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2013年02月 アーカイブ


2013年02月24日

谷倉山、北面周回


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。
谷倉山の過去の記事
  2010年4月25日 再訪、谷倉山
  2009年1月3日 ハイグレード里山 谷倉山(星野)
関連山行
  2012年2月26日 珠玉の薮尾根と大倉山

 谷倉山は南側の星野から登られることが多く、栃木百名山に選出されていながら今ひとつ地味な印象であまり訪れる人も多くないようだ。今回はそんなマイナーな山の、更にマイナーなルートである北面を周回することにした

 今回のテーマは破線道の追跡である。通常ルーファンで歩く場合は、多少薮っぽくても理論的に一番手堅い尾根を堅持して歩くのが自分のこだわりである。今回のように地形図に描かれた破線を追跡するのは初めての試みだが、周辺の破線道を見ると谷沿いに付いている場合が多いのが判る。歩き終えて思ったのだが、古い時代に山から木材を搬出する時に作られた溝を航空測量が道として判断して地図に描かれているのではないかという想像に至ったのである。

 下野新聞社「栃木百名山」のサブルートでは、星野から小山よし姫の墓地を経由して谷倉山の西に伸びる主稜線に突き上げるコースが紹介されている。自分もかつてこのコースを下りで使ったことがあるが、その時に地形図にあった南からの破線が尾根を超えて北に伸びていること。更にその先に林道が地図に描かれていることに興味を持った。もしかするとこのルートは古の交通の要衝だったのではないかと柄にもなく思索した。北面の破線部分だけでもトレースしてみたいという思いに駆られ、数度の偵察を重ねたのだ。
 更に、下山は谷倉山北側の展望地から北に破線を辿り、周回コースとした。振り返ると、登りの破線道はその痕跡すら見いだすことが出来ず、また下りのそれはひたすら木材搬出用と思われる溝が続くのみ。懐古へのロマンは植林地の歴史と現実の中に深く埋没しているようである。

 

 周回の帰着点付近、思川脇の少し広い所に車を停める。ここからはまず2km弱の車道歩きとなる。一旦思川を渡り、西へ川沿いの車道を進む。農道のような静かな道なので車は全く走っていないが、犬の散歩をする人数人と行き交う。人も犬もザックを背にする自分を皆珍しそうに見ている。一体どこへ、何をしに行くのかと思っていることだろう。

 寒沢橋で再び思川を渡り返し、日陰で寒々しい雰囲気の寒沢林道へと足を踏み入れた。

     
思川脇の駐車地    寒沢橋を渡る    寒沢林道へ

 暫くは林道歩きが続く。支線も沢山あるが、よく整備された本線をひとしきり進むとやがて終点へ到着。奥に続く薮が今日の取り付き点である。

 いきなり薮漕ぎの様相だが、よく目を凝らすと沢沿いに仕事の人の踏跡が付いている。しばらくこれを辿っていくが、やがて谷が詰まってくるといかにも歩きにくそうになってきた。今回は破線道をGPSのルートとして設定しているが、既に破線道が有るべき場所は到底往来可能な道があるとは思えないもう一本隣の谷にあるようだ。ここは無理に破線を追うのは危険、方角さえ外さなければ谷倉山の主稜線に間違えなく到達するのだから手堅く行くべきであろう。脇の斜面を直登し小尾根に乗りあげた。

     
林道終点、この奥から取り付き    暫く沢沿いに登る    尾根に乗り上げた

 455mPへ向かうコースから少し進路角が外れていることに気がつく。このまま455mPに方向修正をするより、トラバース気味に谷倉山主稜線へ向けて方向修正するほうが妥当と判断した。やがてジャングルのように枝が弦巻く緩斜面に出て見通しが効くようになった。弦をくぐって登って行くとその先に主稜線が見えてきた。

     
   ジャングルのような枝    谷倉山主稜線は近い

 たどり着いた主稜線を少し進むと星野方面への下山口を見る。文字の道標は無いが、ビニールテープで巻かれた矢印があるのみ。下野新聞社の本を見て歩くハイカーは此処を見落とすと苦戦するかもしれないポイントだ。星野から登って来た人には「谷倉山へ」の道標があるが、どうせ道標を建てるなら「星野方面へ」の下りの道標も併設すべきであると強く思うのだが。

     
星野方面の下山口      

 左右を杉に挟まれた防火帯のような尾根を進むと、ふっと明るい自然林に飛び出す。陽だまりは残雪も無くフカフカな落ち葉道。僅かな区間であるが穏やかな歩きを楽しむことが出来た。

 電波中継アンテナのある山頂はいつものことながら殺風景だ。三角点と山名板をカメラに収める時間が精一杯の滞在で、踵を返すようにして北側にある展望地を目指す。

     
明るい自然林    殺風景な山頂    展望地へ向かう

 展望地はかつて大規模に伐採が行われた斜面の頂点部分で、粟野の運動公園あたりを車で走行中に見上げるとよく見える箇所である。以前は下草もほとんど無く、絶好の昼食ポイントであったが、笹の丈が高くなってしまい好眺望が失われつつあるのが残念だ。それでも笹薮を嫌わず少し分け入ると相変わらずの良い眺め。谷倉山はこの景色を見るために登るといっても過言ではない。

     
笹が生えてしまった展望地    日光方面は雪雲の中    粟野の市街地、遠く古賀志山も見える

伐採地より

 暫く景色を楽しんだあと、東側にある林道へ続く稜線を少し偵察してみる。以前、大倉山からこの林道まで縦走した時に谷倉山のこの展望地を終着点として計画したが、体力気力切れで割愛したいきさつの尾根だ。笹薮だが、見たところ難しそうな雰囲気は無いので機会があれば歩き繋ぎたいものだ。

 尾根の固まりかけた残雪を脛くらいまで踏み抜きながら展望地へ復帰。まずは山頂の電波中継所から伸びる東電の電柱沿いの快適巡視路下りだ。途中プラスチックの階段もあるが、上に雪が付いているので却って滑りやすくて気を使う。表面がバリバリになった雪は、動物達の足跡も型を取ったようにしっかりと固まりつつある。

     
林道『真上男丸柏木線』へ降下する薮尾根偵察    送電線尾根を辿る   

 巡視路が一気に高度を下げようとする箇所に青ペンキの矢印が切り株に書かれている。少し下ってみたが明らかにコースアウト。どうやらここで巡視道とはお別れのようである。

 朝から強かった風もこの青ペンキの切り株付近では背後の山が全て受け止めてくれている。立派な景色があるわけではないが、轟々と唸り声を上げる強い風から、此処だけ静かなスポットを作ってくれているのだ。そんな優しい日溜まりは暖かな休憩地である。ためらうことも無くザックを置いた。

     
林道『真上男丸柏木線』       ここから巡視路と分かれる

 食事を済ませて再出発。巡視路は下に降りて行ってしまうが電柱とは少しの間お付き合い。それにしてもこんな山中によく電柱を建てたものと感心する。

     
先ほどの展望地を眺めながら昼食    今日はスタバのコーヒー    暫く林内の電柱を追う

 やがて電柱も自分の向かうべきルートから外れ、北東の稜線へと降りていってしまった。やがて、地図には記載の無い林道(真上男丸柏木線)へ到達するのだろう。だが、自分の追うべき破線路が向かう方角ははあくまでも北である。

     
よくこんな場所に建てたものだ    電柱とも別れを告げて尾根キープ    379mP

 植林地内の随所に付けられた溝は恐らく過去に木材搬出用に使われた木道であると思うが、これが蛇行しながら時には分岐をして複雑な地形を形成している。尾根形を拾い歩く有視界歩行だけではいささか心もとないので頻繁にGPSで方角を合わせながら進んでいく。もっともどこに引っ張られていっても思川沿いか東の林道に必ず拾われる地理なので心配は要らないが、計画ルートを辿れないのはルーファンとして目的を達成出来なかった事になる。

 379mPで尾根の乗り換えに成功すると、今度は真新しい倒木が行く手を塞ぐようになり歩き辛いことこのうえない。終盤の破線道は谷底にあるようで、もはやそこは伐採木の海と化しておりとても歩けたものでは無い。トラバース気味に下降したり、谷の薄い所を乗り換えしたりと徐々に高度を下げてようやく作業林道へと降り立つことが出来た。

     
木材搬出用の古い溝    破線を追うと谷へ到達    倒木が多くて降りるのが大変だった
     
林道『松崎滝の沢線』へ到達       駐車地へ戻る

 久々に「骨のある」コースを歩いたような気分に浸るが、車に向かう小路から思川の対岸に見える堂々とした稜線(無名三角点峰455.2mとその一帯)が目に入り、再びこの山域を歩かんという思いを新たにした。


概略コースタイム
駐車地発(08:37)-寒沢林道入口(09:01)-林道終点(09:25)-谷倉山主稜線(10:03)-
山頂(10:39)-展望地(10:47)-昼食ポイント(11:21)-昼食休憩-行動再開(11:56)-
379mP(12:15)-駐車地着(13:09)

2013年02月17日

今年の桝形山

   
-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
※当コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。
また雪の無いシーズンの牧場内は、防疫の為関係者以外の立ち入りが禁じられています。
桝形山の過去の記事
  2012年3月3日 再訪、雪の桝形山
  2011年5月4日 八方ヶ原のアカヤシオ
  2011年2月13 リベンジ、桝形山

 今年で三年目になる雪の桝形山。無雪期にリンゴさん達と一緒にアカヤシオを見に行ったのを加えると4度目である。今年は下山路に若干アレンジを加える。
 桝形山へアプローチするルートは昨今赤ペンキも多くなり秘境の趣が随分薄れた感があるが、今回の下山ルートはそんな思いを払拭するのに充分な素晴らしいフィールドであった。

 下山後の牧場内散策も昨年に引き続き敢行。今年は牧場南部にある1049.6m三角点を踏むことを目標とした。

 

 県道56号線を八方ヶ原へ向かう。県民の森分岐点あたりになっても乾燥路面が続いている。例年、此処より手前あたりから道路もまた見事な白銀の世界となっている筈なのだ。運転に気を遣わないので楽といえば楽だが、いささか拍子抜けである。やはり今年は雪が少ないのかもしれない。
 それでも高度が上がるに従い、日陰には圧雪が見られるようになる。だがそれもわずかで「山の駅たかはら」へ到着。

 先着ハイカーの車は数台だが、スノーモービルを懸架車から下ろしている人達が気になる。大抵のハイカーは大間々方面を目指すが、スノーモービルは自分が向かう北側の車道を進むので、トレース奪取のライバルとなるのだ。
 慌てて支度{ヒップソリを車中に忘れてしまった。残念無念}するもむなし。スノーモービルはエンジンをかけて走り去っていってしまった。ところが、歩き始めて僅かの所で自分のコースから外れてくれていた。ラッキーである。行く手にはシルクを敷き詰めたような雪面が待ち受けていてくれた。

     
スノーモービルに先を越されてしまった!    我がルートはOK    状態良好也
     
      展望台

 例年は電波中継所脇から更に車道を辿り下りきったあたりから山に入ったが、今回は電波中継所と道路を挟んだ反対側から赤ペンキを追って入山した。
 風が強く、桜沢側から吹く風がごうごうと唸り凄みを効かせている。沢側ギリギリのところは風に研ぎ澄まされた雪面が荒々しくも清らか。だが、ほんの僅かだけ内側を通れば、風は頭上を抜けて案外静かである。そこには表情豊かに雪に覆われた穏やかな森があった。

     
今回は電波中継所脇から道路を外れる      
     
      真新しい鹿の糞
     
      有名な目玉親父、冬バージョンは白目付き

 四回目ともなればトレースの無い雪面であろうと道に迷うことはない。だが春から秋にかけては、実り豊かなこの森は熊のパラダイスとなるらしい。従って、単独で入るのはこの時期をおいて他にはないのである。

     
      樹間に前黒山

 山頂滞留時間は風が強い為に10分程度。下山はいよいよ新ルートで山頂から東を目指す。実は夏に一度オフロードバイクで林道最深部や支線をひと通り偵察済なのでおおまかな地形と植生は頭に入っている。地形図ではヤブの記号が書かれおり、また等高線が緩いこんな所は一般的には藪が濃いと見るべきは妥当である。だが偵察で落葉樹のエリアがあることを把握していたのだ。

 どうやら思惑通りの展開となる。右手は植林地境界。こちらを縫って降りれば林道に一発で出るが雪が積もった林床は案外手こずるもの。第一、気分的によろしくない。左手は地形図の表記とおりに小籔。その下には桝形山林道の終端部分が伸びている筈。直進は、今の季節ならではの落葉の樹間歩きだ。振り向くと何も無い林間に己の歩いた跡が道を形どっているのが愉快だ。

     
山頂より東を目指す       己の歩いた跡が道となる

 目論見の箇所へ向けて、最後はいくらか斜度が加わり高度を下げる。突端は落差2mほど。尻もちで滑り降りて無事林道へ接合した。

     
林道は近い    降下開始    林道へ接合

 あとは牧場までひたすら林道歩きとなる。昨年はハンターのスノーモービルが入っていたが、今年は入った形跡がない。山中の動物の気配がさほど濃くないところを見ると、獲物が見込めないのでハンターの出入りも少ないのかな、などと考えながら歩いていると、谷から登ってきて林道をさまよう鹿の足跡が出現。

     
鹿の足跡が入り乱れる    こんな所にも目玉が    天気晴朗

 林道入口のゲートの箇所でスノーモービルがUターンした跡があった。状態を熟知した地元のハンターなら迷わず進入する筈だが、今日のドライバーはこちら方面に不慣れな者と見た。お陰で自分は静かな歩きを楽しむことが出来たので感謝ものである。

     
桝形山林道入口で引き返したスノーモービル       車道から北側風景

 車道に出て牧場を目指す途中、向こうから大量のスノーシューの団体に遭遇。その数およそ30人くらいであろうか。駐車場に戻ってわかったのだが、マイクロバスで訪れた団体さんのようだ。それにしても、牧場の北側エリアにこれだけの人が来るとは驚きだ。以前は、クロスカントリースキーやスノーシューの人を一日に数人見る程度であった。まさか桝形山に行くとは思えないが、ますますこのエリアの希少価値が失われていくような気がしていささか残念である。まぁ、フィールドは万人に等しく楽しまれるべきものだから、仕方ないということは頭では理解出来ているのだが。

 牧場内に入ると雪の少なさに唖然とする。所々枯れた草が露出している。スノーシューのクランポンがガリガリと音を立てるほど雪は薄くかつ凍結している。進むにつれ幾らか積雪量が増えたころ、景色のよい箇所にさしかかった。時々思い出したように息づく強い風が気になるが、そんな風から少しでも守られればと思い、木に寄り添うように腰を降ろして食事をすることにした。

     
   牧場内北東部は雪が少ない   

昼食休憩地より

 気温は測らなかったが、日差しが充分にあってもかなり手が冷たい。食事をする時はグローブを外しているから尚更だ。それでも食後のコーヒーとお菓子はやめられない。この雄大な景色を独り占めしてコーヒーを愉しまずしてこの場を去ることができようか。

     
      塩那の山並み

 再出発後、想定ルートだと意外に起伏がきつそうな箇所を大回りにしたり、牧場内歩きを楽しみながら行く。見通しの効かない藪の中を神経質に進まなければならないのと大違い。見たままのコース選択はおおらかで楽しい。最後の目的地、1049.6m三角点は目視だけでは場所の特定はほとんど不可能だ。GPSで方角と距離は判るものの、ピークではないので遠くから眺めてもどこが三角点だかまったく見当が付かない。
 そばまで寄って、後は手のひらにGPSを乗せたままアプローチすると雪中に測量用のポールを発見する。ポールの下に三角点がかろうじて雪面から頭を出していた。流石にこの周辺は積雪量も多く、場所によっては脛の半分くらい沈み込んだ。

     
1049.6mPを目指す    1049.6mPへ到達   

 1049.6m三角点からは、事前に設定したルートで西側に向かい山の駅に向かう。途中水の流れがある沢をまたがなければいけないところを迂回したりと、積雪期ならではの自由闊達さが楽しい。途中から牧柵の有刺鉄線沿いに赤ペンキが誘導するコースに合流するが、これがまたキツイ登りで大変だ。浮力の大きい散策用スノーシューをもってしても脛全体まで沈み込むフカフカの柔らかい雪。そして雪が無くても難儀しそうな急登。気を抜くとずり落ちてしまうので、スノーシューでキックステップしながら微動前進という珍しい体験をすることになった。

     
西へ降下    深雪急登の登り返し   

 急登箇所も2箇所通過してやっと平坦な所へ出てほっとしていると、その先は吹き溜まりでまた足が潜り込む。なかなかスパルタンなコースだなと思っていると、右手に急に広場が広がった。そう、山の駅たかはらの南側の広場に飛び出したのだ。

     
   傾斜が緩むが    結構スパルタン

 先ほどすれ違った団体さん達のはしゃいだ声が聞こえる。駐車場に並ぶ車。ロッジに出入りする人々。見渡す限りの雪原と山並み、樹の間を縫うようにして進み、最後は泳ぐようにして雪をかいくぐってきた自分は、突然文明社会にワープした原始人のような心持ちに包まれたのであった。

山の駅たかはらへ無事帰着

概略コースタイム
駐車場発(07:43)-電波中継所(08:28)-桝形山(09:22)-林道復帰(9:59)-
桝形山林道入り口(10:41)-牧場進入(10:54)-昼食地(11:13)-昼食休憩-
行動再開(11:55)-1049.6m三角点(12:23)-駐車場着(13:01)

2013年02月09日

古峰ヶ原峠から方塞山


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
※無雪期の方塞山南側の放牧地へは進入はすべきではありません

方塞山の過去の記事
  2007年10月28日 三枚石と方塞山

 今年は暖冬なのか。日頃生活していく中では充分寒いからそんな筈はないと思うのだが、山は何故か雪が少なかったり雲竜渓谷もスッカン沢も氷爆の育ちが今ひとつだという。

 今シーズンはまだ雪道をきっちり歩いていない。唯一の前黒山も途中敗退の不完全燃焼であった。

 このまま春になってしまうのかとやきもきしていたが、まずは行動してみければ解らない。桝形山と赤薙山は今年も是非登りたいものだが、その前に気になっていた古峰ヶ原を今回は歩くことにした。

林道前日光線がまず関門だなと考えていたが、古峰神社の脇からどんどん高度を上げても一向に道路の着雪は無い。スリップするのでは無いかと思うほど塩カル(融雪剤)が大量に撒かれており、古峰ヶ原峠まで路面に雪があったのは数箇所のみであった。

 峠に着き支度を始めると、これから登る尾根の上から丁度日が射し始めたところ。どうりで寒い筈だ。

 今日はスノーシューとワカンとアイゼン。とりあえず全て持ってきたが、雪面はここ数日降雪が無かったのか、よく締まった状態。トレースはスノーシューのものがあるが、既に風化しつつある。幸いなことに今日はまだ誰も歩いていない。

 今日の行程にはきつい登りが無いから、出だしからパウダースノーならスノーシュー、そうでなければツボ足で行けるところまで行ってその先はワカンと決めていた。とりあえずワカンをザックの背中に括りつけてツボ足でスタートである。

 締まった雪面なので、たまに沈む程度で特に問題は無し。樹間から溢れる陽光が恋しい。

     
古峰ヶ原高原    一の鳥居   

 二の鳥居を過ぎると吹きさらしはトレースが完全に消し去られ、沈み込みも多くなってくる。無理をしないでワカンを履くことにした。

     
二の鳥居    吹きさらしはトレースが消える    ワカンを履くことにした

 部分的に夏道も探せない程の新雪の上を行く。美しい風紋もまた踏み越えて登っていく。ルートは尾根通しなので間違えることは全くないが、完璧にノートレースだといくらか気後れがするものだ。

     
ノートレースを行く    風紋が美しいがここも踏んでいく   

 途中、三枚石手前の1377.7mPへの道標あり。少しそちらへ登ってみたが、当然のことながら三角点は深く雪の中に封じ込められていた。

     
1377.7mPはこの上    登ってみると    何もない、というか埋まってる

 岩がサンドイッチ状に重なる三枚石へ到着。これを見るのは二度目だが、雪の上で見るとまた違った新鮮さがある。

 ここより方塞山方面は更なるノートレース区間である。

     
ウサギかな?    三枚石へ到着    更にノートレース

 方塞山の手前ピークとのコル辺りから動物の足跡が非常に多くなってくる。三枚石までの区間は、アニマルトラッッキングを見つけては微笑ましい心持ちであったが、この辺りはもはや動物たちのメインストリートと化している状況。夜間などビバークでもしようものなら、動物達にツェルトを剥がされて食い物を奪っていかれそうな勢いである。
 動物達もきっと思っただろう。見慣れない足跡だな、人間か?なんてね。

     
ルートが溝状になっている    蹄の足型が    これは水滴でなくて全部足跡

 電波中継所のある方塞山へ到着。抜けるような青空が眩しい。丁度頭上を通過する旅客機を仰ぎみる。暫くすると轟音が遅れてあたりにこだまする。他には何も音のない静かな山頂であった。

     
      丁度頭上を通過

 山頂からは南側の眺望がすこぶる良く、手前に横たわる山脈は熊鷹山に至る稜線なのであろうか、そして遠くには富士山が抜きん出た姿を覗かせている。

 まだ時間が少し早かったのでしばし周辺を散歩しようと思い、山頂南の放牧地を下ってみる。一直線に伸びる小動物の足跡を追うようにして、我が足跡もまた続く。

     
遠く富士山が見える    点々と続く足跡を追って    我が足跡

 前日光ハイランドロッジが眼下に見える頃、あまり下り過ぎても登り返しが辛いのでこのへんで食事とすることにした。一旦夏道へ戻り展望の良い所にあるベンチでザックを降ろした。

 食事の用意をしていると遠くから犬の吠え声、やがて姿を現したビーグル犬の首輪には発信機がついている。こちらをチラと一瞥しただけで直ぐ任務に復帰。よく仕込まれた奴だ。後からもう一匹やってきたが、これも雪面を嗅ぎまわって黙々と仕事をしている。やはりこちらを少し見ただけで特に関心は示さない。あたりには、遠く姿の見えない場所で彼らの主人が鳴らす熊鈴の音が鳴り響くだけである。山の中には動物も沢山いることが先ほどの足跡で見てとれるが、今日の行程で出会ったはのは唯一この二頭のみであった。

 最スタートは後は、牧場の中を横切るようにして緩やかに登っていく。八方ヶ原を思い出すような放牧地特有の景色の良さ、開放感がある。

     
枝の影模様    さらさらの風紋    ここを登っていく

 方塞山の西の稜線へ戻り下山を開始する。
 下りは樹間から日光方面の山並みがチラチラと見えるがどうもスッキリとは見えない。アングルを替えればどうかなと少しルートを外したりもしたが、どこから見ても結局枝に邪魔されてスッキリとはいかない。ルートを外すと深く潜ることになるが踏み抜きとまではならないのでこれもまた楽しいものだ。

     
   ルートを外すと20センチ位沈む    快晴なり

 比較的良好な位置から撮影したものが下の写真。しめくくりは、駐車地から僅かに足を伸ばし高原ヒュッテからの三枚石を方面をしばし眺め、雪の山行をお終いとした。

     
     
     
社山から黒檜岳への稜線?    皇海山が形よく聳える    下山後、高原ヒュッテ(無人小屋)から見る三枚石方面

概略コースタイム
駐車地発(07:58)-ワカン装着(08:34)-1377.7mP(09:23)-三枚石(09:31)-
つつじ平(09:42)-方塞山(10:15)-昼食ポイント(10:44)-行動再開(11:16)-
方塞山(11:52)-三枚石(12:28)-駐車地着(13:26)

2013年02月03日

里山七座を巡る

-- ルート軌跡は『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
※各コースには一般登山道でない箇所が含まれています。参考にされる場合は自己責任でお願いします。

 かねてより懸案の低山巡り。栃木の山を歩き初めた頃より憧れていた里山中の里山のはしご歩きである。標高も低い小さな山だから、一つ一つはあっという間に登ってしまう。だが、日頃は山仕事の人しか知らないそんな斜面を狙ったルートで丹念に辿る里山逍遥に憧れていた。この数年来の計画を遂に実現する時が来たのである。

 

一座目 浅間山

 

 宇都宮市下小池町にある雷電山から西へ寅巳山、浅間山へと続く独立山塊。以前、雷電山から車道をまたぎ寅巳山へと縦走したことがある。この時にもう少し足を伸ばして浅間山まで歩きたかったが、時間切れで断念した。
 今回は浅間山だけを登るが、いずれまた日を改めて違ったコース取りでこの三山を歩いてみたいものである。

 予定していた駐車地に車を駐め、某病院脇から上を窺う。ゴミが捨ててあって雰囲気が良くないので、少し奥まった箇所から斜面へ取り付くことにした。
 出だしは雑木の林なので落ち葉で多少足が滑るが、さほど歩きにくくもない。

     
駐車地(場)    某病院裏手より    雑木林を登る

 急登直登に喘ぎながらもやがて尾根へとたどり着く。何処の藪山もそうだが、植林地の尾根の背の部分は木が植えられていないのでほぼ間違いなく歩くやすくなっている。これが自然林だと、意地悪な笹ヤブや屈強な灌木に占領されていて通過を阻んでいるものだ。

     
      尾根は歩き易い

 程なく山頂へ到達。厳しい表情の石仏がカッとこちらを睨みつけるように鎮座しており、静寂の中一瞬息を飲む。

 景色は良くないが、枝越しに見える寅巳山、北東に伸びる尾根筋は木漏れ日に満ちている。いつかそこを歩いて寅巳山を目指そうと心に誓い山頂を後にした。

     
山頂に鎮座する石像       隣の寅巳山
概略コースタイム

駐車地発(08:36)-病院裏手(08:43)-尾根(08:55)-山頂(09:08)-駐車地着(09:21)

ニ座目 高知山

 この山は、今回の一連の低山の中で特筆すべき眺望の良さを持っていると聞く。かつてはハイキングコースもあったらしく、登るのも簡単そうだ。
 だがこの山の最大の難しさは駐車地にあるのだ。何度か偵察を重ねているが、はっきり言ってしまうと車は何処にでも駐められる。だが、どこの空き地や空きスペースも全て個人の所有地であり、造成地のような地域内故に田舎のあぜ道に駐めて容認されるような鷹揚さが住民の方々にあるかどうかがはっきりいってわからない。

 なるべく迷惑をかけないような場所に車を置いた。
 「栃木の山紀行」さんの記録に見る取り付き口は既に下見済みであったが、此処もまた人家の庭先をかすめながらなので、無難な箇所で人目に触れにくそうな藪から裏口入山する。

 想定コースに向かって藪の中を横切りながら進む。藪の外れにある民家の二階からこちらが丸見えだ。ここはなんとか素早く通過したいところだが、どんなに密かに移動しようとしても藪を踏む乾いた足音は容赦なく辺りに響く。おまけに藪こぎスタイルの真っ赤なヤッケなので、そこに人が居れば容易に発見されてしまことは必至(汗)

 ようやく事なきを得、目論見のハイキングコース跡へ接合することが出来た。

     
この先へ進む    駐車地脇からまず藪へ    登山道らしき道形

 打ち捨てられた一枚の道標が、かつてハイキングコースだったことを物語っているその道は、迷うこともなくひたすら一直線に登っていく。上の方になると僅かに道形も心許なくなってくるが、さして心配も無し。やがて明るい稜線が見えてきた。

 稜線に這い上がり少し歩くと、それまでの鬱蒼とした杉の森から想像も出来ないような明るい山頂が待っていた。真新しいベンチが二脚あつらえてある。南側を180度以上の広さでゴルフ場に囲われているので、別な登山道はありえない。山頂だけ一体なぜこんな整備をしているのだろうか考えた時、ハタと膝を打つ。
 山頂から北東に伸びる稜線を行けば今市青少年スポーツセンター方面へ降りられるのは地形図を眺めて知っていた。もしかしたらここちら側をオフィシャルなコースとして整備しつつあるのではないか。想像の域であるのでこの点はネットの情報、ひいては実際にこちら側のコースを歩いてみて検証すべしと思った。

     
ハイキングコースの名残    植林地を登る    山頂はすっきりした眺望
     
   笹目倉から鶏鳴山    大沢の城山?
  
   団地内にはこんなものも
概略コースタイム

駐車地発(09:36)-山頂(09:52)-駐車地着(10:11)

三座目 前山

 

 大室ダムの裏手にこじんまりと端正な形を見せる前山。横を走る道路を幾度と無く通過する度に、いつかは訪れようと思いながらもなかなかその機会はやってこなかった。小さな山だから何かのついでにと思ってのびのびになっていたのだ。

 ダム前の立派な駐車場に車を駐めて、ポケットにGPSを忍び込ませてデジカメだけを持って歩き出す。ダム湖を周回出来る遊歩道を散歩するだけでもかなり気持ちがよさそうだが、今日の目的は前山だ。

 遊歩道より階段を登り高度を上げる。最高標高点からは案外景色が良い。上を見上げると山頂は更に少し先のようだ。

 道は無くなるが、僅かな距離を直登すると木に覆われた山頂からはの景色は無い。

 遊歩道に戻ると、家族連れや老夫婦、犬の散歩など沢山の人達で賑わっている。日頃運動不足であろう父親は子供の手を引きながら額の汗を拭い、子供たちは開放的な景色に元気一杯である。そんな微笑ましい光景が繰り広げられるダムのほとりであった。

     
遊歩道脇より階段を登る    遊歩道最高地点より    山頂はこの上
  
   日光連山が素晴らしい
概略コースタイム

駐車場発(10:20)-山頂(10:31)-駐車場着(10:40)

四座目 大山

 

 大山は、厄除け方位除け祈祷で、地元の知る人には割りと有名なたかお(漢字変換不能)神社を麓に擁する里山である。

 たかお神社についてはHP(http://www.takaokami.skr.jp/index.html)をご覧頂きたいが、少し奥まった場所にありあまり目立たない。偵察で何度か訪れてはいるものの、いつも参拝者の姿が絶えないくらい親しまれている神社である。

 表通りからだと小さな鳥居だけで本殿が見えない。さして大きな神社ではないと思われがちだが、車で回りこむようにして境内敷地内の砂利道を進み奥の駐車場まで行くとその脇に立派な本殿があるのだ。

     
道路脇の鳥居       駐車場

 丸いしめ縄が掛かった鳥居をくぐり、本殿脇から奥社への石段を登っていく。本殿では時折祈祷が行われており、太鼓の重厚な音が山内に響き渡る。

     
      奥社へと進む

 奥社脇から「ツリーハウス」を案内するカラフルな道標に従って登っていくと、何度か森林作業林道を串刺しにしながら高度を稼ぐ。林道は山全体を螺旋状に切り開いた感じで、かつて盛んに伐採が行われたことが伺えるが、今はこの作業道も休眠中なのだろうか、若干荒れ気味で軽く藪化している。

     
奥社       奥社脇から登ると・・・

 やがて、大山の南西小ピークの突端位置にあるツリーハウスへ到達する。日も差し込まず、眺望に乏しい林内にこのようなツリーハウスを作った意図が若干不明ではあるが、果たして訪れる人はいるのだろうか。

 ツリーハウスを後すると、ここからいよいよ藪道となる。

     
ツリーハウス       ここから藪となる

 地図通りに小ピークを登り下りすると、山名板だけが静かに迎えてくれた山頂である。

     
尾根を行く    大山、山頂   

 来た道を取って返し、ツリーハウスまで戻る。目指す西側の414mPへはそのまま真っすぐ進めば良いのだが、少し藪が深くて躊躇する。手薄な所を探し、下に見える鞍部目指して強行突破だ。

 鞍部には作業道が通っているがこれをそのまま追うとコースアウトする。右手の小尾根がGPSの示す進路角に一致するのでここを登ってみる。

 どうやらルートに乗ったようで、段々尾根形が鮮明となる。GPSの現在地も問題ない。

     
右手の尾根を辿る    少しう藪だが快適    ピークは近い

 何も無いだろうと思っていた414mPには石祠が一つだけひっそりと置かれていた。

 下山は、藪を突っ切って最短距離で神社へ復帰しようとも思ったが、相変わらず山内に響く祈祷の太鼓の音も大きく、ご神域であまり傍若無人に歩きまわるのも憚れるので、大人しく廃作業道を辿りハイキングコースへと戻った。

 下山後は、神社敷地内にある蕎麦屋、「ことじ(これも変換不能)」http://kotojidayori.jugem.jp/にて蕎麦をいただく。

 席数は少ないが、まだ新しい造りの店の内部は大山を擁するこの杜の雰囲気によく合っている。蕎麦の味は香り豊かな麺に、少し甘めのダシの効いたつゆがなかなか美味である。デザートの蕎麦ゼリーは黒蜜の芳醇な甘みが疲れた体に染み渡った。

     
414mPの石祠       神社境内の蕎麦屋で食事
  
   蕎麦ゼリー

概略コースタイム

駐車場発(10:46)-ツリーハウス(11:01)-山頂(11:18)-
ツリーハウス(11:28)-鞍部(11:38)-414mP(11:47)-駐車場着(12:05)

五座目 名野山

 名野山は南側を分譲団地(杉の木台)に面しており、登るならここからが最短コースとなる。「栃木の山紀行」さんはこの団地の西端にある作業林道からアプローチしたようで、自分もその箇所を何回か偵察している。だが現在は工事中の看板で入り口にロープが張られている。
 他の場所でも直登してしまえばどこでも良いのだが、基本的に住宅街なので車を置く場所も取り付き箇所も住民の目に触れる可能性は極めて高い。この時世だから、不審者どころか変質者扱いもされかねない。
 従って早々に団地からのアプローチは断念し、北東の大谷川側からのルートを考えた。

 駐車ポイントを決める最後の偵察の時のことである。丁度良い塩梅の神社を見つけたものの、肝心の取り付きは直登しか見当たらない、と思いきやそばにやはり作業道が伸びており、ここしかないと決めた。
 少し奥のほうを覗こうと思って藪を分けると・・・向かいの農家の犬のチェックが鋭く入り、咆哮の嵐。普段着でデジカメを片手にぶら下げているだけなのにこの騒ぎ。いざ本番のその時、ザックを背負ってて藪漕ぎの真っ赤なヤッケなど着てざくざくやったら犬も半狂乱になることは想像に難くない。しまいには、犬を飼っている家の人が訝しげにこちらを伺う始末。早々にその場を退散した。
 他の場所はと車を進めると、ほんの僅かな距離で石塔と石段の続く道を発見。傍らには丁度車一台分の駐車スペースもある。男體山と記されたその石塔から階段を少し登った。道がどこまで続いているかは不明だが、名野山へのアプローチとしては渡りに舟のような石段だ。

 ・・・と、偵察の抜群な成果に気を良くして今日は本番に望む。デザートの蕎麦ゼリーの甘美な黒蜜で若干モチベーションが弛緩した気もするが、いざ気を引き締め直して出発。

     
駐車地はここ    男體山とあり    石段を登ると

 石段は直ぐに尽きて、突き当りに小さな社があった。裏手に続く植林尾根は枝打ちも丁寧で思った以上に陽の光が差し込む。一つ目のピークの375mPには真新しい色のSHCカワスミさんの山名板、「天王山」が掛かっていた。途中にピンクリボンがあったが、最近ここを歩いたカワスミさんが付けたものかもしれない。

 375mPから降下して名野山の主稜線に乗り換える箇所は、往路はすんなり辿ることが出来たが、復路は道なりに歩いて南に伸びる尾根に引きこまれそうになる。藪の生え方で下りだと来た道が非常に見えづらく、GPSを片手にリバースした位だ。

     
小さな社があった    裏手の尾根を行く    進路を定めながら

 山頂が近くなると岩が地表に顔を覗かせる。程なく名野山の山頂に到着した。木に囲われた山頂の眺望は殆ど無く、南側に団地方面が微かに見えるのみ。三角点から西へ伸びる尾根を辿ればあっというまに団地に降りることが出来そうである。

     
上部は岩が出てくる    名野山、山頂    南西へと続く尾根

 下山は、先程も書いたように一箇所コースミスをしながらも無事帰着。取り付きの石段脇には貯水塔があるが、その屋根の向こうに大山が顔を覗かせていた。

  
社へ戻ってきた    脇の貯水塔肩越しから大山
概略コースタイム

駐車地発(13:13)-375mP{天王山}(13:23)-山頂(13:45)-駐車地着(14:16)

六座目 富士山

 

 富士山といえば船生の富士山を思い出すが、栃木にもあまたある富士山が、船生から至近のこの場所にあるのも面白い。ここも、駐車地に随分頭を痛めたが、ご覧のようにR461脇に一台分のスペースを見つけた。山頂の富士浅間神社に参詣する人向けかどうかは定かではないが、パジェロミニには少しゆったりしたそのスペースをお借りした。

 ここは他の山と違って山頂までが参拝路のようで、道はしっかりしている。特に道標などはないが、地元の方々の信仰の山なので登る人は限られているのだろう。

     
駐車地    浅間神社の鳥居    石の階段の痕跡

 登路に小さな社、講堂のような大きな社が続く。

     
初めの小さな社    溝場の道    大きな社

 3つ目の社を過ぎると、山頂直下はやはり岩が出てくる。一息入れて枝越しに下を眺めると、国道461を通過する車の姿も大分小さくなってきた。

     
また小さな社    やはり山頂直下は岩が出る    眼下の国道461

 程なく山頂の富士浅間神社へと到着。何故か社殿の中にR.Kの山名板が収められていた。

     
山頂の富士浅間神社    何故か社の中に山名板が   

 社殿の裏手に回ると、最後に登る狩場山と木曽仲居が眼前に黒ぐろと横たわっている。下山はあっという間であったが、山全体が境内のようなこの場所を適当に取り付いて直登しなくてよかったと思った。日頃信心の無い自分も幾らか心が洗われたかどうかは定かでないが(^^; そんな信仰の一座であった。

狩場山
概略コースタイム

駐車地発(14:25)-山頂(14:41)-駐車地着(14:53)

七座目 狩場山

 最後の山は刈場山である。ここも最短コースを考えたが、地形図を眺めていてどうしても気になっていた「木曽仲居」という名前に惹かれ、南からのアプローチとした。

 予定段階では、南西の突端から尾根に取り付く自分のルーファンの定石で行こうと考えていたが、改めてよくよく現地を眺めると、間伐で思いのほか見通しが良く、取り付き地点を変更した。

 先ほど登ってきた富士山がよく見える田んぼ脇の空き地に車を置かせて貰い、正面にある素朴な造りの鳥居をくぐる。小さいが端正な揃いの社には、神領の山に立ち入る事を告げる心持ちで軽く頭を下げた。

     
駐車地    帽子を取り一礼してから進む   

 過去のものとなった伐採作業道には構わず直登をしてみる。細かい荊棘はズボンの上から足を突き刺し、いささかこたえるが、それでも構わず上を目指してようやくピークへ届く。420mのこのピーク、地形図に表記のある木曽仲居がこのピークを指すものかどうかは不明だが、山名板も何も無いひっそりとした頂きであった。

     
伐採作業道跡に構わず直登してみる    細かい藪に手こずる    高みを目指す

 刈場山へ向けてS字のように進む尾根筋は枝打ちされた木が整然と立ち並び、神々しくもあるほど良く手入れされている。渡り廊下のような尾根を進むと程なく山頂へ届いた。

 山頂はまったく眺望が無いが、北斜面の藪を少し下ると思った以上の景色が広がる。山頂で直ちに踵を返した登山者も多かろう。だが、ここを見ると見ないとでは大違いだ。景色を保証されている有名な山ならどうということのないこの眺望も、踏み跡も道形も無いルートを辿って登った山で見るからこそ値千金なのだと深く思うのだ。

 空は未だ明るくとも、樹間から射す陽だけの植林地は暗くなるのも早い。明るさが失われかけた尾根に張る根は妙におどろおどろしく見えた。
 駐車地を目指して斜面を直滑降すると、パジェロミニの後ろに広がる田んぼの土手に野焼きの煙がむせぶ。里の夕方の風景である。

     
枝打ちされた美林を進む    山頂    山頂北側より
     
   植林地をひたすら戻る    ゴールは近い
概略コースタイム

駐車地発(15:01)-420mP(15:17)-山頂(15:29)-駐車地着(16:03)

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