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薮をかき分け雨乞山

アーカイブ:宇都宮近郊の山達  日時: 2009年01月25日 22:19
-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 最近やたらと仕事が忙しい。この景気低迷の時代に仕事が有るというのは幸せな事かも知れないが、「有りすぎる」というのも困ったものである。30代の頃も猛烈に忙しかった時期はあったが、当時は仕事で燃え尽きた感があり家では脱力していたものだ。最近は忙しくともどこか余力を残す知恵がついたようで、これをずるいと言うか賢いというか、50歳を目前にしてもまだどちらかはっきりとは判らないものである(^^;

 で、まぁ普通なら日曜くらい家でゆっくりといった所だが、日頃クヨクヨする時間の多い中高年にとって黙々と汗を流すのは精神的にも大いに結構。だが、ジムに会費を払ってマシンの上でハムスターみたいな真似事は性に合わない。やはり自分は山である。

 寒さもいよいよ本番を迎える"薮山の旬"、日曜の午後に地図に山名も無くば、ルートも不明な雨乞山(あまごやま){360m級}へ向かった。

 雨乞山は、かねてより新里街道を日光方面に車で向かう際に、その形の良い姿が気になっていた。また、男抱山からも西に、その鋭敏なピークが認められ、あそこに立てないものかと思っていたところ、ブログ仲間のけむぞうさんが先日歩かれたのが刺激になり、是非自分もと思い立ったのである。

 鞍掛山へ向かう道の石鳥居のある手前、少し左側にスペースが膨らんでいる所に車を置く。ここから田んぼのあぜ道を失礼させていただき、チェーンで封鎖された舗装林道を進んで行く。

 真新しい砂防ダムがあったり、なかなか整備が行き届いた感じの植林地は奥に行くとやや荒れてくるが、まだ舗装道路はしっかりしている。あらかじめ地図で検討しておいたポイントから薮が生い茂る斜面へ取り付いた。道も踏み跡も皆無だが、標高にして30m~40mも登れば尾根筋に出る筈だから何とかなるだろう。

 序盤は伐採された緩斜面なので楽に登れた。そのうち薮と倒木が出てくると斜度も手伝ってなかなか手強くなってくる。安全で体力を消耗しないコース取りは案外難しいものだ。

     
舗装林道入口    ここから左へ取り付く    行く手を阻む薮

 尾根に出てみると鉄条網が稜線伝いに張られている。隣が射撃場なので(今は使われていない感じがする)危険防止の為に立ち入り禁止のようだ。手入れがされていないで数箇所破れている所もある。下を窺うと、射撃場方面に下っていく踏み跡が微かにあるので往来があるようである。

 尾根も容赦の無い薮に覆われているが、なんとかストックで払いながらやり過ごす。やがて現在伐採が進行中のエリアになり、薮とは一旦お別れになった。

     
尾根上に鉄条網が    尾根上も薮が    植林地を登る

 チェーンソーを使って上手に椅子とテーブルがあしらえてあったり、真新しい切り株があちこちにあるところを見るに、平日に作業員の方が作業している様が目に浮かぶようである。
 稜線を段々登り詰めていくと鉄条網も無くなり雰囲気も明るくなってくる。西側に枝の合間から見える鞍掛山のシルエットが大きい。

 最後の電車道のような登りを終えると、そこが一つめのピーク。西峰である。景色はかろうじて枝の合間に西側北側が少しといったところだ。

     
きこりの休憩所    鞍掛山が見える    西峰

 西峰から一旦鞍部に降りるのだが、薮に覆われていて尾根筋がよく見えない。少し南に下る方向に踏んだ感じがあるのでこちらを辿る。方角をロストしないようにトラバース気味に降りると古い作業道に出会う。少し先を見ると鞍部より若干下げた南側に続いているのが見えたので、そこまで進み再び尾根に取り付き直す。やたら棘の多い薮なので難儀した。今日はこんな薮なのに軍手を忘れた事を大いに後悔する。取り付いた尾根から西峰への踏み跡がばっちりと付いていたので、やはり入り口を見落としたのだ。

 ここからは案外しっかりした尾根道が続くが、中央峰(雨乞山)直前の急登はなかなかきつい。枝や根を頼りに息き切らせながら登り切ると、やや明るいもののそこもまた眺望に乏しい。山頂の北側は結構鋭敏に切れ落ちていて凄みがある。

 中央峰から南東への高度下げが難しかった。踏み跡は深く落ち葉に覆われていて、とにかく安全に行ける所を選んで進むといった感じで気が抜けない。難しかった箇所をやり過ごし、鞍部前の小ピークで再び薮に隠された尾根筋を見過ごす。よくよく見ればはっきりとわかるのだが、若干巻くのだろうなどと勝手な想像で踏み跡の濃い方を辿るとどんどん高度を下げていくので間違いに気付いた。リカバリして、薮をほんの少し掻き分ければ今度は軽快な尾根道である。なかなか一筋縄ではいかないが、メリハリが効いていて楽しい山歩きである。

     
西峰から再び鞍掛山    中央峰(雨乞山)    軽快な尾根道

 東峰(333mP)への登りは案外平穏。もう一息という所で岩が見えてきた。そこから眺望があるのかと期待をしながら登るも、ここもうっすらと南の雲雀鳥屋方面が見えるのみ。

 東峰からはの下りは特に迷うポイントも無い。一番東側の四つ目の展望峰へ向かう中間点を下山ポイントと考えていた。ところが、様子を伺うとかなりの激薮でちょっと手に負えそうも無い。展望峰まで行ってその先の尾根を降りられなかったら戻るしか無いかぁと腕時計に目をやりながら進んでいく。

 鞍部では北側から作業重機用の砂利林道が上がってきている。と、同時に樹に赤テープが巻き付けられていてにわかに人の手の入った気配が濃くなってきた。それまで野生の中を彷徨うようにして歩いてきたせいか少しほっとしたのも事実である。

     
東峰直下の岩    岩から雲雀鳥屋方面    展望峰手前鞍部

 一登りして展望峰へ到着。パッと東側に開けた眺望が目に眩しい。今日のご褒美にしばし休息だ。

展望峰より宇都宮市街

 さぁ、下山はどうしよう。先ほどの鞍部まで降りて薮を突破しようか。南の尾根はどうだろうと偵察すれば、赤テープが続く。良く踏まれているし、手堅くこちらだなと即断だ。{薮はちょっと食傷気味}(^^;

 深い落ち葉に転びそうになりながら降りていくとやがて車道の向こうにパジェロミニの姿が見えてきた。けむぞうさんコースでどんぴしゃ着地成功!

     
茗荷沢寄りにて    手前展望峰,左奥鞍掛山   

概略コースタイム
駐車地発(13:19)-林道から取り付き開始(13:34)-尾根(13:43)-東峰(14:08)-中央峰(14:37)-
コースアウトで約10分ロスト-東峰(15:00)-展望峰(15:17)-駐車地着(15:38)

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コメント (6)

けむ:

まっちゃん、お疲れ様でした。

GPSのログを見て自分の歩いたルートがやっとわかりました。
私は東峰の333m峰を東峰へのアプローチだと思ってました。なーんてこったい。
広い作業道は展望ピークとの鞍部だったんですね・・・
結果オーライなナビゲーションだったと知ってちょっとヘコんでいます。
こうなったら、いよいよハンディGPSが欲しくなってきました。
が、先立つものが・・ゲフンゲフン

Non:

 こんばんは。レポート拝見しました。おっしゃっていた通り、これぞ薮山という山を歩かれたんですね~
これまで山名も聞いたことなかったんですが、地形図に見慣れてきたんでしょうね。「射撃場」と
その向かいの沼(?)の絵で、鞍掛山の近くだと解りました。我ながら、なかなか…と思っちゃいました(^^;)
 話を戻して、雨乞山。しっかりと手入れが行われている山のようですね。鞍掛山も山頂の少し先に
間伐も何もされていない植林帯があって、すごく暗いなぁと感じるんですが、そういう山ばかりでは
ないんだと、ちょっと嬉しくなりました。

 で、私自身は、この山は難しいかなと思います。踏み跡の無い箇所は不安ですし、やはり激薮は
避けたいかな~、と…。でも、展望峰は魅力的ですね。安堵感が文面からよく伝わりました(^^)

まっちゃん:

雨乞山は紛らわしい小ピークが幾つかあって現在地の同定が難しいですね。

GPS持っているとテストでカンニングしてるみたいでズルっぽいですが、私は迷わない自信はまったく無いので手放せませんです。
もっとも地図内蔵とはいえ20m等高線。また、GPSで捕捉している現在地と等高線と実際の眼前の状況が噛み合わないことがたまにあり、紙の読図とはまた違った慣れが必要な部分もあります。
ただ一つだけ確実に判るのはルートを大外しした場合。これは私の場合何度も救われています。

薮山歩きのエキスパートであるけむさんがGPSを持ったら文字通り鬼に金棒ですよー。
GarminのGPSは日本語対応でなければ結構安く手に入りますので是非ご検討を。

まっちゃん:

Nonさん、こんばんは。

激薮には少々懲りましたがそれなりに面白かったです。
今の時期だけですね。ああいった所を歩けるのは。

草が出てきたら、私の嫌いな蛇や蜂が闊歩する領域に成るはずなのでちょっと怖くて近づけません(笑)

伐採地の椅子テーブルセットは可笑しかったです。
私もこっそり腰掛けてきましたよ。

せろー:

まっちゃん こんばんわ 

今日は近くの山 次石山472.9mに行ってきました。n36.37.03 e139.43.00
南側の小ピークが3年前に山頂部が山火事で燃え 木々がちょろちょろの禿山になっていたので
さぞや眺めがいいだろうなと狙っていたのです。

山根の喜久沢神社から登って通称見野山~山火事山?~次石山~親指石~平野と縦走してきました。

山火事山(かってに命名)は思ったとおり 視界は東南西方向240度遮るものなく絶景でした。
しかし後二三年したら 松の幼木が生えてきているのでもう見えなくなってしまうでしょう。

下山途中に 親指石と呼ばれている巨大な岩塔「鎖場つき」もありとても楽しめた山旅でした。

いつも まっちゃんにいい里山のルートを教えてもらってますが 今日登ったコースは自信を持ってお勧します。
ぜひ登ってみてください。 

まっちゃん:

せろーさん。どうもです。

次石山。川化山の山頂の丁度真向かいに見えました。
以前から気にはなっていたのですが、ルートがいまいちよく判らなくて今日に至っています。

なるほど。南東からアプローチして一旦山を越して鞍部から次石山、東に転じて尾根づたいに降りてくる感じでしょうか。

是非歩いて見たいものですが、道の様子はどうでした?
かなり尾根谷がはっきりしていて、等高線の間隔が狭い所も多いので、迂闊に入れない感じはするのですが。樹が大きくなる前に是非登りたいと思います。

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  • 散歩エクスペディション
    薮山に目覚め始めた頃、毎日飽きずに見ていました。今日の自分に影響大なり。薮山歩きではメンタル面の我が師匠、けむぞうさんのサイトです。ブログのほうも面白くてお勧めです。(そこナニBlogで検索してね)
  • 里山逍遥
    栃木の山とその周辺の低山を巡る日々「里山逍遥」。もぉ、このタイトル見ただけで直ぐに相互リンクを申し込んでしまいました。新田次郎さんと飲んだことがあるという凄い方です。登山に対するフランクな考え方も共鳴できます。
  • リンゴの叫び!
    季節の移ろいと自然の姿に心惹かれるブログ主さんの記事は、山好きな人ならきっと共感することと思います。自分も長い間隠れファンでしたが、この度相互リンクさせていただきました。
  • 北関東の山歩き
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  • PIAN PIANO.
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