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2007年09月 アーカイブ


2007年09月16日

半月山から茶の木平まで

-- 『e-trex Leggend US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 三連休の事前予報がぱっとしなかったので半ばあきらめかけていたが、前日になると16日に晴れマークが出始めた。年初から始めた山歩きも、未だいろは坂より上の領域には足を踏み入れていなかったので、夏の山歩きの締めくくりとして半月山~茶の木平の縦走をすることにした。

 日光に向かう道すがら、どうにも山の方角のガスが濃いような気がしていたが、いろは坂にさしかかる頃には青空に映える男体山の勇姿が見られるようになり、まずは一安心だ。
 中禅寺湖遊覧船乗り場のある立木観音前の駐車場に車を駐めると、他にも支度を終えて歩き出すハイカーもちらほら。さすがメジャーポイントは違うね。

 駐車場よりイタリア大使館別荘跡公園方面へ向かう道に折れると、一気に中禅寺湖畔の静けさに包まれるようになる。湖岸を見ると釣りをしている人が結構あちこちに見られる。中にはゴム長で胸のあたりまで水に浸かって釣っている人もいる。自分には釣りのおもしろさは今のところ理解出来ないが、あの雄大な景色の中で一日中釣り糸を垂れているのも悪くないのかもしれない。

 ふと上を見上げると電柱がずっと奥まで続いている。電線と電話線が架けられているのだ。こんな奥まったところに一体と思って進んでいくと、プレジャーボートを屋敷の前に停泊している別荘(車が駐めてあり建物にあかりがついていた)があったりする。もうちょっと手前の現存の大使館別荘とは趣の違う感じでいかにも個人所有の雰囲気だ。きっと「華麗なる一族」のような財閥っぽい人が所有しているのでは・・・などと適当な妄想を抱きつつ進む。

 この別荘の先にまだまだ電柱が続く。狸窪に着くと民宿があった。一つは廃業して丁度建物を壊している最中。もう一軒は現在も営業中だ。この地域向けに電力と電話が供給されているようである。
 ここまでは細いながらも車道である。一般車も入ってこれないことは無いが、駐車場やUターンするスペースが無いので進入しないほうが無難だ。

 さて、民宿を過ぎると舗装は切れてすぐそこは狸窪分岐。半月山への道標がある。今回の予定はもう少し中禅寺湖畔を歩き阿世潟より高度を上げる予定だったが、向かう道にはロープが掛かっていて通行止めだ。どうやら阿世潟~千手ヶ浜間が先般の台風により被害を受けての措置らしい。目的地は阿世潟なので問題無いのではと思い、地図を眺めながら躊躇していると、後から他のハイカーがやってきてロープをどんどんくぐって行くではないか。会話を小耳に挟むと、やはり阿世潟から取り付き社山へ行く様子。それならばと自分も彼らの後からついていくことにした。

 狸窪を過ぎるといよいよ自然遊歩道然として静けさが増してくる。中禅寺湖を散策するなら是非訪れて欲しい美しさだ。ちなみに下の写真左は、阿世潟手前のひっそりとした砂浜から眺める男体山の姿だ。

 元キャンプ場だった阿世潟に到着する。勾配の無い平坦路とはいえ、駐車場からここまでで既に1時間以上も経過している。距離にして4Km程。ちょっと小休止をすれば良かったのだが、続けて山道に入って行ったのがこの後ボディブローのように効いてくる事に、この時まだ気付いていない。

 阿世潟からの登りは、始めゴーロが続きどこがルートだか判然としない感じだったが、高度を上げると道がしっかりしてくる。段々と山道らしくなってくると徐々に息も上がってくる。時折立ち止まりながらも明るい尾根に突き上げるとそこは阿世潟峠。ここを南に下ると足尾へ行けるようで古くは中宮祠と足尾の交通の要所であったらしい。

 まずは荷を下ろして一休み。先客の夫婦一組が既に休憩していたが、先ほどの社山行きの一行も遅れてやってきた。
 登りで汗ばんだ体に吹く見晴らしの良い峠の風が心地よい。秋の雰囲気をまとった風吹く向こう側の足尾の山並みがまた美しい。

     
阿世潟手前より    阿世潟分岐    阿世潟峠より足尾の山並み

 ここからは終始クマザサの尾根を行くことになる。ところどころササが張り出していて道が見えない部分もあるが、それでもしっかりした道筋を行く。

 阿世潟峠から丁度100m程高度を上げた小ピークに到達する頃、何故か今日はいつもより足の運びの調子が今ひとつ。息も上がりやすいことに気付いた。
 やはり、狸窪~阿世潟峠間の遠回りが効いたのかな、とそんな事を思いながらも進む。それにしても天気は上々、時折ぱっとひらける眺望に励まされながら、1655mピークに到着。木陰を探して休憩だ。

 ここから半月峠までは80m程高度を下げる。先ほど苦労して稼いだので勿体ない気がするが、山登りの宿命なれど調子のあまり良くない今日はひときわ恨めしいものだ。

 台風のツメ跡なのだろうか、南側の谷が崩落している。そういえば阿世潟峠からピークを一つ超したあたりのガレ場も凄い状況になっていた。登山道の方はまったく影響が無いが、自然の荒々しさを目の当たりにした。

     
こんな笹尾根がどこまでも    尾根から備前楯山方面    半月峠

 半月峠からは、岩の露出した所、クマ笹の峠道と変化があるが、先ほどからの疲労感でなかなかキツイ。少し登っては立ち止まりの連続。
 旧中禅寺湖スカイラインの第二駐車場が見えて来ると、そのすぐ先は半月山展望台だ。先客の明るい声が飛び交う中荒い息で到着。展望台から少し離れた木陰でザックを降ろし昼飯休憩だ。地面に腰を下ろして、あ~疲れた。

 展望台はスカイライン第二駐車場から約20分で登ってくることが出来るらしい。未経験の人に山の素晴らしさを伝えるのや、冬場に雪を踏みしめながらちょっと登ってみるには良いかもしれない。

 食後に景色を堪能しようと思ったら、ガスが濃くなってきた。コンディションの良い時は絵はがきの様な眺望が約束されるというが、今日はいまひとつである。
 展望台を後にして、樹林の中を少し登るとそこが半月山頂上。ガイドブックの通り木に囲まれて眺望はゼロ。

 この後は右手に薬師岳、夕日岳、地蔵岳方面を眺めながら、斜面に張り付いた笹道を行く。ところどころ道が欠落している箇所があって油断が出来ない。笹が生い茂って道が見えない所で欠落している箇所があったがこれは要注意である。もっとも右側は笹藪なので滑落しても下まで行くことは無さそうだが。

 しばらくして樹林帯に入ると、下から大勢の中高年ハイカーグループが上がってきた。総勢30人以上だろうか。かなりの大グループである。見れば平均年齢はゆうに60を超しているかもしれない。されど全員しっかりとした足取りとペースで登ってくる。自分など果たして一緒に歩くことが出来るのだろうかと唸らされる勢いだ。ただ、この時点で13時丁度くらい。これから半月峠経由で下山して湖南を戻るにしても、あの人数で大丈夫なのだろうかと少し気を揉んだ。

 足場の悪い急斜面を降りていくと先方にハイカーが見えた。いや正確にはハイカーでは無い。後ろ姿しか見えないが、パンプスを履いてポシェットを肩に掛けた普通の女性観光客である。こちらはクマよけの鈴をじゃんじゃん鳴らしているので気配はとっくに気付いているだろうから後ろにぴったりくっついているのも気が引ける。さりとて追い越す程道は広くない。
 暫くはお互い無言で歩いていたがどうにもバツが悪いので「こんにちは」と取りあえず挨拶をした。

 しかし返事は無し。第二駐車場往復組が道を間違えた割には歩き過ぎている気もするし、「どちらから来たのですか」と後ろから声を掛けた。

「ち、ち、千葉からです」と強ばった顔で振り向いたのは若い女性、年の頃二十歳前くらいの娘である。どうしてこんなに若い娘が一人で、しかも何の装備も無いいでたちで、決して易しくは無いコースを歩いているのか一瞬我を疑った。

"千葉から"というのも間の抜けた答えだが、自分としては"どこのポイント"からという意味だったが通じなかったようである。「山に登ってきたの?」と問いかけるとかすかに頷く。
 問題はすぐに解けた。程なく下のほうにスカイライン第一駐車場が見えてきた。少し先に犬を連れたやはり観光客然とした中年男性の姿が見える。どうやら親子でちょっと散歩してみようと入って来たらしい。

 半月山から茶の木平へ向かうルートは途中2回中禅寺湖スカイラインとぶつかるが、一回目がここ第一駐車場だ。4輪の観光客で賑わう中、じゃんじゃん鈴を鳴らしてちょっと場違いながらベンチに腰を下ろして休憩。先ほどの親子も男体山をバックに写真を撮っている。きっと、「さっき山の中で声を掛けられちゃった。怖かったのよ」なんて言ってるに違いない。
 逆に我々ハイカーからすれば、山中で何の装備も持たないような目的不明な"人間"との出会いは、有る意味クマよりも怖いと思うのだが。

 駐車場奥の"狸山へ"の道標に従いまた山中に分け入っていく。狸山はむじなやまと読む。中禅寺湖畔の狸窪もむじなくぼである。決してたぬきくぼでは無い。

 IMEでむじなを変換すると狢が出てくるが折角なのでネットで調べて見ると、狢とはアナグマのこと。地方によってはタヌキやハクビシンあるいはその総称を指すらしい。

 駐車場より一登りした狸山頂上は、樹と笹に覆われていて眺望も無く今にも狸が出てきそうな雰囲気だ。道を騙されてはたまらないので早々に山頂を後にした。

     
スカイライン第二駐車場    半月山展望台より    狸山

 狸山からの下山路もまた快適なクマササ路が続く。右手には薬師岳方面がよく見える。終盤、樹林の中のきつい下りを終えるとスカイラインに再び出遭う。

 ここには何も施設はないが、道の向かい側に茶ノ木平への道標が立っている。しかし、2回続けて車道、しかも往来の激しい道路に出ると流石に歩行意欲が薄らぐものだ。折からの疲労感もあり、これでバス停でもあったら行動打ち切りにしていたのかもしれない。

 茶の木平登山口にある看板を読むと、「多少きつい登りですが景色を楽しみながらゆっくり歩いてください」とある。
 阿世潟から縦走してきた身には"キツイ登り"はちょっと辛いかな。先ほどから腿が悲鳴を上げだしているので、少し登った展望台で瞬間コールドスプレーを吹き付け軽くマッサージをした。

     
狸山下山途中より薬師岳方面    茶ノ木平登山口    すぐそばの展望台より

 懸念したほどのきつさでは無かったが、それでもペースを落として休み休み登っていき尾根に出ると周囲の樹林の雰囲気が一変する。
 シラカバが沢山目立つようになった。道もどんどんゆるくなっていくとそこは広大な平坦地である茶の木平だ。

 奥に進むと中宮祠へ向かって切れ落ちるような崖は中禅寺湖温泉ロープウェイの名残だ。駅舎跡の脇で休憩をする。

 先ほどからガスが下からどんどん上がってくる。少しすると薄くなったり濃くなったり、はたまたパッと晴れたり。男体山も中腹はガスが濃いようでどうやら同じような高度なのだろう。
 ロープウェイが営業していた頃は沢山の観光客で賑わったことだろうが、今ではまったく人影も無く静寂の限りである。

 さぁ、いよいよここからは下り一辺倒だ。辛い登りはもう無い。最後の下りで事故の無いよう注意しながら中宮祠を目指して降りていく。笹藪に道を見失わないよう道標がしっかりついているし、道もほどほどに整備はされている。しかし、先般の台風の被害を受けた倒木が道を塞ぐ箇所も数カ所あった。

 つづら折れの道を降りると次第に自動車の音が大きくなってきた。最後に急な石段を下りるとポンと車道に出た。後は駐車場までの約1kmを観光客に混じって歩く。文明の領域に場違いな鈴が恥ずかしくてザックから外した。

 それにしても今日は本当に良く歩いたものだ。途中辛い場面もあったが無事歩き通すことが出来たのが何よりである。
 トレッキングシューズを脱ぎ、顔の汗をぬぐって、心地よい倦怠感に包まれながら夕日に美しく映える中禅寺湖畔を後にした。

       
茶の木平    ロープウェイ駅跡     

概略コースタイム
駐車場発8:50-狸窪9:30-阿世潟9:56-阿世潟峠10:16-半月峠11:30-半月山展望台着12:00-
(昼食休憩)-展望台発12:20-半月山頂上12:32-スカイライン第一駐車場13:18-狸山頂上13:45-
スカイライン出遭い14:00-茶ノ木平14:53-駐車場着16:07


歩行距離:約13.5km 累積標高差:2900m
(GPSのログデータによる)

2007年09月15日

里山ソバ正吉と丸山

 「栃木そば探訪120」という本を眺めていたら、"里山のそば処"という文字が目に飛び込んできた。
 部活と塾で忙しい娘を置き去りにして、早速家内と二人で出かけることにする。

 日光街道を大沢の手前で今市青少年スポーツセンターへ向かって北へ折れ、程なく看板に従い脇道へ逸れると農家風の建物に突き当たる。
ここが今回の目的の店、「里山のそば処 正まさきち」である。

 眼前に広がる蕎麦畑、文字通り里山の麓にぽつねんと佇む長閑な風情は、それだけでも期待感が高まる。

 蕎麦は二八、堅さも風味も自分の理想的な味わい。つゆも雑味がなくすっきりしているが、それでいてしっかり筋の通った旨さとでも言おうか。とかく蕎麦は麺とつゆのどちらか片方が合格で他方はもうちょっと・・・というのが多いが、ここ正吉は私の好みではほぼ満点。今まで食べたうまい蕎麦のベスト3は間違いない。

 デザートに「そばがきぜんざい」を頼んだ。
 ちょっと柔らかめなそばがきに粒あんという組み合わせもなかなかいける。蕎麦の後に食べるにはちょっと量が多いような気がするが、家内と半分ずつにして丁度満足だ。

 帰路は腹ごなしに今市青少年スポーツセンターの裏山の丸山(まるやま){325m}に寄ることにした。

 スポーツセンターの駐車場に車を置き、センターの施設一部といって良いほど良く整備されたハイキングコースを5~6分も登るとそこは山頂。標高差40m足らずのプチ登山。

 今の時期は訪れる人も少ないのだろう。山頂は草が生い茂り木々の枝も多い。また生憎の曇り空で、本来あるはずの日光方面の眺望は望めなかった。
 「栃木の山紀行」さんのサイトでは、新雪の中、ウサギの足跡を追い求める丸山が紹介されていた。
 今度の冬、雪が降り積もった時に是非訪れて見たいところである。きっとその時は冠雪に輝く日光の山並みが迎えてくれることだろう。

     
天もり    そばがきぜんざい    蕎麦畑の中のお店
     
丸山へ向かうハイキング路    丸山山頂    眺望は無かった

2007年09月09日

自衛隊百里基地航空祭

「百里基地航空祭」にバイクで一緒に行かないか?

航空機の事、ましてや自衛隊の戦闘機など微塵も知識の無い自分であったが、以前から一度はそういったイベントを覗いてみたいと思っていた。
 さっそく同行を申し出、朝早い時間に茨城の百里基地に向け粛々とバイクを走らせる。
 随分早いペースで走ってあっという間に目的地に近づく。9時から開催されるということでちょっと早めかなと思ったがこれが大きな間違い。
 まだ8時前だというのに基地手前の4輪の長蛇の列に圧倒されて仰天だ。
 自衛隊の基地祭というと、地元では雀宮の基地(こちらは陸上自衛隊)の地味なやつと同じ程度に考えていたのだが、航空祭の人気のバロメータは格が違うようである。

 

開門直前に到着したのはラッキーだったが、既に出来あがった人だかりの山に囲まれて、重いバイクを押して構内バイク専用駐車場へ進む。
 一斉に人の列のベクトルが出来、皆目指すは滑走路周りへ。
これって、TDLの開園時の雰囲気とよく似ているような気もする。有名アトラクションに駆け寄る人こそいなかったが。

我々もバイクを置いて飛行場へ進む。
 いや、来るわ来るわ。とめども無く次から次へと人が入ってくる。流石に広大な飛行場だけあって航空機に最も近いロープ最前列以外はさほど人口密度は高く無いが、それでも実に多くの人が入って来ている。

居並ぶブルーインパルスのT-4機の前に落ち着くと、程なくデモを行うF-15,RF-4,T-4が離陸を始める。

滑走路までタキシングしていくのは結構間近で見られる。離陸をする主滑走路はさすがに観覧エリア最前線とは随分離れているが、それでも離陸時はもの凄い爆音と迫力である。場所が丁度良かったのか、ほぼ眼前でテイクオフしていく。

     
向こう正面が管制塔    複葉機ピッツ    滑走路へ向かうF-15

離陸した各機は編隊で主滑走路上を超低空でやってきては急旋回などを繰り広げ、そのたびに航空ファンを喜ばせる。
 頭上で急旋回する機体に一瞬発生するベーパー現象は、まるで翼に水蒸気のドレスをまとったような感じでなかなか感動的だ。

ベーパー現象について
(上記サイトは旅客機の場合。戦闘機はもの凄く羽根全体にばぁっと発生するのでかなり綺麗である)

それにしても航空ファンの層の厚さには脱帽だ。
 家族連れなどは、自衛隊関係者という感じがしないでも無いが、それでも周りの雰囲気を見てみるとあながち付き合いだけで来ているというだけでもなさそうである。
"いかにも"というような筋金入りの人は確かに多いが、それでも老若は問わず。ましてや男女を問わず。文字通り老若男女を問わずの熱き航空ファンの祭典なのだということがようやく自分にも飲み込めてきた。

ちょっと耳をそばだてていると、こんなおじいちゃんまで、あんな普通の主婦まで、皆さん「F15がどうのこうの、配備がどうのこうの、メカがどうのこうの」。バイク好きの談義と全く同じだ。

そんな同じ指向性を持った人間がこの広大なエリアにかくも多数集まっているというのが、素人の自分には大変刺激的である。

台風一過の今日は幾らか雲は多いというものの、上空はそれなりに日差しも強く、遮る物の無い飛行場には容赦なく陽が照りつける。
 そんな中で、次の飛び立つ機は何だ?次に頭上を旋回する機は・・・と辛抱強く待ち続けるファンの姿もまた強烈である。

会場内には基地に配備されている実機が展示されており、こんなに間近にじっくりと見ることが出来たのは初めて。
 F-4(ファントム)を後ろから見ると何となく滑稽。エンジンが掛かっていたらぶっ飛ばされる位置だろう。

展示エリアの隣はこれからデモ飛行する機体がずらりと並び、中には轟音でアイドリングをしているものもある。
 風に流されてきた排気熱と、かすかに流れるジェット燃料の匂い。機体を見るファンの熱い眼差し、照りつける日差し。全てが渾然一体となって飛行場を陽炎のように包み込んでいく。

     
ブルーインパルス    演習機T-4    RF-4のおしり

先ほどから立ち止まっていたブルーインパルスの前を後にして、一通り会場を歩いて見ることにした。

格納庫では、F-15のコクピット前で記念写真を撮る列が2時間待ちだという。いやはやなんとも・・・である。
 他にもエンジン単体やミサイル、機銃の展示などがあり、説明文に一つ一つ驚きの連続だ。どんなスペックも驚きに値するものだが、我々勤労者の血税の消費の極地を直視するに、自分は果たしてこの機体にどれだけの権利が有るのかな(恐らくネジ1本も無いだろうが)、そんなシニカルな妄想をちょびっとだけ抱いたりもした。

午前中のラストは複葉プロペラ機のピッツによるアクロバット飛行演技だ。ツインリンク茂木で良く有料ショーをやっているあの赤い機体が空を舞う。
 流石専門のショー飛行だけあって、雰囲気も軽やか。楽しげなショータイムである。驚いたのはプロペラ機でも垂直上昇後、姿勢維持で停止状態を維持出来ること。これってパイロットはもの凄い度胸とテクニックが必要だなぁと素人考えながら深く思う。

ようやく昼の休憩時間に入ると、会場内のアナウンスが熱中症注意を喚起している。さもありなん。先ほどから隊内隊外から救急車が何台か往来しているのだ。暑さとと共に昇華してしまったファンがいたようである(^_^)

私も、午前中はこの"熱気"に負けまいと頑張っていたが、ちょっと限界。たまらず日陰を求めてしばし休憩だ。

午後は、まずF-15のスクランブル発進デモ。会場から少し離れた広場に居たので滑走路周辺の様子が見えなかったが、どうやらくつろいでいるパイロットに緊急発進指令が下って離陸するまでの寸劇がテーマのようである。
 スクランブルは5分以内に離陸しなければならないそうだが、広場でアナウンスを聞いていると機体が見えないのであまり面白くない。
 隣で見ていた年寄り連中は「5分以内なのにこんなにぐずぐずしてたら東京はもうやられちゃって焼け野原だよ」などど毒づいている。
 まぁ、確かにそうかもしれないな、と思っていたら2機だけがタキシング後離陸していった。

 機動飛行がテーマだけあって、F-15の性能が余すことなく披露されていく。旋回能力も素晴らしいが、やはりロケットのような垂直上昇は凄まじかった。

この後続いてブルーインパルスショー。
 先ほどのピッツのアクロバットショーとはまたひと味違ったチームプレイが素晴らしい。
 編隊飛行時は隣の機体と1m間隔とか。一般的感覚からすれば地上のどんな乗り物でもエンジンが付いていればそれって危険過ぎ!

華やかなブルーインパルスショーで締めくくられた航空祭。
 戦闘機という絶対的なパワーを目の当たりにして、理屈抜きで感動することも多かった。純粋にショーとしての航空機の飛行を楽しむことも出来た。
 ただ、悲しいかな、F-15に装備された20mmバルカン砲の銃口を見た時、あぁこれは紛れもなく兵器なんだなということを実感した。

専守防衛任務としての自衛隊。今更存在意義を論じても、外交や経済と直結しかねない問題。ましてや日米安保の延長線としての自衛隊問題。
 本気で保守先鋭するならば軍隊を持てば良い。でも折角唯一の被爆敗戦国だから軍備を持たないのも一つの選択肢では無いかとも考えさせられた。

こんな事を書いていると"ヒコーキ好き"な人に怒られてしまうかもしれないが、暑さで上気した頭でぼぉっとそんな事を考えながら帰途についた。

     
F-15のエンジン    F-15のエンジン    集まったバイク達

2007年09月02日

良く歩かれた山の歩かれていない道

-- 『e-trex Leggend US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 猛暑の後は速攻で秋雨前線とはこは如何に?

 と天気にあたってもいたしかた無いことだが、一日中曇ながら今日は雨は降らないと天気予報が告げている。ならば運動不足解消へ近間に登ってくるかと思案すること暫し。9時を回った頃、「では篠井の本山あたりをちょこっと」ということになった。

 事前準備は全く無しで、子供の森駐車場から登って榛名山、本山、下篠井登山口へ下山と大雑把な計画であった。GPSもポイントの入力はしていないので中身は空。

 駐車場を出発して、敷地内を進む。以前篠井富屋連峰を縦走した時の感覚から、登山口の道標はすぐ見つかるだろうと思っていた。子供の森敷地に入ってすぐ右に折れるほうにキャンプサイトや宿泊施設あるらしい。舗装路をどんどん進んでいくと小さな道標に本山・飯盛山方面を見かけ迷わずそちらへと進む。実はこれが大きな甘ちゃんだったことは後ほど発覚。

 子供の森から外れるとすぐに舗装林道に出会う。(下写真左)
 ここにもしっかりと道標があるので迷うことは無い。しかし、こんな所に地図にも載っていない林道があるとはねぇ。10分程緩やかな登りを歩くと忽然と倒木が道を塞ぐ。これは車で来てもここ停まりだろうに。倒木をよく見るとどうやら意図的に掛けているようで、暗に通行禁止の様子である。その割には途中アスファルトを綺麗に修復していたりと不可解だが、きっと林業関係の作業道なのだろう。

 倒木を過ぎると案の定ほどなく舗装は切れ道が荒れ出した。進むにつれ草が張り出す部分もあったりするが道は依然はっきりしてどこまでも沢沿いに高度を上げていく。地図を見ると下篠井からの登山道とは明らかに違うが、途中道標もあったし、その後顕著な分岐も皆無故概ね間違いの無い感じである。

 この後道は心細くなったり急にしっかりとしたり状況は一定しないが、素人目にもしっかりと尾根に向かって進んでいるし、踏み跡こそ薄いが道としての「形」がしっかりしていることに励まされて登っていく。

 植林帯の少し深い所にさしかかると急に道が消えた。  というより一部道が崩壊しているのだ。ふと上を見ると明らかに山腹を巻ながら登っていく道があるのでそこまで少し直登。こんな事を幾度か繰り返すうちに行く手を岩場に遮られる。うーん、これは鞍掛尾根縦走の時と同じパターンだな、と思い撤退を決めかけていると、岩場右側に巻くルートあり。それも先人の赤丸ペンキがルートを誘導してくれている。取りあえず初めの尾根はそこにすぐ見えているのでもう少し登ってみることにした。何とか藪を払いのけ尾根に出てみると左手(西)に谷を挟み榛名山が見える。高度計が450mを示しているのでもう少しで本山・飯盛山間の主尾根に到達する筈である。草木は生い茂っているが、枝尾根を外さないように進んでいくと若干傾斜の緩い場所に出てここで一休み。

 これを書いている今、よく地図を見てみると500m等高線あたりがそうだったのだろう。ここからは少し道がはっきりしているが、結構斜度がきつくて喘ぎ喘ぎ登っていくとまた道が不明瞭になってきた。上に明るい稜線がはっきりと見えてきたので最後に藪を抜けて湿った落ち枝に滑らぬよう踏ん張って、それこそ藪の中から"ぽっこり"と主尾根に到達。やれやれである。

     
道標もしっかりあるし・・・    車は通れない    道不明区間

 主尾根に"ぽっこり"出た所に朽ちた道標が落ちている。(下写真左)
 辿ってきた道の感じからすると、恐らくかつては歩かれていたのだろうが、現在は廃道同然である。なによりも下篠井登山口へは飯盛山へ登る鞍部あたりから下っていた筈であるので、ここに道標をうち捨てているのは如何かと思った。登りは何とかなったが、あのコースを下るのはちょっといただけないし、下りは往々にして迷いやすいものだ。
 このあと別な所でも、朽ちた道標が明らかに違う方角を指し示している箇所があったが、しっかり固定されていない道標は信頼してはいけないという証左である。比較的整備されている山域だっただけにちょっと残念な気持ちもした。

 いつものことながら、藪漕ぎの急登は疲れる。本山手前の小ピークを前にしてでザックを降ろしてやれやれ。運動不足解消のリハビリ程度の山行のつもりだったが、結構なアタック(笑)にしばし休息。さあ、本山までもう一息。

 山頂に着いてみれば今日は登山者無し。春に登った時は山頂に入りきれない程ハイカーが居たものだが、夏場の低山は不人気のようである。今日あたりは気温も低いので決して辛くはないのだが、天気もはっきりしないから皆さん足が遠いのかな?

     
尾根に出てみれば    本山    二股山方面

 山頂で食事を済ませる。いつもながら下界の音が良く聞こえる山頂だ。今日は麓の小学校で運動会をやっている模様。

 当初の予定の丁度逆コースになった感じで、本山から榛名山へ向かい途中男山へ寄り道しながら子供の森に下山することになる。

 榛名山からどんどん高度を下げていく途中、岩場の好眺望ポイントでヘビが日光浴をしている。幸い登山道ではなかったので問題は無いが、よく観察すると色は黒いがシマヘビなのだろうか?マムシで無いことはう私にも一目瞭然。

     
男山    榛名山    ヘビに遭遇

 きつい下りが暫く続くと、子供の森の最上部にある展望台に到着だ。ここからは整備された”森”となる。
 下のほうから家族連れの子供のはしゃぐ声が聞こえてきた。

     
よく見かけるこのコブは一体何?    子供の森見晴台から榛名山    子供の森内の吊り橋

概略コースタイム
子供の森駐車場発(10:35)-林道出会(10:48)-倒木(10-58)-主尾根到達(11:45)-本山到着(12:05)-昼食-本山発(12:21)-男山(12:45)-榛名山(13:00)-子供の森駐車場着(13:48)

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