« 今期薮の歩き納め、城山周回 | メイン | 裁ち蕎麦を求めて檜枝岐ツーリング »

月山と夫婦山

アーカイブ:日光の山達  日時: 2009年04月29日 22:00
 
-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 昨年のGWは日光の鳴虫山で素晴らしいアカヤシオに巡り会えた。日光方面ではいろは坂周辺もアカヤシオは有名だが、栗山村にある月山もアカヤシオ目当てで訪れるハイカーが多いらしい。今回はガイドブック、分県別「栃木県の山」の案内に従い、月山夫婦山を併せて歩く事にした。

 鬼怒川の温泉街を抜け、竜王峡を過ぎた先を栗山村方面へと折れる。日陰の集落で栗山ダム方面へ入っていくと牧場の中の道を登っていくようになる。左手に後ほど夫婦山への取り付きになる地点を見送り、トンネルを越えると栗山ダム前の駐車場に着いた。

 まだ朝早い時間だというに沢山の車が既に駐まっている。見ると、周辺の散策組もかなり居るような感じだ。改めて月山の人気を再認識する。

 駐車場からは暫し舗装道路(一般車進入禁止)を進み、ビーフピア広場へ着くと、斜面に咲くアカヤシオが出迎えてくれた。少しまばらな感じもするが、上のほうはどうなっているのだろうという期待を胸にロープの垂れ下がる登山口へ取り付く。

     
ダムサイド駐車場    ビーフピア広場    ロープが垂れる登山口

 短いロープを登り切った笹の小尾根は、進むに従いなかなか侮りがたい急登になっていくが、両脇のアカヤシオに励まされながら登っていく。ふと足を止めると、赤薙山と女峰山、そしてアカヤシオが眺望を競いあっているようだ。

 左手に、無機的な雰囲気の栗山ダムの護岸が見えてくると急登の尾根もそろそろお終いである。

     
アカヤシオと女峰山       栗山ダム

 一旦小ピークを越して進路を南に転じると、最後の登りで月山の頂上へ到着だ。山頂の少し手前辺りで東側(高原山方面)が枝に遮られる事なくスッキリ眺められる場所があったが、写真も撮らずに立ち止まることもしなかったのが今となっては残念である。

 山頂は数組のグループでごったがえしており落ち着かない。眺望は登路とあまり変わらない感じだが、南側が加わる。

 これから向かう南西のこんもりとしたピークには、所々アカヤシオが咲いている。数パーティが先行した後に自分も山頂を後にした。

 南西の尾根はガイドブックで紹介されていないが、西と南の眺望が終始明るく、ハイカーの数が多い。ネット情報では数箇所難所(ロープ場等)があると指摘しているが、なるほど確かに痩せ尾根あり、背丈ほどの岩場ありだが、古賀志山の中尾根や東稜尾根あたりを歩いているハイカーなら全く問題ないだろう。
 だが、ここは人気の山。足元のおぼつかないような人や、撮影の為のとりわけ大きな三脚を片手に歩いている人も多いので難所で渋滞が激しい。

     
月山頂上    南西ピーク    先行者で渋滞

 南に今市ダムの碧い湖面を見ながら降りていく。やがて北に進路が変わると最後の急な下りが待っている。ここでもロープ場で大渋滞。5分ほど待たされた。平坦な場所に降りるとそこはビープピア広場で、取り付き地点の丁度真南である。

     
今市ダム    最後は超渋滞   

 思った以上に下山に時間が掛かってしまったので、気持ちも幾らか足早に駐車場へと戻る。これから登る人達がまだどんどん上がってくる。まったくもって人気の山と言えよう。

 靴を履き替えずにそのまま車を走らせて夫婦山取り付き箇所へ向かった。駐車スペースは僅かなので駐められなかっらどうしようかと思っていたが、杞憂である。時間的にハイカーがこちらに流れてきても良い頃合いだが、皆素通りするところを見るとかなり人気薄のようである。月山とは対照的。

 取り付き地点で、「道形に過ぎません」との注意書きがあったが、最近道形すら無い所ばかりを歩いていたせいか、"道形あるだけ上等"のような気持ちで入山していく。実はこの後、道形から外れて笹藪で大変な思いをする事にこの時点ではまだ気付いていない。

 出だしは、良くあるピンクリボンルート。一面を覆う笹がいつもと勝手が違うが、まだ斜度も緩いし全体的に見通しもあるので余裕である。はリボンを追うとその下に笹に覆われたしっかりとした道形が続くという展開だ。

     
夫婦山取り付き    実際踏み跡程度だった    初めはこの程度

 今回は事前の地図検討で、山頂の南側をトラバースする破線(道)がはっきりと記入されており、これがルートであると認識してGPSにも予定線を読み込ませてある。分県別「栃木県の山」に掲載されているルート図もほぼこの破線と一致しているので間違い無いだろうと考えていた。ただ一点だけ、1150mから1200mへ向かうあたりがかなり狭い等高線の所を通っているのが少し不審だったが、きっとジグザグに道が付いているのだろうという程度で深くは考えなかった。

 途中までピンクリボンを追って行くと、どうやら予定していたルートを外して真っ直ぐ山頂に向かうような雰囲気である。歩かれた感じも濃いのでこれを登れば恐らく間違いはないのだろうが、今回は東の尾根から登り西の尾根を下る周回コースを予定している。GPSを見ると、大分西よりを歩いているので少し東側に修正すべく笹藪の斜面をトラバースしていく。かなり行ってもまだまだ自分の目指す破線の登山路であろう箇所までは辿り着かない。途中小さな谷を越えてなおもトラバースするが、向かう先は斜度もきつく、これ以上は無理と判断して一旦小休止。GPSと地図で対策を練る。

 位置的には山頂のほぼ南。見上げるとかろうじて尾根形のように見える笹藪が上へ続いている。若干斜度が有るが此処を北を外さずに取りあえず登り、途中で東にトラバースしやすくなった時点で考えようと思った。上の方に見える山頂から伸びる稜線の緑ががやけに鮮やかだ。まるでここまでおいでと手招きをしているようだが、悔しいかな、笹に足を取られながら進む急登は思いの外体力を消耗する。少し進んでは休みの連続だ。

 1270m過ぎで灌木薮がうるさくなってきた頃、道形に合流。リボンが点々としているし道形もはっきりしているのでまずは一安心だ。だが、此処もまた身長を上回る程の背の高い笹藪と所々灌木の枝薮に阻まれなかなか手強い。何処までも薮な山なのである。

     
リボンを外すと・・・    我、孤高の登山者也(^^;)    リボンルートに復帰するも

 辛い辛いとつぶやきながらも、どうにか山頂の東肩に到達。山頂までは膝丈の見通しの良い笹尾根である。道形は完全に消失しているが、何処を通っても特に問題無いだろう。だが、上からだと見えない所に段差があったりと思いの外歩きづらいものだ。

 山頂は静かな笹原。誰一人居ない静かないただきに、ドカっと大の字に横たわり真っ青な空を仰ぐ。やっと辿りついた。

 遅い昼食のおにぎりを頬張り、山頂からの景色を楽しむ。先ほど登った月山がずんぐりと眼前に見える。まだ沢山のハイカー達で賑わっているのだろうか。それに比べて此処は何と静かだろう。

     
最後の尾根は見晴らしヨシ    やっと辿り着いても笹原    西側 女峰山
     
南側パノラマ    同左(月山)    同左

 下山は南西の尾根を行くつもりだったが、山頂から僅かに踏み跡が確認出来るだけですぐに笹にかき消される。リボンが幾らか見えるが、そのまま南に向かっているような感じで尾根から外れているように見えるのではこれは追わない。

 地図の破線を目指してGPSで方向修正しながら少し降りてみるが、枝薮が酷くてとても降りられたものでは無い。里山ならいざ知れす、1000m以上の標高で四方山に囲まれている所を強行で下りて行くのは、登りでかなり体力を消耗した身にとって、もはや無謀である。それにしてもガイドブックで案内されたルートは一体何処へ行ってしまったのだろうか。少し残念な気持ちではあったが、辛い辛い登り返しで山頂に復帰して往路を下って行った。先ほど合流したリボンルートを辿れば下山出来るだろう。

 相変わらず笹藪が濃くなり薄くなりではあったが、緩やかにトラバース気味であるので登りに使えばかなり楽だろう。自分の取った登路は一体何だったのだろう。そして地図の破線の意味は?

 大分高度を下げた地点で、右手の斜面に南西尾根に突き上げる感じの点々と続くリボンを確認し、GPSのウエィポイントに保存した。

 この後もリボンを追えば必ずその下にはっきりとした道形が続くという展開で、やれやれどうにか下山終了である。なかなかスパルタンな山行であった。

 帰宅して、とるものもとりあえずGPSのログをPCに落として見る。成る程。下山で完歩したリボンルートこそ本来の登路であったようだ。山頂から南西に延びる尾根については、恐らく下山時に気付いたポイントがやはり接点のようだが、下りで使うのはリスキーな雰囲気が漂う。次回この山を訪れる時は、南西尾根を使って山頂を目指すのを宿題としよう。

 最後まで解けなかった地図の破線の疑問。地図には点線も描かれている。実際に歩いて見て、鉄条網が随所に張られていたのを確認している。もっとも今はすっかり朽ちて錆びてしまっているが、かつては明確な境界か道形がこの破線上にあったのだろうか。それにしては急峻な所に付けられた感じも否めない。山頂から伸びる南西尾根にやたらと緑が鮮やかな稜線が見えたのも不思議である。もしかすると、かつては山全体が放牧地だったのでは無いかと想像する。いずれにせよリベンジの意も含めて必ず再訪して見たいものである。

     
下山途中の開けた箇所    たぶん大笹山    やれやれもう少し

概略コースタイム
<月山>
ダムサイド駐車場発(9:26)-ビーフピア広場(9:39)-月山頂上(10:23)-南西の1230m級P(10:57)-
ビーフピア広場(11:27)-ダムサイド駐車場着(11:37)

<夫婦山>
駐車地発(11:41)-リボンルート逸脱(11:59)-笹藪急登(12:25)-リボンルート合流(13:04)-
山頂東の肩(13:23)-山頂着(13:35)-休憩-山頂発(13:55)-南西の薮で撤退(14:12)-
山頂へ復帰(14:25)-南西尾根への接点発見(15:01)-駐車地着(15:34)

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.mattyan.sakura.ne.jp/mt/mt-tb.cgi/444

コメント (2)

けむ:

まっちゃん こんばんは。

夫婦山の笹薮はかなり手強い感じですねえ。
場所柄プーさんが出てきそうじゃないですか?

月山の渋滞にビックリ。
メジャーなところってやっぱり混むんだなあ。

私も今年の夏は少し標高の高いところに行ってみようかな、なんて思ってます。
去年もそんな事言ってて行かなかったんですが。
ただビッグな山でヘンタイルートを行くと遭難しそうだし・・・
う~ん、どうしましょうかねえ。

まっちゃん:

けむさん、どうもです。

プーさん怖かったです。鈴ジャンジャン鳴らして歩いてました。
霧降の方から時折バイクの爆音が聞こえてきたりしているので臆病な熊は居づらいエリアかもしれませんが、それでも笹で視界が限られて来るとやはり怖いです。

もっとも、自分はヘロヘロでゆっくり登っていたので鈴の音やら薮を踏む音できっと避けてくれていたのではと思います。今回も登ってきた下の方でサクサク薮を踏む足音はありましたが。

ビッグな山でのヘンタイルートは確かに難しいですね。
あ、歩きとかコースとかじゃ無くって、

今回も薮をばりばり踏んで道路にOUTしたら、月山から帰っていく車の人にうさんくさい目つきでチェックされちゃいました。

しかし、前回の城山で今期の薮は終了したつもりだったのですが、学期末試験のようなハイレベル薮山になってしまいました(^^;

コメントを投稿

最近のコメント

  • まっちゃん
    月山と夫婦山
    けむさん、どうもです。 プーさん怖かったです。鈴
    5月 5日

  • けむ
    月山と夫婦山
    まっちゃん こんばんは。 夫婦山の笹薮はかなり手
    5月 4日

リンク集

  • ケン坊の日記
    情報(ネタ)の検証はピカ一。実践派のケン坊さん。多方面にわたるネタで楽しむことができます。
  • らんばらしょうぎ
    目指すは亀三郎百名山。印象派の亀三郎さんのブログです。更新量豊富。山ネタ以外も綺麗な写真がいっぱい掲載されてます。
  • 散歩エクスペディション
    薮山に目覚め始めた頃、毎日飽きずに見ていました。今日の自分に影響大なり。薮山歩きではメンタル面の我が師匠、けむぞうさんのサイトです。ブログのほうも面白くてお勧めです。(そこナニBlogで検索してね)
  • 里山逍遥
    栃木の山とその周辺の低山を巡る日々「里山逍遥」。もぉ、このタイトル見ただけで直ぐに相互リンクを申し込んでしまいました。新田次郎さんと飲んだことがあるという凄い方です。登山に対するフランクな考え方も共鳴できます。
  • リンゴの叫び!
    季節の移ろいと自然の姿に心惹かれるブログ主さんの記事は、山好きな人ならきっと共感することと思います。自分も長い間隠れファンでしたが、この度相互リンクさせていただきました。
  • 北関東の山歩き
    ご夫婦で仲良く山歩き。栃木県内や宇都宮近郊の山はもとより、HPのタイトル通り北関東の山並みを歩かれているNonさんのサイトです。楽しそうな山行記録を読みながら、「是非自分も歩いて見たい」と思うこと度々。
  • PIAN PIANO.
    バイク仲間であり山仲間のなおさんのブログ。ブログ名のPIAN PIANO.(ピアン ピアーノ)は、イタリア語で「あせらず、ゆっくり」という意味だそうです。

RSS

最近のトラックバック