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県南の山達アーカイブ


2013年04月28日

諏訪岳

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 連休山行二発目は、家内と登る栃木百名山。諏訪岳である。栃木百名山本のルートでは東武佐野線、多田駅を発着とするコースのCTが2時間40分。駅から京路戸公園までの往復が1時間となっているから、CT1時間40分の行程となる。幾らか登りらしい登りもあるようなので、家内のペースを勘案しても2時間ちょいも見積もれば充分。のんびりと支度をして遅めの9時頃に自宅を出発した。

 京路戸公園駐車場に着いてみると、テニスコートに来た人達の車だけでハイカーの姿は無し。コート脇を真っ直ぐ進むと、幾らか荒れた感じの樹林と背の高い竹やぶに挟まれた登山道が続く。

 薮は決して嫌いでは無いが、ここまでの密薮になると流石に無理をしても進入不能だろう。古賀志山で一度、そして昨年の燕巣岳から湯沢峠への県境尾根は、これを少し薄くしたような感じだったが、下りならなんとか。登りならアウトだ。

 それにしてもこの山は登山道以外は殆どこういう感じの薮に覆われていて、バリエーションルートも組みようも無い程だ。自分が経験してきた山でこういう所は珍しい気がする。

 

 少し緩めの登山道を淡々と詰めていくと京路戸峠。このへんからハイカーの往来が多くなる(といっても数組)。唐沢山からのピストン組と村檜神社からのハイカーが多い雰囲気で、京路戸公園側からは不人気の様子だ。

 

 京路戸峠から尾根を登り始めると、ようやく山道らしい雰囲気になってくる。写真のような白い花があちこちを飾ってなかなか綺麗だ。所々咲終いのツツジがアクセントを添える。

 

 山頂直下は幾らか急斜面となり、休憩の回数が多くなった家内もようやく山頂へ到着。先行者夫婦が食事中であった。

 

 山頂よりの風景は、山全体の雰囲気とも相通ず。地味な感じだが、木々に囲まれた明るい風景が広がる。

 

 北の尾根に向けての下山は案外急斜面。こちらを登りに使ったら家内からクレームが出たのは間違いなかっただろう。だが、下りも結構大変。家内の途中しりもち2回は内緒の話である。

 

 無事京路戸公園駐車場まで戻って見るとこんな注意書きがあった。 「しし」の上にイノと書き加えられている。
 途中の緻密な笹ヤブを見た時、そして下山最後の谷筋の窪地を見た時、直感的にこれはイノシシ居そうだなぁと思っていた。まぁ、危険と書いてありながらすぐ脇にはっきり「至 諏訪岳」の道標があるのも少し可笑しいものだ。大体、山頂からの下山ルートにはそんな事は何処にも書いていなかったら、下山しきって初めて知る警告というのもねぇ(笑)。

 

 話がちょっと飛んで、帰りに道の駅西方でとちおとめジェラートーをいただく。嗚呼、これで今日のカロリー消費も帳消しか?
 でも、このとちおとめジェラートって美味しいのでまだの方には強くお勧めだ。

 

 で、・・・更に話は飛ぶ。

 家に帰着したのがまだ3時頃。日もまだ充分に高い。
 それでは、とオフロードバイクを引っ張りだして久々の散歩に出かけた。場所は定番の半蔵山周辺の林道探索。

 

 鬱蒼とした林道にも一箇所だけ外界が見えるビューポイントがある。お気に入りの場所だ。

 

 こんな所まで来ると、ちょいとそこの斜面によじ登って、その後は薮をかき分け稜線キープなんて気分にもなってくるが、あくまで今日は(バイクの)散歩である。

 
 

 半蔵山の南側(栗谷沢ダムの北側)エリアを一通り走った後、旧道の鞍掛峠へ。道祖神脇にバイクを止めて上を仰ぎ見る。
 鞍掛山から半蔵山に至るには此処を降りて来なければならない。以前、半蔵山から池ノ鳥屋まで縦走し鞍掛峠に降り立っている。だがここから鞍掛山へ至る道筋は地形図を眺めるだけではどうにもイメージが沸かない。正面突破するには等高線が混みすぎているから。
 あ、でもよく見るとあそこにも、そしてあっちにも意外とルートはあるじゃないか。帰ったら早速地形図を眺めるべし。これで次の冬のネタがまた一つ楽しみとなった。

 

 一旦日光街道に抜け(実は途中で数箇所遊んできたがそれは割愛)最後は定番の林道牛沢線を走り抜ける。郷土の山、半蔵山を縦貫するこの林道も散歩の定番コースだ。
 降り立った田口の集落はすっかり田んぼに水が張られて、後は田植えを待つばかり。そんな里を見守る半蔵山と写真を一枚パチリ。

2013年03月23日

カタクリの花咲く三毳山

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 県南で歩き残した栃木百名山。カタクリの群生が有名なこの山を花期に合わせて家内と歩いてきた。

 ルートはサツマイモのような三毳山の北端にあるカタクリの里駐車場から出発し、竜ヶ岳(三毳山主峰)、中岳を巡り標高を下げてからの周回コースとした。

 カタクリ満開の情報を聞きつけた観光客とハイカーで混雑する駐車場をスタートすると、屋台も出る賑わい。カタクリの株までも売られている。群生のカタクリにまみえる前からこれではいささか下世話とも思うが、それだけこの花が愛されているということなのだろう。 

     
屋台も出る賑わい    一株600円也    黄花は700円

 立派に整備された遊歩道が幾らか登りに差し掛かり、登山道と別れるといよいよカタクリの群生地となる。なるほど噂に違わず一面に咲き誇る淡い紫が春の訪れを精一杯語っているようで美しいものだ。

     
群生地はお見事       カメラマンも登路脇に咲く

 群生地を離れ幾らか登山道然としてくると、他の散策コースから「流れて」くる家族連れやカタクリだけが目当ての人達の数はぐっと減ってハイカーが目立つようになる。
 どこの山域でもそうだが、中高年の比率が高いのは相変わらずだ。だがこの山で特に目立つのは、高い山はもう体力的に無理だ・・・という人達が自分の年齢と脚力に合わせながら山と付き合い続けるといった感じのハイカー達である。陰ながらエールを送りたい人も多かったが、自分もあの歳になって果たしてどうなっていることやら。

 家内は登りがキツイらしくて、休憩が多発する我が登山隊のペースも牛歩が如し。それでもなんとか頑張って竜ヶ岳山頂へ到達。眺望はは西側しかないが、まずは山頂GETということで食事とした。

     
尾根筋に出れば里山の趣    所々岩も出てくる   

 竜ヶ岳より南に見える中岳へ縦走開始。出だしの下りは見た目より急で滑りやすい。下りで喜んでいた家内だが、思わぬ"難所"に手こずる。
 途中、管理用の舗装路二箇所を横切りながら尾根線歩きは続く。

     
これから向かう中岳    写真で見るより急な下り    管理用道路を二度跨ぐ

 山名板が落ちた寂しい雰囲気の山頂の中岳だが、ベンチで食事する人達や後からやってくるハイカーで結構な賑わいである。竜ヶ岳の思った以上に端正な円錐形が枝越しに見える。

 さぁ、ここからは下り一辺倒。途中、ハングライダーの発進所で胸のすく景色を見ながら進んでいくと、三毳神社奥社手前は若干の登り。家内は「登りがあるの?騙された」と言いながら石段を数えながら本当に最後の登りを登っていく。

     
中岳頂上    竜ヶ岳をのぞむ    三毳神社奥社より

ハングライダー発進所
     
      コンクリートの階段は案外急

 三毳神社奥社から先はコンクリート造りの直滑降階段が思いのほか急。一本目の鳥居を過ぎて二本目に差し掛かると思わず笑ってしまうほど急だ。ここも家内は難所となる。

 階段が切れてもしばらくは足元の悪い急斜面が続くが、やがて季節を先取りした淡い色合いの花が待つ周回の管理道歩きとなった。

     
2本目は更に急    シュゼンジカンザクラ    気の早いツツジも
     
フラワートレイン      

 途中、「栃木花センター」で寄り道休憩。いちごのジェラートで鋭気を養うと、あとは車道歩きで駐車場を目指す。路傍の花や民家の庭先に咲き誇る花々。春の訪れを実感することの出来た一日であった。

     
とちぎ花センターで休憩    竜ヶ岳を背に    路傍の草、色と形が美しい

概略コースタイム
駐車場発(11:25)-竜ヶ岳(12:25)-昼食休憩-行動再開(12:53)-
中岳(13:55)-三毳神社奥社(14:10)-とちぎ花センター(14:57)-駐車場着(15:46)

2013年01月26日

赤雪山~仙人ヶ岳周回


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
※展望地から松田湖へ降りるルートは、他のルートに比べると整備されていません。
参考にされる場合は自己責任でお願いします。
仙人ヶ岳の過去の記事
  2007年12月9日 仙人ヶ岳

 赤雪山をどう登るかについてはかなり以前から悩んでいた。

 松田湖を起点とした周回コースがあるが、ちょっと物足りないような気がする。「栃木百名山本」には名草の巨石群方面からのアプローチが掲載されており、これは良さそうなのだが車の回収が難しい。以前、ブログ友のNonさんが歩いていたのを思い出し、仙人ヶ岳への縦走をして周回コースとすることにした。

 松田湖の最奥地にあるキャンプ場駐車場に車を停めると、正面に見える高みが下山の際の降下開始点である展望地(561mP)だ。

 湖畔をぐるりと廻るようにして、今しがた走ってきた車道を戻る。日陰は身震いするほど寒い。程なく道路脇の道標に従い登山道へ入った。今回赤雪山に登るコースは山頂へストレートに突き上げる南尾根コースである。

 初めのうちは植林帯に付けられたジグザグを登っていくが、標高350mあたりから車でも通れそうな幅広の真っ直ぐな尾根道となる。

     
キャンプ場の駐車場    ここから登る    車でも通れそうな広い尾根

 更に進み、等高線が混みだすと再びジグザグの道が現れ、軽く岩角が出てきたりする。尾根といえども両脇が木に覆われているので眺望は少ない。

 立派なあずまやが建つ赤雪山の山頂からの眺望は、南側が開けているものの、その他の方角は枝に邪魔されすっきりしない。小休止をしていると男性2人組が東側の尾根から息を切らして登ってきた。聞けば、やはり仙人ヶ岳まで縦走するという。

 彼らに先発して仙人ヶ岳への尾根道に足を踏み入れた。赤雪山までは過剰とも言えるほどよく整備された山道だったが、こちらのエリアはやはり通過する人が少ないのだろう。いつもの慣れ親しんだ感じの山道に、心癒される静かな趣が戻ってきた。「栃木百名山本」には"踏み跡も薄いため、初心者には勧められない"とあるが、明らかに行政が設置した立派な道標が要所にあり、初心者の方も安心して歩ける登山道になっている。危険な箇所も全く無い。確かにアップダウンが続くというのは本のとおりだが。

     
赤雪山頂上    南方面    仙人ヶ岳へ向けて

 北向きの一部区間で残雪がアイスバーン状になっていた。想定していたので携行していた4本爪軽アイゼンを装着。雪が消えてもまた凍結区間が出てくるので、腰にアイゼンの袋を下げて何度か脱着を繰り返す。

 地形図を見ていて、標高差40~50mのアップアダウンが数回あるというのが頭に入っていたからペース配分を崩さずに登ることが出来たが、「こんなに下るの勿体無いなぁ。折角汗かいて登ったのに」と未だそんな煩悩に悩むことしきり(笑)

     
所々アイスバーン    アップダウンの繰り返し    ステンレス製の道標恐らく私設?

 仙人ヶ岳の北東尾根が近づいてくると目指す仙人ヶ岳の山頂付近が大きく見えるようになってくる。尾根に突き上げたあと、等高線の込んだ623mPに汗を絞られる。ここで先行者のシルバーグループに追いつく。対向ですれ違ったグループもやはり年齢が高そうな人達で、人気の山であることを実感した。

 仙人ヶ岳の山頂は既に数組の先客が弁当を広げているところ。自分の前にいたグループのメンバーに知り合いがいたようで「やぁやぁどうも」と歓声が上がっている。古賀志山のように、常連さんはパーティを変えながら登っているのだろう。

 赤雪山で出会った男性二人組もやがて山頂へ到着。自分もザックを降ろして昼食とした。他のパーティの人達は随分声高でテンションが高い感じだが、先ほど追いついたグループのメンバーから酒の匂いが少しした。どうやら途中の休憩で既に気付け薬を処方してきたのかもしれない(^^;

 複数のパーティーで喧騒渦巻く山頂は、この後も続々と到着するグループで膨れていく。重ね重ねも仙人ヶ岳は人気の山である。

 コーヒーも終えたので、一足お先に出発するとしよう。

 熊の分岐に近づくと、一体は山火事の跡が痛々しく散見される。熊の分岐の表示板も端が焦げている。山火事はつくづく恐ろしいものだ。自分もストーブで火を使うので充分注意が必要だが、煙草を吸う人には特に注意して貰いたいと切に願うものである。

 熊の分岐からは猪ノ子峠へ向かう道を選ぶ。ルートを分けた岩切への稜線が気持ちよさそうに向かいに伸びている。

     
仙人ヶ岳が見えてきた       山火事の跡
     
   熊の分岐の標識も焦げている    岩切へ向かう稜線

 やがて伐採地跡の展望地(561mP)へ到着。朝、出発の時に駐車場から見上げた箇所である。ぐるりと180度以上の眺望が開け、眼前の赤雪山、そして左に目をやると今日歩いてきた稜線が一望できる。遠く東の彼方には形の良い筑波山が見える。眼下には松田川ダム、そしてその一番手前に駐車場に置いてあるパジェロミニが肉眼で確認出来るほどだ。右手には猪ノ子峠へ伸びる尾根がすーっと伸びていくが、一本筋の稜線から切れ込む渓谷は遮るものもなく素晴らしい景観である。

     
駐車場が小さく見える    遠く筑波山がひときわ高い    恥ずかしながらセルフ撮り

 この眺望地より、猪ノ子峠と松田湖へと、ステンレスの道標が道を分ける。松田湖へは初め赤土の急降下。これが実に滑りやすくて難儀する。やがて北東へ向かう岩尾根となり展望はますます衰えない。今日のルートの中では最高の場所だ。また、道形はしっかりしてはいるものの幾らか藪っぽいところや痩せた岩尾根は程よく野趣があり、歩いていて実に楽しい。赤雪山も仙人ヶ岳も管理された登山道が多いのでで安心だが、やはり山道はこうした味わいも欲しいものだ。
 このコースとて特に危険な箇所はないが、他のコースと比較するなら幾らか難易度は高い。山を歩きはじめたばかりの方は経験者の同行が望ましいと思う。

     
松田湖へ向けて下る    猪ノ子峠へ向かう稜線    道形ははっきりしているが野趣溢れるコース

 途中、珍しい層状の露岩の脇を超えて暫くすると再びステンレスの道標がある。ここを見落として尾根を直進してもやがて別な林道に拾われダムに向かうようだ。

 岩尾根に別れを告げ右90度へ転換して高度を下げる。初めはスギの幼木が植えてある日当たりの良い道も、やがて落ち込むように植林帯へと突入していく。

     
珍しい岩が露出している    岩尾根もここまで    杉幼木の植林帯へ

 ひとしきり急な下りをこなしていくと突然作業林道の終端部へと飛び出す。見上げると、よくぞこんな所にルートを作ったものだなと、道を拓いた人のインスピレーションに脱帽。

     
急斜面が厳しい    作業林道へ飛び出す   

 林道をひたすら下っていくと突き当たりの沢で道は消失。その先の寂れた堰堤脇の踏跡を辿ると駐車場へとたどり着いた。見たところ、駐車場方面から林業用の重機が入るルートは無さそうなのだがこの林道が思ったほど荒れていないのが唯一不思議である。

寂れた感じの堰堤、駐車場はこの先

 GPSのログを見ると、沿面距離約9Km、累積標高+973mと結構ハードなコースであった。眺望が終盤の松田湖への下降区間だけというのが少し寂しいが、仙人ヶ岳と赤雪山を単独で歩くよりもずっと楽しみなコースであった。


概略コースタイム
駐車場発(08:25)-赤雪山登山口(08:36)-491mP(09:10)-赤雪山(09:39)-
585mP(10:23)-623mP(11:08)-仙人ヶ岳(11:52)-昼食休憩-行動再開(12:09)-
熊の分岐(12:33)-展望地561mP-岩尾根終了(13:13)-作業林道出合(13:24)-駐車場着(13:41)

2013年01月12日

大小山から大坊山周回


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --
関連山行記事
  2010年5月2日 住宅街の裏山、大坊山

 足利の人気の山、大小山を登った。

 コースは概ね「分県 栃木県の山」で紹介されているルートとし、微細なアレンジ(といってもすべて正規コース)を加えた。全般的に整備の行き届いた登山道なので危険箇所はまったく無いが、標高の低い里山だと思っていると疲労度は案外侮れない。カシミールのログを調べると累積標高差が+950mもあるので、尾根のピーク超えで如何にアップアダウンが多かったということが伺い知れる。また、一旦市街地に降り立ち、そこから大小山まで登り返すのがコースの最後に来るというのもなかなかハードであった。

 今日は全開晴れマークの予報なのに、空を見上げると何故かどんよりとした曇空。だが、西の山並みはオレンジに照らされている。このまま雲が去っていくいくことを願いながら車を走らせた。

 阿夫利神社へ着くと既に駐車スペースは埋まっている。少し手前にあるお寺さんの駐車場?が広々としており、こちらに車を置いて出発した。短時間で登れる山でまだ9時だというのに駐車台数も多く、人気が窺い知れる。

 見晴しコースは下山時に使うつもりなので、右手の妙義山コースに入る。初めは車でも走れそうな幅の広い道も、やがて溝が深くえぐられた道になると斜度が増してくる。溝は雨水が流れて出来たものなのだろうか。

     
住宅地の裏山といった趣    妙義山コースを登る    パジェロミニなら全然OKな道

 汗を拭う頃、妙義山の南東尾根に乗ればその先は葉の落ちた今の季節、実に気持ち良い稜線歩きとなる。

     
えぐられた登り    尾根筋は気持ち良い    だいぶ近くなってきた

 一箇所、小さな岩場がある。そこを登り切って振り返ると、眼下に広がる田園に一筋の煙が水平にたなびいている。水墨画を思わせる趣。里山ならではの光景であろう。

 この岩場の少し先に洞穴がある。覗きこむと結構深そうだが、一体何の目的で作られたものなのだろうか。自然に出来たものなのか。ミステリーである。

 更に進むと東から来る尾根道と合流する。この尾根を東に辿ると西場富士(159m峰)へ通じるという。次回この地を訪れる時はコースに加えると面白そうだ。

 妙義山の直下にはもう一箇所岩場がある。右手に巻き道はあるが、それほど高低差があるわけでは無いので取り付いてみる。ホールドも充分で全然問題なし。上部へよじ登ると丁度休憩中のグループの目の前に飛び出した。景色の良い岩場で休憩していたら、突然足元から顔が出てきたものだから、先方も多少驚いた様子(笑)

     
野火の煙がたなびく    何やら洞穴アリ    妙義山直下の岩場は巻かずにアタック

 ハイカーの数はひっきりなしの大小山、妙義山頂上も沢山の人達で賑わっている。今日は気温も高めなので人の出も一層多いのかも知れない。また、登山者のシルバーエイジ率が極端に高いようだ。自分も昨年の暮れに53歳となったが、出会う人々の様子を伺うにこの山域では未だ鼻垂れ坊主の部類だ。

 地形図では大小山と表記されているこのピークは妙義山と山名板に記され、一般的に大小山とされているのは南に少し下ったもう一つのピーク(天狗岩ピーク)である。

 妙義山からの眺望は360度の好眺望。心配していた空も西側はすっかり青空が広がり、遠く浅間山が見える。また、写真にはうまく収められなかったが、薄く富士山も望む事ができた。

     
妙義山頂上    西方面眺望    浅間山が遠く見える

 岩混じりの急斜面を降りて、一旦天狗岩ピーク(通称大小山)を踏む。後からよく考えたら、帰りに天狗岩の脇を通過するのでその時に踏めば良かったのだが、それでは何となく歩き残しがあるから・・・といった単純な理由(^^;

 天狗岩ピークは枝が邪魔しており妙義山ほどの眺望は無い。ハイカーも皆通過点と心得ている様子である。
 来た道を戻り、今度は越床峠へのルートに入る。

     
大小山頂上    大小山から妙義山    越床峠へ向かう

 妙義山~越床峠間は基本的に下り基調だが、途中幾つかピーク超えを重ねる。無名だが、振り返るとどれもそれなりに立派なピークである。
 ルートより見える風景は大坊山までのぐるりとした尾根周りが箱庭のように見え、地形図を俯瞰するような景色で面白い。

     
大坊山と麓への稜線が見える    いくつもこんなピークを超えていく    道標は流石に立派!

 途中の岩稜で一箇所痩せた箇所がある。そこにはひときわ目立つ特徴的な岩があり、この真ん中を抜くようにして渡る。安全極まりない今日のコースの中で若干危険があると言えば唯一ここだけかもしれないが、それもある程度慣れた人なら問題なし。はっきり確認していないが巻き道があったような気がするので苦手な方もきっと大丈夫だろう。
 ここより更に進むと先方に何やら山が削られている場所が見えてくる。

     
岩場の多い稜線は景色も良い    何やら大規模に山が削られている    大坊山が近づいてきた

 木々に囲まれた越床峠はひっそりと、そして道標が交錯しており、峠の雰囲気がよく伝わるたたずまい。此処より尾根を拾って北へと歩けば塩坂トンネル、須花トンネルをまたぎ、やがては赤雪山へと到達する遠大なルートが地形図から目に入ってくる。心惹かれるルートではあるが、距離的に何回かに分けなければ到底無理。だがいつの日か是非実現してみたいと思う。

 越床峠より登りに転じる。土が剥き出しの斜面は雨の後など滑りやすくて手こずるだろう。だが、今日は幸運にして乾燥したコンディション。しっかりグリップしてくれるので助かる。

 先ほど見えた掘削地へ到着すると、何やら山頂番屋なるものが建っている。個人の方が所有管理しているような雰囲気も見て取れるが、きっと地元では知られたことなのかもしれない。なお、「足利鉱山番屋」と銘うつように、この先のピークに突き上げるとそこが鉱山の山頂ということらしい。

     
越床峠    先ほど見えた掘削地    足利鉱山の山頂番屋だそうだ

 番屋脇から道は二分され、直進は鉱山山頂へ、左は巻き道となる。どちらも大坊山に通じるという事なので、折角ここまで来たのだから登ってみよう。

 一投足の登りの後、行き止まりに立入禁止のロープが張られている。その先はご覧の通り。目もくらむような崖の下には作業中のトラックや重機がゴマ粒のように見えた。左に目をやるとゴルフ場も広がり、景色としては少しいただけないが開放感はある。

     
   左、大坊山巻道 右、鉱山山頂経由大坊山    鉱山山頂より

 鉱山山頂より岩稜を大坊山へと向かう。途中にある見晴のよいつつじ山が今日の昼食ポイントである。
 以前、家内と大坊山に登ったことがあるが、その時にこのつつじ山がいかにも景色が良さそうだったのを記憶していた。今回は絶対此処で食事をすると決めていたのだ。

     
つつじ山へ到着    大坊山はすぐそこ    山川長林寺からの登りが懐かしい
つつじ 山より、歩いてきた稜線を望む

 向かいの山並みには先日歩いた両崖山から行道山が見える。群馬県側の山も少し霞んではいるが、よく見えるなかなかの眺望である。

 ベンチに腰掛けのんびりと昼食、そして食後のコーヒーを楽しむ。今日はルーファンのプレッシャーも無いし藪も無ければ特別にキツイ区間も無い。眼下のゴルフ場でプレーする人の声が時折風にのって流れてくる。生活の領域と隣接している風景は正に里山のダイナミズム?? さながら街のカフェでお茶を飲むようなゆったりとした時間を過ごすことができた。
(注)山を降りた自分は、街なかで一人カフェに入るような度胸とお洒落さとは全くもって無縁であることを加えておこう。

 大坊山では、60リットルはあろうかという大きなザックの若い母親が幼子たちに鍋で作ったうどんを食べさせているところだった。食材やら器具、子供達の為の細々とした用品まで全部背負いながら、まだ年端もいかぬ子供の手を引いて登るのも大変だろうと思うが、大山祇神社からだと距離も短いし道もしっかりしている。大坊山は子連れには最適な山なのである。子供たちも幼い記憶の中にこのハイキングがきっと鮮明に残ることだろう。

     
長林寺からの登山道との分岐点       大坊山からの下りはMTBの人は楽しそう

 大山祇神社まで降りると暫くはアスファルト道路歩き。道標が付けられているのでれきっとしたハイキングコースである。

     
大山祇神社前にて    アスファルト道もまたハイキングコース    住宅地に向かう
     
夏みかんの脇を進んでいく    意匠料とか払っているのか?    大坊山麓の旭幼稚園はここ
     
やまゆり学園を目指す    民家庭先の道標    舗装路を登る

 やまゆり学園を目指し、舗装路を登り切るとそこから再び山道。傍らの尾根に取り付き登っていく。一旦下山したかのような平坦路歩きの弛緩した筋肉にはいささか堪える登りである。背後の大坊山の高さがこちら側と変わらなくなってきたので、ほぼ登り返したという訳になる。登り切った箇所が大小山南尾根との合流点であり、ここからは東側の風景が見られるようになる。下のほうに、車を置いてきた駐車場が小さく見えた。

     
やまゆり学園脇から尾根に取り付く    先ほど下ってきた大坊山    駐車場が見えた
大小山を西から見る

 見晴台へと折れる分岐を下ると鉄の階段が現れ、これを降りると見晴展望台である。上を見上げると巨大な大小の文字が打ち付けられている。この真上が天狗岩ピーク(通称大小山)なので、朝から一日かけてほぼ一周したことになる。

     
見晴台へと向かう    鉄の階段を下ると・・・    近くで見るとなかなかデカイ

 下山は見晴コースの男坂を選択。女坂は谷沿いを行く穏やかな山道。男坂は岩混じりの激しい道のようである・・・と思って暫く降りると直ぐに仙間神社へ到着。

     
   ここも初日の出スポットなのだろう    奥の男坂を選択

 神社からは延々と石段が続くので、男坂の核心部は僅かの距離で終わり、やがてその石段も女坂と合流していよいよ今日のコースもお終いとなる。

     
あっという間に仙間神社    だが階段が続く    女坂のほうが階段無くて良さそうだが

 阿夫利神社脇には沢水が引かれている。冷たい水で顔を洗うと疲れが吹き飛ぶ心持ち。今日も無事に山行が終えられたことを神社に感謝しつつ駐車場へと戻った。

 最近の山行は必ず着替えを用意しており、汗を拭いて着替えてから車に乗ることにしている。今回は冷たい沢水で絞ったタオルで体を拭けたので、とりわけ爽快な締めくくりとなった。

     
阿夫利神社へ帰着    沢水で顔を洗ってさっぱり    広々とした駐車場

概略コースタイム
駐車場発(09:00)-妙義山(09:46)-大小山(09:57)-妙義山(10:09)-
越床峠(11:13)-足利鉱山番屋(11:25)-鉱山山頂(11:32)-つつじ山(11:52)-
昼食休憩-行動再開(12:35)-大坊山(12:49)-大山祇神社(13:05)-
やまゆり学園(13:45)-南尾根出会(14:20)-見晴台(14:30)-仙間神社(14:39)-駐車場着(14:54)

2012年12月23日

市街地の山、関東ふれあいの道を歩く


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 足利方面で市街地に隣接している両崖山と大小山、自分は未踏であるが、いつかそのうちということで伸び伸びになっていた。両崖山には天狗山経由で周回する手軽なコースもあるようだが、こちらは家内と一緒にのんびり歩くためにとっておこうと思う。

 今回は織姫神社を出発とし、行道山まで「関東ふれあいの道」をつたう縦走の計画とした。コースは「分県 栃木の山」でも紹介されている一般的なものである。行道山からの帰りは、朝のうちに浄因寺近辺にデポした自転車で約6Kmのサイクリングとなる。バスも一応あるのだが、一日に数本なので時間がぴったり合わせられるものでもない。

 鬱蒼とした杉木立の中、浄因寺から少し離れた名草巨石群方面へ向かう登山道の入り口に自転車をデポした。最近は施錠も手慣れたもので、ワイヤーロックを三本使って固定物に繋ぐようにしているのでそう簡単に盗難されることも無いだろう。盗む価値があるとは思えない程度の自転車だが、帰りの足として計画上重要な任務を帯びているが故にもし失うと大変痛い。毎回、「今日も無事に帰りまでそこに居てくれよ」と念じながら出発するのである。

 足利市役所を通り過ぎ、目的地の織姫神社駐車場に到着。織姫公園の駐車場は少し山に登った所にあるらいしいが、なにせ調査不足で場所がよく解らない。それよりも、自転車で帰ってくるなら登りがないほうが断然楽であろうと考え、神社階段下の駐車場がまだ空いていたのでこちらへ駐めることにした。

 こんな街のど真ん中に車を駐めて山に登るのは初めての経験で、周囲の目が気になり準備を進めるのも少々恥ずかしい。だが周りの車の人達もハイキングの恰好が多く、流石人気の山であることが伺える。

 横断歩道を渡り、よく清められた石段を登っていく。振り返ると街なかの駐車場に小さく駐まるパジェロミニが見えた。

     
織姫神社駐車場    石段を登る    パジェロミニはあそこ

 石段を登り切ると、鮮やなか朱塗りの織姫神社の社殿が目に飛び込む。後ろを振り向くと渡良瀬川が街を横切り、その向こうにポツンと浅間山が配されている風景がなんとも情緒がある。足利っ子にとってこの眺めは長年親しんだ愛すべき風景なのではないだろうか。

     
社殿脇もハイカーの姿が多い    渡良瀬川と浅間山   

 社殿脇を、道標に従い暫くは織姫公園の遊歩道を進む。山歩きという実感が無いが、段々奥に行くに従い岩礫に松が生える尾根になるといくらか登山道然としてくる。「関東ふれあいの道」として整備されているだけあって、行道山まで全般的に道幅も広く危険な箇所、道迷いの可能性がある箇所も皆無である。マウンテンバイクを担いで登っている人も何人か見かけたが、比較的平坦な箇所も多いのできっと楽しめるのであろう。そんな人気なコースなのでとにかくハイカーの数は多い。
 中でも、10人くらいのグループで全員一様にこの山に明らかに似合わない大型ザックを背負っている人達がいた。会話を小耳に挟んだところ、どうやら会の忘年会を兼ねた鍋山行のようで、「○○さん、その大きなザックの中は全部肉ですか?」などという会話も聞こえてきた。そんなイベントにももってこいの山なのだろう。

     
公園の中を行く    岩が細かく露出するもよく整備されている    とにかくハイカーの数が多い

 途中数カ所のビューポイントを経由して両崖山の山頂へ到着。山頂はかつての足利城址であり神社が奉られていた。年末のお清めであろうか、地元の方々が清掃に汗を流していた。

 登山道は安全に配慮されよく整備されているが、石段の多さにはやはり閉口する。道自体は崩壊しないので管理上安全なのだが、決して歩きやすいわけでもなく、また登山者の膝にも優しくはないのだ。

     
両崖山頂上    地元の方が清掃をしていた    続く石段にはいささか閉口

 舗装林道を横断する箇所から登り返すと、丁度北関東自動車道の「大岩トンネル」の真上を横断する。眼下の高速道路を走る車がその次のトンネルに吸い込まれていく風景を山登りで見るのも珍しいことである。

 大岩山へ到着。山頂には、「関東ふれあいの道」標記の巨大な標柱がある。木のベンチがあるが眺望は今ひとつである。ここは足利百名山らしい。

     
北関東道を西に見る       巨大標柱

 次に石尊山へ到着。地形図上では無名峰のここ441.7mPの石尊山は、行道山エリアの最高標高点であるが故に『行道山』とも呼ばれているようだ。地図に山名標記があった両崖山も大岩山も山名板が無かったし、ここ石尊山にもまた山名板が無い。常日頃歩いている山では、先日歩いた三床山から金原山に至る途中の無名ピークでさえ手製の山名板を見ているし、訪れる人が少なくない山は幾種類もの山名板が所狭しかけられているものだ。故にこれほど整備された山に山名板が無いのも少し寂しい気がした。「関東ふれあいの道」として行政が整備しているので、私設山名板や中途半端なものは掲示出来ないのかもしれないが。

 石尊山からの眺めはなかなか秀逸。登山中は今ひとつ空がすっきりしなかったが、何故か山頂で食事をしているうちにどんどん晴れてきて最後はご覧の通り。いつもより一層大きく見える富士山。遠く霞んで榛名山。少し奥に赤城山の山塊が見えて一番端には冠雪の黒檜岳。仙人ヶ岳の手前に目をやると、大きな台形の深高山から、あちらも同じ名前の石尊山の一帯が広がる。右手奥には見慣れないアングルの白根山、男体山と女峰山も遠く小さく見える。

 混雑していた山頂も団体さんが下山すると一挙に静かになる。いつも昼飯を食べに来ているという地元の単独ハイカー。話好きな彼とひとしきりの山談義の後、自分も山頂を後にした。


 山頂から降りていくと分岐があり、右手に下降していくのが登山道である。地形図を見ると直進は行道峠へ向かう破線ルートがあり、その途中に434mPがある。ここは道を外して真っ直ぐ進みピークを踏みたいところ。あっという間の距離だが、それまでのよく整備された遊歩道に比べるとどこかほっとするような落ち着いた雰囲気があり、心癒される思いがあった。434mPから先はなお一層踏み跡も薄く何処までも辿って行きたい気持ちに駆られたが、今日のルートとしては予定外の行動。この先、行道峠から馬打峠へは再び訪れる時の宿題としよう。

     
右浄因寺、直進434mP    やはりこういう雰囲気が落ち着く    ひっそりと434mP

 登山道に戻り高度を下げていくと小さな石像が沢山ある眺望の良いポイントへ出る。ここに有る寝釈迦は小さいながらも後ろに雄大な景色を背負っており、泰然としたものだ。こんな景色の良い所で寝っ転がって仏に成れるなら山好きなら願ってもかなったりじゃないかとふと思ったり。もっとも、日頃の行いで果たして成仏できるかどうかは知らぬ所だが(笑)

     
寝釈迦       最後の眺望

 寝釈迦から更に下ると、一気に植林の杉林へと飲み込まれていく。眺望はもうお終いである。

 行基上人開創と伝えられる浄因寺。下山のフィニッシュはこの独特な雰囲気を持つ古刹の境内を鑑賞しながら通過する。岩の上に配された「清心亭」と「天高橋」はひときわ目を引くが、現在は崩落の可能性が高く近づくことは出来ない。良い言い方をすれば、寺全体が渋く立ち枯れつつある雰囲気。逆に言えば廃れていると言った表現が正しいのか。

     
この真上が寝釈迦のある岩場    浄因寺境内    人家なのか寺なのか解らない不思議さ
     
猫が4匹ひなたぼっこ中    「清心亭」と「天高橋」は立ち入り禁止    第二の山門
     
埋もれかけた石仏に年代が感じられる    第一の山門    チャリデポ地へ到着

 自転車のデポ地へ着けば、後はダラダラな下りのサイクリングを残すのみである。軽く汗ばんだ体に、自転車で進む風が冷たくも少しばかり心地良い。田舎道はそんないつもの呑気さだが、街に近づくと無意識にすました気分になるから可笑しいものだ。ザックを背負った山の出で立ちで、ワインレッドの折りたたみ自転車に乗る中年の姿はどう見ても市街地には馴染まないなぁと苦笑しながら漕ぐペダルであった。

  
長閑な風景    無事車の元へ
帰路より歩いてきた尾根を振り返る

概略コースタイム
駐車場発(08:40)-両崖山(09:34)-北関東道真上(10:14)-
大岩山(10:53)-石尊山(11:11)-昼食休憩-行動再開(12:08)-浄因寺(12:42)-
自転車デポ地(12:58)-自転車走行-駐車場着(13:41)

2010年11月03日

唐沢山ドライブ

 男体山ファミリーも太郎山を登っていないのが今夏の忘れ物となってしまったが、もはや季節も秋から冬へと向かいつつある。

 文化の日、平野部は絶好の行楽日和であったが、これは西高東低の冬型気圧配置のお陰。西のほうへと目をやると標高の高い所には重厚な雪雲が押し寄せているように見える。

 ということで、前夜まで太郎山行きを画策していたのだが、ウェザーニュースの奥日光の荒天を見て中止とした。しかし、こんなピーカンの良い天気のもと、どこへも出かけないのも癪である。久々に家内と山行と思ったが、はて、急な計画でも楽々登山はどこかなと思案。

 唐沢山。Pから山頂まで15分。これ以上のお手軽さは無いだろうということで、ドライブも兼ねて出発した。

 まず初めは、下粕尾から大越路トンネルを抜けて永野へ。新蕎麦の幟に誘われて入った「ながの家」で蕎麦を食す。

 残念なことに新蕎麦は来週からということであったが、それでもなかなか美味い蕎麦である。突き出しのさしみこんにゃくも素朴な手作り感があり美味。茄子の漬物は柚子の香りがポイントで珍しい味わい。

     
ながの家    突き出しのさしみこんにゃくと漬物   

 永野より田沼を抜けて唐沢山へ。

 駐車場から山道は一切無く、神社の境内を歩いているうちに山頂へ到達。地図に三角点表記は無いが、山頂を記す箇所は神社の立ち入れない敷地内にあって踏むことは出来なかった。
 社務所脇から南の眺望があるが、遠く埼玉・東京方面の高層ビルが肉眼でたやすく見えるほど天晴れな景色である。此処でお湯を沸かしてコーヒータイムとした。
 駐車場脇に「天狗岩」なるポイントがあったので帰路に寄ってみると、西側の眺望がすこぶるよく、眼下に伸びる北関東道や遠く西方には浅間山もはっきりと見ることが出来た。

今回は山歩きとは決して言えないが、それでも一応「栃木百名山」。こんな山行もたまには面白いものだ。

 まだまだ時間があったので、道の駅ど真ん中田沼で買い物、その後、出流原弁天池にある福寿荘売店で揚げたての芋フライ。久々に観光的な休日であった。

     
唐沢山神社参道      
     
南方面    南西    都心方面高層ビル?
     
     
     
      天狗岩より
           
出流原弁天池の芋フライ      

2010年05月02日

住宅街の裏山、大坊山



-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 GW初日は久々の家内との山行である。足利方面は市街地からすぐ登れて景色の良い手軽な山が多い。一般向けのコースだと家内からクレームがつく可能性大なため、「こここそは」とかねてより心積もりをしていたラクラクコースの大坊山へ登ることにした。

 山川長林寺の駐車場に車を置き、綺麗に手入れされた池のほとりを回り込むと、大坊山ハイキングコース登山口が奥に続く。新緑が鮮やかな登山道は目に眩しく、時折ぽつりぽつりと咲くツツジがもう少し賑やかだった更に良かっただろう。

 途中で「初心者コース」と「上級者コース」に分かれるが、ガイドブックに従い上級者コースを選択した。両コースの違いは浅間山を巻くのが初心者コースというだけのことである。

 景色の無い浅間山頂上には石祠あり。"育児・安産の神"ということだが、我が家はすでに縁が無い。

     
山川長林寺脇より入る    新緑鮮やかな登山道    浅間山

 浅間山を降りて先ほどの初心者コースと合わせると、大きな舗装道路に一旦出る。通称自衛隊道路と言うらしい。車の往来が結構多いこの道路を横断(本日髄一の危険箇所?)すると向こう側に鎖が張られた林道があり、ここが本当の登山口になる。

 車が十分に通れるくらい幅の広い林道を歩いて行く。もみじ(カエデ)の類の眩しい新緑は、きっと秋の紅葉の時期も素晴らしいことであろう。

 林道の終点までなだらかに上り詰めると真新しい案内板があり、ここに再び「初心者コース」と「上級者コース」の分岐がある。上級者コースは尾根へ直登、初心者コースは遠回りだが景色の良いポイントを回っていくということだ。

     
自衛隊道路を挟み登山口       ここから本格的に山道

 しっかりと整備された山道は、斜度もそんなにきつく無いので脚への負担は軽い。流石初心者コース。だが思いのほか気温が高く、少し服装の選択をミスしたようで暑さが堪える。

 初めのうちは元気だった家内も、段々と足が止まる回数が増えてきた。それでも「見晴台」に着くと、市街地の見事なパノラマに迎えられ幾らか元気が出てきたようだ。

 見晴台から更に登って行っても好眺望ポイントが何箇所かあるので、初心者コースは正解である。

     
景色の良い初心者コースを選択    街の眺めが良い休憩ポイント    渡良瀬川 福猿橋方面
     
明るい尾根通し    もう一段標高上げて渡良瀬川方面    足利市街地

 健脚コースと合流し外周尾根に乗る頃になると、岩の小ピークを巻くルートに「シルバーコース」の道標が掲げてある。巻き道コースとかにすれば良いのにちょっとネーミングのセンスを疑いたいところだ(笑)

 大体「初心者コース」「健脚者コース」という割り切りもいただけない。フツーの人はどうするのよといった疑問を禁じえないところだ(笑)

 越床峠への分岐から大小山へ縦走も可能だが、今日は長距離は無理なのでここより大坊山を目指す。

     
岩の小ピークを巻く    標高が上がると薄紫のツツジが見られる    越床峠への分岐点

 岩交じりの最後の登りを頑張ると、だだっ広い大坊山頂上へ到着だ。現在では麓にある大山祇神社の社殿が山頂にあったらしく、社殿以外の付帯建物含め今でもその基礎石や土台が残っている。過去に落雷による火災があり焼失したという。

 山頂で食事をし、ゆっくりと休憩をした。初夏のような気温で流石に今日はバーナーでのお湯沸かしは無し。代わりに持ってきた氷入りのボトルから飲む水が格別にうまい。

 小さな子供と一緒の家族連れ、犬を伴った散歩風の山好きな男性に会う。話をすると何故宇都宮辺りからこんなマイナーな山へ?といった質問をされた。ガイドブックに載っていたからとだけ答えた。このあと、市街地をよく見渡せる道を下り、大山祇神社から更に住宅地へと降りていくとその理由がよく判った。

 長林寺側からだと気づかなかったが、住宅地の周りをぐるりと囲む、まさに"裏山"だったのだ。

 ちなみに、山頂で会った子供はまだ三歳くらいであろうか。大山祇神社からのピストンだから距離は短いが斜度はあぁまぁ有る。自分の背丈程もあるような階段を超えながら良くぞ自力で歩いてこれたなぁと感心した。傍らで家内は、あんな小さな子供でも登れる山という事に多少気落ちした様子でもあった。まぁ、トレーニングをしてそのうち古賀志山でも登ろうや。

     
最後の登り    だだっ広い山頂    下山路からも市街地が良く見通せる
     
住宅地から縦走路全景      

概略コースタイム
駐車場発(10:52)-浅間山(11:17)-自衛隊道路(11:31)-見晴台(11:54)-
外周尾根(12:17)-越床峠分岐(12:59)-山頂着(13:15)-昼食休憩-
再出発(13:36)-大山祇神社(14:00)-駐車場着(14:57)

2009年04月11日

桜を求めて大平山縦走


-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 桜が咲いたら行ってみたい山が大平山だった。短い花期とスケジュールがなかなか合わなかったが、今年はなんとかぎりぎりで間に合いそうだったので予定を組んだ。

 相棒のH君との山行は、最近ことごとく天気が不調というジンクスまがいな結果であったが、これを払拭するような好天の元、栃木市へ向かい車を2台走らせる。そう、今日はロングコース縦走である。天気予報では初夏並みの気温を告げていたが、高い気温がコースの後半我々の体力を如何に奪うかはこの時点でまだ知る由も無い二人であった。

 岩舟総合運動公園へH君の車を駐める。広大な駐車場なので気兼ねなく駐められるところが良い。ここからはパジェロミニでグレープロード(広域農道名)を東に走り、今日の登山開始点である大中寺を目指す。折からの花見シーズンなので、大中寺駐車場が一杯で駐められないのではないかという一抹の不安もあったが、着いて見るとかなり沢山駐められそうな駐車場もまだまばら。杞憂だったようである。朝早く出発したのも良かったのかもしれない。

 流石にメジャーコースだけあって、我々が準備をしている間にも中高年の大パーティが出発していく。最近一日中人に遇わないもしくはやっと遇うといった山歩きばかりしていたので、今日は賑やかな稜線を歩くことになりそうだ。

 大中寺の厳かな山門をくぐり、裏手の道標からいざ登山開始。初めはなかなかの急登で息が一気に上がる。よく歩かれているというよりも、縦横無尽に歩き尽くされているので何処を歩いて良いのかさっぱり見当が付かない。「こちらは巻いているがちょっと下っているようにも見えるのでやめよう」などと言いながら上がって見ると、先ほどの巻道が追いついてきたりすることが何回もあった。初めのうちは斜度の緩い巻道がメインだったのに気が短い人が直登しているうちにこちらの方が"主流"になってしまったのかもしれない。道とは、かくして出来上がるの好例である。

 暫く登ると、舗装林道に出て、その先に見覚えの有る茶屋付近に飛び出した。まだ、朝の早い時間なのに沢山の人が車で上がって来ている。
 この脇の石段を登り、まずは大平山神社方面を目指すのだが、本当は階段脇の尾根に取り付いて辿っていく予定だった。顕著な取り付き箇所が見つからなかったが、まさか衆人の眼前でバリバリと薮を分けて強行していくのも気が引けるので、今日はおとなしくこちらを行くべし。

     
大中寺駐車場    いざ登らん    茶屋脇から石段を登る

 階段が切れる辺りでここを直進すれば大平山神社に出るのは解っていたが、左手の尾根に早く乗りたかったのできょろきょろしていたら、入り口が薮に軽く覆われた解りづらい道形あり。少し追うと尾根の上に伸びているので、ひとけの無いこの辺りなら薮直登も構わないかと思っていた矢先に渡りに舟である。

 尾根に乗ってしまうと、いつもの静かな山の雰囲気が戻ってきた。緩やかな登りを行くと、立派な道標が出てくるし道もしっかり整備されている。流石は県立公園だけある。

 結界をくぐり、まずは本日の一番目、富士浅間神社のある大平山頂上を目指す。

 山頂は驚く程感動に欠けるといおうか、まるで資材小屋のような富士浅間神社の社と案内板があるのみ。社は正面も厳重に閉じて、盗難防止の為に賽銭箱も無い。これじゃぁ本当に資材小屋だ。「栃木の山140」に書いてあった北西の眺望は木が伸びてしまっていてもう無い。

 一応頂上を踏むということで、社の裏手が少し小高くなっているところに行ってから再スタート。朝からの暑さでいつもに比べて体力の消耗度が多いような気がする。

     
流石立派な道標    結界が厳か   

 山頂から西への少し急な下りをやり過ごすと、先ほどの結界の分岐点からの道と合流する。先には一旦跨ぐ車道が見えるが、その手前にある散った桜の花が敷き詰められた様子が綺麗だ。濃い紅と淡い色の花びらが混ざっているので殊更である。

 電波塔脇からぐみの木峠、ここから登りに転じていくと、南東にある古墳のような小山(中山の164mP)が見える。ここまで眺望が無かったので疲れも吹き飛ぶ思いである。

     
桜の花びら絨毯       中山方面

 今日の目当ての桜はというと、もう大分散り始めているようで一面見渡す限りの桜とはほど遠いが、それでも時折見上げると青い空にくっきりと淡い色が輝いている。

 せり出したような箇所があるので覗いてみると、パラグライダーの発進所であった。眼下に広がるブドウ団地。ハウスがキラキラと光っている。この景色に向かって飛び出す気持ちはどんなものだろう。一度やったらきっと病み付きになるんじゃなかろうか。

 ここから一登りで晃石山へ到着である。山頂は沢山のハイカーでごった返していた。

     
   パラグライダー発進所   

 北側の眺望は何処までも続くゴルフ場(後で地図を見たが、実際ゴルフ場だらけ)、西はこれから向かう馬不入山へ向かう途中のピークが見える。山の中に点在する桜が綺麗だ。

     
晃石山頂より北側    同西側   

 人の多い山頂を早々に辞して、西の尾根を下って行く。途中、立派な手すりがある箇所は足元がセメントで固められた石段で、かえって膝に優しくない。ちょっと過整備なのではとも思ったが、雨後の滑りやすい時は助かるだろう。

 立派な四阿があつらえてある桜峠に着くと、やはり沢山のハイカーが休憩をしている。清水寺経由の周回のポイントとなっているようだ。

     
   立派な手すりがある   

 大木の桜で賑やかな桜峠を後にして、馬不入山への道は幾つものピーク越え。朝からの暑さに加えてこの上り下りがボディブローのように効いてくる。
 とかく桜に目を奪われがちな山道だったが、ふと目をやると鮮やかな緑にもまた春の訪れを感じる。桜峠から西はめっきりハイカーの姿が目立たなくなってきて静かな山道である。

 途中のピークですれ違った60歳を過ぎたであろう男性2名に、「もうすぐですよ」と励まされてどうにか馬不入山の頂上へ立つ。時間は丁度12時。待ってましたとばかりの大休止だ。景色よりも昼食よりも、ザックを降ろして腰を下ろしてそして充分に休めるのが何よりも嬉しい。

     
桜峠の桜    緑も鮮やかに   

 お湯を沸かしていつものカップラーメンを作る。流石にこのくらいの陽気になるともうラーメンの時期も終いである。場所にもよるが、次回山行からはストーブの代わりに氷の入ったテルモスを装備リストに加えるべきであろう。

 さてさて、すっかり疲れた感じではあるが、初志貫徹で今回予定の大明神山を目指して山頂から北の尾根に入る。歩きはじめてすぐに北側の眺望が拡がるポイントがあるが、山頂に比べるとこちらの方が景色は遙かによいので、食事をここですれば良かったと悔やまれる。

     
   馬不入山より北に下山途中の眺望   

 はじめのうちは急だった下りも段々と緩くなると、シイタケ栽培なのであろうか、所々に種木が積まれた所を歩いていくようになる。北斜面である林の中には、時々はっとするような鮮やかな桜が静かに咲き誇っていたりする。こちらのコースは歩く人も殆ど居ないようで、朝から続く人の多さからやっと解放された気持ちになった。

 一旦林道をまたぎ、大明神山を目指す道へ再び入っていく。ここまで静かな山道ではあったが、それでも後続を付けていた2グループはいずれも林道を下って行ったようである。我々も体力的には林道を下りたい気分ではあったが、アスファルトで膝を痛くするならまだ土の上で汗をかいたほうがよかろうと思った。

 山頂へは幾つかの小ピーク越えになるが、体力的にかなり一杯一杯になっているため、やっと登り切ってもまだまだ先の繰り返し。足腰の疲労といおうか、暑さバテで体の芯から疲労が来ている、そんな感じだ。

 幾度もの小ピークに騙されながらもやっと大明神山へ到着。さほど期待はしていなかったが、北側の眺望はなかなかである。

     
大明神山を目指して静かな道へ       大明神山頂上

 後は下るだけだが、怪我などしてはつまらないので充分鋭気を養って最後の行程に臨む。日はまだ高いので焦る必要も無い。

 先ほどまでの大平山主脈に比べればいかにも里山然とはしているが、それでも充分に整備されていると感じられる道を下っていく。途中から尾根を外れて、木材の切り出し用の溝を辿っていくようになるが、尾根とは平行しているようなので間違いは無さそうだ。

     
山頂より北側    同左    丸太搬送路を下る

 特にうるさい薮なども無く無事に里に到着した。駐車地の総合運動公園までの約1kmのアスファル歩きがことのほか堪える。やっと着いた駐車場では、車のエアコン全開にほっと一息つく我々であった。

 古賀志山同様、街に隣接するこの山域はいろいろとコースも豊富で楽しめるエリアのようである。是非再訪したいと思うが、暑さと眺望を考慮するとやはり晩秋以降にしたほうが無難かもしれない。

  
里に到着   

概略コースタイム
大中寺駐車場発(8:52)-神社石段前(9:18)-大平山(9:46)-ぐみの木峠(10:01)-パラグライダー発進所(10:25)-
晃石山(10:37)-桜峠(11:13)-馬不入山(11:54)-昼食休憩-山頂発(12:34)-林道跨ぎ(12:58)-
大明神山(13:35)-里に復帰(14:09)-岩舟総合運動公園駐車場着(14:25)


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