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桜を求めて大平山縦走

アーカイブ:県南の山達  日時: 2009年04月11日 21:35

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 桜が咲いたら行ってみたい山が大平山だった。短い花期とスケジュールがなかなか合わなかったが、今年はなんとかぎりぎりで間に合いそうだったので予定を組んだ。

 相棒のH君との山行は、最近ことごとく天気が不調というジンクスまがいな結果であったが、これを払拭するような好天の元、栃木市へ向かい車を2台走らせる。そう、今日はロングコース縦走である。天気予報では初夏並みの気温を告げていたが、高い気温がコースの後半我々の体力を如何に奪うかはこの時点でまだ知る由も無い二人であった。

 岩舟総合運動公園へH君の車を駐める。広大な駐車場なので気兼ねなく駐められるところが良い。ここからはパジェロミニでグレープロード(広域農道名)を東に走り、今日の登山開始点である大中寺を目指す。折からの花見シーズンなので、大中寺駐車場が一杯で駐められないのではないかという一抹の不安もあったが、着いて見るとかなり沢山駐められそうな駐車場もまだまばら。杞憂だったようである。朝早く出発したのも良かったのかもしれない。

 流石にメジャーコースだけあって、我々が準備をしている間にも中高年の大パーティが出発していく。最近一日中人に遇わないもしくはやっと遇うといった山歩きばかりしていたので、今日は賑やかな稜線を歩くことになりそうだ。

 大中寺の厳かな山門をくぐり、裏手の道標からいざ登山開始。初めはなかなかの急登で息が一気に上がる。よく歩かれているというよりも、縦横無尽に歩き尽くされているので何処を歩いて良いのかさっぱり見当が付かない。「こちらは巻いているがちょっと下っているようにも見えるのでやめよう」などと言いながら上がって見ると、先ほどの巻道が追いついてきたりすることが何回もあった。初めのうちは斜度の緩い巻道がメインだったのに気が短い人が直登しているうちにこちらの方が"主流"になってしまったのかもしれない。道とは、かくして出来上がるの好例である。

 暫く登ると、舗装林道に出て、その先に見覚えの有る茶屋付近に飛び出した。まだ、朝の早い時間なのに沢山の人が車で上がって来ている。
 この脇の石段を登り、まずは大平山神社方面を目指すのだが、本当は階段脇の尾根に取り付いて辿っていく予定だった。顕著な取り付き箇所が見つからなかったが、まさか衆人の眼前でバリバリと薮を分けて強行していくのも気が引けるので、今日はおとなしくこちらを行くべし。

     
大中寺駐車場    いざ登らん    茶屋脇から石段を登る

 階段が切れる辺りでここを直進すれば大平山神社に出るのは解っていたが、左手の尾根に早く乗りたかったのできょろきょろしていたら、入り口が薮に軽く覆われた解りづらい道形あり。少し追うと尾根の上に伸びているので、ひとけの無いこの辺りなら薮直登も構わないかと思っていた矢先に渡りに舟である。

 尾根に乗ってしまうと、いつもの静かな山の雰囲気が戻ってきた。緩やかな登りを行くと、立派な道標が出てくるし道もしっかり整備されている。流石は県立公園だけある。

 結界をくぐり、まずは本日の一番目、富士浅間神社のある大平山頂上を目指す。

 山頂は驚く程感動に欠けるといおうか、まるで資材小屋のような富士浅間神社の社と案内板があるのみ。社は正面も厳重に閉じて、盗難防止の為に賽銭箱も無い。これじゃぁ本当に資材小屋だ。「栃木の山140」に書いてあった北西の眺望は木が伸びてしまっていてもう無い。

 一応頂上を踏むということで、社の裏手が少し小高くなっているところに行ってから再スタート。朝からの暑さでいつもに比べて体力の消耗度が多いような気がする。

     
流石立派な道標    結界が厳か   

 山頂から西への少し急な下りをやり過ごすと、先ほどの結界の分岐点からの道と合流する。先には一旦跨ぐ車道が見えるが、その手前にある散った桜の花が敷き詰められた様子が綺麗だ。濃い紅と淡い色の花びらが混ざっているので殊更である。

 電波塔脇からぐみの木峠、ここから登りに転じていくと、南東にある古墳のような小山(中山の164mP)が見える。ここまで眺望が無かったので疲れも吹き飛ぶ思いである。

     
桜の花びら絨毯       中山方面

 今日の目当ての桜はというと、もう大分散り始めているようで一面見渡す限りの桜とはほど遠いが、それでも時折見上げると青い空にくっきりと淡い色が輝いている。

 せり出したような箇所があるので覗いてみると、パラグライダーの発進所であった。眼下に広がるブドウ団地。ハウスがキラキラと光っている。この景色に向かって飛び出す気持ちはどんなものだろう。一度やったらきっと病み付きになるんじゃなかろうか。

 ここから一登りで晃石山へ到着である。山頂は沢山のハイカーでごった返していた。

     
   パラグライダー発進所   

 北側の眺望は何処までも続くゴルフ場(後で地図を見たが、実際ゴルフ場だらけ)、西はこれから向かう馬不入山へ向かう途中のピークが見える。山の中に点在する桜が綺麗だ。

     
晃石山頂より北側    同西側   

 人の多い山頂を早々に辞して、西の尾根を下って行く。途中、立派な手すりがある箇所は足元がセメントで固められた石段で、かえって膝に優しくない。ちょっと過整備なのではとも思ったが、雨後の滑りやすい時は助かるだろう。

 立派な四阿があつらえてある桜峠に着くと、やはり沢山のハイカーが休憩をしている。清水寺経由の周回のポイントとなっているようだ。

     
   立派な手すりがある   

 大木の桜で賑やかな桜峠を後にして、馬不入山への道は幾つものピーク越え。朝からの暑さに加えてこの上り下りがボディブローのように効いてくる。
 とかく桜に目を奪われがちな山道だったが、ふと目をやると鮮やかな緑にもまた春の訪れを感じる。桜峠から西はめっきりハイカーの姿が目立たなくなってきて静かな山道である。

 途中のピークですれ違った60歳を過ぎたであろう男性2名に、「もうすぐですよ」と励まされてどうにか馬不入山の頂上へ立つ。時間は丁度12時。待ってましたとばかりの大休止だ。景色よりも昼食よりも、ザックを降ろして腰を下ろしてそして充分に休めるのが何よりも嬉しい。

     
桜峠の桜    緑も鮮やかに   

 お湯を沸かしていつものカップラーメンを作る。流石にこのくらいの陽気になるともうラーメンの時期も終いである。場所にもよるが、次回山行からはストーブの代わりに氷の入ったテルモスを装備リストに加えるべきであろう。

 さてさて、すっかり疲れた感じではあるが、初志貫徹で今回予定の大明神山を目指して山頂から北の尾根に入る。歩きはじめてすぐに北側の眺望が拡がるポイントがあるが、山頂に比べるとこちらの方が景色は遙かによいので、食事をここですれば良かったと悔やまれる。

     
   馬不入山より北に下山途中の眺望   

 はじめのうちは急だった下りも段々と緩くなると、シイタケ栽培なのであろうか、所々に種木が積まれた所を歩いていくようになる。北斜面である林の中には、時々はっとするような鮮やかな桜が静かに咲き誇っていたりする。こちらのコースは歩く人も殆ど居ないようで、朝から続く人の多さからやっと解放された気持ちになった。

 一旦林道をまたぎ、大明神山を目指す道へ再び入っていく。ここまで静かな山道ではあったが、それでも後続を付けていた2グループはいずれも林道を下って行ったようである。我々も体力的には林道を下りたい気分ではあったが、アスファルトで膝を痛くするならまだ土の上で汗をかいたほうがよかろうと思った。

 山頂へは幾つかの小ピーク越えになるが、体力的にかなり一杯一杯になっているため、やっと登り切ってもまだまだ先の繰り返し。足腰の疲労といおうか、暑さバテで体の芯から疲労が来ている、そんな感じだ。

 幾度もの小ピークに騙されながらもやっと大明神山へ到着。さほど期待はしていなかったが、北側の眺望はなかなかである。

     
大明神山を目指して静かな道へ       大明神山頂上

 後は下るだけだが、怪我などしてはつまらないので充分鋭気を養って最後の行程に臨む。日はまだ高いので焦る必要も無い。

 先ほどまでの大平山主脈に比べればいかにも里山然とはしているが、それでも充分に整備されていると感じられる道を下っていく。途中から尾根を外れて、木材の切り出し用の溝を辿っていくようになるが、尾根とは平行しているようなので間違いは無さそうだ。

     
山頂より北側    同左    丸太搬送路を下る

 特にうるさい薮なども無く無事に里に到着した。駐車地の総合運動公園までの約1kmのアスファル歩きがことのほか堪える。やっと着いた駐車場では、車のエアコン全開にほっと一息つく我々であった。

 古賀志山同様、街に隣接するこの山域はいろいろとコースも豊富で楽しめるエリアのようである。是非再訪したいと思うが、暑さと眺望を考慮するとやはり晩秋以降にしたほうが無難かもしれない。

  
里に到着   

概略コースタイム
大中寺駐車場発(8:52)-神社石段前(9:18)-大平山(9:46)-ぐみの木峠(10:01)-パラグライダー発進所(10:25)-
晃石山(10:37)-桜峠(11:13)-馬不入山(11:54)-昼食休憩-山頂発(12:34)-林道跨ぎ(12:58)-
大明神山(13:35)-里に復帰(14:09)-岩舟総合運動公園駐車場着(14:25)


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コメント (5)

けむ:

まっちゃん こんばんは。

暑いなか長いルートをお疲れ様でした。
私のA4ノートではルートの半分しか表示しませんw
最後の図はカシミールですか?
登ったり下ったりで、私がいつも行くような山の4つ分くらいですね。


ところで先日、足尾に用があって古峰ヶ原高原経由で行ってきました。
峠の手前から振り返ると衝立みたいなカッコいい稜線が見えました。あれが地蔵岳~夕日岳ですかね。
例によって地図もコンパスも持っていかなかったので、同定が出来なくて残念だったです。

まっちゃん:

けむさん、どうも。

ルート図はスクロールバーでスクロールして頂くと全部見ることが出来ると思います。
(見づらくてすみません)

いやぁ、とにかく暑くて大変でした。
最後の大明神山の登りは、「八甲田山」のようでした。

私:「H隊員!ピークが見えてきたぞ。あと少しだ頑張れ!」 と言いながら自分も必死。
H:「隊長!此処はピークではありません。自分はもう駄目であります」

というのは冗談として、結構悲壮感がありました。正直辛かったぁ。

地蔵岳~夕日岳の稜線は、古峰神社から上に登る道路から見ると、ドーン!としてて恰好良いです。

Non:

 こんばんは。また時間を改めて改めてお邪魔します~ スミマセン(^^;)
とりあえず足跡だけ…

Non:

 こんばんは。改めて、暑い中お疲れ様でした~ 最後のグラフで見ると、いかに最後の
大明神山が登って下って…か、よく解りますね。
 その大明神山、けっこう懐かしいです。まだ山歩きに慣れない06年、「ゆうゆうゆ」
さんのHPを見ながらプランを練ったんですよ。一度林道まで下って登り返したので、
やれやれ…な状態で到着したのを覚えています。まだ展望がキープされているんですね。
 ⇒http://www.geocities.jp/yamatrekking/200605/0515/uma.html
  (↑ リンクが切れている。直さなきゃ… ^^;)

 それと、車2台での出動はこういう時に便利ですよね~ 前回、太平山~馬不入山まで
縦走した際、ずっと林道を歩いて戻ったので… まあ、桜の時期だからこそ飽きずに
歩けたのかも… 我が家は何となく、"太平山=桜の時期に歩く山"になってます(^^)

まっちゃん:

 Nonさん、こんばんは。

 まずはじめに・・・
 投稿されたのにすぐ反映されないですみませんでした。

 実はSPAM対策で、コメントにURLを含んだ場合は投稿を一旦保留にして、内容を見てから公開するようにしています。
 というのも、コメントもそうですがトラックバックは酷い時は一日数百も投稿があり、その殆どが英語だけの"荒らし"トラックバックです。

 当ブログは基本エンジンにMovableTypeを使っていますが、SPAM対策のプラグインだけではまだまだ不足なので独自にカスタマイズしています。ちょっと厳しい設定になっているので今回の事のようになってしまい申し訳ありませんでした。ユーザー名とパスワードでログイン方式にすればそんな必要も無いのですが、それじゃぁMixiになっちゃいますよね(^^;

 で、本題に戻って、

「ゆうゆうゆ」さんの所の地図、今回は大変お世話になりました。以前Nonさんの所で紹介されていたのでずっと眺めていたのですが、この地図が無かったら私のロング縦走の計画は無かったでしょう。

 Nonさんの2006年の記事を読み返して、「あぁ、こんなにも緑鮮やかなんだなぁ」と素直に思いました。枯葉の絨毯の季節も終わり。これからは・・・

 虫除けスプレー作らなきゃ!


 

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