« 2011年05月 | メイン | 2011年08月 »


2011年06月 アーカイブ


2011年06月24日

新湯富士の山頂を探す


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 今月末から秋口まで職場の休日が金曜日と日曜日入れ替えになる。休日出勤を除くと、長年暦通りに勤め人生活を刻む習慣を続けてきた者にとってはなかなか新鮮なものである。

 さぁ、栄えある?一回目の定休金曜日をどう過ごそうか、多少悩むも前夜までは特に妙案無し。

 とりあえず朝早く布団から出て予報を見ると雨は降りそうにない。ならばと思案をめぐらし、かねてより気にかけていた塩原の安戸山に向かうことにした。(情報収集不足で結局途中で断念することになったが)

 安戸山へはガイドブックに紹介されているコースではなく、塩原から八汐ダムへ向かう林道をバイクで走り、更に派生する林道を通り最短距離で山頂を踏む予定であった。

 R400より右折すると林道入り口に頑丈なゲート出現。脇のガードも鉄壁の構えで入る隙はまったく無い。途中で通行止めになっている可能性は想定の範疇。また、午後の予定もあるので仕切りなおして正規登山道を登って山頂を踏むのは次回へと見送ることとしよう。

 少しでも山の空気を感じていこうと思い、帰路は塩原の温泉街から八方ヶ原への山越えルートを取ることにした。
 新湯方面への分岐地点でふと思う。「新湯富士山」も登って居なかったなと。急遽この交差点を西へ進路変更し、まずはヨシ沼へ到着した。

 一旦バイクを降りてヨシ沼の周遊道を散策すると、ヨシ原の向こう側の新湯富士が美しい。小高い丘のようにも感じられるそのコンパクトな山姿は、肩の稜線にうまく乗れれば適当に取り付いても直登できるのではないかと感じられるほどだ。
 ヨシ沼駐車場にあるハイキングマップも見ながら検討したが、今回は予定外の山故に、GPSデータの用意も紙の地形図も持ち合わせが無い。家内への行動予定図も安戸山しか渡していないので、ここはやはり安全な正規の登山道を行くのが無難なところだろう。

 大沼方面へは、初めは四駆車でも通れそうな感じの道だが、段々荒れてくる。だが、傾斜が緩いのでオフロードバイクだとなかなか楽しいルートだ。

 荒れた区間をやり過ごすと再び穏やかになり、眼下にS字カーブが見えると、その手前が道標が設置されている富士山の登山口である。

     
安戸山へはこの時点で諦めた    ヨシ沼から新湯富士    登山口

 登山道は、新湯から富士山経由で大沼に至る自然散策路の一部として付けられており、程よく整備されている。岩がごろごろと露出した山道だが総じて苔が生えており、登りはともかく下りは足を滑らせないように気を遣わなければならないだろう。

 ジグザグに付けられた山道を登っていくとあっけなく山頂へ到着。四方を木に囲まれており眺望はまったく無い。山頂より少し手前の所に北側に面した展望地のようなところがあったが、残念なことに木が生長してしまってこちらもまた景色が得られなかった。

 さて、立派なプレートが掲げられたこの山頂。GPSを見ると三角点とは随分離れているではないか。紙にプリントした地図を持ち合わせていなかったのでGPSの小さな画面の1/5万図で判断するに、西側にある双耳ピークがどうやら山頂のようである。地図に示された登山道は実際には本来の山頂を北巻くように付けられている。更に南に目をやると、同じくらいの高さのピークも見えている。こいつは久々に薮歩きの虫が疼いてきた・・・とは言っても薮と呼ぶにはあまりにも若く背丈の低い草が若干生えているだけなので雑作もないことではあるが。

     
苔むす岩が露出する登山道    山頂は眺望まったく無し    真の山頂は何処に

 南のピークを漁ると小さな岩が積み重なったような高みに折れた測量ポールを発見した。三角点の類や境界標も見あたらなかったが、一体何の目的でこのポールを放置したのだろうか。

 更にGPSで正確に方角を出して山頂を探索。南ピークから若干トラバース気味に鞍部に一旦降りた後直登すると、山名板の類も一枚も無く石祠が一つ鎮座まします静かな三角点に到達した。周囲に新しい踏み跡は見当たらない。
 自宅に帰って1/2.5万図で改めて見直すと、この近辺は等高線には現れない高低差が顕著で、現場は思った以上に複雑な地形をしていた。人知れぬ里山の奥道を歩いていると時々そういう箇所に出くわすことがあるが、ハイキングコース以外でこの山を攻略するのはなかなか手強そうである。ヨシ沼から直登など安易な事を先ほどは考えていたが、実行していたらかなりてこずったことであろう。

     
測量ポールを発見    GPSでピークを探る    人知れず山頂あり

 森の精にでも遭遇しそうな苔とシダの支配する鬱蒼とした森。ゆったりとした時間を語るように横たわる倒木の間を縫いながら下っていくと、やがて登山道に合流した。ほんの僅かな距離ではあったが、久しぶりに味わう緊張感溢れるピークハントを振り返って喜びがこみあげてきた。

     
鬱蒼とした森を戻る       下山時に見た唯一の空

概略コースタイム
バイク駐車地発(10:33)-山名板のある山頂着(11:01)-周辺探索-三角点(11:25)-バイク駐車地着(11:55)

2011年06月19日

高速千円ラストの新潟ツーリング

110619route.gif  

 先般、高速休日上限千円を体験すべく北関東道を西へ東へと二回に分けて軽自動車でドライブした。
 家内と二人の行脚だから経済的には大した消費活動にはならなかったが、一個人として時流に合わせて"お得"な体験をさせて貰ったと思う。

 さて折角ETC機の電源をシガーライターから取れるようにしたのだから、軽自動車と料金体系が同じバイクで是非使ってみたいと思うのが人の心であろう。電源確保はバイク本体の電源ハーネスから分岐させるのが一般的で、この手の作業の経験者には雑作も無いしらしい。だが自分にはちょっと敷居が高いように思えた。こういう事は得てしてコロンブスの卵と一緒で、類似体験の有無が大きく結果を左右するものである。

 で、ネットで散見される乾電池で電源を取る方法を検討した。オークションでは加工した完成品が出品されていたりもする。こういう工作なら比較的得意である。単三乾電池を8本直列にする電池ホルダー(電子工作パーツ店で¥295)とシガーライターソケットのメス+α(ホームセンターで約¥1,000)を購入、それから百均でアルカリ電池8本(¥210)も忘れてはいけない。

 工作とは言えないほどの僅かな手間と時間(数分)で一式完成する。テストも無事OKであとはタンクバックにコイツを乗せて、ゲート通過時だけ通電させればよろしいという塩梅である。

 さて、決行は上限千円最終日の6月19日。梅雨の合間の晴れ間が期待できる予報である。前の晩までは長野方面を計画していたが、どうも西の方角は雲マークのみで太陽が拝めそうもない。梅雨前線の影響を受けにくい北の地方は軒並み晴れ予報である。という訳で、ぐるっと反時計周りで日本海を見るツーリングと相成った。とは言ってもひたすら高速を走りまくるので、ツーリングとしての面白みに欠けるのは判っている。これはチャレンジ的な要素を楽しむという行為である。

 ぐるりと周回してきた感想はというと、高速を降りて走った柏崎周辺や、刈羽原発脇を通って寺泊に向かう海岸沿いの国道の心地よさは、高速の快適さを遥かに凌ぐものとして感じられた。ここで無理やり一日の記録を搾り出しても、自己満足にさえならないような気がする。今回は文章割愛で写真だけご覧いただくことにしよう。実際、走り始めて一時間あまり(郡山JCT手前まで)も経つと何の変化も無い道をひたすら行くのに飽きてしまう。あまりにも暇なので、何か頭の中に曲のメロディーが浮かんだりするとこれがエンドレスになるのに閉口。笑えたのは磐越道に入って磐梯山を見た時に、

(お囃子演奏)・・・(エンヤー)会津磐梯山は宝の(コリャ)山よ

これには流石に参った(笑)

 自宅よりぐるっと一周、700kmちょい超えのロングロングツーリング。耐久レースの様相も呈し、首も肩もコリコリである。まぁこれはこれで面白かったかなと・・・

 でも、次に日本海を訪れる時は気持ちの良いR352などを堪能しながらじっくりと巡ってみたいものである。
 バイクはやはり、下道で現地を感じながら、時折クネ道なども織り交ぜて走るのが一番楽しいということを再確認した一日であった。

 
柏崎にて日本海へ到達   刈羽原発脇の快走路R352
 
観音岬より   刈羽原発方面
 
昼食は道の駅越後出雲崎天領の里にて   食い足りずにイカちまきを追加

越後川口PAから見る信濃川

2011年06月05日

塩原の名峰、日留賀岳



-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 塩原の名峰、日留賀岳に登ろうという企画がなおさんからあり、参加をさせていただくことにした。

 日留賀岳は登山口からの標高差が1300mにも迫ろうという健脚向けの山。  日留賀岳より北へ目をやると、鹿又岳・男鹿岳へと続く秘境ともいうべきこの稜線は県境へと繋がっていく。以前、北海道へ飛ぶ飛行機の窓からこの山塊を見下ろした時、心を奪われたものである。

 単独で行こうかと悩んだこともあるが、5合目からの富士登山に匹敵する標高差と16kmを超える移動距離、そして熊の出現率が高いという話を聞くとさすがに心細い。今回は企画にありがたく参加させていただくことにした。
 また、参加メンバーの一部で前半区間の林道をバイクでやっつけてしまおうという魅力的なオマケ付きの企画でもあった。

 約束の時間で合流し登山口の小山氏宅にメンバーの車を駐車させていただき、バイク組の我々は林道へ向けて出発。小山氏によると、途中崖崩れで道路が寸断されているということであったが、とりあえずこの目で確認するまではという気持ちで走り出す。

 ウトウ沢林道にあるゲートは手で開閉出来たのでとりあえず問題は無し。暫く走ると突然目の前に崩落現場が・・・

 こりゃ無理だね!とバイク組三人は思わず失笑。急遽Uターンとなった。

 本隊に遅れること30分あまり、急ぎ支度をして小山邸の傍らにある登山道入り口より登山開始である。

     
林道崩落現場    小山氏宅    お宅の裏手より登山道

 小山邸の裏庭のような美しい竹林を過ぎると、今度はシラン沢林道へと向かうジグザグの登り。やがて鉄塔へ到達し林道へ合流すると、東側に深い谷と向かい側のピークがはっきりと見える。本隊に無事合流して林道終点で一休みしてから登山道へ入った。緑豊かな広葉樹林が登山者に優しい。良く手入れされていている登山道は歩きやすいことこのうえも無し。

     
まずは林道へ向けて    林道の途中で貴重な眺望    緑あふれる林を行く

 比津羅山の北側をトラバースして一旦下ると、そのあと暫くは谷詰めとなる。1200mまで高度を稼いだ頃に再度トラバースして尾根に登り返す。地形図の道は比津羅山の北コルから尾根にまっすぐ引かれているが、実際の道はこのようになっていた。

 高度を稼いでいくとやがてツツジが見られるようになり、疲れた体が癒される思いだ。連続する急登にいささかうんざりする頃に傾斜が緩んでくると木の鳥居が見えた。

     
   標高が低い場所にはツツジ    木の鳥居

 日留賀岳の特徴は、その標高差ゆえに異なる植生を一度の登山で楽しめる点にある。樹木についてはまったく知識の無い自分であるが、それでも登るにつれ木々の変化を感じ取ることが出来た。花も、ツツジ・白ヤシオシャクナゲと登るに従い次々と楽しむことが出来る。
 鳥居を過ぎるるとまもなく行者ニンニクの群生地である。歩いている時にどこに行者ニンニクがあるのか皆目見当がつかなかったが、参加者のととさんに教えてもらうと、実はそこかしこに生えていることに初めて気づく。
 生でも食べられるということなので早速葉を一齧りしてみると、ニンニクとニラを混ぜたような味わいでなかなかいける。野菜や山菜好きの自分としては摘んで持ち帰る袋を持ち合わせていなかったのがまことに残念であった。

     
シロヤシオ    行者ニンニクの群生地    長楕円の葉が行者ニンニク
     
標高があがるとシャクナゲ    株によって濃淡がある    清楚に咲く山桜

 行者ニンニクの群生地を過ぎると再び稜線は上へ上へと伸びていく。植生の変化や花には随分慰められる登りだが、稜線の左右は殆ど景色が無いところがたまにきずである。

 終盤のキツイ登りに喘いでいると金属製の小さな鳥居があった。いよいよ山頂も間近かと思ったが、登りきると眼前に一層小高くそびえる山頂が姿を現した。
 いつもの登山ならなんてことはない距離感だが、今日は流石に足がなかなか前に出ない。ラストは太い根に足運びを大いに邪魔されながらも渾身の一投足で山頂へ到達!

 期待していた360度眺望はガスに深く閉ざされていたが、憧れの名峰に立つ事が出来た喜びの方が勝っていた。僅か5年程前までは、慢性の運動不足で階段の登り下りだけでも息が切れていた自分が嘘のようである。

 やがて後続グループも無事到着し、山頂には満足げなメンバーの笑顔が花咲いた。

     
金属製の鳥居、頂上近し    山頂現る    最後の登りがきつい
     
山頂    鹿又岳方面へのピーク   

概略コースタイム
登山口発(7:30)-シラン沢林道(7:53)-林道終点(8:22)-木製鳥居(10:13)-金属鳥居(11:26)-
山頂(11:52)-昼食休憩-下山開始(13:01)-木製鳥居(14:23)-林道終点(15:54)-登山口着(17:04)

最近のコメント

リンク集

  • ケン坊の日記
    情報(ネタ)の検証はピカ一。実践派のケン坊さん。多方面にわたるネタで楽しむことができます。
  • らんばらしょうぎ
    目指すは亀三郎百名山。印象派の亀三郎さんのブログです。更新量豊富。山ネタ以外も綺麗な写真がいっぱい掲載されてます。
  • 散歩エクスペディション
    薮山に目覚め始めた頃、毎日飽きずに見ていました。今日の自分に影響大なり。薮山歩きではメンタル面の我が師匠、けむぞうさんのサイトです。ブログのほうも面白くてお勧めです。(そこナニBlogで検索してね)
  • 里山逍遥
    栃木の山とその周辺の低山を巡る日々「里山逍遥」。もぉ、このタイトル見ただけで直ぐに相互リンクを申し込んでしまいました。新田次郎さんと飲んだことがあるという凄い方です。登山に対するフランクな考え方も共鳴できます。
  • リンゴの叫び!
    季節の移ろいと自然の姿に心惹かれるブログ主さんの記事は、山好きな人ならきっと共感することと思います。自分も長い間隠れファンでしたが、この度相互リンクさせていただきました。
  • 北関東の山歩き
    ご夫婦で仲良く山歩き。栃木県内や宇都宮近郊の山はもとより、HPのタイトル通り北関東の山並みを歩かれているNonさんのサイトです。楽しそうな山行記録を読みながら、「是非自分も歩いて見たい」と思うこと度々。
  • PIAN PIANO.
    バイク仲間であり山仲間のなおさんのブログ。ブログ名のPIAN PIANO.(ピアン ピアーノ)は、イタリア語で「あせらず、ゆっくり」という意味だそうです。

RSS