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2008年11月 アーカイブ


2008年11月24日

里山の秋を散歩する

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 連休は、初日は休出で残務処理に追われる。先週来の出張漬けの疲労が溜まっていて、日曜は流石に歩く気力が起きなかったが、澄み渡る青空を仰ぎながら忸怩たる思いに身を焦がす。更に最終日は雨予想で落胆する。

 雨の一日をどう過ごそうかと思いながら、目覚めてカーテンを引くと、降りそそぐ朝日がまばゆい。これは朝のうちだけでもどこか歩きたいものだ。前日の周到な用意はしていないので、初めての所は無理。男抱山はどうだろう。基本的に南方面の眺望だ。冠雪の日光方面を是非見たいので却下。しばし思案の末、大谷にある戸室山でコーヒーを飲んで男体山を眺めてくることに決めて出発した。

{戸室山の前回の記事はこちら

 前回も同じようなアングルから戸室山全景を撮影したが、色づいた風景はなかなか素晴らしい。里山なれど侮りがたし。仕事でいささか落ち込み気味の気分が一挙に昂ぶってくる。低いけれど、今からあの色づいた山を歩くのだなと。

 登るのは2回目なのでコースに不安は無いが、ちょっと欲を出して神社脇の踏み跡を追ってみるもすぐに斜面が急になる。ままよ、とそのまま木の枝に捉まりながら直登して登山道へ復帰。あとはあっというまに山頂手前の展望岩へ到着。

 予想通りの風景を眺めながら、ゆっくりとお湯を沸かしてコーヒーを飲む。疲れが癒される瞬間だ。

     
戸室山の紅葉    展望岩より古賀志山と男体山    鹿沼の山並み

 ふと気が付くとすっかり体が冷えてしまった。予報通り、南西の方角にはもはや高い所に雲がせりだして来ている。

 前回は北側の尾根を降りて車道伝いに大きく迂回して戻ったが、今回は山頂から南東に延びる道を辿ってみることにした。
 すぐ、東側に開けた岩の展望台が現れた。真東の宇都宮市街が一望出来る。これは初日の出ポイントだなと閃いたが、神社がある山だから地元の人達で混み合うのだろうか。まぁ後でネットで調べるとしよう。

 道はこの展望岩で終わり。だが下を見ると傾斜の緩い所に縦横無尽に踏み跡か獣道なのか、こっちへおいでよろしく下へと続いている。地図を見ると展望岩から下には崖地が無いので様子を見ながら降りてみる事にした。

 枝に捉まって降りるところ数箇所、木も少ないし薮は殆ど枯れているのでルートが自由に取れる。やがて農家の大きな屋根が見えてきた。田んぼ脇の木橋を渡って車道に復帰。目標の駐車地より少しだけ手前に出たので、もう少しトラバース気味に降りればドンピシャだったのだが、行く手にちょっと岩っぽい雰囲気があったのでまぁ安全第一でよしとしよう。
 自分で降りておきながら言うのも気が引けるが、この下山路は登山道では無いので通行される場合は完全に自己責任でお願いしたい。また、農家の裏手に出てしまった事から、私有地を通行している可能性も大きいのでこの点にも留意していただきたい。

 山頂であれだけのんびりしてきたのに、時計を見るとまだまだ時間が早い。昼に自宅へ戻るならば、天狗鳥屋あたりの寄り道もよろしかろうと、遊びならなかなか機転の利く自分である。

 森林公園へ車を進めると、一帯は紅葉が綺麗になっていた。赤川ダムから望む古賀志山もいつもと違った趣がある。

     
戸室山頂上付近    宇都宮市街が見えるポイント    赤川ダムから古賀志山

 

 

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 ダム脇のキャンプ地あたりからトリムコースを登っていく。よく整備されたコースの周回点で、コブシ岩への道標を見る。ほぼ一直線に尾根を歩き、登り詰めたピークを左折する。鞍部から大きなジグザグで登り返せば天狗鳥屋の山頂だ。相変わらず木に囲まれていて眺望は無い。ここから少し南に下った場所にあるコブシ岩展望台で一休みとする。

{天狗鳥屋の前回の記事はこちら

 

 もう少し眼前の木を何とかすれば景色も開けて人が来るのにと残念だ。

 今回の下山は、腹案だった駐車場への周回コース。前回は林道長倉入線終点からアスファルト路歩きを延々としたが、既に偵察済みの林道外側の尾根を辿って見ることにした。

 天狗鳥屋からピストンで先ほどの分岐ピークまで戻り、そこを北へと進む。穏やかな尾根道が続く。やがて右下に舗装林道の終点が見え、直進で尾根を追うことも出来るが斜面沿いに右へ180度転回すると、そちらにもまたしっかりした尾根道が続く。少し下に土の作業道があるが、これは見送る。

 349mピークあたりに左右に降りていく道があるが、これに引き込まれないように忠実に尾根を追う。若干ガクンと急に下がる箇所をやり過ごすと再び緩やかな下りになる。やがて、右手の作業道と並行し、暫くするとアスファルト林道に出た。駐車場から林道終点までの1/3位の地点だから上首尾だろう。

 軌跡を見ていただくと解るが、道は尾根から少しずれている。次回ここを歩く時は、終盤に道を外して尾根を忠実に辿れば、アスファルト歩きをせずにダイレクトに駐車地に出る筈。そんなことを考えながら本日の散歩は終了した。

     
天狗鳥屋方面分岐    コブシ岩より    周回して林道へ

 

《追記》

 最後に歩いた林道の舗装部分軌跡が2万5千分の1地形図と約30m程平行してずれているのが不思議である。
 GPSのほうは測定誤差が当然出てくるが、同じ山域でもほぼピーク通過時とかは正確にトレース出来ているので、空が見える林道で30mも誤差が出るのは考えづらい。ということは地形図の道路の位置がずれているのでは・・・などという想像もまた、アフター山歩きの愉しい部分である。


概略コースタイム
【戸室山】
駐車地発(8:27)-山頂東肩の展望岩着(8:41)-コーヒー休憩-出発(9:13)-東の肩展望岩(9:20)-
車道(9:33)-駐車地着(9:36)


【天狗鳥屋】
駐車地発(10:02)-北側尾根分岐(10:22)-天狗鳥屋頂上(10:28)-コブシ岩(10:31)-
北側尾根分岐(10:42)-方向転換ポイント(10:50)-349mピーク(10:54)-
林道出合(11:08)-駐車地着(11:13)

2008年11月09日

晩秋の尾出山

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 どうにもこうにも山行と晴天が噛み合わない。もう半ば諦め気分だが、雨が降らなきゃいいやということでH君との2人山行と相成った。
 土曜日より日曜の方が若干天気快復の見込みアリという情報に心が動かされる所など、少し解脱しきれていない感もあるが(爆)、眺望二の次でも面白いのではと腹案していた鹿沼の山奥、上永野の尾出山(おでやま){933m}へ向かった。

 細い県道を進んで行くと、やたら熊注意とシカ注意の看板が目に付くようになる。そのうち路側に猿が2頭いるのを見かける。人家もまばらな奥地ならではの風景である。やがて川久保の集落を過ぎたあたりで砂利道の寺沢林道へ進入。ギアを四駆に入れた。

 寺沢林道は、今年の春に家内と永野の「たろっぺ茶屋」へ蕎麦を食べに来た時についでに足を伸ばして偵察済みである。今回の登山の駐車地も既に把握しているので安心だ。

 車3台程度の駐車スペースに駐めると、既に県外ナンバーの夫婦連れが準備を終えて歩き出すところだった。少し手前の路側にも1台駐まっていた。こんな天気なのに隠れファンが居るものだ。

 駐車地から暫くは砂利の林道を登り徐々に高度を上げていく。パジェロミニなら結構上の方まで上がれそうな感じだが、下山ポイントのことを考えると止むを得ない。

 林道歩きも馬鹿にならないものだ。そこそこに汗が滲んできてやれやれ終点まで到達。いよいよここから登山道である。

 尾出山への手製道標がくくり付けてある左手が、ガイドブッック等で紹介されているいわゆる正規ルート。他にも、林道から真っ直ぐ樹林に吸い込まれるようにして登っていく方にもワープロ書きの「周回コース」なる紙が木にくくりつけられていた。ネットで調べて見ると、「新コース」と言われているこちらは、峠(嶽ノ越)を経由せずに尾出山の山頂から南西に伸びる尾根を行くような感じである。後から地形図を眺めて見ると、谷を詰めて急登する正規コースより「新コース」の方が気分が良さそうであるが、情報不足故今回は見送る事にした。

 さてさて正規コースだが、スタート直後いきなり左側沢へ落ちそうになるトラバースルート。道幅は狭いというよりも殆ど無いに等しい部分もあり、きわどい箇所は流石にロープが張られているが、先ほどの車の主達も皆通行に難儀して渋滞している。沢へ滑落すればタダじゃ済まない位の高度差はあるので慎重に通過する。こんな時滑りやすい落ち葉は仇になるものだ。

     
林道終点からの取付地    沢沿いのトラバース    同左

 緊張のトラバース区間をクリアすると、今度は鬱蒼とした植林地を右手に見るようになる。左手の沢と合流すると、道は谷を詰めていく感じになる。不明瞭感が強いルートだが、谷の終点からは上手の峠へ直登に近い登りとなった。ここまで後ろのグループとダンゴ状態で登っていたものの、急登の途中で後ろから来た健脚夫婦に先を譲る。

 峠(嶽ノ越)へ着くと右手は尾出山へ、左は高原山への縦走路へとそれぞれ伸びる。禁猟区の赤い標識だけが目立つ静かな場所である。

 ここから上へ行くと段々と広葉樹が増えてくる。所々紅葉が見られ、木の切れ間から見える周囲の山々も同じ標高付近は色づいている。今回は紅葉を見たいという腹づもりもあったので、まずは満足である。

 山頂が近づくにつれ急登の連続で、更に所々に岩が目立つようになってくる。岩の背を乗り越して登って行くのが本来のルートのようであるが、鎖やロープも無く、岩登りの経験のある人で無いと難しいかもしれない位険しい箇所が多い。巻道が必ずあるのだが、こちらもまた厳しい状況で、時には直登、しかも滑落すると下は深い谷という箇所がところどころにある。この山は危険ゾーンが多いので、よほど山慣れしていない人以外は単独で歩いてはいけないだろう。

 「勝道上人修行 第二宿堂跡」の碑と小さな石祠の建つ山頂へ到着。さにあらん、こんな峻険な山ならさぞハイレベルな修行になったことだろうよ、と思いを馳せて(笑)食事とした。あまり景色の良くない山頂だが、明るい感じのする場所である。

 広い山頂に3グループが前後して到着し食事となったが、出発は我々が一番遅くてビリっけつ。僅かでも人が居なくなると実に静かな山頂である。気温も恐らく10度は割っているのだろうか、指先が冷たい。もうすっかり冬の気配である。

     
峠(嶽ノ越)    紅葉がちらほら    尾出山頂上

 先ほど息を切らしながら登って来た急登のピストンだから今度はジェットコースター状態である。そのまま谷に突っ込んで行ったら夜になって熊の餌食になってしまうのがオチなので慎重に次ぐ慎重で歩を進める。やがて下の方に先ほどの峠が見えてきて一安心だ。

 峠から825mピークへは標高差にして80m程度の登り返し。いつも食後の登り返しを歩くたびに、もう少し食べる量を減らしておけばよかったと後悔するものだ。額に汗を滲ませ息も絶え絶えに825mピークへ。何やら山名板が。何々「山田山」だとな。地形図に表記が無いのでこれはアウトだが、山田さんの気持ちも解らないでもないので、まぁよしとしよう。

     
   きつい下り    825mピーク

 この825mピークで後ろを振り向くと、今降りてきた尾出山の鋭い円錐形が樹幹越に大きく見える。なるほど峻険である。登り下りが大変だったのも頷ける。

 この辺からは緩やかな気持ちの良い尾根道が続く。降り積もった落ち葉が膝に優しい。サクサクと踏みしめる音も軽やかである。

地形図で、大久保の頭と記載がある平坦地あたりにシカよけネットが張ってあった。一部倒れてしまっている箇所もあるので事実上機能していないような気もするのだが、西側の谷から鹿が往来をするのだろうか。

     
振り返ると尾出山    木の葉を踏みしめて    シカよけネット

 大久保の頭から一旦転げ落ちるような下り、そして高原山へとまた登り返し。この辺は道がかなり不鮮明な箇所もあった。特に高原山直下付近では枝を払いながら登っていく箇所もあった。
 四方を木に囲まれた高原山(たかはらやま){754m}もまた静かな佇まいである。

     
西側眺望    シカの食害    高原山

 さあ、いよいよここからは下りオンリーである。辛かった登りからやっと解放される。山頂から歩き出すと、すぐ東側の眺望が開けた。向かう186号鉄塔から伸びる送電線が、更に下の下山通過点である185号鉄塔、そして向かい側の山の彼方まで伸びているのが見える。

 186号鉄塔に到着すると、遠く二股山や鳴蟲山、そして石裂山の山並み。手前には谷倉山が見える。今日のコースは後半なかなか良い景色に出会えることが出来る。天気も相変わらずどんよりとはしているが、雲も高いので案外遠望が効くようである。 

 186号鉄塔より鉄塔巡視路を下ることになる。よく整備された巡視路だ。それまでの難所の数々が嘘のような快適さである。

 ジグザグの下りを続け、やがて沢音が聞こえてきた。沢に一旦降りて対岸をよじ登るとそこに林道があった。登りに通った所とは別の林道であるが、これを降りていけば良いようである。やれやれ今日のコースはなかなか充実していたねとH君と話しながら歩いて行けば、向こうにパジェロミニの待つ駐車地が見えてきた。

     
186号鉄塔より    同左    駐車地へ帰還

概略コースタイム
駐車地発(9:26)-広場(9:40)-林道終点(10:00)-峠(10:36)-尾出山着(11:36)-
昼食休憩-尾出山発(11:53)-峠(12:25)-825mピーク(12:46)-高原山(13:28)-
186号鉄塔(13:44)-185号鉄塔(14:09)-林道出合(14:26)-駐車地着(14:32)

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