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観音寺山と下猪倉370m級ピーク

アーカイブ:宇都宮近郊の山達  日時: 2009年04月05日 21:30
観音寺山(猪倉城趾) 下猪倉370m級ピーク

-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 今回は里山シリーズ番外編で、いわば取りこぼしルートでも言おうか、一日企画にするには少しスケールの小さな2箇所を歩いてきた。

 猪倉にある観音寺山(猪倉城趾)は板橋の城山からその東の向山(384mP)とセットで3座を繋げて歩こうと考えていた。だが、アスファルト路で分断された区間を歩くのがどうにも気が乗らなかったので、観音寺山を単発で登ることにした。本日の行動予定は午前中だけであるが、この一座だけだと少し物足りないので、以前盗人岩から見た昭和ケミカル北面の小高い岩山を訪れるのもセットとした。

 まず初めに観音寺山から。猪倉城趾への登路は、麓にある泉福寺からのアプローチがメインルートのようである。泉福寺付近には旧今市市が設置した道標が随所にある。

 早い時間故、人の気配の無い寺の駐車場に車を置かせていただき、身支度を整える。本堂脇から石段を登ると奥の方に猪倉城趾方面の道標があるのでそちらへと進む。

     
泉福寺    境内より石段を登る    奥に猪倉城趾の導標

 道は大変よく歩かれており、途中に石鳥居がある。ここをくぐると、泉福寺建立の大きな石祠がある。また、上に登るに従い、城郭を偲ばせる土塁の跡や、斜面に作られた平坦地(何か施設があったのだろう)なども随所に見られる。大谷の多気山南面を歩いた時も大規模な山城の遺構を実感したが、この山もかつては堅牢な山城だったのだろう。

     
   泉福寺建立の石祠    道はしっかりしている

 途中に一箇所だけ道が崩落している部分があったが、薮山ハイカーとしては全く問題なし。家族連れの小さなお子さんや高齢者の方は注意されたし・・・というか、そういう人はこんな地味な所に来ないか(笑)

 そんな感じでつらつらと歩いて行くと、「此処に猪倉城ありき」という立派な石碑が出現。この脇の小高い所に、猪倉城を解説する案内板と、石鳥居の奥には石祠も祀られている。木の上には白い梵天が掲げられていた。

     
途中崩落箇所あり    立派な石碑   

 案内板には420mの山頂にあるとされているが、ここは400mピークであるので説明と食い違うのでは無いかと思うが、どうやら快適な登山道もここまでのようである。石祠の裏手からこの先の西側は、道無き尾根を進むことになる。

 地図には現れない鋭く削られた凹凸、これもやはり山城としての細工なのだろうか。今までに見たことのない複雑な地形を辿るのは楽しいものである。

     
城趾説明板箇所にも石祠    ここからは道無き尾根に   

 頂上尾根に乗ると、南側の枝の合間から先日歩いた岩崎地区の山並みが見えた。眺望に乏しい往路だけに、ふと足を止めて暫し休憩を取る。

 この後は、僅かにシノ薮を漕いで山頂到着。山名板は無く、三角点標石と標高を記したプレートがひっそりとと出迎えてくれた。このプレートは『栃木の山紀行』さんが設置されたものであろう。山頂は樹に覆われていて眺望は無い。

 山頂直前から気になっていたのが、西側の産廃処分場から流れてくる異臭。酸っぱい感じのこの匂いは恐らく有機物浄化槽の汚泥の匂いだと思うが、静かな山歩きだっただけに少々残念な思いである。

     
南に岩崎方面    三角点直前の薮    三角点

 山頂から北はネットで記録が見いだせなかったが、地図を見る限り明瞭な尾根が北北東に延びているのできっと踏み跡があるだろうと読んでいた。そんな思惑通り、暫くは順調に尾根を下って行くことができた。だが、350m地点で尾根は不鮮明となってしまったので、方角を失わないようにして山肌を直接降りていくことにした。薮が幾らかあるが、最近は激薮馴れしてしまったせいか全く気にならない。

 斜度は多少きつい所もある。だが、昨日の降雨で湿った林床に丁度良い塩梅で靴がめり込んで、かえって滑りにくいのでわりと楽に降りることが出来た。

     
北に向かう尾根    ここから不鮮明    薮が出てくる

 ポンと飛び出すように降りた林道を辿ると、小川が流れる明るい里に出てきた。アスファルトを幾らか歩き、泉福寺の看板が目に入ると周回の終わりを知る。

     
振り返るとこんな感じ    里に復帰    泉福寺へ戻って来た

 駐車場で靴を履き替えていると、黒服の女性二人が車で上がってきた。法事でもあるのだろうか。ようやく静かな寺も一日が始まったようである。

 先ほど歩いた林道の途中に、「弁天沼へ」という道標があった。興味が沸いたので、寄り道でこの林道を西へ走ってみた。畑の脇に案内板が張り出された所から枯沼が拡がっている。彼方に小高く聳えるのは向山らしい。板橋の城山の東にある384mPだ。ここも是非登ってみたいものである。

     
駐車場から寅巳山    弁天沼   

 弁天沼を後にして観音寺山を廻り込むような感じで車を東へ進める。今日の二番目の目標地は「ペット霊園宇都宮」である。

 ここも先日の偵察で確認済みであったが、肝心な頂上への登路詳細は不明である。地形図を眺めてカンを頼りに登る訳だが、もともと小さな山で地形も単純なのでそう難しいことも無さそうである。心配なのは、盗人岩から眺めた時に随分と南面に岩が露出して見えた点だ。

 霊園の駐車場に車を置き、斎場奥に伸びる砂利の立派な林道を歩いて行く。地図にある道と一致しているので、このまま行けば山頂から伸びる稜線の東端にぶつかる筈だ。そこが取り付きだろう。

 道路が突き当たった所に廃資材置き場があり、ここから末端となる尾根へよいしょと取り付く。

     
ペット霊園宇都宮    斎場奥の林道を進む    尾根へ取り付く

 よじ登って上を見るとなんて事はない、すぐにブル道が上がってきている。廃資材置き場から伸びているようだ。尾根のラインに添って作られたこの道を進むとすぐに行き止まり。ここからは落ち葉深い斜面、進めば踏み跡も見あたらない自然林の静かな雰囲気が辺りを覆っている。

     
すぐブル道に出る    ブル道行き止まりで尾根に乗る    踏み跡無し

 上の方に行くと幾らか岩が出てきたが、問題は全く無し。落ち葉に足を取られながらも、程無く頂上尾根に到達した。

     
   頂上尾根   

 頂上付近は落葉した木々に覆われ明るい雰囲気だが眺望は今一つすっきりしない。下を見ると何やら大きめのフンが有る。「住人」が居るようである。

 頂上地点でお茶休憩を楽しんだ後再出発。帰路は尾根を西へ下っていく予定だ。下り始めるとすぐ南側が大きく開ける岩の展望地がある。盗人岩が眼前に拡がり、下に目をやると、昭和ケミカルの発破採掘現場も丸見えだ。

     
誰のフン?    盗人岩全景    昭和ケミカルの発破現場

 思わずして発見した秘密のポイントに暫し足を止めて再出発しようとすると、この先は切り立った岩で行き止まり。かろうじて靴幅一つくらいの踏み場所はあるが、此処で滑ると恐らく南側の斜面に滑落は必至。北は巻けるかと眺めると、これまた地形図からは想像出来ない程の深い急斜面が口を開けている。

 流石にこれは撤退だなと思ったその時。「ザッザッザッ」と足音が。例によってである。今回も姿形は見えなかったが、どうやら先ほどの糞の主が岩の向こうを闊歩しているようである。慌てて、熊鈴をじゃんじやんと鳴らすと、幾らか慌てた感じで去っていく模様。荒々しいイノシシでは無さそうな雰囲気だが一体何者なのであろうか。

 復路は、単純にピストンも味気ないので、有る程度高度を下げて視界が確保出来た辺りで適当に斜面を下る。巨大な岩棚が露出している箇所もあり、こんな小さな山なのになかなか迫力があるものだ。

 先ほど歩いてきた砂利林道の手前にあるもう一筋の古い作業道に拾われてこれを辿るが、すぐに砂利道へ降りてしまいそうな雰囲気なので、途中からまた薮に入り軌道修正をする。

     
文挟方面だろう    岩で行き止まり    古い作業道

 最後は、霊園の墓地エリアに南から降りていくような恰好で下山終了である。

 帰りはいつもの新里街道を走ったが、路傍に咲く菜の花が明るい日差しを受けて輝いている。春の訪れと共に里山が目覚めるのもう少しであろう。

 それにしてもあの山頂に居た奴は一体誰なのだろう。実は、霊園に眠るペット達の守り神だったのではないか、などと思った。

     
自生カタクリ    ペット霊園に戻ってきた    篠井富屋連峰方面

  
新里街道脇の菜の花    自宅の桜

概略コースタイム

観音寺山:
駐車場発(7:51)-猪倉城趾の説明板(8:11)-山頂(8:31)-林道出合(8:55)-駐車場着(9:08)

ペット霊園裏山:
駐車場発(9:28)-尾根取り付き(9:37)-頂上(9:51)-お茶休憩-行き止まり(10:11)-
北斜面直下降(10:20)-駐車場着(10:35)

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コメント (4)

けむ:

まっちゃん こんばんは。

観音寺山が臭いというのはがっかりですね。
いつか点の記ルートで登って八十八か所のほうへ下山ってのを考えていたのですが、クサいんじゃなあ。
私が行った時は風向きのせいか臭いには気が付きませんでした。

370Pいいですね。車もサクッと停められて、小さいけど手強いってのが魅力です。
昭和ケミカルが砕石やってたのは初めて知りました。そういや出入り口のあたり白っぽかったですもんね。
ということは、盗人岩の尾根から北方向にテキトーに降りると危険なところへたどりつく可能性があるっつうことですな。
くわばらくわばら・・・

私のほうは、一週間サイクルの体調不良で里山シーズン終了の予感です。

まっちゃん:

けむさん、どうもです。

観音寺山は点の記ルートだと、もろに臭い方面から上がってくる状態になりそうです。

昭和ケミカルの例の現場ですが、工場の前の道を奥に入るとゲートが有って立ち入り禁止だったので何か有るなとは思っていました。

先日盗人岩近辺にいたときにこの方面から発破音を聞いていましたので、恐らく此処が現場だと思います。
盗人岩北面はちょっと危ないですね。ドカーンってやられたら大変だぁ。

先ほど370Pの記事を読み返していて間違え発見、訂正しておきました。
突き当たった岩の所は、南が滑落危険で北が巻けそうも無し・・・が正解でした。
南北逆に書いてしまいました。

Non:

 こんばんは。午前中に歩ける適度な山を二座、さすがの選択ですね。皆さんの歩かれる
ルートを拝見していると、構想段階も楽しんだろうな~ってつくづく思います。

 観音寺山、車道で分断されていなかったら良かったですね… なんて、余所者のワガママ
でしょうか(^^;)
 ペット霊園裏山、これだけの岩場があるなんて、地形図だけでは読めないですよね。
たとえば、広葉樹の地図記号があったりすると、杉林ではない⇒岩場があるかも? なんて
思いますが、それもないですよね。もちろん、崖のマークもないし。
 ひとまず「古賀志山周辺=岩場もある」と思っておけば良いのかもしれませんね(^^;)

まっちゃん:

Nonさん、こんばんは。

>構想段階も楽しんだろうな~ってつくづく思います。

偵察も含めて、カシミールに予定線引いてる時もワクワクです。
山行は自分で計画しないと楽しみを半分失っている、というのを読んだ事がありますが、まさにその通りだと思います。

ペット霊園の裏山は岩で行き止まりの西側尾根をコンプリートしたいところですが、「奴」がうろうろしていると思うと、ちょっぴり怖ぁ。来シーズン、H君と徒党を組んで乗り込みます。

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