞山(10:15)-昼食ポイント(10:44)-行動再開(11:16)-
方塞山(11:52)-三枚石(12:28)-駐車地着(13:26)

2008年07月12日

地蔵岳と多気山 意外な組み合わせ?

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 GPSを新調してからまだ実戦での使用を経験していない。梅雨の中休みの予報だが、基本的には不安定な大気。早い時間に一座こなして余裕があればもう一座と考え、粕尾峠にある地蔵岳(じぞうだけ){1274.3m}に、もう一座は細尾峠旧道から薬師岳往復をと考え自宅を発つ。

 粕尾峠はこの季節バイクが多い。タイトで見通しの悪いコーナーの連続は決してハイスピードで楽しむ事は出来ないが、それでも一つ一つコーナーを手繰っていき山越えをしてく醍醐味はこの峠ならではであろう。とりわけ今の季節は、明るい緑の織りなす風景が筆舌に尽くしがたい程美しい。そんな峠に向かって元気に走り去るバイクに道を譲りながら、パジェロミニも日常では使わないような低いギヤーと高回転域のエンジンで高度を上げていく。久しぶりに鞭打たれたターボーエンジンの甲高いタービン音が高揚を誘う。

 峠を越して250m程先に地蔵岳登山口の道標があり、もう少し先に駐車スペースが有った。身支度を調え、GPSをカーナビモードから登山モードに設定変更していざ出発!

 登山口から暫くは穏やかな斜面が続き、ガイドブック通り「トラバース気味」に高度を上げていく。それもすぐ終わって平坦な湿地帯のような所へと出る。地蔵平である。「思川源流へ5分」の道標がある。帰りに寄ってみよう。

 新しいGPSが気になって途中幾度も画面を覗き込んだのだが、事前に把握していた尾根道とは随分離れているルートを歩いて来たようだ。途中には道標が至る所に設置されており、現に予定通りに地蔵平へも到着しているのでミスコースでは無いの確かなのだが・・・

 下野新聞社「栃木百名山」や「栃木の山紀行」さんで紹介されているルートは、いずれも「粕尾峠より足尾寄りに250m下ったポイントから入山し、トラバース気味に登り地蔵平へと到着する」とある。今回自分もまったくその通りに歩いて来たのだが、決定的に事実と違うのは両者とも紹介している地図上に、粕尾峠から殆ど離れていない地点から続く境界尾根を示している点であった。

 ここまでは尾根に乗らずにトラバースしているので、GPSなぞ無くても山慣れした方なら状況記述と地図にトレースされたコースとの不一致にすぐ気付く筈だ。初心者の自分もこの事に確信を持つに至ったのは後半の下山時であった。

     
登山口    地蔵平   

 地蔵平からは山頂より伸びる主尾根に乗り、段々と斜度もきつくなってくる。途中にある展望岩からは東側がひらけており、方塞山の電波塔から大きな横根山一帯が広がる。この展望岩から一登りで山頂である。

 山頂もまた東側の樹木が伐採されており眺望は展望岩とほぼ同じである。祠に鎮座する地蔵が見守る静かな山頂には沢山のトンボが飛んでいた。ザックを降ろししばし休憩といきたいところだが、先ほどから顔の廻りや両腕にアブやら虫がまとわりついて五月蠅いことこの上なし。貴重なほ乳類出現とあって吸血鬼の格好のターゲットにされそうになった。いや、正確には2度ほどチクリとやられているのでもはや未遂ではない。虫除けスプレーの携帯を忘れた事に深く後悔しながら慌ただしく山頂を後にするのであった。

 実は後になって地蔵岳が双耳峰であることを知った。山頂からほぼ南に直線で約200m。確かに地図上には顕著なピークが記されてる。前地蔵と呼ばれているそうだ。南に向かう道形は山頂で確認していたので、もし事前に知っていたら間違いなく歩いていた筈だが、次回の楽しみにとっておこう。

     
展望岩    展望岩より横根山方面    地蔵岳山頂

 地蔵平まで戻り、「この先5分」の道標に従い"思川源流"を訪ねる事にした。
 途中崩落した所を上巻するように付けられた場所以外は特に起伏も無く、程なく源流へと到着した。栃木市をゆったりと流れる思川がここより始まるという感慨を胸にして、地蔵岳より生まれし清流をひとしずく口に含む。冷たくはあったが、どこか柔らかい味のする水であった。

 地蔵平でひときわ目を引くのが少し小高い場所にある首缺け地蔵である。200年程の昔から存在すると言われているが、真新しい緋色の涎掛けは今でも篤い信仰のもと手入れがされている事を物語っている。

 で、この地蔵さまの写真を撮ってふと上のほうを見てみると、境界石が埋め込まれているではないか。往路に気になっていたことが一瞬で頭の中ではじけた。慌てて地図を取り出してみると間違いなく境界尾根である。GPSを取り出し"臨戦モード"に設定し辿って見ることにした。本来は此処を通ってくるべきだったのだから。

 歩き出してすぐ道形が無くなったと思ったら見覚えのある地点、すなわち往路で通過した地点で登山道と合流。ここでクロスしていたのか。

 さて改めて地図とGPSで検討し、目前を塞ぐピークに取り付いてその先に続く尾根を追うことにした。当然の事ながら道は無いが、薮にはなっていないので高度を上げるのは易しい。所々よく見るとかなり薄いが消えかかった踏み跡が散見される。最後の方は斜度も若干きつくなったが、登り切ってみるとやはり地図通り延々と尾根が続いている。尾根通しの道形ははっきりしてはまた消失しての繰り返し。境界杭の存在と、GPSの示す現在位置と次のポイントへのコース角、いずれもが一致していた。若干痩せ気味の箇所もあったが、危険な感じはまったく無い。

     
思川源流    首缺け地蔵    道無き尾根を辿る

 2つめのピークを降りた所で忽然と手前に岩が散乱するピークが現れた。それまで忠実に追うことが出来た稜線も見た目には此処で分断された形になった。写真で見ると小さな石ころのように見えるが、大きな物は長辺で2m弱くらいのものもある。よく見ると角が浸食されておりかなりの長い年月そこに露出していたことが伺える。向かい側の斜面から崩落したにしては付近にあまり岩が目立たないのは不思議である。人知を越えた神のなせる技・・・天狗の仕業か?人知れぬ粕尾の山中のミステリーである。

 さて、ここをどう進もうかと思案する。斜度を見ると右手が比較的楽に行けそうだが薮が濃い。左手を巻くのはちょっと偵察してみたが、どのみちピークに這い上がらなければならない。ならば正面突破だろう。岩を越えてその先の斜面を、高度差にして約20m程よじ登るとまた道形が現れた。

 以前はこのルートで地蔵岳にアクセスしていのかも知れないが、起伏を嫌ってトラバースルートが出来てからはこちらは歩かれなくなったのだと思う。ネットで色々な人の山行記録を読んでみると、粕尾峠からのこのルートは、先ほどの岩場地点あたりで踏み跡消失という雰囲気で書かれているものが多い。今回の自分のケースでは車道まで数百mの地点で、目指す方向も明確故に余裕の判断であったが、逆向きに山奥へ向かうとなると、いくら地図と照らし合わせて正しい方角でも、完全に道形と踏み跡が消失する岩場付近で諦めるのは正解と言える。

 寄り道ですっかり時間を食ってしまった。もう少しで粕尾峠へ出てしまうのは解っていたが、丁度昼食に良い岩があったのでここで食べていく事にした。樹に囲われていて全く景色は無いが、苔むした岩に腰掛けて食事するのも一興だろう。ここでもまた、珍客を格好の吸血ターゲットとする虫達と共に過ごすことになった。

 食事を終えて再スタートするとあっけなく粕尾峠のアスファルトが目に飛び込んできた。最後はザクザクと草を踏んで適当にフィニッシュ。道路に出て見ると、「登山口250m先→」と往路のトラバースルートに誘導する道標が目に入る。

     
行く手を阻む岩場    手頃な岩で昼食    粕尾峠出合

 車に戻り次なる目的地、細尾峠旧道へと向かう。相変わらずバイクの走行台数は多い。

 足尾側へ幾つか下った右カーブの所で、SUZUKIの赤い400ccがガードレールの所に前輪を落としていた。ライダーが引き上げようともがいている。恐らくオーバースピードでフロントブレーキを掛けたら浮き砂でスライドでもしたのだろう。車を脇に駐めて一緒に引き上げた。中排気量だとフロントも軽いので2人で引っ張れば大丈夫だが、大型だとこんな場面はかなりキツイかもしれない。まぁライダーも怪我無し、バイクも目立った損傷も無かったようで何よりである。

 日足トンネルの手前を道路標識に従い旧道へと曲がる。草が左右に張り出した入り口を少し進むとすぐ通行止めの看板が目に飛び込んできた。道路崩落で歩行者までも通行禁止になっている。「長い長い峠道案内」かぁ。徒歩でも良いから一度は歩いて見たいものだ。

 国道へ復帰し、長い長い日足トンネルをくぐる。向こう側の日光側入り口に未練たらしく行って見るも、ここは以前からゲートで閉鎖されていることは知っていた。うーーむ。閉ざされた細尾峠。いつの日か訪れん。

     
細尾峠足尾側入り口    うーん行ってみたい    細尾峠日光側入り口

 二座目を肩すかしされた格好の自分であるが、このままおめおめと日光街道を走って帰るのも悔しかったので寄り道をすることにした。

 寂光の滝。涼味満点。女峰山登山口として登山カード入れが設置してあったが、地図を見るとここからのピストンはかなり体力がある人でないと制覇できそうも無い。自分などとんでも無さそうだ。

     
寂光の滝      

 まだまだ、寄り道は続く。

 大沢の先からいつもの県道22号に入り、鞍掛トンネルを越える。栗谷沢ダムの北側、すなわち半蔵山の南面にちょっとした林道がある。以前まだ草があまり生えていない頃に走ったことが有ったが近況や如何に。

 なるほど鬱蒼と茂った道はまるで山に吸い込まれていくような有様である。途中唯一のビューポイントからのロマンチック村方面の明るい景色が眩しい。

 更に寄り道は続く。

 仕上げは「多気山だな」と、心の中で呟く自分。

 実は以前に走った林道で気になるポイントがあったのだ。今日は装備万全なので是非足で歩いて見ようと思った。

 多気山の南側を巻く舗装林道から、更にまたもう一つ山側を巻く砂利林道へと車を入れると程なく砂利道は行き止まりになる。

     
栗谷沢ダム北面林道    林道からロマンチック村方面    多気山南側林道終点

 以前偵察で訪れたこのポイントに、「愛宕神社入り口」という道標があったことがいつも頭の片隅にあったのだ。

 ネットでいろいろと調べては見たのだが、詳しい情報は見あたらない。
 多気山は元来山城であり、その遺構地形も多いようであり、神社があっても不思議では無いのだろう。

 道標に導かれ、作業道を進むと辺り一帯がかなり伐採されており比較的見通しが良い。2枚目の道標で道を逸れて草むらを横切ると、果たして鳥居が見えた。愛宕神社である。山でよく見る祠と変わらないが、近年立派な石の鳥居をあつらえたのだろう。場所が場所だけに、なかなか荘厳な雰囲気を醸し出している。

 祠の裏手を失礼し(バチあたりか?)、何かの遺構のような広い平坦地を越えて再び作業道に出会う。後はGPSで山頂を目指しながら作業道を何本か乗り換えると御殿平へ到着してしまった。改めて今日一日のGPSの働きを振り返ると、予想通りの高感度で衛星の補足切れも無い。20mとはいえ等高線付きの地図を表示出来るのは大変に頼もしい限りであった。衛星から計算されるコンパスは自分が移動していないと正しく表示出来ないが、GPSMAP60CSxは電子コンパス内蔵でこれもまた使いやすさに大きく貢献している。素晴らしいマシンである。

 多気山山頂では大量の薮蚊の熱烈歓迎を受けたのは言うまでも無い。だが薮蚊の攻撃も、里山のうだるような蒸し暑い道も、探検を終えた少年の心のような軽い足取りの自分にとってはさして辛くも感じない、そんな夕刻であった。

     
愛宕神社の標識あり    愛宕神社    作業道を進む
  
多気山頂上      

概略コースタイム
駐車地(10:07)発-地蔵平(10:25)-展望岩(10:41)-地蔵岳山頂着(10:57)-小休止-
地蔵平(11:18)-思川源流(11:22)-地蔵平(11:34)-往路と交差(11:41)-
岩場(11:59)-昼食P着(12:06)-再出発(12:32)-粕尾峠(12:43)-駐車地着(12:50)


《番外編 多気山》
駐車地発(15:47)-愛宕神社(15:51)-山頂(16:09)-駐車地着(16:25)

2008年06月14日

古峰ヶ原高原から夕日岳へ


-- 『e-trex Leggend US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 梅雨の季節でなくとも週末の天気予報には一喜一憂するアウトドアライフ。思いがけないご褒美のような梅雨の中休みに、あたためていた山行計画である古峰ヶ原~夕日岳縦走をを敢行することにした。

 分県別「栃木県の山」や下野新聞「栃木100名山」コースによるとかなり時間がかかるらしいしが、比べて我が脚力はいささか心許ない。今回はH君同行なので、古峯神社と古峰ヶ原峠にそれぞれ車をデポして、時間にして約1時間半、標高差約400mの登りを短縮をすることにした。

 古峰ヶ原高原入り口のあずまや前に着くと既に1台先客有り。横根山方面かあるいは我々と同じコースなのか。支度を整え工事中の林道を上がって行く。

 程なく右手に分岐していく古い林道に出会う。道標などは無いが間違うこともないだろう。林道に1歩足を踏み入れると輝かんばかりの緑が迎えてくれた。砂利を踏みしめながら清々しい心もちで進むと大天狗の鳥居が見えてきた。

     
古い林道への分岐    古い林道を進む    大天狗の鳥居

 遙か彼方の細尾峠への道標に導かれ尾根に取り付くと、新緑の耀きは一段と明るさを増し、降り注ぐような蝉の声に包まれていた。そんな森の力が充満した緑のトンネルを歩いていく。

 穏やかな坂道を登ってはまた下り、尾根は徐々に高度を上げていく。行者岳(ぎょうじゃだけ){1328.7m}の標高である1300m付近を中心にして、この後もひたすら上り下りを繰り返していく。

     
新緑のトントンネルを行く    行者平    行者岳

 勝道上人ゆかりの命名なるか行者岳。そして金剛童子や唐梨子山(からりこやま)。由来を知るのも面白いかもしれない。

 大岩山の手前で、我々の気配に気付き飛び出していった子鹿に遭遇。体高1m位であろうか、軽い身のこなしで急峻な斜面を駆け下りて行ってしまった。
そういえば今日は対向後続ともにハイカーは我ら2名のみ。このまま静かな山行になるのであろうか。

     
金剛童子    大岩山    唐梨子山

 まったくと言って良いほど眺望が無い尾根筋だ。時折西側に若芽に覆われた向こう側の日光の山々がチラっと見える。急な箇所こそ無いが、距離が結構あるので古峯神社への分岐点であるハガタテ平に着いた頃にはいささか疲れが溜まってきた。

 登りの本番はむしろこれからである。ハガタテ平から地蔵岳までは、今までの軽快な尾根を一旦離れる。一部崩壊した箇所を慎重に渡り、斜面に着いたジグザグの登山道を登る。一日の初めならそこそこに登れる感じだが、流石に2時間半以上も上り下りを続けてきた脚にはキツイ。脚をだましだまし登っていくが、しまいにはジグザグ一本一休みのペースへ。コース中精神的にも一番苦しいポイントであった。

 ジグザグを登り切って地蔵岳(じぞうだけ){1483m}の南東の明るい肩尾根に出る。上に向かって比較的きつめの道が続いているが、あの先が頂上であろう。気を取り直して一頑張りだ。

 フラフラになりながらも何とか到着。ガイドブック通り眺望は無いが、これで夕日岳(ゆうひだけ){1526.1m}までは残すところあと僅か。今回は長丁場なので、私とH君のコンディション次第で無理はすまいと考えていたが、残り体力と相談しても片道約30分の夕日岳ピストンはこなせそうである。

     
竜ノ宿    ハガタテ平    地蔵岳

 花に励まされながら登るのも良いが、新緑に力を貰いながらの山もまた良いものだ。ゴールが間近になり、碧い空もまた疲れた脚にエネルギーを与えてくれているような心もちになる。細尾峠への分岐のある三ツ目を越えて、ゴロゴロした岩の多いところから最後の登りにかかる。脚がなかなか先に出ないが、まぁ休めばヨシ。そんなことを繰り返してとうとう夕日岳へ到着した。

 それまで木々に遮られていた眺望が一気に解き放たれた。辛かった登りを称えるような、男体山の勇姿が雄大に広がり我々を迎えてくれている。

     
     
三ツ目    最後の登り    夕日岳山頂

 本日初めてのハイカーに山頂で会う。我々が山頂を後にする頃にももう一名。長丁場ながら結局今日会った人はこの二名限りであった。

 ザックに忍ばせておいたストーブ一式を取り出しお湯を沸かした。今日のランチはカップヌードル也。沸かしたてのお湯を得るため、長丁場コースで疲れるのも承知の上で余計な装備を持ってきてしまった。だが熱々のお湯だとカップヌードルも超インスタントコーヒーも最高。

 男体山から左に目をやると、道のようなものが見える。半月山へ至る道路のようだ。車であろうか、光が瞬くのが見えた。男体山の右下のほうには明智平の赤い屋根が見えた。三月の末に丁度真北の方に位置する丹勢山からも明智平が見えたのが想い出される。

     
夕日岳より    男体山を望む    明智平の建物が見える

 先ほどから少し風が強く、食事ですっかり冷えた体には寒く感じる程だ。後ろ髪を引かれる思いで素晴らしい景色の山頂を後にする。怪我の無いように気を引き締めて再スタートだ。

 ハガタテ平まで一気に降りて小休止。古峰ヶ原峠より登り詰めてきた稜線ともここでお別れである。一気に杉の深い森へ吸い込まれるように下っていく。

 下り始めるとすぐ湿地帯が現れ、クリンソウが群生している。地図には記載が無いが、ここより下った標高の低い所の沢の源頭のようである。実は唐梨子山の僅か手前にも湿地帯があり、同じ花が咲いていた。

     
毛が三本?       湿地帯に咲くクリンソウ
     
   群生している    清流

 沢が左の谷へ流れる頃になると山道もおしまいである。「是より登山」と手書きされた標柱を見るとそこは林道の終点だ。林道といっても、古峯神社側のゲートは固く施錠された関係者専用林道なので車の姿は全く無い。

     
名も無き巨石    是より登山?    林道終点であった

 長丁場も残りあと僅か(あと50分も)。よく整備された砂利道を淡々と進む。夕方にわか雨があるという予報通りに幾らか空が暗くなってきた。雨にやられなければ良いがと気を揉みながらようやく古峯神社駐車場へ到着。緊張感の切れた体をH君の車のシートへと預ける。長い長いそして充実した1日が終わった。

     
砂利道は続くよどこまでも    いやはや疲れた   

概略コースタイム
古峰ヶ原高原駐車地発(8:50)-大天狗の鳥居(9:06)-行者平(9:28)-行者岳(9:46)-
大岩岳(10:19)-唐梨子山(10:53)-ハガタテ平(11:15)-地蔵岳(12:01)-
三ツ目(12:22)-夕日岳着(12:44)-昼食休憩-夕日岳発(13:13)-三ツ目(13:44)-
地蔵岳(13:59)-ハガタテ平(14:28)-林道終点(13:53)-車道出合(16:24)-古峰神社駐車場着(16:40)

2007年10月28日

三枚石と方塞山

 台風一過である。文句なしの快晴である。

 今年は台風一過の天気も今一つはっきりしていなかったので、さながら天の恵みとも思える清々しい快晴である。

 これは絶対逃すまじ。先週バイクで下見をしてきた古峰ヶ原。一週間では紅葉の進みも今一つではと思ったが、まずはこの好天の中を歩けるだけでも充分という気持ちで出発した。

 先週同様古峰神社脇を抜け、通行止めのゲートを更に上がり舗装が途切れた古峰ヶ原峠に駐車する。流石に今日は一杯の車。皆考えていることは同じようだ。

 車を降り湿原を一望すると、その先に広がる光景にしばし感動する。全山燃えるが如くというにはまだ一週間以上はかかるだろうが、さながら赤や黄色の絵の具を一つ一つ置いていったようなそんな風景に思わず感動の声が自然と上がる。

 さて、今日のコースはここから三枚石を経て方塞山までのピストンだ。流石に昨晩の台風がもたらした雨水が登山路に溢れ出している。ぬかるみで足を取られてはかなわないので、慎重にルートを選びながら進んでいくが、色鮮やかな落ち葉を見ながら歩くのも楽しいものだ。高度も上がりやがて道が乾き出す頃、緩い尾根に乗れば左右に赤や黄色の葉が美しい。

     
台風後の雨水    落ち葉も色づき    行く手に鮮やかな木々

 高度が上がってくると岩が多くなってくる。岩といっても大抵の山の頂上近くに見られる露岩とは異なり、角が丸く浸食した巨岩が目立つ。地質学的にしかるべき理由があるのだろうが、なかなか壮観である。いよいよ岩が多くなってくると天狗の庭。そして三枚石 に到着だ。

 三枚石では白装束に白足袋の修行の一行が岩に向かって何やら礼拝の最中。この後暫くは山中に彼らの気合いの籠もった修行の掛け声が響き渡っていた。立ち止まり礼拝の一部始終を見物しているハイカー達を後にして、我々は昼食ポイントの方塞山へと足を進める。

     
天狗が酒宴したという    三枚石にて修行の方々   

 三枚石からは幾分高度を下げる。「勿体ないね」と言う家内に、山登りはこんなものさ、と答えながらふと見れば、行く手の色づいた樹から漏れる光の美しいこと。のんびりと歩いてほんのちょっぴり登り返せばそこは方塞山の頂上だ。今夏、前日光牧場からよく見えた電波塔が右手にある。
 山頂奥には鉄条網が張られている。夏には前日光牧場の牛たちがここまで放牧されているのだろう。

今日のコースはほぼ樹に覆われ景色は殆ど見え無かったが、ここから南側が唯一の眺望である。

     
      方塞山頂上

 先客の中年夫婦と入れ替わるようにして木のテーブルで昼飯を広げる。それまで幾らか汗ばんでいた体も紅葉の山ではあっという間に冷え切ってしまった。思わず上着を一枚重ねる。
 今日はステンレスポットにお湯を幾らか持って来たので、食後は簡易ドリップのコーヒー付きとオシャレだ。山で飲むコーヒーもまた格別である。

 横根山の山腹もまた見事な景色だが、残念ながらデジカメだとどうも色の微妙な濃淡が出ないようで、この美しさを伝えられないのが残念。

  
横根山方面    葛生方面

 帰りはピストンコースで同じ道を戻る。基本的にピストンコースはあまり好きではないが、今日の山道は刻々と変化する光線の具合で紅葉が行きとはまたちょっと違った面持ちで迎えてくれるので楽しい。

 家内は、学校で子供達にプレゼントしようと言いドングリを拾いながらのんびりのんびりと降りていく。今日は本当に気持ちの良い好天と、思わぬ紅葉のプレゼントに恵まれた山遊びであった。

     
古峰ヶ原峠    古峰ヶ原湿原より三枚石方面    地蔵岳よりの稜線

概略コースタイム
古峰ヶ原峠発(10:55)-三枚石(11:52)-方塞山着(12:24)-昼食休憩-
方塞山発(12:49)-三枚石(13:19)-古峰ヶ原ヒュッテ(14:22)-古峰ヶ原峠着(14:36)

2007年08月19日

久々の家族山行

 家内と娘の3人で久々に山へ行く。
山といってもハードなところは避けて涼しい所をチョイスしていき、前日光牧場、横根山(よこねやま){1372m}・井戸湿原となった。

 宇都宮より車を西へ走らせ、粕尾峠にさしかかるとどうも上空の雲が厚い。時折青空がチラと顔を覗かせるので、まぁ何とかなるだろう。

 無事前日光牧場のハイランドロッジに到着し、次々とガスが通過していく中を出発。一旦車道を戻り放牧地脇の山道へ入る。

 道は若干草が茂ってはいるものの、良く整備されていて何の問題も無し。途中、ツツジであろうか、トンネル状になっている箇所がいくつかあり、花の盛んな時期に来たらさぞ素晴らしいだろうと思った。

 道の勾配は緩いが地面が湿っており、空気の湿度もかなり高い。べっとりとまとわりつくような湿気を感じながら登るがまぁまぁだろう。ただ、一つだけ問題が・・・

 虫虫虫。それもアブ。

 虫除けジェルを塗ったので蚊は問題無し。小さな蜂も特に問題なし。トンボは一杯飛んでいるけどこれも風情あってよし。
 ただ、アブだけが油断禁物。一度だけ吸血されかかって慌てて振り落とすも執拗な攻撃。
 虫慣れしていない娘は終始大騒ぎしていた(^^;

 私が子供の頃、祖父の田舎(伊豆大島)で海に泳ぎに行くと、いつも海岸でアブの集中攻撃を受けていた。吸われたところからあちこち血を流していたことが思い出された。なに、海に入ってしまえば塩水で消毒されてしまうもの。あの頃は結構アブ慣れしていたが、さすがに暫くぶりに遭遇すると嫌な奴である。

     
ガスが通り過ぎていく    一旦車道を戻り・・・    横根山までの樹のトンネル

 さほど歩くことも無く横根山山頂へ到着。先ほどからのアブの攻撃が執拗なのと眺望が殆ど無いので、記念写真を撮るのみで急いで井戸湿原へ向かう。

 湿原手前で、シカ除けフェンスを開閉して進む。シカの食害から湿原を守る為とのことだ。湿原を通過し、象の鼻に向かって高度を上げていく途中にもフェンスがあったので、かなり厳重に周囲を囲っているようである。

 湿原は花一杯という感じでは無かったが、そこここにひっそりと咲く花が美しかった。年々水量が縮小しているらしいが、こういった貴重な資産は是非守って行きたいものである。

 湿原の周回コースから道をわけ、象の鼻へ向かう登りを進む。やはりかなりの湿度で、斜度はともかく蒸し暑さが体に堪える。時折家内が呼吸を整える為に、ちょっと立ち止まりながらゆっくりと進んでいく。前回、丸山登山で足を滑らせて購入を決心した家内のトレッキングシューズも調子が良いらしい。何よりである。程なく象の鼻へ到着だ。

     
横根山    井戸湿原    象の鼻

 象の鼻展望台で昼食をとる。先客のハイカーがガスの晴れるの待ち続けていたようだが、とうとう叶わず出発していった。
我々も食事をしながらどうにか・・・とねばっていたが、やはり瞬間明るさが見え隠れするものの日光方面への眺望は望めなかった。まぁ周囲一体が牧場なので開放感があり、そこそこに気持ちが良いので取りあえず満足かな。空気の澄んだ秋~初冬にまた是非歩いて見たいエリアだ。

     
象の鼻展望台    前日光ハイランドロッジ方面    同 左

 象の鼻からは、放牧されている牛を眺めながらのんびりと砂利の林道(一般車通行不可)を歩きハイランドロッジへ戻る。

 ハイランドロッジでは、何やら「歌おう会」のミーティングが開催されている。
ギターとアコーディオン、まるで「山声喫茶」のように自慢の喉を披露する中高年のグループである。
聞けば群馬のほうのグループであり、時々ハイランドロッジを借りてミーティングを行っているらしい。次回は10月とのことだ。
いかにも団塊の世代以上的な顔ぶれと、高原に明るく響く歌声は結構似合っていると思った。

     
象の鼻展望台より    前日光牛?   

概略コースタイム
ハイランドロッジ発(10:25)-横根山(11:14)-井戸湿原(11:30)-象の鼻着(12:11)-昼食-象の鼻発(12:36)-ハイランドロッジ着(13:05)

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