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2009年09月 アーカイブ


2009年09月21日

大真名子山、小真名子山



-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 八月に男体山をクリアしたのに気を良くし、今回は若干苦労が予想されるコースにチャレンジすることにした。

 夕方所用があるので早発ち早帰りを目指すが、さてさてこの過酷なルートを標準コースタイム(6時間)で歩き通せることが出来るのか。一抹の不安を抱えながら朝の7時前の志津乗越に着いた。こんな早い時間なのに既に登山口周辺は車を置く場所が一杯である。相変わらず県外ナンバーが多いところを見ると、夜の内に到着しているのだろう。地元組は多少頑張って早起きしても太刀打ち出来そうにないかもしれない。

 朝日に輝く男体山を拝んで、いざ急登の果て、大真名子山へ!

     
志津乗越より朝の男体山    いざ大真名子山へ    八海山神像

 仄暗い樹林の中、急登に喘ぎながら登っていく。少し高度が上がった頃に樹間からくっきりと金精山の荒々しい姿が見える。崩落面が朝日を受けて神々しくも見える。

 山頂から南に伸びる尾根の肩に辿り着くと、一旦は勾配が緩くなりほっとする。南側は雲海が拡がっていた。まるで飛行機から見下ろす風景のようだ。

     
樹間から金精山    急登急登    南は雲海

 簡単な鎖場を一箇所やりすごして登っていくと、「日光三険」のうちの一つ、「千鳥返し」現る。
 ガイドブックにも書いてあった通り、さほど難しくもない。鎖が垂れているが、むしろ左手の階段を使ったほうが簡単だ。鎖も階段も無ければ確かに難所かもしれないが、今となっては名残のようなものだ。

 この千鳥返しを過ぎると、後ろ側に絶景が拡がるようになりもう一踏ん張りすると大真名子山の山頂へ到着である。

     
日光三険の千鳥返し    南東の方角    大真名子山頂上

 信仰の山ということで、山頂には小さな社と蔵王権現像が奉られている。男体山程はゴミゴミした感じが無くスッキリしているので好感が持てる。

 眺望は評判通りの大眺望。男体山から太郎山、小真名子山、帝釈山と女峰山といった迫力の包囲網。遠く西や北を眺めれば、県境の白根山や尾瀬の七ヶ岳も望むことが出来る。今回も南東(関東平野)は雲海に深く閉ざされていたのは少し残念であった。

 GPSの軌跡を見て疑問に思ったのは、山頂の標識があった地点は地形図の三角点より南東に約69m程離れていたことだ。一番奥の蔵王権現像から更に北西側は岩の崖になっていたが、実は本当の三角点はその下だったのかも知れない。いずれにせよ近づくことは出来ないような感じではあった。

     
太郎山    小真名子山、帝釈山    帝釈山から女峰山

 山頂から緩い下りを行くと、目の前の帝釈山と女峰山が段々間近になってくる。女峰山は見れば見るほど惚れ惚れとした山姿である。自分のような低山指向のハイカーでも"登高意欲"をかき立てられる、そんな山だ。

 緩い下降の後は再び樹林に突入する。等高線以上にきつく感じる急降下だ。救いは樹林の中なので足がかりが豊富であることだろう。

 大小の真名子、その双耳峰のコルがタカの巣である。"深山の趣のある・・・"とガイドブックに評されているが、成る程ここまでの深い山で道に迷ったりしたらただじゃ済まないぞという感じがひしひしと伝わってきた。先ほどから聞き慣れない鳥の声だけが辺りを包んでいるが、鷹でないのは確かであろうに。だが、何となくタカノ巣という地名を実感出来るような気持ちになる。

 ここからは、一転して突き上げるような急登の再開。本日の第二ラウンドである。

     
タカノ巣    再び急登急登    標高グラフが・・・

 急登ではあるが、高度が上がると微妙に林相が変わってきて、色づき始めの葉に思わず足を止めるのも良い休憩。

先ほどの大真名子山の登りに比べれば短い登りだが、第二ラウンド故結構堪える。登り詰めた山頂では、帝釈山と女峰山が仲良く並んでお出迎えだ。西側が樹に遮られているが、巨大反射板が設置された方へ少し進むと再び大パノラマの出現である。

 時間は少し早い。だが、この最高の景色をおかずにして最高の昼食としよう。

     
色づきはじめ    小真名子山頂上    バックは帝釈山と女峰山
     
振り返って大真名子山    西側眺望   

 小真名子山からの下山は、すぐにガレ場の下りとなる。一応蛇行するように踏み跡が着いているので、これを正確にトレースして行くのだが、斜度も結構あり大変滑りやすい。このコースで一番の難所だ。樹の一本も無いガレ場を慎重に慎重に下っていく。下の方から登ってくる人もいるので落石を起こさないように足を置く場所を良く考えながら降りていった。胃が痛むような緊張感。

 ガレが終わる所に樹が見える。あそこまで行ったら一休みしよう。

     
巨大な反射板       富士見峠へ向かってガレ場を下る

 降りきって上を仰ぐとい、登山者の姿が岩と同化するくらい小さく見える。いやはやなんとも強烈な下りであった。

 樹林に再び包まれて進むと、あっという間に富士見峠に飛び出した。どうやら小真名子山からの下りは殆どガレ場の急斜面で終わってしまったようだ。

     
   下りきった所から振り返ると・・・    富士見峠

 ここで地図と軌跡のもう一つの相違点発見。

 地形図の登山道表記は小真名子山から微かな尾根形を辿り、富士見峠から帝釈山へは顕著な尾根を伝って登っていくように描かれている。

 だがGPSの軌跡は登山道の南側を通過している。これはGPSの測位誤差では無いと思う。実際、薙の印があった箇所には顕著なガレがあったし、その薙の向こう(北)には少し薮っぽい感じの尾根形が見られる。かつては尾根に付いていた道が描かれていたのが、そのまま修正されていないのだろうと推測する。

 そして決定的なのは富士見峠の位置である。野州原林道と地形図に描かれていた登山道の交点を富士見峠とするならば、現実的に自分が降り立った道標のある地点と随分違っている。現在の測量は航空測量なので、登山道については古いデータをそのまま踏襲していると言うことを聞いたことがあるが、どうやらそういうことなのであろうか。
 いずれにせよ、あれだけ空がはっきり見渡せている場所で測位誤差が50m以上出ることはまず無い筈なので、次回、女峰山帝釈山ルートで再検証をしようと思う。

 富士見峠からは第二の難所(?)、本日の第三ステージ。2時間の林道歩きである。

 出だしはゴロゴロした石が大きくて靴裏に優しくないことおびただし。こりゃぁ足裏健康マッサージだ。何事も過ぎたるは及ばざるが如し。いい加減嫌になってきても延々と林道は続く。

     
   足裏マッサージだ!    途中こんな荒れ沢も

 標高が下がってくると舗装が出たり消えたりで段々と落ち着いた道になってくる。全行程の約半分で遂に呆れて道端に腰を下ろして一休みである。ガスが出始めてきてあたりが暗くなってくると少し嫌になってきた。

 ショッピングモールに、店内循環の簡単な乗り物が走っているではないか。あんな感じのノリで軽トラでもいいから林道をピストン輸送で途中で回収してくれたら良いのに等々、あらぬ妄想を抱く始末。(誰が運行するんだ、そんなもの)

 水筒の水も残り少なくなってきた。さぁ、くだらん事を考えずに残りの道を楽しみながら先を急ごう。

 馬立分岐で、来たるべき女峰山登頂を胸に秘めながら残りの林道を進む。おやおや、ラストは緩やかな登りなんだね。最後の最後で薄く滲む汗を拭いながらハードな一日はフィナーレへ、愛車の待つ志津乗越へと向かうのであった。

     
綺麗に色付いている    馬立分岐、次回はここから・・・    林道ゲートへ到着、しかしゴールはまだ先

概略コースタイム
志津乗越発(7:04)-急登終わり(8:18)-千鳥返し(8:36)-大真名子山(8:50)-タカノ巣(9:42)-
小真名子山(10:30)-昼食休憩-再出発(10:53)-富士見峠(11:31)-馬立分岐(12:52)-
野州原林道分岐(13:23)-林道ゲート(13:33)-志津乗越着(13:53)

2009年09月19日

福島県境の林道を行く

 SW(シルバーウィーク)という言葉も目新しいが、土曜日から始まる5連休にすんなりと休めることに感謝して過ごす事にしよう。

 さてその第一日目は、パジェロミニで一度は走って見たかった福島県境の林道。前夜に家内を誘い、おしどりドライブと相成った。

 霧降道路を走り大笹牧場を乗り越して栗山村へ入る。普通ならこれでもドライブになるのだが、今日は川俣湖より北部山岳地帯を越えて福島へと至る予定である。

 川俣大橋脇からいきなりの砂利道へ入る。ここぞ四駆車の出番と思われるようなオフロードを注意を払いながら進む。駆動セレクタを4WDに入れたのも久しぶりだ。時折後方からオフロードバイクが凄い勢いで追い抜いていく。

 予定では檜枝岐に抜ける帝釈山林道(川俣檜枝岐線)で県境越えをするつもりであったが、馬坂林道と帝釈山林道との接合点で、"崩落のため通り抜け不可"の案内を見る。丁度良い塩梅に、帰りに通る予定であった田代山林道(栗山舘岩線)にここからすぐ接続出来る舗装路があり、林道を一本乗り換える事にした。

 田代山林道は道幅も広く、比較的フラットなので大変走りやすい。車なら二駆車でも頑張れば走ることが出来るだろう。標高が上がってくるとガスが濃くなってきた。眺望はあまり良くないが、たまに拡がる風景に山の奥深さを知る。

     
川俣大橋脇からう馬坂林道へ    川俣護岸見晴らしの良い地点    田代山林道より

 田代山東尾根の県境付近で車外に出てみると、想像以上の冷気、吐く息が白い位だ。周囲の木々も既に色が付き始めて、改めてその標高を知った。

 対向車は峠近辺で4輪1台、それからオフロードのツーリングが一組。静かな林道ドライブであったが、暫く進むと車が10台くらい駐まっている箇所に着いた。田代山、帝釈山への猿倉登山口である。
 この登山口へのアプローチは、栃木側が閉鎖されていることが多く、一般的に福島側からが推奨されている。確かに福島側は林道が整備されているが宇都宮からだとなにせアクセス時間が掛かりすぎる。今回はラッキーな事に栃木側からアプローチ出来たが、此処を登る時は事前に林道状況をよく確認したいところだ。

 この後も、時折見える雄大な景色に目を奪われながらも標高を下げて無事人里へ復帰。

     
福島県境を越えた地点    田代山登山口   
     
      人里へ

 水引の集落には、雪国らしい屋根の形をした曲家が目立つ。僅かに先を進めば湯ノ花温泉の集落へ。やっと街らしいところへ出た。時間も丁度良い頃なので、初めに目に飛び込んできた蕎麦屋で食事とした。

 50過ぎの店主と奥さんの二人だけで切り盛りする店は素朴な佇まい。客は我々と同じようなドライブの立ち寄り者と林道ツーリングのライダーで、十人も入ればもう一杯だろう。店の奥の方にスキー板が何組か立てかけてあったが、夏だって平日は客足も遠いだろうに、ましてや真冬の静かな季節をどう過ごしているのだろうかと他人事ながらいろいろ気を揉んでしまう。

 風味豊かな蕎麦を味わい湯ノ花温泉郷を後にする。後はR352から五十里湖を抜けてひたすら帰路を走るだけだ。今回も家内に檜枝岐の裁ち蕎麦を食べさせることが出来なかったが、次回こそ帝釈山林道を走覇してパジェロミニで檜枝岐の地を踏みたいものである。

     
初めにあった蕎麦屋    風味豊かな蕎麦    ダート走行の証が・・・

林道区間走行軌跡
IE8で何も表示されない場合は「互換モード」で表示されたし

2009年09月13日

林道三昧、ジェベル初全日ツーリング

 ジェベル購入後の初の全日ツーリングに出掛ける。
 ホントは某山に登るつもりで土曜の夜にしっかり支度を済ませていたのに、朝になったらどうも鼻水が少々。チト風邪っぽいので、予定していたハードなコースは体調万全な時に行くことにした。という訳で、遊びとなると実に臨機応変に行動出来る自分に喝采。

 さてさて、頭の中で以前から練っていたコースを実行へ移す。残念なのは綿密な予定を立てて居なかったこと。林道だって導標くらいはあるだろうから大体の方向感覚だけ頭にインプットしていけば何とかなるだろうと思ったが、結構コレが反省点になったことを後ほど知る事になる。大ミスでロスタイムという程の事は無かったが、多少のミスコースや一箇所方向感覚麻痺で逆走もあった。(GPS軌跡は編集でカット)林道走りにも地形図とGPSのポイント設定が必要だという事を大いに学ぶ。

 まずは一本目。古峰ヶ原峠を越えて粕尾峠側に南下するとすぐ都沢林道の入り口がある。存在は随分以前から知っていたし、パジェロミニでも一度少しだけ侵入したことがあったが、何せ先が見えないので撤退していた林道である。

 笹に覆われた導標が良い雰囲気を出している。関東ふれあいの道の一部なのでどちらかというと歩道なのだろうか。だが道は終始酷く荒れた箇所もなく、オフロード初心者に優しい。都沢の流れに添って走る区間になると、なかなか気持ちの良い爽やか林道である。対向車後続車とも無く、ハイカーに逢うこともなく全区間を完全に独り占めすることが出来た。
 道幅がある程度広い事や、勾配の急な区間が無い事から急速に荒れていくとは思えないが、古峰ヶ原~粕尾峠間が完全舗装化で開通したことを考えると、同じ足尾に向かうルートとして都沢林道が廃れていくのは時間の問題だろう。

     
都沢林道入り口    笹に覆われた導標がGood    都沢林道はイージーオフ

 足尾の街を抜けて国道を南下する。草木湖の北端にある沢入(そうり)から北西の山域が目指す2本目の林道になるが、その前にわたらせ渓谷鉄道の沢入駅へ寄り道をして休憩を取ることにした。

 駅舎の廻りはちょっとした集落になっているが、人の気配どころか猫一匹すら目に入らない静かな佇まいである。時折国道からけたたましバイクの排気音が流れてくるのが耳につく。自分もバイク乗りだが、マフラーの音は出来るだけ静かなほうが良いと思う主義なのでいささか残念な気持ちになった。

     
沢入(そうり)駅で休憩    駅舎脇から    これから向かう方面

 国道122号より小中西山林道へ入る。行く手にはハイキングコースもあり、「寝釈迦」などもあるらしい。別な機会に是非"足"で訪れてみたいものである。

 林道のほうは完全舗装だが、折れた枝が道に散らばっていたりと多少荒れ気味である。時折植林帯のまっただ中を進んでいくような箇所有り、傾斜のきつい箇所有りで、今まであまり走ったことの無いタイプの雰囲気だ。GSX1400でも注意すれば通過出来るだろうが、やはりジェベルだと軽快で小気味良く走れる。

 先刻より風が強くなってきたが、途中の鉄塔から東側の景色を眺めて小休止していると、鉄塔を切り刻む風の音がごぅごぅと凄まじい。

     
小中西山林道入り口       鉄塔より東側県境方面

 林道区間の最北点に駐車場がある。袈裟丸山への登山口になっているようだ。あるじの帰りを待つ数台の車と南側の眺望が迎えてくれた。

     
      途中の駐車場から南側眺望

 ここから更に林道を辿ると分岐があり、南に向かえば大滝を経て国道122号へ周回復帰出来る。だが、今回はこの地点より更に西側に延びる小中新地林道を目指す。

 それまでまがりなりにも舗装だった道が一気に悪路に変わり出す。袈裟丸山の南西尾根側登山口辺りからは砂利道が多くなり、いよいよ本格的なオフロードと化していく。救いは道が谷沿いに付いていないということだろう。慎重に走れば全く問題無い。

 この区間は対向車後続車も全く無く、途中導標の無い分岐が数箇所あった。手持ちの情報だけでは少々心許ない感じがした。地形図をプリントし、GPSにチェックポイントを仕込んで来れば・・・と後悔もした。だが何とか夢中で走り抜け、皇海山の南西エリア方面からの林道との合流点でオフ車のツーリンググループと出会った時は内心ほっとする。

 写真がいきなり飛んでしまうが、根利で一般道に復帰したあとは、赤城山の東側の快適県道をひた走り国道122号へ復帰した。途中昼飯を蕎麦屋で取り午後の部の開始である。

 午後は草木湖の東岸についた道路をぐるりと辿り、湖のほぼ中間地点辺りで東へ護岸が食い込んだあたりから「三境線」に入っていく。桐生側から通過することをずっと考えていたのだが、今回はコース取りの都合で逆コースとなった。

 三境線は、道路地図やネット地図、そして地形図にも途中から記載の無い山越え林道である。ここもまた全線完全舗装されているが多少荒れた区間もある。また、眺望ポイントも唯一一箇所のみである。三境山の南南西尾根を跨ぐ区間はトンネルで通過することになるが、奥深い山中に忽然と現れるトンネル内は明かりの一つも無く、唯一出口の光を頼りに進むのは中々風情あり。バイクのヘッドライトとしてはかなり強力の部類に属するジェベルのライトが、いつにも増して力強く感じられたのは言うまでも無い。

     
小中新地林道    三境線入り口(草木ダム側)    三境トンネル

 トンネルを抜けると唯一の眺望ポイントあり。うっかり通り過ぎそうになったが、慌ててUターンして一休みだ。

 ここから暫く走るとやがて石鴨の北方、根本山の登山口手前で三境線は終了となる。梅田に向けて走る県道も初めは道幅が狭く、一台通過した対向車をやり過ごすのにバイクでもやっと。梅田湖に近づくにつれ道も良くなってくると一日の緊張も解けてきた。さぁ、あとは宇都宮までの一般道をひた走るのみ。単気筒の振動がステップから足裏に伝わってきてマッサージのようだ。スリムなシートにケツも悲鳴を上げだしてきた。それでも楽しかった一日を振り返ればなんのその。かくしてジェベルとの全日ツーリングは幕を閉じる。

     
三境線随一の好眺望ポイント    三境線出口(根本山南西)    根本山登山口まで約300m、バイクで行ける

2009年09月06日

林道、河原小屋三の宿線を行く

 先週はジェベルが納車されるも、すっきりしない天候で近場の散歩で終わってしまった。今週は生憎土曜日が仕事だったので、日曜は多少の手入れ(錆び対策)や磨き込みをして午後から林道探索に出掛けることにした。

 まず一本目。古峰ヶ原に向かう途中、羽賀場山の南南西あたりにある鉄塔巡視路、いつも横目でチラ見していたこの入り口(写真下左)に入ってみる。

 初めのうちは平坦な砂利道だが段々轍が深くなって荒れ出していく。これはパジェロミニなどで入ったら大変だ。ジェベルでもコース取りが結構難しい。ひとしきり登ると意外な事に途中から舗装が始まり、やがて草地の道へ。登り詰めた所に鉄塔有り。

 この鉄塔は羽賀場山の南東に走る送電線を中継し、ここより南西の537mPの鉄塔から鳴蟲山の紅白の巨大鉄塔へと至るものである。

 道はそのまま西に向かって下っていくが、切り倒された木が積み重ねてあり侵入は不可能。北側は羽賀場山の山腹に向けてまだ道が続いているも、左右に深い薮が生い茂り、歩いてもかなり困難な雰囲気があるので此処で撤退とした。

     
一本目!    初めはこの程度だが    羽賀場山から鳴蟲山へ向かう中継鉄塔

 二本目はこの林道より僅か西側にある「熊の沢線」に入ってみる。

 大きな岩礫がゴロゴロしている箇所を我慢して通過するとやはり舗装路が出てくる。ただしこちらはかなり勾配が急だ。途中沢を3度ほど渡るが、道がしっかり出来ているのでタイヤを少し濡らす程度で済む。なかなかオフロードっぽくってイイ感じだ。静かな谷にジェベルのエンジン音だけが響き渡る。

 結局道が薮に吸い込まれるようにして行き止まり。若干戻って途中にあった支線を攻めてみたが、倒木に遮られてこちらもUターン。倒木が無ければかなり高い所まで行けそうな雰囲気があったが、ビギナー故深追いは禁物。もう少し経験を積んでからにしよう。

 古峰神社の一の鳥居の手前を右に折れ、東大芦川沿いの道を進む。ここから滝ヶ原峠までの区間は実はこの30年間一度も通ったことの無い区間であった。縁が無いと言おうか、いつ来ても必ず工事中で通り抜け不可という状況であったからだ。

 この河原小屋三の宿線、舗装されていたのは知っていたが、GSX1400では多少不安があり探検行は流石に腰が引けていた。だが今まさにジェベルの出番である。幸いなことに今日は工事中の案内も行き止まりの案内も無い。

 奥まった川中島の集落を過ぎ、いよいよ山深い東大芦川峡谷沿いを進むと、みずみずしい緑が目に染みる。成る程、自然保護団体がこの地域の保護を訴えているのも理解出来るというものだ。

     
二本目は熊の沢線    舗装は薮に遮られ撤退    河原小屋三の宿線の大滝前

 大滝前で小休止する。エンジンを止めると滝の音だけが周囲を包む静寂。癒やされる一時である。

 大滝から先の上流は本沢と日光沢に別れる。道は日光沢添いに続き、やがて沢が消失したあたりから崩落しやすい雰囲気の場所に差し掛かるが、随所に大規模な修復が見られる。この為に長い期間通行止めになっていたのも頷ける。

 左手に三の宿山の懐を回り込むようにして北上すると、ほぼ林道の最高標高点あたりで東南東方面の眺望が開ける地点があった。手前には火戸尻山、そして奥には雲間の光を受けて明るい緑に輝く鶏鳴山がどっしりと控えている。なかなか見応えのある光景だ。

 フィニッシュは滝ヶ原峠。この峠は車でもバイクでも、もう幾度通ったことだろうか。訪れる度に通行止めの看板に行く手を遮られたものだが、その未知の区間を走り抜けてきた喜びが、今こみ上げてきた。

     
大滝    火戸尻山と鶏鳴山    滝ヶ原峠へ出た

 

河原小屋三の宿線走行軌跡
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