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2008年10月 アーカイブ


2008年10月25日

紅葉間に合わず!ガスの高原山を歩く

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 どうも読みが甘いというか運が悪いというか、はたまたよほど日頃の行いが悪いのか。

 鬼怒川温泉へ向けて車を走らせていた頃は、遠目にも赤みかかった高原山の姿がくっきりと見えて「これは久々にナイスな」山行と思っていた。ところがどっこい。いざ入山してみると・・・

 

 廃業してしまったスキー場のどーんと広い駐車場の端に数台車が止まっている。寄り添うようにしてH君の車も列に加わった。人の気配は無いので皆さん既に出立済みである。

 支度を調え、「登頂口」と朱く書かれた看板の横を通ってゲレンデ跡に出ると、ススキの間に「道」がある。まずは此処を歩いて行けば良いのだろう。林間コースだったのだろうか、初心者スキーヤーにとっては丁度良い塩梅の斜度の所を登っていく。直線的だったルートが少し迂回気味になると枯木沼へ到着だ。木道を渡り再びゲレンデへと合流し、やがてゲレンデ最高標高点へと到達する。

     
登山口    枯木沼の木道    ゲレンデ最高点

 ゲレンデ最高地点からは幾らか山道然としてくる。昨晩の雨で沼地からかなり水が溢れているようで、大沼へ分ける手前では数カ所道が川のようになっていた。向こうからやってくる若い夫婦連れが長靴を履いていた。きっとこの状況を把握して大沼に何かを観察にでも行ったのか、常連さんなのだろう。

 鬱蒼とした苔むす道もまだ傾斜は緩い。程なく、にぎにぎしく石祠や碑版が立ち並ぶ弁天沼へ到着。すっかり白く晒された鳥居の向こうに目指す鶏頂山の姿が見える。鐘をつき無事を祈りいざ登らん。

     
大沼への分岐    いよいよ山道だがまだ平坦    弁天沼で鐘をつくH君

 弁天沼まではアプローチ、ここからがまさに登りである。岩混じりだがしっかりとあつらえた感じのする山道は、修験者の山、栃木の三峰山のようである。

 とうとう苦しくなってきた頃に、山頂からの肩尾根に乗る。それまで、上の方だけ見えていた空だったが、尾根に上がって見ると向かう山頂にはしっかりガスが掛かっているのが見えていささか気落ちする。

 山頂に着いてみると、状況は予想していた通り。

 晴れていれば間近の釈迦ヶ岳を初め南側に絶景が拡がっているだろうに、ガス以外のなにものもなし。ごくたまにガスの切れ目から間近な景色が見えるのがせめてものお慰み。

 まぁ山頂は山頂だからという事で昼飯とすることにした。

     
これより聖域    笹の道を最後の登り    鶏頂山頂上

 弁天沼からは結構急登だったが、距離がさほどでなかったので案外疲労感は少ない。状況によってはこれで下山という心づもりもあったが、時間も早いので釈迦ヶ岳往復をする事にした。

 そういえば今日の目当ての紅葉だが、どうやら日塩もみじラインの標高1000m~1300m付近が綺麗に色づいており、そこから上はとうに葉を落としてしまっているようである。

 ガスに包まれた幻想的な尾根道を向かう。一旦高度を下げた後、一つめの登り返しと釈迦ヶ岳の肩尾根に乗る直前の急登には苦戦する。先ほど別な地点で会ったトレイルランの若者が後ろから急登区間を追い抜いていく。両手を地面に付けて、まるで獣のような身軽さであっという間に登り去っていってしまった。あのパワーの微塵でもよいから分けて欲しいとしみじみ思うのであった。

     
染まり遅れ?    霧深き尾根    大間々からの分岐

 釈迦ヶ岳に着けばこれまたホワイトアウトの世界。一応此処まで来たのだからと、南に面した笹原に腰を下ろして休憩する。だがガスばかり眺めていてもしょうがないので早々に退散だ。以前登頂したときの絶景が嘘のような有様である。

 ピストンで尾根を戻るが、途中の明神岳に向かう分岐は、山奥深く吸い込まれていくような独特な雰囲気がある。日塩もみじラインから明神岳へは、ゴンドラで容易にアクセス出来るので、これを利用したコースで一度歩いてみたいものである。

 往路の分岐の手前にもう一本弁天沼へ下る道があるので、帰りはこちらを通る事にした。初めのうちは土が露出しており折からの雨水でぬかるんでいて滑りやすく気を使ったが、すぐ岩が出てきて歩きやすくなった。道を塞ぐ倒木も苔むして山の重々しさが感じられる。ガスも益々濃くなり、見通しの悪い笹の辻の向こうに熊が居るのではなどという妄想を抱き出すと心細くなって仕方がない。一旦音を止めた鈴をまた鳴らしながら歩き始めた。やがて登りの分岐点である弁天沼へと到着だ。

     
釈迦ヶ岳    明神岳へ分ける道    倒木も年期が入っている

 無事を祈願した鐘を再び鳴らして、あとはゲレンデをのんびりと下るだけである。
 かつて沢山のスキーヤーで賑わったであろう光景を思い浮かべ、今は静かな斜面をテクテクと降りる。

 笹だけが青い高原山の懐は、すっかり冬支度を迎えてしっまたようである。

     
かつてのゲレンデを彷彿させる風景      

概略コースタイム
駐車場発(9:34)-枯木沼(10:02)-ゲレンデ最高地点(10:22)-弁天沼(10:46)-
肩尾根(11:12)-山頂着(11:33)-昼食休憩-山頂発(12:09)-釈迦ヶ岳(13:28)-
弁天沼への分岐(14:26)-弁天沼(14:48)-駐車場着(15:42)

2008年10月19日

一日に二度登った?二股山

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 今回の主役は何と言っても上の軌跡である。等高線の読める方なら瞬時にして私の愚かな歩行ルートを読み取ることが出来よう。

 そう。一度降りた山をもう一度登り返してまた降りるというトレーニングもどきが今回の山行である。勿論予定していた行動で無いのは言うまでも無い。そんなスパルタンな計画を思いつくほど体力に自信は無いのである。

 

 毎回、前口上から始まるのが通例になってしまったが、今回もお付き合いいただくとして・・・

 ここのところ、超の字が付くほど仕事が忙しかった。先週の3連休などに至っては、日の出の時刻から街が寝静まる頃まで会社に居るという悲しい日々を送っていた。一段落した11日の土曜日は抜けるような晴天に心動かされたものの、仕事が気になり結局午前中は出勤と相成ったのである。

 日曜はあまり天気が良くないという予報だったが、目覚めると結構日差しが明るく空も高い。早い時間に近間でも歩いてくるかと布団の中で思案する。そういえば二股山に周回コースがあったな。仕事の疲れが残っていることなどすっかり忘れて支度にいそしむのであった。

 

 前回同様、下久我から林道に乗り入れ、終点の広場に車を駐める。案内板のコース図を見て、南峰~展望地~加園P~(周回)~下久我Pへ帰還の予定だ。

 加園P~(周回)~下久我Pのルートについては、案内板に等高線が記されていないこと、距離や方角がデフォルメされていることから、道の接合点のみは把握出来たものの、その他の重要な情報について全く未知のままコースに突っ込んでしまったのが後で大きな後悔に繋がることをこの時点では気付いていなかった。

 往路の登りは谷を詰めるとジグザグの樹林登りへと繋ぐ前回と同じコースである。相変わらず雑多な感じのする植林地だ。前回はジグザグで少し息が上がったが、今回はペース配分も余裕で登ることが出来た。木漏れ日の差す植林地は、耀きの強弱が面白くてそれなりに楽しいものである。

 NHKの放送設備が見えると間もなく二股山の双耳峰の一つ、北峰頂上へ到着。宇都宮市内から真西にその姿がよく見える二股山。間に遮るものが無いのでこちら側(山頂)からは鹿沼市街はもとより、古賀志山から鞍掛山、多気山、そして宇都宮の街の高い建物がゴマ粒のようにちりばめられている様子がよく見える。

     
木漏れ日の中    山頂から古賀志山方面    鹿沼市街

 北峰でザックを降ろして一休み。そういえば今日は下久我Pも自分の車だけ、山中もまったく人に出会わない。ハイカー達はきっと紅葉を求めて日光あたりに繰り出しているのだろうか。
 足元に気を付けながら南峰との間のキレットに降りる。南峰への取り付きも相変わらず急斜面だ。このキレットは遠くから見てもはっきりとわかる、いわば二股山の顔とも言うべきポイント。ちと登りがきついが、味わいながら歩を進めていく。何らかの原因で中間部が崩落してこのような姿になったのだろうが、元の姿はきっと鞍掛山のような台形だったのではと思いを巡らせる。

 さて、南峰に着いて時間も予定通り昼食休憩。ストーブで湯を沸かし、山頂も景色も独り占めの贅沢な時間。コーヒーを飲み終える頃には初秋の空気がいささか冷たく感じるようになってきた。

 前回は南峰からピストンで下山だったが、今回は更に南に下り、展望地を経由して一旦下山していく。

 展望地は5分位下った所にある。西から南側に樹が切り開かれ、岩のテラスがある展望台である。

     
キレットから南峰への壁    南峰から鳴蟲山と男体山    上南摩や西方方面

 山々が幾重にも連なっており、私の読図力では山座同定が到底難しいが、恐らく西方や星野方面の山々が見えているのであろうか。山水画のようなシルエットにしばし見入る。

 道はこの後樹林に吸い込まれ、道形が幾らか心許なくなってくる。分岐は真新しい道標があるので迷わないが、かなりあやふやな部分が多くなり、テープ頼りになる。テープはかなりしっかりと付けられているので慎重に追えば迷うことは無いが、山に慣れて居ない人の場合はあちこちにある踏み跡に引き込まれるかもしれないので要注意だ。高度が下がってくるとシダの密生が出てきた。鬱蒼とした雰囲気がどことなく不気味である。足元の黒い紐がにゅっと動いたと思ったらヘビだった。思わずビックリ!

 概念図では途中から二股山の西側を巻くように久我Pへ向かう分岐がある筈なのだが、高度を下げてもいっこうにそんな分岐は現れない。途中西に向かう枝尾根の取り付きが数ヶ所あったが、GPSで現在位置を確認してもその先は谷とその後に聳える尾根筋。これはトラバースルートなんてあり得ないと気が付いた時は半ば諦めムードになっていた。

 やがて傾斜が緩くなり向こうに草の生えた林道の終点が見えた。加園Pである。ここにまた案内板があり、やっと目的の周回分岐に着いた事を知る。これから下久我Pまでのルートが、山を大きく巻いた平坦なコースであることを願うばかりである。

     
三峰山方面 たぶん    テープを頼りに下る    林道出合

 初めによく見ておけば良かったのだが、実はこれから進むコースは周回の下山路になっているのだ。途中登りがあるのは嫌だが、車道に出て4Km以上も歩くのももっと嫌だ。ままよと歩き始めると初めのうちは登りも緩やかだ。

 上手の薮が急にガサガサしたと思ったら、グレーと白の毛並みの動物が目の前を横切り、谷を駆け下りていく。カモシカである。調べて見ると二股山周辺ではたまに目撃されているようで、鳴蟲山方面から尾根伝いに往来しているらしい。奴は恐らくかなり遠くからこちらを眺めていたのだろうが、何も気付かず暢気に歩いてくる熊鈴男がどんどんやって来るのでお先に失礼といった体であろう。

 緩かった登りも谷を詰めるに従いどんどん斜度がきつくなってくる。ジグザグが出て来る頃になると、あまり歩かれていないのだろうか、道が所々崩落していて歩き辛いことこの上もなし。体力もみるみる消耗してくる。

 何度もGPSと地図を出して確認したが、方角は間違いない。高度計が500mを示したあたりで、右手の樹の間にある北峰と南峰の間のキレットを見て確証を得た。「結局もう一度登ってきてしまったのだな」と。

 精神的にもこういう登りはキツイものである。ジグザグの1本2本がどんなにか長く感じたものか。上の方に見える稜線の明るさが唯一の望み。ほの暗い樹林の中で悲壮という言葉の意味が少しは理解出来たような気がした。(ちょっとオーバーかも)

 何とか尾根に辿り着き、あとは下るばかりと進んでいくと伐採で一面が開けたポイントに到達。パッと景色が広がった時は辛かった登りへのご褒美かと思われた程だった。

     
周回起点    峠越えのご褒美    来し方の伐採地

 伐採地から右手(北側)の谷を見ると、往路に登ってきた道がよく見える。前回歩いた時も脇の尾根を見上げて「あそこを行けば軽快だろうなぁ」と思っていたが、なるほどこのようにルートがやはり付けられていたのである。

 再び樹林に吸い込まれ急降下していく。主の帰りを待つパジェロミニの姿を見てほっと一安心。最後まで気を抜くまいと車の許へ。やれやれとんだ山行であったが、終わってしまえばこれもまた楽しい思い出。

     
車が待っていた    駐車地手前へ出る   

概略コースタイム
駐車地発(10:36)-北峰着(11:28)-南峰着(11:41)-昼食休憩-
南峰発(12:29)-展望地(12:39)-加園P(13:22)-登り返して尾根に復帰(14:17)-
伐採地(14:44)-駐車地着(15:02)

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