大真名子山、小真名子山
八月に男体山をクリアしたのに気を良くし、今回は若干苦労が予想されるコースにチャレンジすることにした。
夕方所用があるので早発ち早帰りを目指すが、さてさてこの過酷なルートを標準コースタイム(6時間)で歩き通せることが出来るのか。一抹の不安を抱えながら朝の7時前の志津乗越に着いた。こんな早い時間なのに既に登山口周辺は車を置く場所が一杯である。相変わらず県外ナンバーが多いところを見ると、夜の内に到着しているのだろう。地元組は多少頑張って早起きしても太刀打ち出来そうにないかもしれない。
朝日に輝く男体山を拝んで、いざ急登の果て、大真名子山へ!
志津乗越より朝の男体山 | いざ大真名子山へ | 八海山神像 |
仄暗い樹林の中、急登に喘ぎながら登っていく。少し高度が上がった頃に樹間からくっきりと金精山の荒々しい姿が見える。崩落面が朝日を受けて神々しくも見える。
山頂から南に伸びる尾根の肩に辿り着くと、一旦は勾配が緩くなりほっとする。南側は雲海が拡がっていた。まるで飛行機から見下ろす風景のようだ。
樹間から金精山 | 急登急登 | 南は雲海 |
簡単な鎖場を一箇所やりすごして登っていくと、「日光三険」のうちの一つ、「千鳥返し」現る。
ガイドブックにも書いてあった通り、さほど難しくもない。鎖が垂れているが、むしろ左手の階段を使ったほうが簡単だ。鎖も階段も無ければ確かに難所かもしれないが、今となっては名残のようなものだ。
この千鳥返しを過ぎると、後ろ側に絶景が拡がるようになりもう一踏ん張りすると大真名子山の山頂へ到着である。
日光三険の千鳥返し | 南東の方角 | 大真名子山頂上 |
信仰の山ということで、山頂には小さな社と蔵王権現像が奉られている。男体山程はゴミゴミした感じが無くスッキリしているので好感が持てる。
眺望は評判通りの大眺望。男体山から太郎山、小真名子山、帝釈山と女峰山といった迫力の包囲網。遠く西や北を眺めれば、県境の白根山や尾瀬の七ヶ岳も望むことが出来る。今回も南東(関東平野)は雲海に深く閉ざされていたのは少し残念であった。
GPSの軌跡を見て疑問に思ったのは、山頂の標識があった地点は地形図の三角点より南東に約69m程離れていたことだ。一番奥の蔵王権現像から更に北西側は岩の崖になっていたが、実は本当の三角点はその下だったのかも知れない。いずれにせよ近づくことは出来ないような感じではあった。
太郎山 | 小真名子山、帝釈山 | 帝釈山から女峰山 |
山頂から緩い下りを行くと、目の前の帝釈山と女峰山が段々間近になってくる。女峰山は見れば見るほど惚れ惚れとした山姿である。自分のような低山指向のハイカーでも"登高意欲"をかき立てられる、そんな山だ。
緩い下降の後は再び樹林に突入する。等高線以上にきつく感じる急降下だ。救いは樹林の中なので足がかりが豊富であることだろう。
大小の真名子、その双耳峰のコルがタカの巣である。"深山の趣のある・・・"とガイドブックに評されているが、成る程ここまでの深い山で道に迷ったりしたらただじゃ済まないぞという感じがひしひしと伝わってきた。先ほどから聞き慣れない鳥の声だけが辺りを包んでいるが、鷹でないのは確かであろうに。だが、何となくタカノ巣という地名を実感出来るような気持ちになる。
ここからは、一転して突き上げるような急登の再開。本日の第二ラウンドである。
タカノ巣 | 再び急登急登 | 標高グラフが・・・ |
急登ではあるが、高度が上がると微妙に林相が変わってきて、色づき始めの葉に思わず足を止めるのも良い休憩。
先ほどの大真名子山の登りに比べれば短い登りだが、第二ラウンド故結構堪える。登り詰めた山頂では、帝釈山と女峰山が仲良く並んでお出迎えだ。西側が樹に遮られているが、巨大反射板が設置された方へ少し進むと再び大パノラマの出現である。
時間は少し早い。だが、この最高の景色をおかずにして最高の昼食としよう。
色づきはじめ | 小真名子山頂上 | バックは帝釈山と女峰山 |
振り返って大真名子山 | 西側眺望 |
小真名子山からの下山は、すぐにガレ場の下りとなる。一応蛇行するように踏み跡が着いているので、これを正確にトレースして行くのだが、斜度も結構あり大変滑りやすい。このコースで一番の難所だ。樹の一本も無いガレ場を慎重に慎重に下っていく。下の方から登ってくる人もいるので落石を起こさないように足を置く場所を良く考えながら降りていった。胃が痛むような緊張感。
ガレが終わる所に樹が見える。あそこまで行ったら一休みしよう。
巨大な反射板 | 富士見峠へ向かってガレ場を下る |
降りきって上を仰ぐとい、登山者の姿が岩と同化するくらい小さく見える。いやはやなんとも強烈な下りであった。
樹林に再び包まれて進むと、あっという間に富士見峠に飛び出した。どうやら小真名子山からの下りは殆どガレ場の急斜面で終わってしまったようだ。
下りきった所から振り返ると・・・ | 富士見峠 |
ここで地図と軌跡のもう一つの相違点発見。
地形図の登山道表記は小真名子山から微かな尾根形を辿り、富士見峠から帝釈山へは顕著な尾根を伝って登っていくように描かれている。
だがGPSの軌跡は登山道の南側を通過している。これはGPSの測位誤差では無いと思う。実際、薙の印があった箇所には顕著なガレがあったし、その薙の向こう(北)には少し薮っぽい感じの尾根形が見られる。かつては尾根に付いていた道が描かれていたのが、そのまま修正されていないのだろうと推測する。
そして決定的なのは富士見峠の位置である。野州原林道と地形図に描かれていた登山道の交点を富士見峠とするならば、現実的に自分が降り立った道標のある地点と随分違っている。現在の測量は航空測量なので、登山道については古いデータをそのまま踏襲していると言うことを聞いたことがあるが、どうやらそういうことなのであろうか。
いずれにせよ、あれだけ空がはっきり見渡せている場所で測位誤差が50m以上出ることはまず無い筈なので、次回、女峰山帝釈山ルートで再検証をしようと思う。
富士見峠からは第二の難所(?)、本日の第三ステージ。2時間の林道歩きである。
出だしはゴロゴロした石が大きくて靴裏に優しくないことおびただし。こりゃぁ足裏健康マッサージだ。何事も過ぎたるは及ばざるが如し。いい加減嫌になってきても延々と林道は続く。
足裏マッサージだ! | 途中こんな荒れ沢も |
標高が下がってくると舗装が出たり消えたりで段々と落ち着いた道になってくる。全行程の約半分で遂に呆れて道端に腰を下ろして一休みである。ガスが出始めてきてあたりが暗くなってくると少し嫌になってきた。
ショッピングモールに、店内循環の簡単な乗り物が走っているではないか。あんな感じのノリで軽トラでもいいから林道をピストン輸送で途中で回収してくれたら良いのに等々、あらぬ妄想を抱く始末。(誰が運行するんだ、そんなもの)
水筒の水も残り少なくなってきた。さぁ、くだらん事を考えずに残りの道を楽しみながら先を急ごう。
馬立分岐で、来たるべき女峰山登頂を胸に秘めながら残りの林道を進む。おやおや、ラストは緩やかな登りなんだね。最後の最後で薄く滲む汗を拭いながらハードな一日はフィナーレへ、愛車の待つ志津乗越へと向かうのであった。
綺麗に色付いている | 馬立分岐、次回はここから・・・ | 林道ゲートへ到着、しかしゴールはまだ先 |
概略コースタイム
志津乗越発(7:04)-急登終わり(8:18)-千鳥返し(8:36)-大真名子山(8:50)-タカノ巣(9:42)-
小真名子山(10:30)-昼食休憩-再出発(10:53)-富士見峠(11:31)-馬立分岐(12:52)-
野州原林道分岐(13:23)-林道ゲート(13:33)-志津乗越着(13:53)
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