新湯富士の山頂を探す
今月末から秋口まで職場の休日が金曜日と日曜日入れ替えになる。休日出勤を除くと、長年暦通りに勤め人生活を刻む習慣を続けてきた者にとってはなかなか新鮮なものである。
さぁ、栄えある?一回目の定休金曜日をどう過ごそうか、多少悩むも前夜までは特に妙案無し。
とりあえず朝早く布団から出て予報を見ると雨は降りそうにない。ならばと思案をめぐらし、かねてより気にかけていた塩原の安戸山に向かうことにした。(情報収集不足で結局途中で断念することになったが)
安戸山へはガイドブックに紹介されているコースではなく、塩原から八汐ダムへ向かう林道をバイクで走り、更に派生する林道を通り最短距離で山頂を踏む予定であった。
R400より右折すると林道入り口に頑丈なゲート出現。脇のガードも鉄壁の構えで入る隙はまったく無い。途中で通行止めになっている可能性は想定の範疇。また、午後の予定もあるので仕切りなおして正規登山道を登って山頂を踏むのは次回へと見送ることとしよう。
少しでも山の空気を感じていこうと思い、帰路は塩原の温泉街から八方ヶ原への山越えルートを取ることにした。
新湯方面への分岐地点でふと思う。「新湯富士山」も登って居なかったなと。急遽この交差点を西へ進路変更し、まずはヨシ沼へ到着した。
一旦バイクを降りてヨシ沼の周遊道を散策すると、ヨシ原の向こう側の新湯富士が美しい。小高い丘のようにも感じられるそのコンパクトな山姿は、肩の稜線にうまく乗れれば適当に取り付いても直登できるのではないかと感じられるほどだ。
ヨシ沼駐車場にあるハイキングマップも見ながら検討したが、今回は予定外の山故に、GPSデータの用意も紙の地形図も持ち合わせが無い。家内への行動予定図も安戸山しか渡していないので、ここはやはり安全な正規の登山道を行くのが無難なところだろう。
大沼方面へは、初めは四駆車でも通れそうな感じの道だが、段々荒れてくる。だが、傾斜が緩いのでオフロードバイクだとなかなか楽しいルートだ。
荒れた区間をやり過ごすと再び穏やかになり、眼下にS字カーブが見えると、その手前が道標が設置されている富士山の登山口である。
安戸山へはこの時点で諦めた | ヨシ沼から新湯富士 | 登山口 |
登山道は、新湯から富士山経由で大沼に至る自然散策路の一部として付けられており、程よく整備されている。岩がごろごろと露出した山道だが総じて苔が生えており、登りはともかく下りは足を滑らせないように気を遣わなければならないだろう。
ジグザグに付けられた山道を登っていくとあっけなく山頂へ到着。四方を木に囲まれており眺望はまったく無い。山頂より少し手前の所に北側に面した展望地のようなところがあったが、残念なことに木が生長してしまってこちらもまた景色が得られなかった。
さて、立派なプレートが掲げられたこの山頂。GPSを見ると三角点とは随分離れているではないか。紙にプリントした地図を持ち合わせていなかったのでGPSの小さな画面の1/5万図で判断するに、西側にある双耳ピークがどうやら山頂のようである。地図に示された登山道は実際には本来の山頂を北巻くように付けられている。更に南に目をやると、同じくらいの高さのピークも見えている。こいつは久々に薮歩きの虫が疼いてきた・・・とは言っても薮と呼ぶにはあまりにも若く背丈の低い草が若干生えているだけなので雑作もないことではあるが。
苔むす岩が露出する登山道 | 山頂は眺望まったく無し | 真の山頂は何処に |
南のピークを漁ると小さな岩が積み重なったような高みに折れた測量ポールを発見した。三角点の類や境界標も見あたらなかったが、一体何の目的でこのポールを放置したのだろうか。
更にGPSで正確に方角を出して山頂を探索。南ピークから若干トラバース気味に鞍部に一旦降りた後直登すると、山名板の類も一枚も無く石祠が一つ鎮座まします静かな三角点に到達した。周囲に新しい踏み跡は見当たらない。
自宅に帰って1/2.5万図で改めて見直すと、この近辺は等高線には現れない高低差が顕著で、現場は思った以上に複雑な地形をしていた。人知れぬ里山の奥道を歩いていると時々そういう箇所に出くわすことがあるが、ハイキングコース以外でこの山を攻略するのはなかなか手強そうである。ヨシ沼から直登など安易な事を先ほどは考えていたが、実行していたらかなりてこずったことであろう。
測量ポールを発見 | GPSでピークを探る | 人知れず山頂あり |
森の精にでも遭遇しそうな苔とシダの支配する鬱蒼とした森。ゆったりとした時間を語るように横たわる倒木の間を縫いながら下っていくと、やがて登山道に合流した。ほんの僅かな距離ではあったが、久しぶりに味わう緊張感溢れるピークハントを振り返って喜びがこみあげてきた。
鬱蒼とした森を戻る | 下山時に見た唯一の空 |
概略コースタイム
バイク駐車地発(10:33)-山名板のある山頂着(11:01)-周辺探索-三角点(11:25)-バイク駐車地着(11:55)
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