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素晴らしき里山 三床山

アーカイブ:安蘇の山達  日時: 2008年12月23日 17:00
-- 『GPSMAP60CSx US版』+『カシミール3D』+『国土地理院地図閲覧サービスデータ』にて作成 --

 2008年の登り納めは、県南の佐野にある三床山(みとこやま){334.9m}を歩く事にした。

 三床山は県内の山を紹介したガイドブックには紹介されていないが、インターネットの山関係のサイトやブログを読むと結構登られているようで、300m程度の里山なのに変化に富んだコースで好評を得ている。

 田沼の先から国道293号を離れて梅田湖へ向かう県道に入る。目指す鹿島神社へのルートをハンディGPSに入力してきたのだが、曲がる場所の道が細くてしばし迷う。田んぼ道の傍らで話をしていた地元の老人達に尋ねると、この先を真っ直ぐ行けば良いとのこと。車一台分の幅の農業用道路を言われた通りに進むと、鹿島神社の広い駐車場へと辿り着くことが出来た。

 駐車場に先客は無し。今日はH君とこの山域を独占か?と思っていたら、四駆車がやってきて中から首に発信器を付けた犬が降りてきた。鳥獣保護区の看板があるのに一体何を撃つのだろうか。続いて出てきたハンターに「これから登山ですか?」と尋ねられた。

 三床山から一床山まで縦走して神社西方より帰ってくる旨を告げた。ハンター氏も「安全にやります。上の方は行かない」とは言っていたものの、一抹のは不安はぬぐい去れない。尾根を歩いている時、時折聞こえた銃声が終始気になっていた。

 登山口やルートの要所は最近道標が整備されているようで、鹿島神社の左手の林道を進むと登山口を間違える心配は皆無である。

     
鹿島神社駐車場    鹿島神社    登山口は明瞭

 出尾根コースを選び、榊のトンネルのような道を登っていく。傾斜のゆるい穏やかな登りである。右手のゴルフ場からプレー中の人の声が聞こえる。

 一つめのピークに着く頃には榊も無くなり、樹林の尾根歩きとなる。ピークからは、ついたてのような三床山への登りが待ちかまえている様子がよく見える。一旦鞍部まで下ってここで一息だ。

 ネット情報で一様に書かれている急登は、なるほど素晴らしくキツイ。初めのうちは何とか普通に登れていたが、後半は段々両手も総動員での登りとなる。地図を見る限り、今日の登りのハイライトはここ一ヶ所ということが判っていたので、辛い登りだが案外気楽である。

 あまりに急な直登なので踏み跡も千々に乱れる。赤テープを追いながらも自分の歩きやすいルートを捜して何とか山頂の肩まで辿り着いた。振り返るといつの間にか南に景色が広がっていて滲んだ汗が心地よい。

 二床山方面への尾根道を分け三床山へ。三角点の埋め込まれた場所の少し先に山名板が掛かっている。明るい日差しを受けた石洞の向かう先は、刈り払われて景色が良い。南以外は少し樹が邪魔になって眺望はすっきりしない。

 山頂で一休みした後、北へ続く道を少し追ってみた。展望岩があるという事であったが、少し下りすぎる感じもしたので退却だ。

 先ほどの分岐まで戻りいよいよ一床山までの縦走の始まりである。情報ではこの尾根歩きが景色も歩きも楽しいらしい。

     
出尾根コースへ    榊の道を進む    三床山三角点
     
三床山頂上    南東の風景    二床山への分岐

 分岐から暫くはトラロープが張られた急降下。だが一旦下りきれば後はのんびりとした尾根が続く。途中幾つものピークを越えていくが、右に左に景色が広がり、時には行く手を阻む岩が出現してそこを巻いていく。また、気持ちの良い日溜まりの落ち葉を踏みしめて進んだりと、なかなか変化に富んでいて面白い。

     
一床山への連なり    岩が出てくる    日あたりの良い尾根歩き

 後ろを振り返ると、今降りてきた三床山が大きい。また前方には303mピーク(高松)がどっしりと横たわっている風景もまた素晴らしい。

 やがて、高松へ向かう尾根との分岐を過ぎると次のピークが二床山だ。鼻歌交じりのピーク越えが続いていたので気付かずに通り過ぎてしまいそうになる。

     
後方の三床山    高松(303m峰)    二床山

 二床山を後にして、次の岩を登り切ると素晴らしい360度眺望が迎えてくれる。一床山頂上だ。

 正真正銘の360度眺望である。廻りを集落などで囲わているが、どちらを向いても遮ることの無い景色はやはり素晴らしいの一言。
 三床山に登る場合、二床山経由で高松から下山する人が多いと言うが、この好眺望の一床山を外すのはあまりにも勿体ないと断言出来る。

     
好眺望の尾根歩き    一床山頂上    同左

     
一床山からパノラマ      
     
     

 ここのところ、H君との山行は天気に恵まれなかったが今日は良く晴れ渡っており、溜飲を下げる思いの好天だ。話によれば富士山も見える事があるというが、流石に前日の雨で空気中の水蒸気が多いようで霞んで遠望は効かない。それでも、いつもの数倍は美味しいコーヒーを飲み終えて山頂を後にした。

 山頂から下り始めるとすぐに岩が無くなり樹林になる。次の道標がある分岐(西入の頭)から西側の275mPへ寄り道をするつもりだったので、少し薮っぽい所を入っていった。

 一旦下りきった暗い鞍部から先ほどの三床山直登を彷彿させるような急登で小ピークに立つ。相変わらず南面は景色が良い。続く275mPへは等高線には現れない起伏があるようなので取りあえずここで撤退とした。

 尾根を降り切ると、後は標高差の緩い湿地帯のような所を東へ向かえば良いのだが、どうやら一ヶ所間違えてしまったようで、南寄りの林道へと入ってしまった。概ね方角は合っていたのだが、ここは途中にある「二床山・高松」方面へ一旦北進すべきだったとうのが帰宅後のGPS軌跡で判った。

 間違えた林道は途中で途切れるも、何とか鹿島神社の方角を目指しているとやがて古い作業道が出てきた。これを辿っていくと途中で駐車場が見えたが、そのまま回り込むように道は南下を始める。これは強行突破しか無いだろうということで、深い薮地の薄手の所を探して進んでみることにした。

 初めうちは何とかなったが、やがて深い枯れ薮に阻まれる。犬の足跡が奴の背丈のトンネルへ点々と続いている。流石にここは無理だ。辺りを何箇所かトライしてみたものの、一帯は湿地になっており進めば進むほど泥沼が深くなってくる。

 結局諦めて元の作業道で南下を続けるが、一行に鹿島神社側の道路に出る気配が無いので、思い切って傍らの小川の川幅が狭い所を狙って無事車道へ出た。後は随分遠回りした車道をテクテクと歩く。二人とも体中植物の種だらけである。今日一番の難所だったねと話しながら駐車場へ戻る道の先、三床山が集落を静かに見守っているようだった。

     
   ここで間違えた    行く手を阻む薮
神社南方より右手三床山

概略コースタイム
駐車場発(10:00)-急登前鞍部(10:21)-三床山(10:47)-北側探索から復帰(10:58)-
二床山(11:33)-一床山着(11:50)-昼食休憩-一床山発(12:39)-西入の頭(12:51)-
西側小ピーク(13:01)-西入の頭(13:17)-尾根降りきる(13:44)-湿地帯強行突破失敗(14:06)-
車道復帰(14:23)-駐車場着(14:32)

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コメント (6)

けむ:

県南遠征お疲れ様でした
300m級の山でこの大展望はおトクですね
植生が違うからなんでしょうか
いいお山での登り納めで裏山しいです

私の次回の予定は、年内に行けるのかは微妙ですが
アラウンド古賀志の無名峰で藪こぎになりそうです

まっちゃん:

けむぞうさん、今晩は。

男抱山のワイド版で、真ん中に303mP(高松)を配したような感じ。箱庭のような里山でした。
枝尾根が廻りの集落に向かっているのでいろんなルートが隠されているようです。
今回チョイ探検の275mPから西へ向かうルートは結構踏跡も濃い感じでした。

宇都宮からだとちょっとアプローチに時間が掛かるのが難ですが、近間ならかなり楽しそうなフィールドです。

せろー:

まっちゃん こんにちは

三床山 素晴らしい展望の山ですね ライド&クライムで 来年の楽しみにしましょう。
鹿沼からだとセローで30分位で行っちゃいますね。


来年もH君と 安全な登山を楽しんでください。

まっちゃん:

せろーさん、どうもです。

鹿沼から30分ですか。これは羨ましい。
(実はぬふわKm/時位だったりして)

今回は「初日の出登山」、年末にいろいろばたばたしていて計画不足なんで見送りします。
1年後は完璧な(んなこと無いほど適当な計画だが)準備で望みますのでよろしくお願いします。

Non:

 こんばんは。ついつい、じっくりと見入ってしまいました。こ~~んなにいい山が
ガイドブックに載っていないなんて… ちゃんと調べているつもりでも、そうでもないんですね。
でも、とりあえず、まっちゃんさんのレポートが拝見できて、すごく得をしたような気分です(^^)

 と、前置きはこの辺で、ここは是非、Non夫の仕事が正常化(ちゃんと週休2日が戻ったら、
という意味で)したら、歩きに行きたいですね。
 300m級でこんな360度の大展望が楽しめるなんて、逃さない手はありませんよね~
周辺の田舎らしさもすごくいいなと思いました。

 別の方へのコメントですが、「ぬふわKm/時」なるほど、こういう書き方があるんですね。
勉強になりました(^^)

まっちゃん:

Nonさん、こんばんは。

三床山は最近整備されはじめたようで、既出のガイドブックが出版された時期にはあまり歩かれていない山だったようです。
現在は要所に道標が在るので、次にガイドブックが編纂される時はきっと取り上げられることでしょう。

Non夫さんお忙しそうですね。休み無しだとボディブローのように堪えますので、お気を付けくださいますようお伝え下さい。
早く時間と余裕が出来てお二人で山行出来ると良いですね。

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